デイヴィッド・パンカ(David Panka)(米)

2020年12月11日掲載 

ワンポイント:2020年11月20日(63歳?)、研究公正局は、ハーバード大学医科大学院/ベス・イスラエル・ディコネス病院(Harvard Medical School and Beth Israel Deaconess Medical Center)・準教授だったパンカの3報の発表論文、1報の学会発表にウェスターンブロット画像のねつ造・改ざんがあったと発表した。2020年11月9日から3年間の締め出し処分を科した。パンカは退職(retire)した。記事執筆時点では、撤回論文は1報。国民の損害額(推定)は3億円(大雑把)。

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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.概略
2.経歴と経過
5.不正発覚の経緯と内容
6.論文数と撤回論文とパブピア
7.白楽の感想
9.主要情報源
10.コメント
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●1.【概略】

デイヴィッド・パンカ(David Panka、David J. Panka、David Joel Panka、写真出典)は、ハーバード大学医科大学院/ベス・イスラエル・ディコネス病院(Harvard Medical School and Beth Israel Deaconess Medical Center)・準教授だった。医師免許は持っていない。専門はがんの生化学である。

ネカト発覚の経緯は不明だが、2014年6月(57歳?)、匿名者が「パブピア(PubPeer)」でパンカの「2006年2月のCancer Res」論文に図の使いまわしがあると指摘した。それで、発覚時期を2014年6月(57歳?)とした。

ハーバード大学医科大学院/ベス・イスラエル・ディコネス病院がネカト調査を終え、クロと判定し、研究公正局に報告したと思われる。

2019年9月(62歳?)、パンカは退職(retire)した。

2020年11月20日(63歳?)、研究公正局は、ハーバード大学医科大学院/ベス・イスラエル・ディコネス病院・準教授だったパンカの3報の発表論文、1報の学会発表にウェスターンブロット画像のねつ造・改ざんがあったと発表した。

2020年11月9日(63歳?)から3年間の締め出し処分を科した。3年間の締め出し処分は通常の処分である。

ベス・イスラエル・ディコネス病院(Beth Israel Deaconess Medical Center)。写真By Tim PierceOwn work, CC BY 3.0, Link

  • 国:米国
  • 成長国:米国
  • 医師免許(MD)取得:なし
  • 研究博士号(PhD)取得:デラウェア大学
  • 男女:男性
  • 生年月日:不明。仮に1957年1月1日生まれとする。1975年に大学院入学した時を18歳とした
  • 現在の年齢:46 歳?
  • 分野:がんの生化学
  • 最初の不正論文発表:2005年(48歳?)
  • 不正論文発表:2005-2013年(48-56歳?)の8年間
  • 発覚年:2014年6月(57歳?)
  • 発覚時地位:ハーバード大学医科大学院/ベス・イスラエル・ディコネス病院・準教授
  • ステップ1(発覚):第一次追及者は匿名者で、「パブピア(PubPeer)」で指摘
  • ステップ2(メディア):「パブピア(PubPeer)」
  • ステップ3(調査・処分、当局:オーソリティ):①ハーバード大学医科大学院/ベス・イスラエル・ディコネス病院・調査委員会。②研究公正局
  • 研究所・調査報告書のウェブ上での公表:なし
  • 研究所の透明性:研究公正局でクロ判定(〇)
  • 不正:ねつ造・改ざん
  • 不正論文数:研究公正局は2005-2013年(48-56歳?)の8年間の3報の発表論文、1報の学会発表を問題視し、撤回または訂正するよう指示した。2020年12月10日現在、撤回論文は1報。懸念表明が1報ある
  • 時期:研究キャリアの中期
  • 職:事件後に研究職(または発覚時の地位)を続けられなかった(Ⅹ)
  • 処分: NIHから 3年間の締め出し処分
  • 日本人の弟子・友人:共著論文在り → 真野敏昭(Toshiaki Mano、関西ろうさい病院・部長)

