「性的暴行」:ユージーン・レドモンド(Eugene Redmond)(米)

2019年9月15日掲載 

ワンポイント:男が男に。1994年(55歳)、イェール大学・精神科の教授だったレドモンド(男性)は、大学から離れた研究施設で開催される夏期インターンシップ・プログラムで、男性学生に性的暴行をした。学生が大学に告発したが、大学は甘い処分を科しただけで、レドモンドを解雇しなかった。それから25年後の2019年1月(80歳)、前年の2018年7月(79歳)に退職したレドモンドの性不正行為を、新聞が報道した。また、別の学生もイェール大学に告発した。それで、イェール大学はレドモンドの再調査を外部に委託した。2019年8月20日(80歳)、調査を終え、結局、レドモンド・元教授は、1994-2018 年(55-79歳)の25年間に13人の若い男性学生に性不正行為を繰り返していたと結論した。しかし、刑事事件にはならない模様。大学は処分を検討中。国民の損害額(推定)は5億円(大雑把)。

【追記】
・2019年11月1日記事:Lawsuit says a Yale professor molested a Hamden boy 18 years before sexual assault scandal broke – Hartford Courant

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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.概略
2.経歴と経過
3.動画
4.日本語の解説
5.不正発覚の経緯と内容
6.論文数と撤回論文とパブピア
7.白楽の感想
8.主要情報源
9.コメント
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●1.【概略】

ユージーン・レドモンド(Eugene Redmond、写真出典)は、イェール大学(Yale University)・教員・精神医学者として44年間務め、2018年7月に退職した。専門は精神医学(パーキンソン病)だった。

1994年(55歳)、カリブ海のセントキッツ島(St. Kitts)で開催の夏期インターンシップ・プログラムで2人の男性学生がレドモンドに性的暴行を受けたと大学に申し立てた。それを受け、イェール大学医科大学院は調査を開始した。

イェール大学医科大学院はレドモンドに軽い懲戒処分を科し、セントキッツ島での夏期インターンシップ・プログラムを廃止することで和解し、問題を決着させた。

しかし、レドモンドは夏期インターンシップ・プログラムを廃止しなかった。レドモンドは、和解後の2001年から2017年の間に少なくとも20人の学生をプログラムに参加させていた。

2018年7月(79歳)、レドモンドが退職したのを受け、新聞が性不正教授が退職したと報道した。また、レドモンドの被害者が、新たにイェール大学に性不正行為を告発していた。

2019年1月(80歳)、イェール大学は、レドモンドの調査を外部に委託した。

2019年8月20日(80歳)、調査が終了し、イェール大学は調査報告書(54頁)を公表した。レドモンド・元教授が1994-2018 年(55-79歳)の25年間に13人の学生(全員男性と白楽が推定)に性不正行為を繰り返していたと結論した。

2019年9月14日(80歳)現在、イェール大学はレドモンド・元教授にまともなペナルティを科していない。また、この事件は刑事事件にはならない模様である。

イェール大学(Yale University)。写真出典

  • 国:米国
  • 成長国:米国
  • 医師免許(MD)取得:ベイラー医科大学
  • 研究博士号(PhD)取得:なし
  • 男女:男性
  • 生年月日:1939年に生まれた。仮に1939年1月1日生まれとする。
  • 現在の年齢:85 歳
  • 分野:精神医学
  • セクハラ行為:1994-2018 年(55-79歳)の25年間
  • 最初に訴えられた:1994年(55歳)
  • 社会に公表年:2018年(79歳)
  • 社会に公表時地位:イェール大学・元教授
  • ステップ1(発覚):第一次追及者は性不正被害者の学生とメディア
  • ステップ2(メディア):多数のメディア
  • ステップ3(調査・処分、当局:オーソリティ):①イェール大学が委託した外部調査委員会(ディアドラ・デーリー弁護士)
  • 大学・調査報告書のウェブ上での公表:あり
    https://news.yale.edu/sites/default/files/files/Daly-Report_Aug-14-2019.pdf
  • 大学・処分: 処分考慮中
  • 大学の透明性:実名発表し調査報告書(調査委員名付き)がウェブ閲覧可(◎)
  • 不正:性的暴行、セクハラ
  • 被害者数:13人以上の学部生、学部卒業生、高校生。内、5人は性的暴行をうけた。男女の記載はないが、全員男性と思われるので、本ブログでは、男性とした。
  • 時期:研究キャリアの初期から
  • 職:1994年の事件後に研究職(または発覚時の地位)を続けた(〇)。2019年の調査報告時は、前年に退職
  • 処分:考慮中。名誉教授の称号剥奪?
  • 日本人の弟子・友人:不明

