犯罪「セクハラ」:天文学:ジェフリー・マーシー(Geoffrey W. Marcy)(米)

ワンポイント:ノーベル賞候補教授の女子学生への常習セクハラ

【概略】
hqdefault-1ジェフリー・マーシー(Geoffrey W. Marcy、写真出典)は、米国の名門・カリフォルニア大学バークレー校(University of California, Berkeley。略して、UCバークレー校、またはUCB)・教授でノーベル賞候補学者だった。医師ではない。専門は天文学で、初期に発見された100個の太陽系外惑星の70個を発見し、1980-2015年に325報の論文を出版した。

2015年(61歳)、2001~2010年に女子学生を恒常的にセクハラ(無理やりのマッサージ・キス・痴漢行為)していたことが発覚し、年俸$217,600(約2,176万円)の大学教授職を退職した。

マーシーはセクシャル・プレデターsexual predator)と思われるが、2016年1月27日現在、逮捕・投獄はされていないので、性犯罪者(sex crimes)と呼べないが、勿論、セクハラは米国でも犯罪である。

マーシーのセクハラは、1995年(41歳)以前から常習的だったと言われている。

この事件は、ギズモードの2015年「悪質科学スキャンダル」ランキングの第5位になった(2015年ランキング)。

2016年1月25日、米国・科学庁(National Science Foundation:NSF)はセクハラ大学に研究助成しないと発表した。

Treffer%20Dome%203%20smaller米国・カリフォルニア大学バークレー校・天文学科(Department of Astronomy, University of California, Berkeley)のキャンベルホール屋上観測所(Campbell Hall Rooftop Dome Observatory)。写真出典

  • 国:米国
  • 成長国:米国
  • 研究博士号(PhD)取得:カリフォルニア大学サンタクルーズ校
  • 男女:男性
  • 生年月日:1954年9月29日
  • 現在の年齢:62 歳
  • 分野:天文学
  • 最初の不正:1995年(41歳)以前
  • 発覚年:2015年(61歳)
  • 発覚時地位:カリフォルニア大学バークレー校・教授
  • 発覚:被害者の大学への公益通報
  • 調査:①カリフォルニア大学バークレー校・調査委員会。②新聞記者。~2015年10月9日
  • 不正:セクハラ
  • 被害者数:少なくとも4人。実際はもっと多数と思われる
  • 時期:研究キャリアの中期(初期?)から
  • 結末:退職

【経歴と経過】
主たる出典:、②Curriculum Vitae – Geoffrey Marcy

  • 1954年9月29日:米国・ミシガン州で生まれる
  • 1972年(18歳):米国・カリフォルニアのグラナダ・ヒルズ・チャーター高校(Granada Hills High School in Granada Hills, California,)を卒業
  • 1976年(22歳):米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校(University of California, Los Angeles)卒業。学士号
  • 1982年(28歳):米国・カリフォルニア大学サンタクルーズ校(University of California, Santa Cruz)で研究博士号(PhD)を取得
  • 1982 – 1984年(28 – 30歳):カーネギー研究所など(Carnegie Institution of Washington、Mt. Wilson and Las Campanas Observatories)の教員・研究員
  • 1984 – 1996年(30 – 42歳):サンフランシスコ州立大学(San Francisco State University)・準教授geoff_marcy2
  • 1997 – 1999年(43 – 45歳):サンフランシスコ州立大学(San Francisco State University)・殊勲教授(Distinguished University Professor)
  • 1999 – 2015年(45 – 61歳):米国・カリフォルニア大学バークレー校(University of California, Berkeley)・教授
  • 2015年12月31日(61歳):カリフォルニア大学バークレー校・退職

★受賞(ほとんど英語のままでスミマセン)

【研究内容】

【動画】
マーシーの研究講演の動画が多数アップされている。ノーベル賞級学者なら当然だろう。
以下は、事件が報道される数か月前の2015年2月の講演である。「UC Berkeley Professor of Astronomy, Geoffrey Marcy live at the JCCSF – YouTube」(英語)1時間8分18秒。
Arts & Ideas at the JCCSFが2015/02/23 に公開

