建築学:アレハンドロ・ザエラ=ポロ(Alejandro Zaera-Polo)(米)

2016年7月5日掲載。

ワンポイント:横浜港の大桟橋ターミナルの設計者が文章の盗用で大学・学部長を降格されたが、それが不当だと、学長などを裁判に訴え、裁判中

【追記】
・2023 年1月11日:Alejandro Zaera‐Polo declares that “from now on white males answer back”
・2022 年6月7日:Architecture professor fired last year blames ‘cancel culture’ as Princeton cites ‘neglect of duty’ – The Princetonian

●1.【概略】

Alejandro Zaera-Poloアレハンドロ・ザエラ=ポロ(Alejandro Zaera-Polo、写真出典)は、米国・プリンストン大学School of Architecture at Princeton University)・建築学部・学部長で、専門は建築学だった。横浜港大桟橋国際客船ターミナル(Yokohama International Passenger Terminal)(1995–2002年)の設計者で、多数の賞を受賞し、世界的に著名な建築家である。
ーーーーーーー
目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.概略
2.経歴と経過
3.研究内容
4.日本語の解説
5.不正発覚の経緯と内容
6.論文数と撤回論文
7.白楽の感想
8.主要情報源
ーーーーーーー

2014年(50歳)、プリンストン大学建築学部の教員あるいは院生だと思われる匿名者が、2014年・ヴェネチア・ビエンナーレ建築展のザエラ=ポロのカタログの文章が盗用だと、オンライン・フォーラムで指摘した。カタログの文章は学術論文ではないので学術論文の盗用の基準とは異なると、ザエラ=ポロは最初から、“盗用”を否定した。

しかし、プリンストン大学・学長は、盗用と判断し、大学の評判が悪くなるからと、ザエラ=ポロを強引(?)に学部長から辞任させた。

2016年5月24日(52歳)、ザエラ=ポロはそのやり方が不当だと裁判に訴え、2016年7月4日現在、裁判中。

この事件の日本語解説は見つからなかった。ただし、ザエラ=ポロは横浜港の国際客船ターミナルを設計した世界的に著名な建築家で、ザエラ=ポロの業績についての日本語解説はたくさんあった。「Archi Future Web」の文章を本文に引用した。

yipt-0702-valerie_bennett-02横浜港の大桟橋国際客船ターミナル(Yokohama International Passenger Terminal)、写真出典

  • 国:米国
  • 成長国:スペイン
  • 研究博士号(PhD)取得:ない?
  • 男女:男性
  • 生年月日:1963年10月17日
  • 現在の年齢:61歳
  • 分野:建築学
  • 最初の不正文章発表:2014年(50歳)
  • 発覚年:2014年(50歳)
  • 発覚時地位:プリンストン大学・学部長
  • ステップ1(発覚):第一次追及者(プリンストン大学・建築学部の教員か院生。匿名)がオンライン・フォーラムで指摘
  • ステップ2(メディア): 上記オンライン・フォーラム。多数の新聞
  • ステップ3(調査・処分、当局:オーソリティ):①プリンストン大学・学長。調査委員会なし? ②裁判。進行中
  • 不正:盗用
  • 不正文章数:1報。なお、盗用は学術論文ではなく展覧会カタログ
  • 時期:研究キャリアの中期
  • 結末:学部長降格。教授は在職

●2.【経歴と経過】

  • 1963年10月17日:スペイン マドリードで生まれる
  • 19xx年(xx歳):スペインのマドリード工科大学建築科上位校(Superior Technical School of Architecture of Madrid)を卒業
  • 19xx年(xx歳):ハーバード大学デザイン科大学院(Graduate School of Design, Harvard University)を卒業
  • 1991年(27歳):オランダ・ロッテルダムの会社「Office for Metropolitan Architecture (OMA) 」・建築家
  • 1993年(29歳):設計事務所「エフ・オー・アーキテクツ(Foreign Office Architects, FOA)」を妻・ファッシド・ムサヴィ(Farshid Moussavi)と一緒に設立
  • 2011年6月(37歳):ムサヴィと離婚し「エフ・オー・アーキテクツ(Foreign Office Architects, FOA)」設計事務所を解散し、「アレハンドロ・ザエラ=ポロ建築会社(Alejandro Zaera-Polo Architecture)」を設立
  • 2002–2005年(38–41歳):オランダ・ロッテルダムのベルラーヘ大学(Berlage Institute)・建築学部・学部長
  • 2012年7月(48歳):プリンストン大学(School of Architecture at Princeton University)・建築学部・学部長。なお、2008 年以来、プリンストン大学の客員教授だった
  • 2014年10月(50歳):プリンストン大学の学部長を降格され、平教授
  • 2016年5月24日(52歳):プリンストン大学を裁判所に訴えた
  • 2016年7月4日現在(52歳):学者としても建築家としても活躍している

★受賞

• Enric Miralles Prize for Architecture (2003)
• Kanagawa Prize for Architecture in Japan (2003)
• RIBA International Award (2004)
• Lion Award for Topography at the 9th Venice Architecture Biennale (2004)
• Charles Jencks Award for Architecture (2005)
RIBA International Award (2005)
• RIBA International Award (2006)
RIBA European Award (2008)
• European Business Award for the Environment (2008)
• Urban Land Institute Award for Excellence (2008)
RIBA Award (2009)
Civic Trust Award (2010)
• International Council of Shopping Centres Award (2010)
• International Architecture Award (2010)

●3.【研究内容】

★動画

講演の動画はウェブサイトにいくつもアップされている。

【動画1】
インタビュー:「ArchDaily Entrevistas: Alejandro Zaera-Polo – YouTube」(スペイン語)8分38秒。
ArchDaily が2015/09/01 に公開