「捕食」:材料工学:アシュトシュ・ティワリ(Ashutosh Tiwari)(スウェーデン)

2018年11月16日掲載

ワンポイント:【長文注意】。ティワリはインド生まれ育ちで、インドで研究博士号(PhD)を取得後、米国、日本と移動し、2011年4月(32歳)、スウェーデンのリンショーピング大学・研究員(後に、講師)となった。データねつ造・改ざんで、トータル3論文が撤回されているが、ティワリの悪行はそこにとどまらない。2017年12月14日(39歳)、ネカトハンターのレオニッド・シュナイダー(Leonid Schneider)がティワリの捕食学術(predatory academic business)を暴露した。ティワリは、講師なのに教授と称し、架空の研究所をでっちあげ、捕食出版社(predatory publisher)を設置し、捕食学術誌(predatory journal)を発行、捕食学会(predatory academic society)を作り、捕食会議(predatory conferences)を開催と、著名な学者を巻き込んだ大規模な捕食学術(predatory academic business)で大活躍している天才的詐欺師である。研究博士号(PhD)取得もウソと思われる。これらの捕食学術で、リンショーピング大学のアンソニー・ターナー教授(Anthony Turner)、日本の物質・材料研究機構の小林尚俊 (KOBAYASHI, Hisatoshi)を巻き込んだ。国民の損害額(推定)は100億円(大雑把)。この事件は、白楽指定の重要ネカト事件である

【追記】
・2018年12月7日記事:Researcher criticised for research misconduct – Linköping University

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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.概略
2.経歴と経過
3.動画
4.用語:捕食
5.不正発覚の経緯と内容
6.論文数と撤回論文
7.白楽の感想
8.主要情報源
9.コメント
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●1.【概略】

アシュトシュ・ティワリ(Ashutosh Tiwari、写真出典)は、インド生まれ育ちで、日本学術振興会の外国人特別研究員として、日本の物質・材料研究機構にも勤務し、その後、スウェーデンのリンショーピング大学(Linkoping University)・研究員(後に、講師)になった。専門は材料工学だった。

ティワリは19歳で大学を卒業し、21歳で修士号取得と、頭脳は天才的である。その天才的頭脳で大規模な捕食学術業(predatory academic)を働いた天才的な捕食学術師である。

まず、①2005年の研究博士号(PhD)取得はその証明書がねつ造である(多分)。②2007-2008年、インドでデータねつ造論文を出版していた。

その後、米国、日本と移動し、2011年4月(32歳)、スウェーデンのリンショーピング大学・研究員(その後、講師)となった。

2015年5月(37歳)、スウェーデンのリンショーピング大学・講師を退職した。

リンショーピング大学在任中と退職後に捕食学術を行なった。

③講師(docent)だが身分を教授と偽っていた。④架空の研究所をでっちあげた。⑤捕食出版社(predatory publisher)を設置し捕食学術誌(predatory journal)を発行。⑥捕食学会(predatory academic society)を作った。⑦捕食会議(predatory conferences)を開催。⑧捕食会議では承認もなしにリンショーピング大学と共同開催と偽った。⑤⑥⑦で掲載費や参加費を着服した(多分)。

これらの捕食学術で、リンショーピング大学のアンソニー・ターナー教授(Anthony Turner)、日本の物質・材料研究機構の小林尚俊 (KOBAYASHI, Hisatoshi)を巻き込んでいる。

2017年12月14日(39歳)、ネカトハンターのレオニッド・シュナイダー(Leonid Schneider)がティワリの捕食学術を詳細に暴露し、それまで一部の研究者しか把握していなかったティワリの悪行を多くの研究者に知らしめた。

この暴露記事が発表された後、ティワリはウェブサイトを大規模に変更・削除した。そのため、2018年11月15日現在、シュナイダーの指摘が正しいかどうか、一部、検証できない面もある。

シュナイダーの告発を受け、リンショーピング大学は調査した。

2018年10月22日、リンショーピング大学は調査の結果、捕食学会の主催者として無断でリンショーピング大学を使用したことを除き、ティワリは何も悪いことをしていない、また、犯罪行為はないので、警察に伝えない、と結論した。

2018年11月15日現在、誰も処分されず、事件はウヤムヤになる公算が高い。

なお、同じような分野でアシュトシュ・ティワリ(Ashutosh Tiwari)と同姓同名の研究者が数名いる。以下に4人示すが、他にもいる。混同しないように。

米国のユタ大学(University of Utah)・材料科学工学科(Department of Materials Science and Engineering)・助教授のアシュトシュ・ティワリ(Ashutosh Tiwari、右の写真も)。

英国のシェフィールド大学(University of Sheffield)・自動制御システム工学科(Department of Automatic Control and Systems Engineering)・教授のアシュトシュ・ティワリ(Ashutosh Tiwari、左の写真も)。

米国のミシガン工科大学(Michigan Technological University)・化学科(Chemistry)・準教授のアシュトシュ・ティワリ(Ashutosh Tiwari、右の写真も)。

インドのプラナー・シン工科大学(Pranveer Singh Institute of Technology)・応用物理学科(Department of Applied Physics・)・助教授のアシュトシュ・ティワリ(Ashutosh Tiwari、左の写真も)。

リンショーピング大学(Linkoping University、スウェーデン語:Linkopings Universitet)。写真出典

  • 国:スウェーデン
  • 成長国:インド
  • 研究博士号(PhD)取得:インドのアラハバード大学(University of Allahabad)
  • 男女:男性
  • 生年月日:1978年4月15日
  • 現在の年齢:45歳
  • 分野:材料工学
  • 最初の不正論文発表:2007年(29歳)
  • 発覚年:2017年(39歳)
  • 発覚時地位:リンショーピング大学・元講師
  • ステップ1(発覚):第一次追及者はネカトハンターのレオニッド・シュナイダー(Leonid Schneider)で、ブログで公表し、関係者に通報した
  • ステップ2(メディア):レオニッド・シュナイダー(Leonid Schneider)のブログ
  • ステップ3(調査・処分、当局:オーソリティ):①リンショーピング大学・調査委員会
  • 大学・調査報告書のウェブ上での公表:あり。匿名発表(Ⅹ) → 2018年10月22日、レンナート・フォルクレフ(Lennart Falklof)記者の リンショーピング大学記事:Inget brott, men rutiner behover skarpas(スウェーデン語)
  • 大学の透明性:匿名発表・隠匿(Ⅹ)、
  • 不正:①研究博士号(PhD)取得のねつ造(多分)。②論文データのねつ造・改ざん。③講師(docent)だが身分を教授といつわった。④架空の研究所をでっちあげた。⑤捕食出版社を作り、捕食学術誌を発行した。⑥捕食学会を作った。⑦捕食会議を開催した。⑧捕食会議では承認もなしにリンショーピング大学と共同開催と偽った。⑨公金着服(多分)
  • 不正論文数:少なくとも3報が撤回
  • 時期:研究キャリアの初期から
  • 職:事件後に研究職(または発覚時の地位)をやめた・続けられなかった(Ⅹ)
  • 処分: なし
  • 日本人の弟子・友人: 小林尚俊 (KOBAYASHI, Hisatoshi)(物質・材料研究機構・上席研究員)

