マリア・フステリ(Maria Fousteri)(オランダ)

2020年11月8日掲載 

ワンポイント:調査報告書が公表されている事件。2003-2009年(31-37歳?)、フステリはオランダのライデン大学病院(Leiden University Medical Center)・ポスドクだった。この時の論文が、2011年(39歳?)、ねつ造・改ざんと告発された。ライデン大学病院の調査委員会はシロと結論したが、オランダ研究公正委員会(LOWI:Netherlands Board on Research Integrity)に調査を依頼した。2016年6月16日(44歳?)、ライデン大学病院はオランダ研究公正委員会の調査結果に基づき、前回と真逆で、フステリの2報の論文にデータねつ造・改ざんがあったと発表し、論文撤回を勧告した。しかし、2020年11月7日現在、論文は撤回されていない。フステリは、ネカト騒動前の2010年(38歳?)、ギリシャに帰国し、アレクサンダーフレミング生物医学研究センターの助教授に就任した。フステリは、処罰を科されていない。国民の損害額(推定)は2億円(大雑把)。

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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.概略
2.経歴と経過
5.不正発覚の経緯と内容
6.論文数と撤回論文とパブピア
7.白楽の感想
9.主要情報源
10.コメント
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●1.【概略】

マリア・フステリ(Maria Fousteri、ギリシャ語:Μαρία Φουστέρη、ORCID iD:https://orcid.org/0000-0003-1729-5899、写真出典)は、ギリシャのアテネ大学(University of Athens)で研究博士号(PhD)を取得し、2003-2009年(31-37歳?)、オランダのライデン大学病院(Leiden University Medical Center)・ポスドクだった。専門は分子細胞生物学(DNA損傷修復と癌)である。

フステリ事件は調査報告書が公表されている事件の1つ:Reports of misconduct investigations can tell us a lot. Here are more than a dozen of them. – Retraction Watch

2011年4月(39歳?)、オランダのライデン大学病院(Leiden University Medical Center)の女性院生のサスキア・ヴォルステンボッシュ(Saskia Vorstenbosch)は、2年前までポスドクだったフステリの論文の追試ができないと、レオン・マレンダーズ教授(Leon H.F. Mullenders)に伝えた。2か月後、マレンダーズ教授は大学病院に通報した。

2014年1月(42歳?)、ライデン大学病院・調査委員会は、「フステリがデータねつ造をしたという明確な証拠は得られなかった」と結論した。

しかし、ライデン大学病院は、外部調査として、オランダ研究公正委員会(LOWI:Netherlands Board on Research Integrity)に調査を依頼した。

2015年9月1日(43歳?)、オランダ研究公正委員会は調査を終え、122頁の調査報告書をまとめた。しかし、約9か月間公表されなかった。

2016年6月16日(44歳?)、ライデン大学病院は、黒塗りしたオランダ研究公正委員会の調査報告書を公表し、フステリの2報の論文(「2006年のMol Cell」論文と「2007年のMol Cell」論文)にデータねつ造・改ざんを見つけ、撤回勧告したと発表した。

しかし、2020年11月7日(48歳?)現在、フステリはどこからも処分を受けず、論文は1報も撤回されていない。

2010年(38歳?)、ネカトと告発される前、フステリは、母国・ギリシャに帰国し、アレクサンダーフレミング生物医学研究センター(Biomedical Sciences Research Center “Alexander Fleming”)・助教授に就任した。

フステリは、その後、巨額の研究費を得て、ギリシャのスタ―科学者になった。

2020年11月7日(48歳?)現在、フステリは、アレクサンダーフレミング生物医学研究センター・主宰研究者(教授相当?)に在職している。 → Maria Fousteri, Ph.D.

