シーティン・チャ、查詩婷(Shih-ting Cha)(台湾)


2016年11月17日掲載。

ワンポイント:台湾の小保方晴子事件。2016年11月、国立台湾大学の若い美女ポスドクが「Nat Cell Biol.」論文の画像をねつ造し、指導者の中年男性教授とともに辞職した。

【追記】
2016年11月18日:クオ教授(郭明良)が主犯で11論文ねつ造。内、4論文はヤン学長(楊泮池)と共著。→ upmedia記事(保存済)(2016年11月17日17:05)

シーティン・チャは主犯ではなさそう。事件が落ち着いたら、本記事を修正する(予定)

ーーーーーーー
目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.概略
2.経歴と経過
3.動画
4.日本語の解説
5.不正発覚の経緯と内容
6.論文数と撤回論文
7.白楽の感想
8.主要情報源
ーーーーーーー

●1.【概略】

citationsシーティン・チャ(Shih-ting Cha、查詩婷、写真出典)は、国立台湾大学(National Taiwan University (NTU))・ポスドクで、医師ではない。専門は生化学だった。

2016年9月(33歳?)、「Nat Cell Biol.」論文を出版した。

2016年11月(33歳?)、パブピアで画像の重複使用が問題視され、ねつ造を認め、論文を撤回し、ポスドクを辞職した。論文の共著者でボスである教授も辞職した。

230639_medium国立台湾大学(National Taiwan University (NTU))正門。(陳柏州/攝影)。写真出典

  • 国:台湾
  • 成長国:台湾
  • 医師免許(MD)取得:なし
  • 研究博士号(PhD)取得:国立台湾大学
  • 男女:女性
  • 生年月日:不明。仮に1983年1月1日生まれとする。2007年の最初の論文発表時を24歳と仮定した
  • 現在の年齢:34 歳?
  • 分野:生化学
  • 最初の不正論文発表:2016年(33歳?)
  • 発覚年:2016年(33歳?)
  • 発覚時地位:国立台湾大学・ポスドク
  • ステップ1(発覚):第一次追及者(詳細不明)の「パブピア(PubPeer)」での指摘
  • ステップ2(メディア):「パブピア(PubPeer)」
  • ステップ3(調査・処分、当局:オーソリティ):①国立台湾大学・調査委員会
  • 大学・調査報告書のウェブ上での公表:なし。現在、調査中?
  • 不正:ねつ造
  • 不正論文数:少なくとも1報。1報は撤回予定
  • 時期:研究キャリアの初期から
  • 研究費:?
  • 結末:辞職

●2.【経歴と経過】

  • 生年月日:不明。仮に1983年1月1日生まれとする。2007年の最初の論文発表時を24歳と仮定した
  • 20xx年(xx歳):台湾の国立台湾大学(National Taiwan University (NTU))を卒業
  • 20xx年(xx歳):台湾の国立台湾大学・生命科學院(College of Life Science)・生化科學研究所(Institute of Biochemical Sciences)で研究博士号(PhD)を取得(推定)
  • 20xx年(xx歳):台湾の国立台湾大学・生命科學院・生化科學研究所・ポスドク
  • 2016年9月(33歳?):「2016年のNat Cell Biol.」論文を出版
  • 2016年11月(33歳?):「2016年のNat Cell Biol.」論文の画像不正が発覚する
  • 2016年11月(33歳?):国立台湾大学・ポスドクを辞職

●3.【動画】

【動画1】
2016/11/11 に公開
台大生化所研究 被控臨床數據圖像造假 20161111 公視晚間新聞 – YouTube

【動画2】
2016年11月15日17:10の記事中の動画
【道歉片】郭明良論文涉造假 台大校長楊泮池道歉 | 即時新聞 | 20161115 | 蘋果日報

●5.【不正発覚の経緯と内容】

★経緯

2016年9月、シーティン・チャ(Shih-ting Cha)は、「Nat Cell Biol.」論文を出版した。研究室のボスであるミンライアン・クオ教授(Min-liang Kuo、郭明良)が最後著者になっている。

