化学:ラリー・ダルトン(Larry Dalton)(米)

2020年5月6日掲載 

ワンポイント:【長文注意】。シアトルのワシントン大学(University of Washington)・教授で、学界ボス。約1億ドル(約100億円)の研究費を獲得。2014年(71歳)に2論文を撤回した。1報は、データ盗用あるいは著者在順違反の「2004年のInorg. Chem. Acta」論文である。もう1報は、学部・修士を過ごしたミシガン州立大学から投稿した47年前の「1967年のInorg. Chem. Acta」論文である。両論文とも、盗用論文だが、ワシントン大学もミシガン州立大学も不意都合な真実に蓋をした。ダルトンがワシントン大学に2,000万ドル(約20億円)、ミシガン州立大学に200万ドル(約2億円)を寄付したからだと言われている。ニューヨーク大学(New York University)の化学・教授のバート・カー(Bart Kahr)が追及した。国民の損害額(推定)は50億円(大雑把)。

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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.概略
2.経歴と経過
3.動画
4.日本語の解説
5.不正発覚の経緯と内容
6.論文数と撤回論文とパブピア
7.白楽の感想
9.主要情報源
10.コメント
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●1.【概略】

ラリー・ダルトン(Larry Dalton、Larry R. Dalton、ORCID iD:?、写真出典)は、事件当時、米国のシアトルのワシントン(University of Washington)・教授だった。専門は化学である。2020年5月5日現在は同・名誉教授である。

ダルトンは、非線形光学の研究で有名であるが、学界ボスとして政府から巨額の研究費を得ていた。また、妻のニコール・ブーアンド(Nicole Boand)とともにワシントン大学に2,000万ドル(約20億円)以上を寄付した。また、学部・修士を過ごしたミシガン州立大学に少なくとも200万ドル(約2億円)を寄付した。これら巨額の寄付で、不都合な真実を隠蔽させた。

巨悪に立ち向かったのは、ダルトンと同じワシントン大学・化学科の研究者(当時・準教授)で、現在はニューヨーク大学(New York University)のバート・カー教授(Bart Kahr)である。

ダルトンは、インターネットの速度を上げることができる光スイッチの新材料を合成したと主張した。 彼の発明は、薄いポリマーフィルムに色素分子を整列させる新材料の開発だった。総額1億ドル(約100億円)の研究費を獲得し、色素分子を特に整列しやすい形状にし、より多くの情報を運ぶ高速な光信号を可能にした。

しかし、2004年(61歳)、ダルトンの「2004年のInorg. Chem. Acta」論文は同じ化学科のバート・カーの研究助手であるセイハム・チャン博士(Sei-Hum Jang)が解析した分子構造のデータを盗用したものだった。

2004年(61歳)、バート・カー(Bart Kahr)は、この盗用をアルバン・クイラム教授(Alvin Kwiram)に告発したが、握りつぶされてしまった。

2009年(66歳)、ワシントン大学からニューヨーク大学の教授に栄転したバート・カー(Bart Kahr)は、ダルトンのネカトを、2010年7月にワシントン大学に告発した。しかし、ワシントン大学はシロと判定した。

それで、2011年1月(67歳)、バート・カー(Bart Kahr)は、科学庁・監査総監室に告発した。白楽はこの結末を把握していないが、これもシロと判定されたと思う。

2014年(71歳)、セイハム・チャン博士(Sei-Hum Jang)のデータを盗用した「2004年のInorg. Chem. Acta」論文を、ダルトンが学術誌・編集部に撤回要請した。論文は撤回された。

2014年(71歳)、上記の流れとは別に、ダルトンは学部・修士を過ごしたミシガン州立大学から出版した47年前の「1967年のInorg. Chem. Acta」論文を撤回した。

「1967年のInorg. Chem. Acta」論文は、「1965年のFiz. Tverd. Tela」論文(ロシア語)の英語訳を盗用したものだったとダルトン自身が学術誌・編集部に伝え、撤回を要請した。

ダルトンはネカト論文を発表していたのに、ワシントン大学はシロと結論し、ミシガン州立大学は著名卒業生賞(distinguished alumni award)を授与した。それは、ダルトンが妻のニコール・ブーアンド(Nicole Boand)とともにワシントン大学に2,000万ドル(約20億円)以上を、ミシガン州立大学に少なくとも200万ドル(約2億円)を寄付したことが大きく影響している、と指摘された。これら巨額の寄付で、不都合な真実を隠蔽させた。

