化学工学:トーマス・ウェブスター(Thomas Webster)(米)、ヤン・シェン(沈雁、Yan Shen)(中国)

2021年2月24日掲載 

ワンポイント:この事件は、2020年ネカト世界ランキングの「4D」の「4」に挙げられたので記事にした。ウェブスターはノースイースタン大学工業大学(Northeastern University College of Engineering)・教授である。2020年3月(48歳?)、ネカトハンターのエリザベス・ビック(Elisabeth Bik)がウェブスターの「2017年8月のNanomedicine」論文にねつ造画像を見つけた。第一著者は中国の中国薬科大学(China Pharmaceutical University)のヤナン・イー(Yanan Li)で中国のボスはヤン・シェン副教授(沈雁、Yan Shen)である。ネカト者は特定されていないが、ウェブスターには2002~2020年(30~48歳?)の68論文にネカト疑惑が指摘されているので、ウェブスターを主役に記事にした。現時点では、誰も処分されていない。国民の損害額(推定)は10億円(大雑把)。この記事は白楽ブログの850本目の公開記事です。

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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.概略
2.経歴と経過
3.動画
4.日本語の解説
5.不正発覚の経緯と内容
6.論文数と撤回論文とパブピア
7.白楽の感想
9.主要情報源
10.コメント
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●1.【概略】

トーマス・ウェブスター(Thomas Webster、Thomas J. Webster、ORCID iD:?、写真出典)は、米国のノースイースタン大学工業大学(Northeastern University College of Engineering)・教授で、専門は化学工学(ナノ医学)である。

68論文にネカト疑惑が指摘されているので、ウェブスターを主役に記事にした。

ウェブスターは、10数冊の著書を出版している。例えば、日本語に翻訳されていないが、編著の『硬組織と軟組織の再生のナノテクノロジー(Nanotechnology For The Regeneration Of Hard And Soft Tissues)』(2007年)などがある(本の表紙出典はアマゾン)。

2020年3月(48歳?)、ネカトハンターのエリザベス・ビック(Elisabeth Bik)がウェブスターの「2017年8月のNanomedicine」論文の画像不正を見つけ、ノースイースタン大学・学部長、それに、学術誌・編集部に伝えた。

2020年10月28日(48歳?)、ビックの指摘を受け、論文出版の3年後、「2017年8月のNanomedicine」論文は訂正版を出版した。

ネカト者は特定されていない。

共著者である中国の中国薬科大学(China Pharmaceutical University)のヤン・シェン副教授(沈雁、Yan Shen、写真出典)がネカト者かもしれない。

米国と中国の両大学はネカト調査中と思われる。

ウェブスターの他の論文でねつ造画像が指摘された。盗用も見つかった。利益相反もあった。さらに、「パブピア(PubPeer)」では、ウェブスターの2002~2020年(30~48歳?)の68論文で問題が指摘されている。

ノースイースタン大学(Northeastern University)。写真出典

  • 国:米国
  • 成長国:米国
  • 医師免許(MD)取得:なし
  • 研究博士号(PhD)取得:レンセラー工科大学
  • 男女:男性
  • 生年月日:1971年。仮に1971年12月31日生まれとする
  • 現在の年齢:49 歳?
  • 分野:化学工学
  • 不正論文発表:2002~2020年(30~48歳?)
  • 今回の不正論文発表:2017年(45歳?)
  • 発覚年:2020年(48歳?)
  • 発覚時地位:ノースイースタン大学工業大学・教授
  • ステップ1(発覚):第一次追及者はネカトハンターのエリザベス・ビック(Elisabeth Bik)で、彼女の「Science Integrity Digest」に記事をアップ
  • ステップ2(メディア):レオニッド・シュナイダー、「パブピア(PubPeer)」、「Science Integrity Digest」
  • ステップ3(調査・処分、当局:オーソリティ):①学術誌・編集部
  • 大学・調査報告書のウェブ上での公表:なし
  • 大学の透明性:発表なし(✖)
  • 不正:ねつ造・改ざん
  • 不正論文数:1報訂正。撤回論文なし
  • 時期:研究キャリアの中期から
  • 職:事件後に研究職(または発覚時の地位)を続けた(〇)
  • 処分:なし
  • 日本人の弟子・友人: 株式会社小松精機工作所(諏訪市)が医療用材料の共同開発(2019年11月7日報道)

