5B 日本のネカト施策のあるべき姿:撤回論文数

2020年7月20日掲載 

ワンポイント:【長文注意】。日本のネカト抑止策を立案・施行する場合、証拠に基づいた抑止策を立案することが重要で、さらに、その施策の効果を測定できることが極めて望ましい。白楽は長年、有効なネカト抑止策を摸索してきたが、今回ようやく、撤回論文数でネカト行為数を測定することでネカト抑止策の効果を測定できると考えた。撤回論文数の年次変化を調べたが、文部科学省のネカト・ガイドラインの制定、小保方事件などのネカト大事件の後に、撤回論文数が激減することはなかった。
ただ、撤回論文数は2010年以降、徐々に減っていた。その理由がなかなか掴めなかったが、「多数論文撤回者」がネカト論文を出版できなくなったためだと突き止めた。日本の撤回論文数991報の約4割は、8人の「多数論文撤回者」の論文だった。多数論文撤回者を見つけ、処分したことで、撤回論文出版数、つまり、ネカト行為数が減った。
結局、ネカト抑止策としては、多数論文撤回者(常習的ネカト「行為」者)を生まない施策が効果的である。多数論文撤回者はしかし、特に悪徳な研究者というわけではなく、周囲が阻止しないためにズルズルとネカト論文を出版し続けた結果である。従って、ネカト抑止策はすべての研究者を対象とした施策と同じで、①社会と学術界がネカトを注視し警告する「関心」、②ネカトを必ず見つけ通報する「必見」、③通報されたネカトを必ず厳罰に処す「必厳罰」である。なお、日本人の撤回論文は撤回監視データベース(Retraction Watch Database)からデータを抽出し解析した。

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