ライデン大学病院(Leiden University Medical Center)の入口前に立つ白楽、2006年4月。写真所有者:白楽

  • 国:オランダ
  • 成長国:ギリシャ
  • 医師免許(MD)取得:なし
  • 研究博士号(PhD)取得:ギリシャのアテネ大学
  • 男女:女性
  • 生年月日:不明。仮に1972年1月1日生まれとする。1999年に研究博士号(PhD)を取得した時を27歳とした
  • 現在の年齢:49 歳?
  • 分野:分子細胞生物学
  • 最初の不正論文発表:2005年(33歳?)
  • 不正論文発表:2005-2010年(33-38歳?)
  • 発覚年:2011年(39歳?)
  • 発覚時地位:ギリシャのアレクサンダーフレミング生物医学研究センター・助教授
  • ステップ1(発覚):第一次追及者はライデン大学病院(Leiden University Medical Center)の女性院生のサスキア・ヴォルステンボッシュ(Saskia Vorstenbosch)で、ボスに通報した
  • ステップ2(メディア):レオニッド・シュナイダー(Leonid Schneider)のブログ、「パブピア(PubPeer)」、「撤回監視(Retraction Watch)」
  • ステップ3(調査・処分、当局:オーソリティ):①ライデン大学病院・調査委員会。②オランダ研究公正委員会(LOWI:Netherlands Board on Research Integrity)。③ギリシャのアレクサンダーフレミング生物医学研究センター・調査委員会。④英国のサセックス大学・調査委員会
  • 大学・調査報告書のウェブ上での公表:あり。黒塗り → https://www.lumc.nl/cen/att/80813053317221/1263833/report-lumc-committee-scientific-integrity。なお、「撤回監視(Retraction Watch)」が黒塗りなしの全文(122頁)を公表した → http://retractionwatch.com/wp-content/uploads/2018/09/Fousteri-rprt.pdf
  • 大学の透明性:黒塗り発表・隠匿(Ⅹ)
  • 不正:ねつ造・改ざん
  • 不正論文数:5報。しかし、1報も撤回されていない
  • 時期:研究キャリアの中期から
  • 職:事件後に研究職(または発覚時の地位)を続けた(〇)
  • 処分:なし
  • 日本人の弟子・友人:日本人との共著論文がいくつもある。荻朋男(OGI Tomoo、名古屋大学環境医学研究所・教授)は問題論文の第一著者。他に、Katsuya Takenaka, Yuka Nakazawa, Atsuko Niimi, Yoshio Miki, , Shunichi Yamashita、Mitsuo Fujimotoなどの日本人名の共著者がいる

【国民の損害額】
国民の損害額:総額(推定)は2億円(大雑把)。

●2.【経歴と経過】

主な出典:Fousteri_CV_old.pdf000

  • 生年月日:不明。仮に1972年1月1日生まれとする。1999年に研究博士号(PhD)を取得した時を27歳とした
  • 19xx年(xx歳):ギリシャのアリストテレス大学(Aristotle University)で学士号取得:生物学
  • 1999年(27歳?):ギリシャのアテネ大学(University of Athens)で研究博士号(PhD)を取得:分子生物学・遺伝学
  • 1999-2003年(27-31歳?):英国のサセックス大学(University of Sussex)・ポスドク
  • 2003-2009年(31-37歳?):オランダのライデン大学病院(Leiden University Medical Center)・ポスドク
  • 2010年(38歳?):ギリシャのアレクサンダーフレミング生物医学研究センター(Biomedical Sciences Research Center “Alexander Fleming”)・助教授
  • 2011年(39歳?):不正研究が発覚
  • 2016年6月16日(44歳?):ライデン大学はフステリがクロと発表
  • 2020年11月7日(48歳?)現在:アレクサンダーフレミング生物医学研究センター(Biomedical Sciences Research Center “Alexander Fleming”)・主宰研究者(教授相当?)に在職

●5.【不正発覚の経緯と内容】

★ギリシャのスタ―科学者

マリア・フステリ(Maria Fousteri)はギリシャで育ち、1999年(27歳?)にアテネ大学(University of Athens)で研究博士号(PhD)を取得し、1999-2003年(27-31歳?)に英国のサセックス大学(University of Sussex)・ポスドクになった。

その後、2003-2009年(31-37歳?)、オランダのライデン大学病院(Leiden University Medical Center)・ポスドクになった。この時のボスはレオン・マレンダーズ教授(Leon H.F. Mullenders)だった。

このポスドクの時に出版した「2006年のMol Cell」論文と「2007年のMol Cell」論文は、DNA損傷修復と癌の研究では画期的だった。

  • Fousteri M, Vermeulen W, van Zeeland AA, Mullenders LH.
    Cockayne syndrome A and B proteins differentially regulate recruitment of chromatin remodeling and repair factors to stalled RNA polymerase II in vivo.
    Mol Cell 2006; 23: 471-82 (+ Supplemental Data).
  • Moser J, Kool H, Giakzidis I, Caldecott K, Mullenders LH, Fousteri MI..
    Sealing of chromosomal DNA nicks during nucleotide excision repair requires XRCC1 and DNA ligase III alpha in a cell-cycle-specific manner.
    Mol Cell 2007; 27: 311-323 (+ Supplemental Data).

