2015年1月21日掲載、2023年10月20日更新
ワンポイント:35年前の1988年の事件。ベンヴィニストは、フランス国立保健医学研究所(INSERM)・部長・医師で、ノーベル賞候補になったカリスマ研究者である。「1988年のネイチャー」論文で「水分子は抗体と一緒にいたという記憶がある」と主張した。この主張は、多数の研究者から猛攻撃され、メディアは「水の記憶」(memory of water)事件として大騒ぎした。ベンヴィニストは、学術界から排除され、2004年10月3日、69歳、失意のうちに亡くなった。ただ、その後、ノーベル賞受賞者のリュック・モンタニエ(Luc Montagnier)は、ベンヴィニストの主張を再検討すべきだとしている。国民の損害額(推定)は20億円(大雑把)。この事件は、白楽指定の重要「錯誤」事件である。実験科学者として、データをどう見るか? 何を真理と捉えるか? 学術誌はどうあるべきなのか? 人間はどういう契機で何を正しいと思い込むのか? 科学研究はどうあるべきなのか、など考えさせられる。