【国民の損害額】
国民の損害額:総額(推定)は3億円(大雑把)。

●2.【経歴と経過】

主な出典:(21) David Panka | LinkedIn

  • 生年月日:不明。仮に1957年1月1日生まれとする。1975年に大学院入学した時を18歳とした
  • 1975年– 1979年(18 – 22歳?):ノースカロライナ州立大学(North Carolina State University)で学士号を取得:生物学
  • 1979 – 1984年(22 – 27歳?):デラウェア大学(University of Delaware)で研究博士号(PhD)を取得:化学
  • 1990年7月 – 1997年10月(33 – 40歳?):ボストン大学(Boston University)・スタッフ科学者
  • 1997年11月 – 2018年9月(40 – 61歳?):ハーバード大学医科大学院/ベス・イスラエル・ディコネス病院(Harvard Medical School and Beth Israel Deaconess Medical Center)・準教授
  • 2014年6月(57歳?):不正研究が発覚(推定)
  • 2018年9月 – 2019年9月(61 – 62歳?):マサチューセッツ総合病院(Massachusetts General Hospital)・スタッフ研究員
  • 2020年11月20日(63歳?):研究公正局がネカトと発表

●5.【不正発覚の経緯と内容】

★ネカト

デイヴィッド・パンカ(David Panka、写真出典)は1997年11月 – 2018年9月(40 – 61歳?)、米国のハーバード大学医科大学院/ベス・イスラエル・ディコネス病院(Harvard Medical School and Beth Israel Deaconess Medical Center)の準教授だった。

ネカト発覚の経緯は不明だが、2014年6月(57歳?)、匿名者が「パブピア(PubPeer)」でパンカの「2006年2月のCancer Res」論文の図の使いまわしを指摘した。それで、発覚時期を2014年6月(57歳?)とした。

2018年9月(61歳?)にハーバード大学医科大学院/ベス・イスラエル・ディコネス病院からマサチューセッツ総合病院に移籍している。その頃、ハーバード大学医科大学院/ベス・イスラエル・ディコネス病院の調査が終わり、クロと結論したと思われる。

2020年11月20日(63歳?)、研究公正局はパンカが3報の発表論文、1報の学会発表でウェスターンブロット画像をねつ造・改ざんしていたと発表した。

2020年11月9日から3年間の締め出し処分を科した。3年間の締め出し処分は通常の処分である。

2件の研究グラントは以下の通り。

  • P50 CA093683
  • P50 CA101942.

3報の発表論文、1報の学会発表は以下の通り。2005-2013年(48-56歳?)の8年間の4報である。以下、研究公正局の情報をそのまま貼り付けた。

  1. The Raf inhibitor BAY 43-9006 (Sorafenib) induces caspase-independent apoptosis in melanoma cells. Cancer Res. 2006 Feb 1; 66(3):1611-9. Retraction in: Cancer Res. 2019 Oct 15;79(20):5459.
  2. Differential modulatory effects of GSK-3b and HDM2 on sorafenib-induced AIF nuclear translocation (programmed necrosis) in melanoma. Mol Cancer 2011 Sep 19;10:115.
  3. Effects of HDM2 antagonism on sunitinib resistance, p53 activation, SDF-1 induction, and tumor infiltration by CD11b+/Gr-1+ myeloid derived suppressor cells. Mol Cancer 2013 Mar 5;12:17.
  4. Presentation #5328, “BAY 43-9006 induces apoptosis in melanoma cell lines”, presented during Cellular and Molecular Biology session #63 (‘Apoptosis 4: Chemotherapeutic Agents II’)” on April 20, 2005, at the 96th Annual American Association for Cancer Research (AACR) meeting, held in Anaheim, California

