デイヴィッド・コオフォード(David Kofoed)(米)

2022年4月15日掲載 

ワンポイント:コオフォードはネブラスカ州ダグラス郡の有名な犯罪捜査官(警察官)だったが、2006年(49歳)のストック夫妻(Wayne and Sharmon Stock)殺人事件で、2人の男性を誤認逮捕した。11か月後、真犯人が見つかったことで、コオフォードが証拠をねつ造した嫌疑がかかり、裁判で有罪となった。2010年6月(53歳)、1年半の刑務所刑が科された。この事件は米国では大事件だったが、日本では全く報道されなかった。国民の損害額(推定)は10億円(大雑把)。
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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.概略
2.経歴と経過
3.動画
5.不正発覚の経緯と内容
7.白楽の感想
9.主要情報源
10.コメント
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●1.【概略】

デイヴィッド・コオフォード(デイヴィッド・コフォエドDavid Kofoed、ORCID iD:?、写真出典)は、米国の警察官だった。詳しく書くと、ネブラスカ州オマハにあるダグラス郡保安官事務所・犯罪現場捜査官ユニット(Douglas County Sheriff’s Office CSI unit)の司令官(commander)だった。なお、CSI=crime scene investigator=犯罪現場捜査官である。

この事件は、研究者の事件ではない。警察官の事件だが、有名な証拠ねつ造事件なので、記事にした。血痕のねつ造なので、生命科学の枠で扱った。

米国では大事件だったが、日本では全く報道されなかった。現在でもウェブ上にたくさんの英語記事があるが、日本語記事は1つもない。

2006年4月17日(49歳)、イースターの夜、ネバダ州の小さな町・マードックでウェインとシャーモン・ストック夫妻(Wayne and Sharmon Stock、夫58歳と妻55歳)は自宅の寝室で、ショットガンで頭部を撃たれ殺された。

コオフォード捜査官は、ストック夫妻の甥のマット・リバーズ(Matt Livers、Matthew Livers、28歳)とリバーズのいとこの男性であるニック・サンプソン(Nick Sampson)を共犯者として逮捕した。

犯行の証拠としてストック夫妻の血痕がサンプソン兄弟の車から見つかったからだが、この証拠は後にコオフォード捜査官がねつ造したと判定された。

というのは、事件から11か月後、別の真犯人が見つかったからだ。

2010年6月1日(53歳)、コオフォード捜査官は証拠ねつ造で有罪となり、1年半の刑務所刑が科された。

なお、コオフォード捜査官は証拠のねつ造を否定したままである。

また、コオフォード捜査官は他の殺人事件でも証拠をねつ造したと思われている。

ネブラスカ州オマハにあるダグラス郡保安官事務所(Douglas County Sheriff’s Office CSI unit)。写真出典

  • 国:米国
  • 成長国:米国
  • 医師免許(MD)取得:なし
  • 研究博士号(PhD)取得:なし
  • 男女:男性
  • 生年月日:不明。仮に1957年1月1日生まれとする。2010年6月1日、53歳と報道されたので
  • 現在の年齢:67 歳
  • 分野:科学捜査
  • 不正論文発表:2003年~2006年(46~49歳)の4年間
  • 発覚年:2007年(50歳)
  • 発覚時地位:ダグラス郡保安官事務所・犯罪現場捜査官ユニットの司令官
  • ステップ1(発覚):発見者ではないが、特別検察官のクラレンス・モック(Clarence Mock)が追求した
  • ステップ2(メディア):「Kearney Hub」、「KVNO News」など多数
  • ステップ3(調査・処分、当局:オーソリティ):①裁判
  • 透明性:裁判なのでメディアが実名報道(〇)[機関以外が詳細をウェブ公表(⦿)]
  • 不正:証拠ねつ造
  • 不正数:3件の殺人事件
  • 時期:警官キャリアの中期
  • 職:事件後に発覚時の地位を続けられなかった(Ⅹ)
  • 処分:1年半の刑務所刑
  • 日本人の弟子・友人:不明

【国民の損害額】
国民の損害額:総額(推定)は10億円(大雑把)。

●2.【経歴と経過】

  • 生年月日:不明。仮に1957年1月1日生まれとする。2010年6月1日、53歳と報道されたので
  • 2000~2010年(43~53歳):米国のネブラスカ州オマハにあるダグラス郡保安官事務所・犯罪現場捜査官ユニット(Douglas County Sheriff’s Office CSI unit)の司令官(commander)
  • 2006年(49歳):ストック夫妻殺人事件で証拠ねつ造
  • 2010年6月1日(53歳):証拠ねつ造で有罪
  • 2012年5月30日(55歳):1年6か月の刑務所刑を終え、出所

