7-169 2024年のネカト・スキャンダルを振り返って

2025年4月20日掲載 

白楽の意図:ノルウェー語で発表されたニーナ・クリスチャンセン(Nina Kristiansen)の「Forskning Norge」論文の英語版「2025年1月のScience Norway」論文だが、日本の亀田直弘(かめた なおひろ)(産業技術総合研究所)のネカト事件が記載されているので取り上げた。英語圏でもノルウェー語圏でも亀田事件を、亀田1人に責任を取らせ、共著者の上司は責任を取らない日本の不正対処を批判的に報道している。外国からそのように捉えられていることを日本人研究者は把握しているのだろうか?

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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.日本語の予備解説
2.クリスチャンセンの「2025年1月のScience Norway」論文
7.白楽の感想
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【注意】

学術論文ではなくウェブ記事なども、本ブログでは統一的な名称にするために、「論文」と書いている。

「論文を読んで」は、全文翻訳ではありません。

記事では、「論文」のポイントのみを紹介し、白楽の色に染め直し、さらに、理解しやすいように白楽が写真・解説を加えるなど、色々と加工している。

研究者レベルの人が本記事に興味を持ち、研究論文で引用するなら、元論文を読んで元論文を引用した方が良いと思います。ただ、白楽が加えた部分を引用するなら、本記事を引用するしかないですね。

●1.【日本語の予備解説】

★2025年1月1日2024年ネカト世界ランキング | 白楽の研究者倫理 

★1.「撤回監視(Retraction Watch)」の「2024年の撤回監視トップ10物語」:2024年12月26日

  1. 〇「博士号剥奪」:心理学:ピン・ドン(Ping Dong)(カナダ) | 白楽の研究者倫理 2024年8月5日掲載
  2. リチャード・エッカート(Richard Eckert)(米) | 白楽の研究者倫理 2024年11月5日掲載
  3. 亀田 直弘(かめた なおひろ)(日本
    産業技術総合研究所の上級主任研究員が、2005~2022年の42論文でネカト → Retractions begin for chemist found to have faked data in 42 papers – Retraction Watch
  4. 財政学:クンバ・ディグドウィセソ(Kumba Digdowiseiso)(インドネシア) |白楽の研究者倫理 2025年1月15日掲載
  5. 7-166 引用不正した17学術誌をインパクトファクター算出から除外 | 白楽の研究者倫理 2025年2月10日掲載
  6. デボラ・ケリー(Deborah Kelly)(米) |白楽の研究者倫理 2025年3月15日掲載
  7. 〇芸術デザイン学:ネリ・オックスマン(Neri Oxman)(米) | 白楽の研究者倫理 2024年4月10日掲載 
  8. 「論文工場」:機械工学、フィリッポ・ベルト(Filippo Berto)(ノルウェー) | 白楽の研究者倫理 2025年4月5日掲載  

続きは、原典をお読みください。

●2.【クリスチャンセンの「2025年1月のScience Norway」論文】

★読んだ論文

  • 論文名:Some researchers ‘dope’ their data – A look back at the cheating scandals of 2024
    日本語訳:一部の研究者はデータを「ドーピング」している ― 2024年の研究不正スキャンダルを振り返る
  • 著者:Nina Kristiansen
  • 訳者(ノルウェー語 → 英語):Alette Bjordal Gjellesvik
  • 掲載誌・巻・ページ:Science Norway
  • 発行年月日:2025年1月22日
  • ウェブサイト:https://www.sciencenorway.no/fraud-research-scientific-misconduct/some-researchers-dope-their-data-a-look-back-at-the-cheating-scandals-of-2024/2454619
  • 著者の紹介:ニーナ・クリスチャンセン(Nina Kristiansen、写真と経歴の出典)。
  • 学歴:1083~2007年にノルウェーのオスロ大学(Universitetet i Oslo)で博士号候補(メディア学)
  • 分野:科学ジャーナリズム
  • 論文出版時の所属・地位:2007年にクリスチャンセンが創設したノルウェー科学社(Forskning Norge)の2022年5月からジャーナリスト

●【論文内容】

★データ操作:ハリド・シャー(Khalid Shah)(米)