2010年(38歳?)、母国ギリシャに帰国し、アレクサンダーフレミング生物医学研究センター(Biomedical Sciences Research Center “Alexander Fleming”)の助教授に就任した。

2012年7月(40歳?)、欧州研究評議会(European Research Council:ERC)から150万ユーロ(約1億8千万円)の巨額の研究費を得て、研究室を主宰した。ギリシャのスタ―科学者である。 → Maria Fousteri, Ph.D.

★発覚の経緯

この項の主たる出典は→ 2017年9月23日の記事:Toen deze promovenda een fraudeur ontmaskerde, keken haar collega’s weg – De Groene Amsterdammer

2011年4月(39歳?)、オランダのライデン大学病院(Leiden University Medical Center)の女性院生のサスキア・ヴォルステンボッシュ(Saskia Vorstenbosch、写真出典)は、2年前までポスドクだったマリア・フステリ(Maria Fousteri)の論文の異常を、レオン・マレンダーズ教授(Leon H.F. Mullenders)に伝えた。

ヴォルステンボッシュ、フステリ、マレンダーズ教授が集まり、た。

ヴォルステンボッシュはコンピューター画面に問題の図を表示し、フステリにその説明を求めた。しかし、フステリとマレンダーズ教授は、困惑した表情で、なぜこの図とこの図が同じ図なのかと言うばかりで、図を切り貼りした以外の結論は出てこなかった。

話し合いが終わった後、ヴォルステンボッシュのところにフステリが泣きながらやって来た。「彼女は長い溜息をついた後、申し訳ありませんが、ネカトと糾弾されるなんて、まったく予想していませんでした。あなたが何をしているのかをわかっていますか? このままだと、私は名前も面目も失ないます。あなたは、これ以上、何もしないでください。本当にお願いです」、と訴えた。

ヴォルステンボッシュはフステリの懇願が本物かどうか、疑っていた。フステリは今まで何度もこんな風に、人を操作していた。

ヴォルステンボッシュがマレンダーズ教授らとデータ精査をしてから 2か月の間、公式の措置が講じられなかった。それで、ヴォルステンボッシュはマレンダーズ教授のところに行き、ネカトを公式に告発するつもりだが、自分1人でするか一緒にするか、どうします、と伝えた。すると、マレンダーズ教授は彼がすると言ったのだ。

2011年6月20日(39歳?)、マレンダーズ教授はマリア・フステリ(Maria Fousteri)のネカト疑惑をライデン大学病院に伝えた。

なお、女性院生のヴォルステンボッシュは自分の研究プロジェクトがネカト論文を土台に組み込まれていたことと、院生の出鼻でネカト事件に遭遇したことで、結局、博士号の取得をあきらめ、大学院を中退した。

★ライデン大学病院の調査委員会

ライデン大学病院は調査委員会を設置し調査を開始した。

2013年3月8日(41歳?)、調査委員会は、2報の論文に不規則の証拠を見つけた。フステリは1報の図のデータねつ造を認めた。

ところが、論文を撤回しないで、フステリはデータねつ造を認めたことを撤回した。

2014年1月(42歳?)、ライデン大学病院・調査委員会は、「フステリの研究の複雑さを考慮すると、フステリがデータねつ造をしたという明確な証拠は得られなかった」と結論した。

上記の決定は上訴され、外部の調査委員会、つまり、オランダ研究公正委員会(LOWI:Netherlands Board on Research Integrity)に調査を依頼することとなった。

★オランダ研究公正委員会(LOWI:Netherlands Board on Research Integrity)

2016年6月16日(44歳?)、ライデン大学病院は、オランダ研究公正委員会(LOWI:Netherlands Board on Research Integrity)の調査結果に基づき、「2006年のMol Cell」論文、「2007年のMol Cell」論文、「2010年3月のMol Cell」論文、「2010年6月のMol Cell」論文、「2005年のMol. Cell. Biol.」論文の5報にデータねつ造・改ざんを見つけ、前者の4報の論文撤回を示唆した。

ただ、「2005年のMol. Cell. Biol.」論文と「2010年3月のMol Cell」論文の2報は英国のサセックス大学(University of Sussex)・ポスドク時代の出版なので、オランダ研究公正委員会の調査は不十分だと付記した。