隠蔽する大学上層部がナサケナイ。とはいえ、ネカト者の巨額寄付に何らかの規制が必要だろう。

150121
ワシントン大学(University of Washington)・シアトル・キャンパス 写真出典

  • 国:米国
  • 成長国:米国
  • 医師免許(MD)取得:なし
  • 研究博士号(PhD)取得:ハーバード大学
  • 男女:男性
  • 生年月日:1943年4月25日:米国のオハイオ州ベルプレ近くの農場で生まれた
  • 現在の年齢:81 歳
  • 分野:化学
  • 最初の不正論文発表:1967年(24歳)
  • 本事件での主要な不正論文発表:2004年(61歳)
  • 発覚年:2004年(61歳)
  • 発覚時地位:ワシントン大学・教授
  • ステップ1(発覚):第一次追及者は同じ大学・学科のバート・カー準教授(Bart Kahr)で、大学と科学庁に通報し、後に、論文で指摘
  • ステップ2(メディア):「撤回監視(Retraction Watch)」、「Nature」
  • ステップ3(調査・処分、当局:オーソリティ):①ワシントン大学は本調査していない。②科学庁の監査総監室(Office of Inspector General)
  • 大学・調査報告書のウェブ上での公表:なし。本調査していない
  • 大学の透明性:調査していない、隠蔽(✖)
  • 不正:盗用
  • 不正論文数:2報撤回
  • 盗用ページ率:100%
  • 盗用文字率:約70%以上
  • 時期:研究キャリアの初期から
  • 職:事件後に研究職(または発覚時の地位)を続けた(〇)
  • 処分:なし
  • 日本人の弟子・友人:不明

【国民の損害額】
国民の損害額:総額(推定)は50億円(大雑把)。

●2.【経歴と経過】

  • 1943年4月25日:米国のオハイオ州ベルプレ近くの農場で生まれた
  • 1965年(22歳):ミシガン州立大学(Michigan State University)で学士号取得:化学
  • 1966年(23歳):同大学で修士号取得:化学
  • 1967年(24歳):同大学から47年後に撤回する「1967年のInorg. Chem. Acta」論文を発表
  • 1971年(28歳):ハーバード大学(Harvard University)で研究博士号(PhD)を取得:化学。アルバン・クイラム教授(Alvin Kwiram)
  • 1971年(28歳):ヴァンダービルト大学(Vanderbilt University)・助教授
  • 1976年(33歳):ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校(State University of New York at Stony Brook)・準教授
  • 1982年(39歳):南カリフォルニア大学(University of Southern California)・教授
  • 1998年(55歳):シアトルのワシントン大学(University of Washington)・教授
  • 2004年(61歳):ネカトの「2004年のInorg. Chem. Acta」論文を発表
  • 2004年(61歳):バート・カー(Bart Kahr)がネカトをアルバン・クイラム教授(Alvin Kwiram)に告発するが、握りつぶされてしまった
  • 20xx年(xx歳):シアトルのワシントン大学(University of Washington)・名誉教授
  • 2010年7月(67歳):バート・カー(Bart Kahr)がダルトンのネカトをワシントン大学に告発。しかし、ワシントン大学はシロと判定
  • 2011年1月(67歳):バート・カー(Bart Kahr)がダルトンのネカトを科学庁・監査総監室に告発した。白楽はこの結末を把握していないが、これもシロと判定されたと思う。
  • 2014年(71歳):47年前の「1967年のInorg. Chem. Acta」論文は盗用とダルトンが告白し撤回。また、「2004年のInorg. Chem. Acta」論文もネカトで撤回
  • 2019年(76歳):バート・カー(Bart Kahr)がダルトン事件の問題点を指摘した「2019年のThe Journal of Scientific Practice and Integrity」論文を発表

●3.【動画】

以下は事件の動画ではない。

【動画1】
学会の基調講演動画:「Larry R. Dalton: Hybrid Electro-Optics and Chip-scale Integration of Electronics and Photonics – YouTube」(英語)22分25秒。
SPIETVが2017/08/28 に公開

●4.【日本語の解説】

以下は事件の解説ではない。

★2018年05月30日:e.x.press:電子・光情報技術のボトルネックを破る

出典 → ココ、(保存版) 

ワシントン大学の研究チームは、ETH-Zurich、パデュー大学、バージニア・コモンウェルス大学のチームとともに、情報技術を変革する光通信ブレイクスルーを達成した。

研究チームは、現在の技術よりも数10倍高速に電気ビットを光に変換する、人の髪の毛よりも小さなデバイスを作製した。

「情報技術の以前の進歩と同様に、これはわれわれの生活に劇的な影響をもたらす」とUW化学教授、Larry Dalton氏は言う。

これら新しい電気-光デバイスは、現在の電子回路素子のサイズに近く、フォトニクスとエレクトロニクスをシングルチップに集積するために重要である。新技術は、粒子、電子とフォトンの中間的特性を持つ、プラズモンポラリトンの利用にも関与している。このハイブリッド粒子技術は、プラズモニクスと言われている。研究成果は、Natureに発表された。

●5.【不正発覚の経緯と内容】

★ラリー・ダルトン(Larry Dalton)

