ベルナディーノ・サッコマンニ(Bernardino Saccomanni)(イタリア)

2018年5月31日掲載。

ワンポイント:2008~2015年の8年間に出版した18論文の内、14論文が盗用、12論文が撤回という悪名高い連続盗用者。経歴や素性は不明である。ガブリエレ・ダンヌンツィオ大学キエーティ(Gabriele D’ Annunzio University Chieti)の所属で発表した論文があったので、本記事ではこの大学所属としたが、研究者としては、この大学を含め、大学や研究機関に所属したことはないようだ。2011年、複数の学術誌・編集部が盗用に気が付いてサッコマンニの論文を撤回した。損害額の総額(推定)は6400万円。

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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.概略
2.経歴と経過
3.動画
4.日本語の解説
5.不正発覚の経緯と内容
6.論文数と撤回論文とパブピア
7.白楽の感想
8.主要情報源
9.コメント
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●1.【概略】

ベルナディーノ・サッコマンニ(Bernardino Saccomanni、顔写真見つからない)は、連続盗用者である。イタリアの研究者(似非研究者?)で、論文は全部単名で発表した。

ガブリエレ・ダンヌンツィオ大学キエーティ(Gabriele D’ Annunzio University Chieti)の所属で発表した論文があったので、本記事ではこの大学所属としたが、この大学を含め、大学や研究機関に所属したことはないようだ。ある時は自宅住所と思われる「Ambulatorio di Ortopedia, via della Conciliazione」、または「Azienda Sanitaria Locale Bari」を著者の連絡先としている。

経歴や素性は不明である。本記事では年齢が不明の場合、推定した年齢を記載するが、サッコマンニの場合、年齢が推定できないかったので、記載していない。

論文が発表された分野は整形外科学などだった。

2011年12月22日、撤回監視(Retraction Watch)が、複数の学術誌がサッコマンニの論文を撤回したと報じた。

2015年10月20日、撤回監視(Retraction Watch)は、サッコマンニの盗用は14論文になったと報じた。つまり、2008~2015年の8年間に出版した18論文の内、2009~2013年の14論文が盗用で、パブメドで調べると内、12論文が撤回されていた。

ガブリエレ・ダンヌンツィオ大学キエーティ(Università degli Studi “G. d’Annunzio” Chieti – Pescara)。写真出典

  • 国:イタリア
  • 成長国:不明
  • 医師免許(MD)取得:不明
  • 研究博士号(PhD)取得:不明
  • 男女:不明
  • 生年月日:不明
  • 現在の年齢:不明
  • 分野:整形外科学
  • 最初の不正論文発表:2009年(xx歳)
  • 発覚年:2011年(xx歳)
  • 発覚時地位:不明
  • ステップ1(発覚):第一次追及者は学術誌・編集部
  • ステップ2(メディア): 「撤回監視(Retraction Watch)」
  • ステップ3(調査・処分、当局:オーソリティ):①学術誌・編集部
  • 大学・調査報告書のウェブ上での公表:なし
  • 大学の透明性:所属機関が不明(ー)
  • 不正:盗用
  • 不正論文数:14報。撤回論文は12論文
  • 盗用ページ率:
  • 盗用文字率:
  • 時期:不明
  • 損害額:総額(推定)は6400万円。内訳 → ⑤調査経費(学術誌出版局)が5千万円。⑥裁判経費なし。⑦論文出版・撤回作業が1報につき100万円。14報撤回=1400万円
  • 職:事件後に研究職(または発覚時の地位)がどうなったか不明(ー)
  • 処分:なし
  • 日本人の弟子・友人:不明

●2.【経歴と経過】

ほぼ全く不明である。生年月日、出身大学は不明。医師免許や研究博士号(PhD)を持っているかどうかも不明。大学や研究機関に所属していないらしい。、

●5.【不正発覚の経緯と内容】

2011年12月22日、撤回監視(Retraction Watch)が、複数の学術誌がサッコマンニの論文を撤回したと報じた。

不正発覚の経緯は不明だが、学術誌・編集部が盗用検出ソフトで盗用を見つけたと思われる。

2015年10月20日、撤回監視(Retraction Watch)が、サッコマンニの盗用は14論文になったと報じた。つまり、2008~2015年の8年間に出版した18論文の内、2009~2013年の14論文が盗用である。

以下のスライドでは13論文が盗用となっている。

出典:Retracted publications in the era of open access Armen Yuri Gasparyan, MD, PhD, FESC Associate Professor of Medicine Member, WAME Council Member, EASE. – ppt download の18枚目のスライド