結局、ライデン大学病院は、ライデン大学病院から出版したフステリの2報の論文、「2006年のMol Cell」論文と「2007年のMol Cell」論文、にデータねつ造・改ざんがあり、撤回を勧告したと発表した。 → 2016年6月16日記事:LUMC publishes investigation report about two publications by scientist | LUMC

ライデン大学病院の学部長(dean、病院長のこと?)のパンクラス・ホーゲンドーム学部長(Pancras Hogendoorn、写真出典)は、次のように述べた。

院生とテクニシャンからの通報で、ライデン大学病院はネカト疑惑の内部調査を実施しました。当初、決定的な証拠は見つかりませんでした。しかし、オランダ研究公正委員会(LOWI:Netherlands Board on Research Integrity)による調査で、事件に関する新しい事実が明らかになりました。その後、ライデン大学病院は新たな調査を開始し、その調査の結果、当初の結論と異なる結論が得られました。つまり、データセットが1人の従業員(フステリのこと:白楽が記入)によって意図的に操作されたことが明らかになりました。

上記の記事の末尾で、2015年9月1日付けの調査報告書(黒塗り)を公開した。フステリという個人が特定できる部分を黒塗りしていた。黒塗りではない調査報告書は、関係者だけに送付したらしい。

以下は2015年9月1日の調査報告書の冒頭部分(出典:同)。

黒塗りされた調査報告書(全15頁)。以下は冒頭部分。→ https://www.lumc.nl/cen/att/80813053317221/1263833/report-lumc-committee-scientific-integrity

黒塗していない全文(122頁)の調査報告書も「撤回監視(Retraction Watch)」が公開した。以下は冒頭部分。 → http://retractionwatch.com/wp-content/uploads/2018/09/Fousteri-rprt.pdf

★困った出版社と困った助成機関

ホーゲンドーム学部長は、学術誌「Mol Cell」に、「2006年のMol Cell」論文と「2007年のMol Cell」論文の撤回を要請した(以下の手紙)。以下の手紙は黒塗りだが、フステリという個人が特定できる部分を塗りつぶしてある。内容は推察できると思う。出典:https://forbetterscience.com/2018/11/09/fousteri-affair-dutch-integrity-thwarted-by-academic-indecency/

2020年11月7日現在、しかし、論文は撤回されていない。

レオニッド・シュナイダーの「論文が撤回されていないが、どうなっている?」との問い合わせに、ホーゲンドーム学部長は、「私たちは論文撤回のためにかなりの努力をしました。それなのに、学術誌は論文を撤回しません。大いに不満です」と答えている。

レオニッド・シュナイダーによれば、「Mol Cell」論文の出版元であるセル・プレス社(Cell Press)は、著者本人から撤回要請がないと、論文を撤回しないそうだ。困った出版社である。

欧州研究評議会(European Research Council:ERC)も困った助成機関である。

2012年7月(40歳?)、欧州研究評議会は150万ユーロ(約1億8千万円)という巨額の研究費をフステリに助成した。2016年6月16日(44歳?)、ライデン大学病院はフステリをクロと結論した。

ところが、と言っても、いつものことだが、欧州研究評議会はネカト通知を無視し、何も起こらなかったかのように、フステリ に2018年10月31日の最後まで助成金を支払い続けた。

★レオン・マレンダーズ教授(Leon H.F. Mullenders)

フステリがネカト論文を出版した時のボスだったレオン・マレンダーズ教授(Leon H.F. Mullenders)は、リーダーシップが貧弱だったと非難され、ライデン大学病院を引退した(emeritus retirement)。

ただ、マレンダーズ教授はフステリを支持し、ネカトと訴えた女性院生のサスキア・ヴォルステンボッシュ(Saskia Vorstenbosch)が示したネカトの証拠を次のように否定した。

「それはおそらくデータを綺麗に見せるための装飾です。真実を傷つけていないので、問題ではありません」。

★ギリシャのアレクサンダーフレミング生物医学研究センター

2010年(38歳?)、ライデン大学病院でポスドクを務めた後、フステリはギリシャに帰国し、アレクサンダーフレミング生物医学研究センターの助教授になった。

2016年6月16日(44歳?)にライデン大学は、フステリがデータねつ造・改ざんしたと公式に発表した。この時、フステリはギリシャに帰国して6年も経過していた。

2016年(44歳?)、ライデン大学がクロと発表してしばらく経った頃、レオニッド・シュナイダー(Leonid Schneider)は、アレクサンダーフレミング生物医学研究センターにフステリのネカト行為を知っているかと問い合わせた。

