2025年1月15日掲載
ワンポイント:ナショナル大学(University of National)・上級講師で経済・経営学部長のディグドウィセイソは、2023年に314報の論文を発表し、2024 年に227報の論文を発表した。ところが、2024年(40歳?)、共同研究してもいないし、本人の了解も得ないで、マレーシアの複数の大学教員を共著者にして、多数の論文を発表した。2024年4月10日の「撤回監視(Retraction Watch)」記事で、その不正を指摘され、インドネシアでは大騒動になった。論文工場がからんだ「不正論文の多量出版」事件である。86論文が撤回され、学部長辞任、2年間の停職処分が科された。国民の損害額(推定)は1億円(大雑把)。この事件は、2024年ネカト世界ランキングの「撤回監視」の「第4位」である。
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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.概略
2.経歴と経過
3.動画
5.不正発覚の経緯と内容
6.論文数と撤回論文とパブピア
7.白楽の感想
9.主要情報源
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●1.【概略】
クンバ・ディグドウィセイソ(Kumba Digdowiseiso、ORCID iD:https://orcid.org/0000-0003-0848-8541、写真出典)は、インドネシアのナショナル大学(University of National)・上級講師で経済・経営学部長、専門は財政学である。
ディグドウィセイソは、2023年に314報の論文を発表し、2024 年に227報の論文を発表した。
2024年(40歳?)、共同研究してもいないし、本人の了解も得ず、マレーシアの複数の大学教員を共著者にして、多数の論文を発表した。
2024年4月10日の「撤回監視(Retraction Watch)」記事でその不正が指摘され、インドネシアでは大騒動になった。
論文工場がからんだ「不正論文の多量出版」事件と思われる。
86論文が撤回され、学部長辞任、2年間の停職処分が科された。
この事件は、2024年ネカト世界ランキングの「撤回監視」の「第4位」である。
以下、ナショナル大学(University of National)の紹介動画(写真の代わり)(https://www.youtube.com/watch?app=desktop&v=nTw4HkIiiN4)
- 国:インドネシア
- 成長国:インドネシア
- 医師免許(MD)取得:なし
- 研究博士号(PhD)取得:オランダのエラスムス大学ロッテルダム国際社会研究所
- 男女:男性
- 生年月日:不明。仮に1984年1月1日生まれとする。2002年に大学に入学した時を18歳とした
- 現在の年齢:41 歳?
- 分野:財政学
- 不正論文発表:2024年(40歳?)の1年間
- ネカト行為時の地位:ナショナル大学・上級講師
- 発覚年:2024年(40歳?)
- 発覚時地位:ナショナル大学・上級講師
- ステップ1(発覚):第一次追及者はマレーシア・トレンガヌ大学(Universiti Malaysia Terengganu)のサフワン・モハド・ノル準教授(Safwan Mohd Nor)
- ステップ2(メディア):「撤回監視(Retraction Watch)」、「CNN Indonesia」などインドネシアの多数のメディア
- ステップ3(調査・処分、当局:オーソリティ):①ナショナル大学・調査委員会
- 大学・調査報告書のウェブ上での公表:あり
- 大学の透明性:所属機関の事件への透明性:実名報道で調査報告書(委員名付き)がウェブ閲覧可(◎)。と言っても、撤回監視が公表した資料:https://retractionwatch.com/wp-content/uploads/2024/05/UNIVERSITAS-NASIONAL-PRESS-RELEASE_English_Prof-Kumba_Rev.290504.docx.pdf
- 不正:著者在順
- 不正論文数:86論文の撤回
- 時期:研究キャリアの中期から
- 職:事件後に降格・停職(▽)
- 処分:学部長職の解任、2年間の上級講師停職処分
- 対処問題:
- 特徴:不可解。見ず知らずの他国の研究者を共著者に加えて多数の論文を発表した
- 日本人の弟子・友人:不明
【国民の損害額】
国民の損害額:総額(推定)は1億円(大雑把)。
●2.【経歴と経過】
主な出典:Kumba Digdowiseiso (0000-0003-0848-8541) – ORCID
- 生年月日:不明。仮に1984年1月1日生まれとする。2002年に大学に入学した時を18歳とした
- 2002年7月1日~2007年6月30日(18~23歳?):インドネシアのインドネシア大学(University of Indonesia)で学士号取得:経済学
- 2006年7月1日~現(22歳?~):インドネシアのナショナル大学(University of National)・上級講師