●3.【動画】

有名な事件なので、動画がたくさんある。

【動画1】
「デイヴィッド・コオフォード」と紹介している
ニュース動画:「Kofoed Takes Stand In Own Defense – YouTube」(英語)2分13秒。
KETV NewsWatch 7チャンネル登録者数 6.41万人が2010/03/11 に公開

【動画2】
ニュース動画:「Kofoed To Be Sentenced Tuesday – YouTube」(英語)2分46秒。
KETV NewsWatch 7チャンネル登録者数 6.41万人が2010/06/01 に公開

【動画3】
ニュース動画:「Former chief David Kofoed in prison for evidence tampering (bad cop) – YouTube」(英語)3分58秒。
broadcast20081チャンネル登録者数 1100人が2019/06/28 に公開

https://www.youtube.com/watch?v=0NSRIpaeivk

●5.【不正発覚の経緯と内容】

★ストック夫妻殺人事件

2006年4月17日、イースターの夜、ネバダ州の小さな町・マードックでウェインとシャーモン・ストック夫妻(Wayne and Sharmon Stock、夫58歳と妻55歳、写真出典)は自宅の寝室で、ショットガンで頭部を撃たれ殺された。

デイヴィッド・コオフォード(David Kofoed、写真出典)はネブラスカ州オマハにあるダグラス郡保安官事務所の犯罪現場捜査官ユニットの司令官で、有能な捜査官として有名だった。

コオフォード捜査官がストック夫妻殺人事件を担当した。

コオフォード捜査官は、強盗の兆候は見られなかったので、殺害は個人的な理由だと考えた。

ストック夫妻の甥のマット・リバーズ(Matt Livers、Matthew Livers、28歳)は、お金の問題でストック夫妻に腹を立てていたので、容疑者として浮かび上がった。

リバーズは、最初、激しく犯行を否定した。

コオフォード捜査官は、リバーズをポリグラフにかけると、殺人容疑はさらに高まった。

そして、コオフォード捜査官は、尋問で、リバーズの自白を引き出すのに成功した。この尋問はビデオテープで記録した中で行なわれた。

リバーズのいとこの男性であるニック・サンプソン(Nick Sampson)を共犯者として逮捕した。

マット・リバーズ(Matt Livers、写真右)とニック・サンプソン(Nick Sampson、写真左)は、殺人犯として刑務所で服役した。

事件から11か月が経った。

2007年3月、事件から11か月が経った時、マット・リバーズ(Matt Livers)とニック・サンプソン(Nick Sampson)は、実は、犯人ではないことがわかった。

2人の若い男女、ジェシカ・リード(Jessica M. Reid、18歳)とグレゴリー・フェスター(Gregory D. Fester II、20歳)が真犯人だったのだ。この2人は最終的に有罪を認め、現在、終身刑で服役中である。

冤罪で逮捕されたマット・リバーズ(Matt Livers)とニック・サンプソン(Nick Sampson)は、釈放されるまで、6〜8か月間投獄されていた。

マット・リバーズの自白はコオフォード捜査官に強要された虚偽の自白だった。

また、コオフォード捜査官は、サンプソンの兄弟が所有する車の中に被害者であるストック夫妻の小さな血痕を見つけたと主張していた。殺害した時に浴びた被害者の血が車の中についていたのが動かぬ証拠ということで、ニック・サンプソン(Nick Sampson)を共犯者として逮捕し有罪となった。

冤罪だとわかると、その血痕の出所についての疑惑が生まれ、結局、コオフォード捜査官が証拠をねつ造したという裁定になったのである。

★真犯人

ダグラス郡保安官事務所の科学捜査研究所(Crime Laboratory)の若いクリスティン・ガビッヒ科学捜査官(Christine Gabig、写真出典)は、殺害されたストック夫妻の台所で見つかった金の指輪(写真出典)が事件の重要なカギかもしれないと、その出所を追跡した。

指輪には指輪の外側に碑文があるというユニークな指輪だった。また、宝石職人のマークも付いていた。 出所を追跡すると、廃業したばかりのニューヨーク州の会社までたどれた。

