2022年9月30日掲載
ワンポイント:2017年3月(27歳?)、シャランは日本の北海道大学の電子科学研究所・三澤弘明教授のもとで研究博士号(PhD)を取得した。エジプトに帰国し中央金属研究所(CMRDI)・助教授、その後、スペインのバスク物質科学研究所(BCMaterials)・ポスドクになった。日本、エジプト、スペインをまたにかけて2013~2022年(23~32歳?)の10年間の45論文が問題視されている。データねつ造・改ざん、そして盗用と、ネカト満載である。2022年(32歳?)、レオニッド・シュナイダー(Leonid Schneider)の指摘を受け、エジプト、スペインはネカト調査を開始した。しかし、日本の北海道大学と三澤弘明教授は無視している。日本は恥の上塗りか? 国民の損害額(推定)は2億円(大雑把)。
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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.概略
2.経歴と経過
5.不正発覚の経緯と内容
6.論文数と撤回論文とパブピア
7.白楽の感想
9.主要情報源
10.コメント
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●1.【概略】
アハメド・シャラン(Ahmed Shalan、Ahmed Esmail Shalan、ORCID iD:?、写真出典)は、日本の北海道大学で研究博士号(PhD)を取得し、エジプトの中央金属研究所(CMRDI)・助教授になった。その後、スペインのバスク物質科学研究所(BCMaterials)・ポスドクになっている。本記事では国を出身国のエジプトとした。専門は物質科学である。
2017年3月(27歳?)、シャランは日本の北海道大学の電子科学研究所・三澤弘明教授のもとで研究博士号(PhD)を取得した。
北海道大学・所属で出版した論文にネカト疑惑が指摘されたので、【日本の研究者のネカト・クログレイ事件一覧】にもシャランと三澤弘明教授をリストした。
2022年1月(32歳?)、「パブピア(PubPeer)」がシャランの論文のデータねつ造・改ざんを指摘した。
同月、レオニッド・シュナイダー(Leonid Schneider)も、シャランのデータねつ造・改ざん、そして盗用を指摘した。
シュナイダーの通報を受け、共著論文があるエジプトのモニカ・リラ=カントゥ教授(Mónica Lira-Cantú)、そして、現在の指導者であるスペインのセネンチュ・ランセロス=メンデス教授(Senentxu Lanceros-Méndez)の、それぞれの所属研究機関はネカト調査を始めた。
一方、シュナイダーの通報を受けたのに、三澤弘明教授と北海道大学は通報を無視している。北海道大学はネカト調査をしていない。
シャランは、日本、エジプト、スペインをまたにかけて、2013~2022年(23~32歳?)の10年間、45論文でネカトを繰り返していた(いる)と思われる。
なお、2022年9月29日(32歳?)現在、エジプト、スペインの公式な調査結果は出ていない。撤回論文もない。
エジプトの中央金属研究所(Central Metallurgical Research and Development Institute (CMRDI)。写真出典
スペインのバスク物質科学研究所(BCMaterials:Basque Center for Materials Applications & Nanostructures)。写真出典
- 国:エジプト
- 成長国:エジプト、日本
- 医師免許(MD)取得:なし
- 研究博士号(PhD)取得:北海道大学
- 男女:男
- 生年月日:不明。仮に1990年1月1日生まれとする。2017年に研究博士号(PhD)を取得した時を27歳とした
- 現在の年齢:34 歳?
- 分野:物質科学
- 不正論文発表:2013~2022年(23~32歳?)の10年間
- 発覚年:2022年(32歳?)
- 発覚時地位:エジプトの中央金属研究所・助教授
- ステップ1(発覚):第一次追及者(詳細不明)は「パブピア(PubPeer)」
- ステップ2(メディア):「パブピア(PubPeer)」、レオニッド・シュナイダー(Leonid Schneider)のブログ
- ステップ3(調査・処分、当局:オーソリティ):①エジプトの中央金属研究所(CMRDI)・調査委員会。②スペインのバスク物質科学研究所(BCMaterials)・調査委員会。③北海道大学は調査していない(推定)
- 大学・調査報告書のウェブ上での公表:なし
- 大学の透明性:①エジプトの中央金属研究所(CMRDI)は調査中(ー)。②スペインのバスク物質科学研究所(BCMaterials)は調査中(ー)。③北海道大学は調査していない(✖)
- 不正:ねつ造・改ざん、盗用
- 不正論文数:「パブピア(PubPeer)」で45報が疑念論文だが、撤回論文は0報
- 時期:研究キャリアの初期から。2013~2022年(23~32歳?)
