「レイプ」:音楽学:スティーブン・シップス(Stephen Shipps)(米)

2022年8月10日掲載 

ワンポイント:シップスは1977-2018 年(25-66歳)の約40年もの間、ネブラスカ大学オマハ校(University of Nebraska-Omaha)、ノースカロライナ大学・芸術学部(University of North Carolina School of the Arts)、ミシガン大学(University of Michigan)の各大学在職中にヴァイオリン教師として勤めながら、学内外でヴァイオリンを学ぶ才能のある数十人の中高生・学部生の少女(13歳~20前半)の身体を触り、キス、レイプ、セクハラなどの性不正をしてきた。多数の被害者が大学に訴えたが、大学の対応は最悪だった。2018年、ミシガン大学・学部2年生の男性・サミー・サスマン(Sammy Sussman)が事件の詳細をミシガン大学新聞に報道したので、ミシガン大学は初めて、大慌てで対応した。シップスを役職から外し、休職にした。翌2019年(67歳)、シップスは退職した。2022年(70歳)、逮捕、5年の刑務所刑が科されたが理由は性不正ではない。国民の損害額(推定)は20億円(大雑把)。

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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.概略
2.経歴と経過
3.動画
4.日本語の解説
5.不正発覚の経緯と内容
7.白楽の感想
8.主要情報源
9.コメント
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●1.【概略】

スティーブン・シップス(Stephen Shipps、写真出典)は、ミシガン大学・音楽・演劇・ダンス科大学院(University of Michigan School of Music, Theatre & Dance)・教授で、専門は音楽学(ヴァイオリン)だった。

シップスは1977-2018 年(25-66歳)の約40年もの間、ネブラスカ大学オマハ校(University of Nebraska-Omaha)、ノースカロライナ大学・芸術学部(University of North Carolina School of the Arts)、ミシガン大学(University of Michigan)の各大学在職中にヴァイオリン教師として勤めながら、性不正行為をしてきた。

被害者は、学内外でヴァイオリンを学ぶ才能のある数十人の中高生・学部生の少女(13歳~20前半)たちで、身体を触られ、キス、レイプ、セクハラなどの性不正行為をされた。

多数の被害者が大学に訴えたが、大学の対応は最悪だった。

2018年(66歳)、ミシガン大学・学部2年生の男性・サミー・サスマン(Sammy Sussman)が事件の詳細をミシガン大学新聞に報道したので、ミシガン大学は初めて、大慌てで対応した。シップスを役職から外し、休職にした。

2019年(67歳)、シップスは退職した。

2022年(70歳)、逮捕され、5年の刑務所刑が科されたが理由は性不正ではない。

なお、同じミシガン大学・音楽・演劇・ダンス科大学院のデイヴィッド・ダニエルズ教授(David Daniels)もレイプ事件を起こしていた。 → 「レイプ」:音声学:デイヴィッド・ダニエルズ(David Daniels)(米) | 白楽の研究者倫理

ミシガン大学・音楽・演劇・ダンス科大学院(University of Michigan School of Music, Theatre & Dance)。写真出典

  • 国:米国
  • 成長国:米国
  • 研究博士号(PhD)取得:なし?
  • 男女:男性
  • 生年月日:生年月日:不明。仮に1952年1月1日生まれとする。2018年12月14日の新聞記事に66歳とあったので
  • 現在の年齢:70 歳
  • 分野:音楽学
  • 性不正行為:1977-2018 年(25-66歳)の約40年間
  • 最初に訴えられた:1983年(38歳)
  • 社会に公表年:2018年(66歳)
  • 社会に公表時地位:ミシガン大学・教授
  • ステップ1(発覚):第一次追及者は学生新聞「Michigan Daily」のサミー・サスマン(Sammy Sussman)記者
  • ステップ2(メディア):「Michigan Daily」、「New York Times」、多数の追従メディア
  • ステップ3(調査・処分、当局:オーソリティ):①ミシガン大学。②検察。③裁判所
  • 大学・調査報告書のウェブ上での公表:なし
  • 大学・処分のウェブ上での公表:まともなメディアが実名を発表した。大学・研究所が実名を発表したからだと推定した(△)
  • 大学の透明性:機関以外が詳細をウェブ公表(⦿)
  • 性不正:身体を触り、キス、レイプ、セクハラ
  • 被害者数:ヴァイオリンを学ぶ数十人の中高生・学部生の少女(13歳~20前半)
  • 時期:キャリアの初期から
  • 職:停職(▽)。その後、退職(Ⅹ)
  • 処分:停職(▽)。その後、逮捕、投獄(5年間)
  • 日本人の弟子・友人:不明

