5C 日本の研究疑惑:通報と対処 目次(1)

2024年12月10日~現在までに「5C 日本の研究疑惑:通報と対処 目次(1)」に100件リストし、これまでの件数を100件にする。 → 目次に飛ぶ

ーーーーーー 趣旨 ーーーーーーー

白楽ブログは、「外国」のネカト・クログレイ・性不正・アカハラ事件を10年以上、解説してきた(している)。

白楽が強く関係した場合のみ、「日本」の事件を掲載したが、そもそも、「日本」の事件を解説するつもりはなかった。

日本の大学・研究機関からの発表や日本語の新聞報道を読めば、日本の研究者と国民は、日本の研究不正のほとんどを把握できると思っていたからだ。

また、日本のネカト・クログレイ行為の通報は他の日本人がしてくれるだろうとも思っていた。

しかし、実際にネカト・クログレイ行為を通報すると、多くの人は信じないだろうが、日本の大学・研究機関の対応は、驚くほど高圧的・デタラメ・ズサンであることがわかってきた。

全部ではないが、多くの大学・研究機関は権威・信頼の裏で、①研究不正行為を隠蔽する。②告発しないよう説得(指導? 脅迫?)する。③告発しても予備調査は必要なしと、もみ消す。④予備調査をしても、本調査をしない。⑤本調査をしても、シロありきで、御用委員が調査内容を捻じ曲げ、クロなにのシロと結論する。文部科学省は、この①~⑤の段階までの判定内容を公表しなくて良いと、情報の不透明さを擁護している。

⑥本調査でクロと判定しても、甘すぎる処罰ですます。⑦さらには、調査結果を発表しないこともある。⑧発表しても重要な情報を隠蔽したり、おざなりである。⑨情報開示請求をすると、肝心な箇所を黒塗りした文書を送ってくる。

つまり、ネカト対応のあらゆる段階で無対応・捻じ曲げ・隠蔽をする。

航空機事故や鉄道事故と同じで、調査委員は、原因・事実・状況を詳細にかつ徹底的につかまなければ、事故を防ぐ改善策は立てられない。

上記のような現状なので、日本のネカト・クログレイ行為の原因・事実・状況は断片的にしか把握できず、研究不正行為を的確に防ぐ方策を立てるのは難しい。

多くの大学・研究機関のこのような対応を、しかし、指摘・行政指導・是正するシステムが日本にはない(あっても貧弱)。

日本の新聞は、このような大学・研究機関のネカト調査結果を報道するので、新聞報道だけでは情報が歪んでしまう。

そして、ネカトに遭遇した時、告発に対する報復が怖いので、多くの人は告発しない。

それでも、正義感に満ちた日本人はたくさんいるので、以下の「ネカト通報のボランティア活動」を呼びかけた。

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ネカト通報のボランティア活動をしませんか。

日本の研究者のネカト疑惑を、所属大学に通報し、ネカト調査を要請する活動です。

ネカト疑惑者を自分で見つけるか、または、以下の表https://t.co/AvURVroDph
の「撤回公告」「pubpeer複数」から内容を判断して、選んで下さい。 pic.twitter.com/xyq0taSg4m

— 白楽ロックビル (@haklak) July 7, 2024

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しかし、「ネカト通報のボランティア活動」をしてくれる人は現れなかった。

白楽は、「研究不正大国の日本」を少しでも改善したい。

強く感じたのは、2022年3月18日に毎日新聞の記事が掲載された時、毎日新聞の鳥井記者から質問を受けた時である。

鳥井記者に、8年間の活動で「何か変わりましたか?」と質問された。

ウ~ン。予想していない質問だった。

即答できなかった。

正直、8年間の白楽の活動で、ブログを始めた時と現在とを比べ、「日本は変わらなかった」と答えた。(●白楽の卓見・浅見13【毎日新聞記者のインタビューでショックだったこと】

その時、白楽はブログを書いても無駄なので書くのを止めようかと思った。続けるなら、「何か変えなければ」と思う気持ちが強くなった。

白楽は、体力が衰退している。でも、待っていても「何も変わらない」。

「隗より始めよ」で、細々とでもいいから、日本の研究者倫理のありようを高め・維持するのに役立つことを願って、日本での研究疑惑を自分で通報することにした。

どこに焦点を絞るか?

日本の研究者倫理のありようが低い理由は、残念ながら多くある。

その中の、そこそこ重要な理由の1つは、上記したように、日本の大学・研究機関の対応に問題があるためだと白楽は思っている。

そして、その対応過程はほとんどが闇の中で、非公開で進行している。

それで、その部分を表に出し、問題点の改善を提案したいと考えた。

疑惑行為の通報に対して大学・研究機関がどのような対応をするのか、実際に通報し、その経緯を白楽ブログに公開し、同時に、白楽の視点で評価していこうと思う。

当該大学・研究機関がその経緯と評価を読み、改善することを願うが、他の大学・研究機関もその経緯と評価を読み、自分の大学・研究機関での改善に役立ててくれることも願う。

また、文部科学省などが規則改訂の機会に、どこをどう改訂するとよいのかの参考になれば、いいなと思う。

とりあえず、現実に起こっている事実を日本全体で共有しようと思う。これらを、日本の研究者倫理のありようを高め・維持するのに役立ててほしい。

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「5C 日本の研究疑惑:通報と対処 目次(1)」

  1. 高橋 陽子(Yoko Takahashi)(農業・食品産業技術総合研究機構 )2024年12月10日掲載最初