スポーツ選手の多くはズルしない。研究者の多くもズルしない。

しかし、ドーピングするスポーツ選手はいる。データ操作する研究者もいる。

2024年、米国のハーバード大学医科大学院の著名な脳腫瘍研究者であるハリド・シャー(Khalid Shah)がデータ操作で告発された。 → ハリド・シャー(Khalid Shah)(米) | 白楽の研究者倫理

ハリド・シャー(Khalid Shah)(米)

告発者はネカトハンターのエリザベス・ビック(Elisabeth Bik)だった。

ネカトハンターは論文の研究不正操作を見つけて告発する研究者たちである。

彼らは研究不正行為の摘発にボランティアで活動している。ノルウェーにもネカトハンターがいる。

エリザベス・ビックは、シャーの論文中に疑わしい画像を59件も見つけた。 → 2024年2月1日記事: Problems in Harvard Medical School studies include images taken from other researchers’ papers and vendor websites – Science Integrity Digest

シャーは、自分自身が過去に発表した論文のデータ画像や他の研究者が発表した論文のデータ画像を自分の論文に再利用したことで、告発された。

ハーバード大学医科大学院は現在、調査中で、シャーはこの疑惑についてノーコメントである。

★美しすぎるデータ(Too good to be true)

多くの場合、スポーツ選手の不正行為も研究者の不正行為も、結果が良すぎて発覚する。スポーツ選手はスゴすぎる記録だし、研究者は美しすぎるデータなのだ。

「撤回監視(Retraction Watch)」は、重大な誤りや研究不正で撤回された論文を概説するウェブサイトである。

「撤回監視(Retraction Watch)」がリストした2024年のスキャンダル・上位10位の中には、ノルウェー科学技術大学 (Norwegian University of Science and Technology) のフィリッポ・ベルト教授が含まれていた。 → 「論文工場」:機械工学:フィリッポ・ベルト(Filippo Berto)(ノルウェー) | 白楽の研究者倫理

「論文工場」:機械工学:フィリッポ・ベルト(Filippo Berto)(ノルウェー)

フィリッポ・ベルトは、機械工学の分野で2019~2022年に471本の論文を発表し、多数の科学論文を発表したことで賞賛されていた。この論文数は、毎週2報の論文を発表していた数である。大学新聞クロノ(Khrono、リンク先はノルウェー語)によると、この発表数はノルウェーで最多だった。

しかし、この発表数はスゴすぎる記録だった。

英国のネカトハンターは懸念を抱いた。

ノルウェー人のネカトハンターも懸念を抱いた。そして、ノルウェー人のネカトハンターがノルウェー科学技術大学に告発した。

論文はオリジナルであることが求められる。

ところが、ベルトは、完全またはほぼ同一の論文を別の学術誌に何度も投稿していた。この種の重複出版は研究倫理に違反する。

ベルトはまた、研究成果をサラミのように薄く切って、別々の論文として出版してした。この「サラミ出版」の手法で出版数を膨らませていた疑いでも捜査されている。

ただ、不正が指摘され始めた頃、ベルトはノルウェーの大学を辞めてイタリアの大学に移籍した。

Universitetsavisa(リンク先はノルウェー語)によると、ノルウェー科学技術大学の倫理委員会は現在、ベルトの研究不正を調査中とのことだ。

★不正行為は報われる

スポーツ選手も研究者も良い結果を出すと、スポーツチームや大学が祝福してくれる。お金ももらえる。

スポーツ選手はスポンサーの後援や助成金、研究者にはさらなる研究助成金がもらえる。

研究者が所属する大学・研究所にもメリットがある。

たとえば、ノルウェー科学技術大学は、ベルトが発表したすべての論文に対して資金提供を受けていた。

米国のメリーランド大学(University of Maryland)のがん研究センターも、所長のリチャード・エッカート教授(Richard Eckert)が発表した論文に対して莫大な公的資金をもらっていた。

ところが、2024年、エッカート教授は、13報の科学論文と2件の研究助成金申請で不正行為を行なったとして研究不正が認定された。米国の研究公正局は、今後8年間、エッカート教授の研究助成金の申請を禁止した。 → リチャード・エッカート(Richard Eckert)(米) | 白楽の研究者倫理

リチャード・エッカート(Richard Eckert)(米)

