哲学:マーチン・ストーン(Martin Stone)(ベルギー)

2023年11月15日掲載 

ワンポイント:ルーヴェン・カトリック大学(Katholieke Universiteit Leuven)・教授だったストーンは1998~2009年(33~44歳)の12年間、40報以上の盗用論文を発表した。2009年(44歳)、米国のオハイオ・ドミニカ大学(Ohio Dominican University)のマイケル・ドハティ準教授(Michael Dougherty)らが盗用を見つけ、学術誌と大学に通報し、論文で発表した。ルーヴェン・カトリック大学はネカト調査し、2010年1月(45歳)、ストーンをクロと結論し、解雇した(形式的には辞職)。2016年当時、ストーンの撤回論文数は14報で、「撤回論文数」世界ランキングの第28位(番号は30番)の多数論文撤回者だった。40論文以上が盗用なのに、2023年11月14日現在でも撤回論文数は18報しかない。なお、18報のうちの1報は盗用と指摘された12年後に撤回された。明白な「学術誌のネカト対処怠慢」事件でもある。国民の損害額(推定)は4億円(大雑把)。

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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.概略
2.経歴と経過
5.不正発覚の経緯と内容
6.論文数と撤回論文とパブピア
7.白楽の感想
9.主要情報源
10.コメント
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●1.【概略】

マーチン・ストーン(Martin Stone、Martin W. F. Stone、Martin William Francis Stone)は、ベルギーのルーヴェン・カトリック大学(Katholieke Universiteit Leuven)・教授で、専門は哲学だった。

2009年10月中旬(44歳)、米国のオハイオ・ドミニカ大学(Ohio Dominican University)のマイケル・ドハティ準教授は、ストーンの論文に盗用があることに気がついた。

2009年11月中旬(44歳)、ドハティ準教授らは、ストーン論文を掲載している学術誌に、論文を撤回するよう要請し、同時にルーヴェン・カトリック大学にストーンの盗用を通報した。

2010年1月15日(45歳)、ドハティ準教授らの指摘の2か月後、ルーヴェン・カトリック大学・研究公正委員会は、ストーンの論文に盗用があると結論した。

2010年(45歳)、ストーンはルーヴェン・カトリック大学を辞職(resigned)した。

それから6年後の2016年7月28日当時、撤回論文数が14報で、ストーンは「撤回論文数」世界ランキングの第28位(番号は30番)にランクインした。 → The Retraction Watch Leaderboard – Retraction Watch at Retraction Watch

ストーンの盗用論文は40報以上と指摘されているが、例によって、全部の盗用論文は撤回されてはいない。

撤回論文数は、2016年当時は14報だったが、2023年11月14日現在は18論文になっている。

なお、18報のうちの1報は盗用指摘から撤回まで12年間もかかっていた。

要するに、「学術誌のネカト対処怠慢」で、盗用が明白なのに論文は撤回されず、学術誌が学術界に毒をまき続けていたのである。

ルーヴェン・カトリック大学(Katholieke Universiteit Leuven)。出典https://nieuws.kuleuven.be/en/content/2017/ku-leuven-is-fifth-most-innovative-university-in-the-world

  • 国:ベルギー
  • 成長国:英国
  • 医師免許(MD)取得:なし
  • 研究博士号(PhD)取得:英国のケンブリッジ大学
  • 男女:男性
  • 生年月日:1965年生まれ。仮に1965年1月1日生まれとする。アイルランド生まれ(推定)
  • 現在の年齢:59 歳?
  • 分野:哲学
  • 不正論文発表:1998~2009年(33~44歳)の12年間
  • ネカト行為時の地位:ルーヴェン・カトリック大学・教員、その後、教授
  • 発覚年:2009年(44歳)
  • 発覚時地位:ルーヴェン・カトリック大学・教授
  • ステップ1(発覚):第一次追及者は、米国のオハイオ・ドミニカ大学(Ohio Dominican University)のマイケル・ドハティ準教授(Michael Dougherty)ら。論文で公表し、学術誌、ルーヴェン・カトリック大学へ公益通報
  • ステップ2(メディア):「Times Higher Education (THE)」、「撤回監視(Retraction Watch)」
  • ステップ3(調査・処分、当局:オーソリティ):①学術誌・編集部。②ルーヴェン・カトリック大学・調査委員会
  • 大学・調査報告書のウェブ上での公表:なし
  • 大学の透明性:実名報道だが機関のウェブ公表なし(△)
  • 不正:盗用
  • 不正論文数:40論文以上が盗用。18論文が撤回
  • 盗用ページ率:?%。かなり多い
  • 盗用文字率:?%。かなり多い
  • 時期:研究キャリアの初期から
  • 職:事件後に研究職(または発覚時の地位)を続けられなかった(Ⅹ)
  • 処分:大学を辞職(resigned)
  • 日本人の弟子・友人:不明