- 2008年7月1日~2009年12月31日(24~25歳?):オーストラリアのアデレード大学(University of Adelaide)で修士号取得:応用経済学
- 2016年3月1日~2020年12月14日(32~36歳?):オランダのエラスムス大学ロッテルダム国際社会研究所(Erasmus Universiteit Rotterdam International Institute of Social Studies)で研究博士号(PhD)を取得:開発経済学
- 20xx年(xx歳):インドネシアのナショナル大学の経済・経営学部長
- 2024年(40歳?):無断でマレーシアの研究者を共著者にした論文を多数発表
- 2024年4月10日(40歳?):本人に無断で共著者にした論文を発表したことを撤回監視が記事にした
- 2024年4月18日(40歳?):インドネシアのナショナル大学の経済・経営学部長の解任
- 2024年5月21日(40歳?):ナショナル大学から2年間の上級講師停職処分
●3.【動画】
インドネシアではたくさんのニュース動画がアップされた。大騒動だったことがわかる。以下、2例を示す。 → Kumba Digdowiseiso – Google Search
【動画1】
「クンバ・ディグドウィセイソ」と紹介。
ニュース動画、盗用と報道している:「Dekan FEB UNAS Kumba Digdowiseiso Diduga Lakukan Plagiat Jurnal Ilmiah – YouTube」(インドネシア語)8分31秒。
KOMPASTV(チャンネル登録者数 1820万人) が2024/04/17に公開
【動画2】
ニュース動画、盗用と報道している:「Dekan UNAS Kumba Digdowiseiso Diduga Lakukan Plagiat Karya Ilmiah, 97% Mirip Artikel Lain – YouTube」(インドネシア語)7分34秒。
KompasTV Pontianak(チャンネル登録者数 157万人) が2024/04/17に公開
●5.【不正発覚の経緯と内容】
★研究人生
クンバ・ディグドウィセイソ(Kumba Digdowiseiso)はインドネシアのナショナル大学(University of National)・上級講師で経済・経営学部だった。
2020年12月14日(36歳?)、オランダのエラスムス大学ロッテルダム国際社会研究所(Erasmus Universiteit Rotterdam International Institute of Social Studies)で研究博士号(PhD)を取得している。
インドネシアでは若い優秀な学者という評判だった(白楽の推察)。
Google Scholarによると、ディグドウィセイソは、2024 年だけで少なくとも 227報の論文を発表している多量論文出版者である。 → Kumba Digdowiseiso – Google Scholar
別の記事では、2024年初頭の3か月に、ディグドウィセイソは、国際学術誌に160報発表した。1日にほぼ2本の科学論文を書いたスピードだとある。2023年には314報の論文を発表していた。 → 2024年7月12日のカフィル・ヤミン(Kafil Yamin)記者の「University World News」記事:Calls for action against ‘systemic’ academic misconduct
ところが、2024年(40歳?)、共同研究してもいないのに、そして(というか、当然)、本人の了解を得ずに、マレーシアの複数の大学教員を共著者にして多数(84報?)の論文をインドネシアで発行している学術誌「Journal of Social Science」に掲載した。
2024年4月10日(40歳?)、上記のことを「撤回監視」が記事にした。
なお、インドネシア政府の規則では、教授手当を受け取るためには、すべての教授および上級講師は、3年以内に少なくとも3報の学術論文を国際誌または国内誌に発表する必要がある。 → アブドゥル・ハミッド :理想と現実の間
ただ、現実には、多くの大学は目標をさらに高く設定していた。ナショナル大学の設定値は、3年以内に少なくとも〇報・・・、白楽は、わかりませんでした(ゴメン)。
★発覚の経緯
2024年初頭(40歳?)、マレーシア大学の講師がGoogle Scholar を閲覧していたところ、自分の名前や所属学部の他の多くの教員が、見知らぬ著者であるインドネシアのナショナル大学(University of National)のクンバ・ディグドウィセイソ(Kumba Digdowiseiso)と共著の論文として、多数、出版されているのに気が付いた。
マレーシア・トレンガヌ大学(Universiti Malaysia Terengganu)のサフワン・モハド・ノル準教授(Safwan Mohd Nor、写真出典)は、「この人物が誰なのかさえ知りませんでした」と語り、自分の名前が使われたことを知ったときは「非常に憤慨した」と付け加えた。
ノル準教授は、少なくとも24人の同僚が知らずに共著者にされていたと述べた。