【事件の日本語文章】

日本語の解説を引用する。

★2015年11月9日の渡辺由佳里の記事

出典:セクハラで空から落ちた天文学のスター|アメリカはいつも夢見ている|渡辺由佳里|cakes(ケイクス)

マーシー教授は、太陽系外惑星の「惑星ハンター」だけでなく、10年を費やして宇宙で地球外知的生命体を調査していく「Breakthrough Listen(ブレイクスルー・リスン)」の研究監督(PI)も務めていた。スティーブン・ホーキング博士も関わっている1億ドル(約124億円)もの大規模なプロジェクトだ。NASAのケプラー宇宙望遠鏡のミッションにも関わっており、アメリカで最も有名な天文学者のひとりである。

ところが、将来のノーベル賞受賞さえ噂されていたこの大スターが、10月15 日に突然教授の地位と「ブレイクスルー・リスン」の職を自ら去ったのである。

理由は「セクシャルハラスメント」だ。

カリフォルニア大学バークレー校は、4名の女学生からのセクハラの訴えに応じて半年にわたってマーシー教授についての内密の調査を行い、彼がセクハラ・ポリシーに違反したという結論を出していた。しかし、大学が教授に与えた罰は、「今後行いを改めないと、停職や解雇を含めた制裁措置を取る可能性もありますよ」という警告だけだった。

セクハラ・ポリシーに違反したのが明らかなのに、刑罰があまりにも軽いことへの憤りが同業者の間で広まっていたのだが、一般の人々にまで知られるようになったのは、10月9日のBuzzFeedのスクープ記事だった。

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★2015年10月20日の「須藤靖」氏の「WEBRONZA – 朝日新聞社」記事(無料閲覧部分)

出典:米国スター教授が起こしたセクハラ問題の衝撃 – 須藤靖|WEBRONZA – 朝日新聞社

カリフォルニア大学バークレー校(UCB)のジェフ・マーシー教授が、セクシャルハラスメントで処分されたというのである。マーシー氏は、太陽系外惑星の研究者として世界的に著名であり、仮にノーベル物理学賞がこの分野に授与されるとしたら、3人のうちの1人に入ることは確実だと言われていた 。そのため、今回の問題はとりわけ天文学者たちに大きな衝撃を与えている。

10月10日付のニューヨークタイムズ電子版の記事 を中心に、他のインターネットサイトから得られた情報を加えて今回の経緯を要約しておこう。

1) 2015年6月、大学(UCB)はマーシー氏が学生に不適切な行為を行っていたと結論し、今後、同様の行為が繰り返された場合は、停職あるいは解雇の可能性があると本人に伝えた。

2) 個人のプライバシーに関わる問題なので、この事実は一部の関係者以外、同僚にも知らされないままだった。まず、米国のインターネットニュースBuzzfeedがこの事実をすっぱ抜き 、マーシー氏は米国天文学会の「天文学における女性の地位に関する委員会」(Committee on the Status of Women in Astronomy; CSWA)に公式の謝罪文を10月7日に提出した。

3) その内容は、今回の訴えの内容には同意しないものの自分の不適切な行為が女子学生に不愉快な思いをさせたとことは自分の責任であり心より謝罪する、意図的ではなかったにせよその人々を不快にさせた原因が自分にあると思うときの苦痛さは表現しきれないほどだ、この件に関する長時間の真剣な協議を通じて自分の行為を反省しすでに正しい方向へ自分は変わった、といったものである。この謝罪文が受理されるかどうかはCSWAが検討中である。

4) 2014年3月に、元学生の4人が大学に正式に訴えを起こした。その4人ではないが、現在カリフォリニア大学サンタバーバラ校助教授のルース・ミューレイクレイ氏は、UCBの大学院生であった2004年12月、女子学生からの訴えを代表してマーシー氏に伝え、面談した。彼はその意見に感謝の意を伝える電子メールをくれたものの、翌年には女子学生から再び同じ訴えがあったため、彼女は、2005年9月に学科主任に相談に行く。しかし驚くべきことにその学科長は、匿名の訴えには対応できないと返答。さらにその次の年に別の女子学生からの訴えを受け取った彼女は、数人の女子学生と博士研究員とともに大学本部へ訴えに出る。しかしながら、本人ではなく他人が代理に訴えることは認められないと拒否されたという。

