「間違い」:シュークラト・ミタリポフ(Shoukhrat Mitalipov)(米)

2016年7月17日掲載。

ワンポイント:日本人の立花真仁を第一著者とするヒトクローン幹細胞作成の「2013年のセル(Cell)」論文が、出版後すぐに、「パブピア(PubPeer)」でデータ不正と指摘された。この指摘で、「パブピア(PubPeer)」を一躍有名にした。「セル(Cell)」誌編集部が調査し,ねつ造・改ざんではなく「間違い」で決着した。カザフスタン生まれのオレゴン健康科学大学・教授。
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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.概略
2.経歴と経過
3.研究内容
4.日本語の解説
5.不正発覚の経緯と内容
6.論文数と撤回論文
7.白楽の感想
8.主要情報源
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●1.【概略】

web-RTXCCHシュークラト・ミタリポフ(Shoukhrat Mitalipov、写真出典)は、当時ソ連だったカザフスタンで生まれ、ロシアで研究博士号(PhD)を取得後、34歳で米国に渡り、オレゴン健康科学大学(Oregon Health & Science University)・教授になった。専門は幹細胞学である。医師ではない。国籍は米国籍を取得した。

2013年(52歳)、日本人の立花真仁(たちばな まさひと、東北大学・助教、研究留学中)を第一著者とするヒトクローン幹細胞作成の「2013年のセル(Cell)」論文を発表し、大きな脚光を浴びた。いくつかのメディアはその年末、2013年の10大発見の1つにあげた。

しかし、論文出版後すぐ、データねつ造・改ざん疑念が「パブピア(PubPeer)」で議論された。

この議論が注目を浴び、2012年10月に発足してからまだ7か月しか経っていない「パブピア(PubPeer)」を一躍有名にした。

結局、ねつ造・改ざんではなく「間違い」で決着した。

この事件の日本語解説はたくさん(3つ以上)あった(シュークラト・ミタリポフ – Google 検索)。「世界変動展望」の記事もある。事件を報じた「日本経済新聞」「AFPBB News」と、研究成果を報じた「Naka lab」「なみ たかし」の文章を本文に引用した。

OregonHealthSciUnivオレゴン健康科学大学(Oregon Health & Science University)。著作権:Cacophony。写真出典

  • 国:米国
  • 成長国:ロシア
  • 研究博士号(PhD)取得:ロシア医学アカデミーの医学遺伝学研究所
  • 男女:男性
  • 生年月日:1961年。仮に1月1日生まれとする。
  • 現在の年齢:56 歳?
  • 分野:幹細胞
  • 最初の疑念論文発表:2013年(52歳)
  • 発覚年:2013年(52歳)
  • 発覚時地位:米国のオレゴン健康科学大学・教授
  • ステップ1(発覚):第一次追及者(匿名)が「パブピア(PubPeer)」で指摘
  • ステップ2(メディア):「パブピア(PubPeer)」
  • ステップ3(調査・処分、当局:オーソリティ):①「セル(Cell)」誌編集部
  • 疑念:間違い
  • 疑念論文数:撤回論文はない。5論文が訂正
  • 時期:研究キャリアの中期
  • 結末:辞職なし

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●2.【経歴と経過】

  • 1961年、当時ソ連だったカザフスタンのアルマトイにウイグル系の子孫として生まれた。仮に1月1日生まれとする。
  • 1979-1981年(18-20歳):ロシアの軍役。陸軍で無線通信技師
  • 1987年(26歳):ロシアのチミリャーゼフ農業大学(Timiryazev Agricultural Academy)で修士号取得。生殖生物学
  • 1989-1993年(28-32歳):ロシア医学アカデミーの医学遺伝学研究所(Research Center for Medical Genetics, Russian Academy of Medical Sciences)・大学院生
  • 1991年(30歳):ソ連邦崩壊
  • 1994年(33歳):ロシア医学アカデミーの医学遺伝学研究所で研究博士号(PhD)を取得した。博士論文「Analysis of the Mouse Embryonic Stem (ES) Cell Pluripotency in Vitro and in Vivo」
  • 1993-1995年(32-34歳):ロシア医学アカデミーの医学遺伝学研究所・研究員
  • 1995-1998年(34-37歳):米国・ユタ州立大学(Utah State University,)・ポスドク
  • 1998 –2006年(37-45歳):米国・オレゴン健康科学大学(Oregon Health & Science University)・研究員
  • 2007 – 2009年(46-48歳):米国・オレゴン健康科学大学・助教授
  • 2009年(48歳):米国・オレゴン健康科学大学・準教授。その後、教授
  • 2013年(52歳):大きな脚光と批判を浴びされた「2013年のセル(Cell)」論文を発表
  • 2013年(52歳):「2013年のセル(Cell)」論文の3点の「間違い」を認めた

