企業:抗てんかん薬・ガバペンチン(Gabapentin):ファイザー社(Pfizer)(米)

2017年12月11日掲載。

ワンポイント:ジョンズ・ホプキンス大学のケイ・ディッカーソン教授(Kay Dickersin)が、「2009年のN Engl J Med」論文で、ファイザー社のガバペンチン(Gabapentin)、商品名はニューロンチン(Neurontin)の臨床試験データに改ざんがあると指摘した。改ざんによる損害額は不明だが、ガバペンチン関連の裁判でファイザー社に支払うよう命令された額は約945億円である。

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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.概略
2.日本語の解説
3.事件の経過と内容
4.白楽の感想
5.主要情報源
6.コメント
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●1.【概略】

世界最大の製薬企業である米国のファイザー社(Pfizer)の抗てんかん薬・ガバペンチン(Gabapentin)、商品名はニューロンチン(Neurontin、写真出典)の臨床試験データが改ざんされていた事件である。

ジョンズ・ホプキンス大学のケイ・ディッカーソン教授(Kay Dickersin)が、「2009年のN Engl J Med」論文で、ファイザー社のガバペンチン(Gabapentin)の臨床試験データに改ざんがあると指摘した。

米国・ニューヨーク・マンハッタンにあるファイザー社・本社入口。写真 By Coolcaesar (Own work)  [CC BY-SA 4.0], via Wikimedia Commons

  • 国:米国。本社がある米国としたが世界企業である
  • 集団名:ファイザー社
  • 集団名(英語):Pfizer
  • ウェブサイト(英語):https://www.pfizer.com/
  • 集団の概要:1849年設立。売上高連結528億ドル (2016年)、営業利益連結147億ドル (2016年)、純利益連結72億ドル (2016年)、従業員数96,500人(2016年)。ファイザーは、ヘルスケア分野における世界のリーディングカンパニーとして、革新的で価値ある製品を開発・製造・販売しています。
    グローバルな事業展開を図り、世界150ヶ国以上、約7万人の社員の活動の根底には、”Working together for a healthier world”― より健康な世界の実現のために貢献する ― ファイザーの揺るぎない企業理念が息づいています。出典:ファイザー株式会社 – 会社案内
  • 日本の集団名:ファイザー日本法人。1953年設立。2017年現在、従業員数4,935名。ウェブサイト:http://www.pfizer.co.jp/
  • 事件の首謀者:―。
  • 分野:医薬品
  • 不正年:?年
  • 発覚年:2009年
  • ステップ1(発覚):第一次追及者はジョンズ・ホプキンス大学・公衆衛生科大学院(Johns Hopkins Bloomberg School of Public Health)のケイ・ディッカーソン教授(Kay Dickersin, Ph.D.)である。「2009年のN Engl J Med」論文に発表
  • ステップ2(メディア): 「ロイター」など多くのメディア
  • ステップ3(調査・処分、当局:オーソリティ): ①裁判所
  • 不正:改ざん
  • 不正論文数:―
  • 被害(者):改ざんによる被害(者)は不明。ガバペンチンでは数千人が自殺?
  • 損害額:総額(推定)は約945億円。改ざんによる損害は不明だが、2014 年6月22日までにガバペンチン関連の裁判でファイザー社に支払うよう命令された額が約945億円なので、その額としておく。
  • 結末:決着していない?

●2.【日本語の解説】

日本語の解説は多数ある。

★ガバペンチン – Wikipedia

2003年に、ワーナー・ランバート(Warner Lambert)社(現ファイザー社)の医療情報担当者が、承認外の11の適応に効くと医師に宣伝し、適応外使用を勧めていたことを、1996年の内部告発と提訴をきっかけに、全米各地で団体訴訟が発生した。誇大宣伝等の独占禁止法違反で政府による調査が実施され、この結果、ファイザー社は2003年末に、4億2700万ドル以上の巨額の引当金を計上していた。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AC%E3%83%90%E3%83%9A%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%B3

★2009年11月24日:健康美容EXPO「抗てんかん薬の臨床データが改ざんされていた可能性」

出典 → ココ、 (保存版
→ 原典: 2009年11月11日最終更新のアマンダ・ガードナー(Amanda Gardner)記者の記事:Trial Data on Anti-Seizure Drug Might Have Been Manipulated: Report、(保存版

人気の高い抗てんかん薬ガバペンチン(商品名:ガバペン)の臨床データが、適応外(off-label)使用の可能性が拡がるように実際よりも効果が高く改ざんされていたことが、製薬会社の社内文書により判明したことが報告された。