【国民の損害額】
国民の損害額:総額(推定)は20億円(大雑把)。

●2.【経歴と経過】

  • 生年月日:不明。仮に1952年1月1日生まれとする。2018年12月14日の新聞記事に66歳とあったので
  • 19xx年(xx歳):米国のxx大学(xx University)で学士号取得:音楽学(推定)
  • 19xx年(xx歳):ネブラスカ大学オマハ校(University of Nebraska-Omaha)・助教授(?)
  • 1977年(25歳):最初の性不正行為(レイプ)
  • 1980年(28歳):ノースカロライナ大学・芸術学部(University of North Carolina School of the Arts)・助教授(?)
  • 1989年9月1日(37歳):ミシガン大学・音楽・演劇・ダンス科大学院(University of Michigan School of Music, Theatre & Dance)・準教授、その後、教授
  • 2002~2007年(50~55歳):同学部・学術担当副学部長(associate dean for academic affairs)
  • [2017年10月5日:本事件とは異なる事件。映画プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタインの性不正を「ニューヨーク・タイムズ」新聞が報道。この報道が切っ掛けで「#MeToo」運動が広まる]
  • 2018年12月5日(66歳)頃:性不正が社会に公表・発覚
  • 2018年12月7日(66歳):ミシガン大学・要職辞任、休職処分
  • 2018年12月10日(66歳):サミー・サスマン(Sammy Sussman)が学生新聞「Michigan Daily」で性不正を詳細に報道
  • 2019年2月28日(67歳):ミシガン大学を退職(retire)
  • 2020年10月27日(68歳):逮捕。但し、性不正行為が理由ではない
  • 2022年4月14日(70歳):裁判所は、2002年に性行為の目的で18未満の少女を州境を越えて4回連れ出した罪で、5年間の刑務所刑

●3.【動画】

【動画1】
ニュース動画:「Former University of Michigan professor sentenced in child exploitation case – YouTube」(英語)0分26秒。
JClick On Detroit | Local 4 | WDIV(チャンネル登録者数 44.8万人)が2022/04/15に公開

【動画2】
被害者の通報を求める米国政府の公式動画:「EDMI announces indictment of former University of Michigan professor – YouTube」(英語)5分51秒。
Executive Office for United States Attorneysが2020/10/29に公開

●4.【日本語の解説】

★2021年11月18日:Art(音楽のリズム):ヴァイオリニストのスティーブン・シップスが性的強制罪で有罪を認める

出典 → ココ、(保存版) 

現在68歳のShippsは、1989年からミシガン大学で教職を歴任し、大学のストリングス準備アカデミープレカレッジプログラムのファカルティディレクターを務めました。

AP通信によると、Shippsは2020年に「未成年の女性の誘惑の強制」の容疑で起訴された。

複数の情報源から報告されたように、11月16日、Shippsは訴えた。性的関係を持つことを意図して、18歳未満の少女を州の境界を越えて(2002年2月から7月の間に複数回)輸送した罪を犯した。

デトロイトの米国弁護士事務所は、判決後、最長15年の懲役に直面すると述べた。彼は2022年2月17日に刑を宣告される予定です。

★2022年4月15日:Lee Michaelis(gamingdeputy):ミシガン大学の元教授が未成年者を搾取した罪で有罪判決を受けた

出典 → ココ、(保存版) 

