ラジビル・ダヒヤ(Rajvir Dahiya)、佐々木雅弘(Masahiro Sasaki)、菊野伸之(Nobuyuki Kikuno)(米)

2023年4月15日掲載 

ワンポイント:【長文注意】。ダヒヤはインド出身で、米国のカリフォルニア大学サンフランシスコ校(University of California, San Francisco)・教授、また、退役軍人局サンフランシスコ病院(Veterans Affairs Medical Center of San Francisco)・研究員になった。ダヒヤは著名な研究者だが、2003年、2004年、2007年、2008年の4論文が2017~2022年に、データねつ造・改ざんで撤回された。前2報の第一著者はダヒヤ研究室の佐々木、後2報の第一著者はダヒヤ研究室の菊野である。2人共日本に帰国し、日本で自分の診療所を設立し医者・院長として働いている。2013年(ダ57歳)にネカト疑念が指摘された。2017年3月(ダ60歳)、カリフォルニア大学サンフランシスコ校と退役軍人局サンフランシスコ病院のネカト調査委員会は、ネカトと結論し、佐々木と菊野がネカト者であると暗示した。この時、既に日本に帰国していた佐々木と菊野はネカト調査に無対応だった。なお、ダヒヤは論文撤回に同意せず、大学のネカト調査の不手際を指摘している。また、論文撤回依頼に学術誌がすみやかに応じなかった「学術誌のネカト対応怠慢・不作為」もある。国民の損害額(推定)は10億円(大雑把)。

【追記】
・2023年8月22日記事:Exclusive: UCSF and VA found “pervasive” manipulation in lab of former center director – Retraction Watch

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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.概略
2.経歴と経過
3.動画
4.日本語の解説
5.不正発覚の経緯と内容
6.論文数と撤回論文とパブピア
7.白楽の感想
9.主要情報源
10.コメント
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●1.【概略】

ラジビル・ダヒヤ(Rajvir Dahiya、ORCID iD:?、写真出典)は、インド出身で、米国のカリフォルニア大学サンフランシスコ校(University of California, San Francisco)・教授になった。また、退役軍人局サンフランシスコ病院(Veterans Affairs Medical Center of San Francisco)・研究員にもなった。医師免許は持っていない。専門は泌尿器がんだった。

ダヒヤは、約24億円のNIHグラントを受給し、多数の論文を出版し、学術誌数誌の副編集などを務めた有力な研究者である。

また、インドの第11代大統領・アブドゥル・カラーム(A. P. J. Abdul Kalam、在位期間:2002年7月25日 ~2007年7月25日)の科学顧問も務めた。

本記事では、登場人物が日本人の場合、以下、通常使う「名・姓」のカタカナではなく、日本人になじみやすい「姓・名」順の漢字を使用する。その際、「姓・名」順を示す印である「*」印を省略した。

2013年10月(57歳)、パブピアが「2004年3月のClin Cancer Res」論文(第一著者:佐々木雅弘)のネカト疑念を指摘したのが発端である。

多数のバンドが重複使用されていると指摘した。

2016年(60歳)、カリフォルニア大学サンフランシスコ校と退役軍人局サンフランシスコ病院(UCSF / VA)がネカト調査を開始した。

翌・2017年3月(60歳)、カリフォルニア大学サンフランシスコ校と退役軍人局サンフランシスコ病院(UCSF / VA)は、ネカト調査の結果、ねつ造・改ざんと結論し、当時ダヒヤ研究室の研究員だった佐々木雅弘と菊野伸之をネカト者と暗示したが、決定できなかった。

ネカト調査では、既に日本に帰国していた佐々木と菊野は無対応だった。

ネカト調査結果を受け、ダヒヤが2003年、2004年、2007年、2008年に出版した4論文(前2報の第一著者が佐々木、後2報の第一著者が菊野)が2017~2022年に撤回された。出版から撤回までの年月が各14年、13年、15年、9年と長い。

調査委員会は誰がネカト者なのか、佐々木雅弘と菊野伸之をネカト者と暗示したが、特定できなかった。白楽ブログ記事では、ダヒヤを主役に話を進めながらも、ネカト者と暗示された日本人研究者の状況・情報も調べ、事実の理解を試みた。

なお、研究公正局管轄下の事件だが、大学の調査委員会がネカト者を特定できていないので、研究公正局はどうするのだろう?

日本在住のネカト疑念研究者を日本側が調査し、ネカト犯を米国に身柄送検する国際ネカト調査条約は発効していない(というか、存在していない)。

University_of_California_San_Francisco_School_of_Medicine_UCSF_5655751カリフォルニア大学サンフランシスコ校(University of California, San Francisco)。写真出典

★ラジビル・ダヒヤ(Rajvir Dahiya)を主役とした

  • 国:米国
  • 成長国:インド
  • 医師免許(MD)取得:なし
  • 研究博士号(PhD)取得:インドの医学教育研究大学院
  • 男女:男性
  • 生年月日:1956年5月30日
  • 現在の年齢:67歳
  • 分野:泌尿器がん学
  • 不正疑念論文発表:2001~2020年(45~64歳)の20年間
  • ネカト行為時の地位:カリフォルニア大学サンフランシスコ校・教授で退役軍人局サンフランシスコ病院・研究員
  • 発覚年:2013年(57歳)
  • 発覚時地位:カリフォルニア大学サンフランシスコ校・教授
  • ステップ1(発覚):第一次追及者(詳細不明)が「パブピア(PubPeer)」で指摘
  • ステップ2(メディア):「パブピア(PubPeer)」、「撤回監視(Retraction Watch)」
  • ステップ3(調査・処分、当局:オーソリティ):①カリフォルニア大学サンフランシスコ校と退役軍人局サンフランシスコ病院の合同調査委員会
  • 大学・調査報告書のウェブ上での公表:なし
  • 大学の透明性:実名報道だが機関のウェブ公表なし(△)
  • 不正:ねつ造・改ざん
  • 不正論文数:「パブピア(PubPeer)」で28論文が疑念、内、4報が撤回
  • 時期:研究キャリアの中期から
  • 職:事件後に研究職(または発覚時の地位)を続けた(〇)
  • 処分:なし
  • 日本人の弟子・友人:多数。一部は本文中に記載

【国民の損害額】
国民の損害額:総額(推定)は10億円(大雑把)。

●2.【経歴と経過】

事件の準主役の日本人2人を加えた。

★ラジビル・ダヒヤ(Rajvir Dahiya)

主な出典:(1):Rajvir Dahiya – Wikipedia、(2):Rajvir Dahiya, PhD | UCSF Department of Urology