ガビッヒ科学捜査官は、「私が電話したとき、その会社は廃業していて、最後の整理日でした。電話に出た女性は、オフィスを掃除していました」と彼女は幸運だったと述べた。

1日遅れたら、指輪は追跡されなかったかもしれない。

70回も電話をし、ガビッヒ科学捜査官はその指輪がウィスコンシン州のライアンという男の所有物だったことを突きとめた。

指輪は、ストック夫妻殺人の2日前に、ライアンの赤いトラックと一緒に盗まれていた。

そのトラックを盗んだ容疑で拘留されていたのは、17歳のジェシカ・リード(Jessica M. Reid、右)と彼女のボーイフレンドの19歳のグレゴリー・フェスター(Gregory D. Fester II、左)だった(写真出典)。

ストック夫妻殺人現場で見つかった他の2つの証拠及び指輪に、犠牲者の血とともに、リードとフェスターの両方のDNAが検出されたのが決定的な証拠になった。

ビデオテープによる尋問下で、2006年4月17日、イースターの深夜、2人はストック夫妻の家に強盗として押し入った。そして寝室に就寝中のストック夫妻を殺害したことを認めた。

コオフォード捜査官は、リバーズとサンプソンも殺人に関係していることをなんとか証明しようとした。

リバーズは犯行を告白していたし、車からの血液検体も見つかっていて、ある意味、リバーズとサンプソンは犯行に何らかの関係があることを物語っていた。

コオフォード捜査官は、真犯人のリードにリバーズとサンプソンの2人も殺人に関与したことを認めるように圧力をかけた。

それで、リードは最初、リバーズとサンプソンも関与していると供述したが、すぐにその供述を撤回した。

後に、リードは、コオフォード捜査官にリバーズとサンプソンが関与していたと供述するよう圧力をかけられたと暴露した。

★疑問

伝説的に有名だったコオフォード捜査官の調査に問題があった。

しかし、なぜ、マット・リバーズ(Matt Livers)はしてもいない犯行を自白したのか?

そして、なぜサンプソン兄弟が所有する車の中に被害者の血痕が見つかったのか?

特別検察官のクラレンス・モック(Clarence Mock、写真出典)は、血痕があったという証拠は、リバーズを犯人とするためにコオフォード捜査官がねつ造したと解釈した。

裁判所はモックの主張を認め、すぐに、リバーズに対する訴訟は取り下げらえた。

モック特別検察官は、リバーズのポリグラフは間違って採点されたと主張した。

さらに、リバーズが通っていた学校の記録と逮捕から数か月後に行われたIQテストによると、リバーズには知的障害があることが裁判所で認定された。つまり、簡単な操作で、リバーズは自分が犯していない犯罪を自白してしまったのだと、モック特別検察官は主張した。

モック特別検察官によると、コオフォード捜査官はリバーズとサンプソンが殺人犯であると思い込んでいた。しかし、それを証明する証拠はなかった。

それで、コオフォード捜査官は、訴訟を強化するために車に血痕があったと証拠をねつ造した、と主張した。

★証拠ねつ造の罪

コオフォード捜査官は、証拠ねつ造の罪で訴えられた。

コオフォード捜査官は、全面的に否定した。

「もし私が証拠をねつ造するなら、私はしていませんが、もし、ねつ造するなら、容疑者の兄弟の車に証拠となる血痕を付けるなんてことはしません。私たちは彼らの服をすべて持っていました。靴も持っていました。血液の染みが付いているサンプソンのジーンズを持っていました。容疑者の兄弟の車に証拠を置くなんて、まったく意味がないではないですか」

モック特別検察官は、「鑑識係員が調べ、きれいに拭き取った車内には、明白な証拠が残っているはずはない。明白ではない少量の血痕なら見落とされた可能性があるというのは、コオフォード捜査官が、巧妙に考えた、はるかに信頼できるシナリオです」と、コオフォード捜査官の説明に反論している。

コオフォード捜査官の弁護士であるスティーブ・レフラー(Steve Lefler)は、コオフォード捜査官は、リバーズとサンプソンの無実を最終的に確立した指輪の追跡をガビッヒ科学捜査官に許可した人物だと主張した。

「リバーズとサンプソンの有罪を主張する人間が、同時に、それを否定するガビッヒ科学捜査官の追跡を支持するなんて、あり得ますか?」とレフラー弁護士はコオフォード捜査官を擁護した。

