2022年7月25日掲載
ワンポイント:新型コロナ(Covid)対策で米国の中心的な役割を果たす疾病予防管理センターがデータを隠蔽していたと、2022年2月20日、「New York Times」紙が指摘した。国民の損害額(推定)は100億円(大雑把)。
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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.概略
2.日本語の解説
3.事件の経過と内容
4.白楽の感想
5.主要情報源
6.コメント
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●1.【概略】
米国の疾病予防管理センター(Centers for Disease Control and Prevention:CDC)が新型コロナ・ウイスㇽ(COVID-19、写真出典)による感染データを隠蔽した事件である。
2022年2月20日、「New York Times」紙が、疾病予防管理センターの隠蔽を指摘した。
疾病予防管理センター(Centers for Disease Control and Prevention:CDC)。写真出典
- 国:米国
- 集団名:疾病予防管理センター
- 集団名(英語):Centers for Disease Control and Prevention
- ウェブサイト(英語):https://www.cdc.gov/
- 集団の概要:1946年に創設された米国連邦政府の機関で、疾患と予防に関するデータの収集・分析・提供を行ない、米国人の生命と健康を守る機関。職員は1万人(2020年、Centers for Disease Control and Prevention Salary Statistics)
- 事件の首謀者:ロシェル・ワレンスキー長官(Rochelle P. Walensky、写真出典)。2021年1月20日長官就任
- 分野:感染症
- 不正年:2021~2022年
- 発覚年:2022年
- ステップ1(発覚):第一次追及者は「New York Times」紙のアプーヴァ・マンダビリ(Apoorva Mandavilli)記者
- ステップ2(メディア):「New York Times」紙、多数の追従メディア
- ステップ3(調査・処分、当局:オーソリティ): ①「New York Times」紙
- 不正:データ隠蔽(改ざん)
- 不正数:多数のデータ
- 被害(者):死者数、健康被害者数は不明
- 国民の損害額:総額(推定)は100億円(大雑把)
- 結末:無処分
●2.【日本語の解説】
★2022年1月8日:Spiderman886(note):「CDCがCOVIDワクチン認可後の安全性データを隠したとして提訴される」
CDCがCOVIDワクチン認可後の安全性データを隠したとして提訴される。
(Natural News)米国疾病対策予防センター(CDC)とその母体である保健福祉省(HHS)は、COVIDワクチンの認可後の安全性データの公開を拒否したことをめぐり、裁判を起こされている。
(記事:Veronika Kyrylenko、TheNewAmerican.comより再掲)
医療製品の安全性と有効性データの完全な透明性を提唱する非営利団体Informed Consent Action Network(ICAN)は、CDCの「V-safe」システムを通じて提出された報告書の公開を求める3回の情報公開請求が同機関に断られたため、2日に提訴しました。
CDCのウェブサイトによると、「V-safe」は、COVID注射後にテキストメッセージとウェブアンケートを使って「個人に合わせた健康チェックイン」を行うスマートフォン用アプリケーションです。さらに、「v-safeを通じて、COVID-19ワクチン接種後に何らかの副作用があった場合、すぐにCDCに伝えることができます」と説明されています。この情報は、CDCがほぼリアルタイムでCOVID-19ワクチンの安全性を監視するのに役立ちます。”とあります。このシステムは非常に効果的であると宣伝されており、報告書の内容によっては、CDCの担当者がより多くの情報を収集するために、ワクチン接種者の様子を確認するために電話をかけることもあるとさえ述べています。
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続きは、原典をお読みください。
★2022年2月21日:Tanto Tempo:「ついにCDCが、コロナの重要な情報を隠蔽していたことを認める」
パンデミックの間ずっと、CDCはCOVID-19の感染者、入院者、死亡者の数、つまり、ウイルスの恐怖ポルノの大半を占める数字を丹念に記録し、一般の人々が閲覧できるようにしてきた。
しかし、これらの情報は、これまでに収集されたデータのほんの一部に過ぎない。
ニューヨーク・タイムズ紙の報道によると、CDCは年齢、人種、予防接種の有無など、より詳細なCOVID感染者のデータを収集している。これらの情報はパンデミックを終息させるために大きく貢献できるものだが、CDCはこの情報が「誤って解釈され」、「ワクチンを躊躇する」原因となることを恐れて、意図的に情報を公開していないことが判明した。
つまり、アメリカの公衆衛生体制の「専門家」たちは、庶民には自分で何かを解釈するだけの能力がないと考えているのだ。