ラリー・ダルトン(Larry Dalton、写真出典)は、1982年(39歳)に南カリフォルニア大学(University of Southern California)・教授、1998年(55歳)にシアトルのワシントン大学(University of Washington)・教授となり、多数の賞を受賞している。また、研究グループを構築し、巨額の研究費を獲得してきた。

ワシントン大学・名誉教授である2020年5月5日現在も、ダルトン研究グループ(Dalton Research Group)というウェブサイトを持ち、ヒト・カネを掌握している。

多数の科学賞を受賞した(リストは割愛)。

以下のように科学庁と国防総省からの大規模研究プロジェクトの統括者になった。

  • 科学庁(National Science Foundation)の情報技術研究の材料とデバイスの科学技術センター(Science and Technology Center on Materials and Devices for Information Technology Research)のセンター長
  • 国防総省(Department of Defense)のポリマー・スマート・スキン材料に関する学際的な大学研究イニシアチブ・センターのセンター長
  • 国防総省の研究助成機関である国防高等研究計画局(ダーパ、DARPA:Defense Advanced Research Projects Agency )のMORPH(超分子フォトニクス)プログラム
  • ダーパ(DARPA )のCS-WDMプログラムの統括長
  • 光電子材料に関するNSF NIRTプログラムの統括長
  • Center for Technology Entrepreneurshipの共同創設者兼共同主任研究者
  • ワシントン大学・ビジネススクールのリサーチフェロー
  • ワシントン大学でナノテクノロジーセンターとナノテクノロジーPhDプログラムを設立した主要な人物の1人

【バート・カー(Bart Kahr)の追求】

★バート・カー(Bart Kahr)

バート・カー(Bart Kahr、写真出典)が、ダルトンを追及した(している)。

それで、バート・カーの経歴を見てみよう。 → 出典:Kahr Short Bio — NYU Molecular Design Institute

バート・カーは1961年に米国のニューヨーク市に生まれた。1988年、プリンストン大学のカート・ミスロー教授(Kurt Mislow)のもとで化学の研究博士号(PhD)を取得した。1990年から1996年までパデュー大学・助教授、後に準教授になった。

問題はここからで、1997年から2009年まで、シアトルのワシントン大学・化学科・準教授だった。つまり、ダルトンと同じ大学・学科だった。2009年、ニューヨーク大学(New York University)の化学・教授に栄転した。

研究は複雑材料の成長、構造、物理的特性である。また、近年は、彼は大学や政府機関がネカト行為を管理する問題を研究し改善策を提唱している。230報を超える論文を発表し、240回を超える招待講演を行なった。

つまり、ラリー・ダルトン(Larry Dalton)がシアトルのワシントン大学で権勢を誇っている時、同じ化学科の準教授だった。

2004年1月、バート・カー準教授(Bart Kahr)が42歳の特、ダルトンのネカトに気が付いた。その5年後にニューヨーク大学(New York University)の化学・教授に移籍しているので、ダルトンのネカトを告発する立場として絶好である。

ダルトンは自分の発見を実用化するために、研究助成金、契約金、ベンチャーキャピタルを約1億ドル(約100億円)も使ったのに、実際には、その研究は何も実現しなかった、と批判している。

ダルトンはネカト行為をしたのにワシントン大学はシロと判定した。ワシントン大学がダルトンから多額の寄付金を受け取り、ダルトンのネカト調査を甘くした、とバート・カー(Bart Kahr)は問題視した。つまり、問題の根は、巨額な寄付金だと指摘した

2019年4月12日、ダルトン事件に関する詳細な論文(33頁)を発表した。
 → 2019年4月12日のバート・カー(Bart Kahr)とマーク・ホリングスワース(Mark Hollingsworth)の「The Journal of Scientific Practice and Integrity」論文:Massive Faculty Donations and Institutional Conflicts of Interest | Published in The Journal of Scientific Practice and Integrity

★タイムライン

出典:Timeline.pdf

1998年(55歳)、ラリー・ダルトンはワシントン大学(University of Washington)の化学・教授に赴任する。招聘したのは、ハーバード大学・大学院生の時の指導教授のアルバン・クイラム(Alvin Kwiram、写真出典)で、クイラムはワシントン大学・化学科の教授に移籍していた。

2000年4月7日(56歳)、ダルトンは「シアトル・ポスト・インテリジェンス(Seattle Post-Intelligencer)」紙に光を電子に変える新材料を発明し、その新材料はインターネットを高速化できると発表していた。「ダルトンの発見は21世紀を支配する」と語った。
 → 2000年4月7日の「シアトル・ポスト・インテリジェンス(Seattle Post-Intelligencer)」新聞記事(以下は冒頭部分) → 全記事出典:Technological revolution is in the works at a UW lab

