無罪:アレハンドラ・ブラボー(Alejandra Bravo)、マリオ・ソベロン(Mario Soberón)(メキシコ)

2020年8月16日掲載 

ワンポイント:ブラボー(妻)とソベロン(夫)はメキシコ国立自治大学(National Autonomous University of Mexico)・バイオテクノロジー研究所(Instituto de Biotecnologia)の夫婦研究者である。ブラボー(妻)は2010年のロレアル-ユネスコ女性科学賞は受賞したスター科学者。ブラボー(妻)が問題論文の責任著者なのではブラボーを代表に書く。2012年9月(51歳)、ネカト疑念が起こり、調査を始めた。少なくとも2006-2010年(45-49歳)の4年間の11論文の図に改ざんがあり、9論文は軽微だが、2論文は重大とし、処分勧告をした。しかし、翌年、オンブズマンが、「ネカトではない」とクロをシロに塗り替えた。撤回論文はなく、訂正論文は7報ある。白楽は、クロをシロに変えた判定に不当な印象を受けた。国民の損害額(推定)は2億円(大雑把)。

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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.概略
2.経歴と経過
3.動画
5.不正発覚の経緯と内容
6.論文数と撤回論文とパブピア
7.白楽の感想
9.主要情報源
10.コメント
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●1.【概略】

ブラボー(妻)が責任著者なので、ブラボーを主体に記事を書くが、アレハンドラ・ブラボー(Alejandra Bravo、ORCID iD:https://orcid.org/0000-0002-7573-7475)とマリオ・ソベロン(Mario Soberon)は夫婦研究者である(写真出典)。2人共、メキシコのメキシコ国立自治大学(National Autonomous University of Mexico)・バイオテクノロジー研究所(Instituto de Biotecnologia)・研究員(教授相当と思われるので教授とした)で、共同研究者である。専門は微生物学である。

ブラボーは、環境に適した強力な殺虫剤の細菌毒素の作用機序を解明したことで、2010年のロレアル-ユネスコ女性科学賞を受賞した。つまり、メキシコの誇る国際的なスター科学者である。

ブラボーはマリオ・ソベロン(夫)(Mario Soberon)といつ結婚したのか不明だが、ソベロンは、ブラボーより1年早い1988年にメキシコ国立自治大学で研究博士号(PhD)を取得した。

2012年9月(51歳)、ブラボーの11論文の図に改ざんがあるとカナダの研究者から指摘され、メキシコ国立自治大学・バイオテクノロジー研究所は調査委員会を設置し調査を始めた。

2012年11月20日(51歳)、調査委員会は11論文の内の2論文はクロと判定し、論文撤回と懲戒処分を勧告した。

しかし、メキシコ国立自治大学・バイオテクノロジー研究所は勧告を軽視し、処分を科したが、軽い処分にとどめた。

その後、メキシコ国立自治大学の元・学長のホアン・ラモン・デ・ラ・フエンテ(Juan Ramon de la Fuente)がブラボーとソベロンを擁護する意見を記事にするなど、メキシコ社会はブラボーとソベロンを擁護し始めた。

2013年10月23日(52歳)、クロと判定してから約1年後、メキシコ国立自治大学のオンブズマンであるジョルジ・カルモナ(Jorge Carmona)が、ネカトはなかったとし、メキシコ国立自治大学・バイオテクノロジー研究所の処分を中止させた。

そのような経緯のため、2020年8月15日現在に至るまで、結局、撤回論文は1報もない。しかし、訂正論文が7報に及んだ。本来なら撤回相当の論文を無理やり訂正論文にした印象だ。

ブラボーはメキシコが誇るスター科学者(つまり、「上級国民」)なので、強引にクロをシロに塗り替えた印象を、白楽は受けた。

メキシコ国立自治大学(National Autonomous University of Mexico)・バイオテクノロジー研究所(Instituto de Biotecnologia)。写真上出典、写真下出典

★アレハンドラ・ブラボー(Alejandra Bravo)(妻)

