/2015年7月1日掲載、2026年8月25日(火)更新/
エイドリアンは米国出身で英国と米国の両方の弁護士資格を持つ。英国のロバートゴードン大学(Robert Gordon University)・講師だった時に出版した論文の盗用が、2012年(45歳?)に発覚し、2013~2015年(46~48歳?)に4論文が撤回された。論文が撤回されたのに、2014年(47歳?)に日本の知的財産研究所の招へい研究者になった。日本は無知で脇が甘すぎる。撤回論文の1つは、英国のロンドン大学クイーン・メアリー校での博士論文だったので、2015年(48歳?)、研究博士号(PhD)が取リ消された。エイドリアンは後に、名前の「Angela」を「Angel」に変える姓名「洗浄」をし、英国、そして現在は米国で弁護士(Attorney At Law)をしている。国民の損害額(推定)は1億円(大雑把)。
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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.概要
2.経歴と経過
5.発覚・調査の経緯
6.論文数と撤回論文とパブピア
7.白楽の感想
9.主要情報源
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●1.【概要】
アンジェラ・エイドリアン(Angela Adrian、Angel Adrian、写真出典)は、ネカト行為をした時、弁護士(Attorney At Law)資格を持ち、英国のロバートゴードン大学(Robert Gordon University)・講師だった。
その後、弁護士(Attorney At Law)として、イコンディア社(Icondia)(パブリシティ権、肖像権、意匠権専門の会社)のチーフ・ナレッジ・オフィサー(知識部長)になった。
専門は知的財産権(パブリシティ権、肖像権)で、この分野の国際的な権威の1人である。英国と米国の両方の弁護士資格を持っている。
研究ジャーナル「International Journal of Intellectual Property Management」の編集員も勤めた。
とても皮肉である。法務博士(JD)で「知的財産権が専門」の弁護士(Attorney At Law)、その上、「法学」博士を持つ知的財産権の専門家、さらに、大学講師を務め、知財企業の「知識部長」だった人が、その職に就く前だが、博士論文を含め4つの論文で盗用していた。
2012年(45歳?)に盗用が発覚し、2013~2015年(46~48歳?)に4論文が撤回された。
それなのに、日本の特許庁委託平成24年度産業財産権研究推進事業(平成24~26年度)で、2014年1月14日 – 2014年3月1日に日本の招へい研究者になっている。日本は無知で脇が甘すぎですね。
エイドリアンは、2010年(43歳?)に英国のロンドン大学クイーン・メアリー校で研究博士号(PhD)(法学)を取得した。その博士論文にも盗用が発覚し、2015年2月10日頃(48歳?)、研究博士号(PhD)が取リ消された。
その後、汚名の過去と決別するため、姓名「Angela Adrian」の名前部分の「Angela」を「Angel」に変える姓名「洗浄」をし、米国の法律事務所で弁護士(Atto rney)として勤めた。
2026年8月24日(59歳?)現在、米国の法律事務所であるパーソナリティ・インコーポレイテッド社(Personality Incorporated)を2025年10月(58歳?)に設立し、その社長業を続けている。
ロバートゴードン大学(Robert Gordon University)、写真出典
- 国:英国
- 成長国:米国・英国
- 法務博士(専門職学位)(Juris Doctorate)取得:米国のロヨラ大学ニューオリンズ校
- 研究博士号(PhD)取得:英国のロンドン大学クイーン・メアリー校
- 男女:女性
- 生年月日:不明。仮に、1967年1月1日とする。1989年に修士課程に入学した時を22歳とした
- 現在の年齢:59歳?
- 分野:法学
- 不正論文発表期間:2006~2010年(39~43歳?)
- 不正論文発表時地位:英国のロンドン大学クイーン・メアリー校の院生、英国のロバートゴードン大学(Robert Gordon University)・講師、オーストラリアのサザンクロス大学(Southern Cross University)・シニア講師
- 発覚年:2012年(45歳?)