●3.【研究内容】

研究内容は「4.日本語の解説」を読む方が簡単です。ここでは、動画(英語)を2つ示す。動画はたくさんあった(Shoukhrat Mitalipov – YouTube)。

【動画】

【動画1】
ヒトクローン幹細胞作成のニュース
「US scientists clone human stem cells – YouTube」(英語)2分23秒。
saveuyghursが2013/05/16 に公開

【動画2】
ミタリポフの幹細胞研究成果と人生と家族。若い時の映像もでてくる。9部作の1つ。
「(1) Uyghur – Interview with Dr. Shoukhrat Mitalipov (1/6)」(ウイグル語)9分41秒。
biliwal’s channelが2008/01/14 にアップロード

●4.【日本語の解説】

★日本経済新聞、「人クローン論文で訂正へ 米セル誌「小さなミス」」:2013年5月24日

出典 → この記事も含めた記事集:人クローン論文で訂正へ 米セル誌「小さなミス」|再生医療が描く未来 -iPS細胞とES細胞-

米科学誌セルは23日、米オレゴン健康科学大の立花真仁研究員らが同誌に発表した人クローン胚性幹細胞(ES細胞)の論文に、写真が入れ替わっていたり、誤った画像が使われたりする複数の「小さなミス」が見つかったと発表した。

セル誌は「論文の準備段階で生じたもので(初のクローンES細胞作製という)科学的成果には影響しない」とした。大学側はセル誌と協議しながら論文を訂正する。

チームの責任者を務めるシュフラート・ミタリポフ博士は、英科学誌ネイチャー電子版で、論文発表を急ぐあまり「悪意のないミス」が起きたと説明。「研究内容は正しく、クローンES細胞も本物だ」と強調した。論文の主執筆者の立花研究員は取材に「博士や大学側と相談しないとコメントできない」とした。

ネイチャー誌によると、論文の7ページ目にある2種類の幹細胞の写真の位置が入れ替わり、説明内容と一致しなくなっていた。片方の写真は別の実験段階を説明した3ページ目の写真と同じもので、使い方が不適切だった可能性がある。幹細胞で働く遺伝子を調べたグラフの画像にも一部誤ったものが使われた。

今回のミスは、学術論文の問題点を匿名で議論するサイト「パブピア」の投稿で判明。論文審査期間が短すぎたとの指摘も出たが、セル誌は「厳密で徹底した審査が行われた」と反論した。
(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG2400K_U3A520C1CR0000/

★AFPBB News、「クローンES細胞論文に複数の間違い、主執筆者が認める」:2013年5月24日

出典 → クローンES細胞論文に複数の間違い、主執筆者が認める 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News (保存版

【5月24日 AFP】クローン技術を使い、ヒトの皮膚細胞からES細胞(胚性幹細胞)を作り出すことに初めて成功したとした米オレゴン健康科学大学(Oregon Health and Science University)の研究チームの論文に、複数の間違いが含まれていたことが分かった。論文の主執筆者が認めた。

論文は先週、米医学誌セル(Cell)に発表されたが、その後、科学論文の評価サイト「パブピアー(PubPeer)」上の匿名評価者により、4つの間違いが指摘されていた。

英科学誌ネイチャー(Nature)のインタビューに応じた論文の主執筆者、シュークラト・ミタリポフ(Shoukhrat Mitalipov)教授(生殖生物学)は、論文を急いで仕上げたため、3つの間違いが起きたことを認めた。だが、指摘されていた4つ目の問題は間違いではなかったと主張。さらに、「研究結果は本物で、(研究で作られた)細胞系も本物。全て本物だ」と述べ、これらの間違いがあっても最終的な結論自体は影響を受けないと主張した。(c)AFP

