ネカトと犯罪「横領」:アレキサンダー・ノイマイスター(Alexander Neumeister)(米)

2018年7月18日掲載。

ワンポイント: オーストリア生まれ育ちで、米国のニューヨーク大学ランゴン医療センター(NYULMC:New York University Langone Medical Center)・精神医学・教授になった。2015年(49歳)、食品医薬品局(FDA)は、ノイマイスターの薬物の臨床試験報告書にねつ造・改ざんを見つけ、警告書(Warning Letter)を送付した。さらに、連邦地検と健康福祉省・監察室は、2017年(51歳)、数百万円の研究費の私的利用を見つけ、ノイマイスターを逮捕し、刑事告訴した。今後、裁判になる予定だ。損害額の総額(推定)は16億6千万円。

【追記】
・2018年10月11日記事:判決は、監獄ではなく、3年間(週2回各1時間)、老人たちにピアノを弾くという刑罰:Ex-researcher who stole funds sentenced to play piano – STAT

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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.概略
2.経歴と経過
3.動画
4.日本語の解説
5.不正発覚の経緯と内容
6.論文数と撤回論文とパブピア
7.白楽の感想
8.主要情報源
9.コメント
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●1.【概略】

アレキサンダー・ノイマイスター(Alexander Neumeister、写真出典)は、オーストリア生まれ育ちで、オーストリア国籍のまま、米国のニューヨーク大学ランゴン医療センター(NYULMC:New York University Langone Medical Center)の精神医学と放射線医学の医師で教授になった。たくさんの研究費を受給し、国内外のたくさんの賞を受賞した。

この事件は、ネカトと犯罪「横領」の両方なので、記事は「犯罪事件」枠に書いたが、「生命科学」枠の表にもリストした。

2015年(49歳)、ノイマイスターの薬物の臨床試験に規則違反とその報告書にねつ造・改ざんが見つかり、食品医薬品局(FDA)の査察を受け、警告書(Warning Letter)の送付を受けた。

2015年4月(49歳)、ニューヨーク大学医科大学院はノイマイスターを停職処分にした。すぐに、ノイマイスターは辞任した。

2017年(51歳)、上記の食品医薬品局(FDA)が指摘したネカト事件とは別に以下の研究費横領事件が発覚した。

2011年(45歳)-2015年(49歳)、ニューヨーク大学医科大学院・教授だった時、ノイマイスターは自分自身、妻、友人の私的旅行に公的研究費を使用した。正確な横領額は不明だが、数万ドル(数百万円)と公表されている。

2017年11月21日(51歳)、ノイマイスターは逮捕された。

2017年11月28日(51歳)、連邦地検と健康福祉省・監察室はノイマイスターを刑事告訴した。

2018年7月17日(52歳)現在、裁判の決着はついていない。

連邦地検と健康福祉省・監察室が横領罪で告発したノイマイスターの不正行為の中に、先に食品医薬品局(FDA)が指摘したネカトが含まれているかどうか不明である。この点について、連邦地検と健康福祉省・監察室はノーコメントである。

ニューヨーク大学ランゴン医療センター(NYULMC:New York University Langone Medical Center)。写真出典:https://www.beckershospitalreview.com/100-great-hospitals-in-america-2016/nyu-langone-medical-center-new-york-city-16

  • 国:米国
  • 成長国:オーストリア
  • 医師免許(MD)取得:オーストリアのウィーン大学
  • 研究博士号(PhD)取得:なし
  • 男女:男性
  • 生年月日:不明。仮に1967年1月1日生まれとする。2017年11月28日の新聞記事に51歳とあったので
  • 現在の年齢:51 歳
  • 分野:精神医学
  • 最初の不正年:2011年(45歳)
  • 発覚年:2015年(49歳)
  • 発覚時地位:ニューヨーク大学医科大学院・教授
  • ステップ1(発覚):第一次追及者は不明
  • ステップ2(メディア):「New York Times」の「ベネディクト・キャリー(Benedict Carey)記者、「NY Daily News」のビクトリア・ビキエムピス(Victoria Bekiempis)記者、「撤回監視(Retraction Watch)」
  • ステップ3(調査・処分、当局:オーソリティ):①食品医薬品局(FDA)。②ニューヨーク大学医科大学院・調査委員会。③健康福祉省・監察室。④連邦地検。⑤裁判所
  • 大学・調査報告書のウェブ上での公表:なし
  • 大学の透明性:実名報道だが機関のウェブ公表なし(△)
  • 不正:ねつ造・改ざん、研究費横領
  • 不正論文数:撤回論文は0報
  • 時期:研究キャリアの中期から
  • 損害額:総額(推定)は16億6千万円。内訳 → ①研究者になるまで5千万円。②研究者の給与・研究費など年間2000万円が25年間=5億円。③院生の損害が1人1000万円だが、人数は不明で、額は②に含めた。④問題となった研究に使用した外部研究費は不明だが、10億円(当てずっぽう)とした。なお、ファイザー社(Pfizer)から約17億円、他の企業、NIH、国防総省、退役軍人局からも研究費を受給していた。⑤調査経費(大学、食品医薬品局(FDA)、健康福祉省・監察室、連邦地検)が5千万円。⑥裁判経費が2千万円。⑦論文出版・撤回作業が1報につき100万円、撤回論文の共著者の損害が1報につき100万円。0報撤回なので損害額はゼロ円。⑧研究者の時間の無駄と意欲削減が4千万円
  • 職:事件後に研究職(または発覚時の地位)をやめた・続けられなかった(Ⅹ)。
  • 処分:逮捕。裁判で有罪になるだろう
  • 日本人の弟子・友人:不明