デトロイト(WILX)-スティーブン・シップス(69歳)は、未成年者の搾取の罪で連邦刑務所で5年の刑を宣告された。

当局によると、シップスは11月に、性的行為に従事する意図で州境を越えて未成年の少女を輸送した1件の罪で有罪を認めた。

Shippsは、1989年から2019年まで、ミシガン大学の音楽プログラムでバイオリンの教授として採用されました。 当局は、彼が小中高生のミュージシャンに指導を提供したストリングス準備プログラムのディレクターでもあったと述べた。

裁判所の文書によると、Shipps(69歳)は、2002年2月、3月、6月、7月に彼女と性的活動を行うことを目的として、州境を越えて未成年の少女を移送した。

●5.【不正発覚の経緯と内容】

★スティーブン・シップス(Stephen Shipps)の人生

スティーブン・シップス(Stephen Shipps、写真出典)は、ヴァイオリンの教師としては優秀で熱心だったようだ。

ネブラスカ大学オマハ校(University of Nebraska-Omaha)、ノースカロライナ大学・芸術学部(University of North Carolina School of the Arts)、ミシガン大学(University of Michigan)と移籍し、各大学でヴァイオリン教師として勤めながら、学外でもヴァイオリンの指導をしてきた。

シップスは1977年(25歳)にヴァイオリンの生徒だった才能のある少女・モーリーン・オボイル(Maureen O’Boyle)(当時17歳)をレイプした時は、若い女性と結婚していて、子供もいた。

この時の妻とは、その後、離婚したのかどうか、白楽はわからなかった。

それで、その後の性不正行為をした時、独身だったのか結婚していたのか不明である。

性不正事件と結婚や家族などの個人生活がどう絡むか不明であるが、関係していると考え、一応、記載している。

なお、シップスと同じミシガン大学・音楽・演劇・ダンス科大学院で、同時期、デイヴィッド・ダニエルズ教授(David Daniels)もレイプ事件を起こしていた。 → 「レイプ」:音声学:デイヴィッド・ダニエルズ(David Daniels)(米) | 白楽の研究者倫理

★発覚

シップスの指導を受ける少女。この少女が被害者かどうか、白楽は知らない。https://www.violinist.com/blog/laurie/201611/20848/(https://archive.ph/wip/S0V6p)

2018年12月10日(66歳)、ミシガン大学の音楽専攻の学部2年生で19歳のサミー・サスマン(Sammy Sussman、写真出典)がミシガン大学の学生新聞「Michigan Daily」にスティーブン・シップス(Stephen Shipps)の性不正行為を記事として報道した。それまで、シップスは約40年間も性不正をしていた。

この記事が公開される数日前(2018年12月5日頃としておく)、シップスの性不正が公表されたらしい。白楽は、どのメディアが公表したか把握できていない。

その公表から48時間以内に、66歳のシップスはミシガン大学・弦楽学科長を辞任し、ミシガン大学入学前のクラスである弦楽予備校(Strings Preparatory Academy)・校長を辞任した。

学生新聞「Michigan Daily」によれば、1970年代と1980年代の被害者が多いが、2018年(66歳)に発覚するまで、シップスは1977-2018 年(25-66歳)の約40年もの間、性不正をしていた。

被害者は判明しているだけで約50人いた。

シップスは院生や同僚女性をターゲットにしていない。主に高校生と大学学部生の音楽の才能のある少女たちをターゲットにしたが大学内だけでなく、大学外でも性不正を行なった。

学外では、サマースクール受講生や大学予備校受講生に多かった。被害者の中には13歳の中学生もいた。

つまり、シップスはヴァイオリン教師なので、大学内だけでなく、大学外に音楽教室を設け、才能のある少女を対象にヴァイオリンの指導をする機会が多かった。

ヴァイオリンの指導は個室で1対1で行ない、シップスは生徒の将来に大きな力をもつという構造だった。

それで、被害少女たちは、シップスの「女癖のわるさ」情報を共有し、シップスに注意するよう仲間同士で噂していた。また、一部の少女たちはお互いの性被害を知っていた。

★退職、逮捕、投獄

2018年12月10日(66歳)、学生新聞「Michigan Daily」がスティーブン・シップス(Stephen Shipps)の性不正行為を記事として報道した。

