「アカハラ」:心理学:メリッサ・テヒ(Melissa Tehee)、キャロリン・バルカス(Carolyn Barcus)、グレッチェン・ピーコック(Gretchen Peacock)、タマラ・バレット(Tamara Barrett)、アマンダ・ブルーメ(Amanda Blume)(米)

2020年6月23日掲載 

ワンポイント:集団アカハラ(Mobbing)で留学生(女性、24歳、院生)が自殺した事件。ユタ州立大学(Utah State University)・心理学科の教授から院生の5人の女性がマレーシア留学生のエルシャ・サンジービ(Jerusha Sanjeevi)にアカハラ行為(肌の色や名前に関することを含め、口頭での虐待、脅迫、文化的差別、人種差別)を8か月間繰り返した。サンジービは大学に何度も報告し助けを求めたが大学な何もしてくれず、2017年4月、自殺した。2019年8月、サンジービの恋人だったマシュー・ビック(Matthew Bick)が5人を裁判所に訴えた。現在、裁判中。国民の損害額(推定)は3億円(大雑把)。

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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.概略
2.経歴と経過
3.動画
5.不正発覚の経緯と内容
6.論文数と撤回論文とパブピア
7.白楽の感想
8.主要情報源
9.コメント
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●1.【概略】

メリッサ・テヒ(Melissa Tehee)、キャロリン・バルカス(Carolyn Barcus)、グレッチェン・ピーコック(Gretchen Peacock)、タマラ・バレット(Tamara Barrett)、アマンダ・ブルーメ(Amanda Blume)の5人はユタ州立大学(Utah State University)・心理学科の教授~院生である。

以下、5人の写真と身分を示す。

左がタマラ・バレット(Tamara Barrett)博士院生、右がメリッサ・テヒ助教授(Melissa Tehee)。写真出典

キャロリン・バルカス臨床名誉助教授(Carolyn Barcus)。写真出典

グレッチェン・ピーコック教授(Gretchen Peacock)。写真出典

アマンダ・ブルーメ(Amanda Blume)博士院生。写真出典

2017年4月、ユタ州立大学(Utah State University)の留学生で24歳の博士院生のエルシャ・サンジービ(Jerusha Sanjeevi)が上記5人の集団アカハラ(Mobbing)に耐え切れず、自殺した。アカハラ行為は肌の色や名前に関することを含め、口頭での虐待、脅迫、文化的差別、人種差別だった

この事件は、現在、裁判中なので、被告(上記5人)は法的には推定無罪である。

本記事では、アカハラする側、される側の意識のギャップ。些細と思われることでも、状況によってはアカハラ被害者が自殺してしまう。その繊細な状況、難しさを考える事例としたい。

ユタ州立大学(Utah State University)(File photo: KUTV)。写真出典

  • 国:米国
  • 成長国:
  • 研究博士号(PhD)取得:
  • 男女:女性
  • 生年月日:
  • 現在の年齢:
  • 分野:心理学
  • アカハラ行為:2016年8月~2017年4月
  • 最初に訴えられた:2019年8月
  • 社会に公表年:2019年8月
  • 社会に公表時地位:ユタ州立大学・教授~院生
  • ステップ1(発覚):第一次追及者はサンジービの恋人だったマシュー・ビック(Matthew Bick)で、5人を被告に裁判所に訴えた
  • ステップ2(メディア):「KUTV」など
  • ステップ3(調査・処分、当局:オーソリティ):①裁判所。裁判中
  • 大学・調査報告書のウェブ上での公表:なし。大学は調査していない
  • 大学・処分のウェブ上での公表:なし。大学は調査していない
  • 大学の透明性:調査していない(✖)
  • 不正:アカハラ
  • 被害者数:被害者数は1人
  • 時期:
  • 職:事件後に発覚時の地位を続けた(〇)
  • 処分:なし
  • 日本人の弟子・友人:不明

【国民の損害額】
国民の損害額:総額(推定)は3億円(大雑把)。

●2.【経歴と経過】

加害者は5人。白楽ブログでは本来は加害者5人の経歴を書くのだが、本記事では、被害者の経歴の主要点を書く。

  • 2017年:エルシャ・サンジービ(Jerusha Sanjeevi)は超優等生で、マレーシアの高校を15歳で卒業し、大学に入学した
  • 2012年1月:サンジービは19歳でマレーシアから渡米
  • 2016年8月:23歳のサンジービはユタ州立大学(Utah State University)・心理学科の博士課程に入学
  • 2016年8月:23歳のサンジービは集団アカハラ受け始めた
  • 2017年4月:サンジービが自殺
  • 2019年8月:サンジービの恋人だったマシュー・ビック(Matthew Bick)が裁判所に加害者5人を被告として訴えた

