5C 名古屋大学・博士論文の盗用疑惑事件:③ 疑惑の証明

2021年3月26日掲載 

ワンポイント:2020年5月に発覚した名古屋大学・博士論文の盗用疑惑事件は、被盗用者が証拠を提供するので調査してくださいと伝え続けているのに、2021年3月、名古屋大学は調査を拒否し、不正疑惑を押し通し、隠蔽工作を始めた。それで、ここに、「野呂瀬崇彦は盗用を認めていた(いる)」、「指導教授・大谷 尚の無知と盗用許容」、を公表する。なお、この記事で、特定の個人を攻撃する意図はありません。研究者は研究規範を尊重し、大学はネカト告発に透明・誠実・公正に対処する。これらのことで、日本の研究公正が改善され、高い状態で維持されることを願う。

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名古屋大学・博士論文の盗用疑惑事件シリーズ
 ① 驚愕の判定(2020年8月17日掲載)
 ② 隠蔽工作?(2021年3月12日掲載)
 ③ 疑惑の証明(2021年3月26日掲載) ←<新展開>
 ④ その後(予定)

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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.疑惑の構造と時系列
2.盗用の証明
3.野呂瀬崇彦は盗用を認めていた(いる)
4.指導教授・大谷 尚の無知と盗用許容
5.隠蔽工作
6.付記1:同意承諾書
7.付記2:博士論文が著作権法違反
8.白楽の感想
9.ご意見・脅迫など
10.コメント
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以下敬称略(但し、資料等中の敬称はそのまま)。

盗用事件や隠蔽事件では、具体的に書かないと正確な事実が伝わらないので、具体的に書いた。これは、公共の利害に関する事実を伝え、研究不正の内容や隠蔽の理解を深めるためで、専ら公益目的で示した結果である。関係者の名誉を傷つける意図はない。また、読者の皆様にも、個人を誹謗中傷しないようお願いする。

●1.【疑惑の構造と時系列】

★疑惑の構造

以下は名古屋大学の盗用疑惑者と隠蔽疑惑者のリスト。

姓名よみ立場
松尾清一まつお せいいち総長
中東正文なかひがし まさふみ公正研究委員会・委員長
高井次郎たかい じろう研究科長(教育発達科学研究科)
大谷 尚おおたに たかし指導教授(教育発達科学研究科)
野呂瀬崇彦のろせ たかひこ 盗用(疑惑)者
社会人大学院生(教育発達科学研究科)
(北海道科学大学・薬学部・薬学科・准教授)

★事件の経過

後藤惠子が中心の経過で、主語がないのは後藤惠子。

今回の記事③部分 

月日項目記事の範囲
2019年10月31日日本ファーマ論文出版(盗用された論文)記事①
2020年X月x日(野呂瀬崇彦が盗用した博士論文を提出) ↓
 2月28日名古屋大学が野呂瀬崇彦に博士号授与
論文審査の結果の要旨および担当者
 ↓
 5-7月後藤惠子が名古屋大学のサイトに公表された博士論文を見て、盗用を見つけ、野呂瀬崇彦と大谷 尚に指摘・質問 ↓ 記事③
 6-7月(野呂瀬崇彦が名古屋大学に調査依頼) ↓  ↓ 
 8月4日名古屋大学・公正研究委員長が「盗用なし」と後藤惠子に通知 ↓ 
 8月-抗議 ↓   
 - 10月別の検討 
 11月2日名古屋大学の監査室へ申立 記事②
 12月10日監査室からの回答:「執筆者への指導方法に問題があった」、また、「論文審査の過程に問題があった」  ↓
 12月10日監査室へ問題点を具体的に示すよう要求  ↓
2021年2月1日高井次郎(研究科長)から「盗用」博士論文を「改ざん」博士論文に差し替えると後藤惠子にメール ↓
 2月9日公正研究委員会へ申立 ↓
 2月26日公正研究委員長から「調査しない」と回答 ↓
 3月10日名古屋大学総長に「異議申立書」を送付 ↓
 3月12日監査室から「異議申立書」を公正研究委員会に回送と返事 