2018年12月7日(66歳)、上記の3日前、ミシガン大学はシップスに休職処分(leave of absence)を科した。それで、学生新聞「Michigan Daily」の記事が公開される数日前(2018年12月5日頃としておく)、シップスの性不正が公表された、と白楽は推察した。

2018年12月17日(66歳)頃、新聞報道の7日後、シップスは半年先の2019年5月31日(67歳)にミシガン大学を退職(retire)すると学生に手紙を書いている。この手紙には学部長が退職期日に同意している旨が書かれているが、記者が確かめると、大学は同意も否定もしなかった。 → 2018年12月19日記事:Violinist Stephen Shipps Placed on Administrative Leave, to Retire Michigan May 2019

2019年2月28日(67歳)、発覚から2か月半後、シップスは、実際は、この日に退職した。 → 2019年3月29日記事:Violinist Stephen Shipps Has Retired from University of Michigan

2020年10月27日(68歳)、性不正発覚から2年後、シップスは逮捕された。

逮捕の理由は。ヴァイオリンを学ぶ数十人の中高校生・学部生少女への性不正行為ではなかった。

2002年2~7月(50歳)、性不正発覚の16年前、性行為を目的として、18歳未満の少女(1985年12月生まれなので16歳)を州境を越えて4回連れ出したとして逮捕されたのだ。 → 2020年10月30日記事:Former Michigan Violin Professor Stephen Shipps Arrested and Charged with Transporting Minor for Sex

以下はその2020年10月28日の裁判文書の冒頭部分(出典:同)。全文(4ページ)は → https://www.justice.gov/usao-edmi/page/file/1332281/download

起訴状によると、2002年2~7月(50歳)、彼は、性行為を目的として、18歳未満の少女(1985年12月生まれなので16歳)を州境を越えて4回連れ出したとして告発された。

2022年4月14日(70歳)、裁判所は、上記の行為に対して、5年間の刑務所刑を科した。 → 2022年4月14日記事:Disgraced Violin Professor Sentenced for Sex Crimes

つまり、逮捕・投獄は、性不正行為の罪ではない。

結局、 1977-2018 年(25-66歳)の約40年間にも渡って、ヴァイオリンを学ぶ数十人の中高校生・学部生の少女(15歳~20前半)の身体を触り、キスし、レイプし、セクハラをしたという性不正行為が逮捕・投獄の理由になっていない。

【性不正の具体例】

スティーブン・シップス(Stephen Shipps、写真出典)はヴァイオリンの指導を受けにきた少女(15歳~20前半)の身体を触り、キス、レイプ、セクハラしてきた。

レイプなどの性的暴行を受けた少女は、被害を語りたがらない。

性的暴の具体例は、以下の記事が主な出典だが、モーリーン・オボイル(Maureen O’Boyle)の被害を除き、軽微な行為だけが報道されたと、白楽は受け取った。 → 2018年12月10日(更新あり)のサミー・サスマン(Sammy Sussman)記者の「Michigan Daily」記事:Former students bring 40 years of misconduct allegations against SMTD professor

★モーリーン・オボイル(Maureen O’Boyle)(当時17歳):1977年:シップス(25歳)

1977年の春、シップスがミシガン大学に採用される12年前、シップスは25歳で、オマハ交響楽団のコンサートマスターだった。モーリーン・オボイル(Maureen O’Boyle)は当時、ネブラスカ州リンカーンの高校生で17歳の処女だった。[白楽注:モーリーン・オボイルと思われる女性の写真はウェブ上にあるが、本記事では掲載しなかった]