★Naka lab、「ヒトクローンでES細胞」 :2013年5月16日

出典 → ヒトクローンでES細胞 | Naka lab (保存版

ヒトのクローン胚から胚性幹細胞(ES細胞)を作ることに世界で初めて成功したと、米オレゴン健康科学大のシュークラト・ミタリポフ教授や立花真仁博士らが15日付の米科学誌セル電子版に発表した。韓国ソウル大チームが2004年に同様の発表をしたが、虚偽と判明。ミタリポフ教授らは07年にサルで成功した技術を発展させ、ヒトでも実現したとしている。

ヒトクローン胚からのES細胞作製は、山中伸弥京都大教授らが皮膚細胞に遺伝子を入れて人工多能性幹細胞(iPS細胞)を開発するまで、再生医療を実現できる有力な技術とみられていた。この方法はiPS細胞に比べ、若い健康な女性から良質な卵子を多数提供してもらう必要があるほか、クローン胚を母胎に戻すと理論的にはクローン人間が誕生しかねない懸念もある。

一方、細胞でエネルギーを生み出す小器官ミトコンドリアの異常が原因で起きる難病の患者にとっては、卵子側の正常なミトコンドリアを持つ患者のクローンES細胞を作ることができるため、今後有力な技術に成り得るという。

★なみ たかし、「世界初!ヒトのクローンES細胞作製に成功!クローン人間が可能に!」 :2013年5月20日

出典 → 世界初!ヒトのクローンES細胞作製に成功!クローン人間が可能に! – Yes,We Love Science! (保存版

世界初!ヒトのクローンES細胞作製に成功!クローン人間が可能に!

テクノロジー / 2013年05月20日

ヒトクローンES細胞作製

ES細胞とは万能細胞の一種。さまざまな異なる細胞に分化し、増殖する能力を持つ、発生初期の胚由来の細胞。受精卵の一段階である胚盤胞から取り出した内部細胞塊から樹立される。再生医療に役立つとして研究されている。ES細胞の採取は受精卵を殺すことになるので倫理面の問題がある。

卵子に体細胞の核を移植して培養する「クローン技術」を使い、体のさまざまな組織や臓器になるES細胞(胚性幹細胞)を作ることに、米オレゴン健康科学大学のシュークラト・ミタリポフ(Shoukhrat Mitalipov)教授や立花真仁(まさひと)研究員らのチームが世界で初めて成功した。米科学誌「セル(Cell)」に15日発表した。

研究チームは学内倫理委員会の審査を得た上で卵子提供者を募り、さまざまな検診・検査に最終パスした米国内の23-31歳の女性9人から提供を受けた。実験では計122個の卵子を使い、それぞれの核を取り除いて別人の皮膚細胞の核を移植し、培養した。その結果、21個をこれまで難しかった「胚盤胞(はいばんほう)期」と呼ばれる段階にまで成長させることができ、その組織の一部を培養すると6個がES細胞になった。それをさらに、心筋の細胞にまで成長させることができたという。(サイエンスポータル 2013年5月16日)

●5.【不正発覚の経緯と内容】

img_02013年(52歳)、シュークラト・ミタリポフ(Shoukhrat Mitalipov)は、日本人の立花真仁(たちばな まさひと、東北大学・助教、研究留学中、写真出典)を第一著者とするヒトクローン幹細胞作成の「2013年のセル(Cell)」論文を発表した。

  • Human embryonic stem cells derived by somatic cell nuclear transfer.
    Tachibana M, Amato P, Sparman M, Gutierrez NM, Tippner-Hedges R, Ma H, Kang E, Fulati A, Lee HS, Sritanaudomchai H, Masterson K, Larson J, Eaton D, Sadler-Fredd K, Battaglia D, Lee D, Wu D, Jensen J, Patton P, Gokhale S, Stouffer RL, Wolf D, Mitalipov S.
    Cell. 2013 Jun 6;153(6):1228-38. doi: 10.1016/j.cell.2013.05.006. Epub 2013 May 15.
    PMID:23683578

ヒトクローンで幹細胞作成の成果は、医療に応用できる可能性もあり、幹細胞研究は世間受けする流行のテーマなので、学術界もさることながら、一般社会でも大きな脚光を浴びた。このことは、「ネイチャー」誌をはじめ、いくつかのメディアが、2013年の10大発見の1つとしたことからもうかがえる(Nature, Science, Time, Discover, National Geographic, and The Week)。