★予備知識

事件をご存知ない方は、記事①をお読みください。 → 2020年8月17日掲載:5C 名古屋大学・博士論文の盗用疑惑事件:① 驚愕の判定

ーーー問題点は以下の通りですーーーー

【名古屋大学の2重の研究不正】

2021年3月、名古屋大学は2重の研究不正をしていると、後藤惠子は述べている。

1) 「盗用」とそれを「隠蔽」する2重の不正。野呂瀬氏の「盗用」、教育発達科学研究科が公正研究委員会を巻き込んだ「隠蔽」。

2) 「隠蔽」は、博士の学位はそのままにし、博士号を授与した博士論文を一旦取り下げ、盗用部分を削除後、「改ざん」博士論文を再登録するという隠蔽行為を、教育発達科学研究科が組織ぐるみで行っている。

【それまでの経緯】

2020年8月4日 、後藤惠子が名古屋大学に盗用を申立てていない段階で、聞き取り調査や証拠の提出を一切求めずに、名古屋大学・公正研究委員会は調査の結果、名古屋大学・公正研究委員会は調査の結果、野呂瀬崇彦の博士論文は「盗用には該当せず、不正行為の存在は認められない」という判定結果を、後藤惠子に伝えてきた。

名古屋大学・公正研究委員会は盗用(疑惑)者の野呂瀬崇彦とその指導教授の弁解だけを聞いて、「盗用なし」と判定した。少なくとも、盗用被害者の後藤惠子に聞き取り調査を一切していない。

2020年12月10日、そして、名古屋大学は「執筆者への指導方法に問題があった」こと、また、「論文審査の過程に問題があった」ことを認めている

2021年2月1日、ところが、「盗用」博士論文の盗用部分を削除した「改ざん」博士論文を作成することで、盗用がなかったかのような隠蔽工作を始めた。この経緯は記事②をお読みください。 → 2021年3月12日掲載:5C 名古屋大学・博士論文の盗用疑惑事件:② 隠蔽工作?

後藤惠子は盗用を初めて申立てたにも関わらず、2021年2月26日、名古屋大学・公正研究委員会の中東正文・委員長は調査を拒否した。

一般的に考えて、犯罪捜査(例えです)で、加害者の主張だけで捜査を終了し、無罪と結論するなんて、あり得るだろうか?

名古屋大学は組織ぐるみで、隠蔽し始めている。

白楽は、盗用論文を盗用と判定しない状況を憂えて、日本の研究倫理、大学、研究者、日本国民の理解と判断の資料として、ここに、「疑惑の証明」を公表する。

つまり、盗用(疑惑)者の野呂瀬崇彦とのやり取り、無知故にその盗用を許容した大谷 尚・指導教授、2人に巻き込まれ隠蔽工作をしている高井次郎・教育発達科学研究科長、及び、名古屋大学・公正研究委員会の中東正文・委員長、らとのやり取りを公開する。

●2.【盗用の証明】

★盗用比較図

以下、「記事①」から再掲した。

野呂瀬崇彦の博士論文『薬学教育における模擬患者参加型実習で薬学生は「何を」「どう」学ぶのか』の第5章は9,435文字で構成されている。その内、野呂瀬崇彦が「2019年の日本ファーマ論文」中の他人の文章をあたかも自分の文章であるかのように使用した文字数は、第5章(9,435文字)中の7,216文字(77%)である。

盗用比較図で、5章冒頭の2ページを示す。

野呂瀬崇彦が博士論文(左)に流用した部分を黄色で示した。右は被盗用論文の該当部分。

白楽解説

  1. 他人の書いた文章を、あたかも自分の文章のように使えば盗用である。
    文部科学省のルールでは、「盗用」を「他の研究者のアイディア、分析・解析方法、データ、研究結果、論文又は用語を当該研究者の了解又は適切な表示なく流用すること」と定義している。
  2. 盗用には10種類以上あるが、野呂瀬崇彦の盗用は一字一句コピーペーストした逐語盗用で、盗用の中では最も単純でポピュラーな盗用である。
  3. 盗用の判定では、盗用比較図が最大の証拠になり、盗用比較図をみれば明白な盗用であることがわかる。上の盗用比較図を見て、盗用ではないと判定する公正研究委員がいることが信じられない。

