7-110 フェイク論文のAI簡単作成法

2022年9月22日掲載 

白楽の意図:ウェブ上の(無料・有料)AIソフトでフェイク論文・デタラメ論文を簡単に作れる方法がどこまで進んでいるのか、白楽はとても興味がある。既にフェイク論文が学術誌に多数発表されている(気がしている)。ネカト防御には、フェイク論文の検出法と防止法が必須である。一方、AIは文章作成補助具なので、便利に使うべき道具だという主張もある。で、アキ・ペリッツ(Aki Peritz)の「2022年9月のWire Science」論文を読んだ。そして、白楽がデタラメ論文をねつ造してみた。

ーーーーーーー
目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.日本語の予備解説
2.アキ・ペリッツ(Aki Peritz)の「2022年9月のWire Science」論文
3.白楽がデタラメ論文を作ってみた
9.白楽の感想
10.コメント
ーーーーーーー

【注意】

学術論文ではなくウェブ記事なども、本ブログでは統一的な名称にするために、「論文」と書いている。

「論文を読んで」は、全文翻訳ではありません。

記事では、「論文」のポイントのみを紹介し、白楽の色に染め直し、さらに、理解しやすいように白楽が写真・解説を加えるなど、色々と加工している。

研究者レベルの人が本記事に興味を持ち、研究論文で引用するなら、元論文を読んで元論文を引用した方が良いと思います。ただ、白楽が加えた部分を引用するなら、本記事を引用するしかないですね。

●1.【日本語の予備解説】

★2021年6月28日:著者名不記載(エナゴ アカデミー):論文執筆 人工知能(AI)はここまで進歩している

出典 → ココ、(保存版) 

研究におけるAIの活用も飛躍的に進んできました。そこで注目されているのは、仮説の形成から実験の遂行までの研究手法を自動化することです。実際、研究者はAIを使って、生物医学、複合製剤、および病気予測に関する複雑な諸問題に取り組んでいます。

論文執筆のためのAIツール
AIベースのツールの中には、論文を執筆できるツールがあります。電子研究ノートサービスSciNoteに付加された「 Manuscript Writer」というツールは、先進的な機械学習・AI技術を使って、科学論文を準備する過程を大幅に簡素化する能力を備えています。

続きは、原典をお読みください。

★2022年07月05日:パルモ(カラパイア):AIが自分自身について論文を書き、それが学術誌に投稿される

出典 → ココ、(保存版) 

ヨーテボリ大学の神経科学・ヘルステックの専門家のアルミラ・オスマノビッチ・トゥンストレム氏が最初に文章生成AI「GPT-3」に入力したのは、ごく初歩的な指令だ。

GPT-3について500単語で学術論文を書き、文中に科学的な参考文献と引用を記入せよ

すると驚いたことに、適切な場所と文脈にきちんとした引用が添えられた、紛うことなき学術論文が出力されたのだという。

「畏敬の念にとらわれた」と彼女は述べている。

本物の科学者であるトゥンストレム氏に目で見ても、「優れた科学文献の序文と変わらないように見えた」そうだ。

最終的に、GPT-3はたった2時間で論文を書き上げた。人間がやったのは、最低限の指示を与えることだけだ。

続きは、原典をお読みください。

★2022年5月13日:著者名不記載(日経クロステック(xTECH)):米メタがGPT-3級の巨大言語モデル公開、「未熟で危険な技術」を世に放つ成否

出典 → ココ、(保存版) 

メタは2022年5月3日(米国時間)に「Democratizing access to large-scale language models with OPT-175B(OPT-175Bによって大規模言語モデルへのアクセスを民主化する)」と題するブログ記事を投稿し、OPT-175Bの学習済みモデルに加えて、OPT-175Bをトレーニングするためのプログラム一式などを研究者向けに公開したと発表した。

 言語モデルとは、自然言語による質問応答や文章生成などができるAI(人工知能)である。オープンAIが2020年6月に発表したGPT-3は、人間が書いたものと見分けが付かない水準の文章を生成できることで大きな話題を呼んだ。