★不正な研究者には協力者がいる

ドーピングしたスポーツ選手は、しばしば悪徳医師や腐敗した検査機関の支援を受けている。

同じ様に、不正な研究者は、捕食学術誌、論文工場、非倫理的出版社の支援を受けている。

不正な研究者は、品質管理の甘い学術誌に発表する。ほぼ完成した論文を金で買う。既存の出版物から盗用する。

ウェブサイト「Conversation」の記事によると、世界には15,000誌の略奪的学術誌があり、それを1,000社の出版社が運営している。15,000誌は政府や学術界が信頼できる「まともな」学術誌とした数とほぼ同じ数である。 → 2023年9月19日の「Conversation」記事:Rising number of ‘predatory’ academic journals undermines research and public trust in scholarship

また、不正行為をしたスポーツ選手や研究者に対して寛大な国もある。不正をシステム化する人さえいる。

2024年12月、スペインの新聞エル・パイス(EL PAÍS)は、サウジアラビアの大学が多額の金を払って外国人研究者に勤務先を偽装させていると報じた。この不正のシステム化で、サウジアラビアの大学は国際ランキングの順位を上げてきた。 → 2024年12月5日:Dozens of the world’s most cited scientists stop falsely claiming to work in Saudi Arabia | Science | EL PAÍS English

★人工知能の利用

2024年、データ操作やねつ造・改ざんで、人工知能を使う研究者が増えた。

スポーツ選手チームもドーピング監視機関も、先を行くための競争がある。

ドーピングするスポーツ選手チームは新しい方法を開発し、ドーピングを取り締まる監視機関はドーピングを見つける新しい方法を開発する。イタチごっこである。

研究不正界では、不正行為をする研究者が人工知能を使い、不正行為を摘発するネカトハンターも人工知能を使う。イタチごっこである。

ネカトハンターは、人工知能で処理できる速度と量を高めることで、盗用の検出が容易になる。

ノルウェーでは昨年、学生が人工知能を使って論文の盗用を見つけた2件の盗用事件が大きく報道された。 → Sandra Borch and Ingvild Kjerkol plagiarism affair – Wikipedia

1件目は、2024年1月19日、サンドラ・ボルク(Sandra Borch、中道党)がトロムソ大学(Universitetet i Tromsø)に提出した2014年修士論文が盗用だったことが発覚し、教育大臣を辞任した。

その翌日、2件目だが、イングヴィルト・キェルコル保健大臣(Ingvild Kjerkol 発音、労働党)は、ノード大学(Nord University)提出した修士論文が盗用だったことで、辞任した。

★表彰台に上がるのは1人だけ

スポーツ選手が成功するとチームメイトは歓声を上げ祝福する。でも、表彰台に上がるのは1人だけだ。

同じように、研究者が論文を発表すると、共著者は研究者の業績を祝福する。

しかし、不正行為が発覚すると、誰もが距離を置く。

何も知らなかった、何も見ていません、何も聞いていません、と主張する。つまり、表彰台に上がる(不正者とされる)のは1人だけだ。

スポーツ界とは異なり、研究界では、チームの長とチーム仲間は「ろくでもない」論文であっても共著者になる(なりたがる)。

論文、特に医学や自然科学の論文では、著者が複数になることが多い。論文が出版されると、チームの長とチーム仲間全員が栄誉と出版ポイントをもらえる。

しかし、不正疑惑が浮上すると、チームの長とチーム仲間全員が責任を否定する。彼らはほんの一部しか貢献しておらず、不正行為には気付かなかったと主張する。

昔からだけど、2024年現在でも、この慣習のままである。

つまり、研究者1人が不正行為の全責任を負い、共著者は負わない。

亀田直弘(かめた なおひろ、写真出典)は、日本の産業技術総合研究所でナノマテリアルの研究をしていた。

ネカト調査の結果、亀田は画像を加工し、本来のものとは異なる画像を論文に掲載していたことが明らかになった。彼の出版した13論文が撤回され、さらに多くの論文が調査中である。

2024年、亀田直弘は職を失い、研究費の返済を命じられた。しかし、共著者たちは研究を続けている。 → Retractions begin for chemist found to have faked data in 42 papers – Retraction Watch

