2023年7月30日掲載
ワンポイント:スズキは大阪大学で医師免許(MD)と研究博士号(PhD)を取得し、2007年(43歳?)、英国のロンドン大学クイーン・メアリー校(Queen Mary University of London)のウィリアム・ハーベイ研究所(William Harvey Research Institute)・教授に就任した。2022年4月(58歳?)、日本の国立循環器病研究センター研究所・副所長を兼任した。2023年3月(59歳?)、ネカトハンターのショルト・デイヴィッド(Sholto David)がスズキの論文画像のねつ造疑惑を「パブピア(PubPeer)」で指摘した。それで、国立循環器病研究センター研究所を即、辞職した。現在、ロンドン大学クイーン・メアリー校がネカト調査中。国立循環器病研究センター研究所はネカト予備調査をする予定。撤回論文数はゼロだが、「パブピア(PubPeer)」で16論文にコメントがあり、多数(2桁数)の日本人が共著者になっている。国民の損害額(推定)は10億円(大雑把)。
【追記】
・2023年10月20日記事:Schneider Shorts 20.10.2023 – This does not amount to a completed and substantiated complaint – For Better Science
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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.概略
2.経歴と経過
4.日本語の解説
5.不正発覚の経緯と内容
6.論文数と撤回論文とパブピア
7.白楽の感想
9.主要情報源
10.コメント
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●1.【概略】
ケン・スズキ(Ken Suzuki、鈴木 憲、ORCID iD:?、写真出典)は、大阪大学で医師免許(MD)と研究博士号(PhD)を取得し、2007年(43歳?)、英国のロンドン大学クイーン・メアリー校(Queen Mary University of London)のウィリアム・ハーベイ研究所(William Harvey Research Institute)・教授に就任した。専門は再生医療(心臓血管外科)である。
さて、クイズです。
記事上部(左と同じ)でスズキと組み写真になっている女性は誰でしょう? そして、どうして組み写真なのでしょう?
2023年3月(59歳?)、英国のネカトハンターであるショルト・デイヴィッド(Sholto David)が、スズキの論文の画像に多数のねつ造疑惑があると、「パブピア(PubPeer)」で指摘した。
スズキはその前年の2022年4月(58歳?)、日本の国立循環器病研究センター研究所・副所長になった(英国の職と兼任?)。それで、本記事では国名を英国と日本にした。
但し、ねつ造疑惑論文は英国から出版した論文だけで、国立循環器病研究センター研究所から出版した論文ではない。それで、英国での話を中心に記事にした。
ショルト・デイヴィッドがねつ造疑惑を指摘した直後の2023年3月(59歳?)、スズキは国立循環器病研究センター研究所を突然、辞職した(在職期間は12か月)。
2023年7月29日(59歳?)現在、英国のロンドン大学クイーン・メアリー校がネカト調査中である。国立循環器病研究センターはネカト予備調査をする予定である。
というわけで、公式なネカト調査結果は発表されていない。
多くの日本人研究者が共著者になっているスズキの2009~2023年(43~59歳?)の15年間の16論文にネカト疑惑がある。
同じ大阪大学・医学部出身で国立循環器病研究センターのトップになった大津欣也・理事長の2003~2021年の19年間の13論文にもネカト疑惑があり、国立循環器病研究センターはネカト調査をする予定である。 → 2023年7月19日:当センター理事長等の過去の研究活動への指摘に対する対応について|トピックス|国立循環器病研究センター
大津欣也もスズキも大阪大学・医学部出身で19年間や15年間にわたり、それぞれ2桁数の論文にネカト疑惑が持たれている。大阪大学・医学部には研究不正文化が深くはびこっていると見る人もいる。
ロンドン大学クイーン・メアリー校(Queen Mary University of London)のウィリアム・ハーベイ研究所(William Harvey Research Institute)。写真出典
- 国:英国
- 成長国:日本
- 医師免許(MD)取得:大阪大学
- 研究博士号(PhD)取得:大阪大学
- 男女:男性
- 生年月日:不明。仮に1964年1月1日生まれとする。根拠の①、②(研究留学ネット-classified情報)
- 現在の年齢:60歳?
- 分野:再生医療(心臓血管外科)
- 不正疑惑論文発表:2009~2023年(43~59歳?)の15年間
- ネカト行為時の地位:ロンドン大学クイーン・メアリー校のウィリアム・ハーベイ研究所・教授
- 発覚年:2023年(59歳?)
