8‐2.すべてのコメント

格闘中:上手く改善できない。(210830)。
最新のコメントは、このページの最下段にある。

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すべてのコメントをここに表示した(2020年12月16日)。

改行、フォント、ページ化、など改善点が多いけど・・、一応、導入成功(2020年12月16日)。

白楽は読者からのコメントに感謝し、何度も読んでいる。今まで、読者からの質問と間違いの指摘に対応した。しかし、異なる意見・感想に自分の意見を説明・再表明しない方針だった。議論するつもりがなかったからだ。しかし、今回、コメントをまとめ、改めて読むと、白楽の意見を述べた方が良いと思った。今後、なるべくそうしよう(2020年12月16日)。
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  • Todd M さんのコメント。記事は 3.研究費

    初めまして。早速ですが申し訳ありません、先生の本は2冊しか読んでいません(でも両方とも買いました!)、がどちらも愛読させていただいています。僕は日本で学位を取得後、米国で17年ほど分子生物学の研究をやっています。その間、ポストドク、テニュアトラックのAssistant Professor、 グラントがとれなくてクビ、ポストドク逆戻り(一応ポジションは”Specialist”)、ポストドク先のfundingがなくなってクビ、と紆余曲折のあげく、現在最初のラボのボスに拾ってもらって、Non-tenureのAssistant Adjunct Professor まで「盛り返して」現在に至っています。

    現在日本版NIHの発足で日本は盛り上がっているようですが、僕はこれはうまくいかないような気がしてなりません。理由は(先生の”元同僚”の土屋賢二氏の言葉を借りると)考えられないものも含めて100くらいありますが、そのうち99は時間とスペースの関係で省略させていただくとして(まじめな話10くらいはちゃんとした理由がありますが、やっぱり時間がかかるのでいつかお酒でも飲みながらお話しできればなあと思います)、今の一番の問題は本家のNIHのグラントシステムも決してうまくいっていない(というのはあんまり日本では知られてないのではないかと思います)と思うからです。自分がグラントがとれなくてあっさり大学をクビになったからかも知れませんが(”テニュアがとれなかった”のではなく、テニュアトラックの半ばで解雇された形です)、とにかく現在のようにR01の採択率が10%前後では、正直まともな基礎研究はできないし、Study SectionによるPeer-reviewもうまくいかないと思います。10に一つしか通らないとすれば、とてもじゃないけど公平な審査はできません(一つ他人のグラントを通すたびに自分のグラントの採択の可能性ががたっと下がる訳ですから)。

    しかも僕がいた大学のように、自分の給料も全部グラントから稼がなければいけないとなると、R01の半分ちかくは自分の給料に消えてしまいます(これは日本では考えなくてもよい問題ですね)。僕の個人的な意見では、やはりグラント採択率が最低20%ないとこのシステムは成り立たないと思います。先生がNIHにいらしたときは確か22-23% くらいではなかったでしょうか?さらに日本では学閥の問題も顕著なので大学の名前に関わらずどれだけ公平な審査がされるのか、という日本ならではの問題もあると思います。

    だからといって、もちろん今の日本のシステムもいいとは思えないし、どういうのが最適なのか、という問題がありますが。。。他のシステムを安易にコピーするのではなく(もちろんNIHのシステムに学ぶところはすごくたくさんあると思います)、もう少し日本の官僚と研究者等が知恵を絞って最も効率がよく公正なシステムを独自で探っていけないものかと思っています。

    あ、そうそう何をさておいても日本の科研費システムで最初に変えなければいけないのは、科研費の使い方をもう少しフレキシブルにすることだと思います。最近よく「科研費を架空口座にプールして云々」で教授たちが吊るし上げられていますが、そうでもしないと中規模以下のラボでは、本当に必要なときに必要な試薬が買えないということになります。その一方で金が有り余っているラボもあって「しょうがないから」無駄に高価な装置を買って使わないで遊ばせておくという話も多々聞きます。

    この辺の科研費の使い方こそNIHに学んでほしいと思いますが、どうもそうはならないような気がします。すいません長くなってしまいました。科研費についてぜひ一度先生とお話がしたいなあと思っていたのですが、たまたまこのサイトを見つけたため、長々と書いてしまいました。もし読んでいただけたのなら、お時間をとっていただきありがとうございました。

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    2014/01/26 at 6:52 pm
    • haklak さんのコメント。記事は 3.研究費

      > Todd M様

      生命科学は衰退期です。ゴールドラッシュの初期の人は金塊を見つけましたが、あとから来た人は見つけられません。金塊はもうないのだから当然です。現在の生命科学に金塊はありません。従って、研究者・院生の数に対してポストはないし、当然、研究費もありません。米国はストレートに対応するので、現在、「R01の採択率が10%前後」なのでしょう。日本は鈍いので、採択率はまだ高い。学問の衰退期にいると認識しない生命科学研究者・院生はこれから悲惨な人生にならないと良いですが。類似の例は、日本の歯学部の定員数と必要な歯医者の数のギャップです。学生定員数は必要な歯医者の数の2倍なので、歯学部に行っても半分の学生は歯医者という職業に就けない。それなのに、文部科学省は黙って見ている。

      「科研費の使い方をもう少しフレキシブルにする」とのご意見に全面的に賛成です。日本の研究費不正として糾弾される使い方は、「目的外使用」「現金化」「私的使用」の3つです。私は、以前から、ルールを研究者に押し付けないで、ルールの方を変えるべきだと主張しています。具体的には、「研究費をプール(節約・貯金)して使っても良いではないか」、「目的外に使用しても良いではないか」、「私的利用だって良いかも」と主張しています。先日会った内閣府の官僚にも同じことを伝えたのですが、官僚は、ゼンゼン、聞く耳を持ちません。

      ご活躍を祈ります。

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      2014/01/27 at 6:54 pm
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