【国民の損害額】
国民の損害額:総額(推定)は4億円(大雑把)。

●2.【経歴と経過】

主な出典:Martin William Francis Stone – Wikipedia

  • 生年月日:1965年生まれ。仮に1965年1月1日生まれとする。アイルランド生まれ(推定)
  • 19xx年(xx歳):英国のキングス・カレッジ・ロンドン(King’s College London)で学士号取得:哲学
  • 19xx年(xx歳):フランスのパリ大学(University of Paris)で修士号取得:哲学
  • 1994年(29歳):英国のケンブリッジ大学(University of Cambridge)で研究博士号(PhD)を取得:哲学
  • 19xx年(xx歳):英国のウォーバーグ研究所(Warburg Institute)・ポスドク
  • 1998年(33歳):ベルギーのルーヴェン・カトリック大学(Katholieke Universiteit Leuven)・教員、その後、教授
  • 2009年10月中旬(44歳):不正が発覚
  • 2009年11月(44歳)?:ルーヴェン・カトリック大学がネカト調査を始める
  • 2010年1月15日(45歳):ルーヴェン・カトリック大学がネカト調査を終え、クロと結論
  • 2010年(45歳):ルーヴェン・カトリック大学を辞職(resigned)
  • 2023年11月14日(58歳)現在:消息不明。研究者ではないようだ

●5.【不正発覚の経緯と内容】

★研究人生

マーチン・ストーン(Martin Stone、Martin W. F. Stone、Martin William Francis Stone)は、アイルランドで生まれ(推定)、英国のキングス・カレッジ・ロンドン(King’s College London)で学士号を取得した。パリ大学で修士号、英国のケンブリッジ大学で研究博士号(PhD)を取得と、研究者として超エリートコースを歩んできた。

その後、ベルギーのルーヴェン・カトリック大学(Katholieke Universiteit Leuven)の哲学教授に就任した。

★発覚の経緯

フィンランドの国会議員イルッカ・カントラ(Ilkka Kantola、写真By Johannes Jansson – norden.org, CC BY 2.5 dk、出典)は、1994年に著書『中世後期および近世後期における確率と道徳的不確実性(Probability and Moral Uncertainty in Late Medieval and Early Modern Times)』を出版した。

2009年10月中旬(44歳)、米国のオハイオ・ドミニカ大学(Ohio Dominican University)のマイケル・ドハティ準教授(写真出典)は、マーチン・ストーン(Martin Stone)の2000年の論文「Recherches de Théologie et Philosophie médiévales (RTPM)」が、イルッカ・カントラ(Ilkka Kantola)の上記著書から広範囲に渡って逐語盗用していることに気がついた。

2009年10月中旬、ドハティ準教授は、盗用されていたことをカントラ議員に伝えた。

カントラ議員は「数十ページが全く同じ、あるいはほぼ同じだったが、私の名前は全く言及されていなかった」と述べた。→ 2010年2月16日記事:Interview With a Victim of Plagiarism

2009年11月中旬、ドハティ準教授らは、ストーン論文を掲載している学術誌に、論文を撤回するよう要請し、同時にルーヴェン・カトリック大学にストーンの盗用を通報した。

2009年、ドハティ準教授(Michael Dougherty)らはマーチン・ストーン(Martin Stone)のストーンが40論文で盗用したと以下の論文で指摘した。

  •  “40 Cases of Plagiarism“. 
    Dougherty, Michael V.; Harsting, Pernille; Friedman, Russell L.
    (2009).Bulletin de Philosophie médiévale. 51: 350–391. doi:10.1484/J.BPM.3.615.