●2.【経歴と経過】

主な参考:①https://www.omicsonline.org/author-profile/alexander-neumeister/、② Alexander Neumeister | LinkedIn

  • 生年月日:不明。仮に1966年1月1日生まれとする。2017年11月28日の新聞記事に51歳とあったので。
  • 1984-1991年(18-25歳):オーストリアのウィーン大学(University of Vienna in Austria)で医師免許取得
  • 1991-1996年(25-30歳):オーストリアのウィーン大学(University of Vienna in Austria)で研修医:精神医学
  • 2001-2004年(35-38歳):米国のNIH・国立精神衛生研究所(National Institute of Mental Health)・ポスドク
  • 2004年6月-2010年2月(38-44歳):イェール大学医科大学院(Yale University School of Medicine)・精神医学・準教授
  • 2010年3月-2011年11月(44-45歳):マウントサイナイ医科大学(Mount Sinai School of Medicine)・準教授
  • 2011-2015年4月(45-49歳):ニューヨーク大学ランゴン医療センター(NYULMC:New York University Langone Medical Center)・教授
  • 2015年(49歳):研究費の私的利用(横領)が発覚する
  • 2015年4月-2016年12月(49-50歳):コンゴ民主共和国のカトリック大学(The Catholic University of Bukavu)・プログラム・ディレクター
  • 2015年5月-2016年6月(49-50歳):米国の三菱田辺製薬社(Mitsubishi Tanabe Pharma Development America)・コンサルタント
  • 2017年(51歳):逮捕された

【受賞】
・CINPのマックスハミルトン賞(Max Hamilton Award of the CINP)
・生物精神医学会のA.E.ベネット賞(A.E. Bennett Award of the Society of Biological Psychiatry)
・2012年PTSDの優れた科学的成果のためのISTSS Robert S. Laufer記念賞(2012 ISTSS Robert S. Laufer, PhD, Memorial Award for Outstanding Scientific Achievement in PTSD)

●3.【動画】

【動画1】
アレキサンダー・ノイマイスター(Alexander Neumeister)の講演とパネルディスカション:「薬物戦争がPTSD治療を阻止しているか?(Is the Drug War Blocking the Best PTSD Treatments?) – YouTube」(英語)1時間19分4秒。
MAPSが2014/01/10 に公開

●5.【不正発覚の経緯と内容】

【2015年:食品医薬品局(FDA)】

★2015年:食品医薬品局(FDA)のネカトの指摘

2015年4月(49歳)、ニューヨーク大学ランゴン医療センター(NYULMC:New York University Langone Medical Center)は8つの研究室を静かに閉鎖した。実験的に精神状態を変える薬物の臨床試験研究に規則違反が見つかったからだ。

2015年7月16日(49歳)から8月5日にかけて、食品医薬品局(FDA)の調査員は、ニューヨーク大学ランゴン医療センター(NYULMC:New York University Langone Medical Center)のアレキサンダー・ノイマイスター教授(Alexander Neumeister)を査問した。

それより以前の2015年4月(49歳)、食品医薬品局(FDA)がノイマイスター教授のネカト調査していることを受けて、ニューヨーク大学医科大学院・精神科学科のチャールズ・マーマー学科長(Charles Marmar、写真出典https://nyulangone.org/locations/steven-a-cohen-military-family-clinic/military-family-clinic-team)は、ノイマイスター教授を停職処分にした。