- 発覚時地位:オーストラリアのサザンクロス大学(Southern Cross University)・シニア講師
- ステップ1(発覚):第一次追及者は外部の研究者や出版社の編集者らで、匿名で指摘した
- ステップ2(メディア):「撤回監視(Retraction Watch)」
- ステップ3(調査・処分、当局:オーソリティ):①英国のボーンマス大学・調査委員会、②学術誌・編集部
- 大学・調査報告書のウェブ上での公表:ボーンマス大学は「なし」
- 大学の透明性:不明。
- 不正:盗用
- 不正論文数:少なくとも4論文が撤回。内1論文は博士論文
- 時期:研究キャリアの初期・中期
- 職:事件後に研究職(または発覚時の地位)を続けられなかった(推定)(Ⅹ)
- 処分:サザンクロス大学の解雇(推定)、ロンドン大学クイーン・メアリー校は博士号剥奪
- 対処問題:
- 特徴:①盗用時の状況はほとんど不明。②研究博士号(PhD)(法学)の博士論文が盗用、③法務博士(JD)と研究博士号(PhD)(法学)を持つ弁護士、大学講師、知的財産権の世界的権威が盗用。④姓名「洗浄」
- 日本人の弟子・友人:不明
【国民の損害額】
国民の損害額:総額(推定)は1億円(大雑把)。
●2.【経歴と経過】
主な出典:①2014/2/27 招へい研究者研究成果報告会|知的財産研究所、②https://www.linkedin.com/in/angel-adrian-0a4644/
- 生年月日:不明。仮に、1967年1月1日とする。1989年に修士課程に入学した時を22歳とした。
- 1989~1990年(22~23歳?):英国のシラー・インターナショナル大学ロンドン校(Schiller International University)で修士号取得(シラー・インターナショナル大学にロンドン校はない? でも、エイドリアンのlinkedin にはロンドン校とある)。写真は、若い頃のアンジェラ・エイドリアン(Angela Adrian、写真出典)

- 1995~1998年(28~32歳?):米国のニューオリンズにあるロヨラ大学ニューオリンズ校(Loyola University New Orleans)で法務博士(専門職学位)(Juris Doctorate)を取得
- 1996~2002年(29~35歳?):米国のニューオリンズにある法律事務所「Law Offices of John J. Sullivan」・法務助手
- 2005~2008年(38~43歳?):英国のロバートゴードン大学(Robert Gordon University)・講師
- 2005~2010年(38~43歳?):英国のロンドン大学クイーン・メアリー校(Queen Mary University of London)で研究博士号(PhD)(法学)を取得した。博士論文タイトル:“Law and Order in Virtual Worlds: Exploring Avatars, their Ownership and Rights”。博士論文を出版した。
- 2006~2010年(39~43歳?):この5年間の4論文が2013~2015年に撤回された
- 2008~2010年(41~43歳?):英国のボーンマス大学(Bournemouth University)・上級講師。専門:ビジネスのための法律
- 2011年4月~2013年7月(44~46歳?):オーストラリアのサザンクロス大学(Southern Cross University)・シニア講師:法学
- 2012年(45歳?):2010年論文の盗用が発覚
- 2013年3月~2025年10月(46~58歳?):英国のイコンディア社(Icondia)の知識部長
- 2013年4月(46歳?):盗用で2010年論文が撤回された
- 2014年1月~現在(47歳?~):エイドリアン社(The Adrian Company)の弁護士(Attorney At Law)
- 2014年1月~2014年4月(47歳?):日本の知的財産研究所(Japanese Institute of Intellectual Property)の招へい研究者。特許庁委託平成24年度産業財産権研究推進事業の1つ
- 2015年2月10日頃(48歳?):英国のロンドン大学クイーン・メアリー校に研究博士号(PhD)が取リ消された
- 20xx年x月xx日(xx歳):名前「Angela」を「Angel」に変えた
- 2016年7月~2019年5月(49~52歳?):米国のニューオリンズにある法律事務所「The Law Offices of Tim L. Fields, LLC」の弁護士(Attorney)
- 2025年10月~現在(58歳?~):パーソナリティ・インコーポレイテッド社(Personality Incorporated)を設立し社長
●5.【発覚・調査の経緯】
★研究人生
アンジェラ・エイドリアン(Angela Adrian、写真出典)は、米国出身で英国と米国の両方の弁護士資格を持っている。
英国のロバートゴードン大学(Robert Gordon University)・講師だった時に出版した論文の盗用が、2012年(45歳?)に発覚し、2013~2015年に4論文が撤回された。
撤回論文の1つは、英国のロンドン大学クイーン・メアリー校での博士論文だったので、2015年(48歳?)、研究博士号(PhD)が取リ消された。エイドリアンは後に、名前の「Angela」を「Angel」に変える姓名「洗浄」をし、英国、そして現在は米国で弁護士(Attorney At Law)をしている。
★発覚の経緯
2012年(45歳?)、外部の研究者や出版社の編集者らによる匿名の指摘、および学術誌のスクリーニングシステムによって、エイドリアンの著作物に不自然なテキストの一致(コピペ)が多数存在することが見つかった。
指摘を受けたボーンマス大学は、研究公正規程に基づき正式な調査委員会を設置して調査した。調査の結果、彼女の複数の著作物において、適切な引用なしに他者の文章をそのまま流用する「広範かつ深刻な盗用(Plagiarism)」があったと認定した。