なお、京都大学の「学位論文審査に関するQ&A」では以下の通り、野呂瀬崇彦の博士論文のような本文の丸写しは「出典を記載」しても盗用だとある。下線は白楽。

Q.根拠論文ではない他の論文中の本文や図表を、自分の学位論文に使用してよいのですか?
A.他の論文の本文や図表を、自分の学位論文に使用する際には、盗用にあたらないように、適切に引用するよう十分に注意して下さい。例えば、他の論文の本文を自分の学位論文に丸写しする行為は、たとえ出典を記載したとしても盗用であり、許されません

●3.【野呂瀬崇彦は盗用を認めていた(いる)】

★野呂瀬の2020年6月18日のメール

後藤惠子が野呂瀬崇彦に「盗用では?」とメールした

私は野呂瀬先生はじめ共著者7名から使用許諾書を提出いただきましたが、ご自身の博士論文への使用許諾が取れないことをわかっていながら、そのまま転用されることが大きな問題になるとは考えられませんでしたか?

以下が野呂瀬崇彦の2020年6月18日の返事(下線は白楽)。

注:メール中の大谷先生は、野呂瀬崇彦の大学院指導教授である名古屋大学大学院・教育発達科学研究科・ 大谷 尚(おおたに たかし)教授

後藤先生

大谷先生にご相談したうえお返事しようと思いましたが、現時点で連絡がつきませんでしたので、以下にお問い合わせの件について、野呂瀬の返答をいたします。

なお、最初に申し上げておきますが、本件に関しましては剽窃の意図は全くなく、まして後藤先生に対して研究者として不実であるという認識も意図もございません。

後藤先生が当該論文の筆頭著者であり、後藤先生の主たる業績であることはもちろん認識しており、後藤先生の学位論文への使用許諾をいたしました。しかし、そのことが、当該論文の「自身の博士論文への使用許諾が取れないこと」につながるという認識はまったくありませんでした。

従って、当該論文含め共同著者のある論文を用いて博士論文を作成いたしましたが、私は大学から共同執筆者に使用許諾書の提出をもとめられておりませんでしたので、後藤先生含めどなたにもご依頼しておりませんでしたし、お願いしたらご了承いただけるものと思っておりました。

また、私の学位論文作成時には、当該論文はすでに学術誌に発表済みの論文であり、かつ私自身が共同執筆者として名を連ねていることから、博士論文に含めること自体が問題となるとは認識しておりませんでした

また、当該論文は私の博士論文なかで章立ての一つして掲載していますが、章の冒頭の本文内引用にて後藤先生が筆頭著者であること、野呂瀬が共同著者であることを明記しております

白楽解説

この手紙で、野呂瀬崇彦は、盗用ではないと主張している。まったく不適切である。ポイントは以下の3点。

  1. 野呂瀬崇彦は、後藤先生の学位論文への使用許諾をいたしました。しかし、そのことが、当該論文の「自身の博士論文への使用許諾が取れないこと」につながるという認識はまったくありませんでした。と述べている。
    同意承諾書がどういうのか、ご存じないか方はココ → 「付記1:同意承諾書
    野呂瀬崇彦は、「1つの根拠論文は1人の博士論文にしか使用できない」ことを理解してない(あるいは理解してないと弁明している)。 → これは、完全にアウトである。「自身の博士論文への使用許諾が取れないこと」につながるという認識はまったくないなら、同意承諾書は何のためだと考えていたのか?
  2. 野呂瀬崇彦は、共著者になっていれば、共著論文中の「他人の書いた文章」を「自分の文章」としてよい、と理解していた。 → これは、完全に盗用で、著作権法違反となる。
  3. 「冒頭の本文内引用にて後藤先生が筆頭著者であること、野呂瀬が共同著者であることを明記しております」とあるが、以下に示すように、明記していない。( )に文献を示しただけで、その後の数千文字の文章が、( )の文献の文章をそのまま流用したと明記していない。明記どころか、文献を示しただけで、何も書いていない。以下、博士論文のその部分を示す。

    ・・・そこで、本章では、かかりつけ薬剤師に求められるコミュニケーション領域のコンピテンシーリストとして Pharmaceutical Communication Standard(以下、PCS)の構築について述べる(後藤, 富澤,有田,沼田,野呂瀬ら、2019)。なお、コンピテンシーとは「高業績者の行動特性」・・・

★野呂瀬崇彦の2020年7月のメール

上記の約3週間後、某氏に送った2020年7月のビジネス・メールで、野呂瀬崇彦は「研究不正した」ことを認めている(下線は白楽)