医学誌「New England Journal of Medicine」11月12日号でこの件を報告した米ジョンズ・ホプキンス大学ブルームバーグ公衆衛生学部(ボルティモア)教授のKay Dickersin氏は、「おそらくよい結果だけが報告されている」と述べている。

ガバペンチンは米国食品医薬品局(FDA)により、てんかん、帯状疱疹(※帯状疱疹後神経痛)の治療用に認可されているが、片頭痛や双極性障害、疼痛治療など広く適応外使用もされている。Dickersin氏は、製造元であるパーク・デービス社(ファイザー社の子会社)が、ガバペンチンを適応外使用で販売しようとしたことに対する民事訴訟での証言を依頼された際に、内部文書へのアクセスを得たという。

Dickersin氏らは、ファイザー社およびパーク・デービス社の資金援助による20件の臨床試験(うち12件が論文報告)を比較した結果、初期の社内プロトコルで指定されていた主要(一次)転帰が、必ずしも後の報告書では同じではないことを発見した。(異なる予後が薬剤の肯定的な面を示した場合)、副次(二次)予後が主要予後に変更される、あるいは単に新しい予後が追加されていたという。

ファイザー社は、今回の研究に対する声明の中で、「最近、『New England Journal of Medicine』誌に掲載された、ガバペンチンの適応外使用に関するレビューは、訴訟用に作成された報告に基づくもので、原告の主張を支援するために雇われた証人が共著者となっている。重大な偏見(バイアス)、不十分なデータ、方法論の欠如があり、信憑性のある科学的研究といえるものではない」と反論するとともに、「当社は科学的・医学的な誠実さを第一としている」と結んでいる。

これは氷山の一角かもしれないという。米クリーブランド・クリニック(オハイオ州)心血管医学部長のSteven Nissen 博士は「オリジナルの文書へのアクセスができない限り、何がどう起きたのかを発見するのは極端に困難である」と述べるとともに、「科学論文のピア・レビュー(同分野の専門家による評価)によって(臨床)ガイドラインが作成され、患者の治療法が決められる。その内容が商業的影響でゆがめられるならば、治療に用いるエビデンス(科学的根拠)もゆらぎ、その代償は高すぎるものになる」と危惧している。(HealthDay News 11月11日)

http://www.healthday.com/Article.asp?AID=632984

★2015年11月19日:鍼灸・セラピー いやしろ タオのつぶやき「ファイザー社のデッチアゲ研究」

出典 → ココ、(保存版

著書『精神科は今日も、やりたい放題』から下記抜粋します。

ファイザー社のデッチアゲ研究

いい加減なのは精神科医だけではない。もちろん製薬会社も同じである。たとえばロイターが掲載したニュースに以下のようなものがある(二〇〇九年一一月二日)。

◎ファイザー社、研究データをデッチアゲ

調査機関が発表したところによると、ファイザー社が販売するガバペンチン(てんかん薬)のマーケットの拡大に不都合な研究結果の揉み消しや改ざんを同社が行なっていたことを示す社内文書が見つかり、製薬企業がどのように科学研究の操作が行なわれているかを知る機会を提供する結果となった。

臨床試験ではあらかじめ科学的疑問を設定しておいて、それを調べることになっているが、ガバペンテンをてんかん以外の疾患に適用した場合の社内データと公表データを比較してみると、20の試験報告のうち8試験は医学ジャーナルに公表されていなかった。公表された12の試験報告のうち8試験では、主要転帰(研究に関する疑問と答え)が、元の研究計画にあったものとは異なるものにファイザー社によって変更されていた。

「研究の公表報告の間で入れ替えられた主要転帰はいくつもあった」と、ボルチモアのジョンズ・ホプキンス大学のケイ・ディカーシン女史は語る。「いくつかの主要転帰はまったくどこかに行ってしまっていた。新たに作られたのも。もとは二次転帰に設定されていたものが主要転帰に格上げされているのもあった」と、電話インタビューで女史は語った。

★2015年11月19日:光の旅人「ファイザー社、研究データをデッチ上げ」

出典 → ココ、(保存版

2009年11月12日のジュリー・スティーンヘイセン(Julie Steenhuysen)記者の「ロイター」記事:Report shows Pfizer’s hand in Neurontin studies、(保存版