2001年(58歳)、ダルトンは、彼の技術を商業化するために設立したルメラ社(Lumera)を通して、ワシントン大学に900万ドル(約9億円)を寄付した。

2002年(59歳)、科学庁(National Science Foundation)の情報技術研究の材料とデバイスの科学技術センター(Science and Technology Center on Materials and Devices for Information Technology Research)が11年間計画の長期研究プロジェクトをワシントン大学で開始した。最初の5年間をダルトンが統括した。

★データ盗用

2003年(60歳)、ワシントン大学・化学科・準教授だったバート・カー(Bart Kahr)は科学技術センターから4万ドル(約400万円)の研究費を受け取り、研究開発に参加したが、ダルトンの研究に問題があることに気づいた。

2003年3月(60歳)、バート・カー・準教授(Bart Kahr)の研究室では、優れた性能を持つ新材料が開発できていた。それで、カー・準教授はダルトンを研究室に招き、研究助手であるセイハム・チャン博士(Sei-Hum Jang、写真出典)と面会させ、その新材料をダルトンに説明した。その時、ダルトンはチャンにどんな分子構造かと聞いた。チャンはダルトンに分子構造を教えた。

2004年(62歳)、ダルトンのチームは、材料が効率的な光スイッチとして機能するために必要な線形二色性の測定をまだ行なっていなかった。

2004-2005年(62 -63歳)、ダルトンは、新材料に関する論文を6報発表した。この時の論文に新材料の分子構造は、2003年にセイハム・チャン博士から聞いた分子構造と同じものが使われていた。

つまり、アイデア(新材料の分子構造)の盗用である。

2004年9月30日(62歳)、バート・カーはダルトンの論文を読み、自分たちが開発した新材料をダルトンが2004年の論文で発表していたことに気が付いた。それで、データ盗用をクイラム教授に相談した。

ところが、クイラム教授は「彼らは、研究助成金を更新できたら、そのことを説明するだろう。今、このプロジェクトに大勢の人が依存している」と述べ、しばらく静観するようにとバート・カーを諭した。つまり、疑惑を握りつぶしたのである。

2005年1月(62歳)、セイハム・チャンも、彼が開発した新材料を2004年と2005年にダルトンが論文発表していたことに気が付いた。

2007年(65歳)、科学庁(National Science Foundation)は、ダルトンが統括者のワシントン大学・科学技術センターとの契約を更新し、$ 17,976,000(約18億円)の研究費を助成すると発表した。

★正義とカネ

2008年(65歳)、バート・カーはワシントン大学を辞めて、ニューヨーク大学の化学科・教授に栄転した。

2010年7月(67歳)、バート・カーはダルトンの盗用をワシントン大学に告発した。

この告発を受けて、ワシントン大学・学部長のアナ・マリ・コース(Ana Mari Cauce、2015年-現在は学長、写真出典)がダルトンについて予備調査を開始した。しかし、予備調査の結果、本調査をしないことに結論した。

バート・カーはそもそもワシントン大学がダルトンのネカト調査をすると、本気では信じていなかった。

ワシントン大学のマイケル・ヤング学長(Michael Young、写真出典)がネカトを非難するメールを学内の教員に送信した。一方、ヤング学長はバート・カーに過去の調査を再考するよう依頼した。

バート・カーは調査概要をコピーしてヤング学長に送った。しかし、ヤング学長はダルトンのネカト行為を当初から握りつぶすつもりだった。そのことは以下のアナ・マリ・コース(前出)との電子メールに証拠として残っている。

2012年1月18日(68歳)、ヤング学長は、学務主任(Provost、学内No2)のアナ・マリ・コース(前出)と電子メールのやり取りをし、バート・カーの主張を無視する密約を交わしていたのである。アナ・マリ・コースは、バート・カーの主張を無視ことに同意していた。

バート・カーは、論文出版元の「国際光学およびフォトニクス出版協会(International Society for Optics and Photonics Publications)」にも、ダルトンの論文は盗用なので撤回するよう要請していた。

2016年1月8日(72歳)、「国際光学およびフォトニクス出版協会(International Society for Optics and Photonics Publications)」の理事は、ネカト行為があったと実証されていないので、ダルトンの論文を撤回しないとバート・カーに伝えた。

2017年(73歳)、ダルトンは彼の妻のニコール・ブーアンド(Nicole Boand)とともにワシントン大学・化学科のポスドクの支援にと、1200万ドル(約12億円)を寄付した。

2019年4月12日(75歳)、バート・カーは、ダルトン事件および大学の利益相反に関する論文を発表した。
 → 2019年4月12日のバート・カー(Bart Kahr)とマーク・ホリングスワース(Mark Hollingsworth)の「The Journal of Scientific Practice and Integrity」論文:Massive Faculty Donations and Institutional Conflicts of Interest | Published in The Journal of Scientific Practice and Integrity

