2023年7月5日掲載
ワンポイント:シーと妻・ジャンは中国出身のケンタッキー大学(University of Kentucky)・教授で、キムはジャン研究室の研究員だった。2018年6月(シー、61歳)、学外からの通報を受け、ケンタッキー大学はネカト調査を始めた。シーは自分のネカト行為を否定し、韓国からのポスドクであるヤンオク・ソン(Young-Ok Son)がネカト犯としたが、調査1年後の2019年8月23日、ケンタッキー大学は3人をクロとした。キムは大学を去った。2021年6月15日、シーと妻・ジャンはケンタッキー大学を辞職した。1,000頁以上ある調査資料がウェブ上に公開されている(白楽未読)。国民の損害額(推定)は10億円(大雑把)。
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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.概略
2.経歴と経過
3.動画
5.不正発覚の経緯と内容
6.論文数と撤回論文とパブピア
7.白楽の感想
9.主要情報源
10.コメント
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●1.【概略】
シャンリン・シー(Xianglin Shi、史香林)は、中国出身で米国のケンタッキー大学(University of Kentucky)・教授になった。医師免許はもっていない。専門は毒物学(金属の発がん性)である。
ジュオ・ジャン(Zhuo Zhang、张卓)はシーの妻で、同じ大学の教授になり、研究室を別に持っていた。
ドンヘルン・キム(Donghern Kim)はジャン研究室のスタッフ研究員だった。写真、左からシャンリン・シー(Xianglin Shi、史香林)、ジュオ・ジャン(Zhuo Zhang、张卓)、ドンヘルン・キム(Donghern Kim)。写真出典
ネカト者はこの3人だが、白楽ブログではシャンリン・シーを中心に記述する。カッコ内の年齢はシャンリン・シーの年齢である。
2018年6月xx日(61歳)、学外からのネカト通報を受け、ケンタッキー大学はシーらのネカト調査をはじめた。
2019年8月23日(62歳)、ケンタッキー大学・ネカト調査委員会は、シーらの7件のNIH研究費申請書と少なくとも2012~2018年に出版した13報の論文に、意図的なデータねつ造・改ざん、実験データのズサンな取り扱いがあり、深刻な研究不正をしていたと結論した。
2021年6月15日(64歳)、シーと妻・ジャンはケンタッキー大学を辞職した。キムは、すでに研究室を去っていた。
2023年7月4日(66歳)現在、研究公正局からの発表はない。ケンタッキー大学の調査報告書は2019年8月22日に研究公正局に提出されたとある。それから3年10か月が経っている。オーイ、オソイゾー!
ケンタッキー大学(University of Kentucky)。写真出典 Royalty Free Aerial stock photo of the William T Young Library at the campus of the University of Kentucky; Lexington, Kentucky
★シャンリン・シー(Xianglin Shi、史香林)
- 国:米国
- 成長国:中国
- 医師免許(MD)取得:なし
- 研究博士号(PhD)取得:米国のウエストバージニア大学
- 男女:男性
- 生年月日:不明。仮に1957年1月1日生まれとする。2021年6月18日の「Chemistry World」記事に64歳とあったので:Tenured Kentucky toxicologist resigns ending years-long misconduct charges drama | News | Chemistry World
- 分野:毒物学(金属の発がん性)
- 不正論文発表:パブピアでは2002~2017年(45~60歳)の16年間
- 発覚年:2018年(61歳)
- 発覚時地位:ケンタッキー大学・教授
- ステップ1(発覚):第一次追及者は学外者(詳細不明)で大学に公益通報
- ステップ2(メディア):「パブピア(PubPeer)」、「撤回監視(Retraction Watch)」、「Scientist」、「凤凰」
- ステップ3(調査・処分、当局:オーソリティ):①ケンタッキー大学・調査委員会。②研究公正局?