●3.【動画】

【動画1】
動画:「米国ユタ州でマレーシア人学生のいじめ(DIBULI.? Buli Pelajar Malaysia Bunuh Diri Di Utah, USA)- YouTube」(マレー語)3分32秒。
Berita TV9が2019/08/06に公開

【動画2】
動画:「亡くなったマレーシア人の恋人が大学を提訴(BF of dead M’sian sues university)- YouTube」(英語の字幕)3分32秒。
Blue Motherが2019/08/08に公開

https://www.youtube.com/watch?v=_b8mcLx_ebI

●5.【アカハラ発覚の経緯と内容】

★エルシャ・サンジービの自殺

2017年4月、ユタ州立大学(Utah State University)の留学生で24歳の博士院生のエルシャ・サンジービ(Jerusha Sanjeevi、写真出典)がアカハラされて自殺した。

サンジービは超優等生で、マレーシアの高校を15歳で卒業し、マレーシアの大学に入学した。

2012年1月に19歳でマレーシアから渡米し、2013年にミネソタ州のベミジー州立大学(Bemidji State University)で心理学の学士号を取得した。

2016年、ミネソタ州立大学マンケート校(Minnesota State University Mankato)で心理学の修士号を取得し、2016年8月からユタ州立大学(Utah State University)・心理学科の博士院生になった。

従って、自殺までに米国での滞在歴は5年3か月で、米国の生活と文化に慣れていたはずである。言葉上の問題もなかったと思う。

★裁判

2019年8月、サンジービの恋人だったマシュー・ビック(Matthew Bick、写真出典)がサンジービの代理に裁判所に訴えた。

被告は、ユタ州立大学のメリッサ・テヒ助教授(Melissa Tehee)、キャロリン・バルカス臨床名誉助教授(Carolyn Barcus)、グレッチェン・ピーコック教授(Gretchen Peacock)、および博士院生のタマラ・バレット(Tamara Barrett)とアマンダ・ブルーメ(Amanda Blume)の5人である。

つまり、加害者が集団で1人にアカハラした事件である。

現在、裁判中なので、被告は法的には推定無罪だが、状況を知るために、5人がどんな人なのかまず写真で判断しよう。

以下、被告 5人の写真と身分を示す。

左がタマラ・バレット(Tamara Barrett)博士院生、右がメリッサ・テヒ助教授(Melissa Tehee)。写真出典

キャロリン・バルカス臨床名誉助教授(Carolyn Barcus)。写真出典

グレッチェン・ピーコック教授(Gretchen Peacock)。写真出典

アマンダ・ブルーメ(Amanda Blume)博士院生。写真出典

以下は法廷文書の冒頭部分(出典:同)。全文(90ページ)は → https://www.scribd.com/document/421119341/Complaint-Bick-vs-Utah-State-University#from_embed

★アカハラ

サンジービの直接の指導教員はメリッサ・テヒ助教授(Melissa Tehee、写真出典)で、テヒ助教授の研究室には他の院生としてタマラ・バレット(Tamara Barrett)が1人いただけだった。なお、アカハラが人種差別を含むので書いておくが、テヒ助教授は人種としてはアメリカ原住民のチェロキー族(a citizen of the Cherokee Nation)である。

院生バレットはサンジービの文化についてひどいコメントをした。例えば、「アジア人は両親を喜ばせたいだけだ」と言い、サンジービの名前をからかった。 サンジービは同じ研究室に2人しかいない院生にヒドイことを言われ、大きく傷ついた。

アカハラ行為は、肌の色や名前に関することを含め、口頭での虐待、脅迫、文化的差別、人種差別で、サンジービが2016年8月にテヒ助教授の研究室の博士院生になって直ぐに始まり、自殺するまでの8か月間続いた。

サンジービはティーチング・アシスタントとして1学期に5,000ドル(約50万円)しか稼いでいなかったが、テヒ助教授は、リサーチ・アシスタントのお金(額の記載がないが年間約300万円と推定)を全部、院生バレットに渡し、サンジービにあげなかった。[白楽の推察:この金のことで、院生バレットはサンジービをけなし、自分が多く得ようと画策したと思われる]