ノイマイスター教授の弁護士・ジョルジュ・レダーマン(Georges Lederman)は、「ニューヨーク大学医科大学院の処分は厳しすぎる」と抗議した。しかし、マーマー学科長は、「私は正直なところ、教員の中で最も倫理的だと思う」と反論している。

2016年2月19日、食品医薬品局(FDA)の調査員は、ニューヨーク大学ランゴン医療センター(NYULMC:New York University Langone Medical Center)のアレキサンダー・ノイマイスター教授(Alexander Neumeister)に警告書(Warning Letter)を送付した。

2015年7月16日から8月5日にかけて行われた食品医薬品局(FDA)の調査に基づく警告書は次の点を指摘していた。

  • ノイマイスター教授が推進中の臨床試験は、データの有効性と公正について問題があり、被験者の安全と健康を危うくしている。
  • ノイマイスター教授は、臨床試験プロトコールに違反して、薬物を服用させてから24時間後に少なくとも3人の被験者の状態を診断しなかった。
  • ノイマイスター教授は、報告書に臨床試験チームの研究者の署名を複数回、自分で署名し、文書をねつ造していた。つまり、報告書に記載の研究者が試験を行なったのではなく、実際には、ノイマイスター教授自身が試験し、同僚のサインをまねてサインしたのだ。

以下の文書をクリックすると、食品医薬品局(FDA)の警告書のPDFファイル(388 KB、7ページ)が別窓で開く。

★もう少し具体的に

アレキサンダー・ノイマイスター(Alexander Neumeister)、https://www.omicsonline.org/author-profile/alexander-neumeister/

精神医学にとって重大だが決着のついていない問題が2つある。

1つは、心的外傷後ストレス障害(PTSD:post-traumatic stress disorder)を血液検査または他の生物学的検査で診断できるか・できないかである。

もう1つは、心的外傷後ストレス障害をエクスタシーやマリファナなど麻薬類似の薬物で治療できるか・できないかである。

マリファナまたはエクスタシーなど麻薬類似の薬物で治療した少数のケースでは、心的外傷後ストレス障害を負った退役軍人には有効だった。それで、一部の精神科医や多くの患者は、この治療法が心的外傷後ストレス障害の有効な治療法になるのではないかと期待している。

しかし、臨床試験で麻薬類似の薬物を使用することの承認を得るのは、政治的に敏感な問題になる。また、これらの薬で研究を行なった医師は、患者の外傷性記憶に悪い影響を与えそうだと報告しており、治療中に緊密なチェックが必要だと主張している。

心的外傷後ストレス障害を麻薬類似の薬物で治療する臨床試験は、製薬会社のファイザー社(Pfizer)が後援していた。

その臨床試験は、脂肪酸アミド加水分解酵素(FAAH:fatty acid amide hydrolase)阻害剤を使用するものだった。

FAAH阻害剤の有効性を検査する臨床試験は心的外傷後ストレス障害(PTSD:post-traumatic stress disorder)に苦しむ患者を対象にした臨床試験だが、FAAH阻害剤はマリファナ類似の薬物なのである。

シアトルに住むダイアン・ラフコーン(Diane Ruffcorn)(40歳)(写真出典https://www.nytimes.com/2016/06/28/health/nyu-cannabis-ptsd-psychiatry.html?_r=0https://archive.is/0Ywe1)は、「子供の頃に性的虐待を受けていました。治療の意図は良いと思ったし、医師は慎重でした。私は指示されたすべての薬物をテストしましたが、途中で心配になって、治験を辞めました。その後の医師のフォローアップはありませんでした」と述べている。

連邦政府・食品医薬品局(FDA)の調査は、ノイマイスター教授が責任者だったニューヨーク大学医科大学院の臨床試験では、治験参加者の管理がズサンで、そのほとんどに深刻な精神的問題を引き起こしていたと指摘した。

調査は、ノイマイスター教授がこの薬物を投与した患者の適切なフォローアップをしていなかったこと、研究報告書に同僚の名前をねつ造したことも指摘した。記録は改ざんされており、症例の正確な履歴を保持していなかった。

そして、食品医薬品局(FDA)の警告書(Warning Letter)を受け、結局、ニューヨーク大学医科大学院は臨床試験を中止し、50人の臨床試験参加者のすべてのデータを破棄した。また、フォローアップとして、参加者全員の健康状態をチェックした。

