5C 白楽ブログが「プライバシー権の侵害」と指摘された

2021年8月8日掲載 

ワンポイント:2021年8月4日、白楽ブログの【日本の研究者のネカト・クログレイ事件一覧】がプライバシー権の侵害と指摘された。その内容と経緯と回答(案)を示す。まだ回答していません。よりよい対応のご教示を、至急、乞う。
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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.はじめに
2.「プライバシー権の侵害」
3.白楽の回答(案)
4.議論と資料
5.コメント下さい
6.コメント
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●1.【はじめに】

2021年8月4日、白楽ブログの表が「プライバシー権の侵害」だと指摘された。

「プライバシー権の侵害」は次章に記載する。

その前に、今まで公開していなかったが、白楽ブログに対してどのような恫喝・脅迫・裁判・強制捜査などネガティブな反応をあったか、記しておく。

イヤイヤ、裁判・強制捜査は0件です。

恫喝・脅迫は「生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知」(刑法第222条(脅迫罪))という意味では、(かなり)軽度ですが、ありました。

★今まで受けたネガティブな反応

以下のネガティブな反応を受けている。「件」は件数である。同じ人・組織から数回反応された時は1件としている。

【日本の事件一覧】に記載のネカト者の実名

  • 今回と同様の「プライバシー権の侵害」1件。つまり、今回は2件目
  • 警察官または警察署を通して、一覧表に掲載の実名を削除するよう、依頼(命令・指摘・脅迫?)されたことが2件

【事件解説記事】

白楽は、海外でネカト行為などの不正をした研究者の記事を書いている。海外の日本人も含んでいる。

その記事に対して、2件、脅迫メールを受取った。

使用料が必要な写真は使用しない方針だが、白楽が間違えて使用したらしい(確認していない)。 写真の使用料を払えという指摘が外国から1件あった。文章は脅迫的な文章だった。白楽は、その写真を削除した。

記事内容で外国人から脅迫されたことはない。これは、白楽ブログが日本語のためかもしれない。

【サイバー攻撃】

サイバー攻撃を数件受けている(10件以内)。

特定の記事を公表した後、また、相手の気に入らないと思えるメールの返事をした後などに攻撃を受けた。

それで、相手を推察できるが、調査し・証拠を掴んだわけではない。つまり、攻撃者の国・相手を特定できていない。数か月後に攻撃されなくなった時点で、白楽は、放置した。

上記以外に、サイバー攻撃らしきことはあったが、白楽のパソコンの不調・技術未熟のためだったかもしれない。この微妙なケースは数件あった(10件以内)。

【中傷メール】

データを集めていないが、数件(10件以内)、中傷メールを受け取っている。

★公開の意図

今回、ネガティブな反応を公開した。

このようなブログを公開していると、どのような反応を受けるか、研究者倫理に関心の高い皆様に、情報を提供しようと考えた。

白楽は間違える。間違いを正し、改善したい。

白楽ブログの透明性を高めておくことは、白楽ブログの改善につながる。

イヤイヤ、白楽ブログはどうでもいいんです。

ネガティブな反応を含め、問題と情報を読者に提供し共有することで、ネカト関連の知識と思想が高められ、日本のシステム・文化・人々の価値観・社会制度は良くなると思う。

白楽ブログは、外国のネカト関連の不正事件の焦点を合わせ、その事実をなるべく詳細に調べ、解読し、不正の原因を理解している。そのことで、日本のネカト関連の不正を防ぐ方策を立てるのに役立ちたい。

日本のネカト関連の不正事件は表だけ作成している。

日本の研究者は、博士号を取得するまで数千万円かかる。年収や研究費を合わせると10年で数億円になり、ネカト論文の悪影響がかなり大きい場合もある。大学教員がネカトで糾弾されると、調査に数千万円かかり、研究室と指導下の院生の人生が曲がる。要するに、ネカト1件で日本は数億円の損失を被る。

不正行為をしてしまった研究者とはいえ、高い学識があり、技能もある。読者はおかしく感じるかもしれないが、ネカト者のその後の人生は、それなりに充実して送ってもらいたいし、その高い学識と技能を学術研究界以外の日本社会に、役立ててもらいたいと、白楽は、いつも、思う。