すでに後藤先生からお聞き及びのことと思いますが、3月に名古屋大学にお認めいただいた私の博士論文において、研究公正・研究倫理を踏まえた執筆方法について理解が足りず、後藤先生が第一著者であるPCS論文(2019)を不適切に用いてしまいました。
 
6月に後藤先生のご指摘を受けてのち、指導教員である大谷先生にご報告していろいろとご相談させていただく過程を通じて、私自身が研究不正を生じさせたという認識を持っております。
 
白楽解説
  1. 野呂瀬崇彦は、執筆方法について理解が足りず、後藤先生が第一著者であるPCS論文(2019)を不適切に用いてしまいました。 と不適切だったことを認めている。
  2. 野呂瀬崇彦は、私自身が研究不正を生じさせたという認識を持っております。 と研究不正したことを認めている。

★高井次郎・研究科長の2020年7月2日のビジネス・メール

この度、当研究科の博士論文について、執筆者本人から、旧指導教員の大谷教授を通じて、研究不正を生じさせた可能性があるとの連絡を受けました。

白楽解説

  1. 野呂瀬崇彦は、「研究不正した」ことを認め、名古屋大学に自分で伝えた。このことは誠実な行為と思えるが、自分が研究不正を伝えたことで、自分の都合の良い情報だけで判定してもらおうと、指導教授と共に素早く隠蔽工作を始めたとも受け取れる。誠実だったかどうかの判断はできない。
  2. ただ、「誠実だった」なら、野呂瀬崇彦は、「研究不正した」ことを認めたメールを名古屋大学・公正研究委員会に提出したはずだが、結果として、自分の都合の良い情報しか提出していない。それで、この時点で、隠蔽工作を始めたと白楽は推定した。

●4.【指導教授・大谷 尚の無知と盗用許容】

上記のように、野呂瀬崇彦は研究不正したことを認めていた(いる)。

ところが、名古屋大学はとんでもない方向に動いたのである。

白楽が推定するに、野呂瀬崇彦の指導教授である 大谷 尚(おおたに たかし)は、指導が正しくなかった責任を問われるのを恐れ、野呂瀬崇彦とともに隠蔽する方向に動き出した(と思われる)。

そう推定する理由の1つは、野呂瀬崇彦が述べているように、 野呂瀬崇彦から相談を受けていながら、大谷 尚は研究不正を許容する指導をしていたからである(以下は2020年6月18日の野呂瀬崇彦のメール)。

この論文が筆頭著者である後藤先生の博士論文の主論文となっており、そのことについて使用許諾書にて野呂瀬が許諾していることも説明いたしました。

また、指導教員である大谷先生には、当該論文を含め、野呂瀬の博士論文のもととなる論文、学会発表をすべてお渡ししておりました。

・・・中略・・・

また野呂瀬が執筆に関わった筆頭著者ではない論文を、野呂瀬の博士論文の章立ての一つとして加えて博士論文としてまとめることは差し支えないものかについてお伺いしたところ、主査を含む指導団の先生方より「すでに公表されている論文であり、本文中に出典を記載する際に、筆頭著者から自分の名前があるところまでの執筆者をすべて列記すること、巻末に参考文献として記載する際にすべての著者を記載することででよろしい」とのご指導をいただきました。

驚いたことに、「主査を含む指導団の先生方」、つまり、大谷 尚含む先生方は、今回該当する「共著論文の寄与分が分離可能な場合」は執筆部分の著作権が執筆者にある、ということを知らなかった。あるいは知っていてもそう指導しなかった。

今回該当しないが、あえて、大谷 尚に都合の良い「分離可能な場合」だったと仮定しよう。その場合でも、著作権法第64条「共同著作物の著作者人格権は、著作者全員の合意によらなければ、行使することができない」とある。この基本も、大谷 尚は理解していなかった。