  • 1956年5月30日:インドで生まれる
  • 1978年(22歳):インドのクルクシェトラ大学(Kurukshetra University)で修士号取得:生理学/生化学
  • 1983年(27歳):インドの医学教育研究大学院(PGIMER:Postgraduate Institute of Medical Education and Research)で研究博士号(PhD)を取得:生化学
  • 1983~1987年(27~31歳):米国のシカゴ大学(University of Chicago)・ポスドク
  • 1987~1991年(31~35歳):米国のカリフォルニア大学サンフランシスコ校・退役軍人局サンフランシスコ病院(Veterans Affairs Medical Center, University of California, San Francisco)・研究員
  • 1993年~1997年(37~41歳):カリフォルニア大学サンフランシスコ校(University of California, San Francisco)・泌尿器科(Department of Urology)・準教授
  • 1997年~2021年(41~65歳):同・教授
  • 2001~2020年(45~64歳)の20年間:後で不正疑念が生じた28論文を発表
  • 2003~2008年(47~52歳 ):後で撤回された2003年、2004年、2007年、2008年の4論文を出版
  • 2006年~2011年(50~55歳):退役軍人局サンフランシスコ病院(Veterans Affairs Medical Center of San Francisco)・研究員
  • 2011年~20xx年(55~xx歳):同・上級研究員
  • 2013年10月(57歳):パブピアでネカト疑念が指摘された
  • 2016年(60歳):カリフォルニア大学サンフランシスコ校と退役軍人局サンフランシスコ病院がネカト調査を開始
  • 2017年3月(60歳):カリフォルニア大学サンフランシスコ校と退役軍人局サンフランシスコ病院がネカト調査の結果、ねつ造・改ざんと結論し、佐々木雅弘と菊野伸之をネカト者と暗示したが、決定できなかった
  • 2017年6~9月(61歳):3論文がネカトで撤回:「2003年7月のCancer Res」論文、「2004年3月のClin Cancer Res」論文、「2008年8月のInt J Cancer」論文
  • 2021年(65歳):カリフォルニア大学サンフランシスコ校・名誉教授
  • 2022年10月(66歳):1論文がネカトで撤回:「2007年12月のOncogene」論文

★佐々木雅弘(Masahiro Sasaki)

主な出典:院長挨拶 | 札幌の不妊治療・体外受精はセントベビークリニック保存版

  • 生年月日:不明。仮に1962年1月1日生まれとする。1986年に北海道大学・医学部卒業した時を24歳とした
  • 1986年(24歳?):北海道大学・医学部卒業:医師免許取得
  • 1994~1995年(32~33歳?):旭川医科大学・助手:KAKEN | 佐々木 雅弘
  • 1996年(34歳?):旭川医科大学で研究博士号(PhD)(乙)を取得:CiNii- 佐々木雅弘
  • 1997~1999年(35~37歳?):旭川医科大学・助手:KAKEN | 佐々木 雅弘
  • 1999年~2006年(37~44歳?)?:カリフォルニア大学サンフランシスコ校(University of California, San Francisco)と退役軍人局サンフランシスコ病院・ダヒヤ研究室・ポスドク、研究員?
  • 2003~2004年(41~42歳? ):後で撤回された「2003年7月のCancer Res」論文(第一著者)と「2004年3月のClin Cancer Res」論文(第一著者)の2論文を出版
  • 2006年(44歳?)?:日本に帰国
  • 2013年~現(51歳?~):セントベビークリニック開設・院長
  • 2013年10月(51歳?):パブピアでネカト疑念が指摘された
  • 2016年(54歳?):カリフォルニア大学サンフランシスコ校と退役軍人局サンフランシスコ病院がネカト調査を開始
  • 2017年3月(55歳?):カリフォルニア大学サンフランシスコ校と退役軍人局サンフランシスコ病院がネカト調査の結果、ねつ造・改ざんと結論し、佐々木雅弘をネカト者と暗示したが、決定できなかった
  • 2017年8~9月(55歳?):2論文がネカトで撤回:「2003年7月のCancer Res」論文と「2004年3月のClin Cancer Res」論文

★菊野伸之(Nobuyuki Kikuno)

主な出典:クリニック案内 | 菊野ホームメディカルクリニック、(保存版

  • 生年月日:不明。仮に1975年1月1日生まれとする。1999年に島根医科大学医学部を卒業した時を24歳とした
  • 1999年(24歳?):島根医科大学医学部卒業、泌尿器科入局
  • 2005年(30歳?):島根医科大学大学院修了、研究博士号(PhD)を取得:CiNii 博士論文 – 菊野伸之
  • 2006~2008年(31~33歳?):米国のカリフォルニア大学サンフランシスコ校(University of California, San Francisco)・泌尿器科と退役軍人局サンフランシスコ病院・ダヒヤ研究室・ポスドク
  • 2007~2008年(32~33歳? ):後で撤回された「2007年12月のOncogene」論文(第一著者)、「2008年8月のInt J Cancer」論文(第一著者)の2論文を出版
  • 2008年~2021年(33~46歳?):日本の数か所の病院・医師
  • 2013年10月(38歳?):パブピアでネカト疑念が指摘された
  • 2016年(41歳?):カリフォルニア大学サンフランシスコ校と退役軍人局サンフランシスコ病院がネカト調査を開始
  • 2017年3月(42歳?):カリフォルニア大学サンフランシスコ校と退役軍人局サンフランシスコ病院がネカト調査の結果、ねつ造・改ざんと結論し、菊野伸之をネカト者と暗示したが、決定できなかった
  • 2017年6月(42歳?):1論文がネカトで撤回:「2008年8月のInt J Cancer」論文(第一著者)
  • 2021年~現(46歳?~):菊野ホームメディカルクリニック・理事長兼院長
  • 2022年10月(47歳?):1論文がネカトで撤回:「2007年12月のOncogene」論文(第一著者)

●3.【動画】

以下は事件の動画ではない。

【動画1】
ラジビル・ダヒヤ(Rajvir Dahiya)を「ダイヤ」と紹介しているようにも聞こえるが、白楽ブログでは「ダヒヤ」とした。
講演動画:「Personalized Medicine and Future of Genetic Testing in Cancer – YouTube」(英語)1時間1分47秒。
Vattikuti Foundation(チャンネル登録者数 4870人) が2021/09/15 に公開

●4.【日本語の解説】

★2017年12月17日:ミスコン・プレイ 研究不正・盗用、(保存版

★2019年9月22日:世界変動展望 著者、(保存版

●5.【不正発覚の経緯と内容】

★研究人生

ラジビル・ダヒヤ(Rajvir Dahiya、写真出典不明)は、1983年(27歳)にインドの大学院医学教育研究所(Post Graduate Institute of Medical Education & Research)で研究博士号(PhD)を取得した。

米国のシカゴ大学(University of Chicago)でポスドクを行ない、その後、カリフォルニア大学サンフランシスコ校(University of California, San Francisco)の研究員に栄転し、そこで正教授になり、2021年に65歳で退職し名誉教授になった。退職前から就任していた退役軍人局サンフランシスコ病院(Veterans Affairs Medical Center of San Francisco)・研究員は継続した。

ダヒヤは、学術誌「Cancer Research」の副編集長、学術誌「Clinical Cancer Research」の副編集長、学術誌「PLoS ONE」の編集者、学術誌「American Journal of Cancer Research」の上級編集者を務め、がん研究の学術誌で重要な役割を果たしてきた。

また、インドの第11代大統領・アブドゥル・カラーム(A. P. J. Abdul Kalam、在位期間:2002年7月25日 ~2007年7月25日)の科学顧問も務めた。

