7-50 研究界のアカハラ問題

2020年4月10日掲載  

白楽の意図:日本の研究者、大学・研究所、文科省はアカハラ問題をあまり深刻に考えていない印象がある。英米の研究者、大学・研究所、研究助成機関がこの問題にどのように対処しているかを解説したホリー・エルス(Holly Else)の「2018年11月のNature」論文を読んだので、紹介しよう。

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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.論文概要
2.書誌情報と著者
3.日本語の予備解説
4.論文内容
5.関連情報
6.白楽の感想
8.コメント
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【注意】「論文を読んで」は、全文翻訳ではありません。ポイントのみの紹介で、白楽の色に染め直してあります。

●1.【論文概要】

白楽注:本論文は学術論文ではなくウェブ記事である。本ブログでは統一的な名称にするため論文と書いた。

アカハラ事件が、いくつかの有名な大学・研究所を揺るがした。 研究者、大学・研究所、研究助成機関はこの問題にどう対処しているのか?

●2.【書誌情報と著者】

★書誌情報

★著者

  • 単著者:ホリー・エルス(Holly Else)
  • 紹介:https://www.nature.com/nature/about/editors
  • 写真: https://www.timeshighereducation.com/content/holly-else
  • ORCID iD:
  • 社交メディア:https://twitter.com/hollyelse
  • 履歴:https://www.nature.com/nature/about/editors
  • 国:英国
  • 生年月日:現在の年齢:44 歳?
  • 学歴:英国・シェフィールド大学(University of Sheffield)で学士号(生物医学)、インペリアル・カレッジ・ロンドン(Imperial College London)で修士号(科学コミュニケーション)
  • 分野:科学記者
  • 論文出版時の所属・地位:ネイチャー記者(Reporter, London)。2018年にネイチャーに入社

●3.【日本語の予備解説】

なし

●4.【論文内容】

本論文は学術論文ではなくウェブ記事である。本ブログでは統一的な名称にするため論文と書いた。

方法論の記述はなく、いきなり、本文から入る。

本記事では、「アカハラ」と「イジメ」の用語を併用した。

ーーー論文の本文は以下から開始

《1》序論 

2018年8月、英国の有力な科学研究所であるロンドンの癌研究所(Institute of Cancer Research、ICR)でアカハラ非難の嵐が吹き荒れた。著名な女性癌遺伝学者のナズニーン・ラーマン教授(Nazneen Rahman)が研究室員をイジメたことで、ラーマン教授は癌研究所を辞任した。前例のないことだが、生物医学慈善団体のウェルカム・トラスト(Wellcome Trust)は、ラーマン教授への採択助成金、450万ドル(約4億5千万円)を取り消した。

3か月後、ラーマン研究室員の多くは癌研究所を去った。

しかし、ラーマンはコメントしておらず、癌研究所は情報を公開していない。機密性の高い個人情報が含まれているという理由で、ウェルカム・トラストも調査結果を公開していない。

つまり、事件の詳細は不明である。

この隠蔽(情報不開示)のため、ラーマン事件からの教訓は研究界に生かされない。

研究機関と研究者がアカハラ問題に直面した時、どのように対処し、あるいは、対処されるのかわからない。隠蔽(情報不開示)の結果、混乱が生じ、問題解決が困難になるという典型的な例になっている。

しかし、実は、世界一流の研究機関を揺るがしたアカハラ事件が、2018年の1年間にいくつも起こっていた。大局的に眺めれば、ラーマン事件は、その一連のアカハラ事件の1つでしかない。

ドイツのマックス・プランク学術振興協会(Max Planck Society)傘下の有名な研究所で、グィネヴィア・カウフマン(Guinevere Kauffmann)とタニア・シンガー(Tania Singer)の2人の研究部長がアカハラで別々に告発された。

英国では、バース大学の古生物学者・ニコラス・ロングリッチ(Nicholas Longrich)が、アカハラで、100万ポンド(約1億4千万円)の研究費が取り消された。

世界有数のゲノミクス研究所である英国のウェルカム・サンガー研究所(Wellcome Sanger Institute)は、マイケル・ストラットン(Michael Stratton)のアカハラを調査した。結局は、ストラットンを無罪としたが、この結論に、アカハラ被害者とアカハラ問題に関心のある多くの研究者が、調査結果に疑問を呈する事態となった。