- 大学・調査報告書のウェブ上での公表:あり。ネカト調査報告書を含めた調査資料(多量なのでダウウンロードに注意)
- 大学の透明性:実名報道で調査報告書(委員名付き)がウェブ閲覧可(◎)
- 不正:ねつ造・改ざん
- 不正論文数:2012~2018年(55~61歳)に出版した8論文が撤回。パブピアでは2002~2017年(45~60歳)の16年間の28論文にコメント
- 時期:研究キャリアの中期から
- 職:事件後に研究職(または発覚時の地位)をやめた・続けられなかった(Ⅹ)
- 処分:解雇処分直前に辞職
- 日本人の弟子・友人:不明
【国民の損害額】
国民の損害額:総額(推定)は10億円(大雑把)。
●2.【経歴と経過】
★シャンリン・シー(Xianglin Shi、史香林)
- 生年月日:不明。中国で生まれる。仮に1957年1月1日生まれとする。2021年6月18日の「Chemistry World」記事に64歳とあったので:Tenured Kentucky toxicologist resigns ending years-long misconduct charges drama | News | Chemistry World
- 1982年(25歳):中国科学院・上海応用物理研究所(Shanghai Institute of Applied Physics)で学士号取得:生化学
- 1985年(28歳):渡米
- 1989年(32歳):米国のウエストバージニア大学(West Virginia University)で研究博士号(PhD)を取得:化学
- 1989~1992年(32~35歳):同大学・ポスドク
- 1992~1996年(35~39歳):NIH/国立がん研究所(NCI)・研究員?
- 1996~2004年(39~47歳):米国の国立労働安全衛生研究所(NIOSH:National Institute for Occupational Safety and Health)・研究員
- 1997年(40歳):米国市民権獲得
- 1997~2006年(40~49歳):ウエストバージニア大学(West Virginia University)・教授
- 2002~2017年(45~60歳):「パブピア(PubPeer)」では、この16年間の28論文にコメントあり
- 2003~2007年(46~50歳):中国の上海生物科学研究所(Shanghai Institutes for Biological Sciences)・栄養科学研究所・所長。なお、2003年に所長に就任したが、実際には中国に帰国していないことがニュースレッドによって暴露され、2007年に辞任
- 2006~2021年(49~64歳):米国のケンタッキー大学(University of Kentucky)・教授。後に毒物生物学科長(toxicology biology department)、副学部長
- 2018年(61歳):不正研究が発覚
- 2018年(61歳):毒物生物学科長を辞任、副学部長を辞任
- 2019年8月23日(62歳):ケンタッキー大学がクロと結論
- 2021年6月15日(64歳):ケンタッキー大学を辞職
●3.【動画】
以下は事件の動画ではない。
【動画1】
ニュース動画:「UK alleges misconduct by professors, staff member」(英語)2分13秒。
LEX18 が2019年8月23日 に公開
https://www.lex18.com/news/uk-alleges-misconduct-by-professors-staff-member
●5.【不正発覚の経緯と内容】
★優秀
シャンリン・シー(Xianglin Shi、史香林)は、中国で生まれ、1985年に博士号を取得するために渡米し、1989年に米国で博士号を取得、 1997年に米国市民になり、2006年(49歳)にケンタッキー大学(University of Kentucky)・教授になった。
ネカト事件がメディアに乗った2018年10月9日(61歳)当時、シーはテニュア教授で、学科長と副学部長を務めていた。
シャンリン・シー(Xianglin Shi)は1996~2021年の26年間に72件のNIH研究費を獲得している。獲得額は1623万ドル(約16億円)で、獲得額の示すところ、かなり優秀な研究者である。 → RePORT ⟩ Xianglin Shi
★発端
2018年6月xx日(61歳)、ケンタッキー大学はシャンリン・シーらのネカトを調査しはじめた。
発端は、学外からネカト疑惑の通報があったからである。
2018年9月7日(61歳)、金属毒性の発がん性を研究しているシャンリン・シー(Xianglin Shi、史香林)と彼の妻・ジュオ・ジャン(Zhuo Zhang、张卓)が共著の、2014~2017年の「Journal of Biological Chemistry(JBC)」論文に掲載された3報の論文が撤回された。3論文ともNIH研究費の助成を受けていた。
