アンドリュー・ダネンバーグ(Andrew Dannenberg)、コタ・スブラーメイン(Kotha Subbaramaiah)(米)

2023年12月5日掲載 

ワンポイント:2023年9月7日、発覚から5年後(遅いですね)、研究公正局は、コーネル大学医科大学院(Weill Cornell Medical College)・教授だったダネンバーグとスブラーメインの2008~2016年の9年間の12論文に60件のねつ造・改ざん画像があったと発表した。2人に、2023年8月14日から7年間の監督期間(Supervision Period)処分を科した。7年間の監督期間(Supervision Period)処分はかなり強い処分である。なお、ダネンバーグは米国育ちだが、スブラーメインはインド育ちで、インドのハイデラバード大学(University of Hyderabad)で研究博士号(PhD)を取得後、ポスドクを経て、米国のコーネル大学医科大学院のダネンバーグ教授の部下として研究し教授になった。研究公正局は2008~2016年の9年間に出版した12報を不正としたが、撤回監視データベースでは、2001~2014年の14年間に出版した19報が撤回されている。2人はこの事件で大学を退職している。ネカト・ハンターのクレア・フランシス(Claire Francis)が最初に指摘した。国民の損害額(推定)は8億円(大雑把)。

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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.概略
2.経歴と経過
3.動画
5.不正発覚の経緯と内容
6.論文数と撤回論文とパブピア
7.白楽の感想
9.主要情報源
10.コメント
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●1.【概略】

アンドリュー・ダネンバーグ(Andrew Dannenberg、Andrew J Dannenberg、写真出典)は、米国のコーネル大学医科大学院(Weill Cornell Medical College)・教授・医師で、専門は乳癌である。

コタ・スブラーメイン(コタ・スッバラマイア、Kotha Subbaramaiah、ORCID iD:、写真出典)は、インドに育ち、ハイデラバード大学(University of Hyderabad)で研究博士号(PhD)を取得し、米国のコーネル大学医科大学院(Weill Cornell Medical College)・教授になった。米国でのボスはダネンバーグで、出版した論文のほぼ全部がダネンバーグと共著という、ダネンバーグにベッタリの研究者である。専門はがんである。

「Subbaramaiah」の発音はココによると、「スブラーメイン」と聞こえるので、それを使用した。

ダネンバーグとスブラーメインの両方とも研究公正局から同じ日にクロと発表され、問題視されている論文は同じ、ペナルティも同じである。

それで、本記事では、ダネンバーグとスブラーメインをほぼ同等に解説するが、ベッタリ師弟なので、ボスのダネンバーグを中心に書く。

2018年2月x日、有名なネカト・ハンターのクレア・フランシス(Claire Francis)がダネンバーグの論文の画像の異常を最初に指摘した。

2018年x月x日(推定)、コーネル大学医科大学院はネカト調査を開始した。

2020年後半(推定)、コーネル大学医科大学院がネカト調査を終え、ダネンバーグとスブラーメイをクロと結論した。ネカト調査報告書を研究公正局に送付した。

ダネンバーグとスブラーメイは、その頃、コーネル大学医科大学院を退職した(させられた)(retired)。

2023年9月7日、発覚から5年後(遅いですね)、研究公正局(ORIロゴ出典)は、コーネル大学医科大学院(Weill Cornell Medical College)・教授だったダネンバーグとスブラーメインの12報の発表論文に、60件のねつ造・改ざん画像があったと発表した。

2人に、2023年8月14日から7年間の監督期間(Supervision Period)処分を科した。7年間の監督期間(Supervision Period)処分はかなり強い処分である。

なお、研究公正局は2008~2016年の9年間に出版した12報を不正としたが、撤回監視データベースでは、2001~2014年の14年間に出版した19報が撤回されている。