- 発覚時地位:ロンドン大学クイーン・メアリー校のウィリアム・ハーベイ研究所・教授。兼任:日本の国立循環器病研究センター研究所・副所長
- ステップ1(発覚):第一次追及者はネカトハンターのショルト・デイヴィッド(Sholto David)
- ステップ2(メディア):「パブピア(PubPeer)」、「For Better Science」、「NEWSポストセブン」(日本語)
- ステップ3(調査・処分、当局:オーソリティ):①ロンドン大学クイーン・メアリー校・調査委員会。調査中。②国立循環器病研究センター・調査委員会設置予定
- 大学・調査報告書のウェブ上での公表:なし。調査中なので
- 大学の透明性:調査中(ー)
- 不正:ねつ造・改ざん
- 不正論文数:撤回論文は0報だが、2009~2023年(43~59歳?)の15年間の16論文がネカト疑惑
- 時期:研究キャリアの中期から
- 職:事件後に研究職(または発覚時の地位)を続けた(〇)
- 処分:無処分。調査中なので
- 日本人の弟子・友人:多数
【国民の損害額】
国民の損害額:総額(推定)は10億円(大雑把)。
●2.【経歴と経過】
- 生年月日:不明。仮に1964年1月1日生まれとする。根拠の①、②(研究留学ネット-classified情報)
- 1988年(24歳?):大阪大学・医学部で医師免許(MD)取得:心臓血管外科
- 1997年(33歳?):大阪大学で研究博士号(PhD)を取得
- 1998~2007年(34~43歳?):英国のインペリアル・カレッジ・ロンドン(Imperial College London)・研究員/教員(?)
- 2007 年~現(43歳? ~):英国のロンドン大学クイーン・メアリー校(Queen Mary University of London)のウィリアム・ハーベイ研究所(William Harvey Research Institute)・教授
- 2009~2023年(43~59歳?):この15年間の16論文がネカト疑惑
- 2022年4月(58歳?):兼任、国立循環器病研究センター研究所・副所長:招聘
- 2023年3月(59歳?):ショルト・デイヴィッド(Sholto David)が「パブピア(PubPeer)」で不正疑惑を指摘
- 2023年3月(59歳?):国立循環器病研究センター研究所・副所長を辞職
- 2023年7月19日(59歳?):国立循環器病研究センター研究所がネカト予備調査すると発表
- 2023年7月21日(59歳?):岩澤倫彦(いわさわ・みちひこ)(追究者)が「NEWSポストセブン」(日本語)で不正疑惑を指摘
- 2023年7月24日(59歳?):ショルト・デイヴィッド(Sholto David)が「For Better Science」で不正疑惑を解説
●4.【日本語の解説】
★2023年7月21日:岩澤倫彦(いわさわ・みちひこ)(追究者)(NEWSポストセブン):「「心臓病の最高権威」国循・大津欣也理事長に研究論文捏造・改ざん疑惑、直撃取材に語ったこと」
出典 → ココ、(1ページ目保存版、 2ページ目保存版)。 Yahoo!ニュース版(保存版)
白楽注:S氏=ケン・スズキ(Ken Suzuki、鈴木 憲)
2022年4月、大津氏の肝煎りで国循に「再生医療センター」が新設された。リーダーとなる研究者として、ロンドン大学現役教授で大阪大学出身のS氏が招聘される。
そのS氏が責任著者などの立場で関わった10の研究論文についても、今年3月、世界の科学者たちが研究論文を検証するウェブサイト「パブピア」に不正行為の疑いが指摘されている。(7月19日時点では15)
例えば、2つの論文の画像を並べてこんな疑問が呈されている。
〈別の実験画像を90度回転させ、使用しているのではないか?〉
この指摘に対して、S氏はパブピア上で次のような回答を寄せた。
〈コメントありがとうございます。不適切な画像のようです。早急に調査し、必要な対応をさせていただきます〉
この回答を見る限り、S氏は実験画像の不正行為を認めている。
この他、〈別の論文で使用されている実験画像が使用されている。何が起こったのか、どちらが正しいのか、著者はコメントできるか?〉という疑問も投げかけられていた。これには〈調査を行う〉、とS氏は回答したが、約3か月が経過した現在も追記はない。
パブピアでの指摘(2020年の論文)。BとCは別の実験画像とされていたが、「AI」が枠で囲んだ部分が「同一」と判定。同じ画像の位置をズラして使用した疑いがある