マレーシア・トレンガヌ大学の講師の1人がディグドウィセイソに連絡し、問題は解決したが、多くの名前が依然としてオンラインで公開されたままだった(2025年1月4日現在はリンク切れなので、非公開になっている)。
実は、2023年、ディグドウィセイソはマレーシア・トレンガヌ大学を訪問していた。
と言っても、ディグドウィセイソは大学の経営陣と会い、学生の流動性、ゲスト講義、研究協力の可能性について話し合っただけで、教員とは会っておらず、共同研究も合意していなかった。
2024年4月10日、ディグドウィセイソが本人の了解を得ずに論文共著者とした事件を「撤回監視(Retraction Watch)」が記事として掲載した。 → 2024年4月10日のロリ・ユームシャジェキアン(Lori Youmshajekian)記者の「撤回監視(Retraction Watch)」記事:The dean who came to visit – and added dozens of authors without their knowledge – Retraction Watch
この記事に対し、2024年4月14日、ディグドウィセイソは、Xで、「記事の内容は一方的で、虚偽である。4月19日に記者会見する」、と述べた(以下)。
— Universitas Nasional (@UNAS1949) April 14, 2024
★対処
マレーシア・トレンガヌ大学のジュマディル・サプトラ講師(Jumadil Saputra)は、それまで、ディグドウィセイソと連絡を取りあう仲だった。
しかし、今回の問題が起こったことについて、ディグドウィセイソに問い合わせても返事をもらえなかった。
また、サプトラ講師は、ディグドウィセイソが了解を得ずに使用した共著者の名前の削除を学術誌に依頼した。
ただ、学術誌はそれほど迅速に対応しないので、共著者の名前はすぐには削除されない。「削除しても、ディグドウィセイソが重大な学術犯罪を犯したという事実は変わらない」とノル準教授は述べている。
ナショナル大学の経済・経営学部は討議し、これは個人的な問題だと結論した。従って、経済・経営学部がこの問題に介入行動することはない。
「撤回監視(Retraction Watch)」の記事はインドネシアで大きく取り上げられた。 → ①:April-11-Tweet-UNAS.png (492×663)、②:Kumba Digdowiseiso Mundur dari Dekan FEB Unas, Buntut Dugaan Catut Nama Dosen Malaysia Halaman all – Kompas.com
記事掲載8日後の2024年4月18日(40歳?)、ディグドウィセイソはインドネシアのナショナル大学(University of National)の経済・経営学部長を解任された(dismissed)。
ナショナル大学は、ディグドウィセイソが学部長職を辞任した(resigned)日に問題を調査するための調査委員会(Fact Finding Team)を設置した。
2024年5月14日(40歳?)、ディグドウィセイソは、上級講師(準教授)の活動を停止する申請書をナショナル大学に提出した。
2024年5月27日(40歳?)、ナショナル大学は、ディグドウィセイソが「学術規範、研究上の礼儀正しさ、講師としての誠実さに違反した」と結論し、2024年5月21日に学部長職を解任(dismissal)し、2024年5月21日から2年間、上級講師の停職処分を科した。
以下は「撤回監視(Retraction Watch)」が公開したナショナル大学のプレスリリース(2024年5月27日)の冒頭部分(出典:同)。全文(4ページ)は → https://retractionwatch.com/wp-content/uploads/2024/05/UNIVERSITAS-NASIONAL-PRESS-RELEASE_English_Prof-Kumba_Rev.290504.docx.pdf
ナショナル大学・調査委員会は、この事件がディグドウィセイソの初犯で、他の違反行為は見つかっていないので、厳しい処罰を科さなかった。また、ディグドウィセイソが「優れた学術規範」を示した場合には決定を見直す可能性があると付け加えた。
●【不正行為の具体例】
クンバ・ディグドウィセイソ(Kumba Digdowiseiso)は共同研究してもいない研究者を、そして(というか、当然)、本人の了解を得ずに、共著者にして多数の論文を出版した。
ディグドウィセイソが論文を出版した学術誌はスコーパス(Scopus)やクラリベイトの Web of Scienceに索引付けされていない学術誌である。スコーパス(Scopus)でディグドウィセイソの論文を検索しても27論文しかヒットしない。でもGoogle Scholarでは多数ヒットして、2024年だけで227報がヒットした。
ディグドウィセイソの 83論文を撤回した学術誌「Journal of Social Science」はインドネシアで発行されている。
ディグドウィセイソの不正行為をインドネシアのメデイアは「盗用」と報道しているが、共同研究していない人を著者にしたのだから、白楽の理解では著者在順である。強く言えば、「ねつ造」でもある。