というのは、大谷 尚が次のように述べているからである(ここ音声の証拠を示す)。

  1. 共同執筆したもの(共著論文の文章・内容)を、そこ(博士論文)で使っている。つまり、共著者になっていれば、共著論文中の「他人の書いた文章」を勝手に「自分の文章」として使ってよい、と理解していた。
  2. (共著論文の文章・内容を)博士論文で使う時、排他性があると認識していなかった。つまり、1つの根拠論文を複数の人が博士論文に使用できる、と理解していた。
  3. 「同意承諾書」の提出を聞いているが、(共著論文の文章・内容は、著者全員の許諾なしに)、共同執筆者なら誰でも(博士論文に)使える。つまり、「同意承諾書」がなくても、共著者は誰でも共著論文の文章・内容を博士論文に使用できる、と理解していた。

上記3点は博士論文の基準違反であるが、大谷 尚は基準違反だと理解していない。それで、事実として、大谷 尚は、野呂瀬崇彦の博士論文の盗用を容認していたことになる。

大谷 尚は、ある時点で、「ちゃんと指導しなかった」自分、それに審査委員会に問題があったと認めている。しかし、そのことを高井次郎(研究科長)にも公正委員会に伝えていない(と思われる)。

後藤惠子に盗用と指摘されて、マズいと思い至り、隠蔽工作をはじめたと思われる。

●5.【隠蔽工作】

詳細は「記事② 隠蔽工作?」に記載したので、そちらをお読みください。

以下はエッセエンス。

結局、大谷 尚(おおたに たかし)は、指導が正しくなかった責任を問われるのを恐れ、野呂瀬崇彦とともに隠蔽する方向に動き出した(と思われる)。

以下は「記事② 隠蔽工作?」からポイントを転用した。

★リポジトリから削除された

2021年3月11日に確認すると、野呂瀬崇彦の『薬学教育における模擬患者参加型実習で薬学生は「何を」「どう」学ぶのか』(保存版PDF)は、名古屋大学・教育発達科学研究科の博士論文(教育博・論教育博)リポジトリから削除されていた。

2021年2月1日の高井次郎(研究科長)からのメールによると、野呂瀬崇彦の博士論文は問題があるので、直して再掲載するとのことだ。以下にその部分を抜き書きした。

審査委員会からは、問題となっている章の論述内容は、論文全体の補遺に相当するものであり、当該博士論文から問題の章を除いたとしても、本論文の学術的な質に影響を与えるものではなく、学位論文として成立する旨の審議結果の報告がありました。本研究科では、この報告を審議し、意見交換の後、修正後の論文を総長に提出、報告する旨、承認いたしました。現在、修正論文の取扱と機関リポジトリへの掲載他について、準備中であります。

つまり、「盗用」博士論文を「改ざん」博士論文に差し替える作業を始めている。

研究不正の世界では、論文のデータねつ造・改ざんを指摘されたネカト者が「本論文の学術的な質に影響を与えるものではなく」と言い訳するのを、何度も何度も批判されている。不正行為は「論文の学術的な質、ウンヌン」ではないからだ。どうしてこんな初歩的な事がわからないのだろう。

とても単純なことだが、「盗んだものを返しても」=「盗んでなかった」ことにはならない。

博士論文に「盗用」があったなら、「改ざん」博士論文に差し替えても、「盗用がなかった」ことにはならない。

「改ざん」博士論文が機関リポジトリに登録されれば、今度は「改ざん」が問題視されることになることを、どう思っているのだろうか?

発端は野呂瀬崇彦と大谷 尚の2人だったのが、隠蔽工作が徐々に広がり、高井次郎・教育発達科学研究科長を巻き込み、さらに、名古屋大学・公正研究委員会の中東正文・委員長も巻き込んだ組織的な隠蔽に発展していく印象を受けている。

●6.【付記1:同意承諾書】

★著作権法第64条

著作権法第64条に以下の規程がある。

第64条
  1. 共同著作物の著作者人格権は、著作者全員の合意によらなければ、行使することができない。(出典:著作権法第64条 – Wikibooks

多くの大学は、その「合意」の確認に、共著者全員から「同意承諾書」を得ることで、博士論文が著作権法違反にならないようにしている。

名古屋大学・教育発達科学研究科が「同意承諾書」の提出を求めていなくても、著作権法第64条を順守しなければ法律違反になるのは自明である。「知らなかった」は通用しない。

