エルサ・ヴィターレ(Elsa Vitale)(イタリア)

2021年4月7日掲載 

ワンポイント:2012年8月(32歳?)、バーリ地方保健局(Azienda Sanitaria Locale Bari)・登録看護師のヴィターレの「2011年のImmunopharmacology and Immunotoxicology」論文が、盗用で撤回された。処分なし。ネカト発生の状況は全くわからない。国民の損害額(推定)は1億円(大雑把)。

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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.概略
2.経歴と経過
5.不正発覚の経緯と内容
6.論文数と撤回論文とパブピア
7.白楽の感想
9.主要情報源
10.コメント
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●1.【概略】

エルサ・ヴィターレ(Elsa Vitale、ORCID iD:http://orcid.org/0000-0002-9738-3479、写真出典)は、イタリアのバーリ地方保健局(Azienda Sanitaria Locale Bari)・登録看護師(Registered Nurse)で、専門は看護学である。

ヴィターレ事件は情報が少なく、ネカト発生の状況は全くわからない。

ネカト発覚の経緯も不明だが、2012年8月にヴィターレの「2011年のImmunopharmacology and Immunotoxicology」論文が撤回された。
撤回理由は文章とデータの盗用だった。撤回決定後、データねつ造も発覚した。

所属するバーリ地方保健局はネカト調査をしたのかどうかわからない。調査報告書は公表されていない。

2021年4月6日(41歳?)現在、ヴィターレは処分された形跡がない。バーリ地方保健局(Azienda Sanitaria Locale Bari)・登録看護師(Registered Nurse)として勤務している。

バーリ地方保健局(Azienda Sanitaria Locale Bari)。写真出典

  • 国:イタリア
  • 成長国:イタリア
  • 登録看護師免許(RN)取得:バーリ大学
  • 研究博士号(PhD)取得:バーリ大学
  • 男女:女性
  • 生年月日:不明。仮に1980年1月1日生まれとする。2007年に最初の論文を発表した時を27歳とした
  • 現在の年齢:41 歳?
  • 分野:看護学
  • 不正論文発表:2011年(31歳?)
  • 発覚年:2012年(32歳?)
  • 発覚時地位:バーリ地方保健局・登録看護師
  • ステップ1(発覚):第一次追及者は不明
  • ステップ2(メディア):「撤回監視(Retraction Watch)」
  • ステップ3(調査・処分、当局:オーソリティ):①学術誌・編集部
  • 所属機関・調査報告書のウェブ上での公表:なし
  • 所属機関の事件への透明性:調査していない、発表なし(✖)
  • 不正:盗用、ねつ造
  • 不正論文数:1報
  • 盗用ページ率:?%
  • 盗用文字率:?%
  • 時期:研究キャリアの初期から
  • 職:事件後に研究職(または発覚時の地位)を続けた(〇)
  • 処分:なし
  • 日本人の弟子・友人:不明

【国民の損害額】
国民の損害額:総額(推定)は1億円(大雑把)。

●2.【経歴と経過】

出典:Elsa Vitale (0000-0002-9738-3479) – ORCID

  • 生年月日:不明。仮に1980年1月1日生まれとする。2007年に最初の論文を発表した時を27歳とした
  • xxxx年(xx歳):バーリ大学(Università degli Studi di Bari: Bari)で登録看護師(Registered Nurse)取得
  • xxxx年(xx歳):バーリ大学(Università degli Studi di Bari: Bari)で研究博士号(PhD)を取得:看護学
  • xxxx年(xx歳):バーリ地方保健局(Azienda Sanitaria Locale Bari)・登録看護師(Registered Nurse)
  • 2011年(31歳?):後で問題視される「2011年のImmunopharmacology and Immunotoxicology」論文出版
  • 2012年(32歳?):上記論文が盗用で撤回
  • 2021年4月6日(41歳?)現在:バーリ地方保健局(Azienda Sanitaria Locale Bari)・登録看護師(Registered Nurse)として勤務

●5.【不正発覚の経緯と内容】

★経緯

ヴィターレ事件は情報が少なく、ネカト発生の状況は全くわからない。

ネカト発覚の経緯も不明だが、2012年8月にヴィターレの「2011年のImmunopharmacology and Immunotoxicology」論文が撤回された。
 → 撤回公告:Full article: Statement of Retraction

  • An evaluation of the association of malnutrition with nosocomial infections in elderly patients. Immunopharmacology and Immunotoxicology
    Elsa Vitale
    2011, 1–4, Early Online. DOI: 10.3109/08923973.2011.625033