【国民の損害額】
国民の損害額:総額(推定)は5億円(大雑把)。

●2.【経歴と経過】

  • 生年月日:1939年に生まれた。仮に1939年1月1日生まれとする。
  • 1961年(22歳):テキサス州ダラスの南メソジスト大学(Southern Methodist University)で学士号取得
  • 1968年(29歳):ベイラー医科大学(Baylor College of Medicine)で医師免許(MD)を取得
  • 1968-1972年(29-33歳):イリノイ州・精神病院(Illinois State Psychiatric Institute)で研修医
  • 1972-1974年(33-35歳):NIH・国立精神衛生研究所(Laboratory of Clinical Science at the National Institute of Mental Health)で研究員
  • 1974年(35歳):イェール大学医科大学院・教員、その後、正教授
  • 1994年(55歳):性不正を訴えられたが、大学から解雇されず、軽微な処分を受けただけだった
  • 2018年7月(79歳):イェール大学を退職(retire)
  • 2019年1月(80歳):イェール大学は外部に調査を依頼した
  • 2019年8月20日(80歳):イェール大学は調査報告書(54頁)を公表した。https://news.yale.edu/sites/default/files/files/Daly-Report_Aug-14-2019.pdf

●3.【動画】

【動画1】
ニュース動画:「イェール大学・元教授が5人の学生に性的暴行(Former Yale professor sexually assaulted five students) – YouTube」(英語)1分53秒。
World Newsが2019/08/21 に公開「https://www.youtube.com/watch?v=VzBpoRU57Uk」はリンク切れ

●5.【不正発覚の経緯と内容】

★ユージーン・レドモンド(Eugene Redmond)の人生

ユージーン・レドモンド(Eugene Redmond、写真出典)は米国の名門・イェール大学の精神医学に44年在職し、研究者・教授としてそれなりに優れた成果を挙げていた。患者の治療はしていなかった。

性不正事件では、個人の性に対する考え方、家庭環境、慣習が大きく影響すると思われる。しかし、レドモンドの生い立ち、生活習慣、思想信条、結婚・離婚、さらに、子供の情報は見つからなかった。事件を起こした時、独身だったのか結婚していたのかも不明である。

★ユージーン・レドモンド(Eugene Redmond)の性不正事件概略

ユージーン・レドモンド(Eugene Redmond)は、1974年にイェール大学・教員(その後、正教授)になったが、その8年後の1982年、カリブ海のセントキッツ島(St. Kitts)に非営利組織の「セントキッツ生物医学研究所(St. Kitts Biomedical Research Foundation)」を設立した。その施設は本来、医学研究の施設であったが、やがて、そこで、医学生の研修をする夏期インターンシップ・プログラムを始めた。

下の地図はカリブ海のセントキッツ島(St. Kitts)を示している。

https://www.worldatlas.com/webimage/countrys/namerica/caribb/kn.htm
セントキッツ島(St. Kitts)は風光明媚なリゾートである。https://www.bvipropertyyacht.com/vi-bvi/cherishing-st-kitts-nevis/
セントキッツ生物医学研究所(St. Kitts Biomedical Research Foundation)https://www.sander-architects.com/st-kitts-bio-foundation
「セントキッツ生物医学研究所(St. Kitts Biomedical Research Foundation)」の敷地内を歩くユージーン・レドモンド(Eugene Redmond)。https://www.scmp.com/news/world/united-states-canada/article/3023992/yale-professor-eugene-redmond-lured-students

1994年(55歳)、レドモンドはセントキッツ島(St. Kitts)の夏期インターンシップ・プログラムで男性学生に性的暴行を始めた。レドモンドが学生と一緒に酒を飲んで一緒の寝室で寝た時に性的暴行をしたのである(後で詳しく記述する)。2人の学生がレドモンドに性的暴行を受けたとイェール大学医科大学院に申し立てた。イェール大学医科大学院は調査を開始した。

イェール大学医科大学院はレドモンドに軽い懲戒処分を科し、セントキッツ島での夏期インターンシップ・プログラムを廃止することで和解し、問題を決着させた。

しかし、レドモンドは夏期インターンシップ・プログラムを廃止しなかった。

イェール大学の失態は、夏期インターンシップ・プログラムの廃止を確認する監視システムを作っていなかったことだ。調査報告書によると、レドモンドは、和解後の2001年から2017年の間に少なくとも20人の学生をプログラムに参加させていた。