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続きは、原典をお読みください。
●3.【事件の経過と内容】
★はじめに
米国の疾病予防管理センター(Centers for Disease Control and Prevention:CDC)が新型コロナ・ウイスㇽ(COVID-19)の感染データを収集し、そのデータを、年齢、人種、予防接種の状況別に整理している。
2022年2月20日、「New York Times」紙は、疾病予防管理センターがそれらの情報を隠蔽していると指摘した。
データが「ない」のに、データが「ある」ように発表すれば「ねつ造」になる。逆に、データが「ある」のに「ない」ように発表すれば、これは、「改ざん」になる。
★ワクチン有害事象報告制度(VAERS)
疾病予防管理センターはワクチン有害事象報告制度(Vaccine Adverse Event Reporting System (VAERS))を通して、米国での新型コロナ・ウイスㇽ(COVID-19)感染の詳細なデータをウェブで収集している。
紙谷 聡(かみだに さとし、写真出典、米国のエモリー大学小児感染症科・ワクチン治療評価部門・医師、米国疾病対策予防センター・客員研究員)の「米国の予防接種安全性監視システムについて」で以下の説明がある(スライド番号7)。
★データ隠蔽
疾病予防管理センター(CDC)は、2021年以降1年以上にわたり収集した新型コロナ(COVID-19)感染データを公開していない。
2022年2月初旬、疾病予防管理センター(CDC)は65歳未満の成人におけるブースターの有効性に関する最初の重要なデータを発表した。しかし、その発表でも大部分のデータを除外していた。
疾病予防管理センター(CDC)は最近、下水(廃水)データのウェブサイトを開設した(以下はサイト)。 → CDC COVID Data Tracker
つまり、下水中の新型コロナ(COVID-19)の量を毎日測定することで、新型コロナ(COVID-19)の急増の兆候を早期に検出できる。
この下水(廃水)データを、一部の州や地方自治体は、政府機関と共有してきた。
しかし、これまで、疾病予防管理センター(CDC)はこれらの調査結果を発表していない。
新型コロナ(COVID-19)のパンデミックが発生してから2年経つが、緊急事態への対応を主導する疾病予防管理センター(CDC)は、収集したデータのごく一部しか公開していないと、データに詳しい何人かの人々は述べている。
公開していない情報の多くは、州および地方の保健当局が新型コロナ(COVID-19)ウイルスを的確に制御するのに役立つ情報である。
★弁解
疾病予防管理センター(CDC)のクリステン・ノードランド広報官(Kristen Nordlund)は、「結局のところ、まだデータ公開の準備ができていないのです。データを公開する際の優先事項は、データが正確で実用的であることの確認です」と述べた。
もう一つの理由は、「情報が誤って解釈されるかもしれないという恐れもあります」。
疾病予防管理センター(CDC)のダニエル・ジャーニガン副所長(Daniel Jernigan、写真出典)は、「疾病予防管理センター(CDC)と州レベルのデータシステムが時代遅れで、パンデミックの大量データを処理できないのです。それで、疾病予防管理センター(CDC)の科学者たちはシステムを近代化しようとしています。私たちは、素早くかつ正確な意思決定と行動をするため、公衆衛生上の良質なデータを素早く収集・処理できるシステムを望んでいます」と述べた。
疾病予防管理センター(CDC)には複数の部門があって、重要な出版物はそれらの部門の承認を得る必要がある。また、職員は、疾病予防管理センター(CDC)を監督する健康福祉省(Department of Health and Human Service)とホワイトハウスに活動を伝える必要がある。
疾病予防管理センター(CDC)は、データの公開前に、州や関係省庁とデータを共有することもある。
このような多段階の複数のステップを踏む必要があるため、国民への発表が遅れる。
ロックフェラー財団のサミュエル・スカルピーノ(Samuel Scarpino)は「疾病予防管理センター(CDC)は、公衆衛生のための組織ではあるが、同時に政治的な組織でもある。だから、データ発表までにいくつかのステップを踏む必要があることは、疾病予防管理センター(CDC)の科学者がどうこうできる問題ではありません」と、述べた。
★批判
公衆衛生専門家は、情報があることを聞いて唖然とした。
疫学者で、パンデミック・データをまとめた「Covid Tracking Project」運営チームの1人であるジェシカ・マラティ・リベラ(Jessica Malaty Rivera、写真出典)は、次のように述べた。
新型コロナ(COVID-19)データを詳細に分析することで、「国民の信頼を築き、実際に何が起こっているかをより明確に示すことができる」。
「データの誤用または誤解の可能性を理由に、疾病予防管理センター(CDC)がデータを公開しないのは、あり得ません」。
「適切な科学とデータ共有、そして十分な情報開示と警告があっても、データを誤用または誤解するというリスクはあります。しかし、データの空白で新型コロナ(COVID-19)対策を間違える、別種の誤解を生む、というリスクの方がはるかに大きいのは明らかです」と指摘した。
