2025年5月15日掲載
ワンポイント:ネバダ大学リノ校(University of Nevada in Reno)・工学部・学部長で、産業界、政府、学術界でキャリアを積んだスター研究者である。2024年2月、コロンビア大学のアンドリュー・ゲルマン教授(Andrew Gelman)がジョーンズの複数の論文は「支離滅裂」だと指摘した。これとは別に、2023年5月にジョーンズが科学庁(NSF)に提出した報告書に盗用があると、2024年2月28日の「撤回監視(Retraction Watch)」記事で、ブレンダン・ボレル(Brendan Borrell)が指摘した。慶應義塾大学の岡本翔平(オカモト ショウヘイ)の「2021年のPLOS One」論文からも盗用していた。ジョーンズは、2024年9月4日(53歳?)、学部長を辞任したが、教授としては在職(推定)。国民の損害額(推定)は5億円(大雑把)。この事件は、2024年ネカト世界ランキングの「撤回監視」の「大きなインパクトを与えた記事」である。
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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.概略
2.経歴と経過
5.不正発覚の経緯と内容
6.論文数と撤回論文とパブピア
7.白楽の感想
9.主要情報源
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●1.【概略】
エリック・ジョーンズ(Erick Jones、ORCID iD:?、写真出典)は、米国のネバダ大学リノ校(University of Nevada in Reno)・工学部・学部長で、専門は管理工学(RFID:無線周波数識別情報)である。
ジョーンズは、産業界、政府、学術界でキャリアを積んだスター研究者である。
2024年2月、コロンビア大学のアンドリュー・ゲルマン教授(Andrew Gelman)がジョーンズの複数の論文は「支離滅裂」だと指摘した。
この指摘を受けてジョーンズの文章が精査された。
ジャーナリストのブレンダン・ボレル(Brendan Borrell)が、2023年5月にジョーンズが科学庁(NSF)に提出した報告書に盗用があることを見つけた。
その盗用の詳細を、2024年2月28日の「撤回監視(Retraction Watch)」記事にした。
なんと、ジョーンズは、日本の慶應義塾大学の岡本翔平(オカモト ショウヘイ)の「2021年のPLOS One」論文からも盗用していた。
2024年9月4日(53歳?)、ジョーンズは、ネバダ大学リノ校・学部長を辞任したが、教授としては在職(推定)。
この事件は、2024年ネカト世界ランキングの「撤回監視」の「大きなインパクトを与えた記事」にリストされた。
ネバダ大学リノ校(University of Nevada in Reno)。写真出典
- 国:米国
- 成長国:米国
- 医師免許(MD)取得:なし
- 研究博士号(PhD)取得:ヒューストン大学
- 男女:男性
- 生年月日:不明。仮に1971年1月1日生まれとする。1993年5月に学士号を取得した時を22歳とした
- 現在の年齢:54歳?
- 分野:管理工学
- 不正報告書提出:2023年(52歳?)
- ネカト行為時の地位:ネバダ大学リノ校・学部長
- 発覚年:2024年(53歳?)
- 発覚時地位:ネバダ大学リノ校・学部長
- ステップ1(発覚):盗用の第一次追及者はジャーナリストのブレンダン・ボレル(Brendan Borrell)で「撤回監視(Retraction Watch)」で公開
- ステップ2(メディア):「撤回監視(Retraction Watch)」
- ステップ3(調査・処分、当局:オーソリティ):①ネバダ大学リノ校が調査したと思うが、調査委員会を設置したかどうか不明
- 大学・調査報告書のウェブ上での公表:なし
- 大学の透明性:実名報道だが機関のウェブ公表なし(△)
- 不正:盗用
- 不正報告書数:1本
- 盗用ページ率:?%
- 盗用文字率:?%
- 時期:研究キャリアの後期
- 職:事件後に大きく降格(▽)
- 処分:学部長辞任
- 対処問題:
- 特徴:助成金報告書で盗用。「支離滅裂」論文もあり
- 日本人の弟子・友人:不明
【国民の損害額】
国民の損害額:総額(推定)は5億円(大雑把)。
●2.【経歴と経過】
主な出典:Erick Jones – Wikipedia、Erick Jones, Ph.D. – AGB Institute for Leadership and Governance in Higher Education
- 生年月日:不明。仮に1971年1月1日生まれとする。1993年5月に学士号を取得した時を22歳とした
- 1993年5月(22歳?):テキサスA&M大学(Texas A&M University)で学士号取得:産業工学
- 1996年5月(25歳?):ヒューストン大学(University of Houston)で修士号取得:産業工学
- 2003年8月(32歳?):同大学で研究博士号(PhD)を取得:産業工学。指導教授はクリストファー・チャン(Christopher Chung)
- 2002年(31歳?):ネブラスカ大学リンカーン校(University of Nebraska – Lincoln)・準教授
- 2010年(39歳?):テキサス大学アーリントン校(University of Texas at Arlington)・教授
- 2022年(51歳?):ネバダ大学リノ校(University of Nevada in Reno)・工学部・学部長
- 2023年5月(52歳?):翌年盗用が発覚する報告書を科学庁(NSF)に提出