コーネル大学医科大学院(Weill Cornell Medical College)。写真出典

  • 国:米国
  • 成長国:
  • 医師免許(MD)取得:
  • 研究博士号(PhD)取得:
  • 男女:男性
  • 生年月日:
  • 現在の年齢:
  • 分野:がん
  • 不正論文発表:2001~2014年の14年間
  • ネカト行為時の地位:コーネル大学医科大学院・教員、教授
  • 発覚年:2018年
  • 発覚時地位:コーネル大学医科大学院・教授
  • ステップ1(発覚):第一次追及者はネカト・ハンターのクレア・フランシス(Claire Francis)
  • ステップ2(メディア):「パブピア(PubPeer)」
  • ステップ3(調査・処分、当局:オーソリティ):①コーネル大学医科大学院・調査委員会。②研究公正局
  • 大学・調査報告書のウェブ上での公表:なし
  • 大学の透明性:研究公正局でクロ判定(〇)
  • 不正:ねつ造・改ざん
  • 不正論文数:研究公正局は2008~2016年の9年間に出版した12報の60件の画像とした。しかし、撤回監視データベースではもっと多く、2001~2014年の14年間に出版した19報が撤回されている
  • 時期:
  • 職:事件後に研究職(または発覚時の地位)を続けられなかった(Ⅹ)
  • 処分:7年間の監督期間(Supervision Period)処分
  • 日本人の弟子・友人:① Kentaro Yamaguchi、撤回論文(2005年)の第一著者。②Kazuhiko Yoshimatsu、撤回論文(2004年)の第2著者、③Sachiyo Okayama、撤回論文(2014年)の第一著者、など多数いる

【国民の損害額】
国民の損害額:総額(推定)は8億円(大雑把)。

●2.【経歴と経過】

★アンドリュー・ダネンバーグ(Andrew Dannenberg)

主な出典:Andrew Jess Dannenberg – Wikipedia

  • 1956年2月17日:米国で生まれた
  • 1978年(22歳):タフツ大学(Tufts University)で学士号を取得:理学
  • 1987年(31歳):ワシントン大学(Washington University School of Medicine)で医師免許(MD)を取得
  • 1988年(32歳):コーネル大学医科大学院(Weill Cornell Medical College)・助教授
  • 2000年(44歳):同大学・正教授
  • 2001~2014年(45~58歳):この14年間、後でネカトで撤回された19論文を出版
  • 2008~2016年(52~60歳):この9年間、後で研究公正局からネカトとされた12論文を出版
  • 2011年(55歳):米国癌学会・癌予防研究優秀賞(Award for Excellence in Cancer Prevention Research)を受賞
  • 2018年2月x日(62歳):研究不正が発覚(推定)
  • 2018年x月x日(62歳):コーネル大学医科大学院がネカト調査開始(推定)
  • 2020年後半(64歳):コーネル大学医科大学院がネカト調査を終えクロと結論(推定)
  • 2020年後半(64歳):コーネル大学医科大学院(Weill Cornell Medical College)・退職(retired)
  • 2023年9月7日(67歳):研究公正局がネカトと発表

★コタ・スブラーメイン(Kotha Subbaramaiah)

主な出典:(1):(11) Kotha Subbaramaiah | LinkedIn、(2):Subbaramaiah, Kotha

  • 生年月日:不明。仮に1959年1月1日生まれとする。1977年に大学・学部に入学した時を18歳とした
  • 1977~1980年(18~21歳?):インドのスリ・ヴェンカテスワラ大学(Sri Venkateswara University)で学士号を取得
  • 1980~1989年(21~30歳?):インドのハイデラバード大学(University of Hyderabad)で研究博士号(PhD)を取得
  • 1989~1992年(30~33歳?):米国のニューヨーク市立大学シティカレッジ(City College of New York)・ポスドク
  • 1992年7月~1994年7月(33~35歳?):米国のセント・ジョーンズ大学(St. John’s University)・ポスドク
  • 1994年11月(35歳?):コーネル大学医科大学院(Weill Cornell Medical College)・教員、後に正教授
  • 2001~2014年(42~55歳?):この14年間、後でネカトで撤回された19論文を出版
  • 2008~2016年(49~57歳?):この9年間、後で研究公正局からネカトとされた12論文を出版
  • 2018年2月x日(59歳?):研究不正が発覚(推定)
  • 2018年x月x日(59歳?):コーネル大学医科大学院がネカト調査開始(推定)
  • 2020年後半(61歳?):コーネル大学医科大学院がネカト調査を終えクロと結論(推定)
  • 2021年初頭(62歳?):コーネル大学医科大学院(Weill Cornell Medical College)・退職(retired)
  • 2023年9月7日(64歳?):研究公正局がネカトと発表