2016年10月19日、シーティン・チャ(Shih-ting Cha)は、「2016年のNat Cell Biol.」論文に画像の間違いを見つけ、学術誌「Nat Cell Biol.」に伝えた。

2016年11月4日、シーティン・チャは、「生データを注意深く検討し、オリジナル・ファイルを確保できた。たくさんの画像があったために、自分たちの不注意で、標識を間違ってしまった。画像の標識に間違いはあったが、論文の結論には影響しない。今回の間違いに陳謝します」と、パブピアに書いた。bwrppal

2016年11月6日、シーティン・チャは、「2016年のNat Cell Biol.」論文の撤回の手紙を学術誌「Nat Cell Biol.」に送付した。

国立台湾大学は調査委員会を設け調査を開始した。

943_20161021_1
出典:https://www.ptt.cc/bbs/Gossiping/M.1478838154.A.CD1.html

この件の国立台湾大学・代表であるダダー・リン教授(Da-der Lin、林達德)は、「ミンライアン・クオ教授(Min-liang Kuo、郭明良)と他の教授は、研究をアドバイスしたという役割でも研究ネカトの責任がある」と述べている。

シーティン・チャは、国立台湾大学を辞職した。

2016年11月11日、ミンライアン・クオ教授(Min-liang Kuo、郭明良)も、国立台湾大学を辞職した。
→ 涉論文造假 台大發聲明 郭明良教授辭職 – 生活 – 自由時報電子報保存版

p14249223798862016年11月15日、国立台湾大学のパンチー・ヤン(楊泮池、Pan-Chyr Yang)・学長(写真出典)が陳謝した。国立台湾大学はクオ教授と連絡が取れないと述べている。
→ 【道歉片】郭明良論文涉造假 台大校長楊泮池道歉 | 即時新聞 | 20161115 | 蘋果日報保存版

そして、なんと、以下に示す「2011年のJ Clin Invest.」論文では、パンチー・ヤン学長(楊泮池、Pan-Chyr Yang)が論文の共著者なのである。

★パブピアの指摘

「2016年のNat Cell Biol.」論文には、画像の重複使用がたくさんある。マウス、電気泳動バンド、組織像と操作した画像の種類が多く、「間違え」たレベルではない。

出典 → PubPeer – G9a/RelB regulates self-renewal and function of colon-cancer-initiating cells by silencing Let-7b and activating the K-RAS/?-catenin pathway

以下の図3gと図5fは、赤枠で囲ったマウスの画像が全く同じ。重複使用、つまり、ねつ造である。
0ux3q5g

以下の図5aは、赤枠で囲った17、72、95の中央の黄矢印でしめした3つの電気泳動バンドが、全く同じ。重複使用、つまり、ねつ造である。6fvrd5m

以下の図8fは、黄枠で囲った組織像が、全く同じ。重複使用、つまり、ねつ造である。
ryjlqxi

以下の図7fのバンドは「Cell Death Differ.20(3):443-55(2013)」論文の図3 Cのバンドを再使用しラベルを変えている。重複使用、つまり、ねつ造である。hcqkfei

●6.【論文数と撤回論文とパブピア】

2016年11月16日現在、パブメド(PubMed)で、シーティン・チャ(Shih-ting Cha)の論文を「Shih-ting Cha [Author]」で検索した。この検索方法だと、2002年以降の論文がヒットするが、2007~2016年の10年間の9論文がヒットした。

9論文中の8論文がミンライアン・クオ教授(Min-liang Kuo、郭明良)と共著である。

2016年11月16日現在、撤回論文はない。当記事で問題にした「2016年のNat Cell Biol.」論文も撤回されていない。いずれ撤回されるだろう。

「パブピア(PubPeer)」ではシーティン・チャ(Shih-ting Cha)の「2016年のNat Cell Biol.」論文に41件もコメントされている:PubPeer – G9a/RelB regulates self-renewal and function of colon-cancer-initiating cells by silencing Let-7b and activating the K-RAS/?-catenin pathway