- 職:事件後に研究職(または発覚時の地位)を続けた(〇)
- 処分:なし
- 日本人の知人:博士論文の指導者である三澤弘明(ミサワ ヒロアキ、北海道大学・電子科学研究所・教授、経歴・人物:①②③④)
【国民の損害額】
国民の損害額:総額(推定)は2億円(大雑把)。
●2.【経歴と経過】
主な出典:AHMED ESMAIL SHALAN | LinkedIn
- 生年月日:不明。仮に1990年1月1日生まれとする。2017年に研究博士号(PhD)を取得した時を27歳とした
- 20xx年(xx歳):エジプト(多分)のxx大学(xx)で学士号取得
- 20xx年(xx歳):エジプトの中央金属研究所(Central Metallurgical Research and Development Institute (CMRDI)で修士号取得:物質科学
- 2014年4月~2017年3月(24~27歳?):北海道大学の電子科学研究所・三澤弘明教授のもとで研究博士号(PhD)を取得:情報科学
- 20xx年(xx歳):エジプトの中央金属研究所(Central Metallurgical Research and Development Institute (CMRDI)・助教授
- 20xx年(xx歳):スペインのバスク物質科学研究所(BCMaterials:Basque Center for Materials Applications & Nanostructures)・ポスドク
- 2022年1月(32歳?):「パブピア(PubPeer)」とレオニッド・シュナイダー(Leonid Schneider)にネカトが指摘された
- 2022年9月29日(32歳?)現在:スペインのバスク物質科学研究所・在職。People – BCMaterials、(220928保存版)
●5.【不正発覚の経緯と内容】
★発覚
2022年1月(32歳?)、アハメド・シャラン(Ahmed Shalan、写真出典)の論文の画像に異常があると、「パブピア(PubPeer)」が指摘した。
2022年1月(32歳?)、「パブピア(PubPeer)」の指摘を基に、レオニッド・シュナイダー(Leonid Schneider)がブログでシャランのネカト行状を解説した。
研究不正の内容を見ると、初期の頃は論文データの図のねつ造・改ざんだが、その後、盗用も多く見られた。
シュナイダーはシャランを個人営業の論文工場主だと評している。
2022年1月26日(32歳?)、白楽は「パブピア(PubPeer)」の指摘でシャラン論文の疑惑に気がついた。検索語「Ahmed Esmail Shalan」で検索すると、その時点では、疑惑論文は19報だった。
2022年7月31日(32歳?)、上記の半年後、同じ検索語「Ahmed Esmail Shalan」で検索すると、疑惑論文の 19報が 26報に増えていた。なお、「Ahmed Shalan」で30報、「Shalan」で45報がヒットした。この疑惑論文数は、2022年9月29日現在、同数である。
2022年9月29日(32歳?)現在、エジプトとスペインはシャランのネカト疑惑を調査中である。日本の北海道大学は、ネカトと告発されたのに、例によって、告発を無視した。それで、北海道大学はネカト調査をしていない。
公式にはシャランがネカトをしたとの結論はまだでていない。
しかし、「パブピア(PubPeer)」での指摘を見ると、どう見ても、シャランはネカトまみれである。
★モニカ・リラ=カントゥ教授(Mónica Lira-Cantú):エジプト
レオニッド・シュナイダー(Leonid Schneider)の問い合わせに、エジプトの中央金属研究所(CMRDI)のモニカ・リラ=カントゥ教授(Mónica Lira-Cantú、写真出典) は、次のようなコメントした。
「アハメド・シャランは10年ほど前、私の研究室で研究していましたが、彼とはもう連絡を取り合っていません。 彼は私の研究室で問題を起こしましたが、最近、彼が一緒に研究している他の教授たちとも、いくつかの問題を起こしていることを私は知っています。これらの問題、特にデータねつ造・改ざんについては、私と私の研究チームは非常に懸念していて、現在調査中です。調査が終われば、私たちは行動を起こします。 私はこの種の研究不正を決して容認しません」
