ダイアナ・アヴェリル=ベイツ(Diana Averill-Bates)、ファティ・サルハン(Fathey Sarhan)(カナダ)

/ 2026年7月14日(火)掲載/ 

ダイアナ・アヴェリル=ベイツ(写真左)はニュージーランド出身、ファティ・サルハン(写真中央)はエジプト出身で、共にケベック大学モントリオール校(UQAM)の教授/名誉教授である。
 
2025年、著名なネカトハンターであるエリザベス・ビック(Elisabeth Bik)が、彼らの論文の不正(捏造・改ざん)疑惑を指摘した。
 
ケベック大学モントリオール校は調査の結果、「不正行為はなかった」と、所属研究者たちを擁護し、ネカト疑惑を否定した。

そして、カナダ特有の隠蔽文化にならい、調査報告書を非公開とした。そのため、不正疑惑データの実際の実行者や当時の状況は不明で、事態の改善策を見出せない。この事案による国民の損害額は、大まかな試算で約3億円にのぼると推定される。

ーーーーーーー
目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.概略
2.経歴と経過
5.不正発覚の経緯と内容
6.論文数と撤回論文とパブピア
7.白楽の感想(AI川柳なし)
9.主要情報源
ーーーーーーー

●1.【概略】

ダイアナ・アヴェリル=ベイツ(Diana Averill-Bates、Diana A. Averill、ORCID iD:?、写真右出典)は、ニュージーランド出身で、カナダのケベック大学モントリオール校(University of Quebec in Montreal、UQAM:Université du Québec à Montréal)・教授になった。専門は毒物学である。

ファティ・サルハン(Fathey Sarhan、写真左出典)は、エジプト出身で、ケベック大学モントリオール校・名誉教授になった。アヴェリル=ベイツの共著の論文が複数ある。

本記事では、アヴェリル=ベイツを主軸に、共著者であるサルハンを交えて解説する。

ただし、実際のネカト実行者はこの2人ではない可能性が高い。また、両者の非共著論文にもそれぞれネカト疑惑が指摘されていることから、独立して不正行為を行なった研究員が複数存在していたと推測される。

2025年、ネカトハンターのエリザベス・ビック(Elisabeth Bik)が、彼らの複数の論文の画像データのネカト疑惑を指摘した。

ケベック大学モントリオール校は調査の結果、不正行為はなかったと所属研究者たちを擁護し、ネカト疑惑を否定した。

そして、ケベック大学モントリオール校は調査報告書を隠蔽した。従って、調査の実態は不明である。

ネカト疑惑データの実行者・原因・状況・実態は不明で、改善策はつかめない。

ケベック大学モントリオール校(University of Quebec in Montreal、UQAM:Université du Québec à Montréal)。写真出典

★ダイアナ・アヴェリル=ベイツ(Diana Averill-Bates)を中心に

  • 国:カナダ
  • 成長国:ニュージーランド
  • 医師免許(MD)取得:?
  • 研究博士号(PhD)取得:ニュージーランドのxx大学(xx)
  • 男女:女性
  • 生年月日:不明。仮に1956年1月1日生まれとする。2026年1月27日の記事に70歳ころとあったので
  • 現在の年齢:70歳?
  • 分野:毒物学
  • 不正疑惑論文発表:2003~2021年(47~65歳?)の19年間
  • ネカト疑惑行為時の地位:ケベック大学モントリオール校・教授
  • 発覚年:2025年(69歳?)
  • 発覚時地位:ケベック大学モントリオール校・教授
  • ステップ1(発覚):第一次追及者はエリザベス・ビック(Elisabeth Bik)。「パブピア(PubPeer)」で指摘
  • ステップ2(メディア):「パブピア(PubPeer)」、「より良い科学のために」
  • ステップ3(調査・処分、当局:オーソリティ):①学術誌・編集部。②ケベック大学モントリオール校・調査委員会
  • 大学・調査報告書のウェブ上での公表:なし
  • 大学の透明性:隠蔽(✖)
  • 不正:捏造・改ざん
  • 不正論文数:2006,2009,2016年の3論文撤回。2003~2021年の25論文に「パブピア(PubPeer)」でコメントあり
  • 時期:研究キャリアの初期から
  • 職:事件後に研究職(または発覚時の地位)を続けた(〇)。大学はシロと結論したから
  • 処分:なし。大学はシロと結論したから
  • 対処問題:大学隠蔽、大学調査不正
  • 特徴:
  • 日本人の弟子・友人:不明

【国民の損害額】
国民の損害額:総額(推定)は3億円(大雑把)。

●2.【経歴と経過】

★ダイアナ・アヴェリル=ベイツ(Diana Averill-Bates)