コオフォード捜査官はテレビ番組の「20/20」に出演し、証拠の血痕はねつ造したのではなく、ストック夫妻殺害現場で試験キットが汚染されたのだと思う、と主張した。彼は、車内を拭き証拠とするために使った試験キットが、ストック夫妻の家にもあったので、その時、ストック夫妻が殺害された現場の血液で汚染されのだと思うと主張した。

モック特別検察官は、「ストック夫妻殺人事件のように血まみれの犯罪現場に血液が存在するかどうか検出するための試験キットを使うことはありません。というのは、犯罪現場は血まみれで、血があったことは明らかです。そこに、試験キットを持ち込むことはあり得ません」と反論した。

1回目の裁判で、コオフォード捜査官は、証拠ねつ造ではなく、「報告を誤った」ということで無罪になった。

しかし、ネブラスカ最高裁判所での2回目の裁判で、彼は証拠をねつ造した罪で有罪の判決を受けた。

2010年6月1日(53歳)、結局、コオフォード捜査官は、1年8か月から4年、刑務所刑に服すことが確定した。なお、コオフォード捜査官は証拠ねつ造を否定したままである。

2012年5月30日、1年6か月の刑務所刑を終え、出所した。

以下は2012年5月4日のネブラスカ最高裁判所での2回目の裁判記録の冒頭部分(出典:同)。全文は35頁 → https://www.documentcloud.org/documents/363185-nebraska-supreme-court-ruling-on-david-kofoed-case.html

★賠償金

無罪判決を受けたマット・リバーズ(Matt Livers)とニック・サンプソン(Nick Sampson)は、後に警察の違法行為と証拠のねつ造の疑いでネブラスカ州の法執行当局に対して訴訟を起こした(写真出典、有料記事)。

2013年、和解に合意し、リバーズは165万ドル(約1億6500万円)、サンプソンは965,000ドル(約1億9650万円)を受け取った。

リバーズとサンプソンは、州および郡の法執行機関との訴訟を解決した後、コオフォード捜査官に対して民事訴訟を起こした。

2016年、裁判所はコオフォード捜査官が、リバーズとサンプソンに500万ドル(約5億万円)を支払う義務があるとし、ダグラス郡の保険会社であるセントポールトラベラーズ社(St. Paul Travelers Cos.)がコオフォード捜査官の責任をカバーするとした。

2018年、しかし、連邦控訴審は、リバーズとサンプソンに500万ドル(約5億万円)を支払う義務があるという2016年の裁判所の決定を覆した。

【他の事件】

今まで、2006年4月17日、ストック夫妻殺人事件でのコオフォード捜査官の証拠ねつ造を詳しく解説してきたが、他の事件でも、コオフォード捜査官は証拠ねつ造をした嫌疑がかかっている。

★ブレンダン・ゴンザレスの殺害

2003年1月、4歳のブレンダン・ゴンザレス(Brendan Gonzalez、写真出典)は行方不明になった。ネバダ州プラッツマスの自宅で父親のイワン・ヘンク(Ivan Henk)と一緒だったのが、彼の姿を見た最後だった。

ダグラス郡・犯罪現場捜査官ユニットは調査を支援するように依頼された。捜査はなかなか進まなかったが、ゴンザレスの遺体は発見されなかった。

数か月後、コオフォード捜査官は、ゴミ箱の底からサンプルを収集し子供の血痕があった証拠とした。

その証拠を突き付けて、父親のヘンクを追及した。

ヘンクは、死刑を科さないことに同意した検察官に、子供の身体をゴミ箱に捨てたと自白した。

しかし、専門家は「ゴミに6か月間さらされた後、ゴミ容器に分解されていないDNAを発見する可能性は非常に低い」と証言した。

詳細を省くが、この事件でも、コオフォード捜査官が証拠(血痕)をねつ造した疑惑が持ち上がった。

★ジェシカ・オグレイディの殺害

ジェシカ・オグレイディの行方不明者のポスター(写真出典、リンク切れ)。

クリストファー・エドワーズは、2006年にガールフレンドのジェシカ・オグレイディ(Jessica O’Grady)を殺し、解体した罪で有罪判決を受けた。彼女の多量の血液が、エドワーズの寝室のマットレスと壁についていた。

しかし、オグレイディの遺体は発見されなかった。

エドワーズが住んでいた親戚の家を探索していたコオフォード捜査官は、エドワーズの車のトラックにオグレイディの血痕を見つけた。それが、殺害したオグレイディの身体を解体した証拠だとした。

