2023年3月5日掲載
ワンポイント:スードはテキサス大学MDアンダーソンがんセンター(University of Texas M D Anderson Cancer Center)・教授・医師で、NIH研究費を約51億円も獲得しているスーパースターだが、2017年に「パブピア(PubPeer)」で30論文のネカトが指摘されていた。スード研究室の複数の室員は大学の研究公正官、学部長、オンブス事務室、学外の研究公正局にネカト疑惑を通報した。しかし、テキサス大学はネカト調査をしなかった。2023年3月4日現在、ネカト疑惑論文が70報になったが、ネカト調査をしていない。本事件は「大学のネカト対応怠慢・不作為」事件でもある。撤回論文は1報あるが、この撤回論文に関しては、共同研究者がネカト犯でスードはネカト犯ではない。国民の損害額(推定)は20億円(大雑把)。
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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.概略
2.経歴と経過
3.動画
4.日本語の解説
5.不正発覚の経緯と内容
6.論文数と撤回論文とパブピア
7.白楽の感想
9.主要情報源
10.コメント
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●1.【概略】
アニール・スード(Anil Sood、Anil K Sood、ORCID iD:https://orcid.org/0000-0003-4242-1762、写真出典)は、米国のテキサス大学MDアンダーソンがんセンター(University of Texas M D Anderson Cancer Center)・教授・医師で、専門は産婦人科学(卵巣がん)である。
NIH研究費を約51億円も獲得しているスーパースターである。
しかし、「パブピア(PubPeer)」で30論文のネカト疑惑が指摘され、2017年7月17日のレオニッド・シュナイダー(Leonid Schneider)のブログでもネカトが指摘されていた。
2017年にシュナイダーが問題視した時、既にスード研究室の複数の室員は大学の研究公正官、学部長、オンブス事務室、学外の研究公正局に通報していた。
それで、白楽は、数年以内に、研究公正局のクロ発表があると予想していた。
2023年3月4日現在、しかし、研究公正局のクロ発表はない。
どうやら、テキサス大学はネカト告発を無視したようだ。
2023年3月4日現在、ネカト疑惑論文が70報になったが、ネカト調査をしていない。
撤回論文は1報あるが、共同研究者がネカト犯でスードがネカト犯ではない。
「大学のネカト対応怠慢・不作為」という「どうすりゃいいの?」ケースである。
テキサス大学MDアンダーソンがんセンター(University of Texas M.D. Anderson Cancer Center)。写真出典
- 国:米国
- 成長国:米国
- 医師免許(MD)取得:ノースカロライナ大学
- 研究博士号(PhD)取得:
- 男女:男性
- 生年月日:不明。仮に1962年1月1日生まれとした<
- 現在の年齢:62 歳?
- 分野:産婦人科学
- 不正論文発表:2004年~2022年(42~60歳?)の19年間
- 発覚年:2016年(54歳?)
- 発覚時地位:テキサス大学MDアンダーソンがんセンター・教授
- ステップ1(発覚):第一次追及者(詳細不明)の研究公正局への公益通報
- ステップ2(メディア):「パブピア(PubPeer)」、レオニッド・シュナイダー(Leonid Schneider)のブログ
- ステップ3(調査・処分、当局:オーソリティ):①テキサス大学MDアンダーソンがんセンターは調査していない
- 大学・調査報告書のウェブ上での公表:なし。調査していない
- 大学の透明性:調査していない(✖)
- 不正:ねつ造・改ざん
- 不正疑惑論文数:「パブピア(PubPeer)」で70報
- 時期:研究キャリアの中期から
- 職:事件後に研究職(または発覚時の地位)を続けた(〇)
- 処分:なし
- 日本人の弟子・友人:木村 正(Tadashi Kimura)(大阪大学・教授で日本産科婦人科学会・理事長)は2011年の共著論文がある
【国民の損害額】
国民の損害額:総額(推定)は20億円(大雑把)。
●2.【経歴と経過】
- 生年月日:不明。仮に1962年1月1日生まれとした
- 1984年(22歳?):アーカンソー大学(University of Arkansas)・医学部進学課程
- 1991年(29歳?):ノースカロライナ大学(University of North Carolina)で医師免許(MD)取得
- 1991年7月~1995年6月(29~33歳?):フロリダ大学(University of Florida)・研修医:産婦人科学
- 1995年7月~1998年6月(33~36歳?):アイオワ大学(University of Iowa)・フェロー:産婦人科学
- 2006年9月(44歳?):テキサス大学MDアンダーソンがんセンター(University of Texas M D Anderson Cancer Center)・教授
- 2016年(54歳?):不正研究が大学などに告発されるが、大学などは対処しない