★同意承諾書

博士論文では、既に出版した論文の一部を博士論文とする場合が多い。ここでは、京都大学のように根拠論文と呼ぶ。後藤惠子は「元論文」と呼んでいる。

共著論文の場合、原則は2つである。

  1. 共著論文の寄与分が分離可能な場合:今回の事例。後藤惠子が書いた文章は書いた時点で、どこかの承認を得ずとも、自動的に後藤惠子の著作物である、野呂瀬崇彦にとっては「他人の文章」である。
    結合著作物や集合著作物を構成する個々の著作物は個別に利用できますので、その著作権や著作者人格権は各著作者が個別に行使します。(出典:著作者は弁護士・弁理士の平尾正樹:著作権法逐条解説_2
  2. 共著論文の寄与分が分離不可能な場合:…今回該当しない

以下は「今回該当しない」の上記「2」のケースである。念のために説明しよう。

「2.共著論文の寄与分が分離不可能な場合」は、出版論文を博士論文として使用することを共著者全員が承諾しているという「同意承諾書」の提出を求めることが基本である。このことで、著作権法第64条に違反しないようにしている。

名古屋大学・教育発達科学研究科は「同意承諾書」の提出を求めていない。「同意承諾書」の提出を求めない大学数(研究科数)は不明だが、白楽の印象では、求めない大学(研究科数)は少数~半数だと思う。

「同意承諾書」の提出を求める本旨は著作権法第64条に違反しないことだが、このことは同時に「1つの根拠論文は1人の博士論文にしか使用できない」ことの確認・念押しでもある。

多くの大学は「同意承諾書」の提出を義務化する以前から、「1つの根拠論文は1人の博士論文にしか使用できない」基準を順守してきた。そうしないと、学位論文の基準が揺らいでしまう。

名古屋大学・教育発達科学研究科は「同意承諾書」の提出を求めていないだけでなく、「1つの根拠論文は1人の博士論文にしか使用できない」基準を順守してこなかった。ヒョットすると長年「1つの根拠論文は1人の博士論文にしか使用できない」基準及び著作権法第64条に違反してきたのではないかと感じる。

★野呂瀬崇彦は同意承諾書を承知しているハズ

まず、野呂瀬崇彦が「同意承諾書」の存在とその機能を知らないというのは、とても、考えにくい。

2019年8月27日、野呂瀬崇彦は後藤惠子の依頼に応じ、「同意承諾書」を「もちろんOKです。」と返事している(以下のメール中の赤線は白楽)。

「存在とその機能を知らない」なら、「それはどのようなものでしょうか?」と聞くのが自然だし、当然である。ところが、「もちろんOKです」と返事しているので、どういうものか、了解しているハズだ。

それに、野呂瀬崇彦が所属する北海道科学大学・大学院・薬学研究科は、以下に示すように、博士論文提出時に「同意承諾書」の添付を要求している(北海道科学大学・大学院・薬学研究科の「学位論文に係る作成要領」の6ページ目「様式7」下段)。

従って、野呂瀬崇彦が「同意承諾書」の存在とその機能を知らないと、准教授として勤める北海道科学大学の本来業務で問題が生じる。

現実的には多くの教員は所属大学の全規則を把握しているわけではない。しかし、自分が博士論文を提出する状況なので、「同意承諾書」の「存在とその機能を知らない」のは、かなり、あり得ない。

ところが、後藤惠子の「盗用では?」とのメールに、野呂瀬は次のようにとぼけているのである(2020年6月18日のメール)。この時点では既に隠蔽工作に向かっていると思われる。

後藤先生から使用許諾書なるものを求められて初めてその存在を知った次第です。

そう言いながら、既に指摘したように、野呂瀬崇彦は、同じ日に次のように述べている。少なくとも、存在は知っていたと思われる。

後藤先生の学位論文への使用許諾をいたしました。しかし、そのことが、当該論文の「自身の博士論文への使用許諾が取れないこと」につながるという認識はまったくありませんでした。

★「同意承諾書」3例

以下、他大学での「同意承諾書」を3例示す。

「同意承諾書」の提出を求める本旨は「1つの根拠論文は1人の博士論文にしか使用できないのが基本である」ということの確認・念押しで、3例では、それが明確に示されている。