だから、事実は書くが、反省している不正者を過度に攻撃するつもりはない。

●2.【「プライバシー権の侵害」】

注:サーバー会社名は省略した。被害者名と関連事項を削除・ぼかし、被害者名を特定されないように以下、文書を「改ざん」をした。

2021年8月4日、サーバー会社の法務担当者から、「【重要】(2108011)侵害情報の通知書 兼 送信防止措置について」というタイトルのメールが来た。

★7日以内の対応

メールの導入部分を以下に示す。

白楽が期限内に回答しないと、サーバー会社は「サーバーを凍結する場合がある」と“怖い”ことが書いてある。マー、それは仕方ないだろう。

ただ、白楽は2~4日の旅行を時々している(コロナ下では少し控えている)。また、何度も7日間以上の病気入院をしている。7日間以内の対応は、タイミングによっては、苦しいこともあるだろうと思った。マー、それも仕方ないだろう。

★「プライバシー権侵害」の内容

「プライバシー権侵害」の内容を以下に示す。

日本のネカト・クログレイ・性不正・アカハラ事件一覧」の【日本の研究者のネカト・クログレイ事件一覧】に掲載されている情報が「プライバシー権の侵害」なので削除を求めるという内容である。

要求している人は、「依頼人は・・・」とあるように、盗用事件を起こし懲戒処分を受けた本人である。

●3.【白楽の回答(案)】

★白楽の回答

結論から先に書くと、「送信防止措置を講じることに同意しません」と回答しようと思う。

要求された回答様式を以下に貼りつけた。

【回答の理由】は以下の3点を書くつもりである。

★第1点:既に公表された二次情報である

【日本の研究者のネカト・クログレイ事件一覧】に掲載している情報は、本件を含め、すべて二次情報である。

つまり、今回の依頼人の盗用事件は、一次情報として、既に、当該大学、日本の新聞などに、公表された情報である。また、一次情報・二次情報が日本のウェブサイトに公表されている。

白楽の表は、これら公表された情報(記事)をベースにキーワードを並べただけである。

これら一次情報・二次情報が削除されていれば、白楽の二次情報は基盤が弱くなる。白楽は、実名を匿名化するなどの変更に応じる可能性はある。

しかし、依頼人の盗用事件は、現在も、白楽ブログとは別のウェブサイトに一次情報・二次情報として公表されている。

★第2点:公益性

白楽ブログは公益のために事実を集め記載している。

依頼人の現在の情報を削除するのは公益に反すると考える。理由を(A)(B)(C)で示す。

★(A)本件はプライバシー権より公益性が高い★

プライバシー権は「個人の私生活の自由に由来し、自己に関する情報をコントロールする権利」(参議院憲法調査会の資料)とある。

盗用事件は、研究者の職業上の行為であって、私生活に由来する情報ではない。

プライバシーの範囲は、(1) 公共的な地位や権力の行使等に預かる度合いが強いほど社会が正当に知るべき事柄は増えるので、どういう人なのか、(2) 事柄が公務にかかわるのか、という二つの座標軸を組み合わせて考えていくことが必要。田島泰彦(出典:参議院憲法調査会の資料

国立大学・教授という社会的に信頼度の高い研究者が、研究論文という研究の心髄の部分で、複数回、公務で不正をしている。仮に盗用事件でのプライバシーを勘案するにしても、その範囲は狭いと思われる。

総務省の資料「新保史生:プライバシー・個人情報保護の現状と課題」に以下の説明がある。出典:https://www.soumu.go.jp/main_content/000190686.pdf

この説明によれば、依頼人の盗用行為を公開しておくことは、「プライバシー侵害による不法行為の成立要件」の3要件のうち、②しか該当せず、プライバシー侵害の要件を満たしていない。

★(B)盗用論文と注意する公益性★

本件の盗用事件では、盗用した論文名が公表されていない。

そして、ウェブ上で依頼人の複数の論文が閲覧可能で、現在も盗用論文は撤回されていないと思われる。

これは、依頼人や大学が学術誌に撤回を依頼しなかったためか、学術誌側が撤回処置をしなかったためか不明である。

いずれにせよ、現在、日本及び世界の研究者は、依頼人のどの論文が盗用論文なのか、把握できない。

このことは望ましいことではないが、次善策として、依頼人の論文に盗用がある(あった)という情報を知れば、当該分野の研究者は論文盗用の可能性を配慮しながら依頼人の論文を閲覧できる。