続きは、原典をお読みください。

●2.【アキ・ペリッツ(Aki Peritz)の「2022年9月のWire Science」論文】

★書誌情報と著者情報

  • 論文名:Plagiarism: AI Is Making It Easier Than Ever for Students to Cheat ?
    日本語訳:盗用:人工知能はかつてないほど容易に学生に不正をさせるか?
  • 著者:Aki Peritz
  • 掲載誌・巻・ページ:Wire Science
  • 発行年月日:2022年9月9日
  • 指定引用方法:
  • DOI:
  • ウェブ:https://science.thewire.in/the-sciences/ai-ml-students-plagiarism/
  • 著者の紹介:アキ・ペリッツ(Aki Peritz、写真出典、経歴出典)は、2001年に米国のペンシルベニア大学(University of Pennsylvania)で学士号(政治学)、2003年にワシントン大学(University of Washington)で修士号(国際関係学)を取得した。論文出版時の所属・地位は、2022年1月就任のメリーランド大学・情報安全保障応用研究ラボ(UMD Applied Research Lab for Intelligence & Security)・助手研究員(Assistant Research Scientist)
    米国政府のサイバーテロ対策の分析官らしい。

●【論文内容】

本論文は学術論文ではなくウェブ記事である。本ブログでは統一的な名称にするため論文と書いた。

方法論の記述はなく、いきなり、本文から入る。

ーーー論文の本文は以下から開始

★要旨

  • AI(人工知能)を使ってレポートを書いても、過去の文書を流用していないので、従来の意味での盗用ではない。盗用検出ソフトで検出できるオリジナルがない。
  • 運動選手がパフォーマンス向上のために薬物を服用するように、学生がAIを使用して高得点が得られるエッセイ・レポート・論文を作成している。
  • スポーツ界は、特定の薬物を禁止している。禁止薬物はアスリートに実際に害を及ぼす。AIを使用してレポートを書く学生に実際に害はあるのか? それとも、スポーツの技能を向上させる運動用品(ギア)の使用に似ているのか?

★論文合成ソフト(online article generator)

現代では、学生はAI(人工知能)を使用してエッセイ・レポート・論文を書ける状況にある。この有害(?)で新しい状況に大学教員は直面している。

2005年、AI、つまり、論文合成ソフト(online article generator)、で作成した最初のエッセイがデビューした。

現在、論文合成ソフトは、小説、フェイクニュース記事、本物のニュース記事、マーケティング・キャンペーンなど、多数の文書で既に使われている。

論文合成ソフトは無料または安価なため、誰でも入手し使用できる。そして、おそらく既に大学そして学術界に潜り込んでいる。

AIを使ってレポートを書いても、過去の文書を流用していないので、従来の意味での盗用ではない。

教員が盗用検出ソフトで検出しようとしても、オリジナルの文書がないのでヒットしない。

学生は最初に1つまたは複数の文書からテキストをコピーして論文合成ソフトに入れ、作成を開始する。

論文合成ソフトが作成したコンテンツを、自分の望む方向に修正することで、パーソナライズできる。

少し練習すれば、短時間で優れたエッセイ・レポート・論文を、AI を使って書くことができる。

論文合成ソフト「Sudowrite(シュードライト)」に課題として与えられたサンプル・テキストを入力するとどんなレポート・論文が作成されるか、ココに示したかったが、学生に悪いことを教えるようなので、止めておく。なお、「Sudowrite」はたくさんある論文合成ソフトの1つにすぎない。

[白楽が「Sudowrite」の日本語解説を以下に2本示す。
 → 2022年1月7日の「小林 玲王奈」記者の記事: Sudowriteはブログの救世主となるか?運営者を助ける文章作成AIツールを試してみました|ユニコブログ®、(保存版
 → 2022年1月13日の「岡 ゆづは」記者の記事:【直撃】月20ドルで作家を助ける「執筆AI」の実力、(保存版)]

ある学生が米中政策に関するエッセイを書く時、論文合成ソフトを使って、以下のテキストを作った例を示そう。以下は原文の英語を白楽がDeepLで日本語にした。

自国の死活的な利益が危うくなると感じれば、既存の国際的なルールや規範を無視したり、積極的に損なったりすることもいとわなくなってきている。米国とその同盟国は、急速に近代化する軍隊に直面しており、その能力は、特に空と海で急速に増大している。中国はサイバー能力の開発でも大きな前進を遂げ、米国の重要な軍事技術を低下させたり混乱させたりする能力、さらには民間のインフラを標的にすることに注力している。米軍とその同盟国への挑戦であることに加え、中国のサイバー空間での活動は米国の政治・経済制度を低下させる可能性があり、世界の情報インフラが危険にさらされている。

[白楽の感想:なかなか良いエッセイだ]。

高校生がこのエッセイをそのまま提出したら、先生は何かおかしいと思うだろう。しかし、学部生または院生が提出した場合、特にテキストを編集してから提出した場合、論文合成ソフトを使ったと見破るのはとても難しい。

★禁止? 推奨?