【ねつ造・改ざんの具体例】

2020年11月20日(63歳?)の研究公正局の発表は論文のネカト部分を指摘している。

しかし、言葉で説明されてもわかりにくい。それで、1論文を選んでパブピア(PubPeer)での指摘箇所を以下に詳しく見ていこう。

★「2006年2月のCancer Res」論文

「2006年2月のCancer Res」論文の書誌情報を以下に示す。2019年10月に撤回された。。

2014年9月28日、パブピアでPeer 1が、図1Aでのバンド使いまわしを指摘した(commented September 28th, 2014 9:09 PM and accepted September 28th, 2014 9:09 PM)。図の出典:https://pubpeer.com/publications/3607EB3649A53BBC54F0FF9D533541#3

同じ2014年9月28日、パブピアでPeer 1が、図6Aでのバンド使いまわしも指摘した(commented September 28th, 2014 9:28 PM and accepted September 28th, 2014 9:28 PM)。図の出典:https://pubpeer.com/publications/3607EB3649A53BBC54F0FF9D533541#5

●6.【論文数と撤回論文とパブピア】

★パブメド(PubMed)

2020年12月10日現在、パブメド(PubMed)で、デイヴィッド・パンカ(David Panka)の論文を「David Panka [Author]」で検索した。この検索方法だと、2002年以降の論文がヒットするが、2003~2019年の17年間の25論文がヒットした。

「Panka DJ」で検索すると、1987~2019年の23年間の41論文がヒットした。

2020年12月10日現在、「Retracted Publication」でパブメドの論文撤回リストを検索すると、本記事で問題にした「2006年2月のCancer Res」論文・1論文が2019年10月に撤回されていた。

★撤回監視データベース

2020年12月10日現在、「撤回監視(Retraction Watch)」の撤回監視データベースでデイヴィッド・パンカ(David Panka)を「Panka」で検索すると、0論文が訂正、1論文が懸念表明、1論文が撤回されていた。

上述したように本記事で問題にした「2006年2月のCancer Res」論文が2019年10月に撤回されていた。

★パブピア(PubPeer)

2020年12月10日現在、「パブピア(PubPeer)」では、デイヴィッド・パンカ(David Panka)の論文のコメントを「David Panka」で検索すると、8論文にコメントがあった。

●7.【白楽の感想】

《1》ごく普通のネカト 

デイヴィッド・パンカ(David Panka)のネカト事件は、ごく普通のネカト事件に思える。ネカト事件を「ごく普通」というと語弊があるなら、多数見られるネカト事件である。

このような「ごく普通のネカト事件」を予防できない(しない)状況がマズイのだが、「すべき」論を白楽が打っても、響かない。この状況もマズイ。マズイ。マズイ。

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日本がスポーツ、観光、娯楽を過度に追及する現状は日本の衰退を早め、ギリシャ化を促進する。日本は、40年後に現人口の22%が減少し、今後、飛躍的な経済の発展はない。科学技術と教育を基幹にした堅実・健全で成熟した人間社会をめざすべきだ。科学技術と教育の基本は信頼である。信頼の条件は公正・誠実(integrity)である。人はズルをする。人は過ちを犯す。人は間違える。その前提で、公正・誠実(integrity)を高め維持すべきだ。
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●9.【主要情報源】

① 研究公正局の報告:(1)2020年11月20日:Case Summary: Panka, David | ORI – The Office of Research Integrity。(2)2020年11月25日の連邦官報:2020-26062.pdf。(3)2020年11月25日の連邦官報:Federal Register :: Findings of Research Misconduct。(4)2020年12月9日:NOT-OD-21-037: Findings of Research Misconduct
② 2019年10月15日のアダム・マーカス(Adam Marcus)記者の「撤回監視(Retraction Watch)」記事:Cancer lab at Harvard subject of inquiry – Retraction Watch
② 2020年11月24日のアイヴァン・オランスキー(Ivan Oransky)記者の「撤回監視(Retraction Watch)」記事:Former Harvard cancer researcher faked a dozen images, say Feds – Retraction Watch

★記事中の画像は、出典を記載していない場合も白楽の作品ではありません。

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