特殊事件「自作自演の脅迫」:環境化学:ダイアン・ジョリー(Dianne Jolley)(豪)

2020年4月15日掲載 

ワンポイント:ジョリーはシドニー工科大学(University of Technology Sydney)・理学部長で、2019年7月から11月の間、自分自身にニセの脅迫手紙を送り、2019年11月15日(49歳)、警察に逮捕された。シドニー工科大学が伝統的中国医学コース(traditional Chinese medicine course)を廃止する計画を立てたことに対して、自作自演の脅迫キャンペーンを張ったのだ。裁判で、身辺警護のために使用した$ 157,000(約1570万円)をシドニー工科大学に支払うよう裁定された(推定)。2020年3月(49歳)、シドニー工科大学を退職した(解雇された?)(推定)。国民の損害額(推定)は2億円(大雑把)。

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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.概略
2.経歴と経過
3.動画
5.不正発覚の経緯と内容
6.論文数と撤回論文とパブピア
7.白楽の感想
8.主要情報源
9.コメント
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●1.【概略】

ダイアン・ジョリー(Dianne Jolley、ORCID iD: 0000-0003-1028-1603、写真出典)は、シドニー工科大学(University of Technology Sydney)・理学部長で、専門は環境化学(分析化学、毒物学)である。

2019年7月(49歳)、ジョリー理学部長は、2019年5月に大学で脅迫状を受け取り、警察に通報した。

その後、結局、ジョリー理学部長は、2019年7月から11月の間に計10通の脅迫状を受け取ったと警察に伝えた。一部の脅迫状には彼女の盗まれた下着が切り刻まれて入っていた。

警察がいろいろ調べた結果、ジョリー理学部長が自分で脅迫状を書いて自分あてに送ったことを突き止めた。

2019年11月15日(49歳)、警察はジョリー理学部長を逮捕した。

なぜ自作自演の脅迫を演じたかというと、ジョリー理学部長はシドニー工科大学が伝統的中国医学コース(traditional Chinese medicine course)を廃止する計画を立てたことに不満だった。また、シドニー工科大学上層部からイジメられていた。イジメということで、事件を見つけたが、イジメはハッキリしない。本記事では深入りしない。

自作自演の脅迫の裁判が行なわれ、シドニー工科大学はジョリー理学部長の身辺警護(含・特別車の使用)に使用した$ 157,000(約1570万円)を要求した。そして、裁判所はジョリー学部長に賠償金の支払いを命じた(推定)。

2020年3月(49歳)、逮捕の4か月半後、ジョリー理学部長はシドニー工科大学を退職した(解雇された?)と思う(ここはハッキリしません)。

動画:シドニー工科大学(University of Technology Sydney)

  • 国:オーストラリア
  • 成長国:オーストラリア
  • 研究博士号(PhD)取得:キャンベラ大学
  • 男女:女性
  • 生年月日:不明。仮に1971年1月1日生まれとする。2020年1月8日の新聞記事に49歳とあった
  • 現在の年齢:50 歳?
  • 分野:環境化学
  • 事件発生年:2019年(49歳)
  • 事件公表年:2019年(49歳)
  • 事件公表時地位:シドニー工科大学・理学部長
  • ステップ1(発覚):第一次追及者は警察
  • ステップ2(メディア):オーストラリアの多数のメディア
  • ステップ3(調査・処分、当局:オーソリティ):①警察
  • 大学・調査報告書のウェブ上での公表:なし
  • 大学・処分のウェブ上での公表:なし
  • 大学の透明性:機関以外が詳細をウェブ公表(⦿)
  • 事件:脅迫の自作自演
  • 被害者数:?
  • 時期:研究キャリアの中期
  • 職:事件後に研究職(または発覚時の地位)を続けられなかった(Ⅹ)
  • 裁判:賠償金$ 157,000(約1570万円)の支払い(推定)
  • 処分:解雇?
  • 日本人の弟子・友人:不明

【国民の損害額】
国民の損害額:総額(推定)は2億円(大雑把)。

●2.【経歴と経過】

出典:①:(3) Dianne Jolley | LinkedIn 、②:Dianne Jolley (0000-0003-1028-1603) – ORCID | Connecting Research and Researchers

  • 生年月日:不明。仮に1971年1月1日生まれとする。2020年1月8日の新聞記事に49歳とあった
  • xxxx年(xx歳):xx大学で学士号取得
  • 1998年1月-2000年12月(27-29歳):サンシャイン・コースト大学(University of the Sunshine Coast)・教員
  • 2000年12月19日(29歳):キャンベラ大学(University of Canberra)で研究博士号(PhD)を取得:分析化学
  • 2001年1月4日-2018年12月7日(30-47歳):ウーロンゴン大学(University of Wollongong)・環境化学・教員(助教授、準教授、正教授:推定)、2016年から副学部長(Associate Dean)
  • 2018年12月10日(47歳):シドニー工科大学(University of Technology Sydney)・教授・理学部長
  • 2019年(49歳):脅迫されていると警察に訴えた
  • 2019年11月15日(49歳):自作自演の脅迫が発覚し、逮捕された
  • 2020年3月(49歳):シドニー工科大学を退職(解雇?)(推定)