【国民の損害額】
国民の損害額:総額(推定)は100億円(大雑把)。内訳 ↓

  • ⑩損害額(大雑把)の場合:損害額を具体的に試算しにくい事件である。損害額を100億円とした(大雑把)

●2.【経歴と経過】

出典:①Professor Ashutosh Tiwari -Director at Institute of Advanced Materials、② Ashutosh Tiwari cv.pdf – Google ドライブ

  • 1978年4月15日:インドで生まれる
  • 1997年(19歳):インドのアラハバード大学(University of Allahabad)で学士号取得:化学、動物学、植物学
  • 1999年(21歳):同大学で修士号取得:有機化学
  • 2005年(26歳):同大学で研究博士号(PhD)を取得:材料化学
  • 2006年2月-2006年6月(26-27歳):インド国立物理学研究所(National Physical Laboratory, India)・研究員
  • 2008年2月-2009年9月(29-31歳):米国のウィスコンシン大学(University of Wisconsin)・ポスドク
  • 2009年11月-2011年3月(31-32歳):日本学術振興会の外国人特別研究員。日本の物質・材料研究機構・生体機能材料ユニット・外国人特別研究員。小林尚俊 (KOBAYASHI, Hisatoshi) 研究室
  • 2011年4月‐2015年5月(32-37歳):スウェーデンのリンショーピング大学(Linkoping University)・研究員(research fellow)。アンソニー・ターナー教授(Anthony Turner)の研究室。後に準教授と履歴書にあるが本当は、Docent(講師)になったので準教授と書いたという説が有力。
  • 2017年6月(39歳):ターナー教授の研究室を去った。リンショーピング大学はリンショーピング大学を退職したのは2015年5月だと述べている。しかし、ターナー教授は彼の研究室を去ったのは2017年6月だと述べている
  • 2017年12月(39歳):レオニッド・シュナイダー(Leonid Schneider)のブログで捕食学術が暴露された
  • 2018年10月22日(40歳):リンショーピング大学は調査の結果、アシュトシュ・ティワリを無罪とした

●4.【用語:捕食】

用語として、「predatory journal」を白楽は「ハゲタカ」ジャーナルなど「ハゲタカ」を使いません。「捕食」を使います。

ハゲタカ(禿鷹)はハゲワシ類またはコンドル類の俗称である。(出典:ハゲワシ – Wikipedia)

「ハゲタカ」ジャーナルなどの「ハゲタカ」は鳥類のハゲタカを一方的に蔑視する名称で、ハゲタカを差別的に使用した用語です。非倫理的です。生命科学者として強い違和感があります。特定の生き物を蔑視するニュアンスを持つ用語は専門用語としては不適格です。ライオンだって、捕食動物です。「predatory journal」を「ライオン」ジャーナルと呼びますか? 呼ばないのは、「ライオン」を蔑視するニュアンスがないからです。

それに、「predatory conference」をハゲタカ会議と訳せば、鳥類のハゲタカの学術集会と混同します。

英辞郎 on the WEB(アルク)によれば、predatoryの意味は「【形】〔動物が〕捕食性の、肉食の」とあります。

捕食(ほしょく)とは、生物が餌となる対象の動物を捕らえて食うことである。(出典:捕食 – Wikipedia)

勿論、「捕食」という用語は白楽だけが使用しているわけではない。以下2例。
→ 2018年7月19日記事:捕食ジャーナル」ブラックリストへの強い要望 – 学術英語アカデミー
→ 2014年3月26日記事:捕食性学術出版社に注意【日経バイオテクONLINE Vol.2030】:日経バイオテクONLINE

●5.【不正発覚の経緯と内容】

★データねつ造

以下の内容は、断らない限り、レオニッド・シュナイダー(Leonid Schneider)のブログ記事群「Ashutosh Tiwari ? For Better Science」の内容と写真を基にしている。

プラシャント・シャルマ(Prashant Kumar Sharma) https://biography.omicsonline.org/india/indian-school-of-mines/dr-prashant-kumar-sharma-9542

ティワリはインドのアラハバード大学(University of Allahabad)時代、プラシャント・シャルマ(Prashant Kumar Sharma)が同僚だった。

2015年-2017年、インド工科大学鉱物科大学院のラシュミ・マドフリ(Rashmi Madhuri)がデータねつ造・改ざんの主犯とされているがプラシャント・シャルマも、多数のネカト論文の共著者になっている。
→ 化学:ラシュミ・マドフリ(Rashmi Madhuri)(インド)

かつての同僚が2015年-2017年に行なっていたデータねつ造・改ざんを、ティワリはその10年前、インドで行なっていた。

以下の2例は2007年と2008年のティワリの論文だが、同じ画像を別の論文に別の試料として再使用したデータねつ造・改ざん例である。

★捕食学術師

上記のように、アシュトシュ・ティワリ(Ashutosh Tiwari)は研究論文でネカトをしていた。しかし、ネカトは事件の一端に過ぎない。本命は多彩な捕食学術で、ティワリは単純なネカト者ではない。

インドで、19歳で大学を卒業し、21歳で修士号取得と、頭脳は天才的である。その天才的頭脳で、大規模な捕食学術を働いた天才的な捕食学術師である。

インドではデータねつ造論文を出版していたが、米国、日本、スウェーデンの研究室を移動し、スウェーデンのリンショーピング大学在任・辞任後に詐欺的な捕食学術を活発に行なった。

教授でもないのに教授と称し、架空の研究所をでっちあげ、捕食出版社を設置し捕食学術誌を発行、捕食学会を作り、捕食会議を開催と、なんともはや、とても活発である。

個人生活では妻と3人の子供がいる。

以下の内容は、断らない限り、レオニッド・シュナイダー(Leonid Schneider)のブログ記事群「Ashutosh Tiwari ? For Better Science」の内容と写真を基にしている。

★日本学術振興会の外国人特別研究員

小林尚俊 (KOBAYASHI, Hisatoshi) https://samurai.nims.go.jp/profiles/kobayashi_hisatoshi?locale=ja

2009年11月-2011年3月(31-32歳)、アシュトシュ・ティワリ(Ashutosh Tiwari)は日本学術振興会の外国人特別研究員として日本の物質・材料研究機構・生体機能材料ユニットの外国人特別研究員だった。受け入れ先は小林尚俊 (KOBAYASHI, Hisatoshi) 研究室である。

小林尚俊は、知ってか知らずか、ティワリの捕食学術に巻き込まれていく、というか片棒を担いでいくのである。

★スウェーデンのリンショーピング大学

2011年(30歳)、アシュトシュ・ティワリ(Ashutosh Tiwari)はマリー・キュリー・フェロー(Marie-Curie postdoctoral fellow)の奨学金を得て、日本の物質・材料研究機構の外国人特別研究員からスウェーデンのリンショーピング大学(Linkoping University)のポスドクに移動した。

ボスは、アンソニー・ターナー教授(Anthony Turner、トニー・ターナー、Tony Turner、写真も) だった。

ティワリはリンショーピング大学のポスドク(後に、講師)に在籍中、本格的な捕食学術を始めた。

アンソニー・ターナー教授も、知ってか知らずか、ティワリの捕食学術に巻き込まれていく、というか片棒を担いでいくのである。

★研究所をでっち上げる

以下の内容は、断らない限り、レオニッド・シュナイダー(Leonid Schneider)のブログ記事群「Ashutosh Tiwari ? For Better Science」の内容と写真を基にしている。