ほとんど不明。

  • 生年月日:不明。仮に1956年1月1日生まれとする。2026年1月27日の記事に70歳ころとあったので
  • ニュージーランドで生まれ、育つ
  • xxxx年(xx歳):xx大学(xx)で学士号取得
  • xxxx年(xx歳):ニュージーランドのxx大学(xx)で研究博士号(PhD)を取得
  • 1983年(27歳?):カナダのxx大学(xx)・ポスドク
  • 1986年(30歳?):カナダのケベック大学モントリオール校(University of Quebec in Montreal)・助教授、その後、正教授
  • 2003~2021年(47~65歳?):この19年間の25論文に「パブピア(PubPeer)」でコメントあり
  • 2025年(69歳?):研究不正が発覚
  • 2026年7月13日(70歳?)現在:従来職を維持している: Professeurs réguliers – Département des sciences biologiques – UQAM

★ファティ・サルハン(Fathey Sarhan)

主な出典:Fathey Sarhan

  • 生年月日:不明。仮に1943年1月1日生まれとする。1965年に学士号を取得した時を22歳とした。エジプトで生まれ、育つ
  • 1965年(22歳?):エジプトのカイロ大学(Cairo University)で学士号取得:農学
  • 1973年(30歳?):カナダのモントリオール大学(Université de Montréal)で修士号取得:植物生化学
  • 1977年(34歳?):同大学で研究博士号(PhD)を取得:植物生化学
  • 1978年(35歳?):カナダのケベック大学モントリオール校(University of Quebec in Montreal)・ポスドク:Fathey Sarhan
  • 上段と矛盾? 1978年(35歳?):カナダのケベック大学モントリオール校・正教授:Fathey Sarhan obtient le statut de professeur émérite | UQAM
  • 2010 年11月23日(67歳?):ケベック大学モントリオール校・名誉教授:Fathey Sarhan obtient le statut de professeur émérite | UQAM
  • 2011年(68歳?):カナダ植物生理学会が金メダル授与

●5.【不正発覚の経緯と内容】

ダイアナ・アヴェリル=ベイツ(Diana Averill-Bates)を主軸に、共著者であるファティ・サルハン(Fathey Sarhan)を交えて解説する。

【ダイアナ・アヴェリル=ベイツ(Diana Averill-Bates)】

★研究人生

ダイアナ・アヴェリル=ベイツ(Diana Averill-Bates、写真出典)の学歴・職歴は不明点が多い。

わかっているのは、ニュージーランドで生まれ、育ち、ニュージーランドのxx大学(xx)で研究博士号(PhD)を取得後、1983年(27歳?)、カナダのxx大学(xx)・ポスドクになり、その後、ケベック大学モントリオール校(UQAM)・生物学科(Département des sciences biologiques)・教授になったくらいだ。

★獲得研究費

ダイアナ・アヴェリル=ベイツ(Diana Averill-Bates)は、カナダ政府から2017~2025年の9年間に5件、計621,360ドル(約6,213万円)の研究費を獲得していた。 → Grants and Contributions

★発覚とその後

2025年5月xx日(69歳?)、ネカトハンターのエリザベス・ビック(Elisabeth Bik)が、ダイアナ・アヴェリル=ベイツ(Diana Averill-Bates)の複数の論文のデータ上の問題を指摘した。

主な問題は、画像の不適切な加工で、1つの画像の中に重複使用がある顕微鏡写真や、2つの論文に同じ画像データを使ったという疑惑だった。

以下、4論文を選んで問題個所を見ていこう。

――論文①:「2006年11月のBiotechnol Bioeng」論文――

サルハンが共著で、サルハンが連絡著者だった。

この論文①は、2025年12月2日に撤回された。 → 撤回公告

2025年5月xx日(69歳?)、エリザベス・ビック(Elisabeth Bik)が、図3B、C、Dの顕微鏡写真に多数の重複画像(同じ色の四角、楕円、丸で囲った部分)があると指摘した。

以下のパブピアの図の出典:https://pubpeer.com/publications/BF973BAFE4539906292526E9159BBF

――論文②:「2009年6月のBiotechnol Bioeng」論文――

サルハンが共著で、サルハンが連絡著者だった。

この論文②も、2025年12月2日に撤回された。 → 撤回公告

2025年5月xx日(69歳?)、エリザベス・ビック(Elisabeth Bik)が、図4の複数の画像(右列)は同じ著者たちが5か月前に出版した「2009年1月のCell Transplant」論文の図1(左列)と同じである。そして、「2009年1月のCell Transplant」論文を引用していない。