★獲得研究費

ラジビル・ダヒヤ(Rajvir Dahiya)はNIHグラントを98件、総額$24,346,607(約24億円)を受給していた。 →  Rajvir Dahiya ⟩ RePORTER

1例を上げると、2016年から以下のグラントを得ている。

Molecular biomarkers for kidney cancer prognosis using non-coding RNAs
Project Number R01CA199694
Contact PI/Project Leader DAHIYA, RAJVIR
Awardee Organization NORTHERN CALIFORNIA INSTITUTE/RES/EDU

★発覚の経緯

2013年10月(57歳)、ダヒヤの「2004年3月のClin Cancer Res」論文(第一著者:佐々木雅弘)で多数のバンドが重複使用されていると、匿名者がパブピアに文章で指摘した。その内容を2017年8月にCeratosolen vetustusが以下の画像にした。出典:https://pubpeer.com/publications/7632FB7A8B2FDA33C6E656CA0B370B

2016年(60歳)、カリフォルニア大学サンフランシスコ校と退役軍人局サンフランシスコ病院(UCSF / VAと略す)がネカト調査を開始した。

★4撤回論文の日本人共著者

後述するが、カリフォルニア大学サンフランシスコ校と退役軍人局サンフランシスコ病院(UCSF / VA)はネカト調査した結果、学術誌にネカト論文の撤回を要請した。

結局、ラジビル・ダヒヤ(Rajvir Dahiya)の2003年、2004年、2007年、2008年の4論文が2017~2022年に撤回された。

出版から撤回までの年月が各14年、13年、15年、9年と長い。

4撤回論文とも多数の日本人研究者が共著者になっていて、かつ、第一著者が日本人である。

後の記述で登場するが、ココで4論文の書誌情報を記載しておく。

  1. 「2003年7月のCancer Res」論文(第一著者:佐々木雅弘):2017年9月14日撤回
    CYP1B1 gene polymorphisms have higher risk for endometrial cancer, and positive correlations with estrogen receptor alpha and estrogen receptor beta expressions.
    Sasaki M, Tanaka Y, Kaneuchi M, Sakuragi N, Dahiya R.
    Cancer Res. 2003 Jul 15;63(14):3913-8.
  2. 「2004年3月のClin Cancer Res」論文(第一著者:佐々木雅弘): 2017年8月31日撤回
    Polymorphisms of the CYP1B1 gene as risk factors for human renal cell cancer.
    Sasaki M, Tanaka Y, Okino ST, Nomoto M, Yonezawa S, Nakagawa M, Fujimoto S, Sakuragi N, Dahiya R.
    Clin Cancer Res. 2004 Mar 15;10(6):2015-9. doi: 10.1158/1078-0432.ccr-03-0166.PMID: 15041720
  3. 「2007年12月のOncogene」論文(第一著者:菊野伸之):2022年10月19日撤回
    Knockdown of astrocyte-elevated gene-1 inhibits prostate cancer progression through upregulation of FOXO3a activity.
    Kikuno N, Shiina H, Urakami S, Kawamoto K, Hirata H, Tanaka Y, Place RF, Pookot D, Majid S, Igawa M, Dahiya R.
    Oncogene. 2007 Dec 6;26(55):7647-55. doi: 10.1038/sj.onc.1210572. Epub 2007 Jun 11.
  4. 「2008年8月のInt J Cancer」論文(第一著者:菊野伸之):2017年6月20日撤回Genistein mediated histone acetylation and demethylation activates tumor suppressor genes in prostate cancer cells.
    Kikuno N, Shiina H, Urakami S, Kawamoto K, Hirata H, Tanaka Y, Majid S, Igawa M, Dahiya R.
    Int J Cancer. 2008 Aug 1;123(3):552-60. doi: 10.1002/ijc.23590.

★佐々木雅弘(Masahiro Sasaki)

佐々木雅弘(Masahiro Sasaki、写真出典)は、北海道大学・医学部で医師免許を取得し、1996年(34歳?)、旭川医科大学で研究博士号(PhD)(乙)を取得した。

佐々木は、ダヒヤの上記4撤回論文の最初の2論文の第一著者である。

  • 「2003年7月のCancer Res」論文(第一著者:佐々木雅弘):2017年9月14日撤回
  • 「2004年3月のClin Cancer Res」論文(第一著者:佐々木雅弘): 2017年8月31日撤回

佐々木雅弘(Masahiro Sasaki)の論文のコメントを「パブピア(PubPeer)」で、「”Masahiro Sasaki”」と検索すると、5論文にコメントがあった。

ラジビル・ダヒヤ(Rajvir Dahiya)と共著が4報、共著ではないのが1報あった。

なお、佐々木雅弘(Masahiro Sasaki)とダヒヤとの共著論文を、「Rajvir Dahiya [Author] AND Masahiro Sasaki [Author]」で検索すると、2002~2006年の5年間の25論文がヒットした。

ーーーネカト調査:佐々木雅弘ーーー

2017年3月13日(60歳)、カリフォルニア大学サンフランシスコ校と退役軍人局サンフランシスコ病院(UCSF / VA)は、ネカト調査の結果、ダヒヤの上記2論文(「2003年7月のCancer Res」論文と「2004年3月のClin Cancer Res」論)の論文撤回を学術誌に依頼した。

以下は、論文撤回を依頼した2017年3月13日付けの手紙(全文は4ページで論文撤回を依頼する各2ページの2つの手紙の冒頭部分で、佐々木雅弘は前半の2ページ)(出典:同)。全文(4ページ)は → https://retractionwatch.com/wp-content/uploads/2017/09/UCSF-VA-letters-AACR-Int-J-Can-PRA-017-091-4pgs.pdf

その依頼文に、以下に示すように、筆頭著者の佐々木雅弘(Masahiro Sasaki、写真出典)にネカトの責任があると暗示している(着色は白楽)。

上記を意訳すると、以下のようだ。

委員会は、データのねつ造または改ざんの責任が誰にあるのかを決定できませんでした。第一著者の佐々木雅弘博士は日本に帰国し、コンタクトを何度も試みましたが、音信不通でした。他の共著者は、佐々木博士に画像作成の責任があると述べています。研究室は一次データを提出できませんでした。従って、委員会は、研究不正であるデータねつ造・改ざんの責任を誰が負っているのか、明確で最終的な決定をできませんでした。

繰り返すが、「佐々木雅弘はデータねつ造・改ざん者らしい」とされている。

なお、佐々木雅弘はネカト調査委員会からコンタクトがあったが、返事をしていない。あるいは、非常に考えにくいが、佐々木雅弘は、ネカト調査委員会からの通知を受け取っていない。

もし後者で、ネカト犯でないなら、佐々木雅弘は国際的にネカト濃厚と認定されている現状を否定すべく対応した方がいい。

★菊野伸之(Nobuyuki Kikuno)

菊野伸之(Nobuyuki Kikuno、写真出典)は、ダヒヤの上記4撤回論文の後半の2論文の第一著者である。

  • 「2007年12月のOncogene」論文(第一著者:菊野伸之):2022年10月19日撤回
  • 「2008年8月のInt J Cancer」論文(第一著者:菊野伸之):2017年6月20日撤回