2016年、アシュトシュ・ティワリ(Ashutosh Tiwari)は、まず、インドのアラハバード(Allahabad)に架空のヴィノバ・ビヘイヴ研究所(Vinoba Bhave Research Institute:VBRI)をでっち上げた。
ウェブサイト → Vinoba Bhave Research Institute、(保存版

ウェブサイトには偽の写真を細工してヴィノバ・ビヘイヴ研究所(Vinoba Bhave Research Institute:VBRI)が実在するかのように装った。以下の写真は研究所の正面だが、インターネット上にあったスペインの子供デイケアセンターの写真をパクったのだ。

ヴィノバ・ビヘイヴ研究所とした上記写真では、玄関上部の看板がおかしい。茶色の部分に青色の「Vinoba Bhave Research Institute」の写真をパソコンで貼り付けたから角度が不自然である。また、建物は正中線から鏡像になっていて異様である。窓ガラスとその窓ガラスに反射している景色は鏡像である。さらに、窓ガラスの手前の植物ヤシが全く同じである。どう見ても実際の建物の写真ではなく、加工した細工写真である。

インドのアラハバード(Allahabad)にあるヴィノバ・ビヘイヴ研究所(Vinoba Bhave Research Institute:VBRI)の廊下にティワリが立っている写真を以下に示す。

しかし、これも、本当?

実は、上記の廊下はスウェーデンのリンショーピング大学の図書館の廊下なのだ。ヴィノバ・ビヘイヴ研究所の廊下ではない。

インドのアラハバード(Allahabad)にあるヴィノバ・ビヘイヴ研究所(Vinoba Bhave Research Institute:VBRI)で、ティワリが学生を指導している写真を以下に示す。しかし、これ、本当?

実は、上記の実験室はスウェーデンのリンショーピング大学のアンソニー・ターナー教授(Anthony Turner)の実験室なのだ。ヴィノバ・ビヘイヴ研究所の実験室ではない。

この架空のヴィノバ・ビヘイヴ研究所で院生やポスドクを募集した。

そして、ヴィノバ・ビヘイヴ研究所のスウェーデン支所として先端物質研究所( Insitute of Advanced Materials 、(保存版))を作ったのである。勿論、所長はティワリである。先端物質研究所の所在地は「Teknikringen 4A, 583 30 Linkoping, Sweden」で、その場所を探っていくと、スウェーデンのリンショーピング市の小さな借りオフィスだった。

★捕食出版社(predatory publisher)

以下の内容は、断らない限り、レオニッド・シュナイダー(Leonid Schneider)のブログ記事群「Ashutosh Tiwari ? For Better Science」の内容と写真を基にしている。

アシュトシュ・ティワリ(Ashutosh Tiwari)は、研究のかたわら、捕食学術を本業のように行なっていく。

捕食学術の核となるヴィブリ出版社(VBRI press)を創設した。最初に書いておくが、ヴィブリ出版社(VBRI press)は捕食出版社(predatory publisher)である。以下のビール(Beall)の捕食出版社リストにも載っている。
→ Beall’s List of Predatory Publishers | Exploring the Evidence Base

2018年11月15日現在、ヴィブリ出版社(VBRI press)のウェブサイトは既に削除されているが、ヴィブリ出版社の所在地は、スウェーデンののリンショーピング市の「Teknikringen 4A, 583 30 Linkoping, Sweden」である。

その住所は、先に述べた先端物質研究所(IAAM: Insitute of Advanced Materials)(ティワリが所長)と全く同じ住所である。以下がその小さな借りオフィスで、入口の壁にアドレスの「4A」があり「Teknikringen 4A」の「4A」である。入口右の壁の看板に両方の組織が表示がされている。

ヴィブリ出版社(VBRI press)は、2016年に650万クローネ(約8,167万円)を売り上げ、約170万スウェーデン・クローナ(SEK)(約2,136万円)の利益を得た。リンショーピング大学やストックホルム大学を含めスウェーデンのいくつかの大学が顧客リストに入っていた。結構、いい収入である。

ヴィブリ出版社(VBRI press)は、学術誌「Advanced Materials Proceedings」と「Advanced Materials Letters」を発行している。これは、世界的な学術出版社であるワイリー出版社(Wiley)が発行している評価の高い学術誌「Advanced Materials」とよく似た名称である。

この学術誌「Advanced Materials Letters」は捕食学術誌である。

この捕食学術誌「Advanced Materials Letters」を、国際先進材料学会(IAAM:International Association of Advanced Materials)の公式学術誌とした。このように、権威付けを上手に行なうのがティワリの悪知恵である。
→ 学術誌「Advanced Materials Letters」のサイト:Advanced Materials Letters、(保存版

学術誌「Advanced Materials Letters」は、オープンアクセス学術誌で、オープンアクセス学術誌の団体に登録してある。 → Directory of Open Access Journals

学術誌「Advanced Materials Letters」に論文を掲載して貰うには、研究者は掲載料を払わなければならない。ヴィブリ出版社(VBRI press)は、掲載料をもらうことで儲けている。

学術誌「Advanced Materials Letters」の編集長は、勿論、ティワリ自身である。 → http://www.vbripress.com/aml/pages/editor-in-chief、(保存版

ティワリはヴィブリ出版社(VBRI press)を巧みに使って、この学術誌「Advanced Materials Letters」に自分の論文を出版することで、多数の論文出版数を確保するのみならず、自分の論文引用率も挙げた。

ティワリは、2011年にマリー・キュリーフェローとしてアンソニー・ターナー教授(Anthony Turner)の研究室にポスドクとしてやってくるのだが、その前年の2010年6月(ウン? まだ日本にいるとき?)に学術誌「Advanced Materials Letters」の創刊号を発行し(経緯の説明保存版)、アンソニー・ターナー教授の活動を賞賛する記事を掲載しているのである。

内情に詳しい人がヴィブリ出版社(VBRI press)の悪行を次のように暴露している。

学術誌「Advanced Materials Letters」は査読論文を出版するとありますが、査読はありません。投稿された論文原稿はティワリが管理する電子メールアドレスに直接送られます。ティワリは彼の助手に彼のコメントに基づいた改訂だけをするように指示します。

また、彼は投稿論文の著者に、改訂プロセスの一部として、学術誌「Advanced Materials Letters」のティワリの論文を引用するよう依頼していました。このことで、学術誌「Advanced Materials Letters」のインパクトファクターを高くし、彼の論文の被引用数も高くしているのです。

ティワリは、研究者に論文を学術誌「Advanced Materials Letters」に投稿するようどのように勧誘していたのか?