以下のパブピアの図の出典:https://pubpeer.com/publications/213EA7CEC6131966E10F70F71FFAEC

――論文③:「2008年10月のDrug Metab Dispos.」論文――

サルハンは共著者だが、アヴェリル=ベイツが連絡著者だった。

論文③は、2026年7月13日現在、懸念表明・訂正・撤回はされていない。

2025年5月xx日(69歳?)、エリザベス・ビック(Elisabeth Bik)が、図1の複数の画像に多数の重複画像(同じ色の四角、楕円、丸で囲った部分)があると指摘した。

以下のパブピアの図の出典: https://pubpeer.com/publications/85E5B8EE0D96E6C73F3162B5135A46#

さらに、上図の「Uncoated WPEs」のパネルは、同じ著者による「2009年1月のCell Transplant」論文(DOI: 10.3727/096368909788237104)の図2の「WPE」パネル(以下)からいくつかの細胞を除いたものだった。

以下のパブピアの図の出典: https://pubpeer.com/publications/85E5B8EE0D96E6C73F3162B5135A46#

――論文④:「2021年3月のBiochim Biophys Acta Mol Cell Res.」論文――

サルハンは共著ではないが、第二著者のメラニー・グロンダン(Mélanie Grondin)はサルハン研究室の元・院生である。なお、グロンダンは論文①の第二著者、論文②、③の第一著者でもある。

アヴェリル=ベイツが連絡著者だった。

論文④は、2026年7月13日現在、懸念表明・訂正・撤回はされていない。

2025年5月xx日(69歳?)、エリザベス・ビック(Elisabeth Bik)が、図2のウェスタンブロット画像に2つの重複画像(同じ色の四角)があると指摘した。

以下のパブピアの図の出典: https://pubpeer.com/publications/F9947B9714739D4B416CBA8EA7F1EA

すると、2025年12月、アヴェリル=ベイツは、以下のように、図2のウェスタンブロット画像を拡大して精査すると、赤色枠のLC3-Iタンパク質のバンドと、青色枠のバンドのピクセルパターンや形状が異なっていて、重複していない、と反論した。

[白楽の感想:コントラストの付け方次第なので、異なるという証拠にならないと思う。それに、重複加工時に少し変化してしまう、また、意図的に加工すれば、全く同一ではない。
 なお、どうして、生データを示さないの? 論文①②③は16~19年前と古いけど、この論文④は4年前の論文なので生データ保存しているだろうに]

―――
2025年5月xx日(69歳?)、エリザベス・ビック(Elisabeth Bik)は、さらに、図2Dの黄色枠で囲んだ部分に重複画像があると指摘した。

以下のパブピアの図の出典: https://pubpeer.com/publications/F9947B9714739D4B416CBA8EA7F1EA

2025年12月、アヴェリル=ベイツは、図2Dについても、以下のように、重複していない、と反論した。

[白楽の感想:提示したパネルではなく、どうして、生データを示さないの? 論文①②③は16~19年前と古いけど、この論文④は4年前の論文なので生データ保存しているだろうに]

――他にも問題論文はあるが、省略した――

アヴェリル=ベイツと共著者たちは、論文の撤回(論文①、②)に異議を唱えた。

彼女らは、論文が出版されてから20年近く経過しているため(16~19年前)、元の生データを保存していない。しかし、彼女らは自分たちが作成した画像には何の変更も加えていないと主張した。

問題のある図表に代わる新たな実験データを提出すると主張したが、この提案は学術誌の編集者たちが却下した。

論文④は、画像を拡大して確認したところ、「バンドの重複もなく、細胞の重複もない」と主張した。

アヴェリル=ベイツ、さらに、「これらの画像は、論文の結果や解釈、科学的結論には何の影響も与えない」と述べた。

[白楽の感想:論文の結果や解釈、科学的結論には何の影響も与えない図表を、結果・解釈・結論の証拠として、そもそも、どうして提示するんだろう?]