5) 現在ハーバード大学天文学教室教授であるジョン・ジョンソン氏は、2000年から2007年までマーシー氏の大学院生であった。彼は、学生となってしばらくして、マーシー氏の不適切な行為を目にしたり、噂を聞いたりするようになった。噂どころではなく、UCB天文教室では女子学生の間で、マーシー氏の研究室の学生になってはいけないという忠告が上の学年から下の学年へ申し送られていたという。

 一部の系外惑星研究者の間では、いわば公然の秘密となっていたにもかかわらず、ジョンソン氏はそれに関与することを意図的に避けたことを率直に認めている 。また、彼が学位取得後、研究者としてステップアップする際には、マーシー氏の推薦書は大きくプラスに働いたとも述べている。2013年、ジョンソン氏はハーバード大学で終身雇用権を得た。この時点でやっと、この問題に対して何か行動を起こす責任があると考える余裕ができたという。

6) 2013年から3年間CSWA委員となったジョンソン氏は、他の委員とともにCSWAのブログ「天文学における女性」に、「セクハラにうんざり:常習犯の戦略」という記事 (2014年5月14日付)を投稿する。これは名指しは避けたものの、天文学で有名なセクハラ常習犯たちが行為をエスカレートさせる典型的手口をステップ1から13まで紹介したものだと書かれていたが、今回の騒動が明らかになった後、ジョンソン氏は、この記事は複数の女子学生から聞いたマーシー氏のやり口だけをまとめたものだったと公表している。

7) 以上の経緯が明らかにされると、UCBの下した処分の甘さに批判が巻き起こった。現在、マーシー氏は即時解雇されるべきであるとする署名や、UCB天文学教室の研究職への応募ボイコットなどが呼びかけられている。UCB天文学教室の教員もUCB本部宛にマーシー氏の解雇を求める共同文書を提出した。

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【不正発覚の経緯と内容】

状況は、前章の日本語解説の通りである。

★セクハラ事件は慎重に

セクハラ事件では、被害者が過大に訴える傾向がある。逆に、加害者が過少に主張する傾向もある。そして、秘密事項が多い。性的事項・人権などの理由で事件内容のあからさまな表現を嫌う。つまり、事実がつかみにくい。

被害者・加害者の話や説明だけでなく、大学の調査報告書、警察調査のマスメディア報道、裁判記録も素直には信用できない。被害者・加害者のどちらかに偏っていることが多い。

とかく、憶測が多い。

とはいえ、白楽が実際に調査したわけではないので、記載されていることからしか判断できない。

★補足事項

【動画】
「Astronomer Geoff Marcy is Leaving Berkeley in Wake of Sexual Harassment Scandal – YouTube」(英語)1分00秒。
Nirvana News が2015/10/15 に公開

2015年10月10日、カリフォルニア大学バークレー校は6か月間の調査の結果、マーシーが2001-2010年にセクハラをしたと結論した(【主要情報源】③)。

これは、それ以前はしていないという証明ではない。マーシーがカリフォルニア大学バークレー校に移籍したのが1999年だから、起点が2001年ということなのだ。

【主要情報源】③の記事コメントで、リンダ・ウィリアムス(Lynda Williams)は、マーシーがサンフランシスコ州立大学の教員だった1995年かそれ以前にも、「たくさんの女子学生」にセクハラをしていたと述べている。しかし、当時、マーシーは既に著名教授だったので、みんな泣き寝入りしたとある。なお、マーシーは、1984 – 1999年(30 – 45歳)にサンフランシスコ州立大学の準教授・教授だった。

2015年10月12日、カリフォルニア大学バークレー校・天文学科の教授会メンバーは連名で、次のような内容の声明文を大学のサイトにアップした。

「私達は、UCバークレー校本部にセクシャルハラスメント規則に違反したマーシーの再審議を要求する。私達は、マーシーは教員の職務を果たすのにふさわしくないと考えている。」