撤回理由は画像の重複使用(データねつ造)だった。
撤回公告によると、シャンリン・シーが「Journal of Biological Chemistry(JBC)」論文のデータの異常に気が付いて、検証し、学術誌に撤回を申し出たとある。
3撤回論文に共通している著者は「Young-Ok Son, Poyil Pratheeshkumar, Zhuo Zhang and Xianglin Shi」の4人である。
第一著者のヤンオク・ソン(Young-Ok Son、写真出典、保存版)はケンタッキー大学のシー研究室の室員だが、韓国の光州(クァンジュ)科学技術大学(Gwangju Institute of Science and Technology)にも所属していた。
★ネカト調査
前述したように、2018年6月xx日(61歳)、ケンタッキー大学はシーらのネカト調査をはじめた。
調査の結果、シーの 7件のNIH研究費申請書と2012~2018年に出版した70論文にデータ異常の可能性を特定した。その調査をベースに、さらに、7件のNIH研究費申請書と12論文、そして、既に撤回された3論文を詳しく調べた。
ケンタッキー大学・ネカト調査委員会は、ネカト調査の一環として、シーらに元データの提出を求めた。しかし、シーらはそれらのほとんどを提出しなかった。これは、NIHとケンタッキー大学のネカト調査規則に反していた。
シーらの研究費申請書と論文のデータの正当性を検証できなかったので、ネカト調査委員会は、シーらをクロと判定した。
2019年8月23日(62歳)、ケンタッキー大学・ネカト調査委員会は、シーらの7件のNIH研究費申請書と2012~2018年の13論文のデータに意図的なねつ造・改ざん、実験的データのズサンな取り扱いがあり、深刻な研究不正をしていたと結論した。 → ケンタッキー大学・ニュース:Toxicology | Public Relations & Marketing
ケンタッキー大学・広報官のジェイ・ブラントン(Jay Blanton)は、「ネカト告発は軽視されません。非常に複雑な問題なので、ネカト調査委員会は、調査に1年以上かかりました」と説明した。
以下は2019年7月24日のネカト調査報告書(155ページ)の冒頭部分(出典:同)。ネカト調査報告書を含めた調査資料は、以下のURLをコピペするとダウンロードが始まる(1,000ページ以上らしい。多量なのでダウウンロードに注意) → https://nam04.safelinks.protection.outlook.com/?url=http%3A%2F%2Fwww.uky.edu%2Fprmarketing%2Fsites%2Fwww.uky.edu.prmarketing%2Ffiles%2Finvestigation-report.zip&data=02%7C01%7Csarah.geegan%40uky.edu%7C14e65dcb3da14c1e3dd308d72800789d%7C2b30530b69b64457b818481cb53d42ae%7C0%7C0%7C637021854790016367&sdata=3H1ULIgftdEtJEl2KiyjBbNs66FVI910s5ZGTrtOtWg%3D&reserved=0
2019年8月22日、調査報告書は研究公正局に提出された。
★シャンリン・シーの反論
シャンリン・シーは、「撤回された論文の問題の図はすべて、特定のポスドクが作ったものです。私は図を加工操作する方法さえ知りません」と自分たちは無実だと主張した。
白楽の推察だが、このポスドクは第一著者のヤンオク・ソン(Young-Ok Son、写真出典、保存版)だと思う。
米国から韓国に帰国し、2018年以降論文を出版していない・・・と思ったが、済州(チェジュ)大学から2021年に出版していた。ヤンオク・ソンは研究者を廃業していない模様だ。 → Young-Ok Son – Search Results – PubMed
シーは、2019年4月と7月に、問題のポスドク(多分、ヤンオク・ソン)から、3報のJBC撤回論文で、データをねつ造・改ざんしたことを認めた手紙を受け取っていた。その手紙をネカト調査委員会に提出していた。
シーやジャンがデータねつ造・改ざんしたという証拠はない。研究室員にそうするように指示したこともない。
シーは、論文出版前のデータ検証や生データのチェックではズサンだったかもしれないことは認めたが、そもそも、研究は順調に進んでいて、研究助成金も獲得していたので、データねつ造・改ざんしてまで論文出版する動機がないと主張した。
★辞職
2021年x月xx日、ケンタッキー大学は、シャンリン・シーらが辞任しなかった場合、解雇の手続きをすると発表した。なお、研究室で働いていた研究員のドンヘルン・キム(Donghern Kim)は、すでに研究室を去っていた。