学部生がAI(人工知能)、つまり、論文合成ソフト(online article generator)、を使って高得点が得られるエッセイ・レポート・論文を作成する。

院生がAIを使って修士論文や博士論文を書き、学位を得る。

研究者がAIを使って総説や研究論文を書き、学術誌に投稿する。

是か否か?

以下、ここでは、学生(学部生と院生)のエッセイ・レポート・論文を対象に議論していく。

AI(人工知能)の使用は、運動選手がパフォーマンス向上のために筋肉増強剤を服用している、と捉えることができる。

薬物使用は、運動選手に身体的および心理的な害を及ぼす可能性がある。

エッセイ・レポート・論文の作成でのAI使用は、学生に有害だろうか?

長期的にはライティング・スキルの向上を妨げる害があるか?

それとも、AIの使用は、スポーツで運動能力を向上させる道具(ギア)の使用と似ているのか?

今日のテニス・プレーヤーは、1960 年代に使用していた木製ラケットではなく、初心者でも、高性能カーボン複合材ラケットを使っている。

水泳選手は、抵抗を減らすためにナイロンとポリウレタンのスーツと帽子を着用する。

自転車選手は、一世代前の自転車よりも強くて軽い自転車に乗る。

野球のバット は木製からアルミニウムに進化し、より良いグリップを開発した。野球のミットは、何十年にもわたって改良されてきた。

で、是か否か?

★禁止?

多くの大学教員 は、「AI 使用は否」と主張している。

AIの使用は学術公正に違反していると考えているのだ。

ジョージタウン大学(Georgetown University)のリセ・ハワード教授(Lise Howard、写真出典)は、「AI を使って学術的な文章を作るのは学術規範に違反しています。学術上の文章はオリジナルな執筆がすべてだからです」と述べている。

ボストン大学・キャロル経営大学院(Carroll School of Management at Boston College)のアニ・ロス・グラブ非常勤教員(Ani Ross Grubb)は、レポート課題には2つの目的があると、次のように述べた。

「1つの目的は、学生の学ぶ力、理解力、批判的思考のスキルをテストすることです。 2つ目の目的は、それらのスキルを教育・開発する場の提供です。AIにレポート課題を書いてもらうと、これらの目的を達成できません」。

実は、ほとんどの大学は、既にAIの使用を学則で禁止している。それで、AI を使用すると、学生は重大な処分を受ける可能性がある。

たとえば、アメリカン大学 (American University)の規則は、「授業に提出するすべてのレポート・論文・資料は、出典が明示されていない限り、学生のオリジナル作品でなければならない」 とある。

メリーランド大学(University of Maryland)の規則も同様で、「アカデミックコースまたは演習で不当な利益を得ること、また、許可されていない資料、情報、または学習補助具の使用及び使用しようとすることを禁止する」とある。

★推奨?

しかし、高等教育の場での学習補助具の使用は 、既にある程度、受け入れられている。

エッセイ・レポート・論文を書くとき、Microsoft Word やその他の文書作成プログラムに標準装備されている文法および構文チェックのソフトを使用してもまったく問題はない。

Grammarlyのような AI プログラムは、 より良い文章を書き、エラーを修正するのに役に立つ。Google ドキュメントは、下書きやメールで文章を作るのに便利である。

多くの場合、この種の補助的なコンピューター・プログラムの使用は不正行為とみなされない。それなら、論文合成ソフト(online article generator)の使用が不正行為だというのはおかしい。

どの線を越えると不正行為なのか? 

明確な答えがない。

現在、AI の使用と不正行為との境界はあいまいである。

★どうする?