2013 年5月、しかし、2012年10月に活動を開始した「パブピア(PubPeer)」が、「2013年のセル(Cell)」論文のデータの異常を4点指摘し、ねつ造・改ざんではないかと疑惑を呈した。(保存版

この疑念で、パブピアは、一躍、有名になった。

この事件の当局(オーソリティ)は、オレゴン健康科学大学でも研究公正局でもない。「セル(Cell)」誌編集部だ。「セル(Cell)」誌編集部が調査し,結果として、ねつ造・改ざんではなく「間違い」とした。論文を撤回しないで、訂正で済ますと結論したのだ。

2013 年5月23日、学術界も、「2013年のセル(Cell)」論文のデータ異常を「間違い」で決着をつけた(【主要情報源】④)。

2013 年12月(52歳)、論文データに「間違い」はあったものの、前述したように、シュークラト・ミタリポフは、「2013年のセル(Cell)」論文で、「ネイチャー」誌をはじめ、いくつかのメディアで、2013年の10大発見の1つに取り上げられた(Nature, Science, Time, Discover, National Geographic, and The Week)。

なお、「2013年のセル(Cell)」論文には別の特殊性があった。

「2013年のセル(Cell)」論文は、ナント、投稿後4日間の査読で受理されたのである。こんな短日で受理されれば、慎重さを欠くのは否めない。この事実を聞いて、多くの研究者がショックを受けた。常軌を逸している短日だったのだ。「セル(Cell)」誌編集部は科学よりも金儲けを優先するということか。Shoukhrat-Mitalipov-Universidad-EEUU-OHSU_CLAIMA20130516_0046_14

●6.【論文数と撤回論文】

2016年7月16日現在、パブメド(PubMed)で、シュークラト・ミタリポフ(Shoukhrat Mitalipov)の論文を「Shoukhrat Mitalipov [Author]」で検索した。この検索方法だと、2002年以降の論文がヒットするが、2002~2016年の15年間の53論文がヒットした。

2016年7月16日現在、撤回論文はない。しかし、4論文が訂正をしている。本記事で問題視した「2013年のセル(Cell)」論文はパブメドの論文リストでは訂正も撤回もされていない。

ただ、「2013年のセル(Cell)」論文を直接見ると訂正されていた(Human Embryonic Stem Cells Derived by Somatic Cell Nuclear Transfer: Cell)。従って、ミタリポフの訂正論文は5報になる。

  • Brains, genes, and primates.
    Izpisua Belmonte JC, Callaway EM, Caddick SJ, Churchland P, Feng G, Homanics GE, Lee KF, Leopold DA, Miller CT, Mitchell JF, Mitalipov S, Moutri AR, Movshon JA, Okano H, Reynolds JH, Ringach D, Sejnowski TJ, Silva AC, Strick PL, Wu J, Zhang F.
    Neuron. 2015 May 6;86(3):617-31. doi: 10.1016/j.neuron.2015.03.021. Review.
    Erratum in: Neuron. 2015 Aug 5;87(3):671.
    PMID:25950631
  • Nuclear reprogramming by interphase cytoplasm of two-cell mouse embryos.
    Kang E, Wu G, Ma H, Li Y, Tippner-Hedges R, Tachibana M, Sparman M, Wolf DP, Schöler HR, Mitalipov S.
    Nature. 2014 May 1;509(7498):101-4. doi: 10.1038/nature13134. Epub 2014 Mar 26.
    Erratum in: Nature. 2014 Dec;516(7530):276.
    PMID:24670652
  • The challenges of mitochondrial replacement.
    Chinnery PF, Craven L, Mitalipov S, Stewart JB, Herbert M, Turnbull DM.
    PLoS Genet. 2014 Apr 24;10(4):e1004315. doi: 10.1371/journal.pgen.1004315. eCollection 2014 Apr. No abstract available.
    Erratum in: PLoS Genet. 2014 Jun;10(6):e1004472.
    PMID:24762741
  • Mitochondrial gene replacement in primate offspring and embryonic stem cells.
    Tachibana M, Sparman M, Sritanaudomchai H, Ma H, Clepper L, Woodward J, Li Y, Ramsey C, Kolotushkina O, Mitalipov S.
    Nature. 2009 Sep 17;461(7262):367-72. doi: 10.1038/nature08368. Epub 2009 Aug 26.
    Erratum in: Nature. 2014 Dec;516(7530):276.
    PMID:19710649

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●7.【白楽の感想】

《1》幹細胞研究はギャンブル?

