リョウスケ・フジタ、藤田亮介(Ryousuke Fujita)(米)


2016年6月25日形式修正

ワンポイント:米国で事件を起こした日本人の課程博士(薬学)

●1.【概略】

titleリョウスケ・フジタ、藤田亮介(Ryousuke Fujita、写真未発見)は、2009年、長崎大学薬学部の助教から、米国・ニューヨークにあるコロンビア大学の「アルツハイマー病と加齢脳のタウブ研究所(Taub Institute for Research in Alzheimer’s Disease and the Aging Brain)」のアサ・アベリオヴィッチ・準教授(Asa Abeliovich)の研究室にポスドクとして留学した。課程博士(薬学)で、医師ではない。
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目次(クリックすると内部リンク先に飛びます)
1.概略
2.経歴と経過
3.研究内容
4.日本語の解説
5.不正発覚の経緯と内容
6.論文数と撤回論文
7.白楽の感想
8.主要情報源
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アベリオヴィッチ研究室は、神経変性疾患の治療法の確立をめざし、パーキンソン病の発症メカニズムの解明とその治療法の開発を研究している研究室で、マウスや培養細胞を用いた疾患モデルの作成とその解析を行なっていた。

2013年頃(37歳?)、推定だが、アベリオヴィッチ研究室に在籍していた時、データねつ造が発覚した。

2014年4月10日(38歳?)、藤田亮介の最初の論文が撤回された。

2014年6月頃(38歳?)(推定)、日本に帰国した。

2015年4月7日(39歳?)、米国・研究公正局は、コロンビア大学の調査に基づき、藤田亮介(Ryousuke Fujita)をクロと判定し、報告書を公表した。

rotator_n_9コロンビア大学付属病院(Columbia University Medical Center)

  • 国:米国
  • 成長国:日本
  • 研究博士号(PhD)取得:長崎大学、課程博士(薬学)
  • 男女:男性
  • 生年月日:不明。仮に、1976年1月1日とする
  • 現在の年齢:41歳?
  • 分野:神経生物学
  • 最初の不正論文発表:2011年(35歳?)
  • 発覚年:2013年(37歳?)
  • 発覚時地位:米国のコロンビア大学・ポスドク
  • 発覚:内部公益通報?
  • 調査:①コロンビア大学・調査委員会。②研究公正局。~2015年4月7日。
  • 不正:ねつ造
  • 不正論文数:3報
  • 時期:研究キャリアの初期から
  • 結末:

●2.【経歴と経過】

  • 生年月日:不明。仮に、1976年1月1日とする
  • 1998年?(22歳):xx大学を卒業
  • 1998年?(22歳):prof_ueda長崎大学・薬学部大学院入学。所属は、分子薬理学研究室の植田弘師(うえだ ひろし)教授の研究室(写真出典
  • 2002年3月13日(26歳?):日本薬理学会・年会優秀発表賞受賞(第75回年会優秀発表賞
  • 2003年3月31日(27歳?):博士号(薬学)取得。長崎大学・薬学部・分子薬理学研究室の植田弘師(うえだ ひろし)教授。博士論文タイトルは「細胞死モードスイッチを介した神経細胞死保護機構」
  • 2003 – 2009年(27 – 33歳?):長崎大学・薬学部・助手、その後、助教
  • 2009年(33歳?):米国・ニューヨークにあるコロンビア大学の「アルツハイマー病と加齢脳のタウブ研究所(Taub Institute for Research in Alzheimer’s Disease and the Aging Brain)」(Taub Institute for Research on Alzheimer’s Disease and the Aging Brain)のAsa-Abeliovich-profileアサ・アベリオヴィッチ・準教授(Asa Abeliovich、写真出典)の研究室にポスドクとして留学した
  • 2013年?(37歳?):不正研究が発覚する
  • 2014年4月10日(38歳?):最初の論文撤回
  • 20xx年(xx歳):コロンビア大学を解雇される
  • 2014年6月頃(38歳?)(推定):日本に帰国
  • 2015年4月7日(39歳?):研究公正局が不正と判定した報告書を発表
  • 2015年5月(39歳?):在米中か日本帰国か不明