★大学の対応

ケベック大学モントリオール校は調査の結果、不正行為はなかったと所属研究者たちを擁護し、ネカト疑惑を否定した。

カナダでは一般的に調査報告書は非公開である。

ケベック州には「公共機関が保有する文書の閲覧及び保護に関する法律(Act respecting Access to documents held by public bodies and the Protection of personal information)」という法律があり、調査報告書は漏洩または、裁判所で公開されない限り、原則として非公開のままである。

従って、誰がどのような調査でシロと判定したのか不明である。

なお、レオニッド・シュナイダー(Leonid Schneider)がアヴェリル=ベイツのネカト疑惑を記事にしたことに対して、11日後の2025年12月23日、ケベック大学モントリオール校の研究・創造・発信担当のリュシー・メナール副学長(Lucie Ménard、写真出典)は、記事を削除するようシュナイダーにメールした。

――以下、メールの意訳――

シュナイダー様

あなたのサイトの掲載内容は、専門家としての適切な行動範囲を超えているため、直ちに中止(削除)を求めます。

委員会による厳格な調査の結果、アヴェリル教授の件は「詐欺(fraud)」には当たらないと結論が出ました。規範違反は極めて軽微であり、論文の結論にも影響ありません。

適切に訂正してください。

リュシー・メナール
研究・創造・発信の担当副学長
ケベック大学モントリオール校

――以上、メールの意訳――

この高圧的な対応は裏目に出た。シュナイダーは要求を拒否し、この隠蔽要請メールの存在そのものを1か月後の追記記事で公開した。

【ファティ・サルハン(Fathey Sarhan)】

ファティ・サルハン(Fathey Sarhan、写真出典)は、上記したように、アヴェリル=ベイツと共著の論文①、②、③でネカト疑惑が指摘され、論文①、②は撤回された。

しかし、アヴェリル=ベイツと共著ではない複数の論文でネカト疑惑が指摘されている。論文を2つ(⑤と⑥)だけ以下に示す。

――論文⑤:「2002年7月のPlant Physiol」論文――

論文⑤は、アヴェリル=ベイツが共著者ではない。サルハンは連絡著者である。

論文⑤は、2026年7月13日現在、懸念表明・訂正・撤回はされていない。

2025年12月xx日(69歳?)、Aneurus inconstansが、図3Eの2つのバンドがコピー&ペーストされている(赤枠)と指摘した。コントラストを強調すると、2つのバンドの下にある2つの点がはっきりと見える(青い矢印)。

以下のパブピアの図の出典: https://pubpeer.com/publications/BAF4CAE61ADE17BE59026CF8B62732

―――
2025年12月xx日(69歳?)、エリザベス・ビック(Elisabeth Bik)は、さらに、図3Cと3Dの緑色枠で囲んだバンドが重複していると指摘した。

以下のパブピアの図の出典:https://pubpeer.com/publications/BAF4CAE61ADE17BE59026CF8B62732#2

――論文⑥:「2007年8月のPlant Cell Physiol」論文――

論文⑥は、アヴェリル=ベイツが共著者ではない。サルハンは連絡著者である。

論文⑥は、2026年7月13日現在、懸念表明・訂正・撤回はされていない。

最後から2人目の著者(Tominaga Y)である冨永 陽子(Yoko Tominaga)は、2026年7月13日現在、一関工業高等専門学校・教授である。 → KAKEN —冨永 陽子 (70775361)

2025年12月xx日、エリザベス・ビック(Elisabeth Bik)は、図3の緑色枠の部分:パネルI(OEX-P3 植物の花の萼の表皮細胞)とパネルJ(WT 植物の茎葉の表皮細胞)は、回転させ伸縮させているが、同じ画像だと指摘した。

以下のパブピアの図の出典: https://pubpeer.com/publications/3C879254B2BD5A0CDA4D496F6DD88E

【捏造・改ざんの具体例】

既に記載したので、ここに再掲しない。

●6.【論文数と撤回論文とパブピア】

データベースに直接リンクしているので、記事閲覧時、リンク先の数値は、記事執筆時の以下の数値より増えている(ことがある)。

★パブメド(PubMed)

【ダイアナ・アヴェリル=ベイツ(Diana Averill-Bates)】

2026年7月13日現在、パブメド(PubMed)で、ダイアナ・アヴェリル=ベイツ(Diana Averill-Bates)の論文を「Diana Averill-Bates[Author]」で検索した。この検索方法だと、2002年以降の論文がヒットするが、2002~2026年の25年間の51論文がヒットした。5論文はサルハンと共著だった。

2026年7月13日現在、「Retracted Publication」のフィルターでパブメドの論文撤回リストを検索すると、2006,2009,2016年の3論文が2026年2月に撤回されていた。2論文はサルハンと共著だった。

【ファティ・サルハン(Fathey Sarhan)】

2026年7月13日現在、パブメド(PubMed)で、ファティ・サルハン(Fathey Sarhan)の論文を「Fathey Sarhan[Author]」で検索した。この検索方法だと、2002年以降の論文がヒットするが、2002~2019年の18年間の42論文がヒットした。5論文はアヴェリル=ベイツと共著だった。

2026年7月13日現在、「Retracted Publication」のフィルターでパブメドの論文撤回リストを検索すると、2論文が撤回されていた。2論文はアヴェリル=ベイツと共著だった。