例1:大坂市立大学の「同意承諾書

「なお、この論文を再び私の学位論文に使用することはありません」と明記している。

例2:東京大学工学部の博士号取得の経験談に以下の説明がある。下線は白楽。

同意承諾書は場合によっては問題が生じるかもしれない. これはどういうものかというと,共著で発表した論文等を学位論文に含めるために,共著者の承諾を得るという書類である. つまり,同じ論文でいくつかの学位にはアプライ出来ないようになっているのである.(出典:学位取得(論文博士)への遠くて近き道のり PhD degree (赤穂 昭太郎 / Shotaro Akaho) 保存版

例3:京都大学大学院医学研究科の「同意承諾書

「同論文を私が学位申請用の主論文として使用することもありません。」と明記している。下線は白楽。


なお、ここでは示さないが、「この論文を私の学位論文に使用することはありません」と明記されていない「同意承諾書」もある。それは「1つの根拠論文は1人の博士論文にしか使用できない」ことを前提にしているためだと思われる。

●7.【付記2:博士論文が著作権法違反】

名古屋大学を含め、日本の多くの大学は博士論文が著作権法違反になる注意をしていない(いなかった)。大学院生に博士論文の書き方を指導する多くの教授にもこの知識がない(なかった)。

多分、今回の名古屋大学・教育発達科学研究科の指導教授陣も、盗用だと指摘されるまで、この知識がなかったと思う。

2021年3月21日現在、「名古屋大学学位規程」にも「名古屋大学大学院教育発達科学研究科」の博士論文に関する記載でも、名古屋大学のサイトで検索しても、「博士論文と 著作権」に関する記載がない。以下に示しように、東京大学には記載があるし検索でもヒットした。

以下は「2‐2 盗用のすべて | 白楽の研究者倫理」から修正流用した。

ーーーーーーーーー

2013年、日本の博士論文は、各大学のウェブサイトに公表するのが原則になった。

学術誌に発表した論文を逐語流用して博士論文とすると、その博士論文がウェブサイトに公表された時、原則的に、著作権法違反になる。

自分が書き、学術誌に発表した論文の著作権は著作者にあるが、契約で、著作権を出版社に譲渡している場合が多い。

それで、博士論文を提出する(した)大学と論文を発表する(した)学術誌の両方の規則を順守する必要がある。

東京大学は、この問題を丁寧に説明している。 → 2014 年 4 月 7 日:博士論文と著作権(第3版)、(保存版

一方、京都大学は、「学術誌に発表した根拠論文をコピペして博士論文としてはいけない」、としている。つまり、自己盗用はダメだとしている。 → 論文目録・履歴書作成上の注意事項、(保存版

京都大学の説明の一部を以下に貼り付けた。下線は白楽。

論文の内容について

Q.学位論文はなぜ根拠論文の「コピー&ペースト」ではいけないのでしょうか?

A.学位論文は学位申請者の単著論文です。申請者自身の考えに基づき作成する論文です。従って、根拠論文とは本文や図表が同一でないのは当然です。

Q.学位論文の作成にあたっては、根拠論文に含まれているデータを当然含めて作成します。根拠論文の「コピー&ペースト」ではなく、かつ「単著論文である博士学位論文として適切な記述と図表」とはどのような記述と図表なのでしょうか?

A.以下のような点に留意すればよいでしょう。
例1:根拠論文では補遺になっているデータを、学位論文の「結果」の中で示し、記述する。
例2:必要に応じて適切な形で、根拠論文にはない図表を加え、記述する。具体例としては、序論に背景説明の図表を加える、図表を用いて方法を説明する、申請者の修士課程時代のデータまたは博士後期課程時代の未発表データを加えて記述する、あるいは考察にモデル図を加えて議論するなどです。指導教員と議論して検討して下さい。

Q.どのような場合に根拠論文の「コピー&ペースト」であると判断されるのでしょうか?

A.以下のような場合は根拠論文の「コピー&ペースト」であると判断され、学位論文とは認められません。あくまで例であり、以下の場合が全てではありません。
例1:序論、結果、考察、方法など、根拠論文の英文を学位論文に章単位でほぼ丸写しした場合
例2:図表内のアイテム、図表のレイアウト、そして図表の点数が、根拠論文と全く同じ図表のみから構成されている場合。すなわち、完全な複製。