★著者在順

時計の針を少し戻す。

2014年2月(71歳)、出版から10年後、ダルトンがセイハム・チャン博士からデータ盗用し分子構造を記載した「2004年のInorg. Chem. Acta」論文(書誌情報は以下)が、ダルトンの申し出で撤回された。
 → 2014年2月の撤回公告:Retraction notice to “Advances in Organic Electro-Optic Materials and Processing” [Inorganica Chimica Acta 357 (2004) 3957–3966] – ScienceDirect

  • Kimberly A. Firestone, Philip J. Reid, Rhys Lawson, Sei-Hum Jang, and Larry R. Dalton, “Advances in Organic Electro-Optic Materials and Processing,” Inorg. Chem. Acta, 357, 3957-3966 (2004)

この撤回論文・「2004年のInorg. Chem. Acta」論文の内容は、著者を追加し、翌々年の「2006年のChem. Mater」論文としてに発表したので、そちらを参照して欲しいと撤回公告は述べている。

撤回論文では最後から2番目の著者だったセイハム・チャン博士(Sei-Hum Jang)は、推奨された「2006年のChem. Mater」論文では、第一著者になっている。前の論文の著者ではなかったバート・カー(Bart Kahr)も著者に入っている。つまり、データ盗用あるいは著者在順に問題があった「2004年のInorg. Chem. Acta」論文を撤回し、これらの不正を10年後に直したのだ。

  • Sei-Hum Jang, Jingdong Luo, Neil M. Tucker, Amalia Leclercq, Egbert Zojer, Marnie A. Kimberly A. Firestone, Denise H. Bale, David Lao, Jason B. Benedict, Dawn Cohen, Werner Kaminsky, Bart Kahr, Jean-Luc Bredas, Philip J. Reid, Larry R. Dalton, and A. K.-Y. Jen, “Pyrroline Chromophores for Electro-Optics,” Chem. Mater., 18, 2982-2988 (2006).

エルゼビア出版社(Publisher Elsevier)は次のように説明している。

論文の著者間に意見の相違がありました。入手可能な事実を検討し、著者たちと綿密な議論を行なった結果、2004年の論文を撤回し、この研究成果に対する著者たちの貢献を最も正確に反映した論文として2006年に新たに出版する合意に至りました。

【同じ事件を別の人が語る】

同じ事件を再掲する。記者が違うと視点が少し違う例として、お読みください。

出典  → 2012年9月5日のユージニー・サミュエル・ライヒ(Eugenie Samuel Reich)記者の「Nature」記事:Electro-optic dye triggers ethics row : Nature News & Comment

★バート・カー(Bart Kahr)

2012年7月、マサチューセッツ州ボストンで開催された米国結晶学会で、ニューヨーク大学・化学のバート・カー教授(Bart Kahr)が講演した。

バート・カー(Bart Kahr)は10年以上前の2000年、シアトルのワシントン大学・化学科・準教授で、同じ大学の化学科教授のラリー・ダルトン(Larry Dalton)が率いる研究チームの一端を担って研究していた。

研究チームは電気信号を光信号に変換する「オプトチップ(opto-chips)」と呼ばれる新材料(色素分子、画像出典:Olbricht, B. C. et al. J. Phys. Chem. B 115, 231–241 (2011))を開発していた。この新材料は長距離通信のための効率的な材料で、インターネットの急速な拡大に重要だった。ダルトンのチームは、彼らが設計した電気光学デバイスは記録破りのパフォーマンスがあると報告していた。デバイスの性能の鍵は分子が電界に並ぶ方法にあった。

その結果、2001年、科学庁(National Science Foundation)に研究費申請を行ない、採択され、2002年に、科学庁(National Science Foundation)の情報技術研究の材料とデバイスの科学技術センター(Science and Technology Center on Materials and Devices for Information Technology Research)が11年間の長期研究プロジェクトがワシントン大学で始められた。ダルトンがセンター長になった。

★不都合な真実

2003年、バート・カー準教授(Bart Kahr)は科学技術センターに加わった。科学技術センター内及び他大学の研究者が「オプトチップ(opto-chips)」デバイスのパフォーマンスの向上を研究し成果を発表していた。ただ、バート・カー準教授は発表されていた色素分子の機能メカニズムに疑問を持ち始めた。

バート・カー準教授は科学技術センターの別の研究者であるアレックス・ジェン(Alex Jen、写真出典、2020年現在は香港大学・教授)から色素分子のサンプルをもらい、電界における偏光の吸収(分子整列の測定法)を測定した。測定結果は、色素分子が弱くしか整列していないことを示唆していた。つまり、色素分子を使ったデバイスの改善は無意味だったのだ。バート・カー準教授は、そのことをアレックス・ジェンに伝えた。