- 2024年2月(53歳?):盗用が発覚。「支離滅裂」論文が発覚
- 2024年7月1日(53歳?):2023年にネバダ大学リノ校の準教授に就任した妻のフェリシア・ジェファーソン(Felicia Jefferson )が退職
- 2024年9月4日(53歳?):ネバダ大学リノ校の学部長を辞任。教授としては在職(推定)
- 2025年5月14日(54歳?)現在:ネバダ大学リノ校・教授職を維持(推定)
【国際機関および国内組織における指導的地位】:ウィキペディア英語版(Erick Jones – Wikipedia)の記事をそのまま流用した。
- Committee member, National Academics of Science, Engineering and Medicine (NASEM), “Potential Impacts of COVID – 19 on the Careers of Women in Science, Engineering and Medicine”, August 18, 2020 – March 31, 2021[27]
- President of ISCEA International Standards Board (IISB)[28] – ISCEA, July 2020 – Present
- President, IISE Work Systems Division,[29] July 2020 – Present
- Chairperson, Program – International Supply Chain Education Alliance RFID Supply Chain Manager (ISCEA RFID SCM) Certification Committee, 2007 – Present
- Board, Chief Diversity Equity and Inclusion Delegate (ASEE CDEI) – American Society of Engineering Educators, Engineering Economics Division, 2015 – 2023
- Program Chair, Division -American Society of Engineering Educators, Engineering Management Division, 2006 through 2007
【受賞】:ウィキペディア英語版(Erick Jones – Wikipedia)の記事をそのまま流用した。
- The Academy of Medicine, Engineering, and Science of Texas (TAMEST) Protégé, 2020
National Role Model Administrator Award, Minority Access Inc., 2018.[30] - George and Elizabeth Pickett Endowed Professor, University of Texas at Arlington, 2017.
- William J. Fulbright Scholar in Mexico 2013
- Fulbright Mexico Scholars Specialist, Engineering Education in Mexico, 2011.[31]
- Innovative Use of Instructional Technology Teaching Award, 2007.[32]
- College of Engineering Teaching Award Assistant Professor, 2007[32]
- College of Engineering Service Award Assistant Professor, 2006.[32]
- Omaha World Herald Featured article about RFID Lab, March 18, 2006.
College of Engineering Research Award Assistant Professor, 2006.[32] - Alfred P. Sloan Underrepresented Minority Ph.D. Program Fellow, 2001.
NACME Undergraduate Award, 1990, 1991, 1992. - Presidential Achievement Award (Undergraduate), 1988–1992.
●5.【不正発覚の経緯と内容】
★研究人生
2022年(51歳?)、エリック・ジョーンズ(Erick Jones)は、テキサス大学アーリントン校(University of Texas at Arlington)・教授から、年棒372,127ドル(約3,700万円)のネバダ大学リノ校(University of Nevada in Reno)・工学部・学部長に移籍した。
ジョーンズの専門は管理工学で、RFID(radio frequency identification、無線周波数識別情報)研究では、著名である。産業界、政府、学術界でキャリアを積んで、有力なエンジニア、研究者、リーダーになった。
米国・国務省の首席エコノミスト室で上級科学顧問も務めた。
科学庁(NSF)のプロジェクト・ディレクターもしていた。
妻のフェリシア・ジェファーソン(Felicia Jefferson、写真出典)も同じネバダ大学リノ校の教員(準教授)で、専門は神経科学である。
★科学庁(NSF)の助成金
ジョーンズと妻・フェリシア・ジェファーソンは、2022年4月、ワシントンDCで21人の学生(院生?)を対象に「金融リテラシーの向上・・・」と題する3日間のワークショップを開催した。