撤回論文を1報選んで書誌情報を以下に示した。
なお、マレーシア大学の教員を共著者にした論文を探したが、ウェブから削除された模様で、見つからなかった(シッカリ探していないけど)
―――――――論文1、―――
以下の出典:https://jsss.co.id/index.php/jsss/article/view/836
RETRACTED: RETRACTED: The Influence Of Product Quality, Promotion, And Lifestyle On Metro Department Store Pondok Indah Consumer Purchasing Decisions
Journal of Social Science, Vol. 5 No. 3 (2024)
著者と所属
- Dhea Khoyrunnisa
Faculty of Economics and Business, Universitas Nasional - Elwisam
Faculty of Economics and Business, Universitas Nasional - Kumba Digdowiseiso
Management Study Program, Faculty of Economics and Business, National University Jakarta
著者は3人ともインドネシアのナショナル大学(University of National)だった。
●6.【論文数と撤回論文とパブピア】
データベースに直接リンクしているので、記事閲覧時、リンク先の数値は、記事執筆時の以下の数値より増えている(ことがある)。
★スコーパス(Scopus)
2025年1月14日現在、スコーパス(Scopus)で、クンバ・ディグドウィセイソ(Kumba Digdowiseiso)の論文を「Digdowiseiso, Kumba」で検索した。27論文がヒットした。
★Google Scholar
2025年1月14日現在、Google Scholarによると、クンバ・ディグドウィセイソ(Kumba Digdowiseiso)は、2024 年だけで少なくとも 232報の論文を発表している多量論文出版者である。 → Kumba Digdowiseiso – Google Scholar
2025年1月14日現在、「”Kumba Digdowiseiso” AND RETRACTED」で撤回論文を検索すると、86論文が撤回されていた。
全部調べてはいないが、大多数の撤回論文はインドネシアで発行している学術誌「Journal of Social Science」に掲載した2024年の論文である。 → About the journal | Journal of Social Science
学術誌「Journal of Social Science」のサイトでクンバ・ディグドウィセイソ(Kumba Digdowiseiso)の撤回論文を検索すると、83論文がヒットした。
★撤回監視データベース
2025年1月14日現在、「撤回監視(Retraction Watch)」の撤回監視データベースでクンバ・ディグドウィセイソ(Kumba Digdowiseiso)を「Digdowiseiso, Kumba」で検索すると、0論文が撤回されていた。
★パブピア(PubPeer)
2025年1月14日現在、「パブピア(PubPeer)」では、クンバ・ディグドウィセイソ(Kumba Digdowiseiso)の論文のコメントを「Kumba Digdowiseiso」で検索すると、0論文にコメントがあった。
●7.【白楽の感想】
《1》東南アジアの論文/出版カルテル
ディグドウィセイソ事件は東南アジアに浸透している「不正論文の多量出版」行為の一端だと思われる。
インドネシアではインドネシアの研究者が国際学術誌に発表し論文の数は6年前の 6 倍の年間約 50,000報に増えている。 → 2024年4月25日記事:Academic Misconduct on our Campuses – Opinion En.tempo.co
クンバ・ディグドウィセイソ(Kumba Digdowiseiso)は、2023年に314報の論文を発表し、2024 年に227報の論文を発表している。
多量に論文を出版すること自身は優秀な研究者の指標であって、研究不正ではない。
しかし、多量出版の実態は、論文工場絡みのデタラメ論文を量産して出版する「不正論文の多量出版」行為が多く、ディグドウィセイソもそれに該当する。
2025年1月5日と10日にベトナムの論文/出版カルテルの記事を書いた。
ベトナムの活発な研究公正運動
マフディ・シャリアティ(Mahdi Shariati)の引用/査読カルテル
以前から、中東、中国、東欧などから、「不正論文の多量出版」行為が指摘されている。
その動きが、タイ、ベトナム、マレーシア、そしてインドネシアに及んできたということだ。多分、アジア全体に浸透していると思う。そこそこ発展した国がこの問題を表面化してきた。
日本にこの手の不正が浸透しているのか・いないのか? 浸透しているけど、表面化していないだけなのか?