  • 国:メキシコ
  • 成長国:メキシコ
  • 医師免許(MD)取得:なし
  • 研究博士号(PhD)取得:メキシコ国立自治大学
  • 男女:女性
  • 生年月日:1961年4月29日
  • 現在の年齢:63 歳
  • 分野:微生物学
  • 最初の不正論文発表:2006年(45歳)
  • 不正論文発表:少なくとも2006-2010年(45-49歳)の4年間
  • 発覚年:2012年(51歳)
  • 発覚時地位:メキシコ国立自治大学・教授
  • ステップ1(発覚):一部報道に、第一次追及者はカナダのヴィンセント・ヴァション(Vincent Vachon)らが論文で指摘とあるが、内部告発が正解
  • ステップ2(メディア):「La Jornada」、「Science」、「撤回監視(Retraction Watch)」
  • ステップ3(調査・処分、当局:オーソリティ):①学術誌・編集部。②メキシコ国立自治大学・調査委員会
  • 大学・調査報告書のウェブ上での公表:なし
  • 大学の透明性:実名報道だが機関のウェブ公表なし(△)[機関以外が詳細をウェブ公表(?)]
  • 不正:改ざん
  • 不正論文数:11報。撤回論文なし、訂正論文7報
  • 時期:研究キャリアの中期から
  • 職:事件後に研究職(または発覚時の地位)を続けた(〇)。
  • 処分: 軽い処分。1年後、取消
  • 日本人の弟子・友人:不明

【国民の損害額】
国民の損害額:総額(推定)は2億円(大雑把)。

●2.【経歴と経過】

★アレハンドラ・ブラボー(Alejandra Bravo)(妻)。主な出典:

  • 1961年4月29日:メキシコに生まれる
  • 1985年(24歳):メキシコ国立自治大学(National Autonomous University of Mexico)で学士号取得
  • 1989年(28歳):同大学で研究博士号(PhD)を取得
  • 1990-1991年(29-30歳):ベルギーのバイオテクノロジー企業「Plant Genetic Systems」・研究員
  • 19xx年~現(xx歳~):メキシコ国立自治大学(National Autonomous University of Mexico)・研究員(教授相当)
  • 1995年(34歳):フランスのパスツール研究所に研究留学
  • 2002年(41歳):全米科学アカデミー会員
  • 2012年9月(51歳):不正研究が発覚
  • 2012年11月20日(51歳):バイオテクノロジー研究所・調査委員会がクロと判定
  • 2013年10月23日(52歳):メキシコ国立自治大学のオンブズマンがシロと塗り替えた

●3.【動画】

以下は事件の動画ではない。

【動画1】
ロレアル-ユネスコ女性科学賞・受賞インタビュー動画:「Alejandra Bravo (Mexico), Women in Science awards 2010 – YouTube」(スペイン語)3分34秒。
UNESCOが2010/03/05に公開

【動画2】
研究紹介動画:「スサナ・ロペス博士とマリオ・ソベロン博士とアレハンドラ・ブラボー博士。蚊、ウイルス。 2016年6月(UNAM-IBT. Dra. Susana Lopez, Dra. Alejandra Bravo y Dr. Mario Soberon. Mosquitos, Virus. Jun.2016.) – YouTube」(スペイン語)4分10秒。
Difusion Unam Morelosが2016/08/01に公開

【動画3】
研究紹介動画:「マリオ・ソベロン博士とアレハンドラ・ブラボー博士のバイオ殺虫剤。 2016年6月(UNAM-IBT. Dra. Alejandra Bravo y Dr. Mario Soberon Chavez. Bioinsecticida. Junio 2016) – YouTube」(スペイン語)3分21秒。
Difusion Unam Morelosが2016/06/24に公開

●5.【不正発覚の経緯と内容】

★国際的な女性スター科学者

アレハンドラ・ブラボー(Alejandra Bravo)は、環境に適した強力な殺虫剤になる細菌毒素の作用機序を解明したことで、2010年にロレアル-ユネスコ女性科学賞 – Wikipedia(L’Oreal-UNESCO Award for Women in Science)を受賞した。つまり、メキシコの誇る国際的な女性スター科学者である。