2019年1月(80歳)、レドモンドの退職と性不正事件が新聞記事のニュースとして報道された。また、レドモンドの被害者が、イェール大学に性不正行為を新たに告発していた。それで、イェール大学は、外部に調査を委託した。

2013年から2017年までコネチカット州弁護士だったディアドラ・デーリー(Deirdre Daly 、写真出典同)が調査した。

また、イェール大学は、レドモンドの性不正行為を警察にも相談した。しかし、結論を書くと、この事件は刑事事件にはならなかった。

2019年8月20日(80歳)、イェール大学はディアドラ・デーリーがまとめた調査報告書(54頁)を公表した。
 → https://news.yale.edu/sites/default/files/files/Daly-Report_Aug-14-2019.pdf

性不正でこのような詳細な調査報告書を公表されるのは珍しい。

レドモンドの性不正行為はセントキッツ島で起こった事件である。デイリーは「レドモンドの行為はセントキッツ島の刑法に違反するだけでなく、イェール大学のあるコネチカット州の法律でも性的暴行罪に相当する」と述べた。

レドモンドは、この報告書についてコメントしていない。しかし、以前は、彼に対する性不正行為の申し立てをすべて否定していた。また、レドモンドは調査に協力しないよう元学生に助言していた。

【性不正の具体例】

被害者の性別の記載がないが、印象としては全員男性のようだ。それで、被害者は男性とした。つまり、男性教授が若い男性学生に性的暴行をした。

レドモンドの性不正行為は、「教科書のグルーミング行動(textbook grooming behavior)」を反映した行為とされた。しかし、「教科書のグルーミング行動(textbook grooming behavior)」はどのような行為なのか、白楽は正確には把握できていない。以下に推察する。

レドモンドは、性不正をするに当たり、発覚を恐れ、餌食にする学生を慎重に選んだ。そして、その学生の信頼を獲得し、統制できる人間関係を確立してから、「秘密と隔離の環境」を作って、性不正を行なった。このことを「教科書のグルーミング行動(textbook grooming behavior)」 と推察した。

このように十分な準備を整えてから、レドモンドは、選んだ男性学生の性器や肛門をいじった(弄んだ)のだ。

セクハラの具体例は、ディアドラ・デーリーがまとめた調査報告書(54頁)が主な出典である。
 → https://news.yale.edu/sites/default/files/files/Daly-Report_Aug-14-2019.pdf

★学生A(男性):多分、1994年の被害者:レドモンド(55歳)

セントキッツ島の夏期インターンシップ・プログラムでは、参加学生は宿舎に2週間滞在する。宿舎の寝室数が十分ではないので、1人の学生はレドモンドと寝室を共にするローテーションが組まれていた。

学生A(男性)はイェール大学生ではない。他大学の学部2年生で、1年生の時も参加した。2年生になって、レドモンドと寝室を共有するように割り当てられた。寝室を共有するとレドモンドとより強い関係が得られるので、参加者はそのローテーション・システムに同意していた。

ある夜、ビーチパーティーで大酒を飲んだ後、レドモンドはトラックにインターンを乗せて宿舎に帰った。学生Aとレドモンドの両方ともかなり酔っていた。学生Aは酔って、記憶が飛ぶ寸前だった。 しかし、学生Aは乗車中に隣のレドモンドの手が太ももを触り、性器をいじったのを覚えていた。

その夜、学生Aは宿舎の自室で寝た。夜中に、レドモンドの手が彼の胃のあたりを触るのを感じて目が覚めた。 その後、レドモンドは学生Aの下着の中に手を入れ、ペニスを触った。学生Aはすぐにレドモンドの手をつかみ、強制的にやめさせた。

レドモンドは何も応答しなかった。

学生Aは立ち上がって自室を出たが、とても動揺していた。宿舎の共用室に行き、仲間の学生に一緒に街に行ってもらうことを頼んだ。街の公衆電話で、学生Aは父親と妹にレドモンドに性的暴行を受けたことを相談した。

その翌日、レドモンドなしで、インターン生は集会を開いた。

インターン生の1人が「会議のトランスクリプト」と入力し、レドモンドの性的暴行とその他の問題行為の記録を作った。

全インターン生はプログラムの終了前にセントキッツ島を離れた。プログラムに参加した3人のイェール大学の学生は、レドモンドの性的暴行とその他の問題行為をイェール大学に報告した。

彼らの報告を受け、イェール大学は調査委員会を設置した。

学生Aは、レドモンドと和解した。和解条件の1つに、学生Aが事件のことを外部に伝えない項目があった。その機密保持条項に触れるため、学生Aは、イェール大学の調査に参加しなかった。