その資金として、ジョーンズは科学庁(NSF)から受領したグラント(2万8,238ドル(約282万円))の一部を使用した。→ NSF Award Search: Award # 1939762 – Collaborative Research: Workshop – BP in STEM, Computer Science and Engineering through improved Financial Literacy
妻・ジェファーソンは別途21,757ドル(約217万円)の助成金を受領し、その一部を使用した。 → NSF Award Search: Award # 1939739 – Collaborative Research: Workshop – BP in STEM, Computer Science and Engineering through Improved Financial Literacy
2023年5月、ジョーンズはその報告書を科学庁(NSF)に提出した
★科学庁(NSF)・研究助成金の最終報告書
前節で示した科学庁(NSF)・研究助成金の報告書でジョーンズは盗用をしていた。
見つけたのは、2024年2月28日の「撤回監視(Retraction Watch)」記事を書いたブレンダン・ボレル(Brendan Borrell、写真出典)だと思われる。
ボレルはフリーランスのジャーナリストである。
盗用を見つけた切っ掛けは、次節で述べるエリック・ジョーンズの論文は「支離滅裂」という指摘だったと思われる。
ジョーンズの論文が「支離滅裂」なら、他の文書ではどうなのだろうと、ボレルは、ジョーンズの他の文章のあら探しをした(推察)。
その一環として、情報公開法で、ジョーンズが当時所属していたテキサス大学アーリントン校に、ジョーンズの科学庁(NSF)・研究助成金の報告書を請求し、報告書を入手した。
以下は「撤回監視(Retraction Watch)」が情報公開法で得たジョーンズの報告書の冒頭部分(出典:同)。全文(9ページ)は → https://retractionwatch.com/wp-content/uploads/2024/02/1939762-Final.pdf
★盗用の発覚
2023年5月にジョーンズが科学庁(NSF)に提出した報告書に盗用があった。
ブレンダン・ボレル(Brendan Borrell)は2024年2月28日の「撤回監視(Retraction Watch)」記事で盗用箇所を示している。
それを基に、以下、盗用検出ソフト「Text Compare – Originality.AI」で、白楽が盗用比較図を作成した。
【盗用1】
被盗用文章はペンシルバニア大学ウォートン校の経済学者オリビア・ミッチェル教授(Olivia Mitchell)の「2015年のJ Retire」論文:Financial Literacy and Economic Outcomes: Evidence and Policy Implications – PMC、である。
左がジョーンズの盗用文章、右が被盗用文章。
異なる単語を着色した。つまり、背景色のないジョーンズの文章のほぼ100%近くは、被盗用論文からの逐語盗用である。
【盗用2】
被盗用文章は慶應義塾大学・客員研究員の岡本翔平(オカモト ショウヘイ | Okamoto Shohei)の「2021年のPLOS One」論文:Age, gender, and financial literacy in Japan | PLOS One、である。
2つある。
左がジョーンズの盗用文章、右が被盗用文章。
異なる単語を着色した。つまり、背景色のないジョーンズの文章のほぼ90%近くは、被盗用論文からの逐語盗用である。
【盗用3】
被盗用文章はドイツのゲーテ大学(Goethe-University Frankfurt)のクリスティン・ジークフリード(Christin Siegfried)の「2021年のFront Psychol」論文:What Influences the Financial Literacy of Young Adults? A Combined Analysis of Socio-Demographic Characteristics and Delay of Gratification – PMC、である。
左がジョーンズの盗用文章、右が被盗用文章。
異なる単語を着色した。つまり、背景色のないジョーンズの文章のほぼ80%近くは、被盗用論文からの逐語盗用である。
★別件:「支離滅裂」論文と栄転業績作り
前節で述べた盗用とは別に、盗用指摘の直前、つまり2024年2月6日、コロンビア大学(Columbia University)のアンドリュー・ゲルマン教授(Andrew Gelman、統計学者)は、エリック・ジョーンズの論文が「支離滅裂」だと読者から伝えられたと、ブログに書いた。
多くの論文は1~2ページの短い論文で、中には、査読が3日以内の論文もあった。
大きな懸念は、論文タイトルと内容が大きくズレていたことだ。例えば、論文の中身にタイトルに関することが何も書かれていなかった。どうやら、AIを使用して書いたデタラメ論文のようだ。
例えば。以下の論文は査読4日目に受理され、翌日に出版された「2022年11月のInternational Supply Chain Technology Journal」論文である。
上から6行目位に以下の文章がある。
“As we look to sleep and neuroscience for answers we can study flies specifically the Drosophila melanogaster we highlight in our research.”