パブピアでこうした論文不正が指摘された今年3月、S氏は前触れもなく国循を辞職してロンドン大学に戻った。理由は明かされていないが、論文への疑惑発覚とタイミングはぴったり符合する。
本誌・週刊ポストはロンドン大学の広報担当者にS氏の論文不正疑惑について把握しているのかを質問したが、回答期限までに返答はなかった。
続きは、原典をお読みください。
★2023年7月25日:世界変動展望:「鈴木憲 元国循研究所副所長、ロンドン大らの大量捏造指摘について」
鈴木憲(Ken Suzuki)元国循研究所副所長、ロンドン大学クィーンメリー校 医学部、ウィリアムハーベイリサーチインスティチュート教授らにも大量の捏造がPubPeerで指摘された。国循は予備調査をやるようだ。
続きは、原典をお読みください。
●5.【不正発覚の経緯と内容】
本記事の主要部分の出典はココである → 2023年7月24日のショルト・デイヴィッド(Sholto David)記者の「For Better Science」記事: Ken Suzuki: The King of Hearts at QMUL – For Better Science
★ショルト・デイヴィッド(Sholto David)
ショルト・デイヴィッド(Sholto David、写真出典)は英国のニューカッスル大学・医学部(Medical School, Newcastle University)で細胞分子生物科学の学士号を取得した英国のネカトハンターである。
ショルト・デイヴィッドの「パブピア(PubPeer)」名は「Mycosphaerella Arachidis(マイコスファエレラ・アラキディス)」で、2023年7月28日現在、1,096論文の異常を指摘した。 → PubPeer – Search publications and join the conversation.
ツイッター名は「addictedtoignorance(addicted to ignorance=無知中毒)」で、ココ → addictedtoignorance / Twitter
2021年10月7日から「Science Police Episode(科学警察エピソード)」シリーズの動画を公開し、ネカト研究を追求している。サイトはココ → AddictedToIgnorance – YouTube
以下、適当に動画の1つを示す。2023年2月12日に公開したシリーズ4番目の「Adventures in Autoradiography(オートラジオグラフィーの冒険)」である。
★研究人生
ケン・スズキ(Ken Suzuki、鈴木 憲、写真出典)は大阪大学・医学部で医師免許(MD)と研究博士号(PhD)を取得した。当時の専門は心臓血管外科だったが、その後、再生医療へと移行してきた。
1998年(34歳?)、英国のインペリアル・カレッジ・ロンドン(Imperial College London)・研究員/教員(?)になり、2007年(43歳?)、英国のロンドン大学クイーン・メアリー校(Queen Mary University of London)のウィリアム・ハーベイ研究所(William Harvey Research Institute)・教授に就任した。
大阪大学・医学部が誇る外国で活躍している研究者の1人である。 → 2015年5月8日:海外で活躍する大阪大学の卒業生、旧在籍者等を顕彰する「Global Alumni Fellow」の称号授与 - 大阪大学
2022年4月(58歳?)、ウィリアム・ハーベイ研究所・教授職を維持したまま、日本の国立循環器病研究センター研究所・副所長を兼任した。再生医療センターの新設で招聘されたのだ(招聘)。
写真出典
就任した翌年の2023年4月26日、日本医療研究開発機構(AMED)の再生医療関連研究費が採択された。以下の出典 → 令和5年度 「再生医療実用化研究事業」の採択課題について
この研究費は「1課題当たり年間30,000千円(上限)、最長3年」なので、最大9千万円の研究費を獲得した。
ところが、研究費を辞退している。
それどころか、就任1年前後の2023年3月(59歳?)、国立循環器病研究センター研究所・副所長を辞職していた。
辞職の理由はハッキリしないが、その直前、ネカト疑惑が指摘されていた。そのためだと思う。
2023年7月19日(59歳?)、国立循環器病研究センター研究所がスズキのネカト予備調査をする予定だと発表した。 → 当センター理事長等の過去の研究活動への指摘に対する対応について|トピックス|国立循環器病研究センター
栄光から地獄へ、という研究人生なのだろうか?