●3.【動画】

【動画1】
ニュース動画:
「University professor accused of fake harassment campaign」(英語)1分35秒。
「UTS professor granted bail」(英語)1分18秒。
「UTS science academic charged over fake harassment campaign」(英語)1分41秒。
次のサイトで動画面をクリック → 2019年11月28日:UTS dean’s alleged fake harassment campaign cost university $150k

●5.【不正発覚の経緯と内容】

★ダイアン・ジョリー(Dianne Jolley)の人生

ダイアン・ジョリー(Dianne Jolley、写真出典)はシドニー工科大学(University of Technology Sydney)・教授・理学部長で、専門は環境化学(分析化学、毒物学)である。シドニー工科大学からの年俸は$182,000(約1820万円)以上だった。

オーストラリアで育ち、研究者としては、エリートコースを進み、かなり順調な研究者人生を歩いてきた。

ジョリーの結婚・離婚、さらに、子供の情報は見つからなかった。それで、今回の事件を起こした時、独身だったのか結婚していたのか不明である。ただ、裁判所に現れた時の以下の写真(出典)の右の男性が夫と思われる。説明がないのは、籍が入っていないので夫と紹介できなかっただけかもしれない。親密である。

★脅迫

2019年5月(49歳)、シドニー工科大学・理学部長のダイアン・ジョリー(Dianne Jolley)は大学で脅迫状を受け取った。

2019年7月(49歳)、ジョリー理学部長は脅迫されていると警察に通報した。

2019年9月16日(49歳)、ジョリー理学部長は警察に再度連絡を取り、脅迫状と自宅から盗まれた自分の下着がシドニーの南部の自分の車に置かれていたと伝えた。

ジョリー理学部長は、7月から11月の間に合計10通の脅迫状を受け取ったと警察に述べた。一部の脅迫状には盗まれた自分の下着が切り刻まれて入っていた。

警察は、いろいろ調べた結果、ジョリー理学部長が自分で脅迫状を書いて自分あてに送ったことを突き止めた。

2019年11月15日(49歳)、警察はジョリー理学部長を逮捕した。逮捕の理由は、詐欺による金銭的利益、人物の危険に関する虚偽情報提供、捜査への虚偽情報の3行為だった。

報道によると、ジョリー理学部長はシドニー工科大学が伝統的中国医学コース(traditional Chinese medicine course)を廃止する計画を立てたことに不満で、自分で書いた脅迫文を自分に送ったとある。また、シドニー工科大学の上層部からイジメられていたともある。

伝統的中国医学コースは4年間のコースで、シドニー工科大学では25年間続けていた。ジョリー理学部長らはこのコースの存続を数か月かけて審議していた。しかし、2019年9月に財政的に苦しいという理由で、シドニー工科大学・上層部はコースの廃止を決めた。廃止決定は大きな波紋を呼び、9,000人の学生・卒業生が廃止に反対した(以下の写真出典)。現在、伝統的中国医学コースに在籍中の250人の学生、20人のスタッフが被害を被ることになる。

https://www.9news.com.au/national/uts-dean-science-professor-dianne-jolley-alleged-fake-harassment-campaign-cost-university-150000/9e11ca05-6980-4309-91c4-49e25a4b936b

しかし、これらの理由で自分に脅迫状を送った行為を、白楽は、理解できない。

ジョリー理学部長の専門は環境化学であって中国医学ではない。写真から判断して中国人ではないし、夫(と思える人)も中国人とは思えない。家族の誰かが中国医学関係者かもしれないが、新聞記事にはその記述はない。脅迫状の手紙は公開されていないので詳細は不明だが、ナントモ、不可解な事件である。

ジョリー理学部長は、逮捕されたが、保釈された。

裁判は、ダウニングセンター地方裁判所で行われた。

2020年1月8日(49歳)、ところが、ジョリー理学部長は、保釈中にさらに脅迫の手紙を書いた。それで、保釈が取り消され、約2週間刑務所に留置されることになった。

裁判のポイントは、このニセ脅迫騒動で、シドニー工科大学は7月下旬から11月中旬、ジョリー理学部長の身辺警護(含・特別車の使用)のために$ 157,000(約1570万円)使った。損害賠償金として$ 157,000(約1570万円)を払うようジョリー理学部長に要求した。