CHICAGO – A study of internal company documents suggests Pfizer Inc altered or omitted unfavorable study findings to expand its epilepsy drug Neurontin’s market, U.S. researchers said on Wednesday, offering a look at how drugmakers influence scientific research.
シカゴ – 調査機関が水曜日に発表したところによると、ファイザー社が販売するガバペンチン/ Neurontin(てんかん薬)のマーケットの拡大に不都合な研究結果の揉み消しや改ざんを同社が行っていたことを示す社内文書が見つかり、製薬企業がどのように科学研究の操作がおこなわれているかを知る機会を提供する結果となった。

Clinical trials are supposed to answer a specific, predetermined scientific question, but a comparison of Pfizer documents and published studies on Neurontin for conditions other than epilepsy found that eight out of 20 study reports never made it into medical journals.
臨床試験ではあらかじめ科学的疑問を設定しておいて、それを調べることになっているが、ガバペンチンをてんかん以外の疾患に適用した場合の社内データと公表データを比較してみると、20の試験報告のうち8試験は医学ジャーナルに公表されていなかった。

And in eight of the 12 published studies, the primary outcome — the answer to the main scientific question — was changed by Pfizer, the world’s biggest drugmaker, from the original study design.
公表された12の試験報告のうち8試験では、主要転帰(主とする科学的疑問に対する答え)が、元の研究計画にあった主要転帰とは異なるものにファイザー社(業界一位)によって変更されていた。

“There were a lot of primary outcomes that were shifted around between the planning of the protocol and the reporting of the study,” said Kay Dickersin of Johns Hopkins University in Baltimore, whose study appears in the New England Journal of Medicine.
「プロトコールの計画と研究の公表報告の間で入れ替えられた主要転帰はいくつもあった」と、NEJM誌にもその研究が掲載されているバルチモア、ジョンズ・ホプキンス大学のケイ・ディカーシン女史は語る。

“Some primary outcomes were lost altogether. Some were brand new. Some were secondary outcomes that were upgraded to primary,” she said in a telephone interview.
「いくつかの主要転帰はまったくどこかに行ってしまっていた。新たに作られたのも。もとは二次転帰に設定されていたものが主要転帰に格上げされているのもあった」と、電話インタビューで女史は語った。

●3.【事件の経過と内容】

【事件の背景】

★抗てんかん薬・ガバペンチン(Gabapentin)の発見者は日本人だが、誰だか不明

1970年、日本人がガバペンチン(Gabapentin)を発見し、1973年、パーク・デービス社(ワーナー・ランバート社、現ファイザー社)に売った。しかし、白楽は発見した日本人が誰だか特定できない。発見者は岡山大学の竹崎治彦(Haruhiko Takesaki)かもしれない。
→ Gabapentin (Neurontin) – eMedExpert.com
→  Neurontin History

意図的かどうか不明だが、以下のように、1973年、ワーナー・ランバート社(現ファイザー社)のゲルハルト・サッチンガー(Gerhard Satzinger)が最初に発見したような記載もかなりある。

ガバペンチンはゲルハルト・サッチンガーによって発見された(Gabapentin was discovered by Gerhard Satzinger)」(Gabapentin | Podcast | Chemistry World
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ガバペンチンは1973年Warner Lambert社(現pfizer社)のドイツ研究所で抗てんかん薬として合成された。イギリスおよびアメリカで、成人におけるてんかんの部分発作に対する併用療法として承認され、1999年以降、欧州主要各国・アメリカで小児の適応を取得後は、アジアを含め世界中で抗てんかん薬として、広く使用されている。ガバペンチン – Wikipedia

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ガバペンチンは,1973年にワーナー・ランバート社(現ファイザー社)のドイツ研究所で合成されたGABA(γ-アミノ酪酸)誘導体である(国原 峯男, 佐瀬 真一, 荒川 明雄、新規抗てんかん薬ガバペンチン(ガバペン®) 、日本薬理学雑誌 Vol. 129(2007) No. 4、https://www.jstage.jst.go.jp/article/fpj/129/4/129_4_299/_pdf)・・・3人の著者は日本のファイザー社の社員である。

★抗てんかん薬・ガバペンチン(Gabapentin)の化学物質

ガバペンチン(Gabapentin)は1-amino-methyl cyclohexoneacetic acidで、下記の化学構造の分子量171.34の小さな分子である。

【改ざんの指摘】

★ケイ・ディッカーソン教授(Kay Dickersin)の「2009年のN Engl J Med」論文

2009年、ケイ・ディッカーソン教授は、適応外使用での裁判で得たファイザー社の内部文書を分析した結果、ファイザー社のガバペンチン(Gabapentin)の臨床試験データに改ざんを見つけた。