★(C)盗用事件のデータを正確に保つ公益性★

研究倫理の事件を扱う場合、どの程度の不正だと、実名報道になるのかは懲戒処分の程度と合わせて、日本社会にとって公益に資する重要な情報である。

また、盗用事件の予防策を立てる時にも、なるべく詳細な情報が必要である。

盗用論文事件を調査する研究者が【日本の研究者のネカト・クログレイ事件一覧】のデータを使い、日本の盗用事件の全体像を把握することがある。

さらに、日本社会が日本の盗用事件の全体像を把握するとき、参考となるデータが必要である。実際、NHKテレビの研究不正番組は【日本の研究者のネカト・クログレイ事件一覧】のデータを使い制作した。

日本社会が盗用事件の実態を理解する時、依頼人の盗用事件を表から削除すれば、日本の盗用事件の全体像の把握が歪んでしまう。つまり、公益に反する。

★第3点:依頼者の主張の信憑性

依頼人は、「侵害されたとする理由」に18行の文章で盗用事件の説明と経緯を詳しく書いている。

しかし、白楽が【日本の研究者のネカト・クログレイ事件一覧】に掲載している情報は、事件の内容を詳しく書いておらず、単に、キーワードを並べただけである。

従って以下の点を含め、依頼人は誤解していると思える。

以下の「本件記事の影響」「本件記事が原因」との主張は、白楽の表が原因ではなく、他の一次情報・二次情報の「記事」が原因ではないだろうか? 依頼人の主張する「本件記事の影響」「本件記事が原因」の証拠を示してくれることを希望する。

本件記事の影響で依頼人に対して、風評被害が及んでいます。
 また、本件記事が原因となって、依頼人に対し、非情な誹謗中傷が及び、依頼人は、 大変悲痛な思いをしています。

また、依頼人は以下のように深く反省しているとある。

依頼人は、認識の甘さから、このような事件を起こしてしまい、関係者各位に多大なる苦痛と心労をおかけしましたこと、深くお詫び申し上げます。
 また、教育者として、絶対にあってはならぬ行為を行なってしまったと、深く反省しています。

しかし、依頼人は30か所余りの盗用で懲戒処分を受けたのに、その際、適切に対応せず、後に、さらに88か所の盗用が発覚し、再度、懲戒処分を受けている。

この種の事件では異例だが、依頼人が所属していた学部教授会は、事件に関して声明を発表した。

その声明に、本盗用事件に関して「〇〇氏からは反省の弁は、全くといっていいほどありませんでした」と依頼人の倫理観の欠如を強く指摘している。

さらに、次の記述もある。

引用方法に不備があった程度だとする彼自身の言い分(新聞報道)とは全く異なり、研究教育者の最低限のモラルすら侵しており、〇〇氏が会員である日本〇〇学会の会長の言明の通り、日本〇〇学会の研究倫理指針を侵犯する極めて罪深いものでもあります

依頼人は、現在は「深く反省」しているとあるが、公表されている内容との乖離が大きい。「プライバシー権の侵害」に記述されている内容の信憑性に欠ける印象を受けた。

ただ、この第3点は、白楽の判断が及ばない部分も多く、理由の主要点ではない。

●4.【議論と資料】

★プライバシー権と知る権利

以下は日本弁護士連合会の「個人が尊重される民主主義社会の実現のため、プライバシー権及び知る権利の保障の充実と情報公開の促進を求める決議」から抜粋した。

プライバシー権及び知る権利は、個人の尊重にとって不可欠な私的領域における人格的自律を実現するとともに、表現の自由の不可欠な前提条件となっており、立憲民主主義の維持・発展にも寄与する極めて重要な人権である。

代表民主制下において国民が自律的に代表者を選任し政策形成に参加するためには、公的情報が国民に対して十分に公開されていることが不可欠である。そのためには、知る権利の保障の充実と、情報公開を促進する制度の整備が必要である。

別途、以下に参考サイトを示すが、白楽は十分把握できていない。

★外国の例

白楽は、外国のネカト事件の報道を多数(千件以上)把握しているが、いままで、「プライバシー権の侵害」という理由で、ネカト者がウェブ上の記事の削除を要求した例を知らない。