以下は「40 Cases of Plagiarism」の冒頭部分(出典:同)。全文(46ページ)は → https://www.mvdougherty.com/40_Cases.pdf

★大学の対応

ドハティ準教授からの通報を受け、ルーヴェン・カトリック大学のピーター・マリネン研究担当副学長(Peter Marynen、写真出典)は、同大学の研究公正委員会がストーンの盗用疑惑を調査すると語った。

2010年1月15日(45歳)、ルーヴェン・カトリック大学・研究公正委員会は、ストーン論文を出版した学術誌に、「マーティン・ストーンの著作・論文は研究公正の観点から非常に問題があると結論しました」と通知した。

ピーター・マリネン研究担当副学長は「ルーヴェン・カトリック大学 在職中のマーティン・ストーン教授の出版物は、すべて問題があると考えている」と述べた。

以下は学術誌がルーヴェン・カトリック大学から受け取った撤回要請文書(2010年1月15日)の冒頭部分(出典:同)。全文(17ページ)は → https://www.brepolsonline.net/doi/pdf/10.5555/J.QUAESTIO.6.78018881010204000008030507080778

★多数論文撤回者

2010年に盗用と結論された6年後、2016年当時、マーチン・ストーン(Martin Stone)の撤回論文数は14報で、「撤回論文数」世界ランキングの第28位(番号は30番)になった。データと図の出典は → 2016年 7月28日保存版:The Retraction Watch Leaderboard – Retraction Watch at Retraction Watch

2023年11月14日現在、最低28報の撤回論文がないと「撤回論文数」世界ランキングにランクされない。

「撤回論文数」世界ランキング

マーチン・ストーンの盗用論文は40報以上と指摘されているが、例によって、指摘された全部の盗用論文は撤回されてはいない。

ただ、撤回論文数は、2016年の時は14報だったが、2023年11月14日現在は18論文になっている。

ストーンは多数論文撤回者ではあるが、44歳の時、摘発されたので、撤回論文数はソコソコで収まっている。

★学術誌のネカト対処怠慢

ドハティ準教授(Michael Dougherty)らはストーンの40報の論文の盗用解析を2009年の論文で示している。

その後見つけた盗用もあり、ストーンの盗用論文は40報以上指摘されている。しかし、例によって、指摘された全部の盗用論文は撤回されてはいない。

何故か? 学術誌が適切に対応しないのである。つまり、ストーン事件は「学術誌のネカト対処怠慢」事件でもある。

「学術誌のネカト対処怠慢」は実は、世界中に蔓延していて、学術誌の品質は玉石混交である。玉石混交だと「悪貨は良貨を駆逐する」ので、石だらけになる。

ストーンの盗用論文を例に少し述べよう。出典は、2023年3月22日のジャスティン・ワインバーグ(Justin Weinberg)記者の「Daily Nous」記事である。 → It’s All Too Hard to Get Plagiarizing Philosophy Publications Retracted (guest post) – Daily Nous

2022年12月、学術誌「Traditio」の編集長は、オンラインと同誌2022年号の印刷版(77巻、465ページ)の両方で、ストーンの「2006年のTraditio」論文(以下)を撤回すると発表した。

  • M. W. F. Stone, “Adrian of Utrecht and the University of Louvain: Theology and the Discussion of Moral Problems in the Late Fifteenth Century”, Traditio 61 (2006), pp. 247-287.

ストーンのこの「2006年のTraditio」論文は、ドハティ準教授(Michael Dougherty)らが、「2009年の“40 Cases of Plagiarism”」論文のp. 378で「“Case 28 (2006)”」の盗用論文だと結論していた。

そして、2011年11月、論文撤回の11年前、ドハティ準教授は、この「2006年のTraditio」論文が盗用だと電子メールで学術誌「Traditio」に伝えていた

盗用だとの通知を受けたにもかかわらず、編集長は何も返答しないばかりか、編集委員の誰も返答しなかった。

3か月後の2012年2月、ドハティ準教授は、再度、メールした。

2012年3月6日、編集長から「3月か4月に開催される次回の編集委員会で検討する」と返答してきた。

そして、最後に次のことを書いてきた。

「この状況はすでに私たちに知らされれていたことをお伝えしておきます。2010 年 3 月、ルーヴェン・カトリック大学 ・研究担当副学長から、 状況を詳細に伝えられました。その手紙で、決定は私たちに委ねると述べております。それで、 この問題は、ルーヴェン・カトリック大学 と学術誌「Traditio」の間で処理するのが妥当であると、私どもは考えております」