【2017年:横領】

アレキサンダー・ノイマイスター(Alexander Neumeister)、http://www.lawfuel.com/blog/prominent-medical-researcher-faces-serious-charges-misuse-federal-funds/

2017年11月21日(51歳)、アレキサンダー・ノイマイスター(Alexander Neumeister)はカナダとの国境近くの米国・ニューヨーク州の小さな町オグゼンズバーグ(Ogdensburg)で逮捕された。ノイマイスターの国籍はオーストリアで、国外逃亡を懸念し、警察は彼のパスポートを押収した。

その後ノイマイスターは釈放されたが、移動範囲をニューヨーク州とコネチカット州に制限されている。

2017年11月28日(51歳)、ニューヨーク州南部地区連邦地検(US Attorney’s Office for the Southern District of New York)と健康福祉省・監察室(U.S. Department of Health and Human Services’s Office of Inspector General (OIG))は、ノイマイスターを刑事告訴した。
→ 2017年11月28日の司法省・記事:Acting Manhattan U.S. Attorney Announces Criminal And Civil Charges Against Prominent Researcher For Theft Of Government Funds And Other Offenses | USAO-SDNY | Department of Justice

以下の文書(刑事訴訟)をクリックすると、PDFファイル(848 KB、12ページ)が別窓で開く。

ノイマイスター教授は、たくさんの研究費を受給していた。以下に製薬企業からの研究費とNIHからの研究費を挙げるが、国防総省と退役軍人局からも受給していた。

例えば、ProPublicaで検索すると、イーライリリー社から2009‐2013年の間に227,000ドル(約2,270万円)を受給していた。http://projects.propublica.org/d4d-archive/search?term=RICK+NEUMEISTER&state%5Bid%5D=&services%5B%5D=&period%5B%5D=

また、ファイザー社(Pfizer)から1,700万ドル(約17億円)も受給していた。
→ 2014年11月11日記事:On Veterans Day, cutting-edge PTSD research in N.Y.

勿論、NIHからもたくさんのグラントを受給していた。以下に11件をリストするが、全部で30件も受給していた。

ところが、2011年(45歳)-2015年(49歳)、ノイマイスターはニューヨーク大学医科大学院・教授だった時、研究費を以下のような私的費用に使った。その横領総額は不明だが、少なくとも、数万ドル(数百万円)と公表されている。

なお、大学から研究費用のクレジットカードを渡されていて、このクレジットカードで私的費用を支払ったこともある。

  • 友人がどこに住んでいたかに応じて、友人にノースカロライナ州シャーロットから、また、ユタ州ソルトレークシティから、ノイマイスターの住んでいるニューヨーク市までの飛行機代を支払った。
  • ノイマイスター自身がニューヨーク市とソルトレークシティの間を8回、私的に飛行機で往復した。計9,000ドル(約90万円)を研究費で支払った。
  • 友人のマイアミでの9日間の休暇費用として4,300ドル(約43万円)を支払った。
  • ノイマイスターは、研究費で妻のオーストリア・ウィーン旅行費用を支払った。

なお、友人がノイマイスターの研究に参加していると偽り、ニューヨーク大学医科大学院の経費10,000ドル(約100万円)以上が友人に支払われた。

ノイマイスターには私的流用した公金を返済する機会が与えられ、彼は返済することを約束したが、いまだに返済していない。

「公金横領(theft of government funds)」は1件当たり最大10年の刑務所刑、「通信詐欺(Wire Fraud)」は1件当たり最大20年の刑務所刑が科せられる。

「撤回監視(Retraction Watch)」はノイマイスターのネカト行為も調査しているのかと健康福祉省・監察室に尋ねたが、健康福祉省・監察室は「撤回監視(Retraction Watch)」に連邦地検に尋ねるようにとの返事だった。連邦地検に尋ねると、連邦地検・広報担当者は「これ以上コメントできません」と述べている。

つまり、逮捕理由に、先に食品医薬品局(FDA)が指摘したネカトが含まれているかどうかは不明である。

2018年7月17日(52歳)現在、裁判の決着はついていない。

●6.【論文数と撤回論文とパブピア】

2018年7月17日現在、パブメド(PubMed)で、アレキサンダー・ノイマイスター(Alexander Neumeister)の論文を「Alexander Neumeister [Author]」で検索した。この検索方法だと、2002年以降の論文がヒットするが、2002~2016年の15年間の92論文がヒットした。

「Neumeister A[Author]」で検索すると、1988~2018年の31年間の157論文がヒットした。

2018年7月17日現在、「Neumeister A[Author] AND Retracted」でパブメドの論文撤回リストを検索すると、0論文が撤回されていた。

★パブピア(PubPeer)

2018年7月17日現在、「パブピア(PubPeer)」では、アレキサンダー・ノイマイスター(Alexander Neumeister)の論文のコメントはない:PubPeer – Search publications and join the conversation.

