高校生:ブレア・ホーンスティン(Blair Hornstine)(米)


2017年3月31日掲載。

ワンポイント:2003年(18歳)、ハーバード大学の入試書類の作文に盗用が発覚し、入学を取り消された女子高校生。その少し前、卒業式での総代選考で裁判を起こした有名人。

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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.概略
2.経歴と経過
3.動画
4.日本語の解説
5.不正発覚の経緯と内容
6.論文数と撤回論文
7.白楽の感想
8.主要情報源
9.コメント
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●1.【概略】

ブレア・ホーンスティン(Blair L. Hornstine、写真出典)は、米国・ニュージャージー州のムーアズタウン高校(Moorestown High School (MHS))の成績一番の高校生で、身障者(慢性疲労症候群患者)だった。父親はニュージャージー州高等裁判所の裁判官で、母親は元教師だった。

2003年(18歳)、ムーアズタウン高校の卒業式での総代選考で、成績が一番なのに、身障者(慢性疲労症候群患者)という理由で、卒業生総代を2人にしたのは違法だと、自分を唯一の卒業生総代にしなかった高校を裁判に訴え、勝訴し、全米で有名になった。

2003年(18歳)、別件で、地元の新聞紙に掲載されたホーンスティンのコラムに文章の盗用が発覚した。ホーンスティンは、盗用ルールがあることを知らなかったと主張した。それで、他の文章での盗用が詮索された。

2003年(18歳)、ハーバード大学に入学許可を得ていたが、入学書類に提出していたホーンスティンの作文に盗用が発覚し、入学を取り消された。

ニュージャージー州のムーアズタウン高校(Moorestown High School (MHS))。写真出典

  • 国:米国
  • 成長国:米国
  • 研究博士号(PhD)取得:なし
  • 男女:女性
  • 生年月日:不明。仮に1985年1月1日とする。2003年で18歳から判断した
  • 現在の年齢:32 歳?
  • 分野:
  • 最初の不正文章発表:2002年(17歳)
  • 発覚年:2003年(18歳)
  • 発覚時地位:ムーアズタウン高校の3年生
  • ステップ1(発覚):第一次追及者は地元の新聞「クーリエ・ポスト(Courier Post)」の編集者(詳細不明)
  • ステップ2(メディア):
  • ステップ3(調査・処分、当局:オーソリティ):①地元の新聞「クーリエ・ポスト(Courier Post)」。②ハーバード大学・入学事務部
  • 不正:盗用
  • 不正文章数:地元新聞の5記事。入試願書の作文で1回
  • 時期:人生の初期から
  • 結末:大学入学取り消し

●2.【経歴と経過】

  • 生年月日:不明。仮に1985年1月1日とする。2003年で18歳から判断した
  • 1998年10月(13歳?):慢性疲労症候群(chronic fatigue syndrome :CFS)と似た病気と診断された
  • 2003年5月(18歳):自分が唯一の卒業生総代だと、裁判に訴えた
  • 2003年6月初旬(18歳):ホーンスティンが「クーリエ・ポスト(Courier Post)」新聞に書いた5記事に盗用が見つかった
  • 2003年7月(18歳):ハーバード大学は、ブレア・ホーンスティン(Blair Hornstine)の入学書類の作文に盗用を見つけ、入学許可を取り消した

●5.【不正発覚の経緯と内容】

★ブレア・ホーンスティンを有名にした事件

1998年10月(13歳?)、ブレア・ホーンスティンは慢性疲労症候群(chronic fatigue syndrome :CFS)と似た病気と診断され、高校では特別扱いを受けた。例えば、高校の近くに休養室が用意され、1日あたり数時間だけ学校に行けばよい。自宅に家庭教師を雇ってよい、体育の授業を受けない代わりに別の特殊なクラスを受けた。

この特別待遇により、成績は、他の一般の生徒と同じ基準とならない。幾分良い点が付くことになった。

なお、法律により、慢性疲労症候群(chronic fatigue syndrome :CFS)と似た病気のため、彼女は障害児生徒と分類された。

2002年(17歳)、ブレア・ホーンスティン(Blair Hornstine)はニュージャージー州のムーアズタウン高校(Moorestown High School (MHS))の3年生だった。

2002年(17歳)、秋学期が終わり、ブレア・ホーンスティンの成績(grade point average (GPA))が最もよかったことから、2003年6月19日の卒業式での卒業生総代に選ばれた。

ブレア・ホーンスティンのGPAは4.689で、2位のケネス・マーキン(Kenneth Mirkin)の4.634より、0.055高かった。

しかし、高校は、成績が2番目のケネス・マーキン(Kenneth Mirkin)を、もう1人の卒業生総代に選び、共同で行なうように決めた。

2003年5月30日(18歳)、ブレア・ホーンスティンは、高校の監督機関であるムーアズタウン市教育委員会を相手取り、身障者を差別したと、裁判に訴えた。自分が唯一の卒業生総代だと主張したのだ。裁判に訴えたのは、父親がニュージャージー州高等裁判所の裁判官だということが影響しているのだろう。結局。その裁判では勝訴するが、卒業式には参加しなかった。
→ 裁判:http://scholar.google.com/scholar_case?case=5143600097739817329

白楽は、結末を把握していないが、270万ドル(約2億7千万円)の損害賠償を要求する裁判も起こした。

上記の事件と時期が重なるが、本質的には別件の事件が起こった。

★盗用事件

2003年6月7日(18歳)、ブレア・ホーンスティン(Blair Hornstine)が地元の新聞「クーリエ・ポスト(Courier Post)」に書いた5記事に盗用が見つかった。クリントン大統領の文章を盗用したのだ。