2018年、ウェルカム・トラスト(Wellcome Trust)、キャンサーリサーチUK(Cancer Research UK:CRUK)などの研究助成財団は、アカハラ禁止の方針を発表した。つまり、アカハラ研究者には研究費を支給しないことにした。

アカハラ問題が大きな関心を集めるにつれ、イジメ蔓延の研究室(つまり、毒ラボ)とアカハラ研究者が非難されるようになった。さらに、大学・研究機関がそのようなアカハラ研究者をかばい、擁護し、告発されても甘い処分しかしてこなかったことに強く問題視されるようになった。

それで、本論文では、アカハラの具体的行為、アカハラが非難される理由、アカハラが研究者に与える影響を以下に議論していく。

《2》アカハラの定義 

?

心理学者と労働学者は、同僚間のイジメを、一般的に、「特定の人に対して、その人の害になることを、繰り返し、悪意を持ってすること」と定義している。明白には、「大声で怒鳴る、侮辱する、脅迫する」ことである。

しかし、セントルイスのワシントン大学(Washington University in St Louis)で研究者のリーダーシップと管理を研究する心理学者のアリソン・アンテス助教授(Alison Antes、写真出典)は、イジメにはもっと微妙な言動が含まれる、と指摘する。

「悪意のある噂を広めたり、研究成果やアイデアをけなしたり、研究・仕事に必要な情報を伝えないなどのアカハラ行為がある。部下に対して、威圧的で横柄に振る舞う、頻繁に要務を変更する、不可能な作業量や達成困難な期限を設定するアカハラ行為もある。これら微妙で悪意のあるアカハラ行為は検出するのが難しく、異なる解釈が可能なため、多くの場合、公式にはアカハラ行為と認定されていない。この線引きの難しさもアカハラの別の問題になっている」、とアンテス助教授は指摘する。

「一部の行為はグレイです。運営を厳格に行なったつもりの言動が、別の人にとっては、イジメられたと受け取れる」、とアンテス助教授は言います。「たとえば、指導教員が、院生にとって馴染みのない実験作業を〇〇日までに終えるように指示した場合、院生は徹夜で実験するかもしれない。これはイジメだろうか?」

院生は経験が浅いから、馴染みのない実験作業に取り組むケースは珍しくない。そうやって新しい技術を習得していく。そして、学会発表や論文提出には期限がある。期限に間に合わない研究成果は意味がない。

《3》「厳しい」教育とアカハラの境界 

ミシガン州デトロイトにあるウェイン州立大学(Wayne State University in Detroit)のコミュニケーション科学者であるロラリー・キーシュリー教授(Loraleigh Keashly、写真出典)は、答えはより広範な行動とアプローチに依存していると指摘する。

指導教員の「厳しい」言動は、期待を明確に設定し、相手と直接話し合って伝えれば、アカハラにならない。指導教員は、期待に応えた院生・スタッフを認め、感謝する。目標を達成できない場合、優秀な指導教員なら、具体的で建設的な代替案を提示する、とキーシュリー教授は説明した。

オランダのユトレヒト大学(Utrecht University)の社会心理学者であるナオミ・エレマーズ教授(Naomi Ellemers 、写真出典)は、学術界で研究者がどのように扱われるかを研究している。

「境界線のを超えない上司や指導教員は、部下や院生・ポスドクに目標を達成するための時間、援助、必用な資料・情報を与え、敬意を持って接している」と指摘した。

対照的に、「アカハラ上司や指導教員は、部下や院生・ポスドクが研究者として成長することに興味がない。イジメのターゲットが、うまく仕事・研究をこなしたかどうかにかかわらず、気まぐれにイジメる」とキーシュリー教授は指摘した。

《4》アカハラの蔓延 

研究界にアカハラがどれほど蔓延しているのだろうか? そして、研究界のアカハラは悪化しているのだろうか?