若いブロンドの2人の魅力的な女性を管理編集者(managing editors)として学術誌「Advanced Materials Letters」のウェブサイトに掲載していたのである(下の写真の左側2人の女性)。勿論、2人とも偽物である。偽物というか、ウェブ上の写真を勝手に盗用したのである。

左上の管理編集者・アデリン・ニルソン(Adeline Nilsson)はオーストラリアの弁護士の写真を使っていた(出所はリンク切れで不明)。

左下のもう1人の管理編集者・ソフィー・トンプソン(Sophie Thompson)はオーストラリアの歌手・デルタ・グッドレム(Delta Goodrem)の写真を使っているのである。

デルタ・グッドレム(Delta Goodrem)。https://wall.alphacoders.com/big.php?i=196600

さらに、2016年にソユーズ宇宙船で宇宙に行ったケイト・ルービンス宇宙飛行士(Kate Rubins)を、学術誌「Advanced Materials Letters」の生産部門(production department)に採用した。

ケイト・ルービンス宇宙飛行士(Kate Rubins)。https://www.nasa.gov/astronauts/biographies/kathleen-rubins/biography

2017年12月13日、その事を、「本当?」とツイッターされている。どうみても、ウソでしょう。

★捕食学会

以下の内容は、断らない限り、レオニッド・シュナイダー(Leonid Schneider)のブログ記事群「Ashutosh Tiwari ? For Better Science」の内容と写真を基にしている。

ティワリは国際先進材料学会(IAAM:International Association of Advanced Materials)も創設した。いい加減な学会だが、ウェブサイトは立派である。 → International Association of Advanced Materials with IAAM Online、(保存版

事務局の住所は「Teknikringen 4A, 583 30 Linkoping, Sweden」で、ヴィブリ出版社(VBRI press)の所在地、先端物質研究所(IAAM: Insitute of Advanced Materials)の所在地と全く同じ住所である。

★捕食会議(predatory conference)

以下の内容は、断らない限り、レオニッド・シュナイダー(Leonid Schneider)のブログ記事群「Ashutosh Tiwari ? For Better Science」の内容と写真を基にしている。

ティワリは架空の研究所をでっち上げ、捕食出版、捕食学会を作り、そして、多数の捕食会議(predatory conference)を開催した。高額な登録料・参加費を設定し、捕食会議で金もうけをしたのである。

2017年の欧州先端材料科学会議(European Advanced Materials Congress)を以下に詳しく書くので、そのことで、捕食会議の実態をご理解ください。その後、2015年、2016年の捕食会議も少し記述しておく。

★2017年:欧州先端材料科学会議(European Advanced Materials Congress)

2017年8月22-24日、ティワリは材料科学の学術集会「欧州先端材料科学会議(European Advanced Materials Congress)」を開催した。以下のポスターに示すように主催者は先端物質研究所(IAAM: Insitute of Advanced Materials)、リンショーピング大学(Linkoping University)、ヴィブリ出版社(VBRI press)でスポンサーがフィンランドの大手船会社のヴァイキング・ラインである。

スポンサーでお判りのように会場はヴァイキング・ラインの運航する豪華クルーズ客船で、会議の間、スウェーデンとフィンランドの間をクルーズする。参加費は1000ユーロ(約12万円)だが、クルーズ旅行の費用は含まれていないので、学術集会としては高額である。

高額な学術集会だが、参加者は800人以上も集まった。

参加費とクルーズ旅行の費用は研究者が所属する大学が出すので研究者個人の私的出費はほとんどない。それに、ウプサラ大学の教授であり、ノーベル賞物理学部門の選考委員長であるニルス・マーテンソン(Nils Martensson)が参加するとあったから会議の魅力が増した。

捕食会議(捕食学術集会)なのだが、虚偽ではなく、この会議に、ニルス・マーテンソンは実際に参加した。

また、国際的に著名な研究者も実際に参加した。

例えば、以下の写真のように、学術誌「ACS Omega」の編集長であるスペインのルイス・リズマルタン教授(Luis M. Liz-Marzan)や学術誌「Nano Energy」の編集長で米国・ジョージア工科大学のゾンリン・ワン教授(Zhong-LIn Wang)も参加した。

ゾンリン・ワン教授(Zhong-LIn Wang)(左)、ルイス・リズマルタン教授(Luis M. Liz-Marzan)(中央)、ティワリ(右)

★だましのテクニック

著名な研究者がどうしてアシュトシュ・ティワリ(Ashutosh Tiwari)にコロッとだまされて、捕食会議に協力するのか?

研究者は受賞にがっついているのである。

それで、ティワリは会議でこれら国際的に著名な学者に賞を授与したのである。

学者は受賞が大好きである。それでコロッとだまされて、協力してしまうのである。

ティワリは学者の泣き所を巧みに利用し、ナノ賞(The Nano Award)、材料科学革新賞(Innovation in Materials Science Award)、先端物質メダル(Advanced Materials Medal)などの賞を作っては授与したのである。賞状やトロフィーは安価だし、実質的には意味のない賞でも、学者は大喜びなのである。うまい! 天才です。

以下の写真は、イタリアの著名な学者・リベラト マンナ(Liberato Manna)が国際先進材料学会(IAAM:International Association of Advanced Materials)の名誉あるEAM賞(EAM Award)を受賞したと、イタリアの新聞が書いているのである。マンナは写真の左から2人目である。ちなみに、賞状を渡している右から2人目の日本人は、小林尚俊 (KOBAYASHI, Hisatoshi) である。
→ 2017年8月16日の「Repubblica.it」記事:E’ un italiano il mago dei nuovi materiali, l’Europa lo premia – Repubblica.it

ポルトガルの新リスボン大学(Universidade NOVA de Lisboa)ではポスドクのマニュエル・メンデス(Manuel Joao Mendes)が国際先進材料学会(IAAM:International Association of Advanced Materials)の名誉あるIAAM科学賞(IAAM Scientist Medal)を受賞したと、大学ニュースに載せた。
→ 2018年2月26日の「Universidade Nova de Lisboa」記事:CENIMAT-i3N researcher receives IAAM Scientist Medal | Faculdade de Ciencias e Tecnologia / Universidade Nova de Lisboa

以下の写真は、メッシーナ大学・材料化学のカンディダ・ミロー教授(Candida Milone、写真の女性)がIAAM科学賞(IAAM Scientist Medal)を受賞したと、大学ニュースが書いている。
→ 2018年2月16日の「Repubblica.it」記事:CENIMAT-i3N researcher receives IAAM Scientist Medal | Faculdade de Ciencias e Tecnologia / Universidade Nova de Lisboa

参加者の1人は次のように述べている。

出席した学術集会が、ティワリが個人的に主催した学術集会とは知りませんでした。私は他の人たちと同じように、スウェーデンのリンショーピング大学が主催した学術集会と思っていました。学術集会の主要なウェブページには主催者としてリンショーピング大学が示めされています。リンショーピング大学が主催しているから、「欧州先端材料科学会議(European Advanced Materials Congress)」を信頼したのです。私はヴィブリ出版社(VBRI press)や先端物質研究所(IAAM: Insitute of Advanced Materials)がどんな組織であるかを知りませんし、調べたこともありません。

私はアンソニー・ターナー教授(Anthony Turner)が「欧州先端材料科学会議」の招待ビデオをユーチューブにアップしていて、その動画を見たのを覚えています。主催者のターナー教授とミケル・シヴェレヴィ教授(Mikael Syvajarvi)をチェックしたのですが、2人ともリンショーピング大学のウェブサイトに掲載されていました。