【国民の損害額】
国民の損害額:総額(推定)は10億円(大雑把)。

●2.【経歴と経過】

  • 生年月日:1971年。仮に1971年12月31日生まれとする
  • 1995年(23歳?):ピッツバーグ大学(University of Pittsburgh)で学士号取得:化学工学
  • 2000年(28歳?):レンセラー工科大学(Rensselaer Polytechnic Institute)で研究博士号(PhD)を取得:医用生体工学
  • 2000年(28歳?):パデュー大学(Purdue University)・助教授:Professor Tom Webster Receives Engineering’s Young Researcher Excellence Award – Biomedical Engineering – Purdue University
  • 2012年秋(40歳?):ノースイースタン大学工業大学(Northeastern University College of Engineering)・準教授(?)、その後、正教授
  • 2017年(45歳?):後で問題視される「2017年8月のNanomedicine」論文を出版
  • 2020年3月(48歳?):不正研究が発覚
  • 2020年10月28日(48歳?):「2017年8月のNanomedicine」論文を訂正

●3.【動画】

以下は事件の動画ではない。

【動画1】
研究を説明している動画:「Thomas Webster – Chair & Professor, Department of Chemical Engineering – YouTube」(英語)1分18秒。
Northeasternが2014/10/16に公開

【動画2】
学術誌「International Journal of Nanomedicine」を説明している動画:「Professor Thomas J Webster Editor-in-Chief of the International Journal of Nanomedicine YouTube」(英語)0分51秒。
Dove Medical Pressが2019/05/20に公開

●4.【日本語の解説】

★2019年11月7日:長野県(産業労働部)プレスリリース:著者不記載:「県内企業が米国の研究機関との共同により医療用材料の開発に取り組みます」

出典 → ココ、(保存版) 

株式会社小松精機工作所(諏訪市)は、米国国立科学財団(National Science Foundation(NSF))の産学連携推進事業(Center for Disruptive Musculoskeletal Innovations(CDMI))の採択を受け、米国の研究機関との共同により、医療用材料の開発に取り組みます。

開発テーマ
インプラント展開も見据えた「超微細粒ステンレス鋼(nanoSUS®)」※1による医療用材料の開発

※1:株式会社小松精機工作所が国立研究開発法人物質・材料研究機構からの技術移転により量産体制を構築した、結晶粒径を微細にコントロールしたステンレス鋼。高い強度を示し、同社では内視鏡用処置具を中心に、医療機器産業へ展開している。

共同開発者
ノースイースタン大学 Thomas J. Webster教授

背景
株式会社小松精機工作所は、長野県テクノ財団の支援を受け、医療機器産業の集積地、米国・マサチューセッツ州における医療機器産業委員会(Massachusetts Medical Device Industry Council(MassMEDIC))との関係を構築。
同社がMassMEDICの初代PresidentであるSommer氏にnanoSUS®のアメリカ展開について相談したところ、ノースイースタン大学(米国・マサチューセッツ州・ボストン)の医療用微細化材研究の世界的権威※2であるWebster教授を紹介される。
※2:Webster教授のチームは、材料表面を微細化し、抗菌性を高めた医療機器を開発、世界で初めて米国食品医薬品局(FDA)の認可を受けた。

同社がWebster教授にnanoSUS®の生物学的な特性に関する基礎研究を依頼したところ、結晶微細化による抗菌性が示唆され、2019年9月には共同で特許を国際出願。
同社は、2019年10月にNSFのCDMI事業の採択を受け、nanoSUS®のインプラント展開も見据え、Webster教授との医療用材料の共同開発を本格化。

●5.【不正発覚の経緯と内容】

この事件は、2020年ネカト世界ランキングの「4D」の「4」に挙げられたので記事にした。

★著名だが、灰色

ウェブスターはノースイースタン大学工業大学(Northeastern University College of Engineering)の教授で、著名だが、灰色である。

以下に示すように、「13冊の著書、書籍での68章執筆、276回の招待講演、583報の査読あり論文発表、867回学会発表、42件の特許申請」、とスゴイ研究業績がある。出典 → 2020年3月19日のレオニッド・シュナイダー(Leonid Schneider)のブログ記事:Thomas Webster to save the world with COVID-19 nanoparticles – For Better Science