菊野伸之(Nobuyuki Kikuno)の論文のコメントを「パブピア(PubPeer)」で、「”Nobuyuki Kikuno”」と検索すると、6論文にコメントがあった。

ラジビル・ダヒヤ(Rajvir Dahiya)と共著が4報、共著ではないのが2報あった。

ダヒヤと共著ではない2報は、米国出版前に島根医科大学医学部から出版した論文で、繰り返すが、ダヒヤは共著者に入っていない。従って、白楽ブログの本記事の主役であるダヒヤのネカト事件とは別件である。

その2報は、「2004年10月のCancer Res」論文と「2006年10月のClin Cancer Res」論文である。

両方とも画像の重複使用が指摘されているが、前者のネカト疑念は誤解かもしれない。

菊野伸之は2005年(30歳?)に島根医科大学で研究博士号(甲)を取得している(CiNii 博士論文 – 菊野伸之)。

もし、島根医科大学医学部から出版した「2004年10月のCancer Res」論文と「2006年10月のClin Cancer Res」論文がねつ造・改ざんだとすると、この2論文は博士論文の前後年の2論文なので、博士論文もねつ造・改ざんの可能性が高い。ねつ造・改ざんだとすると、博士号が剥奪される可能性がでてくる。

話しをダヒヤ研究室のネカト論文に戻そう。

菊野伸之(Nobuyuki Kikuno)とダヒヤとの共著論文を、「Rajvir Dahiya [Author] AND Nobuyuki Kikuno [Author]」で検索すると、24論文がヒットした。2006~2009年の4年間の22論文と2011年と2021年の各1論文である。2021年の論文は懸念表明の告知である。

ラジビル・ダヒヤ(Rajvir Dahiya)の研究室で、菊野伸之は佐々木雅弘と一緒だった時期があるのか、ないのか、白楽は把握できていない。

3人の共著論文を「Rajvir Dahiya [Author] AND Nobuyuki Kikuno [Author] AND Masahiro Sasaki [Author]」で検索すると、0論文がヒットした。

菊野伸之と佐々木雅弘の共著論文を「Nobuyuki Kikuno [Author] AND Masahiro Sasaki [Author]」で検索すると、0論文がヒットした。

それで、一緒だった時期があっても短期間で、共同研究はしていない、と思われる。

ーーーネカト調査:菊野伸之ーーー

上記の佐々木雅弘と同じように、ダヒヤ研究室から出版した菊野伸之の2論文が撤回されている。

2017年3月13日(60歳)、カリフォルニア大学サンフランシスコ校と退役軍人局サンフランシスコ病院(UCSF / VA)は、ネカト調査の結果、ダヒヤの下記1論文について、学術誌に論文撤回を依頼した。

  • 「2008年8月のInt J Cancer」論文(第一著者:菊野伸之):2017年6月20日撤回

論文撤回を依頼した2017年3月13日付けの手紙の全文は4ページで、論文撤回を依頼する各2ページの2つの手紙がある。以下は、3ページ目の冒頭部分で、3、4 ページ目で菊野伸之の論文撤回を依頼している(出典:同)。全文(4ページ)は → https://retractionwatch.com/wp-content/uploads/2017/09/UCSF-VA-letters-AACR-Int-J-Can-PRA-017-091-4pgs.pdf

その依頼文に、以下に示すように、筆頭著者の菊野伸之(Nobuyuki Kikuno、写真出典)にネカトの責任があると暗示している(着色は白楽)。

上記を意訳すると、以下のようだ。

委員会は、データのねつ造または改ざんの責任が誰にあるのかを決定できませんでした。第一著者の菊野伸之博士は日本に帰国し、コンタクトを何度も試みましたが、音信不通でした。他の共著者は、菊野博士に画像作成の責任があると述べています。研究室は一次データを提出できませんでした。従って、委員会は、研究不正であるデータねつ造・改ざんの責任を誰が負っているのか、明確で最終的な決定をできませんでした。

つまり、「菊野伸之はデータねつ造・改ざん者らしい」、と強く暗示されている。

菊野伸之も、ネカト調査委員会からコンタクトがあったが、返事をしていない。あるいは、非常に考えにくいが、菊野伸之も佐々木雅弘と同様に、ネカト調査委員会からの通知を受け取っていないのかもしれない。

もし後者で、ネカト犯でないなら、菊野伸之も佐々木雅弘と同様に国際的にネカト濃厚と認定されている現状を否定すべく対応した方がいい。

【菊野伸之のもう1つの論文】

菊野伸之が第一著者のダヒヤのもう1つの論文は2022年10月19日に撤回された。

  • 「2007年12月のOncogene」論文(第一著者:菊野伸之):2022年10月19日撤回

2020年6月30日(63歳)、上記と同じように、カリフォルニア大学サンフランシスコ校と退役軍人局サンフランシスコ病院(UCSF / VA)は、ネカト調査の結果、ダヒヤの「2007年12月のOncogene」論文(第一著者:菊野伸之)の撤回を学術誌に依頼した。

以下は、論文撤回を依頼した2020年6月30日付けの手紙の冒頭部分(出典:同)。全文(2ページ)は → https://retractionwatch.com/wp-content/uploads/2023/03/UCSF-PRA-023-024-3.3.23.pdf

その依頼文に、以下に示すように、筆頭著者の菊野伸之(Nobuyuki Kikuno)にネカトの責任があると暗示している(着色は白楽)。

上記を意訳すると、以下のようだ。

委員会は、データ改ざんの責任者を特定できませんでした。 研究室は一次データを提供できませんでした。 上級著者であるラジビル・ダヒヤ(Rajvir Dahiya)博士は、「出版した図の論文第一著者である菊野伸之博士が提供したラインスキャン分析を提出した」。 「ダヒヤは菊野博士に連絡したが、元データではなく、出版した図のバンドのデンシトメトリー測定が提供された。ところが、異なるバンドのデンシトメトリー測定だったと、ダヒヤは主張している」。それで、調査委員会は、提供されたデンシトメトリー測定が有効だとは認めていない。従って、委員会は、研究不正であるデータねつ造・改ざんの責任を誰が負っているか、明確で最終的な決定をできませんでした。

このように、2020年6月30日付けの手紙で「Oncogene」論文の撤回を依頼している。

しかし、この論文撤回は、実は2017年に既に学術誌「Oncogene」に論文撤回を依頼していた。

学術誌「Oncogene」は、3年も論文撤回を放置していたことになる。

「学術誌のネカト対応怠慢・不作為」もヒドイもんである。

ただ、後述するが、「Oncogene」編集長が特殊なトラブルを起こしていたことも関係している。

★他の日本人共著者

ダヒヤ研究室の佐々木雅弘(Masahiro Sasaki)と菊野伸之(Nobuyuki Kikuno)の2人がネカト者濃厚とされた。

では、ダヒヤ研究室の日本人研究者は、佐々木雅弘(Masahiro Sasaki)と菊野伸之(Nobuyuki Kikuno)の2人しかいなかったのか?