また、スカンジナビアの多くの教授の名前が会議委員として、また招待講演者として載っていました。講演者の1人は私の論文の共著者だったので、少し驚きました。私は講演要旨の提出を検討した時、ヴィブリ出版社(VBRI press)の学術誌は、論文内容の質が悪いとはいえ、そこそこのインパクトファクターでした。ヴィブリ出版社はリンショーピング大学(Linkoping University)に関係していて、重要な書籍や学術誌を出版しているという印象を受けました。

ティワリの過去の守護者ターナー教授は、実際に「欧州先端材料科学会議」の宣伝を分担していた。ターナー教授の宣伝動画はなかなか説得力がある。

★2015年の捕食会議:先端材料世界会議2015(Advanced Materials World Congress 2015)

2015年8月23日-25日、ティワリはスウェーデンのクルーズ船で先端材料世界会議2015(Advanced Materials World Congress: AMWC2015)を開催した。 → Advanced Materials World Congress

議長はターナー教授と日本の物質・材料研究機構の小林尚俊(KOBAYASHI, Hisatoshi)である。

この会議では、ティワリは会議の案内に登場してこないが、この会議も捕食会議である。会議を仕切った捕食会議企業は「SETCOR」である。ティワリの捕食学会「国際先進材料学会(IAAM:International Association of Advanced Materials)」と捕食出版社「ヴィブリ出版社(VBRI press)」が共同開催に名を連ねている。なお、リンショーピング大学(Linkoping University)も共同開催とあるが、これは、ティワリが大学の名前を無断で使ったのである。

以下は、ターナー教授の「先端材料世界会議2015」への参加を呼び掛ける宣伝動画である。ターナー教授の宣伝動画はなかなか説得力がある。

そして、以下の写真(右端、左端はティワリ)が示すように、賞を授与されたリンショーピング大学(Linkoping University)のイネゲマー・ルンドストローム教授(Ingemar Lundstrom)がサイトにアップされていた。イネゲマー・ルンドストローム教授は、ノーベル賞物理学部門の選考委員長(2010年?)だった。

★2016年:欧州先端材料科学会議(European Advanced Materials Congress)

2016年12月4日-9日にかけて、カリブ海のクルーズ船でアメリカ先端材料会議(American Advanced Materials Congress ? 2016, Miami, USA)も開催した。

同じ2016年、欧州先端材料科学会議(European Advanced Materials Congress)も開催した。

以下は、ターナー教授の「欧州先端材料科学会議 2016」への参加を呼び掛ける宣伝動画である。先にも示したが、ターナー教授の宣伝動画はなかなか説得力がある。ターナー教授は、自分とティワリ“教授”が議長だと述べている。

★2018年2月の先端材料会議

https://www.vbripress.com/amwc17/#

2017年12月14日にレオニッド・シュナイダー(Leonid Schneider)がアシュトシュ・ティワリ(Ashutosh Tiwari)の捕食学術をブログで暴いたので、2018年2月4-8日にシンガポールで開催した先端材料会議では、役員と参加者は、自分たちがなにかマズイことに巻き込まていると感じていたハズだ。

しかし、シュナイダーの暴露記事の前に会議の準備をしたので、ティワリは実行委員長として、会議参加者に招待状を送付していた。

役員は、自分たちがなにかマズイことに巻き込まていると感じていたハズだが、2018年2月4-8日の先端材料会議の前から準備を進めていたハズで、役員たちは、欠席するわけにいかなかったのだろう。以下の写真のように、シンガポールの会議で、捕食学会の主役級の面々が勢ぞろいした。ある意味この写真はティワリの捕食学術の最盛期を伝えている。

左から、ミケル・シヴェレヴィ教授(Prof. Mikael Syvajarvi)、小林尚俊 (KOBAYASHI, Hisatoshi)、アシュトシュ・ティワリ(Ashutosh Tiwari)、アンソニー・ターナー教授(Anthony Turner)。

★研究博士号(PhD)

ティワリのいろいろな捕食学術を調べていくと、2005年(26歳)にインドのアラハバード大学(University of Allahabad)で研究博士号(PhD)を取得したことになっているが、これも詐欺ではないかと疑われている。

リンショーピング大学に提出した研究博士号(PhD)・証明書は以下である。

大学の便せん(これもねつ造?)に手書きした証明書である。パソコンがあれば簡単に作れる証明書だ。とてもオソマツである

研究博士号(PhD)・証明書をねつ造するなら、普通に考えて、別人の本物の証明書をコピーし、必要な部分だけ改ざんするだろう。上記の証明書はそれすらしていない。

よくこんな証明書をリンショーピング大学が受け付けたもんだ。

とはいえ、正直に言えば、白楽はアラハバード大学の本物の証明書を知らないので比較しようがない。

しかし、一般的に、発展途上国などの学術後進国は、この手の証明書は凝った立派なものが多い。権威付けと偽造防止のためである。

この証明書はいかにもねつ造クサイ。十中八九、研究博士号(PhD)・証明書はねつ造だろう。ということは、それ以前の大学卒や修士号取得もウソではないだろうか?

そして、確証はないが、インドの大学で、3か月の研究で博士論文を作り、父親に金を払ってもらって研究博士号(PhD)を取得したと、ティワリは学生に語っていたそうだ。

★講師(docent degree)

ティワリはリンショーピング大学・講師(docent degree)の資格を申請した。

講師(docent)になるにはいくつかの書類や基準が必要だが、その1つに外部委員の評価が必要である。

リンショーピング大学はスウェーデンのマルメ大学(Malmo University)のタウトギルダス・ルツガス教授(Tautgirdas Ruzgas、写真)に外部委員を依頼した。そう、ルツガス教授はアンソニー・ターナー教授の友人である。浮世の義理で、悪く評価できない。しかし、教授としての立場もある。相当困ったに違いない。

まず、ルツガス教授の専門は生化学であって材料工学ではないし、高等教育の専門家でもない。

以下の奇妙な文章から始まり、相当困惑したようすがうかがえる。

アシュトシュ・ティワリ(Ashutosh Tiwari)(1978年生まれ)は、2005年にインドのアラハバード大学で博士論文「植物種子の粘性物質の化学的研究」を提出し、研究博士号(PhD)を取得しました。しかし、研究博士号証明書と履歴書は博士論文の研究分野を特定していません。 博士論文、修士号、学士号から判断すると、おそらく物質化学、物理化学、有機化学、高分子化学、またはこれら類似の化学と思えます。

履歴書からは、研究博士号(PhD)を取得後8年経つが、アシュトシュ・ティワリは約22年間の学術的/職業的経験があると述べている。これはおそらく間違いでしょう

博士号取得後8年間なのに、22年間の学術的/職業的経験があるってどういうことだ? 履歴書に間違いがあること事態が異常だが、それを確認しないで評価している。

アシュトシュ・ティワリの論文生産は驚異的です。研究博士号(PhD)を取得後、60報以上の論文を出版しています。過去数年間(2009?2012年)には、科学雑誌や本の章などの論文を含め、毎年10報以上の論文を出版しています。たとえば、2012年には8つの科学論文と16の書籍の章を出版しました。 また、ナノマテリアル、バイオマテリアル、バイオメディカル・アプリケーションに関する10冊の書籍の編集者を務めました。