「パブピア(PubPeer)」で検索すると、「Shalan」の疑惑論文45報の内、2013~2015年出版の5報がリラ=カントゥ教授と共著だった。
★セネンチュ・ランセロス=メンデス教授(Senentxu Lanceros-Méndez):スペイン
レオニッド・シュナイダー(Leonid Schneider)の問い合わせに、スペインのバスク物質科学研究所(BCMaterials)のシャランの上司であるセネンチュ・ランセロス=メンデス教授(Senentxu Lanceros-Méndez、写真出典) は、次のようにコメントした。
「シャランの研究不正は深刻な問題ですが、適切に調査され、結論が出るまで、私はいかなる声明も出せません。調査には内部の決まった手順があり、真剣で正しい調査が行なわれるにはそれなりの時間がかかります。調査の結論と最終的な処分はシャランに伝えられるでしょう」
と、研究不正の調査をすぐ開始すると回答してきた。
「パブピア(PubPeer)」で検索すると、「Shalan」の疑惑論文45報の内、2021~2022年出版の2報がランセロス=メンデス教授と共著だった。
★三澤弘明教授:北海道大学の恥が世界に公表
そして、北海道大学の三澤弘明教授である。
結論を先に書くと、三澤弘明教授はレオニッド・シュナイダー(Leonid Schneider)の問い合わせに無回答である。無視しているのだ。
日本のことなので、少し詳しく見ていこう。
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2017年3月(27歳?)、アハメド・シャラン(Ahmed Shalan)は、北海道大学の電子科学研究所・三澤弘明教授のもとで研究博士号(PhD)を取得した。
推定だが、日本学術振興会の外国人特別研究員などの制度を利用して、日本に留学してきたと思う。つまり、日本国民(あなた)の税金が数百万円(数千万円?)使われている。
以下出典(赤下線と緑枠は白楽):People – BCMaterials
上の赤線で示したように、シャランは博士院生の時、賞を受賞している。当時の評価は優秀な留学生である。
受賞部分の英語「the best thesis at the graduate school of information science and technology, Hokkaido university and Ministry of Education Prize」を日本語にすると「北海道大学大学院情報理工学系研究科優秀論文、文部科学大臣賞」だ。
受賞はホント?
ネカト論文に賞を授与したってこと?
そして、北海道大学大学の賞はまだしも、文部科学大臣賞(Ministry of Education Prize)は、ホントにホント?
しつこく書くけど、ネカト論文に文部科学大臣賞を授与したってことなの?
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2017年3月(27歳?)、アハメド・シャラン(Ahmed Shalan)は、北海道大学で情報科学の研究博士号(PhD)を取得した(以下の出典)。
指導教授は電子科学研究所の三澤弘明教授である(画像出典、経歴・人物:①②③④)。
レオニッド・シュナイダー(Leonid Schneider)は三澤弘明教授及び北海道大学に問い合わせた。ところが、回答がない。それで、シュナイダーは次のように書いている。
三澤弘明も北海道大学の幹部も、私のメールに返事をくれませんでした。 「三澤博士がこのネカト事件に積極的に関与していて、北海道大学は研究助成金を得るために不正行為を認めている」と、読者に通知すると伝えても、回答して来ない。
ということは、もしかして、それが真実なの?
北海道大学の恥が世界に公表されている。
さすが、研究不正大国に恥じない日本の有力国立大学である。
とあきれた。
北海道大学の教職員・院生、そして、北海道大学を管轄する文部科学省はなんとかしようとしないのか?