イヤイヤ、ダヒヤ研究室に日本人研究者はたくさんいた。また、室員とは限らないが、ダヒヤ論文の共著者になっている日本人研究者はたくさんいた。

例えば、金内優典(Masanori Kaneuchi、現・小樽市立病院)(以下出典)は佐々木雅弘と同じころ、ダヒヤ研究室にいた。2002~2006年の5年間にダヒヤの19論文の共著者になっていて、4報は金内優典が第一著者であるが(論文リスト)、金内優典にネカト疑念はない。

また以下のツイッター(再掲)もある。

ということで、ダヒヤ研究室の日本人が徒党を組んでネカトしていたかというと、そうではないようだ。

また、ダヒヤ研究室の研究環境としてネカトが蔓延していたかというと、撤回論文は4論文だけなので、そうとも言えない面と、そうかもしれない面がある。

そうかもしれない面は、2001~2020年(45~64歳)の20年間、パブピアで不正疑念と指摘された28論文をダヒヤ研究室は発表している。

28論文は多いし、20年間 も長い。これだけ疑念論文数があって期間が長いのは、研究室の研究環境に問題があったことは事実だろう。

一般的に、その研究室の研究環境がネカト体質かどうかは、研究室の室員でも、近くにいても、他国の第三者でも、その時は、なかなかわかりにくい場合が多い。

一方、アブナイ研究室だと類推できる場合も結構ある。

視点と接点によるということだろう。

★ダヒヤの対応

以下は主に、2023年3月16日の「撤回監視(Retraction Watch)」記事による。

上記のようにカリフォルニア大学サンフランシスコ校と退役軍人局サンフランシスコ病院(UCSF / VA)は、ネカト調査の結果、ねつ造・改ざんと結論し、佐々木雅弘と菊野伸之がネカト者と暗示した。白楽ブログはこの流れで、ダヒヤ事件を解説してきた。

しかし、ラジビル・ダヒヤ(Rajvir Dahiya)が「撤回監視(Retraction Watch)」に電子メールを公開した2023年3月8日付けのメールでは、少し(大きく?)異なる面がある。

以下は2023年3月8日付けのメールの冒頭部分(出典:同)である。全文(6ページ)は → https://retractionwatch.com/wp-content/uploads/2023/03/Dahiya-Fwd_-Two-Oncogene-articles-under-investigation-Rajvir-Dahiya-UCSF-_-VAMC-san-Francisco.pdf

このメールは、ダヒヤがシュプリンガー・ネイチャー社(Springer Nature)・出版局長(Senior Publishing Manager)のルシンダ・ヘインズ(Lucinda Haines、写真出典)と、2019年9月18日~2021 年 7 月 8 日の約2年間、交信した電子メール記録である。

メールを読み解くと、カリフォルニア大学サンフランシスコ校と退役軍人局サンフランシスコ病院(UCSF / VA)のネカト調査に、佐々木雅弘(Masahiro Sasaki)と菊野伸之(Nobuyuki Kikuno)がまともに対応しなかった(できなかった)反面、ボスのラジビル・ダヒヤ(Rajvir Dahiya)はまともに対応していたことがわかる。

UCSF / VAネカト調査委員会がダヒヤらに元データの提出を要請したが、ダヒヤらは元データを提出できなかった。

その理由は、①2016年にネカト調査された論文は2003年、2004年、2007年、2008年に出版した4論文(前2報の第一著者が佐々木、後2報の第一著者が菊野)で、出版から各13年、12年、9年、8年も経過している。②実験を行なった第一著者の佐々木雅弘(Masahiro Sasaki)と菊野伸之(Nobuyuki Kikuno)は日本に帰国してしまった。③ダヒヤも研究室を移動した。これらの事情で元データの保管が十分でなかったことがある。

④さらに、ダヒヤ研究室の実験ノートはUCSF / VAに集中管理・保管されていた。

ところが、NIHが義務付けた5年間のデータ保存期間が過ぎた後、UCSF / VAはその実験ノートを廃棄していた。

ダヒヤは、古い実験ノートを保持していないかったUCSF / VAを次のように非難している。

私たちの論文のデータに問題はありません。しかし、UCSF / VA調査委員会は、私たちの論文を撤回するよう学術誌に依頼しました。一方、彼らは、私たちの元データが記録されていた実験ノートを破棄していたのです。自分たちで破棄しておいて、元データがないからデータねつ造・改ざんだと決めつけ、論文撤回を要請し、私たちをネカト者呼ばわりしたのです。奇妙です。

2019 年 11 月(63歳)、ダヒヤは、「2007年12月のOncogene」論文(第一著者:菊野伸之)に関する疑念に対応して、追試を繰り返し、新しい実験データを学術誌に送信した。

その送信で、「結果は論文に記載されている結果と一致しているため、論文の結論を変更するものではありません」と彼は書いた。

6か月後の 2020 年5 月(63歳)、学術誌側は「すぐに返信できなかったことを心からお詫び申し上げます」と謝りつつも、元データと新しいデータを比較し、新しい図は「元の論文に書かれている内容に反する」とし 、他の図は「説得力がなく、元の図ほど明確ではありません」と否定的だった。

ダヒヤは、1つ1つ反論するメールを10 日後に送信し、次のように結論した。

あなた方の編集スタッフが私たちの回答に満足し、問題が解決されることを願います。

1 週間後に学術誌側から届いた次のメールでは、学術誌側からいくつかの問題点の指摘があった。そして、脅すような次の文言が加わっていた。

編集者の質問に対して十分な回答が得られない場合、次の行動はこの論文を撤回することになる可能性があります。

ダヒヤは、「COVID-19 のロックダウンと抗議のために」ラボに入ることができない期間があったが、追加のデータと編集者のコメントへの回答を送信した。

2020 年 7 月 20 日(64歳)、ダヒヤは次のように書いている。

懸念事項に対処する機会を与えてくれた編集委員会のメンバーに非常に感謝しています。 私たちは本当に懸命に取り組み、すべてのコメントに真摯に取り組み、全力で誠実に新しいデータを生成しました。 これらの回答が査読者にとって満足のいくものであることを願っています。

しかし、ほぼ 1 年後の2021 年 6 月 30 日(65歳)、ダヒヤは、学術誌側からの次のメールを受けとった。

編集者の返信に時間がかかったことを心からお詫び申し上げます。

あなたの最後の電子メールを受け取る直前に、複数の図がねつ造・改ざんされていたという、UCSF / VAのネカト調査委員会の報告書を受け取りました。それで、私たち編集者はあなたに論文の撤回を提案します。

電子メールには、後に公開された撤回メモの原稿が含まれていて、各著者は、撤回に同意するかどうかを伝える必要があると述べていた。

2021 年 7 月 8 日(65歳)、ダヒヤは、に次のように回答した。

UCSF / VA調査委員会によって提起されたすべての懸念に対処するために、過去2年間、一連の実験を実施しました。そして、すべての懸念事項に対処し、すべての実験データを貴学術誌に提出しました。

ところが、あなたたち編集者は、UCSF/VA 委員会の圧力で、私たちの論文を撤回すると決定しました。

私たち(すべての著者)は、編集長による論文撤回に同意しません。

2022 年 10 月(65歳)、それから1 年以上後、シュプリンガー・ネイチャー社は論文を撤回した。

撤回公告には、「図 2b、4b、4c、5a、 5c はデータねつ造・改ざんの結果である」という委員会の調査結果を撤回理由にあげていた。

★ネカト調査:荻島達也(Tatsuya Ogishima)