オボイルは高校を2年間で卒業した才能のある少女だった。

17歳で、オーディションを受け、オマハ交響楽団で最初のヴァイオリンのフルタイムメンバーに採用された。

これは17歳 のヴァイオリン奏者にとって画期的な偉業だった。数年後、天才的なヴァイオリニストとして、世間の注目を集めてもおかしくなかった。

オボイルはオマハに引っ越し、ワンルーム・アパートに一人で住んで、ネブラスカ大学オマハ校・助教授(?)であるシップスに個人的に師事した。

アパートに入居後すぐに、シップスに個人的に師事しても、個人的指導なので、大学の単位は取得できないと、ネブラスカ大学オマハ校に言われた。シップスはその内、一緒に勉強できるだろうと彼女を安心させた。

シップスは娘のベビーシッターをする見返りに、オボイルにレッスンをすると約束した。

数週間後、シップスは夜のリハーサルの後、オボイルをパーティーに招待した。

パーティーで、シップスはオボイルに「ドライバー」(強いアルコール飲料)を飲ませ、マリファナも吸わせた。17歳のオボイルにとっては初めての飲酒とマリファナだった。

それまで、強いお酒を飲んだことがなかったオボイルは泥酔した。

パーティーが終わると、他の客は帰った。結局、泥酔したオボイルはソファに座ったまま、シップスと一緒に残された。

当時、シップスは結婚していたが、17歳で処女だったオボイルはそのソファでシップスにレイプされた。

性的関係を持ったが、その後も、オボイルはシップスのヴァイオリン・レッスンを受け、代わりに、シップスの娘のベビーシッターをした。

オボイルは、シップスの家で、定期的にシップスと性的関係をもった。

彼の家で、シップスの娘にベビーシッターをし、ヴァイオリンのレッスンを受けているときは、シップスの妻も同じ家にいた。

表面上はベビーシッターとヴァイオリンのレッスンだが、妻の眼を盗んで、シップスと性的関係をもった。

そして、人生が狂ってきたと感じたオボイルは精神的にとても落ち込み、ほとんどの時間を自分のアパートで一人で過ごすようになった。

その年の終わり近くに、オボイルは彼女の家族と一緒に暮らすためにリンカーンに戻ることに決めた。

オボイルは結局、他の大学に入学する準備をし、オーディションを受け、1978年9月にインディアナ大学(Indiana University)に進学した。

★メーガン(Meghan)(仮名)(当時20~22歳?):1980~1989年:シップス(28~37歳)

シップスは、ミシガン大学に来る前に、ノースカロライナ大学芸術学部で教えていた。メーガンは女性で、現在、オーケストラで演奏するプロのヴァイオリン奏者である。

メーガンは留学生でノースカロライナ大学芸術学部にあるシップスのスタジオで個人的な指導を受けていた。

メーガンはシップスの性的言動に何度か不快さを感じていたので、その年の暮れ、シップスにスタジオを変えたいと伝えた。

ノースカロライナ大学芸術学部には、もう1人のヴァイオリン教師・エレイン・リッチー(Elaine Richey、写真出典)がいたので、リッチーに指導を受けるのは、問題ないだろうとメーガンは思っていた。

そのように思っていた頃、メーガンは、最後の個人的レッスンのために彼のスタジオに来るようにシップスから連絡を受けた。時間の都合がつかないので、深夜のレッスンになった。