出典:http://www.slideshare.net/mssample/avoiding-plagiarism-copy

 

以下に証拠を示すが、ほぼ、逐語盗用である。

左側がブレア・ホーンスティン(Blair Hornstine)の盗用文章で2002年11月26日の記事だ。右側がクリントン大統領の被盗用文章で、2000年に書いている。赤色が盗用文章(同じ単語)。以下の記事を加工した。
→ 2003年6月7日のアダム・トウ(Adam Tow)の記事:The Blair Hornstine Project | tow.com

しかし、よくもまあ、大統領の「感謝祭の言葉」を盗用したもんだ。まるっきしの逐語盗用である。

それに、いかに優秀な高校生といえども、名文が投稿されたら、新聞社の編集委員は少しヘンだなと、どうして思わなかったのか?

2002年11月26日の記事が盗用だと半年後の2003年6月7日に指摘するとは編集委員も編集委員だけど、新聞の読者も、2年前の2000年11月の大統領の「感謝祭の言葉」を誰も覚えていなかったのか?

ホーンスティンが卒業生総代事件で裁判を起こし、勝訴し、有名になったから、2002年11月26日の記事の盗用も認知されたのだ。

結局、ホーンスティンはクーリエ・ポスト紙に、「盗用を認めます。でも、ジャーナリズムの規則を知らなかったためです」、という手紙を書いた。

最近、クーリエ・ポスト紙の編集者から、私が投稿した記事の文章に適切な引用がなかったと知らされました。これらの記事は、授業で提出するレポートではありません。私は、読んだものの記録をつけています。

私は、現在は、私が間違っていたことに気がついています。でも、執筆時の私は、ニュース記事は授業で提出するレポートとは異なり、厳密な引用は不要だと思っていました。というのは、ニュース記事には脚注または文献欄がないからです。

私はプロフェッショナルなジャーナリストではありません。新聞記事を書いた経験がない17歳でした。

この手紙を見て、ホーンスティンが他の文章でも盗用していたのではないかと調べた人がいた。

ハーバード大学は、ホーンスティンの入学を許可していたが、送付されていた入学選考書類を精査した。すると、提出された作文に盗用が見つかった。

2003年7月(18歳)、ハーバード大学は、ブレア・ホーンスティン(Blair Hornstine)の入学を取り消した。

入学取り消しがメディアに流れると、賛否両論が沸き起こり、たくさんの人が入学を許可するようハーバード大学へ嘆願した。しかし、ハーバード大学は、ホーンスティンの入学取り消しを撤回することはなかった。

一方、ホーンスティンは、多くの大学から入学を打診され、結局、英国・スコットランドのセント・アンドルーズ大学(University of St. Andrews in Scotland)に入学した。

大学卒業後、米国に帰国し、ハッピーに暮らしているらしい。動物保護活動などをしている(以下の写真)。

http://www.blairhornstine.com/animals.html

●7.【白楽の感想】

《1》「研究者の事件」枠の外

ハーバード大学に関係した盗用事件、つまり、学術界の盗用らしいと思い調べ・記事にしたが、「研究者の事件」枠の少し外だった。

基本的に本ブログでは扱わないが、中学・高校生や一般社会人、そして、プロのライターである小説家や新聞記者の盗用は、日本を含め世界ではかなりある。

ブレア・ホーンスティン事件は、超優秀な高校生が高校(ムーアズタウン市教育委員会)を相手に裁判を起こし勝訴したので、米国では有名な事件である。その後、盗用が発覚し、人生ジェットコースターになった。

大学入試で提出する作文に盗用があったから、ハーバード大学は入学を取り消した。正しい。

《2》中学・高校からネカト教育

日本では、高校生の盗用文がコンテストで受賞したケースも2010年の記事になっている。中学・高校からネカト教育をすべきなのに、していないことも盗用がはびこる一因だろう。
→ 2010年12月3日の「j-cast」記事:全文表示 | 大学エッセイコンテストで高校生が盗作 「2ちゃんねる」カキコミとそっくり : J-CASTニュース。(保存版

中学・高校でカンニング禁止の規則を教育するのと同時に、ネカト禁止の教育をすべきである。

米国の高校生にネカト教育をしたほうが良いと思える論文が出ている。
→  2017年3月22日:Frederick Grinnell ら「High school science fair and research integrity

日本だけでなく世界中で、論文代行業者が、入学書類(作文)の執筆を請け負っている現実がある。

中学・高校からネカト教育をするとともに、少なくとも日本は速やかに、代行業者を取り締まる法律を作り、論文代行業を禁止すべきである。

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●8.【主要情報源】

① ウィキペディア英語版:Hornstine v. Township of Moorestown – Wikipedia
② 「Famous Plagiarists.com」記事:Famous Plagiarists.com © WarOnPlagiarism.org– Academic Profiles
③ 2003年6月7日のアダム・トウ(Adam Tow)の記事:The Blair Hornstine Project | tow.com保存版
④ ブレア・ホーンスティン(Blair Hornstine)のウェブサイト:Blair Hornstine Official Page
⑤ ブレア・ホーンスティン(Blair Hornstine)関連のウェブサイト:The Facts About Blair Hornstine保存版
★記事中の画像は、出典を記載していない場合も白楽の作品ではありません。ムーアズタウン高校のチアガール。ブレア・ホーンスティンは入っていないが、こういう女子高生を相手に教育するのは、なんていうか、大変だろうなあ。写真出典

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