その知見を、「2009年のN Engl J Med」論文に発表した。書誌情報を以下に示す。 

ケイ・ディッカーソン教授(Kay Dickersin) https://twitter.com/kaydickersin

「2009年のN Engl J Med」論文に添付されているファイザー社の内部文書は以下で閲覧ことができる。
→ PDFファイル(Supplementary Appendix

表に示された分析結果を見ても、どの部分がどのように改ざんされたのか、簡単に伝えるのは難しい。

それで、改ざん内容を具体的に示さず、改ざんされたという結果だけを記載する。ゴメン。

要するに、「日本語の解説」で示した下記の文章が改ざん点を示している。

ガバペンテンをてんかん以外の疾患に適用した場合の社内データと公表データを比較してみると、20の試験報告のうち8試験は医学ジャーナルに公表されていなかった。公表された12の試験報告のうち8試験では、主要転帰(研究に関する疑問と答え)が、元の研究計画にあったものとは異なるものにファイザー社によって変更されていた。

「研究の公表報告の間で入れ替えられた主要転帰はいくつもあった」(出典:2015年11月19日:鍼灸・セラピー いやしろ タオのつぶやき「ファイザー社のデッチアゲ研究」出典 → ココ、(保存版))

改ざん話をここで終える。

ケイ・ディッカーソン教授がどんな人かを軽く述べておこう。

ケイ・ディッカーソン教授(Kay Dickersin, Ph.D.)はジョンズ・ホプキンス大学・公衆衛生科大学院(Johns Hopkins Bloomberg School of Public Health)の疫学の教授である。医師免許は持っていない。

講演の動画を以下に貼り付けておく。

 

ジョンズ・ホプキンス大学・公衆衛生科大学院のケイ・ディッカーソン教授の講義「Introduction to Systematic Review and Meta-Analysis」(英語)の最初の部分を無料で視聴できる。7回の講義の内の1つを以下に貼り付けた。
https://www.coursera.org/learn/systematic-review/lecture/ZHxsO/lecture-2a-resources-for-how-to-frame-your-question

【改ざん事件ではない。ファイザー社のガバペンチン問題】

★デビッド・フランクリン(David Franklin)の「私人による代理訴訟」

1993年12月、米国食品医薬品局(FDA)はガバペンチンをてんかんの治療薬として認可した。片頭痛、双極性障害、疼痛治療は対象外である。

ところが、パーク・デービス社(ワーナー・ランバート社、現ファイザー社)はガバペンチンを片頭痛、双極性障害、疼痛治療など広く適応外使用するよう積極的に医師に勧めていた。

ここにデビッド・フランクリン(David Franklin、写真出典))が登場する。

1996年、パーク・デービス社(ワーナー・ランバート社、現ファイザー社)の微生物学者・デビッド・フランクリン(David Franklin)は、ガバペンチンに対する違法な適応外使用の促進を、パーク・デービス社を被告に、虚偽請求取締法(False Claims Act:31 U.S. Code § 3730) に基づく「私人による代理訴訟(qui tam action)」を起こした。

なお、虚偽請求取締法(False Claims Act:31 U.S. Code § 3730)は、連邦政府に対する不正請求等を知った者が、当該情報を元に連邦政府のために、不正請求等を行っている者に対して、民事訴訟(キイタム訴訟)を提起し、これにより政府が得た収益の最大 30%を報償金として得ることができるとするものである(31 U.S.C§3730(d)(2))。また、訴訟を提起された被用者等が労働者等に対し不利益取扱いをすることを禁止し、不利益取扱いを受けた者は、同等の地位での復職や遡及賃金の倍額の請求等が可能である(31 U.S.C§3730(h))(出典:立法後の米国及び欧州における公益通報者保護制度の状況)。

実際、ガバペンチンの2001年の売り上げ18億ドル(約1800億円)の80%は認可外で使用されていた。

2004年5月13日、パーク・デービス社(ファイザー社の子会社)は敗訴した。

片頭痛や双極性障害、疼痛治療などに使用するよう積極的に営業していたことをファイザー社は認め、2億4千万ドル(約240億円)を罰金として司法省に、1億5400万ドル(約154億円)を州・連邦ヘルスケアに、3800万ドル(約38億円)を州に、計4億3千万ドル(約430億円)を支払うことに同意した。

デビッド・フランクリンはこの訴訟で2460万ドル(約24億6千万円)を得た。

① 2004年5月13日の米国・司法省記事:#322: 05-13-04 WARNER-LAMBERT TO PAY $430 MILLION TO RESOLVE CRIMINAL & CIVIL HEALTH CARE LIABILITY RELATING TO OFF-LABEL PROMOTION
② Franklin v. Parke-Davis – Wikipedia
③ David Franklin (scientist) – Alchetron, the free social encyclopedia

★ファイザー社の示談での支払い総額は約945億円

2014 年6月22日の記事では、ファイザー社がガバペンチンの示談で払った総額は9億4500万ドル(約945億円)だとある。
→ 2014 年6月22日記事:Pfizer adds another $325M to Neurontin settlement tally. Total? $945M | FiercePharma

★ガバペンチンは自殺誘導?