これだけの論文生産量だと、本当に天才なのか、あるいは、ネカト者なのかと疑うだろう。読めば「おかしい、ヘン、ウソでしょう」と感じる評価文章だが、文章の中に「おかしい、ヘン、ウソでしょう」という単語を一切入れていない。というか、入れるわけにはいかなかった。

そして、結局、ティワリはリンショーピング大学・講師(docent degree)になった。

★リンショーピング大学の調査

2017年12月、リンショーピング大学はレオニッド・シュナイダー(Leonid Schneider)の通報を受け、ティワリの捕食学術について調査を始めた。
→ 2017年12月20日のレンナート・ファルキエフ記者(Lennart Falklof)の「リンショーピング大学(Linkoping University)」記事:Allegations of misconduct and other impropriety to be investigated – Linkoping University

ティワリは、①論文にデータねつ造・改ざんがある。②講師(docent)だが身分を教授と偽っている。③研究博士号(PhD)・証明書がねつ造である。④いくつかの会議(捕食会議)でリンショーピング大学と共同開催と偽った。⑤捕食出版と捕食会議で掲載費や参加費を着服している。

2018年1月14日、「コレン(Corren)」新聞で、ティワリは、上記の学術不正を全否定し、「私は陰謀にハメられた」と抗議している。
→ 2018年1月14日記事:Anklagad forskare slar tillbaka

一方、リンショーピング大学・科学技術学部(Faculty of Science and Engineering)のウルフ・ニルソン学部長(Ulf Nilsson、写真出典)は、「学術上の不正が申し立てられ、ティワリは、2015年5月にリンショーピング大学を退職しました。しかし、当時、具体的な証拠が見つけられなかったので、学術上の不正と結論できず、大学としてティワリを処分することはできませんでした。今回(2017年)の不正行為の申し立てを非常に真剣に受け止めております。状況をはっきりさせることは誰にとってもいいことです。また、もちろん、学内の何人かの教員はティワリと関係していたことを不安に思っている可能性があります」と述べている。

しかし、ウルフ・ニルソン学部長はヒヨった。

2018年10月22日、リンショーピング大学は調査の結果、捕食学会の主催者として無断でリンショーピング大学を使用したことを除き、ティワリは何も悪いことをしていない、また、犯罪行為はないので、警察に伝えません、と結論した。
→ 2018年10月22日、リンショーピング大学の調査結果の手紙:https://drive.google.com/file/d/0By2HqPi4t2Rbcmw5UW54ZVhxMllXVTF6Z0c3ak9LRTVfQVVF/view(スウェーデン語)
→ 2018年10月22日、レンナート・フォルクレフ(Lennart Falklof)記者の リンショーピング大学記事:Inget brott, men rutiner behover skarpas(スウェーデン語)

ウルフ・ニルソン学部長はティワリの味方なのである。元々、公正な人物とは思えない。リンショーピング大学の有力教授、つまり、アンソニー・ターナー教授(Anthony Turner)、イネゲマー・ルンドストローム教授(Ingemar Lundstrom)などがティワリに協力していたので、偏った判断をしたのだ。

リンショーピング大学としては、2018年10月22日の報告書で、ティワリの調査を終えたとした。そして、ウルフ・ニルソン学部長は退職してしまった。ティワリ事件の関係者が退職し、調査責任者も退職し、事件はウヤムヤになっていきそうだ。

なお、ティワリのデータねつ造・改ざん事件の調査は終わっていないハズだが・・・。

【2017年12月のシュナイダーの暴露後】

2017年12月14日、ネカトハンターのレオニッド・シュナイダー(Leonid Schneider)がブログでアシュトシュ・ティワリ(Ashutosh Tiwari)の捕食学術を初めて公表し、関係者に通報した。

そのシュナイダーの暴露後、ティワリは、教授の身分詐称をやめた。捕食会議の活動のうち、虚偽的記述をかなり縮小した。

シュナイダーの暴露はアンソニー・ターナー教授(Anthony Turner)、ミケル・シヴェレヴィ(Mikael Syvajarvi)、そして、小林尚俊 (KOBAYASHI, Hisatoshi)を直撃した。

以下、3人のその後を追ってみよう。

★アンソニー・ターナー教授

ターナー教授(Anthony Turner、トニー・ターナー、Tony Turner)はレオニッド・シュナイダーの暴露に激怒した。

2017年12月19日、シュナイダーの暴露の5日後、ターナー教授は約20人の知人に、「レオニッド・シュナイダーの記事はウソで、信用するな。返信しないように。またメールを拡散しないように」という長いメールを送付した。

メールは

一度に多くの人にメールすることをお許しください。

皆さんは、インターネット荒らしのレオニッド・シュナイダーと[名前削除/シュナイダー]からリンショーピング大学の数人の教員を攻撃するメールを受け取ったことと思います

とはじめ、シュナイダーはネット荒らしの人物なので、返信するとつけあがるので、返信やメールの拡散をしないようにと記述している。

長いので省略するが、原文(英語)を読みたい方はこちらをどうぞ。
→ Christmas messages from Professor Turner, his ex-protege under investigation Tiwari, and Elsevier ? For Better Science、(保存版

2017年12月末、シュナイダーの暴露にターナー教授は、さぞかし、ショックだっただろう。しかし、レオニッド・シュナイダーの指摘が正しいとも思ったに違いない。やがて、ティワリにダマされて捕食学術に深く加担してしまったと認識したに違いない。シュナイダーの暴露の2週間後、67歳でリンショーピング大学を退職し、名誉教授になった。
→ https://liu.se/en/employee/anttu13

2018年2月、シュナイダーの暴露の2か月後、ターナー教授はシンガポールでの先端材料会議に出席しているが、その後、捕食会議の議長などには出てこなくなった。代わりに、日本の物質・材料研究機構の小林尚俊(KOBAYASHI, Hisatoshi)が国際先進材料学会(IAAM:International Association of Advanced Materials)の会長として出てくるようになった。

★ミケル・シヴェレヴィ(Mikael Syvajarvi)

ティワリの捕食会議で大会役員としてしばしば登場したミケル・シヴェレヴィ教授(Mikael Syvajarvi、写真)は実は、教授ではない。リンショーピング大学の単なる任期付き研究員である。

2017年3月1-3日の捕食会議「ICNANO 2017 &NRI Technology Meet」のポスター(以下の左下の写真の人物)ではミケル・シヴェレヴィ教授Prof. Mikael Syvajarvi)とあるが、教授(Prof)ではなかったのだ。

ミケル・シヴェレヴィ(Mikael Syvajarvi)は、元々、高い職位ではなかったために捕食会議の議長を務めるなどの大役を割り振られなかった。それで、リンショーピング大学による不正行為の調査もなく、大学からは何の処分も受けなかった。

2018年11月15日現在、リンショーピング大学の任期付き研究員として在籍している。(保存版

★小林尚俊 (KOBAYASHI, Hisatoshi)

そして、何度も出てくる日本人顔は、もう一度書くと、物質・材料研究機構・生体機能材料ユニットの小林尚俊(KOBAYASHI, Hisatoshi)グループリーダー(英語ではProfessor、教授)である。