さらに、ブラボーは4つの国際特許を申請し、認可された特許は、メキシコ国立自治大学の所有権になっている。メキシコ国立自治大学はその特許の商業的な利用のためにバイエル・クロップ・サイエンス社などの多国籍企業にライセンスを供与している。

https://www.pinterest.jp/pin/548524429609377128/

なお、マリオ・ソベロン(夫)(Mario Soberon)の父親はメキシコ国立自治大学の元・学長である。

★発覚の経緯

ブラボーらは、トランスジェニックトウモロコシなどの製品で使用されているBTバクテリアの「2013年1月のFEMS Microbiol Rev.」論文を発表した。

2012年9月(51歳)、ところが、カナダのヴィンセント・ヴァション(Vincent Vachon)らは、ブラボーらの「2013年1月のFEMS Microbiol Rev.」論文に批判的「2012年9月の.J Invertebr Pathol.」論文を発表した。

★調査でクロと判定

一部記事では、カナダのヴァションらの上記の「2012年9月の.J Invertebr Pathol.」論文がブラボーらの論文をネカトと指摘したから、ネカト調査を始めたと書いてある。しかし、「2012年9月の.J Invertebr Pathol.」論文はブラボーらの論文結果に批判的ではあるが、ネカトだとは指摘していない。

2012年9月(51歳)、バイオテクノロジー研究所の内部告発者が、「La Jornada」新聞の記者に情報を流し、「La Jornada」新聞の記者が記事をまとめようとした。その時、記者がバイオテクノロジー研究所に取材に行った(以上推定)。それで、メキシコ国立自治大学・バイオテクノロジー研究所はブラボーらのネカト調査委員会を設置し、調査を始めた。

調査委員会は以下の3人の外部委員で構成された(英語のママで、ゴメン)。

  1. 委員長:Dr Jean Philippe Vielle Calzada (Researcher from LANGEBIO, IPN)
  2. Drs Ruben Lisker Yourkowitzky (Director of Research of the National Institute of Medical Sciences and Nutrition)
  3. Dr Rosario A Munoz Clares (Professor of TC of the Faculty of Chemistry, UNAM)

2012年11月20日(51歳)、調査委員会は11論文のうちの9論文は、軽微だがデータを加工していて、オリジナルデータに対する敬意が欠ける。しかし、これらの加工は論文の結論に影響していない。ただ、論文撤回としないまでも、2論文には不適切な画像があり、クロと判定した。

なお、11論文そしてクロと認定された2論文はどの論文なのか、リストが公表されていない。現在も不明である。

調査委員会は2人の懲戒処分を勧告した。ソベロンの分子微生物学部長職を辞任させ、ブラボーを準研究者に降格し、生命倫理委員会・議長職を辞任させる処分だった。また、3年間、新たな院生の受け入れ禁止処分を2人共に科すと勧告した。

調査委員会の勧告に対し、ところが、メキシコ国立自治大学・バイオテクノロジー研究所は勧告を無視し、軽い処分しか科さなかった。

★クロをシロと塗り替え

2013年10月9日(52歳)、1994-1999 年に健康大臣、1999-2007年にメキシコ国立自治大学の学長を務め、メキシコの科学界で強大な影響力があるホアン・ラモン・デ・ラ・フエンテ(Juan Ramon de la Fuente – Wikipedia、写真By Eneas De Troya from Mexico City, Mexico – Derivative work of Juan Ramon de la Fuente 2012.jpg, CC BY 2.0, Link)は、「エル・ユニバーサル(El Universal)」新聞の論説で、ネカトでクロとするのはブラボーとソベロンの成功をねたむ輩の行き過ぎた判断だと、ブラボーとソベロンを擁護した。 → 2013年10月9日記事:El Universal – Opinion – Fortalezas de la ciencia

2013年10月23日(52歳)、クロと判定してから約1年後、メキシコ国立自治大学のオンブズマンであるジョルジ・カルモナ(Jorge Carmona、写真出典)が、ネカトはなかったとし、メキシコ国立自治大学・バイオテクノロジー研究所の処分を中止させた。

早い話、ウェスターンブロットの汚れた線を消して、結果をより分かりやすくお化粧しただけなので、ネカトではないとしたのだ。

ジョルジ・カルモナの役目は、バイオテクノロジー研究所・調査委員会にケチをつけることなのだが、次のような点を問題視した。

ソベロンとブラボーに彼らの立場を主張する適切な機会を与えなかったこと、メディアに調査途中の情報をリークするなど守秘義務違反があったこと、ソベロンとブラボーを過度に傷つけたことなどの調査の欠陥を指摘した。