メーガンはそれまで深夜のレッスンを受けたことはなかったが、行くことにした。

その夜、メーガンがシップスのスタジオに入ると、照明は暗くなっていた。彼女が部屋に入りヴァイオリンを置くと、シップスが彼女の後ろで、部屋のドアをロックした。

メーガンは、非常に奇妙だと思ったが、あまり深く考なかった。ただ奇妙だと思ったことと少し不快に感じたことは覚えていた。

メーガンは、ヴァイオリンをケースから出して演奏を始めた。

しばらくして、シップスはメーガンに演奏を止めるように言った。メーガンの演奏には情熱が足りないと指摘し、演奏を改善するための情熱について話し始めた。

シップスは話しながらメーガンに近づいた。メーガンは非常に微妙に少し離れた。ところが、シップスはドンドン近づき、メーガンを壁に押し付けキスしようとした。

メーガンは、シップスに性的魅力を感じていないので、とても不快で、ショックと恐怖を感じた。それで、なんとか身をよじって逃げた。

すると、シップスは再びメーガンの方に進んできて、今度は彼女の肩をつかんでキスをしようとした。

彼女は再び身をよじり、「不快だ」と言い、急いで、ヴァイオリンをケースにしまい、部屋を出た。

部屋を出る直前、シップスは、「リッチーはメーガンを受け入れたくないと言っているので、秋から再び私が指導する」と言った。

メーガンは泣きながら寮の部屋に戻った。

友人がなぜ泣いているのかと尋ねたところ、メーガンは、リッチーに指導してもらえないと答えたが、友人は、指導に関してはリッチーに確かめた方がいいとアドバイスしてくれた。

翌日、メーガンはリッチーに電話をかけ、シップスの言葉を伝え、秋からリッチーの指導を受ける順番待ちリストになんとか入れる方法はないかと尋ねた。

すると、リッチーは「メーガンを指導する予定だったので、シップスの言葉を聞いて、混乱している」と言った。

リッチーは、すべてを理解するため、その夜遅く、メーガンと一緒にロバート・ヒコック美術学部長(Robert Hickok)に会った。

メーガンはリッチーに言ったことをヒコック美術学部長に話した。

つまり、「リッチーはメーガンを指導する学生として望んでいない」とシップスが言った、と伝えた。そして、メーガンは秋からシップスの指導を再び受けたくないと伝えた。

ヒコック美術学部長は何か誤解があるようだと、メーガンに言った。この誤解がどこで起こったのかを整理するために少し時間をくれるようにと言った。

ヒコック美術学部長が「誤解」あるようだと話し始めたとき、メーガンはすべてを理解した。

これは「誤解」ではない、これはシップスの意図的なイヤガラセ行為だと、メーガンは確信した。それで、メーガンはヒコック美術学部長と2人で話したいと申し出だ。

リッチーが部屋を出た後、メーガンはシップスにキスを迫られ、それを拒否したことをヒコック美術学部長に正確に伝えた。

メーガンはヒコック美術学部長のその時の反応を覚えている。「シップス教授は、とても愛情深い人(affectionate man)です。あなたは本当に誤解していませんよね?」

メーガンは誤解していないと主張した。

ヒコック美術学部長は、メーガンが二度とシップスの指導を受ける必要はないと言った。

事実、残りの期間、メーガンはシップスのクラスやレッスンを受けることはなかった。

ただ、残念ながら、メーガンはシップスを完全に避けることはできなかった。学生は学部教員の前で演奏し、過去1年間の成長に関して、採点されることになっていた。

メーガンは優秀な学生だったので弦楽器学部の他の教員は90点後半の成績を付けたが、シップスには一貫して60点代の低い成績を付けられた。

明白なセクハラ行為である。

★約50人の被害者

シップスの性不正被害者は上記の2人だけでなく、確認できた女性に限っても、約50人もいた。

大学でヴァイオリン教師として勤めながら、1977-2018 年(25-66歳)の約40年もの間、学内外でヴァイオリンを学ぶ数十人の高校生・学部生の少女(15歳~20前半)の身体を触り、キス、レイプ、セクハラをしてきた。

各性不正事件の内容は省略するが、ヒドイもんである。

●6.【論文数と撤回論文とパブピア】

省略

●7.【白楽の感想】

《1》性不正を処罰する規則が必要

シップス事件で、シップスは、1977-2018 年(25-66歳)の約40年もの間、学内外でヴァイオリンを学ぶ数十人の中高校生・学部生の少女(13歳~20前半)の身体を触り、キス、レイプ、セクハラをしてきた。

ヴァイオリン教師として勤めながら中高校生・学部生の才能ある少女(13歳~20前半)たちの夢と人生をねじ曲げ、成長を大きく阻害した。

ところが、ミシガン大学はシップスにペナルティを科していない。そして、この性不正では刑事事件にもなっていない。

18歳未満の少女(1985年12月生まれなので16歳)と性行為をするために、州境を越えて4回連れ出した行為が裁かれた。強く言えば誘拐だが、州境を越えなければ犯罪ではなかった。

なんか、おかしくないか? 