●3.【動画】

以下は事件の動画ではない。

【動画1】
研究紹介動画:「Dr. Andrew Dannenberg Talks Cancer Prevention (60s) – YouTube」(英語)1分3秒。
Prevent Cancer Foundation(チャンネル登録者数 664人)が2017/01/06に公開

【動画2】
研究紹介動画:「Dr. Andrew Dannenberg Explains BMI and Breast Cancer Risk – YouTube」(英語)2分37秒。
American Institute for Cancer Research (AICR)(チャンネル登録者数 873人)が2019/09/17に公開

●5.【不正発覚の経緯と内容】

★研究人生

【アンドリュー・ダネンバーグ(Andrew Dannenberg)】

アンドリュー・ダネンバーグ(Andrew Dannenberg)は、米国のコーネル大学医科大学院(Weill Cornell Medical College)・教授・医師で、乳癌研究では著名な研究者である。

【コタ・スブラーメイン(Kotha Subbaramaiah)】

コタ・スブラーメイン(Kotha Subbaramaiah)は、インドで生まれ育ち、インドのハイデラバード大学(University of Hyderabad)で研究博士号(PhD)を取得後、渡米した。

米国のニューヨーク市立大学シティカレッジ(City College of New York)・ポスドク、その後、米国のセント・ジョーンズ大学(St. John’s University)・ポスドクを経て、1994年11月(35歳?)、コーネル大学医科大学院(Weill Cornell Medical College)・教員、その後、教授になった。

コーネル大学医科大学院・教員でのボスがダネンバーグで、その後の研究人生では、ダネンバーグにベッタリと張り付いて研究をしてきた。

具体的に示すと、1996~2022年の27年間に出版した137論文の全部がダネンバーグと共著だった。

★獲得研究費

【アンドリュー・ダネンバーグ(Andrew Dannenberg)】

アンドリュー・ダネンバーグ(Andrew Dannenberg)は、NIHから1990~2020年の31年間に33件、計8,175,495ドル(約8億1755万円)の研究費を獲得していた。 → RePORT ⟩ Andrew Dannenberg

【コタ・スブラーメイン(Kotha Subbaramaiah)】

コタ・スブラーメイン(Kotha Subbaramaiah)は、NIHから2005~2009年の5年間に5件、計1,205,255ドル(約1億2053万円)の研究費を獲得していた。 → RePORT ⟩ Kotha Subbaramaiah

★発覚

2018年2月x日、有名なネカト・ハンターのクレア・フランシス(Claire Francis)がダネンバーグの論文の画像の異常を見つけ、パブピアで指摘した。

更に、そのことを学術誌とコーネル大学医科大学院に通報した。

2018年x月x日(推定)、コーネル大学医科大学院はネカト調査開始した。

2020年後半(推定)、コーネル大学医科大学院がネカト調査を終え、ダネンバーグとスブラーメイをクロと結論した。ネカト調査報告書を研究公正局に送付した。

★研究公正局

【アンドリュー・ダネンバーグ(Andrew Dannenberg)】【コタ・スブラーメイン(Kotha Subbaramaiah)】を一緒に記述する。

2023年9月7日、発覚から8年後(遅いですね)、研究公正局はアンドリュー・ダネンバーグ(Andrew Dannenberg)とコタ・スブラーメイン(Kotha Subbaramaiah)が12報の発表論文の60件の投稿原稿の画像をねつ造・改ざんしていたと発表した。

2人に、2023年8月14日から7年間の監督期間(Supervision Period)処分を科した。7年間の監督期間(Supervision Period)処分はかなり強い処分である。