学生Aは、教授から性的暴行を受けた経験がトラウマになり、大人に対する信頼が持てなくなった。 彼はレドモンドのパーキンソン病研究を損ないたくないため、そして、自分の医師キャリアが妨害されるのを恐れ、最初は法律に訴えるのを躊躇した。

しかし、できる限り学生をレドモンドから隔離する必要があると考え、和解では「学生をレドモンドから遠ざける」という厳しい条件をだした。

学生Aは現在、開業医になっている。

★学生B(男性):多分、2005年の被害者:レドモンド(66歳)

学生B(男性)はイェール大学2年生。レドモンドとセントキッツ島の夏期インターンシップ・プログラムで寝室を共有した。

夏の終わり頃、彼の誕生日を祝う夕食で、学生Bとレドモンドは大量に酒を飲んだ。飲んだ後、学生Bは寝室で、下着姿で横になった。彼は目を開けているのが難しいほど酔っていた。レドモンドが部屋に入ってきて、以前やったようにアロエを塗ると言った。

学生Bがお腹の上に横たわると、レドモンドはアロエを塗ったが、彼のペニスを手で刺激して射精させた。その直後、学生は眠りに落ちた。 翌朝目が覚めたとき、学生Bは下着が足の周りに引き下げられ、周りにしわくちゃになった精液まみれのティッシュペーパーが散らばっているのを見た。ベッドサイドに潤滑剤ボトルが置いてあった。昨晩何が起こったかを理解した。彼はベッドから起き上がって、レドモンドがまだ眠っている寝室から飛び出した。

その日遅くに、レドモンドは学生Bに近づき、「何があったか」の説明を始めた。 学生Bは会話をさえぎり、鍵付きの自分の寝室を要求し、インターンシップ・プログラムが終わったら、レドモンドを2度と見たくないと通告した。

レドモンドはうなずき、その日遅くに、別の寝室を用意できたと学生Bに言った。

その日、学生Bは当時の彼女にFacebookのチャットで事件について話した。

学生Bはイェールに戻って、教授から性的暴行を受けた経験がトラウマになり、うつ病と不安に苦しみ、大量に酒を飲んだ。 彼は自分がインターンに選ばれたのは知的能力ではなく、身体的または性的価値のためだと思い、自己のイメージに苦しんだ。 彼は事物に集中できなくなり、成績は落ちた。

その冬、レドモンドはブロードウェイ・ショーの500ドルの金券を付けて学生Bにクリスマスカードを送った。学生Bは金券が「血まみれの金」に感じ、持っていたくなかったので家族に渡した。

2019年1月上旬、デーリー調査報告書が公表される前、学生Bはレドモンドに対する正式な告発をしようとしたが、イェール大学はレドモンドが退職したのでもはや管理下にはいないと助言した。 当時、学生Bは他の学生がレドモンドに対して性不正行為の告発をしていたことを何も知らなかった。

イェール大学は、レドモンドに学生Bへの連絡禁止措置を講じたと学生Bに伝えた。

イェール大学医科大学院に入学したのだから、学生Bは優秀だったに違いない。それが、性的暴行をされたことで、人生が狂い、生活が荒れ、記録には書いていないが、多分、医師になれなかったと思われる。

★他に11人の被害者

レドモンドの性不正被害者は上記の2人だけでなく、確認できただけでも、他に11人もいた。その多くは医学生だと思う。人生が狂わなかったのだろうか? 医師になれたのだろうか?

●6.【論文数と撤回論文とパブピア】

★パブメド(PubMed)

2019年9月14日現在、パブメド(PubMed)で、ユージーン・レドモンド(Eugene Redmond)の論文を「Eugene Redmond [Author]」で検索した。この検索方法だと、2002年以降の論文がヒットするが、2002~2019年の18年間の46論文がヒットした。

「Redmond DE Jr[Author]」で検索すると、1967~2019年の54年間の191論文がヒットした。

2019年9月14日現在、「Redmond DE Jr[Author] AND Retracted」でパブメドの論文撤回リストを検索すると、0論文が撤回されていた。
.
★撤回論文データベース

2019年9月14日現在、「撤回監視(Retraction Watch)」の撤回論文データベースでユージーン・レドモンド(Eugene Redmond)を検索すると、0論文がヒットし、0論文が撤回されていた。

★パブピア(PubPeer)

2019年9月14日現在、「パブピア(PubPeer)」では、ユージーン・レドモンド(Eugene Redmond)の論文にコメントはない:PubPeer – Search publications and join the conversation.