そして、その後、3年間、論文は撤回されず、学術誌「Traditio」からは何も連絡がなかった。

2015年4月9日、ドハティ準教授は、編集長に「どうなっていますか?」メールをした。

その返答はなく、そして、その後、6年間、論文は撤回されず、学術誌「Traditio」からは何も連絡がなかった。

2021年5月、ドハティ準教授の仲間 が、内容を解説した文書を付けて、学術誌「Traditio」にウン度目の撤回要請をした。

2021年晩秋、オンライン版の論文が撤回された。

2022年12月、印刷版(77巻、465ページ)で、ストーンの「2006年のTraditio」論文を撤回すると発表した。

大学から盗用と伝えられてから12年後、その間、ドハティ準教授  らが、何度もせっついて、やっと学術誌「Traditio」は盗用論文を撤回した。

「学術誌のネカト対処怠慢」は筋金入りである。怠慢なのは編集長と編集委員である。つまり、某大学教授たちである。

【盗用の具体例】

米国のオハイオ・ドミニカ大学(Ohio Dominican University)のマイケル・ドハティ準教授(Michael Dougherty)らがマーチン・ストーン(Martin Stone)の盗用を指摘した。 → Dougherty, Michael V.; Harsting, Pernille; Friedman, Russell L. (2009). “40 Cases of Plagiarism“. Bulletin de Philosophie médiévale. 51: 350–391. doi:10.1484/J.BPM.3.615.。

指摘方法は盗用比較図ではなく、文章である。文章だと、一目瞭然にならない。

40件の内、1番目の例の冒頭部分を以下に示す。

―――――――以下は40件の内の1番目の例の冒頭部分―――

盗用論文

  • M.W.F. STONE, “The Philosophy of Religion”, in Philosophy 2: Further Through the Subject, ed. A.C. GRAYLING (Oxford: Oxford University Press, 1998), pp. 269-350 (= S):

被盗用論文は26論文もある。以下の( )は被盗用論文番号。「S」はストーンの上記盗用論文の該当ページ。「S=X」のXは各被盗用論文。最初のは「J」。

被盗用論文は26論文の内、最初の1論文だけ示す。

  • (1) Mark D. JORDAN, “Religion, history of the philosophy of”, in The Oxford Companion to
    Philosophy, ed. Ted HONDERICH (Oxford: Oxford University Press, 1995), pp. 759a-763a (= J), S 269 = J 759b; S 270 = J 759b; S 271 = J 759b; S 272 = J 760a; S 273 = J 760a, 760b; S 274 =J 760b; S 275 = J 760b, 761a; S 276 = J 761a; S 277 = J 761a, 761b; S 278 = J 761b; S 279 = J762a; S 280 = J 762a; S 283 = J 762b; S 284 = J 762b

指摘方法は盗用比較図ではなく、文章である。視覚的に分かり難い。

それで、以下、上記「Mark D. JORDAN」のケースの1つの部分を白楽が盗用比較図にした(ドハティ準教授らの”40 Cases of Plagiarism”から白楽が作成)。

左側がマーチン・ストーン(Martin Stone)の盗用部分で右が被盗部分である。同じ単語を黄色で示した。ほとんどが逐語盗用で、少し、加工盗用もあるが、盗用文字率は実質100%である。

●6.【論文数と撤回論文とパブピア】

データベースに直接リンクしているので、記事を閲覧した時、リンク先の数値は、記事執筆時の以下の数値より増えていると思います。

★スコーパス(Scopus)

2023年11月14日現在、スコーパス(Scopus)で、マーチン・ストーン(Martin Stone、Martin W. F. Stone、Martin William Francis Stone)の論文を「Stone, Martin William Francis」で検索した。「著者が見つかりませんでした」と表示された。

★撤回監視データベース

2023年11月14日現在、「撤回監視(Retraction Watch)」の撤回監視データベースでマーチン・ストーン(Martin Stone、Martin W. F. Stone、Martin William Francis Stone)を「Martin William Francis Stone」で検索すると、1999~2010年に出版の18論文が2002~2022年に撤回されていた。

★パブピア(PubPeer)

2023年11月14日現在、「パブピア(PubPeer)」では、マーチン・ストーン(Martin Stone、Martin W. F. Stone、Martin William Francis Stone)の論文のコメントを「”Martin William Francis Stone”」で検索すると、0論文にコメントがあった。