【盗用の具体例】

★「2010年のClin Rheumatol」論文

サッコマンニが単名で発表した以下の「2010年のClin Rheumatol」論文が2011年に盗用で撤回された。

被盗用論文は以下の「2009年のNat Rev Rheumatol.」である。盗用された学術誌「Nature Reviews Rheumatology」の編集部が盗用に気が付き、被盗用者のアンダーソン(Andersson GB)に知らせた。

以下に盗用比較図を示す。

左側がサッコマンニの盗用論文で右が被盗用論文である。着色部分の文章が同一である(出典:【主要情報源】①)。被盗用論文は引用されていないし、文献リストにも入っていない。

【例1】:完全な逐語盗用である。

【例2】:完全な逐語盗用である。

●6.【論文数と撤回論文とパブピア】

2015年10月20日の「撤回監視(Retraction Watch)」記事で、サッコマンニの盗用は14論文になったと報じた。つまり、2008~2015年の8年間に出版した18論文の内、2009~2013年の14論文が盗用である。

一方、従来のようにパブメド(PubMed)で論文数と撤回論文数を探ると以下のようだ。

2018年5月30日現在、パブメド(PubMed)で、ベルナディーノ・サッコマンニ(Bernardino Saccomanni)の論文を「Bernardino Saccomanni [Author]」で検索した。この検索方法だと、2002年以降の論文がヒットするが、2009~2015年の7年間の19論文がヒットした。全部単名論文である。

2018年5月30日現在、「Bernardino Saccomanni [Author] AND Retracted」でパブメドの論文撤回リストを検索すると、2009~2013年の12論文が撤回されていた。全部単名論文である。

「Saccomanni B[Author]」で検索すると、2008~2015年の8年間の18論文がヒットした。全部単名論文である。

2018年5月30日現在、「Saccomanni B[Author] AND Retracted」でパブメドの論文撤回リストを検索すると、2009~2013年の8論文が撤回されていた。全部単名論文である。

「Bernardino Saccomanni [Author] AND Retracted」で12撤回論文がリストされているのに、「Saccomanni B[Author] AND Retracted」では8撤回論文しかリストされない理由は、わかりません。パブメド(PubMed)の仕組みと関係しているようだ。

12撤回論文をリストするのもナンなので、最新の2013年論文と最古の2009年論文の2撤回論文を示す。

★パブピア(PubPeer)

2018年5月30日現在、「パブピア(PubPeer)」はベルナディーノ・サッコマンニ(Bernardino Saccomanni)の1論文にコメントしている:PubPeer – Search publications and join the conversation.

●7.【白楽の感想】

《1》悪名高い連続盗用者

ホリー・ケイブ(Holly Cave)はベルナディーノ・サッコマンニ(Bernardino Saccomanni)を「悪名高い連続盗用者」と呼んでいる。あたかも「連続殺人犯」のような言い方だ。
→ 2015年10月19日のホリー・ケイブ(Holly Cave)記者の「Technologist」記事:Can you trust what you read? | Technologist

2008~2015年の8年間に18論文出版していて、内、14論文が盗用だから、確かに立派な「連続盗用者」である。「撤回監視(Retraction Watch)」は14論文が盗用だと報じているが、白楽が推定するに、残り4論文も盗用だろう(検証していません)。

サッコマンニの特徴は、大学や研究機関に所属していない。論文は全部単名で発表していることだ。

また、サッコマンニの経歴はウェブではつかめないので経歴や素性が不明な点も特徴である。

論文が整形外科領域なので、整形外科の専門知識を持っている医師かもしれない。しかし、町の開業医とは思えない。もしそうなら、ウェブで検索すると病院・診療所の宣伝をしているハズだが、ウェブでは開業医としてでてこない。

盗用なので、医師でなくても、整形外科の専門知識を自分で学ぶ程度で盗用論文は作れるだろう。ただ、論文投稿や査読者とのやりとりもあるので、そこそこの専門的知識は必要だ。

で、サッコマンニは何のために連続盗用をしたのだろうか?

大学や研究機関に所属していないので昇進・昇給のためではないだろう。博士号を申請したようすはない。

学術論文をいくつも出版していることで人生上有益なことは、他に何があるだろうか?

動機がつかめない。

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●8.【主要情報源】

① 2011年12月22日以降のベルナディーノ・サッコマンニ(Bernardino Saccomanni)の「撤回監視(Retraction Watch)」記事群:Search Results for “Bernardino Saccomanni” – Retraction Watch
② 2013年6月25日のジョナサン・ベイリー(Jonathan Bailey)記者の「Plagiarism Blog」記事:The Surprisingly Common Problem of Serial Plagiarists in Research
③ 2015年10月19日のホリー・ケイブ(Holly Cave)記者の「Technologist」記事:Can you trust what you read? | Technologist、(保存版)
★記事中の画像は、出典を記載していない場合も白楽の作品ではありません。

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