2021年夏、デルタ変異体がマサチューセッツ州で発生したとき、感染者の4分の3がワクチン接種を受けていた。この事実は、データを公表すれば、人々はウイルスに対してワクチンが無力だと誤って思い込んでしまう。つまり、疾病予防管理センター(CDC)の懸念を裏付けたように思える。
しかし、ワクチン接種を受けた人が増えていくのだから、「ワクチン接種者でも感染します」と当局が最初から国民に教育していれば、誤解は避けられたはずだと、公衆衛生の専門家は指摘している。
食品医薬品局(Food and Drug Administration)顧問でワクチン専門家のポール・オフィット(Paul Offit、写真出典)は、「真実を伝え、データを提示してください。国民が理解できるように説明する方法はあります」と主張している
●【ねつ造・改ざんの具体例】
米国の疾病予防管理センター(Centers for Disease Control and Prevention:CDC)が新型コロナ・ウイスㇽ(COVID-19)の感染データを収集し整理していたのに、それを隠蔽した。
白楽は十分調べていないが、どのデータを隠蔽したのか、わかっているらしい(推察)。
●4.【白楽の感想】
《1》「不都合な真実」
新型コロナ(Covid)対策で米国の中心的な役割を果たす連邦政府機関の疾病予防管理センター(Centers for Disease Control and Prevention:CDC)がデータを隠蔽した。
疾病予防管理センター(CDC)が「不都合な真実」を隠蔽した。
連邦政府機関と言っても、動かしているのは人間である。大学の研究者が不都合なデータを改ざんするのと同じである。
ただ、大学の研究者のデータ改ざんに比べ、疾病予防管理センター(CDC)のデータ改ざんは国民の健康に与える影響はとても大きい。
今回は米国の疾病予防管理センター(CDC)の事件だが、日本もそうで、世界中の権力者が「不都合な真実」を隠蔽する。
長崎新聞えらい❗️地方新聞もどんどん書け書けー pic.twitter.com/RV6TFART3N
— 船瀬俊介の船瀬塾 (@funasejuku) June 20, 2022
《2》防ぐ方法
愕然とするが、疾病予防管理センター(CDC)はデータ隠蔽で担当者を処分していない。つまり、不正だったと認めていない。
となると、改善も期待できない。
とはいえ、米国には「ネカト許さない文化」があるので、「New York Times」新聞や他の複数のメディアが記事を掲載し、追及している。
官公庁・大学のネカトを防ぐには、「説明責任と透明性」を高めるのが大きな対処法だが、それだけでは足りない。大手メディアが批判的にしっかり報道することが重要である。
日本は、残念ながら、官公庁・大学では「説明責任と透明性」の意識・文化が低く、かつ、大手メディアが御用メディア化している。コマッタ。
疾病予防管理センター(CDC): https://www.cdc.gov/about/index.html
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日本がスポーツ、観光、娯楽を過度に追及する現状は日本の衰退を早め、ギリシャ化を促進する。日本は、40年後に現人口の22%が減少し、今後、飛躍的な経済の発展はない。科学技術と教育を基幹にした堅実・健全で成熟した人間社会をめざすべきだ。科学技術と教育の基本は信頼である。信頼の条件は公正・誠実(integrity)である。人はズルをする。人は過ちを犯す。人は間違える。その前提で、公正・誠実(integrity)を高め維持すべきだ。
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●5.【主要情報源】
① ウィキペディア日本語版:アメリカ疾病予防管理センター – Wikipedia
② ウィキペディア英語版:Centers for Disease Control and Prevention – Wikipedia
③ 2022年2月20日のアプーヴァ・マンダビリ(Apoorva Mandavilli)記者の「New York Times」記事:The C.D.C. Isn’t Publishing Large Portions of the Covid Data It Collects – The New York Times
④ 2022年2月22日のアート・ムーア(Art Moore)記者の「ClarkCountyToday」記事:‘Scientific fraud’: Drs. Robert Malone, Ryan Cole react to CDC hiding data – ClarkCountyToday.com
⑤ 2022年2月23日のリバティ・カウンセル(Liberty Counsel)記者の「desertreview」記事:CDC hides critical safety data | News | thedesertreview.com
⑥ 2022年4月13日のロバート・マローン(Robert W Malone)記者の「Epoch Times」記事:Scientific Fraud and the CDC
★記事中の画像は、出典を記載していない場合も白楽の作品ではありません。
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