同じような内容の声明文が、UCバークレー校天文学科のポスドクから、院生から、学部生からも寄せられ、「Title IX Letters」のサイトに掲載されている。

【論文数】

論文はこの事件の本質とは関係ないが一応調べた。

2016年1月27日現在、arXiv.org e-Print archiveで、ジェフリー・マーシー(Geoffrey W. Marcy)の論文を「Geoffrey W. Marcy」で検索すると、186論文がヒットした。

【事件の深堀】

★情報が公開されている 

この事件は「ノーベル賞候補の米国教授の女子院生への常習セクハラ」だが、マーシー自身が事件に関する情報を公開している。

事実を公開し、社会の判断を仰ぐという方針だそうだ。

DSC_9961-300x200まず、1994 年、マーシーはに農薬研究者のスーザン・ケグリー(Susan Kegley、写真出典:Susan Kegley, PhD | Pesticide Research Institute)と結婚している。つまり、家族的生活がある。

妻に愛されている「健全な夫」であることを社会に発信している。

また、2011年11月27日の親族パーティの写真を公開している(出典)。その写真(マーシーは右側手前)を見ると、親族に慕われている人物に思われる。

★謝罪と反省

2015年12月22日、マーシーは「心からお詫びします」的な謝罪と反省文を自分のサイトにアップしている。謝罪文 → ココ

★マーシーが要約した事件の経過

geoff_marcyマーシーが要約した問題となった事件の概要(Overview and context of incidents in question)を記述している。

  1. 2001年:マーシーは、よく知っている女子学部生とキャンパスで出会った。しばらく話しをしていると、彼女は自分が病気だと言った。とたんに、彼は彼女をハグし、彼女の額にキスをした。別の時、彼女の両親が離婚するとマーシーに言った時、マーシーは彼女の頬にキスをした。女子学部生が、ハグやキスは不快だからやめるようにとマーシーに訴えたので、それ以降、マーシーはしていない。
  2. 2005年:バークレーの女子学部生は、マーシーにキャリアー上のアドバイスを依頼した。それで数回、学外のカフェで話した。会話は個人的な問題に及び、マーシーは、彼女が心配している事で彼女を助け、経験を共有しようとした。カフェの後、女子学部生を彼女の家まで車で送り、さようならと告げるとき、彼女の首に触れた。
  3. 2006年:ハワイ大学の女子院生はマーシーとディナーをとった時、マーシーは彼女の足に手を滑らせ彼女の股間(crotch)をつかんだ。マーシーは、この主張は間違いだと主張している。
  4. 白楽が省略

マーシーは、訴えられたケースだけについて事件の経過を要約している。実際のセクハラは上記3点だけではないだろう。氷山の一角だろう。しかし、訴えられていないセクハラまで書くことはないので、それは、マー、当然かもしれない。もっと軽微なセクハラは常態化していただろう。訴えられなかったケースはたくさんあっただろう。

★マーシーが要約した事件の「事実」

マーシーのサイトには次の記述もある。「事実(Facts)」と書いてあるから読んだが、いかにも嘘くさい。以下に示す。「 → 」後は、白楽の感想である。

  1. 原告のキャリアを傷つけるような性交はしていないし、性交の意図はなかったし、権力の濫用はなかった。
    原文:There was no sex, no intention for sex, and no abuse of power that resulted in damaging any of the complainants’ careers.
    → 「原告のキャリアを傷つけるような性交はしていない・・・」という文章は、白楽には見苦しい言い訳に思える。「原告のキャリアを傷つけるような性交はしていない」なら、「原告のキャリアを傷つけない(とマーシーが勝手に思った)」「性交や権力の濫用はあった」と理解してよいということなのか? それが事実でないなら、単純に「女子学生・院生・職員と性交していないし、権力の濫用はしていない(There was no sex, no intention for sex, and no abuse of power.)」と書けばよいだろう。実際は、そう書けない事実があったということなのだろう。
  2. マーシーは、人々を不快にし、苦しめ、混乱させた行為について謝罪した。彼は、科学界の女性をいつも支持し、女子学生と同僚女性の強いサポーターだった。→ よくもまあ、ヌケヌケとウソをつきましたね、と白楽は思った。
  3. マーシーは、実際に起こった事件では、それらの学生をよく知っていて、友人だと思っている。
  4. 白楽が省略
  5. 白楽が省略
  6. カリフォルニア大学バークレー校の学部担当副学長(Vice Chancellor for Faculty、Vice Provost for the Faculty)のジャネット・ブロートン(Janet Broughton)が、本件の処置の責任者である。調査の後、マーシーと直接面談し制裁を決定した。彼女は、マーシーが従うべき具体的な行動を設定し、もし次の5年間にこの協定に違反すれば、「無給の停職」という最大の制裁を科すとした。この協定はカリフォルニア大学バークレー校の正式な処分である。
  7. マーシーはバークレー校・教授を辞任していない。2015年12月31日付けで退職(リタイア)する。 → 白楽は、これも、見苦しい言い訳だと思った。
  8. マーシーの退職は、今回の事件によるものではない。それは、すでにカリフォルニア大学バークレー校が了承した予定の行動だ。退職の動機は、バークレーの天文学科の同僚のプレッシャーを回避するためであり、天文学科の同僚が社会メディアで攻撃している状況を過去のものとするためである。→ 白楽は、見苦しい言い訳を上塗りしていると思った。