では、エッセイ・レポート・論文の執筆で、大学はAIの使用を学生に認めるべきなのか?

答えが「いいえ」の場合、2 番目の質問は次のとおりだ。

大学教員はどのようにしてAIの使用を検出できるのか?

現状では、学生がAIを使用してエッセイ・レポート・論文を書いたかどうかを検出できない。検出できなければ、AIの使用をチェックできない。つまり、技術的な解決策はない。

では、人為的な解決策はどうだろうか?

1つの方法は、大学は何が受け入れられ、何が受け入れられないかを成文化した規則を制定する事だ。

この流れでは、2022年7月13日、欧州評議会(Council of Europe) が、教育での不正を生む新しいテクノロジーに対処するガイドラインを公表した。

[白楽が以下、一部抜粋してみた。

「教育詐欺(Education fraud)」とは、教育の分野で、不当な利益を得ることを目的として人を欺く行為である。具体的には 以下の項目である(i)ディプロマ ミル(学位工場)、認定ミル、ビザ ミル、エッセイ ミル(論文工場)、およびエッセイ バンク。 (ii) 登録学習者の代わりに、プログラムの一部として必要な作業または評価の全部または一部を行なう「なりすまし」。 (iii) 本物の文書の違法または不正な使用。 (iv)盗用。 (v) 偽造、デタラメ文書の作成または使用。 (vi) 他者をだます意図で、「非」認証機関から得た資格を認証機関から得た資格のように提示すること。

白楽の感想:AIの使用に関しての直接的な言及はないが、欧州全体として「教育詐欺(Education fraud)」の基準を制定していることは、なかなか優れている。]

2つ目の方法は、クラスを少人数に保ち、個々の学生に注意を払うことだ。

ノーザン・ケンタッキー大学(Northern Kentucky University)のジェシカ・チッチェット・ハインドマン英語準教授(Jessica Chiccehitto Hindman、写真出典)は次のように述べている。

「作文のインストラクターが個々の学生に注意を払うことができないクラスの場合、盗用、AI使用、退屈で無駄に過ごすなど、学生は授業に投げやりになる可能性が高くなります」。

しかし、個々の学生に注意を払うために、教員対学生の1対1の時間を増やそうとする解決策は、多くの場合、現実的とはいえない。

特に、大人数のクラスでは無理だ。教員は複数のクラスとコースで授業を持っていることが多く、学期ごとにすべての学生の面倒を1人1人みることはできない。

ロヨラ大学シカゴ校(Loyola University Chicago)のバージニア・リー ストレイン英語準教授(Virginia Lee Strain、写真出典)はさらに、パソコンなどの使用を許可しないクラスでの作文受業、つまり、学生が鉛筆を持って座って紙に書く受業では、AI の問題はないと指摘している。

[白楽の感想:そりゃーそーだ。正しい。しかし、教室外ではど-する?]

より積極的な姿勢は、学術公正に関して大学が「AIの使用を違反と見なす」倫理規定を制定・改定し、学生に伝えることだ。

とはいえ、学生のAI使用を取り締まる技術的な方法がなければ、その倫理規定の伝達は、逆に、「寝た子を起こす」(表現、違う?)ことになり、エッセイ・レポート・論文を楽に簡単に作れるズルイ(?)方法を学生に教える可能性はある。

教員は、既に、かなり多くの学生がAIを利用していることを知っている。

学生が AI を使って課題を完成させることを教授が懸念するなら、ある意味、問題は学生や AI ではなく、授業自体にある。

学生がこれらの禁止ツールを使用している場合、教員は、口頭試験、グループプロジェクト、プレゼンテーションを割り当てるなど、別の教育手段を使うべきなのだ。

ただ、ハインドマン英語準教授は、このタイプの学習方法は、学生数が少数の管理可能なクラスでしか実現できない、と指摘している。

高等教育の現状の問題は、教員がAIの使用の技術的に検出できない状況下で、悪徳学生は便利なAIを論文代行業者などと組み合わせて使っていることだ。

学生のAI使用は、宿題やレポート課題の何世紀にもわたる劣化をさらに劣化している。

●3.【白楽がデタラメ論文を作ってみた】

《1》デタラメ論文 

ウェブ上の無料の論文合成ソフト(online article generator)を使って、白楽がデタラメ論文を作成してみた。一応、論文合成ソフトで作成したまともな論文もあるので、論文合成ソフトで作成した論文を総称して「フェイク論文」と呼ぶ。

