ゼンハイ・ヤオ(Zhenhai Yao)(米)

2018年8月15日掲載。

ワンポイント:16年前の2002年9月10日(41歳?)、研究公正局は、ノースカロライナ大学チャペルヒル校(University of North Carolina at Chapel)・準教授で医師のヤオが、3件の研究費申請書でデータをねつ造・改ざんしたと発表した。5年間の締め出し処分を科した。ヤオは中国系の名前だが、出身や素性は不明である。国民の損害額(推定)は8億円。

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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.概略
2.経歴と経過
3.動画
4.日本語の解説
5.不正発覚の経緯と内容
6.論文数と撤回論文とパブピア
7.白楽の感想
8.主要情報源
9.コメント
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●1.【概略】

ゼンハイ・ヤオ(Zhenhai Yao、男性、顔写真見つからない)は、米国のノースカロライナ大学チャペルヒル校(University of North Carolina at Chapel)の準教授で医師だった。専門は麻酔学である。名前から推測して、中国系アジア人の米国一世と思われる。

2002年9月10日(41歳?)、発覚の経費は不明だが、研究公正局は、ヤオの3件の研究費申請書にデータねつ造・改ざんがあったと発表した。2002年8月20日から5年間の締め出し処分を科した。

2002年(41歳?)、ヤオはノースカロライナ大学チャペルヒル校・準教授を辞職した。その後の足取りはつかめていない。2018年8月14日現在、学術界にはいない。

ノースカロライナ大学チャペルヒル校(University of North Carolina at Chapel Hill)。By Caroline Culler (User:Wgreaves) – 投稿者自身による作品, パブリック・ドメイン, Link

  • 国:米国
  • 成長国:中国?
  • 医師免許(MD)取得:xx大学
  • 研究博士号(PhD)取得:xx大学
  • 男女:男性
  • 生年月日:不明。仮に1961年1月1日生まれとする。当てずっぽう。
  • 現在の年齢:57 歳?
  • 分野:麻酔学
  • 最初の不正:2000年(39歳?)
  • 発覚年:2001年(40歳?)
  • 発覚時地位:ノースカロライナ大学チャペルヒル校・準教授
  • ステップ1(発覚):第一次追及者(詳細不明)はヤオの研究室員(推定)
  • ステップ2(メディア):
  • ステップ3(調査・処分、当局:オーソリティ):①ノースカロライナ大学チャペルヒル校・調査委員会。②研究公正局
  • 大学・調査報告書のウェブ上での公表:ない
  • 大学の透明性:研究公正局でクロ判定(〇)
  • 不正:ねつ造・改ざん
  • 不正論文数: 1報の撤回論文。3件の研究費申請書
  • 時期:研究キャリアの中期
  • 職:事件後に発覚時の地位をやめた・続けられなかった(Ⅹ)
  • 処分: NIHから5年間の締め出し処分。ノースカロライナ州医師会から医療行為禁止処分
  • 日本人の弟子・友人:不明

【国民の損害額】
国民の損害額:総額(推定)は8億円。内訳 ↓

  • ①研究者になるまで5千万円。
  • ②大学・研究機関が研究者にかけた経費(給与・学内研究費など)は年間4500万円。在職年数は不明だが、12年間とし、損害額は5億4千万円。
  • ③外部研究費。1998-2002年にNIHから8,401万円受給していた。損害額を8,400万円とした。
  • ④調査経費。第一次追及の調査費用は100万円。大学・研究機関の調査費用は1件1,200万円。研究公正局など公的機関は1件200万円。学術出版局は1件100万円とした。小計で1,600万円
  • ⑤裁判経費は2千万円。裁判ないので損害額は0円。
  • ⑥論文撤回は1報当たり1,000万円、共著者がいなければ100万円。共著者がいた撤回論文が1報なので損害額は1,000万円。
  • ⑦研究者の時間の無駄と意欲削減+国民の学術界への不信感の増大は1億円。
  • ⑧健康被害:不明なので損害額は0円とした。

●2.【経歴と経過】

ほとんど不明。

  • 生年月日:不明。仮に1961年1月1日生まれとする。当てずっぽう。
  • xxxx年(xx歳):xx大学で医師免許(MD)を取得
  • xxxx年(xx歳):xx大学で研究博士号(PhD)を取得。
  • 1998年(37歳?):シカゴ大学(University of Chicago)・準教授(?)
  • 2001年(40歳?):ノースカロライナ大学チャペルヒル校(University of North Carolina at Chapel )・準教授
  • 2001年(40歳?):経緯は不明だが、ネカトが発覚した(推定)
  • 2002年(41歳?):ノースカロライナ大学チャペルヒル校(University of North Carolina at Chapel )・準教授を辞職
  • 2002年9月10日(41歳?):研究公正局がネカトでクロと発表。締め出し期間は5年間

●5.【不正発覚の経緯と内容】

★NIH研究費

ゼンハイ・ヤオ(Zhenhai Yao)は、1998-2000年の3年間はシカゴ大学に所属し、その後、ノースカロライナ大学チャペルヒル校・準教授に移籍した。両大学で、NIH・国立心肺血液研究所(NHLBI)から2000-2002年の3年間、計840,134ドル(約8401万円)の研究費を受給していた。(Adenoviral Gene Transfer in Myocardial Injury – Zhenhai Yao