2021年6月15日(64歳)、シーと妻・ジャンはケンタッキー大学を辞職した。
ケンタッキー大学がシーと妻・ジャンを解雇すると決め、評議会で2021年6月16日に解雇の投票をすると地元のメディア(Lexington Herald Leader新聞)が報道したため、彼らは評議会投票前日に辞職したのである。
ブラントンは「2021年6月15日の辞職は有効です。本学はこれで、この問題を解決済みにしました」と述べた。
当然ながら、辞職するまで、シーと妻・ジャンの両方に給料が支払われていた。ケンタッキー大学の給料データベースによると、シーの年間給料は2021年に240,000ドル強(約2400万円)だった。 → Who earns the most money at the University of Kentucky? | Lexington Herald Leader
妻・ジャンの年間給料も同等額だろう。
★事件の深堀
シャンリン・シー事件では不可解な点が多く指摘されている。
論文共著者で同じケンタッキー大学(University of Kentucky)・医学科で同じフロア―に研究室がある教員が不問にされていた。その教員がシロとされた点は不可解である。
うがった見方をすると、シーの成功を妬んで、ケンタッキー大学の複数の教授が共謀してシーの足を引っ張ったか、自分たちがしたネカトをシーに押しつけたのか、白楽はわからないが、そう思えるような裏話がウェブに記載されている。
少し解説しよう。
【ロバート・ディパオラ学部長(Robert S. DiPaola)】
シャンリン・シーは当時・副学部長だったが、学部長のロバート・ディパオラ(Robert S. DiPaola、写真出典)と共著の論文がある。ディパオラ学部長はネカト調査委員会による調査の対象になったが、ネカトに関してはシロとされ、このシロとの結論は意図的・政治的だと批判されている。
「パブピア(PubPeer)」では、3論文にコメントがあるが、シャンリン・シー(Xianglin Shi)との共著論文は1報で、他の2報は共著ではない。撤回論文数が1論文ある。
シャンリン・シー(Xianglin Shi)は、ディパオラ学部長のネカト調査に深刻な利益相反があると問題視している。
というのは2018 年の論文 (Wang L. et al. The Prostate 78, 390-400, 2018) とNIH研究費申請書 (1R01CA228236-01A1) でのデータねつ造・改ざんが告発されたが、ディパオラ学部長は、この論文の責任著者であり、このNIH研究費申請の複数の主任研究者(PI)の1人でもあった。
ディパオラ学部長のポスドクがこの論文とNIH研究費申請の主要なデータを作っていたので主たる責任はディパオラ学部長にある。シーはそれらの一部である金属毒性のデータを担っただけだ。
【ギャング・チェン助教授(Gang Chen)】
同じように、シャンリン・シーはギャング・チェン助教授(Gang Chen、写真出典)と共著の論文がある。
しかも、以下に示すように、ギャング・チェン助教授はネカト濃厚者である。それにもかかわらず、ギャング・チェン助教授はネカト調査の対象外でネカトに関しては全く不問に付されている。
「パブピア(PubPeer)」では、100論文にコメントがあるが、シャンリン・シー(Xianglin Shi)との共著論文が5報で、他の95報は共著ではない。撤回論文は73論文もある。
ギャング・チェン助教授はシーに比べ、はるかに問題の多い研究者である。
【ジア・ルオ教授(Jia Luo)】
同じように、シャンリン・シーはジア・ルオ教授(Jia Luo、写真出典)と共著の論文がある。
しかも、以下に示すように、ジア・ルオ教授はネカト濃厚者である。それにもかかわらず、ジア・ルオ教授はネカト調査の対象外でネカトに関しては全く不問に付されている。
「パブピア(PubPeer)」では、23論文にコメントがあるが、シャンリン・シー(Xianglin Shi)との共著論文が8報で、他の15報は共著ではない。撤回論文は19論文もある。
ジア・ルオ教授はシーに比べ、はるかに問題の多い研究者である。
●【ねつ造・改ざんの具体例】
★「2016年11月のSci Rep」論文
「2016年11月のSci Rep」論文の書誌情報を以下に示す。2019年11月15日、撤回された。
- Oncogenic transformation of human lung bronchial epithelial cells induced by arsenic involves ROS-dependent activation of STAT3-miR-21-PDCD4 mechanism.
Pratheeshkumar P, Son YO, Divya SP, Wang L, Zhang Z, Shi X.
Sci Rep. 2016 Nov 23;6:37227. doi: 10.1038/srep37227.