12報の発表論文は以下の通り。研究公正局の発表をそのまま貼り付けた。2008~2016年の9年間の12報である。

  1. Increased levels of COX-2 and prostaglandin E2 contribute to elevated aromatase expression in inflamed breast tissue of obese women. Cancer Discov. 2012 Apr;2(4):356-65. doi: 10.1158/2159-8290.CD-11-0241 (hereafter referred to as “Cancer Discov. 2012”). Retraction in: Cancer Discov. 2021 May;11(5):1306. doi: 10.1158/2159-8290.CD-21-0224.
  2. EP2 and EP4 receptors regulate aromatase expression in human adipocytes and breast cancer cells. Evidence of a BRCA1 and p300 exchange. J Biol Chem. 2008 Feb 8;283(6):3433-44. doi: 10.1074/jbc.M705409200 (hereafter referred to as “J Biol Chem. 2008”). Retraction in: J Biol Chem. 2020 Jan 3;295(1):295. doi: 10.1074/jbc.W119.012140.
  3. HDAC6 modulates Hsp90 chaperone activity and regulates activation of aryl hydrocarbon receptor signaling. J Biol Chem. 2009 Mar 20; 284(12):7436-45. doi: 10.1074/jbc.M808999200 (hereafter referred to as “J Biol Chem. 2009”). Retraction in: J Biol Chem. 2020 Jan 3;295(1):297. doi: 10.1074/jbc.W119.012142.
  4. p53 protein regulates Hsp90 ATPase activity and thereby Wnt signaling by modulating Aha1 expression. J Biol Chem. 2014 Mar 7;289(10):6513-25. doi: 10.1074/jbc.M113.532523 (hereafter referred to as “J Biol Chem. 2014”). Retraction in: J Biol Chem. 2020 Jan 3; 295(1):289. doi: 10.1074/jbc.W119.012134.
  5. Hsp90 and PKM2 drive the expression of aromatase in Li-Fraumeni syndrome breast adipose stromal cells. J Biol Chem. 2016 Jul 29;291(31):16011-23. doi: 10.1074/jbc.M115.698902 (hereafter referred to as “J Biol Chem. 2016”). Retraction in: J Biol Chem. 2020 Jan 3; 295(1):290. doi: 10.1074/jbc.W119.012135.
  6. Heat shock protein 90 inhibitors suppress aryl hydrocarbon receptor-mediated activation of CYP1A1 and CYP1B1 transcription and DNA adduct formation. Cancer Prev Res (Phila). 2008 Nov;1(6):485-93. doi: 10.1158/1940-6207.CAPR-08-0149 (hereafter referred to as “Cancer Prev Res. 2008”). Retraction in: Cancer Prev Res (Phila). 2022 Jun 2;15(6):415. doi: 10.1158/1940-6207.CAPR-22-0200.
  7. Obesity is associated with inflammation and elevated aromatase expression in the mouse mammary gland. Cancer Prev Res (Phila). 2011 Mar;4(3):329-46. doi: 10.1158/1940-6207.CAPR-10-0381 (hereafter referred to as “Cancer Prev Res. 2011”). Retraction in: Cancer Prev Res (Phila). 2022 Jun 2; 15(6):413. doi: 10.1158/1940-6207.CAPR-22-0202.
  8. Carnosol, a constituent of Zyflamend, inhibits aryl hydrocarbon receptor-mediated activation of CYP1A1 and CYP1B1 transcription and mutagenesis. Cancer Prev Res (Phila). 2012 Apr;5(4):593-602. doi: 10.1158/1940-6207.CAPR-12-0002 (hereafter referred to as “Cancer Prev Res. 2012a”). Retraction in: Cancer Prev Res (Phila). 2022 Jun 2;15(6):412. doi: 10.1158/1940-6207.CAPR-22-0203.
  9. Pioglitazone, a PPAR[gamma] agonist, suppresses CYP19 transcription: evidence for involvement of 15-hydroxyprostaglandin dehydrogenase and BRCA1. Cancer Prev Res (Phila). 2012 Oct;5(10):1183-94. doi: 10.1158/1940-6207.CAPR-12-0201 (hereafter referred to as “Cancer Prev Res. 2012b”). Retraction in: Cancer Prev Res (Phila). 2022 Jun 2;15(6):411. doi: 10.1158/1940-6207.CAPR-22-0204.
  10. Caloric restriction reverses obesity-induced mammary gland inflammation in mice. Cancer Prev Res (Phila). 2013 Apr;6(4):282-9. doi: 10.1158/1940-6207.CAPR-12-0467 (hereafter referred to as “Cancer Prev Res. 2013”). Retraction in: Cancer Prev Res (Phila). 2022 Jun 2;15(6):410. doi: 10.1158/1940-6207.CAPR-22-0205.
  11. p53 modulates Hsp90 ATPase activity and regulates aryl hydrocarbon receptor signaling. Cancer Prev Res (Phila). 2014 Jun;7(6):596-606. doi: 10.1158/1940-6207.CAPR-14-0051 (hereafter referred to as “Cancer Prev Res. 2014”). Retraction in: Cancer Prev Res (Phila). 2022 Jun 2;15(6):408. doi: 10.1158/1940-6207.CAPR-22-0207.
  12. Id1 deficiency protects against tumor formation in Apc(Min/+) mice but not in a mouse model of colitis-associated colon cancer. Cancer Prev Res (Phila). 2015 Apr;8(4):303-11. doi: 10.1158/1940-6207.CAPR-14-0411 (hereafter referred to as “Cancer Prev Res. 2015”). Retraction in: Cancer Prev Res (Phila). 2022 Jun 2;15(6):407. doi: 10.1158/1940-6207.CAPR-22-0208.