★獲得研究費
日本医療研究開発機構(AMED)の最大9千万円の研究費を辞退したと上記したが、英国では、以下に示すように約7億円の研究費を受給していた。
スズキは、英国の「Heart Research UK」や「British Heart Foundation」などの慈善団体から300万ポンド近く(約3億6千万円)の研究費を受給している。
さらに、英国政府系の研究助成機関である英国研究・イノベーション機構(UK Research and Innovation, UKRI)から278万ポンド(約3億3400万円)の研究費を受給している(以下の出典)。
★発覚:「2018年6月のSci Rep.」論文
2023年3月xx日(59歳?)、ネカトハンターのショルト・デイヴィッド(Sholto David)(=Mycosphaerella Arachidis)は、スズキの以下の「2018年6月のSci Rep.」論文のネカト疑惑を「パブピア(PubPeer)」で指摘した。2023年7月29日現在、この論文は撤回されていない。
- Fibrin Glue-aided, Instant Epicardial Placement Enhances the Efficacy of Mesenchymal Stromal Cell-Based Therapy for Heart Failure.
Kobayashi K, Ichihara Y, Tano N, Fields L, Murugesu N, Ito T, Ikebe C, Lewis F, Yashiro K, Shintani Y, Uppal R, Suzuki K.
Sci Rep. 2018 Jun 21;8(1):9448. doi: 10.1038/s41598-018-27881-5.
PMID: 29930312
第一著者は、カズヤ・コバヤシ(Kazuya Kobayashi、写真出典)で英国のスズキ研究室のポスドクである。日本人名の共著者がスズキ以外に7人いる。
断っておくが、カズヤ・コバヤシがネカト犯だとは、結論も示唆も全くされていない。
―――図1e
この論文(PMID: 29930312)の図1eの真ん中の画像(以下の左側)は、実験条件が異なるのに、スズキ研究室の別の論文(2013年出版)の図1d(以下の右側)と同じである。つまり、画像の重複使用で「うっかり間違えた」または「データねつ造」だと思われる。
ただ、図を回転させているので、「うっかり間違えた」というより、意図的な印象を受ける。
以下のパブピアの図の出典:https://pubpeer.com/publications/A64A086D035D1F98ADEAEC0B80CD50#2
―――図5b
同じ論文(PMID: 29930312)の図5bの右下の画像(以下の右側)は、実験条件が異なるのに、スズキ研究室の別の論文(2014年出版)の図S2(以下の左側)の1画像と同じである。つまり、画像の重複使用で「うっかり間違えた」または「データねつ造」だと思われる。
ただ、図を横に縮尺しているので、「うっかり間違えた」というより、意図的な印象を受ける。
以下のパブピアの図の出典:https://pubpeer.com/publications/A64A086D035D1F98ADEAEC0B80CD50#3
―――図2
この論文の図2も、スズキ研究室の別の論文の画像が使われている。図は省略する。
―――まとめ
つまり、1つの論文の少なくとも3つの図で、画像の重複使用があった。それも単なる重複ではなく、画像を加工していた。
「仏の顔も三度まで」もあるし、「うっかり間違えた」というより、意図的な「データねつ造」と思われる。
2023年3月xx日(59歳?)、スズキは「論文は調査中です(This paper is now under investigation.)」と返事した。
「論文は調査中です」の「調査中」はロンドン大学クイーン・メアリー校の調査なのか、スズキ個人の調査なのかハッキリしない。
ただ、4か月経った2023年7月29日現在、調査が終わったのか・終わってないのかを含め、何も説明がない。
★「2023年4月のFASEB J.」論文
ごく最近、つまり、3か月前の2023年4月に出版された湯気の出ている論文でもネカト疑惑が指摘された。
「2023年4月のFASEB J.」論文の書誌情報を以下に示す。2023年7月29日現在、撤回されていない。
- Effect of mechanical tension on fibroblast transcriptome profile and regulatory mechanisms of myocardial collagen turnover.
Shiraishi M, Suzuki K, Yamaguchi A.
FASEB J. 2023 Apr;37(4):e22841. doi: 10.1096/fj.202201899R.