しかし、科学技術センターの2003/2004年の科学庁への年次報告書は、バート・カー準教授の測定結果について何も記載しなかった。年次報告書のこの部分を執筆したアレックス・ジェンは、報告書に盛り込む膨大な研究結果があったので記載しなかっただけで、科学技術センターの研究に異議を唱えたバート・カー準教授の研究結果を意図的に除外するつもりはなかったと言い訳をした。

しかし、これは不誠実である。年次報告書は詐欺的である。研究成果が改ざんされたことになる。

研究公正に違反する行為に驚いて、バート・カー準教授は、2004年に科学技術センターの事務局長であるアルバン・クイラム教授(Alvin Kwiram)に訴えた。クイラム教授は、カー準教授の疑問は科学技術センターの主目的である「オプトチップ(opto-chips)」デバイスの構築と改良作業に邪魔だと感じた。

カー準教授は、「オプトチップ(opto-chips)」デバイスの改善のためにメカニズムの理解が必要だと考えていたが、クイラム教授と他の人々は、メカニズムが不明でも、デバイスはすでに動いていると感じていた。クイラム教授は「メカニズムの問題は蚊のようなもので、大きな魚を釣り揚げる今、蚊は私を噛まない」と述べた。

2006年、科学技術センターは、色素分子が弱くしか整列していないというカー準教授の発見に言及することなく、さらに2つの年次報告書を提出し、5年間の研究助成金の更新時期を迎えた。不都合な真実の隠蔽である。

科学技術センターの化学者でその後、センター長を務めたフィル・リード(Phil Reid)は、科学庁の研究費審査官の現地査察を受け入れた時、色素分子が想定したほど強く整列していない可能性があることを示唆する研究結果が出ていると述べた。

2005/2006年の科学庁への年次報告書ではそのことに触れているが、カー準教授の研究成果だとは述べていない。カー準教授は、現地査察した研究費審査官に自分のデータを提示する機会を与えられなかったこともあり、その後、科学技術センターを通しての研究費支給から除外された。

2009年、カー準教授は、ニューヨーク大学・教授に栄転した。

2011年に、ワシントン大学のダルトンらは、元の研究で使用したのと類似の色素分子は電場で弱く整列するという「2011年のJ Phys Chem B.」論文(書誌情報は以下)を発表した。

  • Measuring order in contact-poled organic electrooptic materials with variable-angle polarization-referenced absorption spectroscopy (VAPRAS).
    Olbricht BC, Sullivan PA, Dennis PC, Hurst JT, Johnson LE, Benight SJ, Davies JA, Chen A, Eichinger BE, Reid PJ, Dalton LR, Robinson BH.
    J Phys Chem B. 2011 Jan 20;115(2):231-41. doi: 10.1021/jp107995t. Epub 2010 Dec 17.

弱くしか整列しない色素分子はカー準教授の発見と同じだった。

論文の責任著者でダルトン派のブルース・ロビンソン教授(Bruce H. Robinson、写真出典)は、これを研究公正の問題ではなく、科学論争の解決だとした。「バート・カーは正しかった。だから何んだっていうのだ!」とロビンソンは開き直った。

★研究に疑念がある場合の研究費申請

バート・カーは自分の研究成果を除外して研究費申請をしたことは研究公正に違反すると科学技術センターに電子メールを送付した。

ワシントン大学の研究公正室(Office of Scholarly Integrity)とアナ・マリ・コース学部長(Ana Mari Cauce)は、別々にバート・カーの告発を調査した。

両者とも、バート・カーが問題視したダルトン及びアレックス・ジェンは研究公正に違反していないと、シロの結論を下した。

アナ・マリ・コース学部長は、アレックス・ジェンがバート・カーのデータを年次報告書から省略したのは、バート・カーのデータが予備的であり、分子が整列しているかどうかについて科学的な意見の相違があったためだと、バート・カーに手紙で説明した。

2011年1月(68歳)、しかし、納得しなかったバート・カーは科学庁の監査総監室(Office of Inspector General)に問題を告発した。「ネイチャー」誌記者が監査総監室に問い合わせた。監査総監室の広報官であるスーザン・カルノハン(Susan Carnohan)から「ネイチャー」誌記者に、「進行中の調査についてコメントしません」と返事が来た。

白楽は科学庁の監査総監室の調査結果を把握していないが、これもシロと判定されたと思う。

ジョージア工科大学(Georgia Institute of Technology)で研究公正を専門とするジェイソン・ボレンシュタイン教授(Jason Borenstein、写真出典)は、研究助成金申請者は、申請者の同僚からネカト疑惑があれば、ネカト疑惑を研究助成機関に開示すべきだと述べている。

【ダルトンの他の論文ネカト】

★47年後に「1967年のInorg. Chem. Acta」論文が撤回

1967年(24歳)、ダルトンがミシガン州立大学(Michigan State University)の院生だった時、「Irzorganica Chimica Acta」の原稿を投稿した。