しかし、リアルな論文に酷似し過ぎると問題なので、白楽がここで作成したのは明らかにデタラメ色が濃厚な「デタラメ論文」である。つまり、「フェイク論文」ではあるが、「デタラメ論文」である。

日本語のタイトルで示すと「がん細胞はピカチュウ」という英文論文を作ることにした。

画像は、先日(2022年8月27日)お見せした以下のデタラメ画像を使用した。

★タイトルと要旨

論文合成ソフト(online article generator)はあとで述べるが、まず、以下のタイトルと要旨(英文)を作った。

―――タイトルと要旨(英文)
Cancer cells are pikachu

cell culture is a powerful tool for studying the molecular mechanisms of cell death and for identifying new therapeutic agents. We report here the first example of cellular pikachu cells, whose cell-surface morphology is dependent on the cell surface. The cell membrane is composed of cells that are surrounded by cytoplasmic cells. Using atomic force microscopy, we show that the cells are pikalikachu, and we find that they are not confined to the surface of the molecule. Our results suggest that pikanchu is the result of an entropically driven process, where the molecules are trapped by the surrounding cell walls.

―――タイトルと要旨(日本語)(上記をDeepLで日本語にした)

がん細胞はピカチュウ

細胞培養は、細胞死の分子機構を研究し、新しい治療薬を同定するための強力なツールである。我々は、細胞表面の形態に依存する細胞性ピカチュウ細胞の最初の例をここに報告する。細胞膜は細胞質で囲まれた細胞で構成されています。原子間力顕微鏡を用いて、この細胞がピカチュウであることを示し、分子表面に限局していないことを明らかにした。この結果から、ピカンチュは、分子が周囲の細胞壁によって捕捉される、エントロピー的なプロセスの結果であることが示唆された。

―――タイトルと要旨(日本語)ここまで

白楽の感想:なんか生命科学の論文要旨風にできています。悪くないですね。

★本文

文章を作成させるには呼び水が必要なので、「cancer cells」の検索語で2021年の「Nature」論文を探した。2021年の以下の論文がヒットした。

この論文の要旨の最初の4行(以下では5行)を呼び水に本文を論文合成ソフトで作成した。

Metastasis formation is the major cause of death in most patients with cancer. Despite extensive research, targeting metastatic seeding and colonization is still an unresolved challenge. Only recently, attention has been drawn to the fact that metastasizing cancer cells selectively and dynamically adapt their metabolism at every step during the metastatic cascade.

論文合成ソフトはあとで述べるが、約3,000語の文章(英文)を作った。画像も入れた。

―――本文(英文):水色部分は上記の4行

Metastasis formation is the major cause of death in most patients with cancer. Despite extensive research, targeting metastatic seeding and colonization is still an unresolved challenge. Only recently, attention has been drawn to the fact that metastasizing cancer cells selectively and dynamically adapt their metabolism at every step during the metastatic cascade. Therefore, a number of cancer cell lines have been exploited to determine whether modifying their metabolism affects the rapidity of metastasis formation.

To evaluate the impact of metabolic alterations on metastatic seeding and colonization, we used 4 breast cancer cell lines and investigated the impact of selective changes in intracellular signaling pathways in their cytoplasm, cell metabolism, and inflammatory signaling (targeting activated kinases and enzyme systems). We found that an increase in peripheral energy expenditure and fatty acid oxidation in these cell lines increased metastasis-forming potential. In contrast, an increase in oxidative stress and metabolic dysregulation in these cells resulted in decreased metastatic potential.

Our results highlight the potential importance of metabolic modification in metastasis formation and underscore the importance of carefully investigating the mechanistic mechanisms by which metabolic alterations affect metastatic dissemination.
In this study, we focus on the importance of energy and lipid consumption in the development of cancer metastasis and the potential impact of the cell proliferation process on metastatic seeding and colonization. By examining the effect of several changes in the cell growth and metabolic state, we identified that an increase in peripheral energy expenditure is not sufficient to stimulate metastatic seeding and colonization, even if the peripheral energy expenditure in the cancer cells is increased.