★ネカト犯は誰?

研究公正局はダネンバーグとスブラーメインの2人をネカト犯と発表している。

しかし、ダネンバーグの弁護士・エリザベス・マカヴォイ(Elizabeth McAvoy、写真出典同)は、「撤回監視(Retraction Watch)」に次のように述べた。

ダネンバーグ博士は、問題視された論文のデータを作成していないし、撤回が必要な画像を作成していません。 これらのデータ画像は別の研究者が作成したものです。 出版当時、ダネンバーグ博士はこれらのデータが有効で信頼できるものであると信じていましたが、これらのデータに懸念があると知ったのは最近になってからです。

「撤回監視(Retraction Watch)」は、6報の撤回論文の共著者になっているクリフォード・ヒューディス(Clifford Hudis、写真出典同)に、「撤回の原因となった出来事を知っているか?」と尋ねた。なお、ヒューディスはアメリカ臨床腫瘍学会(American Society of Clinical Oncology)の会長である。

ヒューディスは、次のように答えた。

私が聞いたことは、私たちの共著者の一人が、作成したさまざまな画像を裏付ける証拠を提供できなかった、ということだけです。

この2人の話しの方向は、「スブラーメインの単独犯」となるが、研究公正局はダネンバーグとスブラーメインの2人をネカト犯としている。

【ねつ造・改ざんの具体例】

日本人が共著者になっている2報の撤回論文を適当に選んで問題箇所を以下に詳しく見よう。

★「2005年9月のJ Biol Chem」論文

研究公正局がネカトと指摘していない「2005年9月のJ Biol Chem」論文は、ネカトで2020年1月3日、撤回された。 → 撤回公告

書誌情報を以下に示す。日本人名の「Kentaro Yamaguchi」が第一著者である。

図10Bのc-Jun Promoterは、図10A のc-Jun Promoterを水平方向に引き延ばしたもので、同じ画像(図の出典は「パブピア(PubPeer)」:https://pubpeer.com/publications/17E8C3800250C34CC6248A876F3E2B?)。

★「2014年3月のJ Biol Chem」論文

「2014年3月のJ Biol Chem」論文の書誌情報を以下に示す。研究公正局の指摘した12問題論文の4番目の論文である。日本人名の「Sachiyo Okayama」が第一著者。2020年1月3日、撤回された。 → 撤回公告

同じ画像がたくさん使用されている。見ればわかるので1つ1つ説明しない。図の出典は「パブピア(PubPeer)」:https://pubpeer.com/publications/17E8C3800250C34CC6248A876F3E2B?)。

ーーー図2B

ーーー図2B

ーーー図5

ーーー図1D

 

ーーー図10

●6.【論文数と撤回論文とパブピア】

データベースに直接リンクしているので、記事を閲覧した時、リンク先の数値は、記事執筆時の以下の数値より増えていると思います。

★パブメド(PubMed)

【アンドリュー・ダネンバーグ(Andrew Dannenberg)】

2023年12月4日現在、パブメド(PubMed)で、アンドリュー・ダネンバーグ(Andrew Dannenberg、Andrew J Dannenberg)の論文を「Andrew Dannenberg [Author]」で検索した。この検索方法だと、2002年以降の論文がヒットするが、2002~2023年の22年間の264論文がヒットした。

