電子工学:エイドリアン・マキシム(Adrian Maxim)(米)

2018年7月3日掲載。

ワンポイント:ルーマニアに生まれ育ち、ルーマニアで研究博士号(PhD)を取得し、米国の電子機器企業2社を経て、2004年(36歳)、テキサス州オースチンにあるシリコン・ラボ社(Silicon Laboratories, Inc., Austin, Texas)・上級技術者になった。2007年(39歳)、発覚の経緯は不明だが、論文ネカトが発覚した。トータル48論文が撤回され、2018年7月2日現在、「撤回論文数」世界ランキングの第4位である。損害額の総額(推定)は10億円(当てずっぽう)。

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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.概略
2.経歴と経過
3.動画
4.日本語の解説

5.不正発覚の経緯と内容
6.論文数と撤回論文
7.白楽の感想
8.主要情報源
9.コメント
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●1.【概略】

エイドリアン・マキシム(Adrian Maxim、写真出典)は、ルーマニアに生まれ育ち、ルーマニアで研究博士号(PhD)を取得し、米国の電子機器企業2社を経て、2004年(36歳)、テキサス州オースチンにあるシリコン・ラボ社(Silicon Laboratories, Inc., Austin, Texas)・上級技術者になった。専門は電子工学で固体回路のエキスパートである。30代半ばで3冊の本を出版し、50報の論文を出版していた。

2007年(39歳)、発覚の経緯は不明だが、論文ネカトが発覚した。

トータル48論文が撤回され、2018年7月2日現在、「撤回論文数」世界ランキングの第4位である。
→ 「撤回論文数」世界ランキング | 研究倫理(ネカト)

テキサス州オースチンにあるシリコン・ラボ社(Silicon Laboratories, Inc.., Austin, Texas)。写真出典

  • 国:米国
  • 成長国:ルーマニア
  • 研究博士号(PhD)取得:ルーマニアのヤシ工業大学
  • 男女:男性
  • 生年月日:1968年。仮に1968年1月1日生まれとする。
  • 現在の年齢:50歳
  • 分野:電子工学
  • 最初の不正論文発表年:不明
  • 発覚年:2007年(39歳)
  • 発覚時地位:シリコン・ラボ社・上級技術者
  • ステップ1(発覚):第一次追及者は不明
  • ステップ2(メディア):不明
  • ステップ3(調査・処分、当局:オーソリティ):不明
  • 大学・調査報告書のウェブ上での公表:なし
  • 所属機関の事件への透明性:発表なし(✖)
  • 不正:ねつ造・改ざん
  • 不正論文数:撤回論文数48報
  • 時期:研究キャリアの初期から
  • 損害額:総額(推定)は10億円(当てずっぽう)。
  • 職:事件後に研究職(または発覚時の地位)をやめた・続けられなかった(Ⅹ)
  • 処分: なし
  • 日本人の弟子・友人:不明

●2.【経歴と経過】

  • 1968年:ルーマニアで生まれる。仮に1968年1月1日生まれとする。
  • 1992年(24歳):ルーマニアのヤシ工業大学(Technical University of Iași)で学士号取得:電子工学
  • 1994年(26歳):同大学で修士号取得:電子工学
  • 1994-1998年(26-30歳):同大学で教育教授(Teaching Professor)
  • 1998年(30歳):同大学で研究博士号(PhD)を取得
  • 1998年(30歳):フランスのトゥールーズ国立ポリテクニック研究所(National Polytechnic Institute of Toulouse)・招聘教授。SPICEマクロモデリングや半導体デバイスの研究に従事
  • 1998-2001年(30-33歳):米国のテキサス州オースチンにあるサーラス・ロジック社(Crystal Semiconductor Division of Cirrus Logic)・研究員
  • 2001-2004年(33-36歳):米国のテキサス州オースチンにあるマキシム・インテグレテッド・プロダクツ社(Maxim Integrated Products)・上級技術スタッフ
  • 2004年(36歳):米国のテキサス州オースチンにあるシリコン・ラボ社(Silicon Laboratories, Inc., Austin, Texas)・上級技術者
  • 2007年(39歳):論文ネカトが発覚
  • 2008年(40歳):マキシム・コンサルタント社・設立(Maxim Consulting LLC)

●5.【不正発覚の経緯と内容】

2007年(39歳)、エイドリアン・マキシム(Adrian Maxim)の論文ネカトが発覚した。

マキシムがネカトをした状況や、発覚に至る状況は不明である。48論文が撤回されたのだがそのリストが見つからない。

撤回論文は、米国電気電子学会(IEEE:アイ・トリプル・イー、Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc)の学術誌に発表した論文である。

撤回理由はねつ造・改ざんだが、その具体例として以下の記述がある。

マキシムは、測定データとチップの写真を改ざんした。また、存在しない設計を報告した。マキシムの論文の共著者としてC. Turinici、M.Gheorge、D. Smith、R. Johns、S. Dupue、およびD. Antrikの研究者がリストされているが、これらの人々は実在しない人物だったり、実在する人物の場合、承諾なく共著者にしていた。

撤回公告の1例を挙げると、 2007年10月22日付けの撤回公告がある。
→ Notice of Violation of IEEE Publication Principles
A Low Reference Spurs 1–5 GHz 0.13 -m CMOS Frequency Synthesizer Using a Fully-Sampled Feed-Forward Loop Filter Architecture – IEEE Journals & Magazine

マキシムはIEEE論文とは別に26件の米国特許を取得・申請している。
→ Adrian Maxim Inventions, Patents and Patent Applications – Justia Patents Search

当然ながら特許にもネカトがあると思えるが、大丈夫なのだろうか?

マキシムの研究スライドもある。
→ Design Challenges In Multi-GHz PLL Frequency Synthesizers

https://ieeexplore.ieee.org/document/4362103/authors?anchor=142359407&ctx=authors

●6.【論文数と撤回論文とパブピア】

48論文が撤回されたのだがそのリストが見つからない。

●7.【白楽の感想】

《1》不明点だらけ

エイドリアン・マキシム(Adrian Maxim)が、ネカトをした状況や、発覚に至る状況は不明である。企業研究者の論文で政府から助成金を受給していないので政府は調査に乗り出さない。

企業はネカトが発覚した時点で、マキシムを、静かに退職させたようだ。

「撤回論文数」世界ランキングの第4位なのだが、マキシムのネカトに関する情報はとても少ない。

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●8.【主要情報源】

① 「撤回監視(Retraction Watch)」記事:The Retraction Watch Leaderboard – Retraction Watch
② B Nauta 著:Retraction of Papers With Falsified Information, IEEE Journal of Solid-State Circuits · July 2008, DOI: 10.1109/JSSC.2008.925214 · Source: IEEE Xplore : https://www.researchgate.net/publication/2983857_Retraction_of_Papers_With_Falsified_Information
★記事中の画像は、出典を記載していない場合も白楽の作品ではありません。

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