To further explore the relation between metastatic seeding and colonization, we performed an in vivo model using 4 breast cancer cell lines and analyzed the effects of experimental metabolic modifications in these cells. Although several variations in the cellular mitochondrial biogenesis and regulation have been proposed, these aspects have not been investigated to date.

We observed that the expression of glycogen synthase kinase-3 beta (GSK3B) is negatively regulated in 3-LO breast cancer cells (Cre). GSK3B is a kinase critical to the energy metabolism and lipid synthesis in the mitochondria, which has recently been shown to be altered in breast cancer (Schiff et al., 2004). GSK3B is a member of the Akt kinase family, which is critical for energy metabolism (Gil et al., 1998).

Our data revealed that GSK3B expression is reduced in 3-LO breast cancer cells by 2-deoxy-3-deoxy-D-glucose, a processive lipoxygenase that affects the synthesis and breakdown of fatty acids in mitochondria. The absence of activation of this kinase during the early stages of metastasis formation is thought to suppress tumor growth. On the other hand, GSK3B expression was stimulated by 2-deoxy-3-deoxy-D-glucose, which induced the production of 12-hydroxyeicosatetraenoic acid (12-HETE) and transient fatty acid-1,5-bisphosphate (FABP), both of which are important inflammatory mediators. 2-Deoxy-3-deoxy-D-glucose also stimulated GSK3B expression by a phosphorylation site on the kinase, and this

―――本文(日本語)(上記をDeepLで日本語にした)

転移の形成は、ほとんどのがん患者の主な死因となっています。広範な研究にもかかわらず、転移の播種とコロニー形成を標的とすることは、いまだ未解決の課題である。最近になって、転移するがん細胞は、転移カスケード中のあらゆる段階で選択的かつ動的に代謝を適応させるという事実に注目が集まっている。

そこで、多くのがん細胞株を用いて、代謝の改変が転移の早さに影響するかどうかを調べています。代謝の変化が転移の播種やコロニー形成に与える影響を評価するために、4つの乳がん細胞株を用い、その細胞質、細胞代謝、炎症性シグナル伝達(活性化キナーゼや酵素系を標的とする)の細胞内シグナル伝達経路の選択的変化の影響を調査しました。

その結果、これらの細胞株では、末梢のエネルギー消費と脂肪酸酸化が増加すると、転移形成能が上昇することを見いだした。一方、これらの細胞で酸化ストレスや代謝異常が増加すると、転移能が低下することがわかった。この結果は、転移形成における代謝異常の潜在的な重要性を明らかにするとともに、代謝異常が転移播種に影響を与えるメカニズムについて慎重に検討することの重要性を強調している。

本研究では、がん転移の発生におけるエネルギーと脂質の消費の重要性と、細胞増殖過程が転移の播種とコロニー形成に与える潜在的な影響に着目した。細胞増殖と代謝状態のいくつかの変化の影響を調べることで、がん細胞の末梢エネルギー消費量が増加しても、転移性播種やコロニー形成を刺激するには十分ではないことを明らかにした。

さらに、転移性播種とコロニー形成の関係を探るため、4つの乳がん細胞株を用いたin vivoモデルを実施し、これらの細胞における実験的代謝修飾の影響を分析した。細胞内のミトコンドリア生合成と制御におけるいくつかのバリエーションが提案されているが、これらの側面はこれまで検討されていない。

我々は、3-LO乳がん細胞において、グリコーゲン合成酵素キナーゼ-3β(GSK3B)の発現が負に制御されていることを観察した(Cre)。GSK3Bはミトコンドリアでのエネルギー代謝や脂質合成に重要なキナーゼであり、最近、乳癌でその発現が変化することが示されている(Schiff et al.) GSK3Bは、エネルギー代謝に重要なAktキナーゼファミリーのメンバーである(Gilら、1998)。