以下のリストの2008年と2010年のグラントは同姓同名の別人と思われる。

★ネカト事件の経緯

ネカト事件の詳細は不明である。ネカト行為を犯した状況、発覚の経緯、ネカトの具体的内容、処分、処分のその後、どれも不明である。

2001年(40歳?)、経緯は不明だが、ネカトが発覚した(推定)。

2001年(40歳?)、ノースカロライナ大学チャペルヒル校・調査委員会は、ゼンハイ・ヤオ(Zhenhai Yao)のネカトを調査し、クロと判定し、研究公正局に伝えた。

2002年9月10日(41歳?)、研究公正局は、ゼンハイ・ヤオ(Zhenhai Yao)の3件の研究費申請書にネカトがあったと発表した。締め出し期間として5年間を科した。

研究費申請書のネカトなので、ゼンハイ・ヤオの不正行為を見つけたのは、同じ研究室の研究室員または研究費審査員しかいない。ここでは前者と考えた。

★ねつ造・改ざんの内容

研究公正局は、ねつ造・改ざんを次のように指摘した。

(1)以下の3件の研究費申請書に示した蛍光顕微鏡写真をねつ造・改ざんした。

  • 2000年5月31日にNIHに申請した研究費申請書「1R01 HL067416-01」・「前コンディショニングおよび心臓アポトーシスのメカニズム(Mechanism of Preconditioning and Cardiac Apoptosis)」の図5。
  • 2000年9月9日にNIHに申請した研究費申請書「1R01 HL68250-01」・「フリーラジカル、PKCdシグナルのアセチルコリン・前コンディショニング(Free Radicals, PKCd Signal Acetylcholine Preconditioning)」の図6。
  • 2001年7月2日にNIHに申請した研究費申請書「1R01 HL66230-01A1」・「酸化窒素とオピオイド・前コンディショニング(Nitric Oxide and Opioid Preconditioning)」の図7。

上記の蛍光顕微鏡写真は、実際は、サイトメガロウイルス(cytomegalovirus)由来のベクターをトランスフェクトしたニワトリ細胞なのだが、アデノウィルス(adenovirus)由来のベクターでトランスフェクトしたラット細胞だと、申請書に記載した。

(2)2000年1月21日に申請し不採択だったNIH研究費申請書「1R01 HL66230-01A1」・「心筋虚血におけるオピオイドの分子メカニズム(Molecular Mechanisms of Opioids in Myocardial Ischemia)」の図13でも、上記(1)と同じような蛍光顕微鏡写真のねつ造・改ざんをした。

(3)NIH研究費申請書「R01 HL66230-01A1」の22頁の図1Bのフローサイトメトリー・ヒストグラムをねつ造・改ざんした。

図1Bはオピエートアンタゴニスト(スタウロスポリン)で処置したラット心筋細胞のヒストグラムだと記載してあった。しかし、このヒストグラムは、「2001年のAm. J. Physiology Heart Circ Physiol.」論文の図1f で、酸素の不存在下でデオキシグルコースで12時間処理した胚性ニワトリ細胞(embryonic chick cells)の結果を示したものだった。

以下省略するが、NIH研究費申請書で(4)から(10)までねつ造・改ざんがあったと指摘した。

但し、指摘は文章として指摘し、具体的な図を示していない。

研究費申請書のネカトなので、これ以上、具体的なネカト内容はわからない。

●6.【論文数と撤回論文とパブピア】

2018年8月14日現在、パブメド(PubMed)で、ゼンハイ・ヤオ(Zhenhai Yao)の論文を「Zhenhai Yao [Author]」で検索した。この検索方法だと、2002年以降の論文がヒットするが、2002~2003年の2年間の6論文と2009年の1論文の計7論文がヒットした。

「Yao Z[Author]」で検索すると、1979~2018年の40年間の3037論文がヒットした。本記事で問題にしている研究者の論文ではない論文が多いと思われる。

2018年8月14日現在、「Yao Z[Author] AND Retracted」でパブメドの論文撤回リストを検索すると、6論文が撤回されていた。

但し、6撤回論文の内3論文は、ロニー・セーガー(Rony Seger)の共著者に同姓の別人がいて、その人の撤回論文だった。
→ ロニー・セーガー(Rony Seger)(イスラエル) | 研究倫理(ネカト)

また、6撤回論文の内2論文は、同姓の別人(Zhi Qiang Yao)の論文だった。

本記事で問題にしている研究者の撤回論文は以下の1論文だけだった。無料閲覧部分には撤回理由が示されていない。

★パブピア(PubPeer)

省略

●7.【白楽の感想】

《1》詳細は不明

この事件の詳細は不明です。

2002年頃の事件は新聞記事になったような大きな事件を除いて詳細は不明である。16年も経過しているので当時の資料は簡単には見つからない。ましてや、インターネットは今ほど発達していなかったので、ネット上の情報はそもそも少なかった。

ネカト防止策は、この事件からは学べない。

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●8.【主要情報源】

① 2002年9月10日、研究公正局の報告:NIH Guide: FINDINGS OF SCIENTIFIC MISCONDUCT
② 2005年10月19日、ノースカロライナ州医師会・調査報告書:http://www.circare.org/pd/yao_20051019.pdf
★記事中の画像は、出典を記載していない場合も白楽の作品ではありません。

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