★撤回監視データベース

【ダイアナ・アヴェリル=ベイツ(Diana Averill-Bates)】

2026年7月13日現在、「撤回監視(Retraction Watch)」の撤回監視データベースでダイアナ・アヴェリル=ベイツ(Diana Averill-Bates)を「Diana A Averill‐Bates」で検索すると、 3論文が撤回されていた。しかし、「Averill-Bates, DA」で検索すると、 0論文の撤回となる。このデータベースは姓名の記載が厳格過ぎて、検索を失敗しないよう注意です。

【ファティ・サルハン(Fathey Sarhan)】

2026年7月13日現在、「撤回監視(Retraction Watch)」の撤回監視データベースでファティ・サルハン(Fathey Sarhan)を「Fathey Sarhan」で検索すると、 2論文が撤回されていた。「Sarhan, F」で検索すると、 0論文の撤回となる。

★パブピア(PubPeer)

【ダイアナ・アヴェリル=ベイツ(Diana Averill-Bates)】

2026年7月13日現在、「パブピア(PubPeer)」では、ダイアナ・アヴェリル=ベイツ(Diana Averill-Bates)の論文のコメントを「Diana Averill-Bates」で検索すると、2003~2021年の25論文にコメントがあった。4論文はサルハンと共著だった。

【ファティ・サルハン(Fathey Sarhan)】

2026年7月13日現在、「パブピア(PubPeer)」では、ファティ・サルハン(Fathey Sarhan)の論文のコメントを「Fathey Sarhan」で検索すると、15論文にコメントがあった。4論文はアヴェリル=ベイツと共著だった。

●7.【白楽の感想】

《1》事実に蓋をする 

今回はダイアナ・アヴェリル=ベイツ(Diana Averill-Bates)を主役に、ファティ・サルハン(Fathey Sarhan)を交えて両者のネカト(研究不正)疑惑を追った。

前述の通り、実際の画像加工の実行者は、この教授2人ではなく部下の研究員たちである可能性が高い。

しかし、ケベック大学モントリオール校が調査報告書を非公開にしたことで、どの論文がどこまで精査されたのか、誰が実行の疑惑者だったのか、なぜ「シロ」と判定したのかなど、調査内容はすべて闇に葬られた。

以前、別のカナダの事例(アジズ・ガハリー事件)でも書いたが、カナダという国は研究不正に対して非常に甘く、そもそも不正を本気で抑止・是正しようという意思が薄い国だという印象を強く受ける。

アジズ・ガハリー(Aziz Ghahary)(カナダ)

国を挙げたこのような「不正寛容」「隠蔽体質」は、長期的には自国の学術的信用を失墜させるだけだと思うのだが、当事者たちにはその危機感がないようだ。

不祥事に蓋をして批判をかわそうとする行為は、カナダに限らず、日本を含む世界の大学で日常的に見られる。これは大きな問題だが、それがその国の研究者のレベルと受け止めるしかなく、白楽としては、やりきれない。

事実が隠蔽されたままでは、不正の原因究明も具体的な再発防止策も構築できない。

透明性を欠いた学術界や社会は、健全に発展しないだろう。むしろ衰退の一途をたどると思われる。

《2》研究不正を防ぐ方法

ダイアナ・アヴェリル=ベイツとファティ・サルハンの研究不正を防ぐには、どうすればよかったか?

また、今後、同じような研究不正を起こさせないためにはどうすべきか?

ケベック大学モントリオール校が調査の結果、研究不正はなかったとし、報告書を非公開にした。レオニッド・シュナイダーが追及しているが、公表されている事件の記載からは、不正に至った状況は不明で、何のヒントも得られない。

それで、研究不正を防ぐ方法を白楽は推測できません。

左から、ダイアナ・アヴェリル=ベイツ(Diana Averill-Bates)、ファティ・サルハン(Fathey Sarhan)、リュシー・メナール副学長(Lucie Ménard)、写真はレオニッド・シュナイダー(Leonid Schneider)の作品。出典:The minor infractions by Diana and Fathey – For Better Science
ーーーーーー
★記事中の画像は、出典を記載していない場合も白楽の作品ではありません。
ーーーーーー

●9.【主要情報源】

① 2025年12月12日のレオニッド・シュナイダー(Leonid Schneider)の「より良い科学のために」記事:Schneider Shorts 12.12.2025 – An independent analysis refuting allegations of inappropriate image editing – For Better Science
② 2026年1月27日のレオニッド・シュナイダー(Leonid Schneider)の「より良い科学のために」記事:The minor infractions by Diana and Fathey – For Better Science