2023年12月4日現在、「Retracted Publication」でパブメドの論文撤回リストを検索すると、18論文が撤回されていた。

全18報は、コタ・スブラーメイン(Kotha Subbaramaiah)と共著である。

【コタ・スブラーメイン(Kotha Subbaramaiah)】

2023年12月4日現在、パブメド(PubMed)で、コタ・スブラーメイン(Kotha Subbaramaiah)の論文を「Kotha Subbaramaiah [Author]」で検索した。この検索方法だと、2002年以降の論文がヒットするが、2002~2023年の22年間の101論文がヒットした。

101論文の内の100論文がアンドリュー・ダネンバーグ(Andrew Dannenberg)と共著だった。

「Subbaramaiah K」で検索すると、1970~2022年の53年間の144論文がヒットした。

144論文の内の136論文がアンドリュー・ダネンバーグ(Andrew Dannenberg)と共著だった。

最古の共著論文は1996年の論文で、所属は、コーネル大学医科大学院(Weill Cornell Medical College)だった。

2023年12月4日現在、「Retracted Publication」でパブメドの論文撤回リストを検索すると、18論文が撤回されていた。

全18報は、アンドリュー・ダネンバーグ(Andrew Dannenberg)と共著だった。

★撤回監視データベース

【アンドリュー・ダネンバーグ(Andrew Dannenberg)】【コタ・スブラーメイン(Kotha Subbaramaiah)】

2023年12月4日現在、「撤回監視(Retraction Watch)」の撤回監視データベースでアンドリュー・ダネンバーグ(Andrew Dannenberg、Andrew J Dannenberg)を「Andrew J Dannenberg」で検索すると、2論文が懸念表明、20論文が撤回されていた。

1懸念表明論文と19撤回論文がコタ・スブラーメイン(Kotha Subbaramaiah)と共著だった。

20撤回論文は2001~2014年の14年間に出版した論文だった。

最初の撤回は2005年10月の論文が、2006年2月4日に1報、撤回された。これは、第一著者のヨン・スドベ (Jon Sudbø) (ノルウェー)のネカトとされた。

ヨン・スドベ (Jon Sudbø) (ノルウェー)

その後は、2019年に9報、2021年に1報、2022年に9報、撤回だった。従って、今回の事件ではこの19撤回論文を対象とした。

★パブピア(PubPeer)

【アンドリュー・ダネンバーグ(Andrew Dannenberg)】【コタ・スブラーメイン(Kotha Subbaramaiah)】

2023年12月4日現在、「パブピア(PubPeer)」では、アンドリュー・ダネンバーグ(Andrew Dannenberg、Andrew J Dannenberg)の論文のコメントを「Andrew J. Dannenberg」で検索すると、26論文にコメントがあった。

26論文の内の24論文は、コタ・スブラーメイン(Kotha Subbaramaiah)が共著だった。

●7.【白楽の感想】

《1》多数論文撤回者 

本事件は正統的なネカト事件である。

コタ・スブラーメイン(Kotha Subbaramaiah)が、1996~2022年の27年間に出版した137論文の全部がボスであるアンドリュー・ダネンバーグ(Andrew Dannenberg)と共著だった。

スブラーメインはインドで育ち、インドのハイデラバード大学(University of Hyderabad)で研究博士号(PhD)を取得後、ポスドクとして渡米し、1994年11月(35歳?)、コーネル大学医科大学院(Weill Cornell Medical College)・教員になって以降、27年という年月、ダネンバーグにベッタリくっついて研究してきた。

研究公正局は、その2人の2008~2016年(スブラーメインは49~57歳?)の9年間の12共著論文に60件のねつ造・改ざん画像があったと発表した。

しかし、撤回監視データベースでは撤回論文数は19報もある。研究公正局は、差の7報をどうして記載しないのか不明である。ネカト調査がズサンだったと思うが、今回は追及しないで置こう。

9年間という長い間、ネカトを放置してきた所属大学・周辺研究者にも責任がある。今回、これも追及しないで置こう。

2人共、それなりの地位を得てからネカトをしたと受け取れるが、なんかヘンだ。

多分、次のような流れだろう。

スブラーメインは20代・30代からネカトをしていた。そのまま、コーネル大学医科大学院(Weill Cornell Medical College)の教員になり、ボスのダネンバーグを共著に論文を出版した。