バビス・サバキス所長(Babis Savakis、写真出典)は次のように答えた。

フレミングはこのケースを認識しております。現在調査中です。 慎重かつ徹底的な審査が完了した後、私たちは決定します。それまでは、方針としてコメントはできません」。

★英国のサセックス大学

フステリはライデン大学病院でポスドクを務める前、1999-2003年(27-31歳?)、英国のサセックス大学(University of Sussex)のポスドクだった。

2016年(44歳?)、レオニッド・シュナイダー(Leonid Schneider)は、サセックス大学時代のボスのアラン・レーマン教授(Alan Lehmann、写真出典)に、共著論文にフステリのネカト行為があるのではないかと問い合わせた。

フステリはアラン・レーマン教授と共著で以下の3報を出版していた。

  1. Three DNA polymerases, recruited by different mechanisms, carry out NER repair synthesis in human cells.
    Ogi T, Limsirichaikul S, Overmeer RM, Volker M, Takenaka K, Cloney R, Nakazawa Y, Niimi A, Miki Y, Jaspers NG, Mullenders LH, Yamashita S, Fousteri MI, Lehmann AR.
    Mol Cell. 2010 Mar 12;37(5):714-27. doi: 10.1016/j.molcel.2010.02.009.
  2. Transcription-associated breaks in xeroderma pigmentosum group D cells from patients with combined features of xeroderma pigmentosum and Cockayne syndrome.
    Theron T, Fousteri MI, Volker M, Harries LW, Botta E, Stefanini M, Fujimoto M, Andressoo JO, Mitchell J, Jaspers NG, McDaniel LD, Mullenders LH, Lehmann AR.
    Mol Cell Biol. 2005 Sep;25(18):8368-78. doi: 10.1128/MCB.25.18.8368-8378.2005.
  3. Composition and architecture of the Schizosaccharomyces pombe Rad18 (Smc5-6) complex.
    Sergeant J, Taylor E, Palecek J, Fousteri M, Andrews EA, Sweeney S, Shinagawa H, Watts FZ, Lehmann AR.
    Mol Cell Biol. 2005 Jan;25(1):172-84. doi: 10.1128/MCB.25.1.172-184.2005.

アラン・レーマン教授は次のように回答した。

サセックス大学は独自に調査を行なっています。この調査の結果によっては、フステリとの共著論文に対して取るべき適切な行動について、学術誌「Molecular Cell」と話し合います」。

2018年11月9日(46歳?)のレオニッド・シュナイダーの記事では、サセックス大学は無視することに決めたようだ、とある。

サセックス大学は学術誌・編集部に「Mol Cell Biol」論文の論文撤回に関して何も連絡していなかった。

従って、「2005年のMol Cell Biol」論文を含め、「2010年3月のMol Cell」論文(荻 朋男(OGI Tomoo、現:名古屋大学環境医学研究所・教授)が第一著者)は論文撤回の対象だったが、論文は撤回されていない。

【ねつ造・改ざんの具体例】

オランダ研究公正委員会(LOWI:Netherlands Board on Research Integrity)の調査報告書には「2006年のMol Cell」論文のデータねつ造・改ざんを例示しているが、パブピアでも公開されているので、パブピアのを利用した。

★「2006年のMol Cell」論文

「2006年のMol Cell」論文の書誌情報を以下に示す。2020年11月7日現在、撤回されていない。

この論文にはねつ造・改ざんの画像画たくさんある。1つ1つ説明せずに、以下に指摘図を5つ並べた。

以下の5つ図の出典はパブピア:https://pubpeer.com/publications/C48030BEAC5C12D6CBD8756702F664

●6.【論文数と撤回論文とパブピア】

★パブメド(PubMed)

2020年11月7日現在、パブメド( PubMed ))で、マリア・フステリ(Maria Fousteri)の論文を「Maria Fousteri [Author]」で検索した。この検索方法だと、2002年以降の論文がヒットするが、2005~2020年の16年間の24論文がヒットした。

