2020年8月28日掲載
ワンポイント:【長文注意】。ドイツで育ち、18歳で渡英したアイゼンクは、1955-1983年(39-67歳)、英国のキングス・カレッジ・ロンドン(King’s College London)・教授として君臨し、1997年9月4日、81歳で亡くなった。フロイト(Sigmund Freud)、ジャン・ピアジェ(Jean Piaget)に次ぐ20世紀の偉大な心理学者で、63冊以上の著書・編書(うちの21冊が邦訳)、847報以上の論文を発表した。アイゼンクは1980年頃からドイツの医師・心理学者であるロナルト・グロッサルト=マティチェク(Ronald Grossarth-Maticek)と共同研究を始めた。2019年2月(没後21年)、英国のアンソニー・ペロシ医師(Anthony Pelosi)がアイゼンクのネカトを指摘した。2019年5月(没後21年)、キングス・カレッジ・ロンドンは調査報告書を公表し、アイゼンクとグロッサルト=マティチェクの25報の共著論文は「安全ではない」と該当学術誌に伝えた。結局、学術誌は、71論文に懸念表明し、14論文を2020年1~2月(没後22年)に撤回した。1943年~2000年、アイゼンクは27~84歳、つまり、アイゼンクの研究キャリアの初期から生涯にわたって不正論文を発表していた。科学史上の大スキャンダルになりそうである。国民の損害額(推定)は50億円(大雑把)。この事件は、白楽指定の重要ネカト事件である:時代を代表した偉大な研究者の論文が没後20年に追及され、71論文に懸念表明、14論文が撤回の多数論文撤回者。今後撤回論文数は増えるだろう。