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アハメド・シャラン(Ahmed Shalan)は、上記のように、2017年3月、研究博士号(PhD)を取得した。
この博士論文はそれから5年も経つのに、論文を見ようとすると、どういうわけか「この資料は、著作権の保護期間中か著作権の確認が済んでいない資料のためインターネット公開していません」と出る。それで、内容をチェックできない。
この「著作権の確認が済んでいない」ウンヌンは、5年も経つので、単なる怠慢だと思える?
イヤイヤ、単なる怠慢ではなく、意図的な隠蔽のようだ。
シャランは、博士号取得の 4か月前、以下の「2016年11月のACS Applied Materials & Interfaces」論文を第一著者(三澤弘明教授が最後著者)で発表している。
- Cobalt Oxide (CoOx) as an Efficient Hole-Extracting Layer for High-Performance Inverted Planar Perovskite Solar Cells
Ahmed Esmail Shalan, Tomoya Oshikiri, Sudhakar Narra , Mahmoud M. Elshanawany , Kosei Ueno , Hui-Ping Wu , Keisuke Nakamura , Xu Shi , Eric Wei-Guang Diau, Hiroaki Misawa
ACS Applied Materials & Interfaces (2016) doi: 10.1021/acsami.6b10803
博士論文はこの論文と同一内容で「データねつ造」があるから隠蔽しているのだろう。
博士論文の内容をチェックできないけど、「2016年11月のACS Applied Materials & Interfaces」論文はチェックできる。
そして、パブピアがこの「2016年11月のACS Applied Materials & Interfaces」論文のデータねつ造を指摘していた。以下に示そう。
以下のパブピアの図の出典:https://pubpeer.com/publications/89E828CA10603355688442A35768EF
――――――――――以下は図S1 「#1 Thallarcha lechrioleuca」が指摘
図S1(a)の原図は以下(出典:原著論文)
図S1(a)の4本の線を拡大し幅を詰めると、以下のようになり、どれも同じ。つまり、ねつ造。
図S1(a)の4本の線、「#2 Orchestes quercus」が右側の拡大した。以下のようになり、どれも同じ。つまり、ねつ造。
――――――――――以下は図S4 「#3 Orchestes quercus」が指摘
図S4の(a)と(b)は物質名が異なるのに、画像が重複している。「間違い」か「ねつ造」のどちらかである。
●【ねつ造・改ざんの具体例】
「2016年11月のACS Applied Materials & Interfaces」論文は上記したので、別の論文を示す。
上記もそうだが、同じスペクトラを同じ図に使うなど、とても単純なデータねつ造が多い。第三者でも簡単にその異常に気がつく。
当然、共著者、特に指導者は、簡単にデータねつ造に気がつくハズだ。
「パブピア(PubPeer)」では、アハメド・シャラン(Ahmed Shalan)の45論文にコメントがあった。とても全部は紹介できない。以下適当に選んで、2論文を示した。
★「2017年1月のNanoscale」論文
「2017年1月のNanoscale」論文の書誌情報を以下に示す。三澤弘明が最後著者。2022年9月29日現在、撤回されていない。
- Versatile plasmonic-effects at the interface of inverted perovskite solar cells.
Shalan AE, Oshikiri T, Sawayanagi H, Nakamura K, Ueno K, Sun Q, Wu HP, Diau EW, Misawa H.
Nanoscale. 2017 Jan 19;9(3):1229-1236. doi: 10.1039/c6nr06741g.
