2017年5月30日掲載。
ワンポイント:盗博サイトのヴロニプラーク・ウィキの162番目。男性。3人いる盗用ページ率100%に次ぐ95.7%の第4位高率盗博者。1994年(29歳?)にドイツのハイデルベルク大学で医学(整形外科)の博士号を取得した。2016年(51歳?)に盗博がバレたが、博士号ははく奪されていない。盗用ページ率は95.7%で、盗用文字率は約94%である。
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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.概略
2.経歴と経過
3.動画
4.日本語の解説
5.不正発覚の経緯と内容
6.盗用解析
6-1.論文数と撤回論文
7.白楽の感想
8.主要情報源
9.コメント
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●1.【概略】
ギュンター・パブスト(Gunther Pabst、写真出典)は男性で、1994年(29歳?)にドイツのハイデルベルク大学(Ruprecht-Karls-Universität Heidelberg、英語:Heidelberg University)で医学(整形外科)の博士号を取得した。
2016年2月13日(51歳?)、ヴロニプラーク・ウィキ(VroniPlag Wiki)が盗博を告発した。162番目の事件である。 → 1‐4‐10.ヴロニプラーク・ウィキ(VroniPlag Wiki)
2017年3月27日現在(52歳?)、発覚後1年以上過ぎたが、ハイデルベルク大学はギュンター・パブストに授与した博士号をはく奪していない。なお、ギュンター・パブストは、スイスのルツェルン州立病院(Luzerner Kantonsspital)に勤務している。
インターネットで検索しても、ドイツの新聞がパブストの盗博事件を報道した記事が見つからない。
ハイデルベルク大学(Ruprecht-Karls-Universität Heidelberg)。写真出典
- 不正:盗博(盗用博士論文)
- 国:ドイツ
- 成長国:ドイツ?
- 研究博士号(PhD)取得年月日:1994年(29歳?)。または、1995年2月9日(30歳?)
- 研究博士号(PhD)取得大学:ドイツのハイデルベルク大学(英語:Heidelberg University)
- 分野:医学(整形外科)
- 博士論文タイトル:Der Einflus von Bisphosphonaten auf die Knochenregeneration am Beispiel von Clodronat. Eine tierexperimentelle Studie
(日本語訳):局所の骨再生に対するビスホスホネートの効果。動物実験での研究 - 博士論文審査教授:Priv. Doz. Dr. med. Volker Ewerbeck
- 公開:
- 盗博発覚年月日:2016年2月13日(51歳?)
- 盗用ページ率:95.7%
- 盗用文字率:約94%
- 研究博士号(PhD)はく奪状況:2017年3月27日現在(51歳?)、はく奪されていない
- 男女:男性
- 生年月日:1965年生まれ。仮に1965年1月1日生まれとする
- 現在の年齢:59 歳?
- 発覚時地位:スイスのルツェルン州立病院(Luzerner Kantonsspital)の臨床医
- ステップ1(発覚):第一次追及者はヴロニプラーク・ウィキ(VroniPlag Wiki)の人(詳細不明)
- ステップ2(メディア):
- ステップ3(調査・処分、当局:オーソリティ):①ハイデルベルク大学・調査委員会が調査していない? 博士号をはく奪していない
- 結末:博士号はく奪なし。臨床医として勤務。研究していない
●2.【経歴と経過】
- 生年月日:1965年生まれ。仮に1965年1月1日生まれとする
- xxxx年(xx歳):xx大学卒業。ドイツの医師免許取得
- 1994年(29歳?):ドイツのハイデルベルク大学(英語:Heidelberg University)で研究博士号(PhD)取得。医学(整形外科)
- xxxx年(xx歳):スイスのルツェルン州立病院(Luzerner Kantonsspital)の臨床医
- 2016年2月13日(51歳?):盗博が発覚
- 2017年5月29日現在(52歳?):ハイデルベルク大学は博士号をはく奪していない
●5.【不正発覚の経緯と内容】
1994年(29歳?)、ギュンター・パブスト(Gunther Pabst)は、ドイツのハイデルベルク大学(英語:Heidelberg University)で医学(整形外科)の博士号を取得した。