ーーー図2D
pSTAT3 のコントロール画像のピクセルデータがない。要請しても著者は生データもメタデータも提出しなかった。
以下の図の出典:原著論文
ーーー図3E
撤回公告によると、スケールが不適切。元データにはスケールが記録されていない。要請しても著者は生データもメタデータも提出しなかった。
以下のパブピアの図では矢印があるが、上記とは無関係。図の出典:https://pubpeer.com/publications/99DD7882EA51EC3D1C4332853E06A9
●6.【論文数と撤回論文とパブピア】
★パブメド(PubMed)
2023年7月4日現在、パブメド(PubMed)で、シャンリン・シー(Xianglin Shi)の論文を「Xianglin Shi」で検索した。この検索方法だと、2002年以降の論文がヒットするが、2002~2023年の22年間の269論文がヒットした。
「Shi X」で検索すると、2002~2023年の22年間の 17,377論文がヒットした。本記事で問題にしている研究者以外の論文が多数含まれていると思われる。
2023年7月4日現在、「Retracted Publication」のフィルターでパブメドの論文撤回リストを検索すると、32論文が撤回されていた。本記事のシャンリン・シー(Xianglin Shi)とは同性別人の撤回論文が多く含まれる。
32撤回論文の内、11撤回論文がジュオ・ジャン(Zhang Z)と共著者だった。ドンヘルン・キム(Donghern Kim)は2撤回論文で共著だった。
★撤回監視データベース
2023年7月4日現在、「撤回監視(Retraction Watch)」の撤回監視データベースでシャンリン・シー(Xianglin Shi)を「Xianglin Shi」で検索すると、 2論文が懸念表明、8論文が撤回されていた。
2009~2010年出版された2論文が2020年に懸念表明された。また、2012~2018年(55~61歳)に出版された8論文が2018~2020年に撤回された。ジュオ・ジャン(Zhuo Zhang)は全論文で共著者だった。
★パブピア(PubPeer)
2023年7月4日現在、「パブピア(PubPeer)」では、シャンリン・シー(Xianglin Shi)の論文のコメントを「”Xianglin Shi”」で検索すると、2002~2017年(47~60歳)の16年間の28論文にコメントがあった。
28論文の内、24論文でジュオ・ジャン(Zhuo Zhang)は共著者だった。
●7.【白楽の感想】
《1》不可解
シャンリン・シーは、2019年4月と7月に、問題のポスドク(多分、ヤンオク・ソン)から、データをねつ造・改ざんしたことを認めた手紙を受け取っていた。その手紙をネカト調査委員会に提出した。
また、「事件の深堀」で書いたが、シャンリン・シー以外に他のネカト疑惑者がいる。
それなのにどうして、シャンリン・シーがネカト犯とされたのだろうか?
中国人排斥運動と関係しているのだろうか?
調査資料が1,000ページ以上もあり、膨大なので、白楽は全文を読んでいないが、不可解だ。
左からシャンリン・シー(Xianglin Shi、史香林)、ジュオ・ジャン(Zhuo Zhang、张卓)、ドンヘルン・キム(Donghern Kim)。写真出典https://archive.md/wip/x6ROI
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●9.【主要情報源】
① 2018年10月9日のアイヴァン・オランスキー(Ivan Oransky)記者の「撤回監視(Retraction Watch)」記事:University of Kentucky cancer toxicologist retracts three papers for image duplication – Retraction Watch
② 2019年8月23日の著者名不記載の「University of Kentucky」記事:Toxicology | Public Relations & Marketing、保存版
③ 2019年8月23日のアダム・マーカス(Adam Marcus)記者の「撤回監視(Retraction Watch)」記事:University of Kentucky moves to fire researchers after misconduct finding – Retraction Watch
④ 2019年8月23日の著者名不記載の「Richmond Register」記事:UK: 2 professors, research scientist responsible for ‘significant’ research misconduct | Education | richmondregister.com
⑤ 2019年8月26日のチアユー・フー(Chia-Yi Hou)記者の「Scientist」記事:University of Kentucky to Fire Professors for Research Misconduct | The Scientist Magazine®
⑥ 2019年8月27日の「知识分子」記者の「凤凰」記事:美国肯塔基大学教授史香林与妻子被指造假 曾回国任所长_凤凰网
⑦ 2019年9月21日の「浏览」記者の「美国华裔教授专家网」記事:涉嫌学术造假 肯塔基大学开除史香林和张卓教授夫妇 – 学人动向 – 科技动向 – 美国华裔教授专家网 ScholarsUpdate.com
⑧ 2021年6月11日のアダム・マーカス(Adam Marcus)記者の「撤回監視(Retraction Watch)」記事:Kentucky professor resigns ahead of vote that could have stripped him of tenure – Retraction Watch
⑨ 2021年6月18日のレベッカ・トラガー(Rebecca Trager)記者の「Chemistry World」記事:Tenured Kentucky toxicologist resigns ending years-long misconduct charges drama | News | Chemistry World、保存版
⑩ 当時たくさんのメディアが報じた
★記事中の画像は、出典を記載していない場合も白楽の作品ではありません。
●コメント
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