1967年(24歳)、「1967年のInorg. Chem. Acta」論文が発表された。以下の書誌情報では、著者3人共、姓が同じダルトン(Dalton)である。本記事で問題にしているダルトンは「Larry R. Dalton」なので最後著者である。しかし、著者3人共、同じ姓とは「これ如何に?」。

以下は論文の冒頭部分(出典:同)。全文は → https://retractionwatch.com/wp-content/uploads/2015/03/Dalton-Inorg.-Chim.-Acta-1967.pdf

2014年(71歳)、この「1967年のInorg. Chem. Acta」論文が撤回された。出版の47年後である。

撤回公告はココだが、既に「リンク切れ」である。「撤回監視(Retraction Watch)」の記事から撤回理由を探ると、「1967年のInorg. Chem. Acta」論文は、「1965年のFiz. Tverd. Tela」論文(ロシア語)の英語訳を盗用したものだと、「Larry R. Dalton」本人が編集者に通知した、とある。

[白楽の感想:どうして、出版の47年後に盗用を告白したのだろう? そうせざるを得ない状況が何だったのかわかりません]

さらに、論文に記載した実験の多くは実際には実施しておらず、「1965年のFiz. Tverd. Tela」論文のデータを使用したものだった。

「Larry R. Dalton」の共著者であるL. A. DaltonとL. L. Daltonはこの盗用を全く知らなかった。[白楽注:3人の著者の姓が同じなのは、どうして? 親子? 兄弟? わかわかりません]

「Larry R. Dalton」はこの盗用を謝罪し、「1967年のInorg. Chem. Acta」論文の撤回を申し出た。編集者はダルトンの率直さを感謝し、彼の深い謝罪を受け入れ、読者と被盗用者のジットニコフ博士(Zhitnikov)とコレスニコフ博士(Kolesnikov)にお詫びしつつ、出版から47年後に論文を撤回した。

以下は被盗用論文である「1965年のFiz. Tverd. Tela」論文(ロシア語)の英語訳の冒頭部分(出典:同)。全文は → https://retractionwatch.com/wp-content/uploads/2015/03/Zhitnikov-Soviet-Phys-Solid-State.1965.pdf

★盗用比較図

以下に部分的な盗用比較図を示す(9.【主要情報源】④から白楽が作成)。

左側がラリー・ダルトン(Larry Dalton)の盗用論文で右がジットニコフ博士(Zhitnikov)とコレスニコフ博士(Kolesnikov)の被盗用論文である。同じ単語を黄色で示した。ほぼ完全に近い逐語盗用である。【主要情報源】④は全体で70%以上の逐語盗用だったと述べている。

★ネカト論文で学士号・修士号を取得?

上記したようにダルトンの「1967年のInorg. Chem. Acta」論文は盗用である。

ところが、その盗用論文「1967年のInorg. Chem. Acta」はダルトンがミシガン州立大学(Michigan State University)から投稿した論文で、論文掲載の2年前の1965年(22歳)、ミシガン州立大学で学士号、論文掲載の前年の1966年(23歳)に修士号を取得している(博士号は1971年(28歳)にハーバード大学で取得)。

つまり、学士号も修士号も盗用論文で取得したと思われる。

2000年(55歳)、そして、ミシガン州立大学は、ダルトンがネカト者と知りつつ、カネに目がくらんで(ココ、白楽の邪推)、著名卒業生賞(distinguished alumni award)を授与した。

2005年(60歳)、さらに、ミシガン州立大学は、カネに目がくらんで(ココ、白楽の邪推ですよ)、ダルトンに著名卒業生講演(alumni distinguished lectureship)を依頼した。

論文撤回は、2014年なので、上記の褒章の2000年と2005年の時点では、ミシガン州立大学は、ダルトンがネカト者と知らなかったかもしれない。それで、「白楽の邪推」としたが、ネカト者と知っていた公算が高い。

ネカト者と知っていたとしても、ダルトンと彼の妻のニコール・ブーアンド(Nicole Boand)は、ミシガン州立大学に多額(少なくとも200万ドル(約2億円))の寄付している。

それで、このカラクリは、アメリカ人が良く使う諺「マネー・トークス(Money talks)」、つまり、「人間社会はカネ次第」と受け止められている。

●6.【論文数と撤回論文とパブピア】

★パブメド(PubMed)

パブメド(PubMed)は生命科学論文のデータベースだが、試しに、化学分野のラリー・ダルトン(Larry Dalton)の論文を検索してみた。

2020年5月5日現在、パブメド( PubMed )で、ラリー・ダルトン(Larry Dalton)の論文を「Larry Dalton [Author]」で検索した。この検索方法だと、2002年以降の論文がヒットするが、2002~2020年の19年間の44論文がヒットした。