以下のパブピアの図の出典:https://pubpeer.com/publications/BD85FB08D680A9E35940A383ED16BB#
――――――――――以下は図S2 「#1 Orchestes quercus」の指摘
2つのXRDスペクトラが同じ
――――――――――以下は図S7b 「#2 Orchestes quercus」の指摘
赤と黒のスペクトラが同じ。
★「2022年3月の著書Graphene・・・」の論文
「2022年3月の著書Graphene・・・」の論文の書誌情報を以下に示す。2022年9月29日現在、撤回されていない。
- Graphene and Its Nanocomposites Derivatives: Synthesis, Properties, and Their Applications in Water Treatment, Gas Sensor, and Solar Cell Fields
Sahar A. Mousa, Sohaila Z. Noby & Ahmed Esmail Shalan
Chapter: First Online: 03 March 2022
――――――――――以下は 「#1 Orchestes quercus」の指摘
右に文章から逐語盗用多し。
言い換え盗用は ’Numerous researchers’ => ‘Different researchers’, ‘significant carbon form’ => ‘substantial carbon structure’, to ‘high-performance photovoltaics’=>’superior photovoltaics’.などある。
――――――――――以下は 「#2 Orchestes quercus」の指摘
右に文章から逐語盗用(黄色部分)。
●6.【論文数と撤回論文とパブピア】
★パブメド(PubMed)
物質科学の分野の論文を生命科学論文のデータベースで検索する意味があるのか、と思ったが、一応試してみた
2022年9月29日現在、パブメド(PubMed)で、アハメド・シャラン(Ahmed Shalan)の論文を「Ahmed Shalan[Author]」で検索した。この検索方法だと、2002年以降の論文がヒットするが、2016~2022年の7年間の47論文がヒットした。
2022年9月29日現在、「Retracted Publication」のフィルターでパブメドの論文撤回リストを検索すると、0論文が撤回されていた。
★撤回監視データベース
2022年9月29日現在、「撤回監視(Retraction Watch)」の撤回監視データベースでアハメド・シャラン(Ahmed Shalan)を「Ahmed Shalan」で検索すると、0論文が撤回されていた。
★パブピア(PubPeer)
2022年9月29日現在、「パブピア(PubPeer)」では、アハメド・シャラン(Ahmed Shalan)の論文のコメントを「Ahmed Shalan」で検索すると、30論文にコメントがあった。
「Shalan」で検索すると、45論文にコメントがあった
2013~2022年(23~32歳?)に出版された論文である。
●7.【白楽の感想】
《1》日本は恥の上塗り
北海道大学はネカト調査して、博士号をはく奪すべきである。
そうしないのは、アハメド・シャラン(Ahmed Shalan)の蛮行を支援しているようなものである。
なんで無対応なの?
《2》韓国の大学教授は研究不正に立ち向かう
白楽ブログでは記事にしていないが、韓国のキム盗博事件がある。
ソギョル・ユン(尹錫悦)大統領の妻のゴンヒ・キム(金建希)は、夫のユンが大統領になる前から、盗博が指摘されていた。
国民大学に提出した2007年の博士論文が盗用だったという指摘である。 → 2022年7月8日記事:韓国前検察総長夫人の「盗用疑惑」博士論文を調査へ=国民大学側「規定に基づき調査」│韓国社会・文化│wowKora(ワウコリア)
2022年8月1日、盗博疑惑を調査していた国民大学は、博士論文に問題はないと発表した。
それを、韓国の教授が猛反発した。
2022年8月7日、問題ないと発表した6日後、「wowKorea(ワウコリア)」新聞が次のように報じた。 → 2022年8月7日記事:国民大学の教授たち「金建希夫人の論文調査発表はこれまでの努力と犠牲に泥を塗った」
‘国民大学校の学問的良心を考える教授たち’は7日、声明で「国民大学が取ったこれまでの過程と1日に発表した再調査結果に深い慙愧(ざんき)の念を感じ、国民大学の学生や卒業生たちに限りなく申し訳なく思う」
教授たちは「国民大学の今回の発表は金建希夫人の論文に対する一般教授たちの学問的見解や国民の一般常識から大きく外れる。70年ほど国民大学の名誉を守るために努力してきた教授たちの努力と犠牲に泥を塗った」と批判した。
国民大学の教授はネカト調査報告書、委員名、すべての会議内容を公開するよう要求している。
なかなか、やりますね。
韓国の研究不正状況は日本よりまマシだが、かなりヒドイのも事実だ。でも、改革しようという表立った動きがある。メディアも報道する。
日本は、このような動きが全くない。
《3》日本は研究不正大国
日本は研究不正大国と言われて久しい。
文部科学省、学術界はそれを改善しようとしない。