Retractions begin for chemist found to have faked data in 42 papers

産業技術総合研究所は、亀田の上司である清水敏美(Toshimi Shimizu)と増田光俊(Mitsutoshi Masuda)を論文の内容に責任がある著者として特定したが、両氏は不正行為に関与していなかったとした。

清水敏美(写真右出典)のスタッフページは産業技術総合研究所のウェブサイト上で現在も有効だが、「撤回監視(Retraction Watch)」が連絡を取ろうと、ウェブサイトに記載されている所属機関の電子メールアドレスに送付したら、送信した電子メールが戻ってきた。 → Toshimi SHIMIZU 日本語

増田光俊(写真左出典)は同研究所の機能化学研究部門の副研究部門長に任命されている。「撤回監視(Retraction Watch)」が電子メールでコメントを要請したが、応じなかった。 → Organization日本語

★不正な論文を無効にするのに時間がかかる

不正疑惑者がクロと認定されると、通常、不正者はスポーツ界や研究界から姿を消す。

彼らが刑務所に送られることはめったにないが、スポーツ選手や研究者としての活動は禁止される。そして、スポーツで出した記録は無効になり、研究者のデタラメ論文は無効になる。

スポーツ界では即刻、メダルが剥奪される。しかし、研究界では、デタラメ論文の撤回に長い年月がかかる。

「撤回監視(Retraction Watch)」によると、ヨアヒム・ボルト(Joachim Boldt)は220報の論文が撤回され、撤回論文数の世界最多記録保持者である。 → The Retraction Watch Leaderboard – Retraction Watch、 → 「撤回論文数」世界ランキング | 白楽の研究者倫理

研究者であり麻酔科医であるボルトは、手術中の血圧を調節する物質を研究した。

ボルトの研究不正は2010年に発覚し、2011年、ボルトはドイツのギーセン大学・教授の職を失った。 → ヨアヒム・ボルト (Joachim Boldt)(ドイツ)改訂 | 白楽の研究者倫理

ヨアヒム・ボルト (Joachim Boldt)(ドイツ)改訂

しかし、一部の学術誌は発覚から10年以上も経つ2024年になって、ようやく、ボルトの26報のデタラメ論文を撤回したのだ。

★責任者は誰?

スポーツ選手や研究者が不正行為で捕まった場合、多くの場合、その責任を一人で受け止めなければならない。

スポーツチームそして、研究界ではチームメイト研究者/大学・研究所は、何も知らなかった、何も見ていません、何も聞いていませんでした、と主張する。

しかし、大学・研究所はもっとすべきことがあっただろう。

  • 大学・研究所は、研究者が誘惑に負けないように責任のある対策を講じたのか?
  • 疑惑が生じた時、大学・研究所は徹底的に調査をしたのか?

優れた結果をだすことに対するプレッシャーで、自分の結果を意図的に水増しすることはよくある。

論文を発表しないと、一部の国では、研究者が職を失うリスクがある。ノルウェーでも研究者としてのキャリアを失う可能性がある。

研究者の中には、何が許されて何が許されないのかについて十分な訓練を受けていないと主張する人もいる。

若手研究者や新人研究者に研究倫理に関する適切な教育を提供することは大学・研究所の責任である。

ただし、最も重要なステップは、良すぎる結果や異常な結果を精査することだ。2024年に発覚した不正行為事件のほとんどは、その大学・研究所の外部から告発されている。

大学・研究所は目を覚ます必要がある。自分の大学・研究所で起こっている不正を自分たちが知らないで、外部の人から告発されている。

どうみてもおかしくないか?

フィリッポ・ベルト教授(Filippo Berto)が毎週2報の論文を発表し、ノルウェーで最多論文数を出版していたとき、ノルウェー科学技術大学はベルト教授を賞賛するだけでなく、良すぎる結果や異常な結果を精査すべきだった。

ノルウェー科学技術大学・研究倫理委員会の委員長(?)トール・ビョルン・アルロフ(Thor Bjørn Arlov、写真出典)は、「何らかの警報を発すべきだったのかもしれない」と述べた。

●7.【白楽の感想】

《1》外国から見た日本の研究不正 

ニーナ・クリスチャンセン(Nina Kristiansen)の「2025年1月のScience Norway」論文は、2024年の世界のネカト・スキャンダルを上手にまとめている。研究不正事件に対するかなり適切な論評である。