実は。研究界のアカハラがどのくらい続いているのか、誰も知らない。調査した人がいないからだ。職場のイジメの研究は1990年代に始まったばかりで、一部の研究者は自分の研究室で何が起こっているのかを知らない。

しかし、キーシュリー教授の研究(「2015年のSPECTRA」論文)によると、過去1年間に、世界の研究者の4分の1から3分の1がイジメられた。約40%が、他の誰かがイジメられているのを目撃、または聞いたことがあると答えている。これは一般的な職場でのイジメの頻度よりかなり高い。米国では、一般労働者の10〜14%が、前年にイジメを経験したと報告している。

大学のアカハラに関する大規模な研究を英国大学連合が行ない、2012年に発表した。英国の14,000人の高等教育の教職員を対象にした調査で、その結果、92大学でアカハラ頻度は2%~19%と大きく異なることが判明した。

2000年の「Hoel, H. & Cooper, C」論文では、15職種の5,288人の労働者を調査した。その結果、高等教育界に従事する483人の教職員の7%がアカハラを受けたと答えた。この数値は、15職種の中で下から3番目という低い数値だった(小売業と製造業がもっと低かった)。

つまり、キーシュリー教授の研究結果と異なり、大学の労働者はアカハラ頻度はもっと少ない職種の1つだったのだ。

しかし、「Hoel, H. & Cooper, C」論文の共著者で、英国マンチェスター大学(University of Manchester, UK)の職場心理学者であるケーリー・クーパー教授(Cary Cooper、写真出典同)は、この数値は大学の真のイジメ数を少なく見積もっていたと指摘した。2000年の「Hoel, H. & Cooper, C」論文でのイジメの定義はかなり厳密で、被害者に永続的で屈辱的な仕事を与え、過小評価していた場合だけをイジメと認定したとのことだった。

比較のために数値をあげると、ギリシャの17の病院の新生児集中治療室でのイジメに関する調査では、約400人の医師・看護師の半分以上がイジメを経験していた。

2017年4月に実施した1,000人を超える米国成人のオンライン調査では、19%が職場でのイジメを経験していた。

そして、研究界のアカハラは悪化しているのだろうか? という問いに、キーシュリー教授(前出)は、研究界でのイジメに関する研究データが非常に少ないため、悪化しているのかどうかは不明だと答えた。

英国の大学労働組合(UK University and College Union)の政策責任者であるマット・ワダップ(Matt Waddup、写真出典)は、イジメを組合に訴えられても、別の問題と絡むことが多いので、必ずしも簡単にイジメだと特定できない。でも、大学でイジメ(つまり、アカハラ)頻度は増加していると思う、と述べた。

その理由の1つとして、社会全体で人々の許容できる言動が変化していることを挙げた。

ナオミ・エレマーズ教授(前出)によれば、#me too運動により、弱い立場の人々がイジメ、嫌がらせ、その他の不適切な行為を告発する敷居が低くなった。それに、大学の担当者は、かつては、アカハラの告発を却下したり無視したりする傾向が強かった。しかし、現在は、担当者が正面から取りあげるようになった。

ロンドンのキャンサーリサーチUK(Cancer Research UK:CRUK)の主任科学者であるカレン・ヴーデン(カレン・ヴァウスデン、Karen Vousden、写真出典)は、研究助成した研究室にアカハラ対策規則を、最近、導入させた。イジメは研究界特有の問題ではなく、あらゆる領域でイジメ問題への対策が議論されている。研究界もアカハラ問題を議論し始めている、とヴーデンは述べた。

《5》アカハラの原因 

研究者はどうしてアカハラをするのだろうか?

アリソン・アンテス・助教授(前出)は、ほとんどの研究者は「まっとうなことをしている(do the right thing)」。しかし、例外的な研究者がいる。それに、科学研究システムの側面が、その例外的な研究者にアカハラを奨励している、と指摘した。

現行の科学研究システムでは、院生、ポスドクなど研修生は、研究指導、推薦書、就職の機会を指導教員に依存している。従って、指導教員は依存する研修生に強大な権力を行使できる。この依存関係と上下の階層構造があるために、被害者や周囲の人が加害者に立ち向かったり、加害教員のさらに上の教員に相談したり、研究室から逃げだすことが難しい。その結果、アカハラが長い間、続くことになる。とナオミ・エレマーズ教授(前出)は指摘した。

イジメは必ずしも悪意があるわけでない。助成金の獲得、研究成果の達成、論文出版という強い圧力が、意図せずして、問題行動をとるように指導教員を後押ししている。

別の視点でみても、研究界はアカハラ体質になりやすい。米国のウェストバージニア大学(West Virginia University)でイジメの研究をしているマシュー・マーティン(Matthew Martin、写真出典)は、もともとアカハラ体質の人が研究者になりがちだと主張する。