どちらにしろ、日本の大学院に留学してくる外国人には怪しい人がかなりいると思う。日本は研究公正意識が低く、「不正論文」知識が普及していない。そして、外国人の経歴や倫理観をしっかり把握する仕組みがないので、日本は危ない。
《2》なぜ?
ディグドウィセイソ事件は論文工場絡みの「不正論文の多量出版」事件だと思う。
しかし、不可解な点もある。
その1.クンバ・ディグドウィセイソ(Kumba Digdowiseiso)が見ず知らずの他国の研究者を共著者に加えて多数の論文を発表した理由である。
なぜ、そんなことをしたのだろう?
論文が発表されれば、共著者になった研究者は気付いて、告発するのは目に見えている。
それにしても、そもそも有力人でもない研究者を共著者にするメリットがないように思う。
国際共同研究の証拠として外国人研究者を共著者にしたのだろうか? それにしても発覚する。
仲間の研究者とつるんで論文/出版カルテルを構築すればよかったのに、と思う。
見ず知らずの他国の研究者を共著者に加えなければ良かった気がする。
白楽はディグドウィセイソの動機を理解できない。
それで、想像するのだが、多分、論文/出版カルテルを構築したかったが、仲間がいなかった。それで、勝手に共著者にしてしまった。 → でも、ヘンだな。
その2.インドネシア語を理解できないためだが、著者在順事件なのにインドネシアでは盗用事件と報道しているようだ。この点も不思議に思う。
なぜなのだ?
さらに、著者在順事件は小さな事件なのに、インドネシアのニュースメディアはディグドウィセイソ事件を大事件として扱っている。
なぜ?
と思ったが、上記2点は、ランブン・マンクラット大学(Lambung Mangkurat University)の講師11人の論文盗用事件が同時期に発覚したので一緒に報道されたためのようだ。
その3.「撤回監視」はディグドウィセイソ事件を、2024年ネカト世界ランキングの「第4位」に選んだ。
なぜ?
重大事件とは思えない。
重要な学術誌の論文ではないにしろ、84論文が撤回された。この撤回論文数の多さで「第4位」に選んだと、無理やり、白楽は理解した。 → でも、ヘンだな。
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日本の人口は、移民を受け入れなければ、試算では、2100年に現在の7~8割減の3000万人になるとの話だ。国・社会を動かす人間も7~8割減る。現状の日本は、科学技術が衰退し、かつ人間の質が劣化している。スポーツ、観光、娯楽を過度に追及する日本の現状は衰退を早め、ギリシャ化を促進する。今、科学技術と教育を基幹にし、人口減少に見合う堅実・健全で成熟した良質の人間社会を再構築するよう転換すべきだ。公正・誠実(integrity)・透明・説明責任も徹底する。そういう人物を昇進させ、社会のリーダーに据える。また、人類福祉の観点から、人口過多の発展途上国から、適度な人数の移民を受け入れる
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★記事中の画像は、出典を記載していない場合も白楽の作品ではありません。
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●9.【主要情報源】
① 2024年4月10日のロリ・ユームシャジェキアン(Lori Youmshajekian)記者の「撤回監視(Retraction Watch)」記事:The dean who came to visit – and added dozens of authors without their knowledge – Retraction Watch
② 2024年4月12日のCNN Indonesiaチームの「CNN Indonesia」記事:UNAS Dean Denies Using Malaysian Lecturer’s Name
③ 2024年4月19日のアイヴァン・オランスキー(Ivan Oransky)記者の「撤回監視(Retraction Watch)」記事:Dean in Indonesia resigns following Retraction Watch report – Retraction Watch
④ 2024年5月27日のヘリ・フィルマンシャー(Heri Firmansyah)記者の「RRI.co.id」記事:Kumba Digdowiseiso Diberhentikan sebagai Dekan FEB dan Dosen Unas
⑤ 2024年5月30日のロリ・ユームシャジェキアン(Lori Youmshajekian)記者の「撤回監視(Retraction Watch)」記事:Indonesian university dean dismissed, barred from teaching, asked to apologize – Retraction Watch
⑥ 2024年7月12日のカフィル・ヤミン(Kafil Yamin)記者の「University World News」記事:Calls for action against ‘systemic’ academic misconduct
⑦ 2024年4月25日のライラ・アフィファ(Laila Afifa)記者の「TEMPO.CO」記事:Academic Misconduct on our Campuses – Opinion En.tempo.co