●7.【白楽の感想】

《1》早期発見 

2016年当時、撤回論文数は14報で、「撤回論文数」世界ランキングの第28位(番号は30番)の多数論文撤回者だった。現在の撤回論文数は18報。

ストーンは1998~2009年(33~44歳)の12年間、盗用していた。

実はこの期間は、ストーンがルーヴェン・カトリック大学に在職していた期間そのものである。

ネカトの法則:「ネカトはネカト常習者の研究スタイルなので、他論文でもネカトしている」。

ルーヴェン・カトリック大学に在職する前から、ストーンは盗用していたと考える方が妥当である。と言っても、それ以前に所属していた大学はストーンの盗用調査をしていない。

となると、盗用調査すれば、もっと盗用論文数は増えるだろう。

2009年、ストーン44歳の時、盗用が摘発された。

もし、この時摘発されずに65歳ころまで教授職にとどまり、盗用し続けていたら、三桁数の盗用論文数になっていただろう。そうなると、2023年11月14日現在でも、「撤回論文数」世界ランキングの上位にランクされる。

ネカトの法則:「ネカトでは早期発見・適切処分が重要である」。

《2》学術誌のネカト対処怠慢

ストーン事件は、「学術誌のネカト対処怠慢」事件でもある。

大学から盗用と伝えられてから12年後、その間、ドハティ準教授  らが、何度もせっついて、やっと学術誌「Traditio」は盗用論文を撤回した。

学術誌「Traditio」は不正論文を掲載し続けることで学術界に毒をまき続けていたのである。

学術誌の編集長は、通常、その分野のボス的な大学教授である。つまり、その分野のボス的な大学教授がその分野の研究者に対して毒をまき続けた張本人なのである。

世界的に「学術誌のネカト対処怠慢」に対してメスを入れ、こういう編集長にペナルティを科すなどし、改革を強要すべきである。

日本の学術誌にもヒドイ学術誌が相当ある。何とかすべき!

《3》不明

ストーン事件では、マーチン・ストーン(Martin Stone、Martin W. F. Stone、Martin William Francis Stone)が「どのような状況で、どうして」盗用したのか、見えてこない。これでは、ネカト対策に役立つ点は少ない。

いくつかの他のネカト事件と同じだが、ストーンの経歴や写真や研究状況など、大部分がウェブから削除されている。

「撤回論文数」世界ランキングにランクインした結構大きな事件なのだが、その発覚から盗用解析までは個人ボランティアに依存している。

マイケル・ドハティ準教授(Michael Dougherty)らが2009年に指摘していなかったら、2023年11月14日現在、ストーンの盗用論文は100報を軽く超えていただろう。

個人ボランティアに依存しないネカト摘発体制の構築が早急に必要である。

ーーーー(注:以下の写真は本文とは関係ありません)ーーーー。

白楽がルーヴェン・カトリック大学の職員食堂で食べたランチ。これにスープが付いて、4.05ユーロ(約480円)。2006年。白楽撮影。
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日本の人口は、移民を受け入れなければ、試算では、2100年に現在の7~8割減の3000万人になるとの話だ。国・社会を動かす人間も7~8割減る。現状の日本は、科学技術が衰退し、かつ人間の質が劣化している。スポーツ、観光、娯楽を過度に追及する日本の現状は衰退を早め、ギリシャ化を促進する。今、科学技術と教育を基幹にし、人口減少に見合う堅実・健全で成熟した良質の人間社会を再構築するよう転換すべきだ。公正・誠実(integrity)・透明・説明責任も徹底する。そういう人物を昇進させ、社会のリーダーに据える。また、人類福祉の観点から、人口過多の発展途上国から、適度な人数の移民を受け入れる。
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●9.【主要情報源】

① ウィキペディア英語版:Martin William Francis Stone – Wikipedia
② 2010年3月11日のメラニー・ニューマン(Melanie Newman)記者の「Times Higher Education (THE)」記事:Plagiarism probe sees UK scholar quit Belgian post | Times Higher Education (THE)
③ 2016年6月8日のシャノン・パラス(Shannon Palus)記者の「撤回監視(Retraction Watch)」記事:Philosopher earns 14th retraction for plagiarism – Retraction Watch
④ 2017年5月19日のアリソン・マクック(Alison McCook)記者の「撤回監視(Retraction Watch)」記事:Does the philosophy literature have a plagiarism problem? – Retraction Watch
⑤ 2023年3月22日のジャスティン・ワインバーグ(Justin Weinberg)記者の「Daily Nous」記事:It’s All Too Hard to Get Plagiarizing Philosophy Publications Retracted (guest post) – Daily Nous
★記事中の画像は、出典を記載していない場合も白楽の作品ではありません。

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