最初に明言するが、荻島達也(Tatsuya Ogishima)のネカト疑念はどこにも表明されていない。

ただ、以下の「2005年10月のOncogene」論文(第一著者:荻島達也)は、2023年4月14日現在、シュプリンガー・ネイチャー社(Springer Nature)がネカト調査中である。

繰り返すが、第一著者は日本人の荻島達也(Tatsuya Ogishima、写真出典)である。

そして、このケースは佐々木雅弘と菊野伸之がネカト者と暗示された動きとよく似ている。

荻島達也は、現在所属している成田富里徳州会病院のサイトによると以下のようだ。

1996年順天堂大学を卒業。順天堂大学大学院医学研究科泌尿器外科学准教授(順天堂浦安病院勤務)などを経て、2020年4月より当院勤務。医学博士。日本泌尿器科学会専門医・指導医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医ほか。(出典:T-mind 2020年9-11月号

なお、荻島達也(Tatsuya Ogishima)とダヒヤとの共著論文を、「Rajvir Dahiya [Author] AND Tatsuya Ogishima [Author]」で検索すると、2004~2006年の3年間の10論文がヒットした。

10論文の内、荻島達也が第一著者の論文は2報で、疑念視されている「2005年10月のOncogene」論文(第一著者:荻島達也)は、その2報の内の1報である。

2013年12月、パブピア(PubPeer)が論文の図6aに類似画像があるとネカト疑念を指摘した。 → PubPeer

シュプリンガー・ネイチャー社(Springer Nature)は、「2005年10月のOncogene」論文(第一著者:荻島達也)をネカト調査中としている。

カリフォルニア大学サンフランシスコ校と退役軍人局サンフランシスコ病院がネカト調査しているのかどうか、白楽にはわからない。

ただ、ダヒヤが「撤回監視(Retraction Watch)」に送付した2023年3月8日付けの電子メール(前出)の件名には「調査中の2報のOncogene論文」(ピンク色は白楽)とある(以下)。

2報ということは、1報が2022年10月19日に撤回された「2007年12月のOncogene」論文(第一著者:菊野伸之)以外にもう1報の「Oncogene」論文があるということだ。

それが、「2005年10月のOncogene」論文(第一著者:荻島達也)濃厚ということなのだ。

つまり、カリフォルニア大学サンフランシスコ校と退役軍人局サンフランシスコ病院は「2005年10月のOncogene」論文(第一著者:荻島達也)のネカト調査をした(あるいは、現在、調査している)と思われる。

★ジャスティン・ステビング教授(Justin Stebbing)

ダヒヤの「Oncogene」論文が適切に撤回されなかったのは、学術誌「Oncogene」編集長のジャスティン・ステビング教授(Justin Stebbing)に問題があったからだとも指摘されている。

ネカト事件とはズレるが、ダヒヤ事件で論文撤回作業が遅れたことと関係しているので、付記しておく。

ステビング教授は白楽ブログで以前登場した英国のインペリアル・カレッジ・ロンドン(Imperial College of London)の教授である。 → ジォルジオス・ジアマス(Georgios Giamas)(英) | 白楽の研究者倫理

ジャスティン・ステビング教授(Justin Stebbing、写真出典)は、学術誌「Oncogene」の編集長を務める大物研究者である。

ところが、ステビング教授は、進行がん患者の不適切な治療、治療の利点を患者に誤って伝えた、同僚が無駄と見なした治療を患者に処方したなど、2014年3月~2017年3月の3年間で12人の患者に不適切な治療をしたかどで、36件の訴訟を起こされていた。

2020年1月に開始された長期にわたるMedical Practitioners Tribunal Service (MPTS) 法廷は、2021年12月20日、50歳のステビングに有罪判決を下し、9か月間の業務停止処分を科した。

ステビング教授は、インペリアル・カレッジ・ロンドンからの解雇を免れたが、有罪判決を受け、9か月間の停職処分に科された。

というわけで、ステビング教授は、学術誌「Oncogene」編集長の業務を適切にこなせなかった。

白楽が思うに、シュプリンガー・ネイチャー社(Springer Nature)は、トットと編集長を交代すべきだった。どうして交代しなかった? 

ステビング教授は、それほど大物教授ということか。

【ねつ造・改ざんの具体例】

撤回されたネカト論文は4報である。

その内の2報を選んで、そのネカト部分を以下に示す。

★「2003年7月のCancer Res」論文

以下の「2003年7月のCancer Res」論文(第一著者:佐々木雅弘)は、2017年9月14日に撤回された、

2017年3月13日(60歳)、UCSF / VAは、ネカト調査の結果、クロと判定し、論文撤回を依頼した。その依頼文(前出)には図1bがねつ造・改ざんされていたとある。

撤回公告」は、上記の調査結果を紹介し、図1bを問題視した。

パブピアで図1bの問題点を見てみよう。パブピアの図の出典:https://pubpeer.com/publications/F855E34A3E3D294283578B7D41F6AF

右側が図1bで、左側の「2002年8月のBiochem Biophys Res Commun」論文の画像を改造して使用している。 

なお、「2002年8月のBiochem Biophys Res Commun」論文の書誌情報は以下で、自分たちの論文ある。

自分たちの論文データの改造し、再使用したのである。

学術誌・編集部は「2003年7月のCancer Res」論文(第一著者:佐々木雅弘)の著者5人に論文撤回の了承を求めた。

  • 3人の著者「Yuichiro Tanaka、金内優典(Masanori Kaneuchi)、櫻木範明(Noriaki Sakuragi)」は了承した。
  • 2人の著者「佐々木雅弘、ラジビル・ダヒヤ(Rajvir Dahiya)」は無反応だった。

なお、撤回を了承した3人の著者の内、金内優典(Masanori Kaneuchi)は前出の研究者だが、憶えていないかも知れないので、以下に再掲した。櫻木範明(Noriaki Sakuragi)は初出で、現在は北海道大学 ・教授である。「Yuichiro Tanaka」は後述する。

★「2008年8月のInt J Cancer」論文

以下の「2008年8月のInt J Cancer」論文(第一著者:菊野伸之)は、2017年6月20日に撤回された

2017年3月13日(60歳)、UCSF / VAは、ネカト調査の結果、クロと判定し、論文撤回を依頼した。その依頼文(前出)には、図3a、図4a、4b、4e、図5bはねつ造・改ざんだとある。

一方、「撤回公告」には、図3、図4、図5に「間違い(errors)」があったが元データが提供されず、「間違い(errors)」が解決できないので、撤回したとある。

図3は以下である(出典:原著論文)。「RETRACTED」という撤回の表示の一部「ACTED」がかぶっている。

この撤回公告は、図のどこに・どんな「間違い(errors)」があったのかを示していないので、「間違い(errors)」の内容はわからない。

パブピアでの指摘点は、UCSF / VAのネカト調査結果(=撤回公告)と一部異なり、図2d、図3a、図4eに画像重複があると指摘した人と、図1e、図2cに画像重複があると指摘する人がいた。

後者の図1e、図2cの画像重複を以下に示す。パブピアの図の出典:https://pubpeer.com/publications/A67E84CF1DEAA8C2C10D3DBCF63C73

UCSF / VAのネカト調査結果(=撤回公告)とパブピアでの指摘点は、一部同じだが、大半が異なっていた。

なんかヘンである。

UCSF / VAのネカト調査がズサンということ?