特定の記事ではなく、裁判に訴えると脅し、サイト運営者がサイトを閉鎖した例は、ポール・ブルックス(Paul Brookes)の事件がある。 → 1‐5‐11 サイエンス・フラウド(Science Fraud)  | 白楽の研究者倫理

ポール・ブルックス以外にも、ネカトハンターが脅迫された事件を数件把握している。例えば、 → 7-71 ネカトハンター・ビックを脅迫 | 白楽の研究者倫理

米国では、不正の被害者が学生の場合で、「学生プライバシー連邦法(federal privacy laws for students)」で学生の名前は本人の許可がなければ公表できない。 → Federal Student Privacy Laws – FERPA & COPPA

別途、以下に参考サイトを示すが、白楽は十分把握できていない。

●5.【コメント下さい】

《1》まだ、回答していません 

2021年8月10日に回答する予定です。

それで、上記の回答(案)や対処に「マズイよ!」という点があれば、至急教えて下さい。回答や対処を変えます。

●コメント

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末次育平
末次育平
2021年8月8日 3:16 PM

いつも興味深く読ませていただくとともに、「知らないだけで、こんなにゴロゴロ事件があるのか・・・」と呆れています。

回答についてですが、「二次情報」と書くだけでなく、<一次情報はこれです>と情報源を具体的に知らせてあげると(もちろん公開の必要はないと思います)、説得力が高まると思います。

以下、この件の感想ですが。
「プライバシー権」は複雑な要素で構成される権利だと理解していますが、「権利侵害」を認定するのは本来裁判所の仕事ですし、プロバイダーが権利侵害を認定するにしてもその根拠を示すのがスジだと思うので、「削除要請の申し出があった」という説明だけでは根拠薄弱だと思います。
おそらく、ここで削除しないとブログ運営者だけでなくサーバー管理会社も削除要請の申し出をしてきた方からの訴訟に巻き込まれる可能性があるので、「危険回避」のための連絡なのだと思います。
こういうのを「脊髄反射的」というかどうかは知りませんが、サーバー管理会社も考えた形跡がないと思いました。

fff
fff
2021年8月9日 11:59 PM

情報源を明示するのは必要かと、
やはり研究不正の指摘ですと実は疑惑の段階で無罪だった
冤罪だったという事件も多いです、
嫉妬によるでっちあげとか、あとはやっぱりマスゴミ系があることないこと言ったりしますし

疑惑の段階なら疑惑
一次情報はここで、責任は私にはない、などの明示は必要ですね
そういう事がないとやはり非難をうけるんじゃないですかね

米谷徹
米谷徹
2021年8月10日 6:49 PM

二次情報であっても、公開された事実を持って名誉毀損が成立する場合があります。
公益性、信憑性ということは主観的判断に寄らず、結局のところ法の判断を仰ぐしかありませんので、最終的に訴訟にもつれ込んでしまう可能性もあります。そうした場合、どんなに調べこんだとしても、法の素人が対抗していては時間と費用そして心理的な負担が膨大になるだけで勝ち目はありません。
削除を請求してきた者は研究者であることから、法律には疎いと思料され、そのため当該請求を行うに当たっては弁護士等に相談していることは間違いないでしょう。
おそらく削除に応じない場合は次のステップを考えているはずです。
あまり深追いして引き返すことの出来ない痛手を負うのでは、と心配です。くれぐれも慎重に進められますように。
それとあと1点気になった点ですが、

>使用料が必要な写真は使用しない方針だが、白楽が間違えて使用したらしい(確認していない)。 写真の使用料を払えという指摘が外国から1件あった。文章は脅迫的な文章だった。白楽は、その写真を削除した。

他者を批判するならば自身の襟も糺しておくことは当然で、上記ご対応は事なきを得ずに済んでよかったですが、本来プライバシーポリシーに反し、「公益活動」を行う以上「間違えて」では済まない事案です。
「敵意を感じている」者にとっては格好の材料となりますので、くれぐれも身辺は清廉潔白に保つことが、ご自身を守るのに不可欠と思います。
そこは研究不正を行ってはいけない倫理観と同じと思います。