この英文を翻訳ソフトで日本語にすると、「睡眠と神経科学に答えを求めることで、私たちの研究で特に注目しているキイロショウジョウバエなどのハエを研究することができます。」となるが、何を言っているのかチンプンカンプンである。
この学術誌はテキサス州の PWDグループが発行していたが、ナント、 ジョーンズはそのPWDグループのディレクター兼社長だった。しかも、 この学術誌の編集者はジョーンズだった。
さらに、この学術誌は、エリック・ジョーンズ・シニア(本記事の本人)と息子のエリック・ジョーンズ・ジュニアの論文を多数出版している。妻のフェリシア・ジェファーソンの論文も多数出版している。
「お手盛りもいいか加減にしろ!」論文がごっそりなのだ。
つまり、ジョーンズ本人が経営する出版社から、自分の家族(妻・息子)を共著者にしたデタラメ論文を多量に出版していたのだ。
これらの論文の多くはネバダ大学リノ校の学部長に応募した頃に出版されていた。
つまり、学部長応募に当たり、業績の水増し工作をしたと思われる。これらの出版経費は研究費を使用しているので、研究費の不正使用でもある。
★辞職
2024年2月、ネバダ大学リノ校の学生は、「支離滅裂」論文を出版したジョーンズ学部長の辞任を求める請願書を大学に提出した。
わずか3日間で110人の署名が集まった。
2024年4月15日の「Nevada Sagebrush」記事では、ジョーンズは学部長を辞任し、後任に副学部長のインディラ・チャタジー(Indira Chatterjee、写真出典)が就任したとある。
ただ実際は、ジョーンズが学部長を辞任し、後任にインディラ・チャタジーが就任した期日は、2024年9月4日と思える(そういう記事がある)。
ウェブサイトで確かめると、2024年8月8日保存版まで学部長はジョーンズで、2024年9月5日保存版でようやく、ジョーンズが消えて、チャタジーが学部長代理(Acting Dean)になっている。交代月日は、2024年9月4日が正しいようだ。
●【ネカトの具体例】
2023年5月にジョーンズが科学庁(NSF)に提出した報告書に盗用があった。
前節で示したので、省略する。
●6.【論文数と撤回論文とパブピア】
データベースに直接リンクしているので、記事閲覧時、リンク先の数値は、記事執筆時の以下の数値より増えている(ことがある)。
★論文数
2025年5月14日現在、ウィキペディア英語版(Erick Jones – Wikipedia)によると、エリック・ジョーンズ(Erick Jones)は241 冊を超える解説、書籍、出版物を出版している。
有名な書籍を以下に4書籍示す。
- “RFID and Auto-ID in Planning and Logistics”, E. C. Jones and Christopher A. Chung
- “Modern Quality for Organizations Using Lean Six Sigma Techniques”, E. C. Jones.
- “RFID in Logistics:A Practical Introduction”,. E. C. Jones and Christopher A. Chung.
- “Supply Chain Engineering and Logistics Handbook: Inventory and Production Control”, E.C. Jones.
★撤回監視データベース
2025年5月14日現在、「撤回監視(Retraction Watch)」の撤回監視データベースでエリック・ジョーンズ(Erick Jones)を「Erick Jones」で検索すると、データに問題があるなどの理由で「2016年のPLOS One」論文・1論文が2018年1月に撤回されていた。
★パブピア(PubPeer)
2025年5月14日現在、「パブピア(PubPeer)」では、エリック・ジョーンズ(Erick Jones)の論文のコメントを「”Erick Jones”」で検索すると、2論文にコメントがあった。
●7.【白楽の感想】
《1》納得
この事件は、2024年ネカト世界ランキングの「撤回監視」の「大きなインパクトを与えた記事」にリストされた。
エリック・ジョーンズ(Erick Jones)は、ネバダ大学リノ校(University of Nevada in Reno)・工学部・学部長で、産業界、政府、学術界でキャリアを積んだスター研究者である。
納得。
《2》他にもあるでしょう
2023年5月にエリック・ジョーンズ(Erick Jones)が科学庁(NSF)に提出した報告書に盗用が見つかった。
ネカトの法則:「ネカトはその人の研究スタイルなので、他論文でもネカトしている」。
ジョーンズは241 冊を超える解説、書籍、出版物を出版している。これら出版物にも盗用はあると思うが、どうだろう?