●6.【論文数と撤回論文とパブピア】

★パブメド(PubMed)

2023年4月14日現在、パブメド(PubMed)でラジビル・ダヒヤ(Rajvir Dahiya)の論文を「Rajvir Dahiya [Author]」で検索した。この検索方法だと、2002年以降の論文がヒットするが、2002~2022年の21年間の199論文がヒットした。

「Dahiya R」で検索すると、549論文がヒットした。

2023年4月14日現在、「Retracted Publication」のフィルターでパブメドの論文撤回リストを検索すると、4論文が撤回されていた。

★撤回監視データベース

2023年4月14日現在、「撤回監視(Retraction Watch)」の撤回監視データベースでラジビル・ダヒヤ(Rajvir Dahiya)を「Rajvir Dahiya」で検索すると、 1論文が訂正、1論文が懸念表明、4論文が撤回されていた。

2007~2011年出版された論文が2018年6月に2報、2020年1~3月に6報、撤回されていた。「2001年11月のBlood」論文が2009年3月に、「2009年のAm J Physiol Cell Physiol」論文が2009年12月に、撤回された。

★パブピア(PubPeer)

2023年4月14日現在、「パブピア(PubPeer)」では、ラジビル・ダヒヤ(Rajvir Dahiya)の論文のコメントを「Rajvir Dahiya」で検索すると、2001~2020年(45~64歳)に出版された28論文にコメントがあった。

●7.【白楽の感想】

《1》事実は? 

カリフォルニア大学サンフランシスコ校と退役軍人局サンフランシスコ病院がネカト調査の結果、ラジビル・ダヒヤ(Rajvir Dahiya、写真出典)の2003年、2004年、2007年、2008年に出版した4論文を2017年にデータねつ造・改ざんと結論し、撤回要請した。

4撤回論文の内の2論文は佐々木雅弘(Masahiro Sasaki)が第一著者で、他の2論文は菊野伸之(Nobuyuki Kikuno)が第一著者である。

そして、他の共著者は、それぞれ佐々木雅弘と菊野伸之にデータねつ造・改ざんの責任があると述べた。

それで、白楽ブログでは、ダヒヤと佐々木雅弘と菊野伸之の3人がネカト犯濃厚として話しを進めた。

しかし、佐々木雅弘あるいは菊野伸之が共著者ではないダヒヤの論文にもネカト疑念がある。

それに、ダヒヤは「私たちの論文のデータに問題はありません」と、論文撤回に同意していない。

カリフォルニア大学サンフランシスコ校と退役軍人局サンフランシスコ病院がネカト調査の結果、データねつ造・改ざんと結論したのは、生データの提出がなかったからなのだが、カリフォルニア大学サンフランシスコ校と退役軍人局サンフランシスコ病院は保管していた実験ノートをNIHの規程により5年後に廃棄している。

自分たちで廃棄しておいて、生データの提出がないと非難するのはおかしいとダヒヤは批判している。

2003年、2004年、2007年、2008年に出版した4論文を2016年に、つまり論文出版の8~13年後にネカト調査を開始した。

8~13年前の生データを電子化したデータなら保管しているかもしれないが、紙媒体なら保管は難しいだろう。

佐々木雅弘と菊野伸之は日本に帰国している。米国での生データを2人が持ち帰っているのかどうか知らないが、多分、持ち帰っていないと思う。

持ち帰っていなければ、日本から生データを提供することはできない。

ただ、生データの提供ウンヌンとは次元が異なるが、論文の画像を見る限り、データねつ造・改ざんは確かである。ウッカリ間違えたレベルの画像重複ではない。意図的な画像のねつ造である。

カリフォルニア大学サンフランシスコ校と退役軍人局サンフランシスコ病院にネカト調査の不手際があったとしても、データねつ造・改ざんは確かで、ネカト犯がいることは確かだ。

佐々木雅弘と菊野伸之がネカト犯でないなら、誰がネカト犯なのか?

《2》国際ネカト調査条約 

カリフォルニア大学サンフランシスコ校と退役軍人局サンフランシスコ病院のネカト調査委員会は佐々木雅弘と菊野伸之に何度もコンタクトしたが、2人から、返事が得られなかった。それで、ネカト調査が頓挫して、誰がネカト者かを明確には決定できなかった。

佐々木雅弘と菊野伸之の2人共、現在は日本に帰国し、個人病院の院長である。日本の大学に所属していないので、日本の大学は調査しない。そういうシステムである。

そもそも、帰国した在日のネカト疑念者を米国に身柄送検する国際ネカト調査条約、または、日本側が調査し、ネカト犯となれば日本で処罰する国際ネカト調査条約、は発効していない(というか、そもそもそのような条約は存在しない)。

この場合、佐々木雅弘と菊野伸之が非協力を貫けば、ネカト犯は不明のままで、もちろん、2人は処罰されない。

なんだかなあ、と思うけど、現行のネカト対処システムの欠陥の1つである。

ただ、カリフォルニア大学サンフランシスコ校と退役軍人局サンフランシスコ病院の手紙では、佐々木雅弘と菊野伸之はネカト濃厚と認定されている。

ネカト犯でないなら、2人はこの国際的な汚名を晴らす対処をした方がいい。

2人共、個人診療所の臨床医で、大学教授に就任しないなら、現状で困らない。それで、多分、放置するつもりなのだろう。

ただ、将来、大学教授に要請されたら、どうするんだろう? 

教授選では不利になるだろう。

《3》少し不思議

仮に佐々木雅弘と菊野伸之がネカト者だとすると、どうして、ネカトをしたのか少し不思議である。

佐々木雅弘を考えてみよう。

佐々木雅弘(Masahiro Sasaki)とダヒヤとの共著論文を、「Rajvir Dahiya [Author] AND Masahiro Sasaki [Author]」で検索すると、2002~2006年の5年間の25論文がヒットした。

25論文の内14論文は、佐々木雅弘が第一著者である。

この14論文の2報の撤回論文が含まれる。残りの12論文にネカトがあるのだろうか?