PMID: 36856975
第一著者は、マナブ・シライシ(Manabu Shiraishi、白石 学、写真出典)で、マナブ・シライシは旭川医科大学出身で2023年7月29日現在は自治医科大学・准教授である。
断っておくが、マナブ・シライシがネカト犯だとは、結論も示唆も全くされていない。
2023年7月xx日、ショルト・デイヴィッド(Sholto David)(=Mycosphaerella Arachidis)は、条件が違うのに同じ画像が使われていると「パブピア(PubPeer)」で指摘した。
以下のパブピアの図の出典:https://pubpeer.com/publications/5E59C8601D2DFE352451B868E0BB79#1
シライシは図が異常だと指摘してくれたことを感謝し、「誠実な間違い(honest error)」だったと主張した。
そこまでは良かったのだが、「この間違い(mishandling)は論文の結論に影響しません(I believe this image mishandling does not affect the conclusions of the paper.)」と居直ってしまった。
これはイケマセン。大ヒンシュク。
ネカトの基本に無知なことがバレたばかりか、ネカト者特有の典型的発言をしてしまった。
この発言は、「ネカトしてもいいじゃないか」という研究公正を軽視する発言だ、と研究倫理学者たちは理解している。
「ネカトは、論文の結論の真偽に関する議論じゃないことがわかっていない。自分の非を隠すために、論点をすり替えている」、と受け取られる。
ショルト・デイヴィッドは、「間違った画像を使っても論文の結論に影響しないなら、そもそも、そんな画像をどうして論文の結論の根拠として示すのか?」と批判している。
★「2016年5月のJ Clin Invest.」論文
上記論文でのマナブ・シライシは自治医科大学・所属なので、英国のスズキ研究室の室員ではないと思う人がいるといけないので、以下の論文も示す。
マナブ・シライシは、2014年に英国のスズキ研究室から論文を出版している。つまり、英国のスズキ研究室の室員だった。
「2016年5月のJ Clin Invest.」論文では、マナブ・シライシは英国のスズキ研究室と日本の自治医科大学の2つの所属になっている。以下に書誌情報を以下に示すが、この論文もネカト疑惑論文で、2023年7月29日現在、撤回されていない。
共著者は全員日本人名でスズキを含め9人である。
- Alternatively activated macrophages determine repair of the infarcted adult murine heart.
Shiraishi M, Shintani Y, Shintani Y, Ishida H, Saba R, Yamaguchi A, Adachi H, Yashiro K, Suzuki K.
J Clin Invest. 2016 Jun 1;126(6):2151-66. doi: 10.1172/JCI85782. Epub 2016 May 3.
PMID: 27140396
2023年3月xx日、ショルト・デイヴィッド(Sholto David)(=Mycosphaerella Arachidis)が、条件が違うのに別の論文の画像を加工して使っていると「パブピア(PubPeer)」で指摘した。
マナブ・シライシはこのネカト疑惑に対して、今回は何も回答していない。
スズキが、「調査します(We will investigate this.)」と答えている。
★英国の調査
2023年3月(59歳?)、ショルト・デイヴィッド(Sholto David)(=Mycosphaerella Arachidis)が「パブピア(PubPeer)」で指摘したことへの回答で、画像の重複使用があった事をスズキは認めている。
2023年3月(59歳?)、ショルト・デイヴィッド(Sholto David)はロンドン大学クイーン・メアリー校(Queen Mary University of London)にスズキのネカトを通報した。
ロンドン大学クイーン・メアリー校の「研究公正官(Research Integrity and Assurance Officer)」のジェームズ・パターソン(James Patterson)は、大学は調査すると、ショルト・デイヴィッドに回答した。
2023年6月と7月の2回、その後、音沙汰がないので、ショルト・デイヴィッドは、さらにいくつかの重複画像を見つけとことをパターソンに伝え、調査のその後を尋ねた。
パターソンは「何も言えません」と回答した。
2023年7月(59歳?)(推定)、ショルト・デイヴィッドは、問い合わせる相手をスズキ本人に変えて、「For Better Science」ブログにスズキのネカト記事を書くので、何か言いたいことはないかと尋ねた。