サンジービは自殺するまでの数か月間、同級生や指導教員からイジメられているとユタ州立大学に何度も通報したが、教授と学科長は何もしなかった。

訴状では、大学はアカハラの訴えにまともに対応せず、公民権を侵害した。心理学科では、何年にもわたってエコひいきと人種差別がパターン化している。特に留学生は悪質な環境に直面しており、教員は故意にイジメを許容している。さらに、サンジービ自殺後も、ユタ州立大学は何も対策を立てていない、と訴えた。

●6.【論文数と撤回論文とパブピア】

省略

●7.【白楽の感想】

《1》集団アカハラ(Mobbing)

本事件は被害者が自殺したこともあるが、一言でいうと「ヒドイ!」。神も仏もないものか!

英語の「Mobbing」と「Bullying」は、両方ともアカハラと訳しているが、「Mobbing」は「Bullying」の酷い行為である。今回の「集団アカハラ」事件は典型的な「Mobbing」である。もしこの状況で24歳の留学生がターゲットにされたら、大変である。心理学科の教授~院生の5人にアカハラされ、大学に訴えても対処してくれなかったので、逃げ場がないし、対処法がない。

精神的に落ち込んで自殺しても不思議ではない。

ただ、集団アカハラ(Mobbing)の場合、アカハラする側、される側の意識のギャップはアカハラの中でも大きいと思う。アカハラする側の1人1人は軽い気持ちで、面白半分にからかった程度かもしれない。

裁判の決着がついていないので、法的にどのような結論が出るのか不明だが、法的責任と人間の倫理的責任は視点が異なる。

些細と思われることでも、状況によってはアカハラ被害者が自殺してしまう。このアカハラ事件は、その繊細な状況、難しさを考える事例としたい。

《2》リスクファクター

サンジービが危険な状況になつのは、白楽なら予想できた。以下は白楽の推察をまじえて、です。

サンジービはマレーシアの高校を15歳で卒業した超優等生である。

超優等生としてチヤホヤされて育っているので、イジメや叩かれることに慣れていない。「人生山あり谷あり」の谷の部分を回避するスベを身につけていない。普通の学生でもそうだが、このような人は特に、他の院生が1人いる、研究歴が浅いテヒ助教授の研究室を選んでは危険である。

本文にも書いたが、ティーチング・アシスタントとリサーチ・アシスタントのお金について、同じ研究室のタマラ・バレット院生(Tamara Barrett、写真出典)の競争相手になる。競争相手を蹴落とそうとするのは米国ではしばしば聞く話だ。院生・ポスドク・・・・どの地位でも、それなりに蹴落とす言動は巧妙で激しい。

だから、サンジービは入学直後から院生バレットにイジメられたのだ。少し経験の積んだ教員なら、折角の院生を大事に育てようとするだろうが、テヒ助教授は経験が浅い。それで、院生バレットのイジメに加担してしまったのだ。

解決策は、アカハラ報告を受けた大学が乗り出して解決すべきだった。

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日本がスポーツ、観光、娯楽を過度に追及する現状は日本の衰退を早め、ギリシャ化を促進する。今後、日本に飛躍的な経済の発展はない。科学技術と教育を基幹にした堅実・健全で成熟した人間社会をめざすべきだ。科学技術と教育の基本は信頼である。信頼の条件は公正・誠実(integrity)である。人はズルをする。人は過ちを犯す。人は間違える。その前提で、公正・誠実(integrity)を高め維持すべきだ。
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●8.【主要情報源】

① 2019年8月4日のコートニー・タナー(Courtney Tanner)記者の「Salt Lake Tribune」記事:Utah State student reported she was being bullied before her suicide — but staff didn’t respond, lawsuit alleges – The Salt Lake Tribune
② 2019年8月7日のメイ・メイ・チュー(Mei Mei Chu)記者の「South China Morning Post」記事:Malaysian student Jerusha Sanjeevi killed herself. Now her family is suing US university | South China Morning Post
③ ◎2019年8月8日のマッケンジー・ライアン(MacKenzie Ryan)記者の「KUTV」記事:USU lawsuit: Boyfriend of deceased Ph.D student claims bullying caused her suicide | KUTV
★記事中の画像は、出典を記載していない場合も白楽の作品ではありません。

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