2016年2月13日(51歳?)、博士号の取得22年後、ヴロニプラーク・ウィキ(VroniPlag Wiki)が、盗博と告発した。
それを受けて、ハイデルベルク大学は盗博の調査をしているのかどうか不明である。
2017年5月29日現在、いずれにせよ、発覚後1年以上過ぎたが、博士号ははく奪されていない。
●6.【盗用解析】
ギュンター・パブスト(Gunther Pabst)の博士論文のタイトルは 「Der Einflus von Bisphosphonaten auf die Knochenregeneration am Beispiel von Clodronat. Eine tierexperimentelle Studie
(日本語訳):局所の骨再生に対するビスホスホネートの効果。動物実験での研究」である。
博士論文の盗用分析図は以下の5色のバーコードである。
- 青:表題、目次、表、図、文献、付録で、計算に含めない
- 白:盗用なし
- 黒:盗用が50%以内
- 暗い赤:盗用が50%~75%未満
- 明るい赤:盗用が75%以上
博士論文の本体は92ページで、盗用ページ率は95.7%なので赤と黒である。盗用文字率は約94%だった。
なお、元の盗用分析図では、バーコードがページ毎の盗用分析にリンクしている。→ http://de.vroniplag.wikia.com/wiki/Gp
★イラスト表示
以下はページ毎に色分けしたイラスト表示である。
盗用の色分けは、灰色= 逐語盗用(コピペ、文献提示なし)、赤色 = 加工盗用(ロゲッティング、文献提示なし)、黄色 =流用部分が曖昧な盗用(文献提示あり)、 青色 = 翻訳盗用、である。
盗用ページ率は95.7%で、盗用文字率は約94%である。ほとんどが灰色(逐語盗用)で、少しの赤色 (加工盗用)である。
以下は2016 年 2 月 13 日の分析。ピンクが盗用部分である。
★各ページの盗用分析
ギュンター・パブスト(Gunther Pabst)の博士論文の各ページ毎に盗用分析がされている。盗用があるページは青色で、盗用がないページは赤色である。盗用ページ率は95.7%なので、4つのページ以外は全部青色である。青色をクリックすると、各ページが開く。
【6ページ目】
1例として、6ページ目(つまり、006)をクリックすると、盗用比較図が出てくる。以下はその1部分を示した。
左側がギュンター・パブストの博士論文で右が被盗用論文である。着色部分の文章が同一である。
このページは、逐語盗用のオンパレードである。明白な盗用だ。
●6-1.【論文数と撤回論文】
2017年5月29日現在、パブメド(PubMed)で、ギュンター・パブスト(Gunther Pabst)の論文を「Gunther Pabst[Author]」で検索した。2003-2014年の12年間の 6論文がヒットした。
撤回論文はない。
ギュンター・パブスト(Gunther Pabst)が第一著者、あるいは最後著者になっている論文は1つもない。また、論文タイトルや共著者名から判断して、この6論文は一貫した研究ではない。
つまり、ギュンター・パブスト(Gunther Pabst)は自分のテーマで研究を続けていないと思われる。
「Pabst G[Author] 」で検索すると、1967-2017年の51年間の 123論文がヒットした。
博士論文を提出したハイデルベルク大学の所属で絞ると、つまり、「(Pabst G[Author]) AND Heidelberg[Affiliation] 」で検索すると、論文はヒットしなかった。
●7.【白楽の感想】
《1》詳細不明
ギュンター・パブストの博士論文は、盗用ページ率は95.7%で、盗用文字率は約94%である。例示した盗用ページは、見事に逐語盗用である。
どうやら、ギュンター・パブストは論文を書く能力がないと思われる。それで、大規模な盗用をしたのだろう。
それなら、博士号を授与すべきではなかったのだ。
この事件は、どうすると盗博を防止できたのかが、見えてこない。
ハイデルベルク大学はギュンター・パブストの博士号をはく奪しなかったが、どういうことだろう? はく奪は当然だと思う。
標語:「盗博の博士号は当然はく奪!」
●8.【主要情報源】
① ヴロニプラーク・ウィキ(VroniPlag Wiki)のギュンター・パブスト(Gunther Pabst)サイト:Gp | VroniPlag Wiki | Fandom powered by Wikia
★記事中の画像は、出典を記載していない場合も白楽の作品ではありません。
●コメント