スズキは、大学の調査が終わるまではコメントできないと回答した。
★日本の調査
2023年7月19日の国立循環器病研究センターの「当センター理事長等の過去の研究活動への指摘に対する対応について」によると、以下のようだ。
2023年6月に「外部の私的なサイト」(=「パブピア(PubPeer)」)で理事長のネカト不正疑惑が指摘された。
また、同サイトにおいては、元研究所副所長が過去に責任著者を務めた複数の論文についても、同様の指摘がなされております。
・・・中略・・・
指摘を受けた論文は、いずれも当センターの研究成果ではございませんが、(中略)、調査を開始することを決定いたしました(文章出典:「当センター理事長等の過去の研究活動への指摘に対する対応について」)
それで、第三者調査委員会を設置して、8月上旬を目途に、予備調査をする、とある。
「パブピア(PubPeer)」で指摘されたのを受けて調査するというのは、日本の大学・研究所のネカト対処としては積極的で素晴らしい。そして、とても珍しい。
国立循環器病研究センターの上層部に研究公正の感度が良く、正義の人がいるに違いない。素晴らしい。
ただ、大津欣也もスズキも大阪大学・医学部出身で19年間や15年間にわたり、それぞれ2桁数の論文にネカト疑惑が持たれている。
大阪大学・医学部には研究不正文化が深くはびこっていて、大津欣也やスズキの研究グループは、長年、ネカトまみれだったのではないかと思える節もある。
そうでなければ、ネカト開始初期の頃に、研究室員の誰かが告発していたはずだ。
●【ねつ造・改ざんの具体例】
上記したので省略。
●6.【論文数と撤回論文とパブピア】
★パブメド(PubMed)
2023年7月29日現在、パブメド(PubMed)で、ケン・スズキ(Ken Suzuki)の論文を「Ken Suzuki[Author]」で検索した。この検索方法だと、2002年以降の論文がヒットするが、2002~2023年の22年間の136論文がヒットした。
2023年7月29日現在、「Retracted Publication」のフィルターでパブメドの論文撤回リストを検索すると、0論文が撤回されていた。
★撤回監視データベース
2023年7月29日現在、「撤回監視(Retraction Watch)」の撤回監視データベースでケン・スズキ(Ken Suzuki)を「Dahlman-Wright」で検索すると、0論文が撤回されていた。
★パブピア(PubPeer)
2023年7月29日現在、「パブピア(PubPeer)」では、ケン・スズキ(Ken Suzuki)の論文のコメントを「”Ken Suzuki”」で検索すると、2009~2023年(43~59歳?)の16論文にコメントがあった。
●7.【白楽の感想】
《1》ネカト犯
ロンドン大学クイーン・メアリー校(Queen Mary University of London)は、現時点では調査結果を発表していない。調査中なのか・終わったけど発表しないのか、わからない。
印象で言えば、ケン・スズキ(Ken Suzuki、鈴木 憲)の研究室はユルユル研究公正だったため、複数の研究室員が画像を使いまわしていたと思われる。その使いまわしを、ケン・スズキはうすうす知っていたと、白楽は想定する。
というのは、自分の研究室で出した画像の使いまわしなので、論文の図をその気でみれば、多分、気がつく。
しかし、スズキ本人がネカト犯とは思えない。スズキ本人がネカトするよう指示していたとも思えない。スズキ研究室はユルユル研究公正の雰囲気だったため、在籍した日本人が伝統的につるんで(あるいは複数の個人が別々に)ネカトをしたのだと思う。
思うに、スズキ研究室に研究不正文化が深くはびこっていて、長年、ネカトまみれだったのだろう。
そうでなければ、ネカト開始初期の頃に、研究室員の誰かが告発していたはずだ。
研究室の教員・院生・研究員の11人がグルになってネカトをした東京大学の加藤茂明事件(2012年1月に発覚)がフッと頭をよぎった。これに似た事件ではないかと思った。
《2》準自発的
国立循環器病研究センターが「外部の私的なサイト」(=「パブピア(PubPeer)」)で指摘されたのを受けて、ネカト対処に乗り出し、調査しようとしている。
この準自発的・積極的な姿勢はとても素晴らしい。日本ではマレなことだ。
誰か知らないが、まともな人が国立循環器病研究センターにいるということだ。
ネカト調査は、国立循環器病研究センター・監事で弁護士の片山登志子が最終責任者だそうだ。
弁護士はイケマセン。
弁護士は学術的観点がなく法的観点と利害で判断する。
野球の審判員に相撲の行司をさせるようなものだ。学術と法律はルールも文化も違う。
当然ながら、ネカト対処の責任者にする人種として弁護士や裁判官はかなりふさわしくない。誰もが知るように、今までとんでもない判定を多く下してきた。
白楽は弁護士や裁判官には、いつもガッカリしている。
それなのにどうして弁護士を責任者にするのか?