2020年3月(49歳)、逮捕から4か月半後、ジョリー理学部長はシドニー工科大学を退職した(解雇された?)(推定)。と「推定」したのは、リンクトイン((3) Dianne Jolley | LinkedIn )では学部長が2020年3月までとなっていたからである。しかし、シドニー工科大学のサイトでは、2020年4月14日現在、学部長のままである(Science | University of Technology Sydney )。

裁判所を出る弁護士のアーロン・カーナガン(Aaron Kernaghan)(左)、ダイアン・ジョリー(Dianne Jolley)(右) 。どうして手をつないでいるのか? Picture: Rohan KellySource:News Corp Australia
https://www.news.com.au/national/nsw-act/news/bail-revoked-for-uts-professor-dianne-jolley-more-charges-laid/news-story/c6903d2721fbc1598fe8a80dca3a0483

●6.【論文数と撤回論文とパブピア】

★パブメド(PubMed)

2020年4月14日現在、パブメド( PubMed )で、ダイアン・ジョリー(Dianne Jolley)の論文を「Dianne Jolley [Author]」で検索した。この検索方法だと、2002年以降の論文がヒットするが、2002~2020年の19年間の69論文がヒットした。

2020年4月14日現在、「Retracted Publication」のフィルターでパブメドの論文撤回リストを検索すると、0論文が撤回されていた。

★撤回論文データベース

2020年4月14日現在、「撤回監視(Retraction Watch)」の撤回論文データベースでダイアン・ジョリー(Dianne Jolley)を「Dianne Jolley」で検索すると、0論文がヒットし、0論文が撤回されていた。

★パブピア(PubPeer)

2020年4月14日現在、「パブピア(PubPeer)」では、ダイアン・ジョリー(Dianne Jolley)の論文のコメントを「Dianne Jolley」で検索すると、0論文にコメントがあった。

●7.【白楽の感想】

《1》不可解

University Technology Sydney spent $150,000 on Dean of Science after threat she allegedly MADE UP

アカハラを探る中で、ダイアン・ジョリー(Dianne Jolley)の事件がヒットした。シドニー工科大学の上層部からイジメられていたとあったのだ。当初、白楽は、ジョリー学部長がアカハラを受け、脅迫された事件だ、と思った。

しかし、調べてみると、自分で脅迫状を書き、自分の下着を切り刻んで同封するという自作自演で脅迫した事件だった。

その理由は、シドニー工科大学が伝統的中国医学コース(traditional Chinese medicine course)を廃止する計画を立てたことに不満だったため脅迫キャンペーンをしたとある。また、シドニー工科大学上層部からイジメられていたともある。

しかし、これらの理由で自分に脅迫状を書く行為にでるのを、白楽は、理解できない。ジョリー理学部長の専門は環境化学であって中国医学ではない。写真から判断して中国人ではないし、夫(と思える人)も中国人とは思えない。家族の誰かが中国医学関係者かもしれないが、新聞記事にはその記述はない。ナントモ、不可解な事件である。

逮捕され、刑務所に留置された。

結局、シドニー工科大学に警護費用の$ 157,000(約1570万円)を賠償したのだと思うが、49歳の若さでシドニー工科大学・学部長の地位をフイにした(解雇されたという前提での判断)。

ただ、裁判所から帰る時の写真やビデオ画像では、ジョリーはニコニコと笑顔で、とても幸福そうである。刑罰を受ける(た)、という不安の表情がまるでない。勝訴したような雰囲気である。この点も、不可解である。

報道されていない裏の事情があるのだろうか?

ダイアン・ジョリー(Dianne Jolley)(右)。https://twitter.com/darrenkoppel/status/1049824162544463872

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●8.【主要情報源】

① 2019年11月27日のエデン・ジレスピー(Eden Gillespie)記者の「10 daily」記事:University Professor Charged By Police Over Letters | 10 daily
② 2019年11月27日のルーシー・コーマック(Lucy Cormack)記者とミカエラ・ホイットボーン(Michaela Whitbourn)記者の「Sydney Morning Herald」記事:UTS academic Professor Dianne Jolley charged by police after orchestrating fake harassment campaign against herself
③ 2019年11月28日のマーク・サウノコノコ(Mark Saunokonoko)記者の「9news」記事:UTS dean’s alleged fake harassment campaign cost university $150k
④ 2020年1月8日の「Daily Mail Online」記事:University professor accused of sending fake threats to HERSELF is hit with fresh charges | Daily Mail Online
⑤ 2020年1月9日の「news.com.au」記事:UTS professor Dianne Jolley refused bail, hit with more charges
★記事中の画像は、出典を記載していない場合も白楽の作品ではありません。

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