- 2023年3月4日(61歳?)現在:教授職を維持:Anil K. Sood, M.D.| MD Anderson Cancer Center
●3.【動画】
以下は事件の動画ではない。
【動画1】
自分で研究を語る動画:「Meet gynecologic oncologist Anil Sood, M.D. – YouTube」(英語)2分22秒。
MD Anderson Cancer Center(チャンネル登録者数 16.2万人)が2018/02/10 に公開
【動画2】
「アニール・スード」と紹介。
インタビューで研究を語る動画:「Anil K. Sood, MD: The Phase III Study Of Pazopanib for Ovarian Cancer. – YouTube」(英語)5分41秒。
Vital Options International(チャンネル登録者数 1020人)が2013/07/12 に公開
●5.【不正発覚の経緯と内容】
★多くの研究費を得ているアニール・スード(Anil Sood)
アニール・スード(Anil Sood)はたくさんの研究費を得ている。Anil K. Sood – Grants
別のサイトではNIHから119件で、白楽が研究費を集計すると51,315,432ドル(約51億円)となった。巨額である。→ RePORT ⟩ Anil K. Sood
さらに別のサイトでは1998~2020年の23年間に126件も採択されたとある。 → Grantome: Search:Anil Sood
2020年だけで13件も採択された。以下はその一部。
★2017年時点で28論文にネカト疑惑
アニール・スード(Anil Sood)は多量のネカト疑惑論文が指摘されている。
2017年7月18日(55歳?)時点で「AS(告発名)」が28報のネカト疑惑論文をリストした。以下にコピペした。
1. https://pubpeer.com/publications/41345D5A0B74BEB49E69FB88C70D89
2. https://pubpeer.com/publications/BB557953BDC92F5AE01F9F8D78C471
3. https://pubpeer.com/publications/6FEEE500CAAF869B3CEB720EA61A5F
4. https://pubpeer.com/publications/FF8EB6BE7BC568814DCDDBFA7A8F02
5. https://pubpeer.com/publications/A387CA802D4FDEA7B544A5F5BE9315
6. https://pubpeer.com/publications/97C63F55C0A3FDD84E5B15298B65FE
7. https://pubpeer.com/publications/18775E8B92454F8A1580B7F5FFE501
8. https://pubpeer.com/publications/ACFDDAB4B04726895AF4A8BE39136A
9. https://pubpeer.com/publications/664E1025444203290B85023C6BBF63
10. https://pubpeer.com/publications/46B54DFF7ED1EE2FCC0AEB59310163
11. https://pubpeer.com/publications/2AE801810C514EA0D137B64E780FFF
12. https://pubpeer.com/publications/BAEAED93DA4C6A5AECE428625F3F24
13. https://pubpeer.com/publications/F6126D0A36C7AA1DD794F3DAEAB1A4
14. https://pubpeer.com/publications/DC2711EB12252C11260090ABD6A2E1
15. https://pubpeer.com/publications/3A996EDBA100AD6500D9EFA565C61E
16. https://pubpeer.com/publications/1E56DD1C8BC96E737E0C297045A18E
17. https://pubpeer.com/publications/51D028D92D875906DFDDB2CC1B3F74
18. https://pubpeer.com/publications/E6F6B3E50D13D0C5AD3469D9DB8336
19. https://pubpeer.com/publications/B1EF33A5D65F72B15C709D16E9A4AC
20. https://pubpeer.com/publications/300952C4A75F59617946262DE71F78
21. https://pubpeer.com/publications/31DA0C968826820E5DBF721B8054A5
22. https://pubpeer.com/publications/1C5EA686AF0E3644E1EC76D49AD83C
23. https://pubpeer.com/publications/565C62E8603AEF98B45351B4310867