依頼した人の無見識に呆れるが、引き受けた人の無見識にも呆れた。それを批判しないメディアや社会にも呆れる。
ネカト調査をこの体制でするということは、外面を繕ってシロと結論する方向だと、白楽は、深読みした。
では誰が適任かというと、難しい。残念ながら、研究公正に高い見識・経験を持ちネカト処理に優れている学術界の人がいない。そういう人を日本は育ててこなかった。
で、今回は仕方ないことにしておこう。
「外部の私的なサイト」の指摘を受けて、国立循環器病研究センターが準自発的にネカト調査に乗り出したので、今回は違うかも、と少し期待している、面もある。
と言っても、ロンドン大学クイーン・メアリー校が調査の主役である。
国立循環器病研究センターはロンドン大学クイーン・メアリー校の調査結果を見て、それに沿う結論を出すだけだろう。
ウウン? 「今回は違うかも、と少し期待している」と書いてあるのに、白楽はゼンゼン期待していないじゃん。マーネ。
野球の審判員が相撲の的確な判定をできる、と誰が思うの?
《3》大阪大学の暗い影
大学には、当然ながら、ネカト事件頻度の多い大学と少ない大学がある。
ネカト事件数の多い日本の大学ランキングは、2019年までの集計で、大阪大学が第4位にランクインしていた。 → 5C ネカト・クログレイ事件データ集計(2019年):日本編 | 白楽の研究者倫理
絶対数が少ないので、参考程度だが、大阪大学はネカト事件が多かった。
ネカト事件頻度の多い大学と少ない大学はどこがどう違うのだろうか?
ネカト発生原因の解明に役立ちそうだ。
もっとも、スズキは大阪大学でネカトをしたわけではない。ネカトは英国のロンドン大学クイーン・メアリー校から出版した論文に見つかっている。
ただ、スズキ研究室の室員には大阪大学出身者がポスドクとして多数いた・いる(らしい)。
ショルト・デイヴィッド(Sholto David)の解説記事では、ケン・スズキ(Ken Suzuki、鈴木 憲)(写真左)と2023年8月11日に日本公開の映画『バービー』の女優・マーゴット・ロビー(Margot Robbie)(写真右)が組み写真になっている。出典:https://forbetterscience.com/2023/07/24/ken-suzuki-the-king-of-hearts-at-qmul/
白楽は、ケン・スズキの相手にどうしてマーゴット・ロビーなのかわからなかった。
わかる人います?
そう、映画『バービー』では、バービーの相手がケンなので、ケン(・スズキ)を持ってきた、と思う。
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日本の人口は、移民を受け入れなければ、試算では、2100年に現在の7~8割減の3000万人になるとの話だ。国・社会を動かす人間も7~8割減る。現状の日本は、科学技術が衰退し、かつ人間の質が劣化している。スポーツ、観光、娯楽を過度に追及する日本の現状は衰退を早め、ギリシャ化を促進する。今、科学技術と教育を基幹にし、人口減少に見合う堅実・健全で成熟した良質の人間社会を再構築するよう転換すべきだ。公正・誠実(integrity)・透明・説明責任も徹底する。そういう人物を昇進させ、社会のリーダーに据える。また、人口減を補う以上の移民を受け入れる。
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●9.【主要情報源】
① 「パブピア(PubPeer)」:PubPeer – authors:”Ken Suzuki”
② ケン・スズキ(Ken Suzuki、鈴木 憲)本人のウェブサイト:Centre for Microvascular Research | Suzuki Lab、保存版
③ 2023年7月21日の岩澤倫彦(いわさわ・みちひこ)(追究者)(NEWSポストセブン)記事:「心臓病の最高権威」国循・大津欣也理事長に研究論文捏造・改ざん疑惑、直撃取材に語ったこと|NEWSポストセブン
④ 2023年7月24日のショルト・デイヴィッド(Sholto David)記者の「For Better Science」記事: Ken Suzuki: The King of Hearts at QMUL – For Better Science、保存版
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●コメント
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最後の表は「A/B」ではないでしょうか?そうでなければ、ネカト事件が0の場合、無限大になってしまいます。
確かにそうですね。コメント、感謝です。
「A/B」表記でもよかったのですが、「B/A」表記にしました。
意図として、「教員何人」のうちの1人(複数人もマレにある)が1件のネカト事件を起こしたか、の「教員何人」を示したかったので、「B/A」表記にしました。
表に示した日本の大学では、教員119~532人のうちの1人が、1件のネカト事件を起こしている、と読める。
大阪大学と大阪市立大学を比べると、大阪市立大学の方が5倍も事件密度が濃い。
なお、Aは1以上で、0を適用しません。