「Fousteri M」で検索すると、1993~2020年の28年間の33論文がヒットした。

2020年11月7日現在、「Retracted Publication」のフィルターでパブメドの論文撤回リストを検索すると、0論文が撤回されていた。

★撤回監視データベース

2020年11月7日現在、「撤回監視(Retraction Watch)」の撤回監視データベースでマリア・フステリ(Maria Fousteri)を「Maria Fousteri」で検索すると、 0論文が訂正、0論文が懸念表明、0論文が撤回されていた。

★パブピア(PubPeer)

2020年11月7日現在、「パブピア(PubPeer)」では、マリア・フステリ(Maria Fousteri)の論文のコメントを「Maria Fousteri」で検索すると、5論文にコメントがあった。

●7.【白楽の感想】

《1》オランダ事情 

マリア・フステリ(Maria Fousteri)のネカト事件は「まともな」データねつ造・改ざん事件だが、オランダでは公式の調査報告書が黒塗りされたり、ほとんど報道されない(らしい。オランダ語の報道は、よくわか蘭)。

フリッツ・ローゼンダール(Frits Rosendaal)がオランダ事情を次のようにコメントしている。

「オランダでは、有罪判決を受けたとしても、メディアが犯罪者の名前を公表したり、顔写真を載せることは決してありません」。
 → Leiden requests two retractions over misconduct – Retraction Watch

お国事情とはいえ、こんなんでイインカイ?

しかし、振り返って、日本事情はもっと悪いなあ。オランダでは黒塗りでも公表するが、日本ではそもそも匿名で公表する(あるいは公表しない)ので、黒塗りもされない。

《2》ギリシャ事情 

ギリシャでもマリア・フステリ(Maria Fousteri)のネカト事件をほとんど報道していない(らしい。ギリシャ語の報道は、よくわかりませんグリース)。

報道していないことと関係があると思うが、「まともな」データねつ造・改ざんが発覚したのに、ギリシャの研究所はフステリにおとがめなしである。

2020年11月(48歳?)現在、フステリは、アレクサンダーフレミング生物医学研究センター(Biomedical Sciences Research Center “Alexander Fleming”)・主宰研究者(教授相当?)に在職している。 → Maria Fousteri, Ph.D.

以下の写真のように研究室員がいて、楽しそうである。どうでもいいけど、男4人全員が髭を生やしているのは、ギリシャ事情ですかね。

マリア・フステリ(Maria Fousteri)研究室の写真。前列右端がフステリ。https://www.fleming.gr/fousteri-lab-personnel

《3》白楽事情 

白楽がライデン大学を訪問した日、病院の入り口にたくさんの人がいた。何だろう。警備員もいる、仮設フェンスもある、立派なカメラを抱えた数人の男性がいる、ビデオ取材班がいる。野次馬に聞くと、女王とプリンセスがやってくるという。

先に素敵なカップルを示したが、右の赤服の女性が女王さま、ではありません。

左の赤服がベアトリックス女王(1938年1月31日生まれ、68歳)。中央は三男のコンスタンティン王子。右の赤服は2001年にコンスタンティン王子と結婚した39歳のペトラ・ローレンティン妃(1966年5月25日生)。年齢は当時。2006年4月、白楽が撮影。

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日本がスポーツ、観光、娯楽を過度に追及する現状は日本の衰退を早め、ギリシャ化を促進する。日本は、40年後に現人口の22%が減少し、今後、飛躍的な経済の発展はない。科学技術と教育を基幹にした堅実・健全で成熟した人間社会をめざすべきだ。科学技術と教育の基本は信頼である。信頼の条件は公正・誠実(integrity)である。人はズルをする。人は過ちを犯す。人は間違える。その前提で、公正・誠実(integrity)を高め維持すべきだ。
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●9.【主要情報源】

① 2016年8月17日のレオニッド・シュナイダー(Leonid Schneider)のブログ:Maria Fousteri, the ERC-funded western blot cheater – For Better Science
② 2018年11月9日のレオニッド・シュナイダー(Leonid Schneider)のブログ:Fousteri affair: Dutch integrity thwarted by academic indecency – For Better Science
③ 2016年6月16日のアリソン・マクック(Alison McCook)記者の「撤回監視(Retraction Watch)」記事:Leiden requests two retractions over misconduct – Retraction Watch
④ アレクサンダーフレミング生物医学研究センター(Biomedical Sciences Research Center “Alexander Fleming”)のマリア・フステリ(Maria Fousteri)のサイト:M. Fousteri
★記事中の画像は、出典を記載していない場合も白楽の作品ではありません。

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