しかし、ウェブスターは捕食学術誌にたくさんの論文を出版し、捕食学術誌の編集長になっている。つまり、よからぬ方法で論文数・講演数を稼いでいる。

以下は、捕食学術集会の案内である。ウェブスターの名前が出てくる。

★発覚

2020年3月(48歳?)、ネカトハンターのエリザベス・ビック(Elisabeth Bik、写真出典)がウェブスターの「2017年8月のNanomedicine」論文の画像不正を見つけ、ノースイースタン大学・学部長、それに、学術誌・編集部に伝えた。

画像不正の内容は後述する。

学術誌・編集部はビックに返事をしなかった。この返事なしは、出版規範委員会(COPE)のガイドラインに違反している。 → RespondingToWhistleblowers_ConcernsRaisedDirectly.pdf

ノースイースタン大学・学部長もビックに返事をしなかった。

2020年11月16日(48歳?)、11か月後、事態が大きくなって初めて、ノースイースタン大学・学部長は、2020年 3月にビックのメールを受け取った事、事件の対処をしていることをビックに伝えた。

★ネカト者

「2017年8月のNanomedicine」論文の第一著者は中国の中国薬科大学(China Pharmaceutical University)のヤナン・イー(Yanan Li)である。ヤナン・イーは「研究博士号(PhD)所持者」なので、ポスドクと思われるが、白楽は顔写真や経歴を把握できなかった。男性か女性かも不明である。

ヤナン・イーの中国のボスはヤン・シェン副教授(沈雁、Yan Shen、写真出典)で、シェン副教授は2016年に1年間、客員研究員として米国のウェブスター研究室に滞在した。それで、ウェブスターとの共著論文が結構ある。

「2017年8月のNanomedicine」論文のネカト者は特定されていないが、ヤン・シェンとウェブスターの2人とも論文の責任著者である。

過去の撤回論文数を調べると、ヤン・シェンは2008年の1報が2019年に、2010年の3報が2010年に、2016年の1報が2017年に撤回されていた。一方、ウェブスターには撤回論文がない。それで、この過去の情報から、ヤン・シェンがネカト者だろうと思う。

ただ、著者の中でウェブスターが最も重要人物である。また、「パブピア(PubPeer)」でヤン・シェンの13論文にコメントが付いているが、ウェブスターには2002~2020年(30~48歳?)の68論文にコメントが付いている。後述するが、ウェブスターには盗用論文もあるし、画像の重複使用もある。

さらに、ウェブスターは次項で示すように利益相反もある。それで、ウェブスターの方がネカト者の可能性が高い(というか2人共ネカト者だろう)。

本記事では、ウェブスターを主役に記事にした。

なお、ウェブスターはネカト指摘を受け、たくさんの情報と写真を掲載していた自分のサイト(http://www.websternano.org/)を閉鎖した。しかし、以下に示すように、誰かが、すでに保存していた。 → Webster Nanomedicine Laboratory | @ Northeastern University

★利益相反

上記した「2017年8月のNanomedicine」論文は学術誌「Nanomedicine」の論文だが、ネカトとは別件で、ビックはウェブスターの利益相反も指摘した。

ウェブスターは、問題の論文を出版した学術誌「Nanomedicine」の編集委員 (Associate Editors)に就任していたのだ。→ Editorial board – Nanomedicine: Nanotechnology, Biology and Medicine | ScienceDirect.com by Elsevier

ということは、ヒョットすると、自分が投稿した論文を自分で受理した? イヤイヤ、自分で受理したかどうかは不明である。

自分で受理ということはないだろうが、編集委員が投稿した論文を他の編集委員はケチつけにくいだろう。

また、編集委員の論文がネカト疑惑を受けても、学術誌として、その論文のネカト調査を進めにくいだろう。

さらに、ウェブスターは別の学術誌「International Journal of Nanomedicine」の編集長に就任していた。 → International Journal of Nanomedicine – Dove Press

そして、自分が編集長を務めるこの学術誌「International Journal of Nanomedicine」に、ウェブスターは「186報の論文」を出版している。

さらに、その186論文の内、10数報にねつ造画像が指摘されたのだ。

編集長や編集委員長の論文のネカト・クログレイを客観的に調査するのは難しい。多くの場合、編集委員会は、論文撤回ではなく、軽い訂正で「良し」としてしまうだろう、とビックは指摘している。