ただ、「このような不正がありましたので論文(そして、博士号)を撤回しました」という結果しかわからない。
以下、盗用例を個別に記述した。
●【盗用の具体例】
★2013年10~12月に2010年論文を撤回
エイドリアンがオーストラリアのサザンクロス大学(Southern Cross University)・シニア講師の時、2010年に出版した以下の論文に盗用が見つかり、編集者の判断で2013年に論文が撤回された(Retraction Notice)。
- “Could A Small Town in Romania bring Australia to its Cyber-knees? Not if They Accede to the EU Convention on Cybercrime”
Angela Adrian
Journal of International Commercial Law and Technology [2010] Vol. 7 No.4,pp. 328-338
他からもあるが、主に、以下の論文から盗用した。
- Alana Maurushat, “Australia’s succession to the Cybercrime Convention: is the Convention still relevant in combatting crime in the era of Botnets and Obfuscation Crime Tools?” UNSW Law Journal Vol 33(2) 2010 Forum (Australia’s Accession to the Cyber-crime Convention) pp 431
★2014年8月に2006年論文を撤回
エイドリアンが英国のロバートゴードン大学(Robert Gordon University)・講師の時、2006年に出版した論文「The Pirate Bay deep-sixed」、Computer Law & Security Review, Volume 22, Issue 5, 2006, Pages 392-401は、以下の論文の盗用とみなされ、2014年8月に撤回された。
- Graeme W. Austin [Santa Clara Computer & High Technology Journal, Vol. 22, p. 577, 2006, Arizona Legal Studies Discussion Paper No. 06-08, Victoria University of Wellington Legal Research Paper No. 3/2013
★2014年8月に2007年論文を撤回
エイドリアンが英国のロバートゴードン大学(Robert Gordon University)・講師の時、2007年に出版した論文「Avatars as trade marks.」Computer Law & Security Review, Volume 23, Issue 5, 2007, Pages 436-448も、2014年8月に盗用で撤回された。
★2015年2月10日頃、2010年の博士論文に盗用が発覚し研究博士号が取り消された
エイドリアンが 2010年に英国・ロンドン大学クイーン・メアリー校に提出した博士論文「Law and Order in Virtual Worlds: Exploring Avatars, their Ownership and Rights」での盗用が発覚した。
2015年2月10日頃、英国・ロンドン大学クイーン・メアリー校はエイドリアンの研究博士号(PhD)を取り消した(IP lawyer/plagiarist’s PhD thesis under review – Retraction Watch at Retraction Watch)。
●6.【論文数と撤回論文とパブピア】
データベースに直接リンクしているので、記事閲覧時、リンク先の数値は、記事執筆時の以下の数値より増えている(ことがある)。?
★論文数
2026年8月24日現在、アンジェラ・エイドリアン(Angela Adrian)の総論文数を、AIは、約15~20報(書籍の章などを含む)と回答した。
★撤回監視データベース
2026年8月24日現在、「撤回監視(Retraction Watch)」の撤回監視データベースでアンジェラ・エイドリアン(Angela Adrian、Angel Adrian)の撤回論文を「Angela Adrian」で検索すると、2006~2010年の4論文が2013~2015年に撤回されていた。
その内の1論文は、2010年のエイドリアンの博士論文で、2015年に撤回された。
★パブピア(PubPeer)
2026年8月24日現在、「パブピア(PubPeer)」では、アンジェラ・エイドリアン(Angela Adrian、Angel Adrian)の論文のコメントを「”Angela Adrian”」で検索すると、0論文にコメントがあった。
●【白楽の感想】
《1》たくましい
エイドリアン事件を解読しての大きな感想は「たくましい~」だ。博士論文を含め何度も盗用した人だからなのか、弁護士だからなのか、それらとは関係ないのかわからないが、混沌とした現代社会でズルしてでも上昇して生きていく「たくましさ」にあふれた人というか、厚顔無恥の人だ。
アンジェラ・エイドリアン(Angela Adrian、写真出典)は、盗用と糾弾されても、博士号を剥奪されても、人生をあきらめずに、過去をごまかすために名前「Angela」を「Angel」に洗浄し、弁護士活動をし続けた。「たくましい~」。
「親の顔が見てみたい」というより、むしろ、「爪の垢を煎じて飲みたい」くらいだ。
しかし、こういう筋金が入りの不正者が弁護士って、いいのか・悪いのか?