24. https://pubpeer.com/publications/649DA4D7EB7652A1004E420D03A1A9
25. https://pubpeer.com/publications/241F7731551CD2805B96B0F10C67B9
26. https://pubpeer.com/publications/FE72BF49CD0B4C48934F0D37B0BE44
27. https://pubpeer.com/publications/46EFC9321F213AB35A52570E2C5AF9
28. https://pubpeer.com/publications/A46F62F8E4C008FDD6DAE4F7B0BBEE
★ネカト調査せず
2017年7月18日、アニール・スード(Anil Sood)の28報のネカト疑惑をブログ記事に掲載したレオニッド・シュナイダー(Leonid Schneider)あてに、スード研究室の4人の元室員から、別々に、シュナイダーに情報提供があった。
その情報を基にした2017年11月21日のレオニッド・シュナイダー(Leonid Schneider)のブログ記事は以下のような状況を記述している。
28報のネカト疑惑論文は、2004年~2017年(42~55歳?)に出版された論文である。
2016年8月(54歳?)以降だけでも、9人の研究者がネカトを告発した。
告発先は、研究公正局(ORI)、MDアンダーソンがんセンター自身の研究公正官(Research Integrity Officer (RIO))であるウィリアム・プランケット(William Plunkett、写真左出典)、または学科長、またはオンブズ室(Ombuds Office) 、または大学院長のミシェル・バートン(Michelle Barton、写真右出典)である。
しかし、MDアンダーソンがんセンターはネカト調査をしなかった。
MDアンダーソンがんセンターは、スード研究室での不正疑惑を無視した(している)。レオニッド・シュナイダーがプランケット研究公正官にメールで問題を指摘しても、対応しなかったし、現在も、してない。
スード研究室の有力メンバーのほとんどは、既に、他大学に移籍してしまった。それにもかかわらず、事情を知らない新しい院生がスード研究室に入学してくる。
★2023年3月4日現在で70論文にネカト疑惑
2023年3月4日(61歳?)現在、「パブピア(PubPeer)」では、アニール・スード(Anil Sood)の論文のコメントを「”Anil K. Sood”」で検索すると、70論文にコメントがあった。
2023年3月4日(61歳?)現在、MDアンダーソンがんセンターは、スードのネカト疑惑を調査していない。研究公正局の発表もない。
撤回論文「2014年8月のNature」論文のは1報だけである。書誌情報は以下である。
- miR-34a blocks osteoporosis and bone metastasis by inhibiting osteoclastogenesis and Tgif2.
Krzeszinski JY, Wei W, Huynh H, Jin Z, Wang X, Chang TC, Xie XJ, He L, Mangala LS, Lopez-Berestein G, Sood AK, Mendell JT, Wan Y.
Nature. 2014 Aug 28;512(7515):431-5. doi: 10.1038/nature13375. Epub 2014 Jun 25.
ただ、この論文のネカト犯はスードではない。
テキサス大学・サウスウェスタン・メディカルセンター(University of Texas Southwestern Medical Center)・準教授のイーホン・ワン(Yihong Wan)がこの論文のネカト犯だと、2020年12月21日、研究公正局が発表している。 → イーホン・ワン、万一红(Yihong Wan)(米) | 白楽の研究者倫理
●【ねつ造・改ざんの具体例】
★ネカト過程
2017年11月21日のレオニッド・シュナイダー(Leonid Schneider)のブログ記事にスード研究室に在籍していた告発者「Hydrangea quercifolia」(告発名)が例示している。
問題の論文は以下の「2017年8月のJCI Insight.」論文である。
- Adrenergic-mediated increases in INHBA drive CAF phenotype and collagens.
Nagaraja AS, Dood RL, Armaiz-Pena G, Kang Y, Wu SY, Allen JK, Jennings NB, Mangala LS, Pradeep S, Lyons Y, Haemmerle M, Gharpure KM, Sadaoui NC, Rodriguez-Aguayo C, Ivan C, Wang Y, Baggerly K, Ram P, Lopez-Berestein G, Liu J, Mok SC, Cohen L, Lutgendorf SK, Cole SW, Sood AK.
JCI Insight. 2017 Aug 17;2(16):e93076. doi: 10.1172/jci.insight.93076. eCollection 2017 Aug 17.