小林尚俊は困ったことに、ホセイン・ホセインカニ(Hossein Hosseinkhani)のデータねつ造・改ざん論文でも登場する。

以下、世界変動展望の記事を編集引用した。
→ 2016年6月11日の「世界変動展望」記事:H.Hosseinkhani、小林尚俊 物質・材料研究機構らの論文が捏造等で撤回 – 世界変動展望

Hossein Hosseinkhani 国立台湾科技大学副教授、元物質・材料研究機構若手国際研究センター、小林尚俊(Hisatoshi Kobayashi)物質・材料研究機構生体材料センター高次機能生体材料グループ グループリーダーらの論文が捏造、改ざん、重複発表で強制撤回された。

Hossein Hosseinkhaniの論文撤回は合計6報目。

撤回理由は2つあり、「widespread plagiarism of text, notably from references [1] and [2].」と書かれているが元になったのはどちらもH.Hosseinkhaniらの論文なので、このケースは自己盗用、つまり重複発表。

「Figure 1 was previously published as Figure 2b in reference [2], describing different experiments (BMP-2 and bFGF, respectively).」は異なる実験条件に画像を流用したのだから捏造、改ざん。この件だけだと1画像だけだから過失と思うかもしれないが、Hossein Hosseinkhaniは少なくとも4論文で画像重複使用で撤回になっており、大量に同様の不正を続けた事から過失という言い分は通じないだろう。

Hossein Hosseinkhaniは常態的に悪質な不正を繰り返したという感じ。

物質・材料研究機構(NIMS)も本件にきちんと対応してほしい。

小林尚俊は、上記のように、ホセイン・ホセインカニ(Hossein Hosseinkhani)のデータねつ造・改ざんに加担していたのである。

また別途、知ってか知らずか、本記事で記述したアシュトシュ・ティワリ(Ashutosh Tiwari)のデータねつ造・改ざんが疑われる論文の共著者にもなっていた。

さらに、ティワリの捕食学術にも、知ってか知らずか、小林尚俊は加担していたのである。知らなかったなら、その愚鈍さはかなり問題である。知っていれば、共犯である。

アシュトシュ・ティワリ(Ashutosh Tiwari)(左)、小林尚俊 (KOBAYASHI, Hisatoshi)(中央)、ミケル・シヴェレヴィ教授(Prof. Mikael Syvajarvi)。

2018年4月(推定)、レオニッド・シュナイダー(Leonid Schneider)は小林尚俊 (KOBAYASHI, Hisatoshi)がティワリの捕食学術に加担していることを物質・材料研究機構に通報した。

2018年5月1日、シュナイダーは、物質・材料研究機構の副機構長である宝野和博 (HONO, Kazuhiro、写真)から以下のような返事を受け取った。

アシュトシュ・ティワリ主催の捕食会議に関する最近のブログ記事を送ってくれてありがとうございます。物質・材料研究機構のスタッフである小林尚俊氏が捕食会議の企画に携わっていたことをお詫び申し上げます。私たちはこの事件を慎重に調査することにいたしました。調査結果を1週間以内にお伝えします。

なお、物質・材料研究機構の副機構長として、小林尚俊氏に国際先進材料学会(IAAM:International Association of Advanced Materials)の会長を辞任し、今後このコミュニティに関与しないように命じました

2018年5月24日、シュナイダーは、さらに次のメールを受け取った。

5月7日に小林尚俊氏に聞き取り、国際先進材料学会の会長を辞任したことを確認しました。彼はまた、今後、国際先進材料学会の活動に関与しないことを約束しました

良かったですね、小林尚俊さん。共犯者として裁かれなくて。

★捕食会議はつづく

2017年12月14日、レオニッド・シュナイダー(Leonid Schneider)の暴露でアシュトシュ・ティワリ(Ashutosh Tiwari)の捕食学術はかなり控えられたが、やめたわけではない。ある意味、巧妙になった。

2018年の「欧州先端材料科学会議(European Advanced Materials Congress)」は8月20-23日に、クルーズ船で開催された。以下はポスターである。

案内サイトを見ると、主催者の人物が記載されていない。基調講演者の名前も挙がっていない。それなのに参加費は高い。会員でも725ユーロ(約87,000円)である。いかにも捕食会議という印象の案内である。
→ European Advanced Materials Congress

ティワリは捕食会議をその後も開催している。例えば、白楽が気が付いただけで、以下の会議が開催予定である。最初のは、2018年11月15日現在、開催済である。
→ World Congress Series

これらの会議に、しかし、アンソニー・ターナー教授(Anthony Turner)、小林尚俊 (KOBAYASHI, Hisatoshi)は使えない。ミケル・シヴェレヴィ(Mikael Syvajarvi)も表面に出てこない。

そして、ティワリ自身も表面に出てこない。

会議の案内は、捕食会議らしくなっている。

試しに、2018年11月15日現在、開催直後の上記の「2018年11月4-7日、World Congress on Plasma Science and Technology (WCPST)」のサイトhttps://www.physics.worldcongressseries.com/wcpst18/を見てみよう。プログラムに講演者の名前はない。そもそも、大会委員長の名前も書いてない。

日本から参加される日本人の皆さん、これらの会議がどういう会議なのか承知でご参加ください。そして、出張旅費や参加費を研究費(国民の税金)でまかなった場合、後で、捕食会議と承知で参加したことを非難されるかもしれない覚悟でご参加ください。

●6.【著書、論文数と撤回論文、パブピア】

★著書

アシュトシュ・ティワリ(Ashutosh Tiwari)の著書をアマゾンで検索すると、2010-2016年の7年間の30冊以上がヒットした。驚異的な出版数である。
→  Books By Ashutosh Tiwari

30冊以上の内、本のページ数など、2冊を例に見ていこう。

『Advanced Surfaces for Stem Cell Research (Advanced Material Series)』は2016年11月29日、Wiley-Scrivener社から出版した469ページの本である(ISBN: 1119242509)。

『Intelligent Nanomaterials (Advanced Material Series) 2nd Edition』は2016年10月11日、Wiley-Scrivener社から出版した569ページの本である(ISBN番号はない)。小林尚俊 (KOBAYASHI, Hisatoshi)とターナー教授が、ティワリともう1人と共に編集者になっている。

★論文数と撤回論文

2018年11月15日現在、パブメド(PubMed)で、アシュトシュ・ティワリ(Ashutosh Tiwari)の論文を「Ashutosh Tiwari [Author]」で検索すると、2002年以降の論文がヒットするが、2002-2018年の17年間の117論文がヒットした。

同姓同名の研究者が複数人いるので、所属をリンショーピング大学(Linkoping University)に絞り、「(Ashutosh Tiwari [Author]) AND Linkoping University[Affiliation]」で検索すると、2002年以降の論文がヒットするが、2012-2018年の7年間の22論文がヒットした。

22論文の内の20論文はアンソニー・ターナー教授(Anthony Turner)と共著である。

「Tiwari A[Author]」で検索すると、1967-2018年の52年間の1546論文がヒットした。本記事で問題にしている研究者の論文以外の論文が多数含まれていると思われる。