ーーーーーーーーー

野呂瀬崇彦の博士論文の第5章は日本ファーマ論文の「盗用」博士論文なので、名古屋大学の博士論文リポジトリに掲載していると、原則的に、著作権法違反になる。

●8.【白楽の感想】

《1》本当はこの記事を書きたくなかった 

白楽は当初からここに挙げた盗用の証拠を知っていたので、昨年(2020年)8月、名古屋大学・公正研究委員会が盗用と判定すると予想していた。

しかし、驚いたことに、名古屋大学は被害者の話を聞かず、加害者側だけの主張で、「不正なし」と結論してしまった。

そして、今度は、「盗用」博士論文を「改ざん」博士論文に差し替える「隠蔽工作」をしている。

このまま放置すると、 盗用の証拠を示す機会が失われ、「盗用はなかった」ことで済まされてしまう。

日本は研究不正大国として、何年も前から海外から批判されているのに、抜本的な対策をたててこなかった。諸外国と比べ、研究不正への対処はズサンで、研究不正者の処分は驚くほど甘い。大学の隠蔽体質は強く、透明性は欠ける。

このままだと、日本は研究不正大国から研究不正「超」大国になりかねない。

今回のように、大学院生の盗用を指導教授が許容し、さらには、研究科及び公正研究委員会も組織ぐるみで隠蔽に加担する状況があり、それに異を唱えない学術界・研究者・一般社会は異常である。

これでは、日本はますますおかしくなってしまう。

研究不正の拡大を何とか止めたい。汚点を大きくしたくない。という気持ちで、書きました。

《2》戦ってください 

今回の事件では、盗用の被害者が研究不正だと主張し続けている。

(ア)それなのに、名古屋大学がその疑念に誠実に対応しない。被害者の話を聞かずに、加害者側の主張だけを取り上げ、盗用はなかったと判定している。

(イ)その上、盗用がバレるのを恐れ、「盗用」博士論文を「改ざん」博士論文と差し替える隠蔽工作を始めた。

(ウ)それに対して、異議を申し立てると、受付ないと拒否した。

こんなのでいいんでしょうか?

読者にお願いします。

日本の研究界の研究公正と研究者の倫理を高め・維持するため、ご自身の言葉や態度で戦ってください。

最下段にコメント欄があります。匿名でも(仮名・実名でも)かまいません。コメントしてください。皆さんがどのように受け止め、戦おうとしているかが、関係者に伝わります。言葉や態度で表明しない応援は結構です。

「日本は研究不正大国」と言われ続けています。あなたにとっては他人の小さな研究不正でしょうが、他人の小さな研究不正でも改善できないこの状況で日本の研究公正が良くなるとは思えません。研究不正「超」大国になりかねない。

研究不正をしている組織・研究者に対し、あなたの意見を伝えるなど、日本の研究公正が改善され、高い状態で維持されるよう、ご自分で戦ってください。

テレビ、新聞、週刊誌、月刊誌、各種メディアにそこそこ通報しました。記者の皆さんも、是非、番組や記事で取りあげてください。

●9.【ご意見・脅迫など】

脅迫は当局に通報します。

コメント欄に記載せず、白楽宛てに来たご意見のメールは、以下に公開します。

ーーーーーー

名古屋大学・博士論文の盗用疑惑事件シリーズ
 ① 驚愕の判定(2020年8月17日掲載)
 ② 隠蔽工作?(2021年3月12日掲載)
 ③ 疑惑の証明(2021年3月26日掲載) ←<新展開>
 ④ その後(予定)

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●コメント

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5C 名古屋大学・博士論文の盗用疑惑事件:③ 疑惑の証明」への2件のフィードバック

  1. 名古屋藩は、教授が不正に加担し、お代官様もグルで公正なお裁きをしない。白楽先生、水戸黄門はいつ出てくるんですか?

    1. 白楽です。

      大学の調査委員会がシロと結論したら、その調査を検証・批判する組織が日本にはありません。個人では世界変動展望 著者さん、日本の科学と技術さんくらいしか活動していません。

      調査委員はその大学の教授達なので、自分の学者仲間と自分の大学に都合の悪い判定をしない(できない)。しかも、ネカトに無知な委員がほとんどです。

      小保方事件のように大騒ぎになれば別ですが、文部科学省、学術会議などは大学の調査が異常でも何も言わない(そういう調査をする部署はなく、人もいない)。つまり、水戸黄門は出てきません。

      世間に問題を伝える唯一の手段がブログやツイッターなどです。

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