そして、画像操作には厳しすぎる処分を科している。処分から1年経過した現在、処分は十分だったとして、処分を停止させた。

結局、クロをシロと塗り替えたのだ。

そのため、2020年8月15日現在、撤回論文は1報もない。しかし、7論文が訂正されている。

【訂正の具体例】

11論文の図に問題点が指摘されたが、撤回論文はなく、訂正論文が7報に及んだ。「2007年のJ Biol Chem.」論文、「2006年のJ Membr Biol.」論文、「2010年のInsect Biochem. Mol. Biol.」論文の画像を代表に、訂正部分を見ていこう。全部似たような画像の加工(白楽の基準では「改ざん」)である。

★「2007年のJ Biol Chem.」論文

「2007年のJ Biol Chem.」論文の書誌情報を以下に示す。2013年3月に訂正され、2020年8月15日現在、撤回されていない。

以下の3セットの画像はすべて原著論文から複写した。
最初に訂正前論文の図を示し、その後、訂正後論文の図を示した。

訂正前論文の図2:ブロット画像に余計な汚れが入ったので取り除く加工をした。

訂正後論文の図2:ブロット画像に余計な汚れが入ったままの、加工していない画像に変えた。


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訂正前論文の図3A:列の3番と4番のバンドの位置を変えた。

訂正後論文の図3A:加工していない元の画像に変えた。

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訂正前論文の図3C:3つの異なるゲルから得られた結合画像だったが、それを明示しなかった。

訂正後論文の図3C::3つの異なるゲルから得られた結合画像だった。切り込み線を入れることで、それを明示した。

★「2006年のJ Membr Biol.」論文

 → 2012年11月13日の訂正公告:Erratum to: Permeability Changes of Manduca sexta Midgut Brush Border Membranes Induced by Oligomeric Structures of Different Cry Toxins | SpringerLink

「2006年のJ Membr Biol.」論文の書誌情報を以下に示す。2012年11月13日に訂正され、2020年8月15日現在、撤回されていない。

訂正前論文の図は論文が有料閲覧なので未読である。

訂正後論文の図は異なるゲルから得られた結合画像だったのを、切り込み余白を入れて、明示した。つまり、訂正前は、異なるゲルからの画像なのを、あたかも1つのゲルからの画像のように示していたということになる。

図5A(出典は上記の撤回告知)

★「2010年のInsect Biochem. Mol. Biol.」論文

 → 2013年10月の訂正公告:Corrigendum to “The mitogen-activated protein kinase p38 is involved in insect defense against Cry toxins from Bacillus thuringiensis” [Insect Biochem. Mol. Biol. 40 (1) (2010) 58?63] – ScienceDirect

「2010年のInsect Biochem. Mol. Biol.」論文の書誌情報を以下に示す。2013年10月に訂正され、2020年8月15日現在、撤回されていない。

元論文では、図1と図3は異なるゲルから得られた結合画像だったが、それを明示しなかった。訂正は、実験をし直し、同じ結論が得られることを確認し、一部の画像が異なるゲルからのものであることを明示した。

訂正前論文の図は論文が有料閲覧なので未読である。

図1

図3

 

●6.【論文数と撤回論文とパブピア】

★パブメド(PubMed)

2020年8月15日現在、パブメド( PubMed ))で、アレハンドラ・ブラボー(Alejandra Bravo)の論文を「Alejandra Bravo [Author]」で検索した。この検索方法だと、2002年以降の論文がヒットするが、2002~2020年の19年間の133論文がヒットした。

133論文のうち119論文はマリオ・ソベロン(夫)(Mario Soberon)と共著である。

「Bravo A [Author]」で検索すると、1945~2020年の76年間の592論文がヒットした。本記事で問題にしている研究者以外の論文が多数含まれていると思われる。

592論文のうち130論文はマリオ・ソベロン(夫)(Mario Soberon)と共著である。

2020年8月15日現在、「Retracted Publication」のフィルターでパブメドの論文撤回リストを検索すると、0論文が撤回されていた。

2020年8月15日現在、「Corrected and Republished Article」のフィルターでパブメドの論文訂正リストを検索すると、0論文が訂正されていた。7報が訂正論文なので何かヘン。