2018年11月15日現在、「Tiwari A[Author] AND Retracted」でパブメドの論文撤回リストを検索すると、3論文が撤回されていた。

3論文とも、論文の共著者であるインド工科大学鉱物科大学院のマドフリ(またはプラシャント・シャルマ(Prashant Kumar Sharma))が実行したデータねつ造・改ざん論文とされている。
→ 化学:ラシュミ・マドフリ(Rashmi Madhuri)(インド)

  1. Single cell imprinting on the surface of Ag-ZnO bimetallic nanoparticle modified graphene oxide sheets for targeted detection, removal and photothermal killing of E. Coli.
    Roy E, Patra S, Tiwari A, Madhuri R, Sharma PK.
    Biosens Bioelectron. 2017 Mar 15;89(Pt 1):620-626. doi: 10.1016/j.bios.2015.12.085. Epub 2015 Dec 29. Retraction in: Biosens Bioelectron. 2018 Jul 30;112:216.
  2. RETRACTED: Graphene quantum dots decorated CdS doped graphene oxide sheets in dual action mode: As initiator and platform for designing of nimesulide imprinted polymer.
    Patra S, Roy E, Choudhary R, Tiwari A, Madhuri R, Sharma PK.
    Biosens Bioelectron. 2017 Mar 15;89(Pt 1):627-635. doi: 10.1016/j.bios.2015.12.053. Epub 2015 Dec 18. Retraction in: Biosens Bioelectron. 2018 Aug 30;114:89.
  3. Therapeutic stimulation of GLP-1 and GIP protein with DPP-4 inhibitors for type-2 diabetes treatment.
    Sharma A, Paliwal G, Upadhyay N, Tiwari A.
    J Diabetes Metab Disord. 2015 Mar 19;14:15. doi: 10.1186/s40200-015-0143-4. eCollection 2015. Retraction in: Sharma A, Paliwal G, Upadhyay N, Tiwari A. J Diabetes Metab Disord. 2015;15(1):34.

★パブピア(PubPeer)

2018年11月15日現在、「パブピア(PubPeer)」では、アシュトシュ・ティワリ(”Ashutosh Tiwari”)の25論文にコメントしている:PubPeer – Search publications and join the conversation.

内、7論文がアンソニー・ターナー教授(Anthony Turner、トニー・ターナー、Tony Turner)と共著である。

2論文が小林尚俊 (KOBAYASHI, Hisatoshi)と共著である。

●7.【白楽の感想】

《1》感想

感想の第1は「唖然」である。驚くべき壮大な捕食学術である。ティワリは天才的だ。

《2》感想

感想の第2はレオニッド・シュナイダー(Leonid Schneider)の調査力に「唖然」である。驚くべき調査力に感動した。それをブログにアップする勇気もスゴイ。

日本にこのような調査力のあるジャーナリストがいないものか。

育ってほしい。

《3》防ぐ方法

このブログはネカト事件を調べ、ネカト防止の対策立案の一助にしたいのが趣旨である。

しかし、ティワリ事件のような壮大な捕食学術は新しい事態だ。学術界は、まずは、このような事件が起こっていること、また、事件の内容を把握することが入口だろう。

日本の研究者も含め、世界中の著名な研究者が、ティワリにコロッと騙されている。出版社、学会を作り、著名学者を招待するなど、要所要所を押さえているからだ。騙されていることにも気が付かない。という反面、実は、かなりの研究者は、捕食学術であることを知りつつ論文を投稿し会議に参加しているだろう。

学術集会に数百人も参加しているのに、誰も、捕食会議であることに気が付かないわけがない。

研究者が恰好の餌食になっているという見方と、研究者は承知していて、簡単に論文が増え楽しい会議に参加しているという見方の両方がある。どちらにしろ、低劣な学術活動に国民の税金が無駄に使われていることは事実だ。

なお、捕食学術活動とまっとうな学術活動をどう切り分けるのか、何か基準があるのだろうか?

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日本がもっと豊かに、そして研究界はもっと公正になって欲しい。正直者が得する社会に!
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アシュトシュ・ティワリ(Ashutosh Tiwari)。https://www.pinterest.ca/pin/851039660809943541/

●8.【主要情報源】

① レンナート・ファルキエフ記者(Lennart Falklof)の「リンショーピング大学(Linkoping University)」記事:2017年12月20日:Allegations of misconduct and other impropriety to be investigated – Linkoping University、2018年1月12日:Has not been a professor – Linkoping University
② 2017年12月14日以降のレオニッド・シュナイダー(Leonid Schneider)のブログ記事群:Ashutosh Tiwari ? For Better Science、(保存版)
③ アシュトシュ・ティワリ(Ashutosh Tiwari)本人のブログ:Dr. Ashutosh Tiwari-Chairman and Managing Director, VBRI Group of Companies
④ 2018年1月16日のダイアナ・クォン(Diana Kwon)の「Scientist」記事:Sensors Journal Pulls Planned Special Issue Due to Guest Editor’s Fake Credentials | The Scientist MagazineR、(保存版)
★記事中の画像は、出典を記載していない場合も白楽の作品ではありません。

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hagi
hagi
2019年12月21日 2:57 AM

当センター バイオ物質センシング研究チームの福田隆史 主任研究員 がInternational Association of Advanced Materials(IAAM:国際先端材料学会)主催による 26th Assembly of Advanced Materials Congress (@ストックホルム、スウェーデン、2019/06/10-/13)

https://unit.aist.go.jp/ssrc/event/event_post1.html?fbclid=IwAR27prYnjytK2Ko-aBF67S0UfXNk8FOmALyoBk8mjj51YO98zCaISQOugDk

記事に名前が出ていたものです
記事に名前が出ていたものです
Reply to  hagi
2019年12月28日 3:23 PM

知り合いから連絡を受け、こちらの記事を拝見致しました。会議に参加する前に読むことができれば、、、と後悔し反省しております。現在、責任をどう取れば良いのか考えております。全ての方にお詫び申し上げます。

hagi
hagi
Reply to  記事に名前が出ていたものです
2020年1月14日 4:43 PM

ご返事ありがとうございます。
アシュトシシ・テシィワリのただの被害者であると信じています。

匿名
匿名
2019年4月25日 9:52 PM

白楽ロックビル 殿

このブログ大変興味深く読ませていただきました。私の所にも先週,Greetings from IAAM, Swedenというメールが来てこのcongress に参加して講演すればaward を授けるとの内容でした。ご丁寧にもCVなども送れとありました。やや怪しげなので無視していたら,今日にもまた同様のメールが来て4月30日までに回答をよこしてくれとありました。そこでINで調べるといくつかの現役の有力教授のサイトにこの賞を受賞したとの誇らしげな報告があったので,少し動揺したら,このサイトに行くつきました。今,ハゲタカ(先生は捕食)ジャーナルが大変問題になっていますが,それこそこれは「捕食賞」ではないかと思えました。なお,この賞についての批判的な記事はこれのみでした。
私はすでに退職しておりますし,今さら「賞」など必要ないですが,これは下手したら恥をかきかねない大変危険なモノではないでしょうか?捕食ジャーナルについては,「騙されて」2・3篇書いたことがあります。しかし,まっとうな学科でしたら,「捕食ジャーナル」掲載論文は参考論文として業績には加えない習慣になっています。私も現役は退いていますが,我が国における研究倫理の低下やさらには日本の国立大学の危機に強い関心を抱いております。