トーマス・ウェブスター(Thomas Webster)は利益相反ルールの違犯者ということになる。

【ねつ造・改ざんの具体例】

図と内容の出典は主に → 2020年11月5日のエリザベス・ビック(Elisabeth Bik)記者の「Science Integrity Digest」記事:“Nanomedicine: Nanotechnology, Biology and Medicine” wins third “This Image Is Fine” Award – Science Integrity Digest
 →  2020年3月19日のレオニッド・シュナイダー(Leonid Schneider)のブログ記事:Thomas Webster to save the world with COVID-19 nanoparticles – For Better Science

★「2017年8月のNanomedicine」論文

「2017年8月のNanomedicine」論文の書誌情報を以下に再掲する。2021年2月20日現在、撤回されていない。

以下の図3BはPRZミセルの電子顕微鏡写真である。

論文では、図3Bの粒子を計測して、ミセルの形状とサイズ分布を示し、ミセルが「比較的均一な球形だった」と結論した。

しかし、図をよく見ると、黒い点(つまり、ミセル)と背景模様は、よく似ているように見える。

それで、ビックは、同色の枠で同じ黒い点(つまり、ミセル)をマークした(下の画像)。類似画像だらけになってしまった。

さらに、類似画像を検出するソフト「Forensically」処理した。以下のように画素(ピクセル)レベルで類似していた。つまり、まったく同じ画像であることが示された。

これは「不注意によるミス」という話ではない。複数の箇所で写真画像がこのように同じになることはあり得ない。

図3Bの解像度はかなり高いのでアーティファクトでもない。写真を巧妙に加工した「ねつ造」画像である。

2020年10月28日、ビックに指摘され、原著論文出版の3年後、ウェブスターは「2017年8月のNanomedicine」論文の訂正版を出版した。 → 訂正公告

訂正公告に示された図3Bの訂正版を以下に示すが、訂正前の図3Bに比べ、黒い点(つまり、ミセル)は、かなり不ぞろいである。

なお、ビックが指摘しているが、画像の変更は「訂正」としてはならない。画像の変更を「訂正」する行為は出版規範委員会(COPE)のガイドラインに違反している。画像の変更は論文の「撤回」になる。 → COPE_FLOW_Image_Manip_SCREEN_AW2.pdf

★「2004年8月のBiomaterials」論文

「2004年8月のBiomaterials」論文の書誌情報を以下に示す。2021年2月20日現在、撤回されていない。

2020年3月25日、エリザベス・ビック(Elisabeth Bik)が自己盗用を指摘(commented March 25th, 2020 2:32 PM and accepted March 25th, 2020 2:32 PM) → 出典:https://pubpeer.com/publications/F6AF13F2B3EEBD9A1E50796474A431#3

盗用比較図(数ページ)で、左が2002年6月の被盗用論文、右が盗用「2004年8月のBiomaterials」論文。

以下に示すように、表も酷似とエリザベス・ビック(Elisabeth Bik)が指摘した。

★「2017年4月のInt J Nanomedicine」論文

「2017年4月のInt J Nanomedicine」論文の書誌情報を以下に示す。2021年2月20日現在、撤回されていない。

2020年3月20日、Actinopolyspora Biskrensisが画像の重複使用を指摘(commented March 20th, 2020 2:23 AM and accepted March 20th, 2020 2:23 AM) → 出典:https://pubpeer.com/publications/BA213EB40871AAE3F2AF17EE356013

●6.【論文数と撤回論文とパブピア】

★パブメド(PubMed)

2021年2月23日現在、パブメド(PubMed)で、トーマス・ウェブスター(Thomas Webster)の論文を「Thomas J. Webster [Author]」で検索した。この検索方法だと、2002年以降の論文がヒットするが、2002~2021年の20年間の482論文がヒットした。

「Webster TJ」で検索すると、 496論文がヒットした。

2021年2月23日現在、「Retracted Publication」のフィルターでパブメドの論文撤回リストを検索すると、0論文が撤回されていた。

★撤回監視データベース

2021年2月23日現在、「撤回監視(Retraction Watch)」の撤回監視データベースでトーマス・ウェブスター(Thomas Webster)を「Thomas Webster」で検索すると、 0論文が訂正、0論文が懸念表明、0論文が撤回されていた。「Webster」で検索すると、6論文が撤回されているが、「Thomas Webster」の論文ではない。