研究者は非常に知的な人々だが、同時に自我が強い。そういう自我が強い人、つまり自己中心的な人が研究者になる。そして、自己中心的な研究者の多くは、他人の感情に関心がないため、アカハラを起こしやすい、と彼は指摘した。

研究界では、特定の分野の専門家はほんの一握りしかいないことが多い。アカハラされている研修生(院生・ポスドク・若手研究者)は、我慢していれば、いずれ学位・就職・昇進などで報われるので、アカハラに耐えようと考える、とアリソン・アンテス助教授(前出)は指摘する。 「あなたが研究者として成功するのは、指導教員の率いる研究室が大きな研究成果をあげることに依存しているのです」。この一蓮托生のシステムのため、研修生はアカハラ被害を受けていても、指導教員を告発できない。

さらに、シゴキが当たり前の研究室で初期の研究キャリアを過ごした研究者もいる。その後、大学教員になれた研究者は、院生・ポスドク時代に研究室でシゴかれたことで、研究者として成功できたと考えている。従って、自分を成功に導いてくれたこれらのシゴキ教育を自分の研究室の院生・ポスドク・若手研究者に適用しようとする。この場合のイジメ行為は、指導教員にとって、「彼らのために、教育上良かれと思ってした教育的指導」という認識になる、とアリソン・アンテス助教授は説明した。

《6》大学と研究助成機関の対応 

英国のほとんどの大学は、アカハラ禁止規則を制定した。通常、これらの規則はアカハラの定義と具体例を示していて、アカハラ問題に遭遇した場合の対処方法についてのアドバイスになる、とマット・ワダップ(前出)は指摘する。

2018年7月、バース大学(University of Bath)はニコラス・ロングリッチ(Nicholas Longrich)がアカハラ禁止規則に違反したことが判明したため、ロングリッチを懲戒処分に科した。バース大学は彼を口頭で注意し、彼との契約を変更した。

ロングリッチから被害を受けた人は、大学の処分が不十分だと批判した。一方、バース大学のスポークスマンは、ネイチャー記者に「当大学は、関係者が合理的で、矛盾なく、公正に扱われるように処置したことを保証します」と弁明している。

その後、リーヴァーヒューム・トラスト財団(Leverhulme Trust)は、2016年にロングリッチに交付した100万ポンド(約1億4千万円)の研究助成金を取り消した。

一般に、規則というものは、規則を制定しただけでは不十分だ、とイリノイ大学アーバナ・シャンペーン校(University of Illinois at Urbana–Champaign)の研究公正の専門家・シーケー・ガンセイラス(C. K. Gunsalus、写真出典:http://www.gunsalus.net/about.html)は指摘する。

悪い行為を減らすためには、指導者は、一貫して、規則を適用し、アカハラ加害者を処罰し、アカハラ行為の結果が何をもたらすことを示す必要がある。 「あなたができる最悪のことは、規則を制定しておいて、それを適用しないことです。問題を一層を強化してしまいます」。

アカハラ禁止規則は世界中で大きく異なる。

英国のほとんどの大学は、アカハラ禁止規則を制定しているが、米国の大学は一般的ではない。高等教育でのイジメを研究しているメリーランド州のモーガン州立大学(Morgan State University in Baltimore, Maryland)のリア・ホリス準教授(Leah Hollis、写真出典)による未発表の研究によると、米国の大学は、5分の1程度しか規則を制定していない。フランスでは、職場でのイジメは「モラハラ(moral harassment)」と呼ばれ、法律に違反する。オーストラリア、スウェーデン、ベルギー、カナダにも同様の法律がある。

2018年の1年間にアカハラ事件が注目を集めるようになったため、ウェルカム・トラスト(Wellcome Trust)などの英国の主要な研究助成機関はアカハラ禁止という政策を策定し始めた。 ただ、米国のNIH(US National Institutes of Health)や科学庁(US National Science Foundation)は、アカハラ対策について特になにも言及してない。