●3.【研究内容】

2011年8月、研究成果の英語のプレスリリースがココにあります。英語のママでゴメン。本当なら、研究成果はかなり華々しい。

●5.【不正発覚の経緯と内容】

2009年(33歳?)、藤田亮介は、長崎大学の助教を辞職して、米国・ニューヨークにあるコロンビア大学の「アルツハイマー病と加齢脳のタウブ研究所(Taub Institute for Research in Alzheimer’s Disease and the Aging Brain)」(Taub Institute for Research on Alzheimer’s Disease and the Aging Brain)のアサ・アベリオヴィッチ・準教授(Asa Abeliovich)の研究室にポスドクとして留学した。

藤田亮介は、アベリオヴィッチ研究室で、2011年にセル、2012年にネイチャー、2013年にネイチャーと毎年、超一流誌に1報発表した。2013年はさらに総説も1報発表した。但し、どれも、第一著者ではなかった。

  1. Directed conversion of Alzheimer’s disease patient skin fibroblasts into functional neurons.
    Qiang L, Fujita R, Yamashita T, Angulo S, Rhinn H, Rhee D, Doege C, Chau L, Aubry L, Vanti WB, Moreno H, Abeliovich A.
    Cell. 2011 Aug 5;146(3):359-71. doi: 10.1016/j.cell.2011.07.007. Retraction in: Cell. 2014 Apr 10;157(2):514.
  2. Early-stage epigenetic modification during somatic cell reprogramming by Parp1 and Tet2.
    Doege CA, Inoue K, Yamashita T, Rhee DB, Travis S, Fujita R, Guarnieri P, Bhagat G, Vanti WB, Shih A, Levine RL, Nik S, Chen EI, Abeliovich A.
    Nature. 2012 Aug 30;488(7413):652-5. doi: 10.1038/nature11333.
  3. Remodeling neurodegeneration: somatic cell reprogramming-based models of adult neurological disorders.
    Qiang L, Fujita R, Abeliovich A.
    Neuron. 2013 Jun 19;78(6):957-69. doi: 10.1016/j.neuron.2013.06.002. Review.
  4. Integrative genomics identifies APOE ε4 effectors in Alzheimer’s disease.
    Rhinn H, Fujita R, Qiang L, Cheng R, Lee JH, Abeliovich A.
    Nature. 2013 Aug 1;500(7460):45-50. doi: 10.1038/nature12415. Epub 2013 Jul 24.

2013年頃(37歳?)、憶測だが、アベリオヴィッチ研究室は藤田亮介のデータねつ造を疑い始めたと思う。

それで、コロンビア大学の研究公正官が調査し、クロと確信し、米国・研究公正局に報告し、米国・研究公正局が調査に乗り出したのだろう。

2014年4月10日(38歳?)、藤田亮介が第二著者だった2011年出版の「Cell」論文が撤回された。これが最初の論文撤回である。(参考:Retraction Notice to: Directed Conversion of Alzheimer’s Disease Patient Skin Fibroblasts into Functional Neurons: Cell

2014年6月頃(38歳?)(推定)、日本に帰国した。

2015年4月7日(39歳?)、米国・研究公正局は藤田亮介(Ryousuke Fujita)をクロと判定し、報告書を公表した(【主要情報源】②)。

★米国・研究公正局が認定した不正論文と不正点(【主要情報源】②)。

不正論文は「2011年Cell」、「2013年Nature」、「原稿」の3報である。

  • Cell 146:359-371, 2011 (hereafter referred to as “Cell 2011″).
  • Nature 500:45-50, 2013 (hereafter referred to as “Nature 2013″).
  • “Human induced neuron models of APOE4-associated Alzheimer’s disease display altered APP endocytosis and processing.” Unpublished manuscript.