★撤回論文データベース

2020年8月15日現在、「撤回監視(Retraction Watch)」の撤回論文データベースでアレハンドラ・ブラボー(Alejandra Bravo)を「Alejandra Bravo」で検索すると、0論文がヒットし、0論文が撤回されていた。7報が訂正論文なので何かヘン。

★パブピア(PubPeer)

2020年8月15日現在、「パブピア(PubPeer)」では、アレハンドラ・ブラボー(Alejandra Bravo)の論文のコメントを「Alejandra Bravo」で検索すると、0論文にコメントがあった。

●7.【白楽の感想】

《1》クロなのにシロ 

ブラボー事件は、当局が最終的にシロと判定したので、表題に「無罪」を加えた。しかし、米国の基準、そして、白楽の基準では明らかに「改ざん」である。

しかし、メキシコの最も権威ある大学の最も有名な科学者2人がネカトをしたと判定されては、メキシコとしては困る。困る、困る、トッテモ困る。それで穏便に済ませたい。

アレハンドラ・ブラボー(妻)(Alejandra Bravo)は2010年のロレアル-ユネスコ女性科学賞は受賞したスター科学者である。マリオ・ソベロン(夫)(Mario Soberon)の父親はメキシコ国立自治大学の元・学長である。

ネカト内容を精査すると、マー、改ざんだけど、軽微である。軽微なので、「改ざん」そのものを糊塗したい。それで、ボス科学者(つまり御用学者)に意見を言わせ(つまり御用意見)、論文の結論を捻じ曲げていないと強弁させた。

そして、メキシコ国立自治大学のオンブズマンであるジョルジ・カルモナ(Jorge Carmona)が登場し、クロをシロとしてしまった。

白楽は、このオンブズマンの権限、クロをシロとした協議過程を把握できていない。

しかし、こうなると、なんでも「あり」になってしまい、「研究公正」は泣くでしょう。

「地獄の沙汰も金次第」というか、「上級国民は治外法権」というメキシコの統治スタイルなんだと理解した。

メキシコを批判的に書いたけど、日本も「上級国民は治外法権」なので、東大・医学部教授のネカト疑惑もシロになってしまった。メキシコを批判できませんなあ。

ネカト判定にはこういうダブルスタンダードがある。この事件は、マレで特殊なケースとして、イヤイヤ、よくある特殊なケースとして心にとめておきましょう。

《2》ネカト志向 

訂正前論文の図と訂正後の図を比べると、訂正後の図はとても汚い。この汚さは、論文の図にできない汚さである。ブラボー(写真出典)はそれで、写真を加工して投稿したのだ。しかし、そもそも、データ加工ではなく、もう一度実験をやり直すべきだった。

実験をやり直さないで、写真を加工して投稿するセンスは、明確に、ネカト志向である。

この研究スタイルで、よく有名な科学者になれたもんだと感心した。

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日本がスポーツ、観光、娯楽を過度に追及する現状は日本の衰退を早め、ギリシャ化を促進する。今後、日本に飛躍的な経済の発展はない。科学技術と教育を基幹にした堅実・健全で成熟した人間社会をめざすべきだ。科学技術と教育の基本は信頼である。信頼の条件は公正・誠実(integrity)である。人はズルをする。人は過ちを犯す。人は間違える。その前提で、公正・誠実(integrity)を高め維持すべきだ。
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●9.【主要情報源】

① ウィキペディア・スペイン語版:Alejandra Bravo – Wikipedia, la enciclopedia libre
② 2012年11月20日の「La Jornada」記事:La Jornada: Separan de sus cargos a dos cientificos de la UNAM por alterar imagenes de estudios
③ 2012年11月20日の「Aristegui Noticias」記事:Sancionan a cientificos de la UNAM por alterar imagenes de estudio | Aristegui Noticias
④ 2012年11月23日以降の「撤回監視(Retraction Watch)」記事群:Search Results for “Alejandra Bravo” ? Retraction Watch
⑤ 2013年10月23日のリヅィー・ウェイド(Lizzie Wade)記者の「Science」記事:Mexican University Lifts Sanctions in Misconduct Case | Science | AAAS、(保存版
★記事中の画像は、出典を記載していない場合も白楽の作品ではありません。

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