我々のデータでは、3-LO乳癌細胞において、ミトコンドリアでの脂肪酸の合成と分解に影響を与えるプロセス型リポキシゲナーゼである2-deoxy-3-deoxy-D-glucoseによってGSK3Bの発現が低下することが明らかにされた。転移形成の初期にこのキナーゼが活性化されないことで、腫瘍の増殖が抑制されると考えられている。一方、GSK3Bの発現は2-deoxy-3-deoxy-D-glucoseによって刺激され、重要な炎症メディエーターである12-hydroxyeicosatetraenoic acid (12-HETE) と transient fatty acid-1,5-bisphosphate (FABP) の生成を誘導することが示された。2-Deoxy-3-deoxy-D-glucoseはまた、キナーゼ上のリン酸化部位によってGSK3Bの発現を刺激し、この

―――本文(日本語)ここまで

白楽の感想:なんか生命科学の論文風にできています。悪くないです。もちろん、文章も図も非現実的です。

あまり現実に近い文章を作り、現実に近い図を入れると、本物と間違える人が出てくるのではないかと、白楽は心配している。それで、わざと非現実的にした。

《2》方法 

★サイト

「デタラメ論文」作成の方法をどこまで書いていいのか、迷った。

でも、既にあちこちで論文合成ソフトが紹介されている。それで、白楽が使用したサイトを以下に示す。全部、無料版を使用した。

なお、上記の論文合成ソフトがおススメというわけではない。適当に作ったらそれなりに作れたというだけである。熱心に入れ込んで作っていない。

以下の作成法の方が優れている印象だった。

  • Open AI API
    https://openai.com/api/
    このサイトは「GPT-3で遊んでみた – Qiita」 https://qiita.com/nyax/items/553bf5610c2d2202de22に紹介されていた。

    この「AI API」サイトは優れているという印象だが、白楽はアカウントを作れなかった。登録手続きの初期段階で転んでしまった。「AI API」サイトからはメールで白楽に認証コードを送ったというのだが、白楽のメールボックスには、実際には、来ていなかった。5度も試してしまった。

●9.【白楽の感想】

《1》感動した 

白楽の素直な感想は「なんか、スゴイ時代になってきたナ」である。感動した。

サイトを探りながら初めて作成した「デタラメ論文」だが、文章はそこそこの質である。論文として投稿するなら、手直しは少し必要である。でも、もっと良いソフトを使い、慣れれば2時間くらいで1論文を作れる印象だ。

研究論文もコンピューター分野では既に自動作成論文が学術誌に投稿されている。

AIがAIに関する学術論文を書いてしまいました。書けてしまいました。AIに論文執筆をさせたのは、スウェーデンのヨーテボリ大学の博士研究員、Almira Osmanovic Thunström氏。AIによる論文完成までの行程が、Scientific Americanにて公開されています。(2022年7月7日の「そうこ」記者の記事:AIに関する学術論文を…AIが執筆してしまう | ギズモード・ジャパン)、(保存版

イヤハヤ、なんとも、恐ろしい時代である。

まだ読んでいないけど、以下の2021年の論文(英語)もある。

《2》フェイク画像、架空人物、架空大学 

白楽が作成した今回の「デタラメ論文」では、ラフなフェイク画像を使用したが、もっとリアルな画像をAIで作ることができる。
 → 7-105 ディープフェイクの脅威 | 白楽の研究者倫理
 → 7-73 画像のAI合成:ウェスタンブロット | 白楽の研究者倫理

著者の顔写真や、患者の治療例など人物が必要なら、それもAIで作りましょう。
 → 2022年2月14日論文:AI-synthesized faces are indistinguishable from real faces and more trustworthy | PNAS

以下は、上記論文で合成された実在しない人物画像である。

著者の所属大学も必要なら、架空の大学を作りましょう。以下の出典 → 化学:アリレザ・ヘイダリ(Alireza Heidari)(米) | 白楽の研究者倫理

ーーーここから

フェイク大学やフェイク研究者はイラクや米国、そして中国にいるけど、日本は無縁だと、あなた、思ってません?