ネカト事件とは異なる話だが、ガバペンチン(Gabapentin)の副作用が気になる。

ガバペンチンは麻薬のような効果があり、薬物依存症になると英語の文章や動画が指摘している。日本語ではそのような警告を発している記事はない(少ない)。
→ Is Neurontin (Gabapentin) a Drug of Abuse?

また、ガバペンチンが自殺を高める記事もある。数千人が自殺したという記述もある。

  1. 2017 年1月31日記事:Does Neurontin Increase the Potential for Suicidal Thoughts?
  2. 2015 年8月3日記事:Gabapentin for Pain Drove Patient to Brink of Suicide – The People’s Pharmacy
  3. 2011 年6月21日記事:‘Neurontin Killed Our Husbands, We Believe’ | HuffPost

一方、ガバペンチンは自殺と無関係という2010年の論文もある。

  • Gabapentin and suicide attempts.
    Gibbons RD, Hur K, Brown CH, Mann JJ.
    Pharmacoepidemiol Drug Saf. 2010 Dec;19(12):1241-7. doi: 10.1002/pds.2036. Epub 2010 Oct 4.
    PMID:20922708

どっちが正しいのだろうか?

●4.【白楽の感想】

《1》不明点多し

本記事の主な論点は、ファイザー社(Pfizer)がガバペンチン(Gabapentin)の臨床試験データを改ざんした行為である。その中心は、ケイ・ディッカーソン教授が「2009年のN Engl J Med」論文でデータ改ざんを指摘したことにある。

その指摘を受け、多くのメディアが報道した。日本語メディアも報道した。

ただ、改ざんの具体的な点はわかりにくい。さらに、ファイザー社の誰がどのような経過で改ざんしたのか? などの記載はない。改ざんによる国民の被害の程度もわかりにくい。

ファイザー社は、ウェブ上の情報を含め、常に強力に情報操作をしているだろう。少なくとも、ウェブ上の不利な記述は削除させているだろう。それで、事件がわかりにくいのだろうか?

コネチカット州ニューロンドン(New London)のグロトン(Groton)にあったファイザー社の本社研究所。入口。2002年。白楽撮影
記事:http://sekainodaigaku.com/4_North_America/4502_517_Pfizer_I.pdf
→ 2009年に研究所の閉鎖を発表:2009 年11月12日のパトリック・マッキーハーン(Patrick McGgeehan)記者の「New York Times」記事:Pfizer and 1,400 Jobs to Leave New London, Connecticut – The New York Times

 同上。入口から建物を撮影。2002年。白楽撮影

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●5.【主要情報源】

① ウィキペディア日本語版:ガバペンチン – Wikipedia
① ウィキペディア英語版:Pfizer – Wikipedia
① ウィキペディア英語版:Franklin v. Parke-Davis – Wikipedia
② 2008年10月8日のステファニー・サウル(Stephanie Saul)の「New York Times」記事:Experts Conclude Pfizer Manipulated Studies – The New York Times、(保存版)
③ 2009年11月12日のジュリー・スティーンヘイセン(Julie Steenhuysen)記者の「ロイター」記事:Report shows Pfizer’s hand in Neurontin studies、(保存版)
④ 2010年3月25日の「BusinessWeek」記事:Pfizer faces $142M in damages for drug fraud – BusinessWeek、(保存済)
⑤ 2010年3月26日の「ロイター」記事:US jury’s Neurontin ruling to cost Pfizer $141 mln、(保存版)
⑥ 2004年5月13日のロイド・フリース(Lloyd Vries)記者の「CBS News」記事:Drug Whistleblower Collects $24M – CBS News、(保存版)
⑦ 2004年5月13日の米国・司法省記事: #322: 05-13-04 WARNER-LAMBERT TO PAY $430 MILLION TO RESOLVE CRIMINAL & CIVIL HEALTH CARE LIABILITY RELATING TO OFF-LABEL PROMOTION、(保存版)
★記事中の画像は、出典を記載していない場合も白楽の作品ではありません。

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