残りの12論文の大半にネカトがあるなら、根っからのネカト者である。

残りの12論文にネカトがないと仮定しよう。

この場合、たくさん論文を出版しているので、データねつ造・改ざんまでして、論文を増やす必要は、研究キャリア上はない、と白楽は思う。

ただ、佐々木雅弘がどう思うかはわからない。

逆の考えもある。

佐々木雅弘はダヒヤ研究室 で5年間に14論文を第一著者で出版した。ということは、毎年3報も第一著者で出版している。

ダヒヤ研究室では、多くの人が大量に論文を出版しているので、自分も負けてはならないと、データをねつ造して、メンツで論文出版を重ねた、という見方もできる。

この見方が正解な気がする。

《4》研究環境と系列(先輩後輩)意識

佐々木雅弘と菊野伸之の2人共、現在、学術研究をしていない。日本で臨床医として働いている。

ネカト調査中の「2005年10月のOncogene」論文の第一著者は荻島達也である。この人も日本で臨床医として働いている。

荻島達也にネカト疑念が「まだ」ない。しかし、不思議なことに、カリフォルニア大学サンフランシスコ校に研究留学していたことを、現勤務先の成田富里徳州会病院のサイトでの経歴には記載していない。

多くの場合、外国の研究留学経験はキャリア上有利なので、ほぼ間違いなく記載する。佐々木雅弘と菊野伸之の2人共、記載している。

荻島達也が経歴に記載していないのは、カリフォルニア大学サンフランシスコ校に研究留学していたことをオープンにしたくない、なんらかの理由があるのだろう。

3人の出身は北海道大学、島根医科大学、順天堂大学と出身大学は別々である。日本で一緒に働いたことはないと思われる。つまり、3人の間で、日本の系列(先輩後輩)意識・義理意識はないと思われる。

それが、3人ともネカトが疑われている状況だ(正確には荻島達也はまだ疑われていない)。

仮に佐々木雅弘、菊野伸之、荻島達也の3人がネカト者だとしても、日本の系列(先輩後輩)が別々なので、日本の系列(先輩後輩)でツルンでネカトしたわけではない。

ただ、外国の研究留学生活には独特な日本人社会がある。

日本での系列が異なるのに、米国のテキサス大学・サウスウェスタン・メディカルセンター(University of Texas Southwestern Medical Center)のアディ・ガズダー(Adi Gazdar)研究室で一緒だった2人の日本人研究者が、2014年、研究公正局でネカト者とされた。

白楽もNIHに滞在した時、米国で初めて会った系列が異なるNIHの先輩日本人から有益なことを多く学んだが、研究生活での悪いこと(ズルの仕方みたいなこと)も随分と学んだ。

《5》誰がネカト者か?

ラジビル・ダヒヤ(Rajvir Dahiya)は4報の論文が撤回されたが、「パブピア(PubPeer)」では、2001~2020年(45~64歳)に出版された28論文にコメントがある。

この28報の不正疑念論文に佐々木雅弘は4報、菊野伸之は5報、荻島達也は1報が共著である。

3人の誰も共著者になっていない論文は18報ある。

この18報は、ダヒヤがネカト者ではないとすると、誰がネカト者か?

28論文のうち、「Yuichiro Tanaka」は21報、島根大学の「井川幹夫(Mikio Igawa)」は7報が共著者になっている。

「Yuichiro Tanaka」はカリフォルニア大学サンフランシスコ校・泌尿器科の非常勤教授(Adjunct Professor)だったらしいが、2023年4月14日現在、在籍していない(右図)。 → UCSF Directory

カリフォルニア大学サンフランシスコ校・泌尿器科の過去のスタッフを見てもヒットしない:People | UCSF Department of Urology

アチコチ検索したが「Yuichiro Tanaka」の顔写真と在籍証拠が見つからない。

どうなっているのだろう? 

「Yuichiro Tanaka」の存在不明と今回のダヒヤ・ネカト事件と関係があるのだろうか?

ダヒヤの論文に見られたデータねつ造・改ざんは、どの論文でも、誰がネカト者かを特定できていない。印象として、複数の人がネカトしてたと思われる。

なお、カリフォルニア大学サンフランシスコ校と退役軍人局サンフランシスコ病院のネカト調査報告書が公表されていないので、どの論文をネカト調査したのかは不明である。

《6》研究費の返還

ダヒヤはNIHグラントを98件、総額$24,346,607(約24億円)を受給していた。それで、本来なら研究公正局の案件になる。

4論文はデータねつ造・改ざんで撤回された。

従って、研究そのものは不正である。使用した研究費の返還義務が生じる。

ところが、カリフォルニア大学サンフランシスコ校と退役軍人局サンフランシスコ病院はネカト者を特定できていない。この場合、どうなるのだろう?

研究公正局のネカト事件は今まですべてネカト者を特定し、ネカト者を処罰している。ネカト者を特定しないでクロと発表した事件は1件もない。

「ネカト者を特定できない」場合、研究公正局の案件にならないのだろうか?

となると、研究そのものは不正なのに、ヒョットして、受給していた約24億円(の該当部分の経費)を返還しなくて良い、ということになるのだろうか? 

うがった見方だが、それで、UCSF / VAはネカト者を特定しなかった?

イヤイヤ、うがちすぎ?

この方法は、論文を撤回したけど、悪者を処罰しない。大学は研究費を返還しない。ダヒヤは円満に退職。

学術誌・大学・研究者の三方得の大岡裁き。「多くは(多かあ、大岡)食わねえ。たった一膳(越前)、だひゃ~」。

まさかあ~。

コレじゃ、研究倫理が死んでしまう、ダヒャ~(ダヒヤ)。

左から、ラジビル・ダヒヤ(Rajvir Dahiya)、佐々木雅弘(Masahiro Sasaki)、菊野伸之(Nobuyuki Kikuno)

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日本の人口は、試算では、2100年に現在の7~8割減の3000万人になるとの話だ。国・社会を動かす人間も7~8割減る。現状の日本は、科学技術が衰退し、かつ人間の質が劣化している。日本がスポーツ、観光、娯楽を過度に追及する現状は日本の衰退を早め、ギリシャ化を促進する。今後、科学技術と教育を基幹にし、人口減少に見合う堅実・健全で成熟した良質の人間社会を再構築すべきだ。公正・誠実(integrity)・透明・説明責任も徹底する。そういう人物を昇進させ、社会のリーダーに据える。
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●9.【主要情報源】

① ウィキペディア英語版:Rajvir Dahiya – Wikipedia
② 2017年9月7日のアンドリュー・ハン(Andrew P. Han)記者の「撤回監視(Retraction Watch)」記事:UCSF, VA investigations find “clear evidence” of misconduct in cancer papers – Retraction Watch
③ 2017年9月25日のアンドリュー・ハン(Andrew P. Han)記者の「撤回監視(Retraction Watch)」記事:UCSF-VA letters to journals offer insight into misconduct investigations – Retraction Watch
④ 2018年3月20日のビクトリア・スターン(Victoria Stern)記者の「撤回監視(Retraction Watch)」記事:UCSF-VA investigation finds misconduct in highly cited PNAS paper – Retraction Watch
⑤ 2022年12月8日のエリー・キンケイド(Ellie Kincaid)記者の「撤回監視(Retraction Watch)」記事:Professor emeritus loses fourth paper after UCSF-VA investigation, five years after other retractions – Retraction Watch
⑥ 2023年2月7日のシンディ・オウ(Cindy Ow)記者の「UCSF Synapse」記事:Professor Emeritus Loses 4th Paper After UCSF-VA Investigation | UCSF Synapse
⑦ 2023年3月16日のエリー・キンケイド(Ellie Kincaid)記者の「撤回監視(Retraction Watch)」記事:When it takes two university-federal agency letters – and five years – for a journal to retract a paper – Retraction Watch
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