ある時、ダネンバーグはスブラーメインのネカトに気付いたが、もう、師弟の情が深く刻まれていて、人間として切れない。その上、かなりの論文がネカト汚染されていた。それで、阿吽の呼吸で黙認してしまった。

それで、2人は共犯となった。

ダネンバーグはスブラーメインのネカトを黙認するという悪魔の穴から抜け出せなかったので、2人は著者でネカト論文を出版し続けたのではないだろうか。

ダネンバーグが有力教授だったので、周囲は気がついても深入りしなかった・できなかった。それで9年間という長い間、ネカトし続けた。

《2》方針変更

上記《1》は、共犯説である。

白楽は、上記ではなく、研究公正局が方針を変更したかもしれないと思った。

ダネンバーグの弁護士・エリザベス・マカヴォイ(Elizabeth McAvoy)、また、共著者のクリフォード・ヒューディス(Clifford Hudis)が、ネカトは「スブラーメインの単独犯」と暗示している。

その「スブラーメインの単独犯」説を正しいとしよう。

では、どうして、研究公正局はダネンバーグとスブラーメインの2人をネカト犯としたのか?

ネカト行為をした部下の室員とそのボスがいた場合、研究公正局は、従来、ネカト行為をした部下の室員だけをクロとし、ボスをシロとした。

ところが、このボスに責任がないという判定に多くの研究者は不満を表明していた。

それで、方針変更し、ボスもクロとし処分を科す方式にした、ということではないだろうか?

この場合、ボスもクロとする基準をどう設定するのかが重要だが、今回、スブラーメインの12撤回論文の全部でボスのダネンバーグが共著者になっていた。つまり基準は多数の疑惑論文の共著者になっているかどうかで、例えば、ネカト論文の80%以上(90%?)で共著者になっていたなどの基準ではないだろうか?

大外れかもしれないけど。

アンドリュー・ダネンバーグ(Andrew Dannenberg)(左)とコタ・スブラーメイン(Kotha Subbaramaiah)(右)。写真出典

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日本の人口は、移民を受け入れなければ、試算では、2100年に現在の7~8割減の3000万人になるとの話だ。国・社会を動かす人間も7~8割減る。現状の日本は、科学技術が衰退し、かつ人間の質が劣化している。スポーツ、観光、娯楽を過度に追及する日本の現状は衰退を早め、ギリシャ化を促進する。今、科学技術と教育を基幹にし、人口減少に見合う堅実・健全で成熟した良質の人間社会を再構築するよう転換すべきだ。公正・誠実(integrity)・透明・説明責任も徹底する。そういう人物を昇進させ、社会のリーダーに据える。また、人類福祉の観点から、人口過多の発展途上国から、適度な人数の移民を受け入れる。
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●9.【主要情報源】

①  研究公正局の報告:(1)2023年9月7日:Case Summary: Dannenberg, Andrew | ORI – The Office of Research IntegrityCase Summary: Subbaramaiah, Kotha | ORI – The Office of Research Integrity。(2)2023年9月13日の連邦官報:Dannenberg FRN 2023-19779.pdfSubbaramaiah FRN 2023-19780.pdf。(3)2023年9月13日の連邦官報:Federal Register :: Findings of Research MisconductFederal Register :: Findings of Research Misconduct。(4)2023年9月21日:NOT-OD-23-187: Findings of Research MisconductNOT-OD-23-186: Findings of Research Misconduct
② ウィキペディア英語版:Andrew Jess Dannenberg – Wikipedia
③ 2020年1月3日のアダム・マーカス(Adam Marcus)記者の「撤回監視(Retraction Watch)」記事:Prominent cancer researcher loses nine papers, making 10 – Retraction Watch
④ 2022年6月3日のエリー・キンケイド(Ellie Kincaid)記者の「撤回監視(Retraction Watch)」記事:Former Weill Cornell cancer researcher up to 20 retractions; investigation’s findings are with Feds – Retraction Watch
⑤ 2023年9月7日のエリー・キンケイド(Ellie Kincaid)記者の「撤回監視(Retraction Watch)」記事:Weill Cornell cancer researchers committed research misconduct, feds say – Retraction Watch
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