約50人の被害少女は人生が狂ってしまった。それに対して何も処罰を科していない。事件を調べると、「レイプはやり得」という印象だ。

もっと強いペナルティを科すべきでしょう。

《1A》日本の類似犯

2007年02月02日 の産経新聞に 「東京音大教授をセクハラで解雇」という記事があった

女子高生にセクハラ行為をしたとして、東京音楽大学(東京都豊島区)が器楽専攻の男性教授(ピアノ)を懲戒解雇処分にしていたことが1日、分かった。  関係者によると、この男性教授は昨年夏以降、付属高校の女子生徒に複数回にわたりレッスン室で抱きついたり、メールを送付するなどしたという。同大学が保護者からの申し立てで学内のセクハラ委員会を開き、調査の結果、セクハラ行為があったと認定。今年1月、処分を決定した。

日本でも、楽器レッスンでの性不正は結構多いと思う。

《2》大学の責任 

シップスのレイプ事件が公になったのは、サミー・サスマン(Sammy Sussman)がミシガン大学の学生新聞「Michigan Daily」に記事として報道したからだ。それまで、シップスは約40年間も性不正をしていた。

ノースカロライナ大学でもミシガン大学でも、シップスの女癖が悪いことは学生の間では有名だった。被害者は大学に訴えていたが、大学はまともに対処しなかった。

初期の段階で、シップスを性不正者として公表し、解雇しておけば、その後の数10人の性不正被害者はいなかったことになる。

しかし、大学の対処が悪かった。

結果として、ノースカロライナ大学もミシガン大学も、オオカミを飼い、餌食となる女性学生を提供していたことになる。シップスは味をしめ、一層巧妙に、学外・学内で何度も何度もヴァイオリンを学びに来る中高少女・女性学部生を性的に襲っていたのである。

性的犯罪は麻薬と同じで常習性がある(推定)。また性癖、つまり癖(クセ)なので、悪いと知りつつも再犯を重ねる。

この事件では、ノースカロライナ大学とミシガン大学の責任は大きいと思う。

そして、一般論としても、大学の責任は大きい。

日本の性不正事件は、性不正教員の名前を公表しない。匿名のままである。大学教員を解雇しない。停職処分で復職させる。結果として、性不正癖を持つ教員が平然と女性学生を指導している。匿名なので、女性学生はどの教員が危険なのか知りようがない。指導を受ける女性学生は無防備である。

大学は性不正癖を持つ教員を抱え、それを女性学生に隠している。当然、性不正事件が再発する。

大学に責任があると思うが、日本では、この事を誰も指摘しない。おかしくないか?

中高生のイジメでは被害者の親は大きく訴えるが、大学生のイジメでは被害者の親は大きくは訴えない。おかしくないか?

《3》政府がYouTubeで 

米国政府が被害者の通報を求めて公式動画をYouTubeで呼びかけた。なかなかユニークですね。

日本政府も見習ったらどうでしょう。

被害者の通報を求める米国政府の公式動画:「EDMI announces indictment of former University of Michigan professor – YouTube」(英語)5分51秒。
Executive Office for United States Attorneysが2020/10/29に公開

《4》隠れた被害者 

以下は、「「セクハラ」:インダー・ヴェルマ(Inder Verma)(米) | 研究倫理(ネカト、研究規範)」の修正再掲である。

スティーブン・シップス(Stephen Shipps)は、40年もの間、学内外でヴァイオリンを学ぶ数十人の高校生・学部生の少女(15歳~20前半)の身体を触り、キスし、レイプし、セクハラもしてきた。その被害者は約50人もいた。

この裏に、新聞に書いてない、イヤ、書けない(多分)忌まわしい事実があると思われる。つまり、シップスの性的欲求に屈した被害女性がかなりいると思えることだ。

性不正行為をうまく拒絶できた女性は今回告発できただろうが、拒絶できなかった女性は表に立ちたくないだろう。そういう女性が何十人もいるに違いない。

シップスが40年間にわたって性不正行為をし続けたということは、その間、失敗よりも成功する回数が多かったからに違いない。ある程度成功したからシップスは性不正行為をし続けたのだろう。ことごとく失敗すれば、途中でやめたに違いない。