第一著者のアルカナ・ナガラジャ(Archana S Nagaraja、写真左出典)は、スード研究室の院生だった。
図5Dの実験をしたのは、第二著者のロバート・ドゥード(Robert Dood、現・ユタ大学・助教授、写真右出典)だった。
スードは研究データの検討をしつつ、ロバート・ドゥードが実験で得た生データの値を改ざんして実験記録としていく。
多くの研究室員はその数字に合うように、あるいは、調整できる範囲内に実験値を記録していく。
以下の図は、この論文のデータ「マウスの体重、腫瘍の重量、転移の位置、転移の数」の値を書いたメモで、書いた人はスードである。
「2017年8月のJCI Insight.」論文として出版された図5Dは、スードの手書きのメモの値を基に描かれた図だが、ロバート・ドゥードが実験で得た生データとは合わない。
以下の上段が出版された図5Dで、下段は、ロバート・ドゥードが実験で得た生データを図にしたものである。
★ネカト部分
ネカト疑惑論文が70報もある。
論文を4報選んで、そのネカト部分を以下に示す。論文の書誌情報は略記した。
―――――――1報目:以下は「Clinical cancer research (2004):」論文―――
以下のパブピアの図の出典:https://pubpeer.com/publications/040E8DB1C9C99239AB96CB3C21C44C
―――――――2報目:以下は「Clinical cancer research (2011)」論文―――
論文の著者に多数の日系人の名前がある。第一著者は「Koji Matsuo」で日系米国人らしい。現在、大阪大学・教授で日本産科婦人科学会・理事長の木村 正(Tadashi Kimura)も共著者である。
2021年8月1日、この論文は懸念表明が付いた。
以下のパブピアの図の出典:https://pubpeer.com/publications/ECE3235F87E6BC26C450E5DD64E47F
―――――――3報目:以下は「Nature Communications (2013)」論文―――
2022年11月xx日、ネカトハンターのエリザベス・ビック(Elisabeth Bik)が指摘した。
以下のパブピアの図の出典:https://pubpeer.com/publications/42E4488A7545FFCCAAED5EF1474448
これだけだと画像が小さく同じバンドの重複使用なのかどうかわからない。以下に拡大した。
―――――――4報目:以下は「Cancer Research (2011)」論文―――
2022年10月xx日、ネカトハンターのエリザベス・ビック(Elisabeth Bik)が指摘した。
以下のパブピアの図の出典:https://pubpeer.com/publications/4D0A584486B552B6BD226DFEA4B09E
●6.【論文数と撤回論文とパブピア】
★パブメド(PubMed)
2023年3月4日現在、パブメド(PubMed)で、アニール・スード(Anil Sood)の論文を「Anil Sood[Author]」で検索した。この検索方法だと、2002年以降の論文がヒットするが、2002~2023年の22年間の716論文がヒットした。
2023年3月4日現在、「Retracted Publication」のフィルターでパブメドの論文撤回リストを検索すると、「2014年8月のNature」・1論文が撤回されていた。
「2014年8月のNature」論文の書誌情報は以下である。
- Adrenergic-mediated increases in INHBA drive CAF phenotype and collagens.
Nagaraja AS, Dood RL, Armaiz-Pena G, Kang Y, Wu SY, Allen JK, Jennings NB, Mangala LS, Pradeep S, Lyons Y, Haemmerle M, Gharpure KM, Sadaoui NC, Rodriguez-Aguayo C, Ivan C, Wang Y, Baggerly K, Ram P, Lopez-Berestein G, Liu J, Mok SC, Cohen L, Lutgendorf SK, Cole SW, Sood AK.
JCI Insight. 2017 Aug 17;2(16):e93076. doi: 10.1172/jci.insight.93076. eCollection 2017 Aug 17.
前述したように、この論文のネカト犯は、テキサス大学・サウスウェスタン・メディカルセンター(University of Texas Southwestern Medical Center)・準教授のイーホン・ワン(Yihong Wan)だと、2020年12月21日、研究公正局が発表している。 → イーホン・ワン、万一红(Yihong Wan)(米) | 白楽の研究者倫理
★撤回監視データベース
2023年3月4日現在、「撤回監視(Retraction Watch)」の撤回監視データベースでアニール・スード(Anil Sood)を「Anil K Sood」で検索すると、 2論文が訂正、4論文が懸念表明、1論文が撤回されていた。
撤回されたのは「2014年8月のNature」論文で、上記のように、ネカト犯はアニール・スードではない。
★パブピア(PubPeer)
2023年3月4日現在、「パブピア(PubPeer)」では、アニール・スード(Anil Sood)の論文のコメントを「”Anil K. Sood”」で検索すると、70論文にコメントがあった。
●7.【白楽の感想】
《1》利益相反