●7.【白楽の感想】

《1》ネカト?

アレキサンダー・ノイマイスター(Alexander Neumeister)、http://ymm.yale.edu/autumn2006/people/faculty/notes/52149/

ノイマイスター事件に、ネカトが含まれているのか・いないのか、現時点ではハッキリしない。

2016年の食品医薬品局(FDA)の警告書ではネカト事件と思われる。ただ、2017年の横領事件では、ネカトへの言及がない。横領の方が犯罪として重大なので、ネカトの件はまともに扱われない節もある。

ただ、撤回論文はないし、パブピア(PubPeer)にコメントされた論文もない。そういう意味ではネカト行為はあったとしても頻繁ではなかった。食品医薬品局(FDA)の警告書にあるように、臨床試験の報告書にネカトがあった。論文に出版する前にネカトが発覚し、ネカト論文を出版してないかもしれない。

NIHから30件も研究費を受給しているので、研究公正局が調査に乗り出す(乗り出している)可能性はある。この場合、ネカト主体の調査になるだろう。

《2》研究費の私的利用

研究費の私的利用は犯罪である。人間は悪いことだとわかっていても、得だから、してしまう。

私的利用できないシステムを構築できないのだろうか? 少なくとも、私的利用するのが難しいシステムは構築できるハズ、というか、現状ではそうなっているハズだ。それでも、抜け穴はあり、不正する人は不正するだろう。

ただ、ノイマイスター事件で、ノイマイスターが研究費を私的利用する状況が白楽にはわからない。医師で教授だから個人的な収入は多いだろうし、金を使う暇がないくらい多忙だったハズだ。もちろん、収入が多く多忙でも金銭上の不正をする人はゴマンといる。

しかし、今回の事件では、早晩バレるような初歩的な私的利用である。

ノイマイスターは精神的に魔がさしたのだろうか? 精神科医なんだけど。

なお、ニューヨーク大学医科大学院というか全米の大学ではどのように研究費の管理をしているのか、白楽にはわかっていない。

ただ、研究費が余って使い切れなかったということはないだろう。米国は日本と異なり、単年度経理ではないので、数割は翌年に回せる(友人の米国の大学教授の話)。昔滞在したNIH・国立がん研究所・分子生物学部では、予算を使い切れず、余らせていた。

誤解を恐れずに書くと、日本の場合、無駄に使うのは犯罪にならないので、使えばいいだけのことだ。勿論、それでも、有効に使うべきだが。

米国の経理の仕組みを詳しく知らないし、ノイマイスターの金銭状況がわからないので、ノイマイスター事件から学べる不正予防の方法が思いつかない。

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日本がもっと豊かに、そして研究界はもっと公正になって欲しい(富国公正)。正直者が得する社会に!
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●8.【主要情報源】

① 2016年6月27日のベネディクト・キャリー(Benedict Carey)記者の「New York Times」記事:An N.Y.U. Study Gone Wrong, and a Top Researcher Dismissed – The New York Times(保存版)
② 2016年6月28日のボブ・グラント(Bob Grant)記者の「Scientist」記事:NYU Halts Studies, Suspends Investigator | The Scientist Magazine®、(保存版)
③ 2016年7月11日のマイケル・コジョル(Michael Koziol)記者の「撤回監視(Retraction Watch)」記事:A prominent psychiatry researcher is dismissed. What’s happening to his papers? – Retraction Watch
④ 2016年7月7日の「Health Care Renewal」記事:Health Care Renewal: Bad Apple or Bad Orchard? – A Narrative of Alleged Individual Research Misconduct that Sidestepped the Pharmaceutical Corporate Context
⑤ 2017年11月28日のビクトリア・ビキエムピス(Victoria Bekiempis)記者の「NY Daily News」記事:Ex-NYU professor busted for allegedly using grant money traveling cross country, sending wife to Europe – NY Daily News、(保存版)
⑥ 2017年11月29日のアンドリュー・ハン(Andrew P. Han)記者の「撤回監視(Retraction Watch)」記事:New York psychiatry researcher charged with embezzlement, faces jail time – Retraction Watch
★記事中の画像は、出典を記載していない場合も白楽の作品ではありません。

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