「Dalton LR[Author]」で検索すると、1974~2020年の47年間の60論文がヒットした。

2020年5月5日現在、「Dalton LR[Author] AND Retracted」でパブメドの論文撤回リストを検索すると、0論文が撤回されていた。

★撤回監視データベース

2020年5月5日現在、「撤回監視(Retraction Watch)」の撤回監視データベースでラリー・ダルトン(Larry Dalton)を「Dalton, Larry R」で検索すると、3論文がヒットし、2論文が撤回されていた。

★パブピア(PubPeer)

2020年5月5日現在、「パブピア(PubPeer)」では、ラリー・ダルトン(Larry Dalton)の論文のコメントを「Larry Dalton」で検索すると、0論文にコメントがあった。

●7.【白楽の感想】

《1》マネー・トークス(Money talks) 

白楽が米国・NIHでポスドクをしていた1980年代、ある晩、ボスの自宅にパーティで呼ばれた。20人ほど楽しく食べお喋りしていた。もう、会話の中身は忘れてしまったけれど、何かの弾みに、ボスの奥様のスーザンが一言「マネー・トークス(Money talks)」と言った。人々は「そうだね」と納得した。

「マネー・トークス(Money talks)」=「カネが物言う」、「地獄の沙汰もカネ次第」、「人間社会はカネで動く」。

「マネー・トークス(Money talks)」、ウン、うまい言葉だなと感心したが、「マネー・トークス(Money talks)」で済ませてしまうのは、どんな時でもマズい。不都合な真実がカネで隠蔽されてしまう。ネカト対処に「マネー・トークス(Money talks)」があってはならない。

しかし、「マネー・トークス(Money talks)」は人間社会の原理の1つである。排除できない。

ネカト対処で「マネー・トークス(Money talks)」の影響を低減するシステムはどのようなものか?

《2》学界ボス

学界ボスも必要悪の印象を受ける。研究界の代表者として利用しやすいので、政府官僚が養成している。

ラリー・ダルトン(Larry Dalton)はこの分野の研究開発を牛耳る学界ボスだった。総額1億ドル(約100億円)の研究費を動かし、多数の役職を兼ね、多数の組織を統括し、大勢の研究者を動かした。

大学に2000万ドル(約20億円)以上のお金を寄付している。その金の出所を調べていないが、親が金持ちだったか、特許などで自分で稼いだのか、どちらかだろう。

とはいえ、学界ボスで巨額の研究費・人材がありながら、バート・カーの言を借りれば、ロクな研究成果を挙げていなかった。

こういう学界ボスは「百害あって一利なし」なのだろうか? 科学庁や国防省の官僚には都合のいい人物だったに違いない。

「マネー・トークス(Money talks)」と同じで、ボスも人間社会の原理の1つである。排除できない。

となると、透明性や相互批判などのメカニズムを入れて、弊害を少なくする工夫が必要だ。

ラリー・ダルトン(Larry Dalton)。写真出典:https://www.washington.edu/news/2017/03/23/uw-chemistry-to-establish-a-prestigious-postdoctoral-fellowship-thanks-to-12-million-commitment-from-professor-emeritus-larry-dalton-and-nicole-boand/

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日本がスポーツ、観光、娯楽を過度に追及する現状は日本の衰退を早め、ギリシャ化を促進する。今後、日本に飛躍的な経済の発展はない。科学技術と教育を基幹にした堅実・健全で成熟した人間社会をめざすべきだ。科学技術と教育の基本は信頼である。信頼の条件は公正・誠実(integrity)である。人はズルをする。人は過ちを犯す。人は間違える。その前提で、公正・誠実(integrity)を高め維持すべきだ。
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●9.【主要情報源】

① ウィキペディア英語版:Larry Dalton – Wikipedia
② 2012年9月5日のユージニー・サミュエル・ライヒ(Eugenie Samuel Reich)記者の「Nature」記事:Electro-optic dye triggers ethics row : Nature News & Comment
③ 2014年2月25日のアイヴァン・オランスキー(Ivan Oransky)記者の「撤回監視(Retraction Watch)」記事:Leading chemist notches two retractions in one journal, separated by 47 years – Retraction Watch
④ 2019年4月12日のバート・カー(Bart Kahr)とマーク・ホリングスワース(Mark Hollingsworth)の「The Journal of Scientific Practice and Integrity」論文:Massive Faculty Donations and Institutional Conflicts of Interest | Published in The Journal of Scientific Practice and Integrity
⑤ ◎2019年5月22日のジェイク・ゴールドスタイン=ストリート(Jake Goldstein-Street)記者の「Daily」記事:Internal emails unearthed in new report shed light on claims of scientific misconduct among UW chemists | News | dailyuw.com
★記事中の画像は、出典を記載していない場合も白楽の作品ではありません。

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