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★セクハラは学術界特有の犯罪

拙著(『科学研究者の事件と倫理』、講談社、2011年)でデータを示したように、日本の学術界で最も多い研究者の事件はセクハラである。それも科学的に示しても、日本の大学・学術界・文部科学省はまともな対策を建てないし、マスメディアも追及しない。セクハラ加害者を匿名にし、実質的にかばっている。

米国は日本と違う。

とはいえ、米国のノーベル賞候補教授が女子学生に常習的にセクハラをしていたと聞いても、白楽は驚かない。

セクハラ教授は、ジェフリー・マーシー(Geoffrey W. Marcy)以外にも米国には、日本よりも、もっと多数いるだろう。

2016年1月20日、「ネイチャー」は被害者の訴えを記事にしている(Sexual harassment must not be kept under wraps : Nature News & Comment)。

米国の学術界のセクハラはかなり悲惨である。あまりに悲惨で、さすがに米国・政府も大学も動き出した。本ブログでも2回記事にした。2回の記事を以下に示す。

  1. フィールド研究界に蔓延するセクハラと性的暴力:キャスリン・クランシ―(Kathryn Clancy)他、2014年6月16日 | 研究倫理
  2. 「セクハラ」:クラウディオ・ソアレス(Claudio Soares)(カナダ) | 研究倫理

以下、「2」からの文章を再掲する。

日本ではあまり報道されないが、米国の大学でのセクハラはかなり悲惨だ。これら防ぐために2014年1月、オバマ大統領は「レイプ・性的暴力の新アクションプラン(Rape and sexual assault: A renewed call to action)」にサインした。(Obama Seeks to Raise Awareness of Rape on Campus – NYTimes.com)。

上の記事には驚く数値が並んでいる。

レイプはキャンパスで頻繁に起こっていて、全米で女子学生の5人に1人が性的暴行を受けている。しかし、被害届をだす女子学生は12パーセントしかいない。

性的暴行は主にパーティーで起こる。犠牲者は、薬物や酒で心身が正常ではなく、自由がきかない状況下で性的に暴行される。加害者は、しばしば連続した犯罪者で、男性学生の7パーセントが、レイプした、または、しようとしたと認めている。その約2/3は、何度もレイプをして、平均レイプ数は6回である。( ← 白楽、モタモタしないで初回で逮捕しろ!!)

ほとんどは逮捕されないし告訴されない。被害者は被害届をださないし、出しても、警察官は偏見で事件化しない。

(↑ 白楽、ナント言う数字だ! アメリカの大学に孫娘を留学させるな!)

★米国政府はセクハラの大学・研究機関に研究助成しない

2016年1月25日、米国・科学庁(National Science Foundation :NSF)はセクハラの大学・研究機関に研究助成しないと発表した(The National Science Foundation (NSF) will not tolerate harassment at grantee institutions | NSF – National Science Foundation)。

つまり、タイトルIX(タイトルナイン)である。

科学庁は全米の2,000大学に研究助成金や奨学金を支給している。

1972年の「タイトルIX」(教育改革法第九条項、男女教育機会均等法案)は、政府から助成金や奨学金を受け取っている大学での性差別を禁じている。

それで、2016年1月25日、米国・科学庁(National Science Foundation :NSF)は、セクハラする大学に研究助成しないと発表した。

あっぱれ!