●7.【白楽の感想】

《1》台湾の小保方晴子事件

12039344_1093205737357613_8599177154809394286_n若い美女と中年男性教授の事件に、ヤン学長も論文の共著者なので、台湾の新聞は「台湾の小保方晴子事件」と書いている。その事もあってか、新聞やテレビでたくさん取り上げられている。
→ 台大生化所論文圖片不當引用,引發學術圈關注 – PanSci 泛科學(保存版)

シーティン・チャは2007年に最初の論文を書いた。この時、24歳と仮定したが、院生だったろう。その最初の論文から中年男性教授のミンライアン・クオ教授(Min-liang Kuo、郭明良) が共著者である。そして、10年後の「2016年のNat Cell Biol.」論文でも共著者になっている。

12~13年前、ミンライアン・クオ教授の研究室に美人のシーティン・チャが卒論学生として入ってきた。すぐに、クオ教授のお気に入りになり、クオ教授はシーティン・チャを12~13年間も抱え込んで、甘やかした。甘やかされたシーティン・チャは、「2016年のNat Cell Biol.」論文で研究ネカトに走ったと思われる。

シーティン・チャは、2007~2016年の10年間に9論文を出版している。9論文中の8論文がクオ教授と共著である。「2016年のNat Cell Biol.」論文を除く他の8論文に研究ネカトはないのだろうか? 2016年になって突然、研究ネカトをしたとは思えない。

この事件で、シーティン・チャは退職し、指導教授のミンライアン・クオ教授も国立台湾大学を退職した。

台湾大学は、まだ調査を終了していなが、ヤン学長が共著者の論文もある。となると、まともな調査は期待できない。

とはいえ、クロと認定した場合、退職した2人にどんなペナルティを科す(科せる)のだろうか?

《2》動機不明

2007~2016年の9論文の最初から研究ネカトをしていたのなら、納得できるが、2016年になって突然、研究ネカトをしたとすれば、状況や動機は何だろう?

台湾で最も著名な国立台湾大学を卒業し、研究博士号(PhD)も取得し、論文もそれなりに発表している。順風満帆の研究キャリアと思える若い女性が、簡単に発覚するネカトをした。なぜ?

クオ教授との不倫? わかりません。

わかりませんが、もし不倫していたとしても、ネカトとどういう因果関係があるのだろうか? 無理して深読みすると、以下の可能性が少しありそうだ。

シーティン・チャはパブピアで、自分が画像を間違えたと述べている。ヒョッとして、クオ教授が研究ネカトの真犯人かもしれない。クオ教授をかばって、ネカトの罪を自分でかぶったのかもしれない。ヤン学長に嫌疑がかかるのを防ぎたい気持ちもあるだろう。

クオ教授は辞職し、音信不通になり、ネカト行為の過程について何も説明していない。シーティン・チャが共著者になっていないクオ教授の論文にもネカト疑惑が生じている。

photo
出典:https://plus.google.com/117631982948770238164/videos?pid=5877653948311085634&oid=117631982948770238164

●8.【主要情報源】

① 2016年11月10日のKuan-lin Liu記者の「Asia News Network」記事:Manufactured data found in NTU academic article | Asia News Network保存版
② 2016年11月12日のSean Lin記者の「Taipei Times」記事:NTU paper pulled from journal after claims of forgery – Taipei Times保存版
③ 2016年11月14日のSean Lin記者の「台灣大紀元」記事:教授論文涉造假 台大:有疑問論文一併查 | 台大 | 論文 | 造假 | 台灣大紀元保存版
④ 2016年11月11日のKuan-lin Liu記者の「China Post」記事:NTU professor, team under investigation for fabricating data in article – The China Post保存版
⑤ 2016年11月16日のアリソン・マクック(Alison McCook)の「撤回監視(Retraction Watch)」記事:Nature Cell Bio paper may be headed for retraction – Retraction Watch at Retraction Watch
★記事中の画像は、出典を記載していない場合も白楽の作品ではありません。
58296cdae326b

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です