でも、こういう若い女性が自分の研究室の院生だったとすると、教員はコロッとだまされるだろう。
そういえば、白楽は、お茶の水女子大学の助教授に赴任した時、先輩教員に「女子学生に泣かれたぐらいでオタオタするようでは、女子大の教員は務まらないぞ」とアドバイスを受けた。あ~、関係ないか。ゴメン。
《2》倫理教育は有効?
「知的財産権が専門の弁護士」、「法学博士」、知財企業の「知識部長」、その人が盗用とは、人間、面白いですね。
要するに、「人間の行為に聖域なし。人間は善悪の両方を持っている。監視・批判されなければ悪がでて、称賛されれば善がでる」という「白楽の研究公正第一法則」に当てはまる。
エイドリアン事件で学ぶべきことは、以下の点である。
不正研究の防止では、教育や研修が必要だと叫ばれているが、あまり役に立たない、ということだ。
「文部科学省が今月から実施した。研究者や学生に対する倫理教育の徹底教育を大学など研究機関に求めている。」(2015年4月20日、 研究活力と不正防止の両立を:日本経済新聞)。
この場合、「倫理教育の徹底教育」で何をどう教えると、不正研究を防止できるのと考えているのだろうか?
エイドリアンは「知的財産権が専門」の弁護士(Attorney At Law)でかつ「法学」博士である。盗用を悪いと200%知っている。でも、盗用をした。多くの院生・研究者も盗用を悪いと知っていても盗用をする。
研究不正を防ぐのに重要なことは、「盗用は悪い」「研究不正をしてはいけない」と教えることではない。多くの院生・研究者は、悪いことだと100も承知だ。
必要なのは、「倫理教育の徹底教育」ではなく、「必ず見つけ」「不正者を厳罰」にするなど別の仕組みである。
《3》日本は無知で脇が甘すぎ
2013年4月、アンジェラ・エイドリアン(Angela Adrian、写真出典)の盗用が発覚し、2010年の論文が撤回された。
それなのに、2014年1月に日本の特許庁委託平成24年度産業財産権研究推進事業(平成24~26年度)で、知的財産研究所が日本への「招へい研究者」としている。
知的財産を専門に研究する「知的財産研究所」が、外国の「盗用」者を日本に招くなんて、恥ずかしくないのか? 招く前に、エイドリアンの論文が「盗用」で撤回された記事が公表されているのを、知らなかった? → 2013年の撤回公告
「知らなかった」なら、無能を恥じるべきだし、知っていたのなら、・・・。
招へいはキャンセルすべきだったでしょう。
さらに追い銭的に、知財研紀要 2014年 Vol.23にエイドリアンの論文・「商標の稀釈化、パブリシティ権、肖像権-日本、オーストラリア、英国、米国における法律の比較分析-」を掲載し、恥の上塗りをしている。
この論文の翻訳前の英語版は盗用ではないのでしょうね。知的財産研究所は分析しているのでしょうか?
知的財産研究所は、結果として、不正研究者を擁護していることになる。どうして、日本はこう甘いのでしょう? 責任者を処分し、システムを改善すべきです。
《4》研究不正を防ぐ方法
アンジェラ・エイドリアンの研究不正を防ぐには、どうすればよかったか?
また、今後、同じような研究不正を起こさせないためにはどうすべきか?
根源的な問題として、アンジェラ・エイドリアンは、どうして、盗用したのだろうか?
ウ~ン、事件の状況をつかめる情報がない。
それに、白楽には、法学ではどのような研究文化で、どのように論文執筆指導を受けるのか日本・英国・米国での実情にも疎い。
とはいえ、アンジェラ・エイドリアンは多くの論文を盗用し、盗用の常習者である。盗用は彼女の研究習慣病と考えられる。つまり、論文執筆の初期から盗用しながら論文を書くという執筆スタイル・研究習慣を身につけてしまった。それを、指導教授が見抜けなかった。それで、そのまま盗用しながらドンドン論文を書いてきた。
また、エイドリアンは、大学卒業後、実社会で働いてから、学術界に入ってきた人である。このような経歴の人の性向として、学問の規範が身についていない人が多い。日本でも、そういう経歴の大学教授が論文盗用の不祥事を起こしている。
●9.【主要情報源】
① 2014年8月11日のアダム・マーカス(Adam Marcus)記者の「撤回監視(Retraction Watch)」記事:Intellectual property lawyer loses papers for … plagiarism ? Retraction Watch
② 2015年2月10日のキャット・ファーガソン(Cat Ferguson)記者の「撤回監視(Retraction Watch)」記事:IP lawyer/plagiarist’s PhD thesis under review
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★記事中の画像は、出典を記載していない場合も白楽の作品ではありません。
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