ノルウェーの状況を強調しているが、日本の産業技術総合研究所の亀田直弘事件に関して、外国から見た日本の研究不正への対処をはっきり示している。

2024年に調査結果を発表した産業技術総合研究所は、亀田直弘1人をネカト者として解雇したが、論文共著者でかつ上司だった清水敏美(Toshimi Shimizu)と増田光俊(Mitsutoshi Masuda)を不正行為に関与していなかったとし、何ら処罰をしていない。

「撤回監視(Retraction Watch)」もこのことを強く問題視している。 → Retractions begin for chemist found to have faked data in 42 papers – Retraction Watch

いや、米国だって、共著者である上司を滅多に処罰しない。このことを、おかしいと指摘する人はある程度いる(多数派か少数派かは不明)。

現実の米国は、共著者である研究室主宰者や上司を処分することは滅多になかった。それは、米国は個人主義で、不正行為者個人が処罰される文化であると把握されていた。欧州も米国と同じ状況である。

集団主義の日本は連帯責任が好きで、何かと連帯責任論が登場するが、こと研究不正に関しては、研究室主宰者や上司をちゃんと処分しない。「上に甘く、下に厳しい」。その例は多数ある。解説を繰り返さないが、名古屋大学の伊丹健一郎のケースは明確である。

外国から日本の研究不正の処罰例を見ると、トカゲのしっぽ切り、部下に罪を擦り付け、上司はのうのうと処分されない、と受け取られている。これじゃ、日本は尊敬されないでしょうね。

《2》受益者有責の原則 

ネカト者処分の白楽原則:「受益者有責の原則」はどうだろう。

まず、共著者を「貢献度数(整数)」で確定する。

4‐3.著者在順(オーサーシップ、authorship)・代筆(ゴーストライター、ghost writing)・論文代行(contract cheating) | 白楽の研究者倫理」の「●5.【白楽の改善案】」の「《2》白楽の改善案:貢献度数の導入」に書いたのを以下に軽く説明する。

論文の著者欄の著者名に「貢献度数(整数)」を表示する。

現在、論文の共著者をいくらでも増やせるので共著者数は過剰なインフレである。「貢献度数(整数)」を導入すれば、論文の共著者に入れるかどうか、かなり真剣に考える。

例えば、4人の著者だと、A5, B3, C1, D1としよう。この場合、論文から得るABCD各人の利益は5:3:1:1となる。

そして、ネカト者処分の白楽原則:「受益者有責の原則」である。
論文著者は著者としての利益を得るので、その論文に不正が見つかれば、不正者として責任がある。

論文から得られる利益配分と同じ比率で、研究不正の責任も5:3:1:1をベースにする。

但し、研究不正の場合、ネカト実行者がBだったとすると、Bの責任を重くすべきである。その責任度合いを5~8割(数値は要検討)にする。残りの2~5割をBを除く ACDが5:1:1の割合で責任を取る。

そうすれば、不正疑惑が浮上した時、共著者は論文貢献度に応じて、不正に対しても責任を負うことになる。

何も知らなかった、何も見ていません、何も聞いていませんでした、と主張しても、「受益者有責の原則」である。共著者として利益を得ているのだから、論文に問題があれば、それ相応の責任がある。

研究不正ポイントとして数値化・累積化し研究者の履歴とする。論文出版数や被引用数などプラス業績と同じレベルのマイナス業績に扱う。

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日本の人口は、移民を受け入れなければ、試算では、2100年に現在の7~8割減の3000万人になるとの話だ。国・社会を動かす人間も7~8割減る。現状の日本は、科学技術が衰退し、かつ人間の質が劣化している。スポーツ、観光、娯楽を過度に追及する日本の現状は衰退を早め、ギリシャ化を促進する。今、科学技術と教育を基幹にし、人口減少に見合う堅実・健全で成熟した良質の人間社会を再構築するよう転換すべきだ。公正・誠実(integrity)・透明・説明責任も徹底する。そういう人物を昇進させ、社会のリーダーに据える。また、人類福祉の観点から、人口過多の発展途上国から、適度な人数の移民を受け入れる。
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★記事中の画像は、出典を記載していない場合も白楽の作品ではありません。
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