【白楽の感想】

《1》初期に制裁すべし

米国・カリフォルニア大学バークレー校のノーベル賞級・教授が、61歳、セクハラという研究とは無関係の行為で、大学を辞職し(ごめん、退職し)、研究者としての地位と尊厳を失った。データねつ造・改ざんではないので、研究業績が取り消されることはないが、学術界から追放されたと同様だろう。

マーシーのセクハラは長年常態化していた。初期に、しっかりと制裁を加え、常態化させなければ、天文学を目指した多数の有能な女子学生・院生の才能を無駄にすることはなかっただろう。マーシー自身も救われただろう。そういう意味では、セクハラも研究ネカトも、初期に発見し制裁すべきだ。もっと望ましいのは、兆候の時点で発見し、矯正することだろう。

セクハラも研究ネカトも、周囲の関心を高める努力と、公益通報をもっと奨励するシステムの整備が必要だ。
11Marcy-master675

《2》情報が公開されている

この事件を「ノーベル賞候補の米国教授の女子院生への常習セクハラ」と書いたが、マーシーは個人的なことも含め、事件に関する情報を公開している。

事実を公開し、社会の判断を仰ぐという方針だそうだ。

この透明性・公開性は素晴らしいが、記述内容を読み進めるうちに、マーシーに都合の良い情報と言い訳を中心に公開しているという印象を受けた。

《3》大学の処置が大甘

本文で渡辺由佳里の記事を引用したように、カリフォルニア大学バークレー校は、マーシー教授のセクハラの事実をつかんだが、「今後行いを改めないと、停職や解雇を含めた制裁措置を取る可能性もありますよ」という警告だけで処理する方針だった。

セクハラに対する処分がとても甘い。

カリフォルニア大学バークレー校の処置はきわめて問題である。処分がとても甘いから、米国の学術界・大学キャンパスからセクハラを追放できないのだ。

Janet_Broughtonカリフォルニア大学バークレー校の責任者である学部担当副学長(Vice Chancellor for Faculty、Vice Provost for the Faculty)のジャネット・ブロートン(Janet Broughton、写真出典)を解雇すべきでしょう。

なお、セクハラは犯罪である。今後、逮捕や裁判が起こるのだろうか?

《4》家族は崩壊?

susan-kegley-301x4501994年、マーシーは、農薬研究者のスーザン・ケグリー(Susan Kegley、写真出典) と結婚した。子供がいるかどうか不明だが、こういう事件で、家族は崩壊し、離婚してしまうのだろうか?

【主要情報源】
① ウィキペディア日本語版:ジェフリー・マーシー – Wikipedia
② ウィキペディア英語版:Geoffrey Marcy – Wikipedia, the free encyclopedia
③ ◎2015年10月10日のエイジーン・ゴラシ(Azeen Ghorayshi)の「BuzzFeed」記事:Famous Berkeley Astronomer Violated Sexual Harassment Policies Over Many Years – BuzzFeed News
④ 2015年10月14日のデニス・オヴァーバイ(Dennis Overbye)の「New York Times」記事:Geoffrey Marcy to Resign From Berkeley Astronomy Department – The New York Times
⑤ 2015年10月14日のナネット・アシモフ(Nanette Asimov)の「SFGate」記事:Astronomer resigns from UC Berkeley amid sex harassment scandal – SFGate
⑥ 2015年10月21日のアレキサンドラ・ウィッゼェ(Alexandra Witze)の「ネイチャー」記事:US astronomers rally to end sexual harassment : Nature News & Comment保存版
⑦ 2015年12月17日、事件のやり取りのPDF:120ページ、(http://geoffreymarcy.com/wp-content/uploads/2015/12/PRA-Release_12-17-15_Professor-Geoffrey-Marcy.pdf
⑧ ◎ジェフリー・マーシーの自分のサイト履歴書謝罪事実の要約
★記事中の画像は、出典を記載していない場合も白楽の作品ではありません。
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