なお、ヤン・シェン副教授(沈雁Yan Shen)を「Yan Shen」で検索すると、0論文が訂正、0論文が懸念表明5論文が撤回されていた。5論文ともトーマス・ウェブスター(Thomas Webster)は共著者ではない。

2008年の1報が2019年に、2010年の3報が2010年に、2016年の1報が2017年に撤回されていた。

★パブピア(PubPeer)

2021年2月23日現在、「パブピア(PubPeer)」では、トーマス・ウェブスター(Thomas Webster)の論文のコメントを「”thomas J webster”」で検索すると、68論文にコメントがあった。

なお、ヤン・シェン副教授(沈雁、Yan Shen)の論文のコメントを「”Yan Shen”」で検索すると、13論文にコメントがあった。内、11論文はトーマス・ウェブスター(Thomas Webster)と共著だった。

●7.【白楽の感想】

《1》調査 

トーマス・ウェブスター(Thomas Webster、写真出典)は「2017年8月のNanomedicine」論文のねつ造画像だけでなく、他論文での画像のねつ造、文章の盗用、そして、利益相反と状況証拠としてはクログロとしている。

「パブピア(PubPeer)」で2002~2020年(30~48歳?)の68論文にコメントがある。クロの濃さはかなり濃い。18年間の68論文である。

最初のネカト論文は、パデュー大学(Purdue University)・助教授だった2002年(30歳?)の論文である。この時、ネカトを見つけ、摘発しておけば、その後18年間の疑惑の68論文に至らなかっただろう。

ところが、パデュー大学は 2004年、ウェブスターに「Young Researcher Excellence Award 」という賞をを与えて称賛したのである。困ったもんだ。 → Professor Tom Webster Receives Engineering’s Young Researcher Excellence Award – Biomedical Engineering – Purdue University

一方、共著者の中国薬科大学(China Pharmaceutical University)のヤン・シェン副教授(沈雁、Yan Shen)も状況証拠としてはクログロとしている。ヤン・シェン副教授は、2008年の1報が2019年に、2010年の3報が2010年に、2016年の1報が2017年に撤回されていた。

「黒に交われば黒くなる」。「クロがクロを呼ぶ」。

イヤイイヤ、2人共ネカト無罪で、「2017年8月のNanomedicine」論文の画像ねつ造は他の共著者という可能性は、ウ~ン、あるかもしれない。イヤ、ほぼないだろう。

ノースイースタン大学工業大学は調査中だと思うが、中国薬科大学も調査した方がいい。「2017年8月のNanomedicine」論文の画像ねつ造犯の調査に関しては、相互の主張に矛盾点が出てくれば、国をまたがるので、解決は難しいだろう。

しかし、ウェブスターとヤン・シェンが共著でない論文で、両者とも、ネカトと思われる論文が複数ある。両大学はしっかり調査して欲しい。

《2》学術誌

「2017年8月のNanomedicine」論文のネカト指摘に関しては、学術誌「Nanomedicine」は出版規範委員会(COPE)のガイドラインに従っていない。

学術誌「Nanomedicine」はエルゼビア社(Elsevier)が隔月で発行する査読付き学術誌でインパクトファクターが5.182である。かなりまともな学術誌に思える。

それなのに、このテイタラクである。

こうなると、なかなか厄介である。

編集長が無能で、エルゼビア社(Elsevier)が指導できない。となると、誰も改善をマネージできない。学術誌のネカト対処がズサンだと、学術界は結構困った状況になる。

ネカト事件に接すると、多くの人は、ネカトする研究者側の問題だけに焦点を合わせてしまう。

しかし、対処する学術誌、対処する大学、にも対処上の重要な欠陥がある場合が多い。そして、これらの問題を改善するシステムが貧困である。

なんか、多段階で、困った状況ですね。

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●9.【主要情報源】

① ウィキペディア英語版:Thomas J. Webster – Wikipedia
② 2020年3月19日のレオニッド・シュナイダー(Leonid Schneider)のブログ記事:Thomas Webster to save the world with COVID-19 nanoparticles – For Better Science
③ 2020年11月5日のエリザベス・ビック(Elisabeth Bik)記者の「Science Integrity Digest」記事:“Nanomedicine: Nanotechnology, Biology and Medicine” wins third “This Image Is Fine” Award – Science Integrity Digest
★記事中の画像は、出典を記載していない場合も白楽の作品ではありません。

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