不正は画像のねつ造・改ざんで、以下の74枚の画像である。画像のねつ造・改ざんは各事件で異なるが、総論としては似たり寄ったりなので、1つ1つ提示する意味があまりない。それで英語のママでゴメン。

  • fabricated numbers for the data presented as a bar graph in nine (9) panels in Figures S6#, S6H, and S6J in Cell 2011, Figures 3B and S12 in Nature 2013, and Figures 2F, 4B, 4D, and 4F in the unpublished manuscript
  • falsely inflated the sample size of quantitative data presented as bar graphs in fifty-three (53) panels in Figures 6B, 7I, and S6J in Cell 2011, Figures 3G, 3H, 4C, S10, S11b-h, S12d-f, S13a, S13c, S14b-c, S15b-i, and S16a-f in Nature 2013, and Figures 4b, 4d, 4f, 4i, 6c-d, S1n, S1o, S2a-b, and S4c-k in the unpublished manuscript
  • falsely manipulated ELISA analysis to achieve desired results presented as bar graphs in nine (9) figure-panels in Figure 6B in Cell 2011 and Figures 2D, 2E, 3G, 3H, and S10a-d in Nature 2013
  • falsely inflated the numerical values of the data in Figure 7I in Cell 2011 by a factor of 10 to improve results and appear consistent with data presented in supplementary information published with the paper
  • falsely reversed the labeling of immunoflourescent confocal images in Figures 7M and 7N in Cell 2011 and Figure S13A in Nature 2013 to obtain the desired results
  • flipped and resized the Western blot image for APP panel from Figure 12b and falsely reused it to represent APP results under completely different experimental conditions in Figure 12c in Nature 2013

●6.【論文数と撤回論文】

パブメドhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmedで、藤田亮介(Ryousuke Fujita)の論文を「Ryousuke Fujita[Author]」で検索すると、2002~2013年の12年間の15論文がヒットした。

「retraction」と同時検索すると、2015年5月6日現在、以下の1論文(Cell 2011)が撤回されている。米国・研究公正局が不正とした「Nature 500:45-50, 2013」論文は撤回されていない。これから撤回されるのかもしれない。

★2015年6月18日の追記

2015年6月17日、「Nature 500:45-50, 2013」論文は撤回された(Retraction: Integrative genomics identifies APOE [epsi]4 effectors in Alzheimer/’s disease : Nature : Nature Publishing Group)。

●7.【白楽の感想】

《1》ウェブ情報を必死に削除した?

藤田亮介のデータねつ造疑惑(論文撤回)が最初に公表されたのは、2014年4月10日である。それからまだ(もう?)、約1年2か月しか経過していない。

日本人の事件なので、日本語が使え、情報が得やすいかと思ったが、藤田亮介のウェブ上の情報はとても少ない。徹底的に消されたようだ。本人の顔写真が見つからない。藤田亮介の研究人生が見えてこない。

現代では、研究界と限らず、一度、ネガティブな報道がされると、本人(+協力者)が、ウェブ上の関連情報を徹底的に削除するようだ。

それでも、大学・研究機関が詳細な調査報告書を公表するか、あるいはメディアが事件を調べて詳細な記事を書いてウェブ上に残してくれれば、事件はある程度見えてくる。

今回のように、本人の情報がウェブ上にほとんどなく、大学・研究機関が調査報告書を公表しない、メディアが記事にしないと、情報が少なすぎて、何が問題なのかわからない。院生・研究者個人、高等教育界、学術界、社会はどう対処すべきなのか、学ぶことは、ほぼできない。

事件の資料・詳細は保存し、特定の専門家だけが閲覧し分析できるのでもいいから、資料収集・保存・分析を担当する機関が必要でしょう。米国・研究公正局にはその機能がある。そうしないと事件は生かされず、不正は防止されない・防止できない。

●8.【主要情報源】

① 2014年4月11日のリトラクチョン・ウオッチ(Retraction Watch)の記事:Fraud fells Alzheimer’s “made to order” neurons paper in Cell – Retraction Watch at Retraction Watch
② 2015年4月7日、研究公正局の報告:(1)Case Summary: Fujita, Ryousuke | ORI – The Office of Research Integrity、(2)Federal Register | Findings of Research Misconduct