他でも盗用しているでしょう。でも、調査されていない。
《3》報告書
2019年、長崎大学の研究者が日本医療研究開発機構(AMED)からの助成金の報告書で白楽ブログの内容を盗用した。 → 5C 長崎大学の盗用事件:②異常な調査と判定 | 白楽の研究者倫理
白楽は告発したが、長崎大学はクロをシロと異常な判定にした。しかし、盗用の証拠はハッキリしている。
ただ思うに、研究助成金の報告書そのもの扱いについて、日本は無駄な作業を強いている気もする。
かつて、インターネットが普及していない時代、白楽は、科研費・助成金の報告書を数十部、研究室で製本し、文部科学省に提出していた。そういう指示があったからだ。
助成金の報告書は論文ではないので、研究業績にならない。当時、誰も読まない(多分)、少なくとも、研究者は読まない(多分)ので、製本しながら、作業は「無駄」だと思った。文部科学省の方も、報告書を受け取ってすぐに「ゴミ」箱に捨てたと思う。ただ、昔のことを思い出しただけですが。
現在はウェブサイトで容易に読むことができるので、作る作業も膨大ではないし、それなりに読む人もいるだろう。しかし、ネカトすれば、不正となる。
《4》研究は金儲けの道具
白楽の時代と変わって、現代の研究者は、自分の個人的利益や立身出世のために論文出版する思考がとても強いと感じる。
だから、
- 見つからなければ、盗用をする。・・・エリック・ジョーンズは見つかってしまったけど。
- 見つからなければ、自分が編集する学術誌にデタラメ論文を出版する。著者に息子と妻も入れる。・・・これも、見つかってしまったけど。
- 見つからなければ、〇〇もする(〇〇に好きな言葉をどうぞ)。・・・見つかっていない他の不正を、エリック・ジョーンズはしている(推定)。(見つかっていないので、どんな不正か不明)
エリック・ジョーンズ(Erick Jones)は、こうやって、RFID(無線周波数識別情報)では著名な研究者になった。産業界、政府、学術界でキャリアを積んだ有力なエンジニア、研究者、リーダーになった。年棒372,127ドル(約3,700万円)の学部長になった。科学庁(NSF)のプロジェクト・ディレクターにもなった。米国国務省の首席エコノミスト室で上級科学顧問にもなった。
巨額の研究費も得た。
研究は金儲けの道具なのだ。
昭和は遠くなった。
白楽の高校の時の親友(男)の父親は大学教授で、高校の時、その親友の自宅によく遊びに行った。すごく温かい家庭で、母親・姉は親切で大好きだったが、経済的にはかなり貧乏という印象の家だった。それで、白楽は、ずーっと、大学教授というのは貧乏だと思っていた(現在、この概念、オススメしません)。
エリック・ジョーンズ(Erick Jones)。https://retractionwatch.com/2024/02/28/exclusive-embattled-dean-accused-of-plagiarism-in-nsf-report/
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日本の人口は、移民を受け入れなければ、試算では、2100年に現在の7~8割減の3000万人になるとの話だ。国・社会を動かす人間も7~8割減る。現状の日本は、科学技術が衰退し、かつ人間の質が劣化している。スポーツ、観光、娯楽を過度に追及する日本の現状は衰退を早め、ギリシャ化を促進する。今、科学技術と教育を基幹にし、人口減少に見合う堅実・健全で成熟した良質の人間社会を再構築するよう転換すべきだ。公正・誠実(integrity)・透明・説明責任も徹底する。そういう人物を昇進させ、社会のリーダーに据える。また、人類福祉の観点から、人口過多の発展途上国から、適度な人数の移民を受け入れる
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★記事中の画像は、出典を記載していない場合も白楽の作品ではありません。
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●9.【主要情報源】
① ウィキペディア英語版:Erick Jones – Wikipedia
② 2024年2月6日のアンドリュー・ゲルマン教授(Andrew Gelman)の「Statistical Modeling, Causal Inference, and Social Science」記事:It’s bezzle time: The Dean of Engineering at the University of Nevada gets paid $372,127 a year and wrote a paper that’s so bad, you can’t believe it. | Statistical Modeling, Causal Inference, and Social Science
③ 2024年2月8日のクリステン・ハックバース(Kristen Hackbarth)記者の「This is RENO」記事:UNR dean, faculty member accused of misconduct over self-published research articles
④ 2024年2月11日のブレンダン・ボレル(Brendan Borrell)記者の「撤回監視(Retraction Watch)」記事:Engineering dean’s journal serves as a supply chain for ‘bizarre’ articles – Retraction Watch
⑤ 2024年2月28日のブレンダン・ボレル(Brendan Borrell)記者の「撤回監視(Retraction Watch)」記事:Exclusive: Embattled dean accused of plagiarism in NSF report – Retraction Watch
⑥ 2024年2月16日のクリステン・ハックバース(Kristen Hackbarth)記者の「This is RENO」記事:UNR faculty, students call for engineering dean’s resignation
⑦ 2024年4月15日のジェイディン・ヤング(Jaedyn Young)記者の「Nevada Sagebrush」記事:UNR dean of engineering replaced, associate dean taking place – The Nevada Sagebrush
⑧ 2024年9月5日のクリステン・ハックバース(Kristen Hackbarth)記者の「This is RENO」記事:UNR engineering dean resigns following allegations of research misconduct