そうは問屋が卸さない。
びっくり下谷の広徳寺。

国際信州学院大学、そう、日本のフェイク大学である。ウェブサイトはよくできています(以下の写真出典)。 → https://kokushin-u.jp/

国際信州学院大学の創立者(?)は手が込んでいて、架空の大学を作るだけでは面白みに欠けると思ったのか、次の話題を提供した。

“国際信州学院大学”の職員がうどん店に対して50人の貸切予約をしたにもかかわらず、無断でキャンセルしたという事件が5月に話題になりました。ドタキャン被害を訴えるツイートは数万リツイートされたのですが、実はこの大学もうどん店も、ましてやこの事件自体も全て架空だったというのがそのオチ。( 2018年06月06日の[宮田健の記事:存在しない大学、なぜだまされた? 「URL」でWebサイトの安全性が分からない時代

次の注意もしている。

「最近、インターネット上に本学が架空の大学であるかのように言及する情報が増えています。これは本学の公式見解ではありませんので、お気をつけください。(中略)インターネット上には虚構情報も多くあります。架空の情報に騙されないようご注意くださ(2018年4月17日の記事:架空のネタ大学「国際信州学院大学」とは : J-CASTニュース

ーーーここまで

《3》論文代行業者と論文工場 

中国、インドなどに論文工場があるようだが、論文代行業は世界中で商売している。

依頼者がいるから商売が成り立つのだが、これらを排除するうまい方法がない。

でも、論文合成ソフトが普及すれば、今まで依頼していた人が、自分で簡単に論文を作れるので、大幅に注文が減ると思われる。

論文代行業者はまだしも、論文工場の経営者は苦しくなるだろう。

イヤ、そんなに単純ではない?

《4》ネカト対策 

論文合成ソフトに対するネカト対策、どうする?

まず、学術界で「禁止? 推奨?」を決める必要がある。それも、なるべく早く。

禁止するなら、技術的に検出できないと、防止方法も開発できない。そうなると、掛け声倒れになり、正直者がバカを見る。

一方、論文合成ソフトは文章作成の助けになる。人類の創造力を高めるのに役立つ。

単純に100%OKとか100%禁止ではなく、ここまではOKだが、これ以上は不正、という途中に線引きをすることになるだろう。

そして、技術はドンドン進歩するので、その進歩に伴い毎年のように規則を改訂することも必要だろう。

とにかく、人類が成長する方向で考えて欲しい。

なお、白楽は、論文合成ソフトの使用賛成派である。論文合成ソフトはドンドン進歩するし、普及する。

その前提で、従来の研究不正、つまり、ねつ造・改ざん・盗用も見直すべきだと考えている。既に、査読詐称など新手の研究不正が見つかっている。アキ・ペリッツ(Aki Peritz)https://www.msnbc.com/msnbc/watch/how-extremist-groups-are-using-the-internet-347832899528

《5》教えちゃった 

以下はここの文章を抜粋改変 → 7-10.ネカトの仕方教えます | 白楽の研究者倫理

「フェイク論文」作成法を教えちゃいましたが、教えちゃっていいのだろうか?

ただ、白楽ブログのほとんどの記事は、読みようによっては、研究ネカトをするノウハウ教材でもある。それに、日本政府はいくら言っても、まともにネカトを取り締まらず、うがった見方をすれば、ネカト者を育成し擁護している。

それで、院生から偉大な教授まで、ネカトすることで、いっそう出世が早まります。

ただ、ネカトで研究人生を失うというスリルとリスクも付いてます。自業自得の世界でございます。ホッーホッホッホッ。

なお、アナタのような賢いお方は別ですが、ハクラクとかいうアホもいるから、もう一度書いておきましょう。「よい子はマネしないように(DON’T TRY THIS AT WORK)」。守らないと→ →  →  →  → 

漫画出典保存版

ーーーーーー
日本がスポーツ、観光、娯楽を過度に追及する現状は日本の衰退を早め、ギリシャ化を促進する。日本は、40年後に現人口の22%が減少し、今後、飛躍的な経済の発展はない。科学技術と教育を基幹にした堅実・健全で成熟した人間社会をめざすべきだ。科学技術と教育の基本は信頼である。信頼の条件は公正・誠実(integrity)である。人はズルをする。人は過ちを犯す。人は間違える。その前提で、公正・誠実(integrity)を高め維持すべきだ。
ーーーーーー
ブログランキング参加しています。
1日1回、押してネ。↓

ーーーーーー
★記事中の画像は、出典を記載していない場合も白楽の作品ではありません。

●10.【コメント】

注意:お名前は記載されたまま表示されます。誹謗中傷的なコメントは削除します

Subscribe
更新通知を受け取る »
guest
0 コメント
Inline Feedbacks
View all comments