詳細を省くが、この事件でも、コオフォード捜査官が証拠(血痕)をねつ造した疑惑が持ち上がった。

【ねつ造・改ざんの具体例】

上記したように、犯罪捜査で、なかった血痕があったと、証拠をねつ造した。

●7.【白楽の感想】

《1》科学捜査でのねつ造 

犯罪捜査官(警察官)であるデイヴィッド・コオフォード(David Kofoed、写真出典)の証拠ねつ造は、冤罪の被害者の人生が狂わせる。

社会の犯罪捜査システムが崩壊する。

重大な影響が及ぶ。

防ぐための特別な方法があるとは思えない。

ということは、日本を含め世界中の犯罪捜査で証拠のねつ造・改ざん、隠滅・廃棄なども起こっている。

採用時の人選、地道は研修、職場の規範、透明化、監視など、あらゆる手段で公正で誠実な犯罪捜査を高め維持するしかない。

そして、不正に対して必見厳罰の体制を組みことだろう。

とは言っても、最近も似たような事件が起こっている。 → 2022年2月17日記事:San Francisco crime labs’ use of rape-kit DNA to probe other crimes shocks prosecutors | KTLA

《2》日本では

1998年の「和歌山カレーヒ素事件」では、化学分析による鑑定を根拠に死刑判決が宣告された。 → 和歌山毒物カレー事件 – Wikipedia

ただ、この証拠はねつ造・改ざんされた証拠だと京都大学・工学研究科の河合潤(かわい・じゅん)教授が主張している。

裁判の中で鑑定人たちは、殺人に使われたとされる凶器の亜ヒ酸と被告人関連の亜ヒ酸とが異なることを知っていた。彼らは、これらの亜ヒ酸が「同一」だと見せかけるため、濃度比を百万倍して対数(log)を計算して創作した図を作成した。3価ヒ素(亜ヒ酸のこと)を検出できない分析方法を用いて、被告人の頭髪は高濃度の亜ヒ酸が付着していると断定した。20年以上の年月が経った現在でも、到底不可能な化学分析方法を使って「検出した」と断言する鑑定書もあった。

 河合は、鑑定書や証言の中にこの種の不正を発見し、結果として、多くの「鑑定不正」を見破ってしまった。(出典:2021年09月18日、石塚伸一(龍谷大学教授・弁護士):『鑑定不正——カレーヒ素事件』 – 刑事弁護オアシス

どうやら、日本はそうとヒドイことが起こっているようだ。

科学鑑定に関する研究会「和歌山カレー事件と『鑑定不正』」をオンライン開催 – 大学プレスセンター https://www.u-presscenter.jp/article/post-46620.html

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日本がスポーツ、観光、娯楽を過度に追及する現状は日本の衰退を早め、ギリシャ化を促進する。日本は、40年後に現人口の22%が減少し、今後、飛躍的な経済の発展はない。科学技術と教育を基幹にした堅実・健全で成熟した人間社会をめざすべきだ。科学技術と教育の基本は信頼である。信頼の条件は公正・誠実(integrity)である。人はズルをする。人は過ちを犯す。人は間違える。その前提で、公正・誠実(integrity)を高め維持すべきだ。しかし、もっと大きな視点では、日本は国・社会を動かす人々が劣化している。どうすべきなのか?
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●9.【主要情報源】

① 2010年6月2日の記者名不記載の「Kearney Hub」記事:CSI leader gets up to 4 years in prison | Local News | kearneyhub.com
② 2012年5月30日のビル・ケリー(Bill Kelly)記者の「KVNO News」記事:Former CSI Kofoed dogged by legal challenges as jailtime ends – KVNO News
③ 2011年3月21日、2016年12月1日更新のジョアン・ヤング(JoAnne Young)記者の「Journal Star」記事:Epilogue: Shattered trust | Special Sections | journalstar.com保存版
④ 2014年1月14日のビル・ケリー(Bill Kelly)記者の「Nebraska Public Media」記事:More Fake Evidence? Convicted Omaha murderer claims CSI planted evidence | Nebraska Public Media
⑤ 2019年6月21日のキャロライン・ジョン(Caroline John)記者の「Earn the Necklace」記事:All You Need to Know about the Jessica Reid-Gregory Fester Case Featured in Netflix’s “The Confession Tapes”
Jessica Reid | National Organization of Victims of Juvenile Murderers
STATE v. REID | FindLaw
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