《7》学問と研究者への影響 

アカハラが学問にマイナスの影響があるかどうかは誰にもわからないが、アリソン・アンテス助教授(前出)は、マイナスの影響があると考えている。 「毒ラボで成功できる人がいるかもしれませんが、ほとんどの人はそうではないと思います」とアンテス助教授は指摘する。

ロラリー・キーシュリー教授(前出)は、イジメられている人は間違いを犯す可能性が高くなる。それに、最悪の場合、イジメられると、精神的または肉体的な健康を長期間損なう。これは、被害者自身だけでなく、ラボ全体の創造性、生産性、幸福感を損なう、と指摘した。個人が打撃を受けるというのが、1つ目のマイナス点である。

2つ目のマイナス点は、組織が打撃を受けるという点である。

ナズニーン・ラーマン(Nazneen Rahman)がアカハラで癌研究所を辞任し、ウェルカム・トラスト(Wellcome Trust)が、ラーマン教授に与えた450万ドル(約4億5千万円)の研究費を取り消した。

ラーマン事件では、研究室が大きく変化したが、癌研究所も大きな影響を受けた。癌研究所は、チームリーダーが去った時の標準的なプロセスに従っただけだと言うが、ラーマン研究室にいた15人のうち10人が癌研究所を辞めた。

アカハラの3つ目のマイナス点は、特に標的となった被害者が研究キャリアを辞め、研究界から永久に遠ざかることだ。

「当研究所の研究員は非常に貴重です。私たちは研究院の育成とその資金の調達に膨大な時間を費やしています。 私たちにとって、研究員こその最も貴重な存在です」と、キャンサーリサーチUK(Cancer Research UK:CRUK)のカレン・ヴーデン(カレン・ヴァウスデン、前出)は指摘した。

《8》どうすべきか 

アカハラ問題をいろいろ述べてきたが、では、この問題をどう解決すべきなのだろうか?

大学・研究機関の次の大きな仕事は、人々が対立することなく気楽に懸念を表明できる風通しの良い支援的な環境を作ることだ。

気楽に表明できる環境を作れば、状況が「10年間もアカハラ被害を受けていた50人が、あるとき立ち上がってアカハラ被害を訴える」という事態になるまでアカハラがエスカレートするのを防ぐことができる、とカレン・ヴーデン(カレン・ヴァウスデン、前出)は指摘した。

キャンサーリサーチUK(Cancer Research UK:CRUK)は、この目標達成に向けて、研究助成した大学・研究機関がアカハラ禁止規則を制定し順守していることを確認・監査している。

ケーリー・クーパー教授(前出)は、もう1つの重要なステップは、大学・研究機関がアカハラ管理を担う研究者にトレーニングをすることだ。大学・研究機関はまた、アカハラ管理の仕事を引き受けた研究者に報酬を与えるべきだ、と述べている。

リア・ホリス準教授(前出)は、アカハラ禁止規則を制定していない大学・研究機関は、すぐにでも、アカハラ禁止規則を制定すべきだ、と述べた。

さらに重要なのは、大学・研究機関は、制定した規則に従うことです。この指摘はヘンに聞こえるかもしれないが、多くの大学・研究機関は、実は、自分たちが制定した規則に従っていません。

そして、この規則はアカハラ加害者が学長か下層職員であるかに関係なく適用しなければならない。 「組織がイジメを許可しているから、イジメが起こっているのです(Bullying occurs because the organization allows it to occur)」、とリア・ホリス準教授(前出)は批判した。

●5.【関連情報】

省略

●6.【白楽の感想】

《1》優れた論文 

優れた論文だ。感動ものである。ホリー・エルス(Holly Else)、素晴らしい!

https://media.nature.com/original/magazine-assets/d41586-018-07532-5/d41586-018-07532-5.pdf

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日本がスポーツ、観光、娯楽を過度に追及する現状は日本の衰退を早め、ギリシャ化を促進する。今後、日本に飛躍的な経済の発展はない。科学技術と教育を基幹にした堅実・健全で成熟した人間社会をめざすべきだ。科学技術と教育の基本は信頼である。信頼の条件は公正・誠実(integrity)である。人はズルをする。人は過ちを犯す。人は間違える。その前提で、公正・誠実(integrity)を高め維持すべきだ。
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★記事中の画像は、出典を記載していない場合も白楽の作品ではありません。

●8.【コメント】

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