ネカトの調査は疑惑研究者の所属する大学・研究所が調査することは、日本でも米国でも標準的な方法になっている。
この方式は典型的な利益相反で、とてもマズイ。
このネカト調査体制では、当然、多くの大学は自大学に都合の悪い部分を削除・歪曲・隠蔽しながら、ネカト調査、つまり調査不正をする。
そして、極端な場合だと思うが、ネカト調査不正どころか、アニール・スード(Anil Sood)事件のように、大学はネカト調査そのものをしない。怠慢・不作為を貫く。
大学のこの怠慢・不作為に対して研究公正局は無力で何もできない。今回はそのあからさまな例である。
この典型的な利益相反下のネカト調査を、日本も米国も何十年と平然と続けている。イヤイヤ、米国がしているから日本は追従しているだけなんだろうが、なんとも情けない状況である。
「どうすりゃいいの?」ケースである。
アニール・スード(Anil Sood)研究室。 https://faculty.mdanderson.org/profiles/anil_sood.html
《2》頻度
「大学のネカト対応怠慢・不作為」件数が米国でどのくらいあるのか、白楽は数値を把握していないが、かなりあるのではないかと想像する(ネカト申立ての数割?)。
レオニッド・シュナイダーは欧州委員会の研究資金提供機関である欧州研究評議会 (ERC)もネカト疑惑に対処しないと指摘している。また、研究助成中の研究者にネカト疑惑を指摘しても、欧州研究評議会 (ERC)は助成が終わるまで対処しないのが通例らしい。
例えば以下の事件である。
- カルロス・ロペス=オーチン(Carlos López-Otín)(スペイン) | 白楽の研究者倫理
- ジェイニーン・エーラー(Janine Erler)(デンマーク) | 白楽の研究者倫理
- マリア・フステリ(Maria Fousteri)(オランダ) | 白楽の研究者倫理
- オリヴィエ・ヴォワネ(Olivier Voinnet)(スイス) | 白楽の研究者倫理
米国や欧州では「大学のネカト対応怠慢・不作為」を指摘し非難する人がいるが、日本では指摘する人、非難する人はとても少数である。
日本では大学のネカト調査不正だけでなく、「ネカト対応怠慢・不作為」が頻繁に起こっている、と思われる。
それが、日本が研究不正大国である一因だと思う。
白楽ブログでは、数年前(?)まで「大学のネカト対応怠慢・不作為」をあまり記事にしてこなかった。
その大きな理由は、大学がネカト対応怠慢・不作為だった場合、ネカト行為は事件として報道されないので、白楽は知る由もなかったからである。
大学がクロと発表して初めて、あるいは、新聞がネカト事件をスクープし報道して初めて、白楽はネカト事件を把握できる。
しかし、ネカトでシロとなった事件、そして大学のネカト対応怠慢・不作為の場合、白楽を含め世間一般はネカト事件を知ること(知る手段)はない。
「大学のネカト対応怠慢・不作為」があったかどうかを知る手段がないので、「大学のネカト対応怠慢・不作為」事情は分からないし、批判もできない。
「どうすりゃいいの?」、である。
白楽は現在でも「大学のネカト対応怠慢・不作為」があったかどうかを知る「正当な」手段はない。ただ、自分が関係した長崎大学と名古屋大学の ネカト事件で大学の対応に非常に驚き、見えていなかった闇を見るようになったことと、根拠なく信用していた大学を、静かに見て、「大学のネカト対応怠慢・不作為」を感知できるようになった。経験を積み、少し賢くなったこともあるだろう。
なお、誤解しないと思うが、日本・米国・欧州以外の国でも勿論、「大学のネカト対応怠慢・不作為」はゴマンとある。1例を挙げれば、韓国の以下の事件。
アニール・スード(Anil Sood)。https://faculty.mdanderson.org/profiles/anil_sood.html
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日本がスポーツ、観光、娯楽を過度に追及する現状は日本の衰退を早め、ギリシャ化を促進する。日本は、40年後に現人口の22%が減少し、今後、飛躍的な経済の発展はない。科学技術と教育を基幹にした堅実・健全で成熟した人間社会をめざすべきだ。科学技術と教育の基本は信頼である。信頼の条件は公正・誠実(integrity)である。人はズルをする。人は過ちを犯す。人は間違える。その前提で、公正・誠実(integrity)を高め維持すべきだ。しかし、もっと大きな視点では、日本は国・社会を動かす人々が劣化している。どうすべきなのか?
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●9.【主要情報源】
① 2017年7月17日のレオニッド・シュナイダー(Leonid Schneider)のブログ記事:Anil Sood and other questionable stars of MD Anderson – For Better Science
② 2017年11月21日のレオニッド・シュナイダー(Leonid Schneider)のブログ記事:Anil Sood and how much MD Anderson doesn’t care: whistleblowers speak out – For Better Science
③ 2019年5月17日のレオニッド・シュナイダー(Leonid Schneider)のブログ記事:New ERC President Mauro Ferrari was partner of Texas cheater Anil Sood – For Better Science
★記事中の画像は、出典を記載していない場合も白楽の作品ではありません。
●コメント
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