ミタリポフ事件は小保方事件の1年前に起こったのだが、小保方さんもそうだが、ミタリポフもメディアへの露出が激しい。なんなのだろう? 幹細胞分野の特徴なのだろうか? そうなら、どうしてなのだろうか? じっくり積み上げて研究成果を出すというより、思い付きで一攫千金を狙うギャンブル的研究スタイルだからなのだろうか?

マー、メディアへの露出が激しくてもいいけど、幹細胞分野では、次々と、ねつ造・改ざん事件が、イヤ、今回は「間違い」事件ですが、起こっている。ナンなんでしょう?

《2》間違い3回で、合わせて不正1本?

ミタリポフ事件は「間違い」事件とされたが、2016年7月13日現在、5論文も訂正している。「2009年のネイチャー」論文と今回の「2013年のセル(Cell)」論文は2論文とも立花真仁が第一著者の訂正論文である。なんかヘンだ。

「間違い」は、大学入試を含め各種試験では1回も許されず不合格です。一般社会では、許されたとしても1回でしょう。百歩譲っても「仏の顔も三度まで」で3回です。

柔道の「ワザアリ2回で、合わせて一本」のように、学術界も「間違い3回で、合わせて不正1本」というのはどうでしょう。もちろん「間違い」の内容によります。

しかし、「間違い」が5回も許されるのはヘンです。10回でも、100回でも、1000回でも、ノー・ペナルティで、許されるんでしょうか?

《3》「ねつ造・改ざん」と「間違い」の境界

「間違い」が5回は「ヘン」だが、「ヘン」は置いときます。では、「ねつ造・改ざん」と「間違い」の境界はナンなんでしょう?

第一著者の立花さんは、日本経済新聞の記者の質問に「(ミタリポフ)博士や大学側と相談しないとコメントできない」と回答している。詮索して悪いけど、「ねつ造・改ざんはしてません。間違いです」って、どうして答えられないのだろうか? 子供の使いじゃあるまし、30代の第一著者の研究者(東北大学・助教)の回答としては、なんかヘンだ。

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ピクニックでのミタリホフと立花真仁(たちばな まさひと)。出典

ボスのミタリポフが「メディアへの対応はワシが一手に引き受けるから、お前は何も言うな」と指示したのだろうし、それは不当でも違法でもない。複雑で微妙な問題になれば、ポスドクは正確に答えられない。一方、優れた記者はきわどい質問をする。

しかし、日本の記者の質問に、30代の第一著者の研究者が「不正はしてません」とも言わないのは、普通に考えてヘンだ。

穿って深読みすると、「シマッタ!」と思う部分があったために(推定)、「(ミタリポフ)博士や大学側と相談しないとコメントできない」と回答したのだろう。

とはいえ、ミタリポフは対応が早かった。動画を見ると、メディアへの対応が上手で、人柄が良いという印象を受ける。

つまり、「対応が上手で、人柄が良い」場合、学術界それに社会一般は「間違い」で処置してくれる、という、印象を持ってしまう。この基準、好きになれません。
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●8.【主要情報源】

① ウィキペディア英語版:Shoukhrat Mitalipov – Wikipedia, the free encyclopedia
② 2014年2月16日などのアイヴァン・オランスキー(Ivan Oransky)の「撤回監視(Retraction Watch)」記事群:You searched for Shoukhrat Mitalipov – Retraction Watch at Retraction Watch
③ 「パブピア(PubPeer)」のシュークラト・ミタリポフ(Shoukhrat Mitalipov)記事群:PubPeer – Results for Shoukhrat Mitalipov
④ 2013年5月23日のデイヴィット・シラノスキー(David Cyranoski)とエリカ・ヘイデン(Erika Check Hayden)の「Nature」記事:Stem-cell cloner acknowledges errors in groundbreaking paper : Nature News & Comment保存版
★記事中の画像は、出典を記載していない場合も白楽の作品ではありません。
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