ということで、メディアが公表している事態よりもシップス事件の真相は深刻だと思われる。

《5》メディアの威力

シップスのセクハラ事件が公になったのは、2018年12月10日、サミー・サスマン(Sammy Sussman)がミシガン大学の学生新聞「Michigan Daily」に記事として報道したからだ。

大学の調査結果でもない、警察の調査結果でもない。学生記者が取材を重ね、綿密でダイナミックな記事として国民に最初に公表したのだ。

日本の学生新聞で第一報のこのような記事は皆無ではないだろうか?

日本の主要新聞でも第一報でこのような記事を掲載することはほとんどない。

2022年6月10日、毎日新聞が千葉大学・橋本謙二と福井大学・友田明美の査読偽装事件を最初に報じたが、このような先験的な記事はまれだ。 → 220610毎日①/柳楽未来220626毎日/柳楽未来

一般的に、日本のマス・メディアは、研究者倫理では、社会の木鐸にほとんどなっていない。

一方、日刊ゲンダイや週刊誌の文春や新潮がこの機能を果たしている。

例えば、2022年3月26日、日刊ゲンダイは、早稲田大学の女性准教授が、教え子の男性院生に性交渉を強要したレイプ事件を報道している(ココ)。但し、第一報ではないし、深く掘り下げた記事というわけではない。

日刊ゲンダイや週刊誌の記事はスキャンダルが中心で、学術界の性不正行為を防止するための報道が主眼ではない。それでも、第一報で、深く掘り下げた記事なら社会の木鐸になる。

そうでないと、学術界の性不正問題の解決にあまり役立たない。

シップスの指導を受ける少女。この少女が被害者かどうか、白楽は知らない。https://www.violinist.com/blog/laurie/201611/20848/(https://archive.ph/wip/S0V6p)

《6》「性不正、アカハラ」ウオッチャー

性不正、アカハラの研究は日本で今後発展すると思う。院生の博士論文そして、大学教員の研究テーマとして、有望だと思う。

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日本がスポーツ、観光、娯楽を過度に追及する現状は日本の衰退を早め、ギリシャ化を促進する。日本は、40年後に現人口の22%が減少し、今後、飛躍的な経済の発展はない。科学技術と教育を基幹にした堅実・健全で成熟した人間社会をめざすべきだ。科学技術と教育の基本は信頼である。信頼の条件は公正・誠実(integrity)である。人はズルをする。人は過ちを犯す。人は間違える。その前提で、公正・誠実(integrity)を高め維持すべきだ。
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●8.【主要情報源】

① 2020年10月29日のジェニファー・スミス(Jennifer Smith)記者の「Dailymail」記事:Retired Michigan music professor, 67, arrested for ‘sex trafficking’ girl in 2002 | Daily Mail Online
② ◎2018年12月10日(更新あり)のサミー・サスマン(Sammy Sussman)記者の「Michigan Daily」記事:Former students bring 40 years of misconduct allegations against SMTD professor
③ ◎2022年4月19日のサミー・サスマン(Sammy Sussman)記者の「Michigan Daily」記事:Former SMTD professor sentenced to five years in prison
④ 2018年12月14日のアンドリュー・マコーミック(Andrew McCormick)記者の「CJR」記事:Student uncovers decades of sexual misconduct allegations against Michigan violin professor – Columbia Journalism Review
⑤ 2022年4月14日のサミュエル・ダッジ(Samuel Dodge)記者の「Michigan Live」記事:Former University of Michigan music professor sentenced 5 years for sex crimes – mlive.com
⑥ 2022年1月20日のマット・スティーブンス(Matt Stevens)記者の「New York Times」記事:Lawsuit Says Faculty at a Top Arts School Preyed on Students for Decades – The New York Times
⑦ 多数のニュース報道があった

★記事中の画像は、出典を記載していない場合も白楽の作品ではありません。

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