撤回公告によると、ヴィターレの「2011年のImmunopharmacology and Immunotoxicology」論文は以下の論文の文章とデータを盗用していた。

141225 03992ad[1]撤回公告は学術誌「Immunopharmacology and Immunotoxicology」のエミリオ・ジリーロ編集長(Emilio Jirillo、写真出典)が署名している。

撤回を決めた後に、ヴィターレの「2011年のImmunopharmacology and Immunotoxicology」論文にデータねつ造も見つかった。

学術誌はこのネカトをヴィターレの所属するバーリ大学に伝え、調査を依頼した。なお、エミリオ・ジリーロ編集長は、実はバーリ大学・教授でヴィターレと知己である。

2021年4月6日(41歳?)現在、それから約9年経過したが、バーリ大学が調査したかどうか不明である。調査報告書は公表されていない。ジリーロ編集長がバーリ大学・教授であることと関係があるのか・ないのか、わからない。

なお、白楽はエミリオ・ジリーロ編集長(Emilio Jirillo)の顔をどこかで見た覚えがあった。

いろいろ探して、判明した。ヒュンイン・ムン(Hyung-In Moon)(韓国)の論文を「Immunopharmacology and Immunotoxicology」に掲載し、その後、20報も撤回した編集長だった。責任を取って(嫌気がさして?)、編集長を辞めた人だった。 → ヒュンイン・ムン(Hyung-In Moon)(韓国) | 白楽の研究者倫理

【ネカトの具体例】

ネカトの具体的な事はわからない。

盗用で被盗用論文が示されているので盗用比較図は作れそうだが、アップされていない。

それに、理由は不明だが、ヴィターレの「2011年のImmunopharmacology and Immunotoxicology」論文はウェブ上に見当たらない。パブメド(PubMed)の検索でもヒットしない。撤回と同時に削除されたのだろう。

●6.【論文数と撤回論文とパブピア】

★パブメド(PubMed)

2021年4月6日現在、パブメド(PubMed)で、エルサ・ヴィターレ(Elsa Vitale)の論文を「Elsa Vitale [Author]」で検索した。この検索方法だと、2002年以降の論文がヒットするが、2007~2021年の15年間の18論文がヒットした。

2021年4月6日現在、「Retracted Publication」のフィルターでパブメドの論文撤回リストを検索すると、0論文が撤回されていた。

★撤回監視データベース

2021年4月6日現在、「撤回監視(Retraction Watch)」の撤回監視データベースでエルサ・ヴィターレ(Elsa Vitale)を「Elsa Vitale」で検索すると、本記事で問題にした「2011年のImmunopharmacology and Immunotoxicology」論文・1論文が、2012年8月に撤回されていた。訂正論文と懸念表明論文は無かった。

★パブピア(PubPeer)

2021年4月6日現在、「パブピア(PubPeer)」では、エルサ・ヴィターレ(Elsa Vitale)の論文のコメントを「Elsa Vitale」で検索すると、0論文にコメントがあった。

●7.【白楽の感想】

《1》不明 

ヴィターレ事件では、ヴィターレが「どのような状況で、どうしてネカトをしたのか、見えてこない。これでは、ネカト対策に役立つ点がほとんどない。

ネカト事件の解説文を書いていると、つい、情報が多い事件を解説してしまう。その結果、すべてのネカト事件はかなりの情報があるのだ、と読者に誤解を与えてしまう。白楽はこの点を懸念している。

ほとんど情報がないネカト事件はかなりある(何割なのかは不明)。このことを知っておいてもらいたい。

さらに言うと、全く報道されないネカト事件もかなりある(推測)。

全く報道されないネカト事件は、ネカト行為の存在さえ知ることができない。でも、白楽は「かなりある」と感じている。

オットット。だからといってネカトしても見つからないと思わないように。

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日本がスポーツ、観光、娯楽を過度に追及する現状は日本の衰退を早め、ギリシャ化を促進する。日本は、40年後に現人口の22%が減少し、今後、飛躍的な経済の発展はない。科学技術と教育を基幹にした堅実・健全で成熟した人間社会をめざすべきだ。科学技術と教育の基本は信頼である。信頼の条件は公正・誠実(integrity)である。人はズルをする。人は過ちを犯す。人は間違える。その前提で、公正・誠実(integrity)を高め維持すべきだ。
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●9.【主要情報源】

① 2012年7月6日のアダム・マーカス(Adam Marcus)記者の「撤回監視(Retraction Watch)」記事:Second helpings: Immunology journal retracts paper for plagiarism, then U Bari investigation reveals fraud – Retraction Watch
★記事中の画像は、出典を記載していない場合も白楽の作品ではありません。

●コメント

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