●7.【白楽の感想】

以下は、「「セクハラ」:公共政策学:ホルヘ・ドミンゲス(Jorge I. Domínguez)(米)」に書いたのと内容は基本的に同じである。

《1》ペナルティ

http://smashhls.com/eugene-dont-be-mean-2/

レドモンドは1994-2018 年(55-79歳)の25年間に13人の学生に性不正行為を繰り返していた。

2019年8月20日(80歳)、イェール大学は調査報告書(54頁)を公表したが、その前年の2018年7月(79歳)にレドモンドは退職していた。

2019年9月17日(80歳)現在、イェール大学はレドモンドにまともなペナルティを科していない。と言っても退職した教授に科せる処分はたかが知れている。既にキャンパスへの出入り禁止になっているが、コレって、ペナルティというようなシロモノではない気がする。

名誉教授の称号は剥奪されると思うが、被害者のことを思うと、処分が軽すぎる。なお、刑事事件にはならない模様。

事件を調べると、「性不正はやり得」という印象だ。

80歳の爺さんにペナルティを科すなら、財産没収でしょう。

《2》大学の責任 

レドモンドは1994-2018 年(55-79歳)の25年間に13人の学生に性不正行為を繰り返していた。

1994年、レドモンドが55歳の時、被害者の学生は、イェール大学に訴え、大学は調査し、レドモンドを懲戒処分している。しかし、この時の処分は解雇でなく、軽微な処分だった。

つまり、この時、レドモンドを解雇しておけば、その後の10数人の性不正被害者はいなかったことになる。解雇でなくても2度と性不正をしないレベルの厳罰でも10数人の被害者を作り出さなかっただろう。

しかし、大学の対処が悪かった。

結果として、イェール大学は性加害者を教授に残し、餌食となる学生を提供していたことになる。レドモンドは味をしめ、一層巧妙に、何度も何度も学生を性的に襲っていたのである。万一、発覚しても、受ける処分よりも快楽の方がメリットがあると、レドモンドに経験で学ばせていた。

性的犯罪は麻薬と同じで常習性がある(推定)。また性癖、つまり癖(クセ)なので、悪いと知りつつも再犯を重ねる。

この事件では、イェール大学の責任は大きいと思う。

日本も性不正事件を犯した大学教員を解雇しない。停職処分で復職させる。米国に比べ、たちが悪いのは、性不正教員を匿名のままにしている点である。結果として、性不正癖を持つ教員が平然と学生を指導している。2人で宿泊を伴う学外調査もする。

以下は、2006年12月19日の時事通信の記事

大阪市立大学 セクハラで処分された元助教授 以前にも2人の女子学生にセクハラ 退職金520万円受け取り依願退職

大阪市立大学(金児曉嗣学長)は19日記者会見し、女子学生にセクハラ行為を行ったとして6月に停職3カ月の懲戒処分とした男性元助教授が、1997年と2001年にも当時の女子学生にセクハラ行為を行っていたと発表した。

元助教授は、11月30日付で依願退職した。今月には520万円の退職金を受け取っている。(出典:061219時事の最期の記事)

大学は性不正癖を持つ教員を抱え、それを学生に隠している。当然、性不正事件が再発する。大学に責任があると思うが、日本では、この事を誰も指摘しない。おかしくないか?

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●8.【主要情報源】

① 2018年7月15日の「WOGB-FM」記事:Former Yale professor sexually assaulted five students, report says | WOGB-FM
② 2019年8月20日のジェバー・マリワラ(Jever Mariwala)記者らの「Yale Daily News」記事:Yale Med prof sexually assaulted 5 students, sexually harassed at least 8 others, report finds
③ 2019年8月21日のニコレッタ・ラネーゼ(Nicoletta Lanese)記者の「Scientist」記事:Former Yale Professor Sexually Assaulted Five Students: Report | The Scientist Magazine®
④ 2019年8月22日のジェニ・フィンク(Jenni Fink)記者の「Newsweek」記事:Ex-Yale Professor Exhibited ‘Textbook Grooming Behavior,’ Carefully Selected Students to Sexually Assault: Report、(保存版)
⑤  2019年3月5日のジェバー・マリワラ(Jever Mariwala, Alice Park, & Marisa Peryer)記者らの「Yale Daily News」記事:I SAW WHAT I SAW: On this island, a Yale professor sexually harassed a Yale student. Did the University do enough? | Yale Daily News
★記事中の画像は、出典を記載していない場合も白楽の作品ではありません。

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