アハメド・シャラン(Ahmed Shalan)事件でも、三澤弘明教授と北海道大学はレオニッド・シュナイダー(Leonid Schneider)の問い合わせを無視している。
エジプト時代の指導者のモニカ・リラ=カントゥ教授(Mónica Lira-Cantú)、そして、現在の指導者のスペインのセネンチュ・ランセロス=メンデス教授(Senentxu Lanceros-Méndez)の対応と比べると、日本の三澤弘明教授のマズさが良くわかる。
三澤弘明教授と北海道大学はシャランに博士号を授与しているので、リラ=カントゥ教授やランセロス=メンデス教授と比べると、責任はもっとずっと重い。三澤弘明教授が対応すれば、北海道大学はシャランの博士号をはく奪することができるだろう。
つまり、シャランのネカト研究人生を終わらせることができる。
しかし、三澤弘明教授も北海道大学も自分たちの責任を取ろうとしない。
シャランの博士論文を合格とした博士論文審査委員会の委員たちも自分たちの責任を取ろうとしない。
日本は恥の上塗をしている。
白楽ブログは、基本的に外国の研究者倫理事件しか解説しないが、シャランのように日本で博士号を取得した人のネカト事件に出喰わす。
それで、日本の対処も調べ、結局、日本と外国を直接比較することになる。
そして、日本の対応のヒドサに愕然とする。
日本が研究不正大国であることが良くわかる。
日本の大学は自分の大学に所属する研究者が不正なことをしていても知らんぷりである。
指摘されても、黙秘を押し通す。
本来、自分の大学の教職員の不正行為は、自大学で監視・チェックするのが本来の姿でしょう。
大学にはかなりに人数の研究者(大学教員)がいる。事務局もある。研究者(大学教員)は自大学の同じ分野の教員の動向をよく知っている。教員でなくても、1人の総務係職員が週に30分もチェックすれば、わかるはずだ。
「世界変動展望 」や白楽の【日本の研究者のネカト・クログレイ事件一覧】を見れば、自大学の教員がネカト問題を起こしていることは、告発されなくたって直ぐわかる。
自分で自分の大学の問題点を見つけ、どうして直そうとしないの?
ネカト告発が無ければ調査しないなんて、殿様商売している場合じゃないでしょう。
文部科学省もそう指導すべきである。
ネカトハンターのボランティア活動に依存したネカト告発がなければネカト調査しないなんて、おかしくないか?
その上、三澤弘明教授も北海道大学も告発されても無視している。恥の上塗りしてどうすんの。
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日本がスポーツ、観光、娯楽を過度に追及する現状は日本の衰退を早め、ギリシャ化を促進する。日本は、40年後に現人口の22%が減少し、今後、飛躍的な経済の発展はない。科学技術と教育を基幹にした堅実・健全で成熟した人間社会をめざすべきだ。科学技術と教育の基本は信頼である。信頼の条件は公正・誠実(integrity)である。人はズルをする。人は過ちを犯す。人は間違える。その前提で、公正・誠実(integrity)を高め維持すべきだ。しかし、もっと大きな視点では、日本は国・社会を動かす人々が劣化している。どうすべきなのか?
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●9.【主要情報源】
① 2022年1月19日のレオニッド・シュナイダー(Leonid Schneider)のブログの記事:The One-Man Papermill – For Better Science
② 2022年6月22日のレオニッド・シュナイダー(Leonid Schneider)のブログのマールテン・ヴァン・カンペン(Maarten van Kampen)記者の記事:The Apprentice of the One-Man Papermill – For Better Science
★記事中の画像は、出典を記載していない場合も白楽の作品ではありません。
●コメント
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First paper retracted, due to absence of data
Retraction: Neodymium and Praseodymium Doped Perovskite Materials for Highly Stable CuInS2‐Hole‐Transport Layer‐Based Perovskite Solar Cells – Taheri-Ledari – 2023 – Energy Technology – Wiley Online Library
Thanks for your coverage! I tried to report the case both to Hokkaido university and a funding agency. Both not very succesful, can send you some e-mails when you are interested. Still have good hopes that the 3 Shalan-Misawa PhD papers will be retracted soon.