ラオ・アディバトラ(Rao M. Adibhatla)(米)

ワンポイント:インド育ちの米国研究者が50代で改ざん

【概略】
adibhatlaラオ・アディバトラ(Rao M. Adibhatla、写真出典)は、米国・ウィスコンシン大学マディソン校(University of Wisconsin-Madison)・助教授で、医師ではない。専門は神経科学(中枢神経系の脂質代謝)だった。

2008年(52歳?)頃、不正研究が発覚した。ウィスコンシン大学マディソン校が調査に入った。

20xx年(xx歳)、ウィスコンシン大学マディソン校の調査報告を受けて、研究公正局が調査を始めた。

2013年1月25日(57歳?)、研究公正局がアディバトラの改ざんを発表した。締め出し期間は標準より1年少ない2年間を科した。

heroウィスコンシン大学マディソン校(University of Wisconsin-Madison)。写真出典

Memorial_Union_and_quadrangleウィスコンシン大学マディソン校(University of Wisconsin-Madison)。写真出典 By 英語版ウィキペディアVonbloompashaさん, CC 表示-継承 3.0

  • 国:米国
  • 成長国:インド
  • 研究博士号(PhD)取得:インド理科大学院
  • 男女:男性
  • 生年月日:不明。仮に1956年1月1日生まれとする。1974年1月に大学入学した時を18歳とした
  • 現在の年齢:61 歳?
  • 分野:神経科学
  • 最初の不正論文発表:2006年(50歳?)
  • 発覚年:2008年(52歳?)頃
  • 発覚時地位:ウィスコンシン大学マディソン校・助教授
  • 発覚:?
  • 調査:①ウィスコンシン大学マディソン校・調査委員会。②研究公正局。~2013年1月25日
  • 不正:改ざん
  • 不正論文数:2報、3件の研究費申請書
  • 時期:研究キャリアの後期
  • 結末:辞職

【経歴と経過】
主な出典:Rao Adibhatla – Research Professor – Madison, WI | Indeed

  • 生年月日:不明。仮に1956年1月1日生まれとする。1974年1月に大学入学した時を18歳とした
  • 1974年1月 ~ 1977年1月(18 ~ 21歳?):インドのオスマニア大学(Osmania University)を卒業。学士号:化学・物理・数学
  • 1977年1月 ~ 1979年1月(21 ~ 23歳?):インドのハイデラバード大学(University of Hyderabad)で修士号:化学
  • 1979年1月 ~ 1984年1月(23 ~ 28歳?):インドのインド理科大学院(Indian Institute of Science)で研究博士号(PhD)取得:生物物理化学
  • 1984年 ~ 1986年(28 ~ 30歳):インドのインド理科大学院(Indian Institute of Science)・研究員
  • 1986年 ~ 1987年(30 ~ 31歳?):米国のアイオワ大学(University of Iowa, Iowa)・化学・ポスドク
  • 1987年 ~ 1988年(31 ~ 32歳?):ドイツのベルリン自由大学・結晶研究所(Inst. for Crystallography, Freie Univ - Berlin)・ポスドク(Alexander von Humboldt Fellow)
  • 1988年 ~ 1989年(32 ~ 33歳?):米国のミズーリ大学コロンビア校(Univ. of Missouri – Columbia)・生化学・ポスドク
  • 1989年 ~ 1994年年(33 ~ 38歳?):米国のミネソタ大学(University of Minnesota – Minneapolis, MN)・研究員(Research Associate)
  • 1994年 ~ 1995年(38 ~ 39歳?):米国のケンタッキー大学(University of Kentucky)・研究助教授(Assistant Research Professor)
  • 1995年 ~ 2005年(39 ~ 49歳?):米国のウィスコンシン大学マディソン校(University of Wisconsin -Madison)・上級研究員(Senior Scientist)
  • 2005年 ~ 20xx年(49? ~xx 歳):米国のウィスコンシン大学マディソン校(University of Wisconsin -Madison)・助教授(Research Professor)
  • 2008年(52歳?)頃:不正研究が発覚する
  • 2013年1月25日(57歳?):研究公正局がアディバトラの改ざんを発表した
  • 2013年1月(57歳?):ウィスコンシン大学マディソン校を辞職

【不正発覚の経緯と内容】

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出典:BioTechniques – Neuroscientist Guilty of Misconduct

ウィスコンシン大学マディソン校の広報官・テリー・デヴィット(Terry Devitt)によると、研究公正局に事件を報告する数年前から、ウィスコンシン大学マディソン校はアディバトラの研究ネカト調査を開始していたとのことだ。

それで、「2007年のBrain Res」論文(不正論文)発表の翌年の2008年から調査していたと考えよう。

20xx年(xx歳)、ウィスコンシン大学マディソン校の調査報告を受けて、研究公正局が調査を始めた。

2013年1月25日(57歳?)、研究公正局がアディバトラの改ざんを発表した。締め出し期間は標準より1年少ない2年間を科した。

★「2006年のJ Biol Chem」論文

研究ネカトはウェスタンブロット像の改ざんで、図1B、2A、3Aである。

以下は図1全体。図1Bはウェスタンブロット像。
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図1Bのウェスタンブロット像は、バンドを切り貼りしたことがわかる。切り貼り行為を改ざんと認定したのではなく、その操作に伴いバンドの濃淡を加工したようだ。

図2A、3Aは省略するが、ウェスタンブロット像である。

★「2007年のBrain Res」論文

研究ネカトはウェスタンブロット像の改ざんで、図2A、2Cである。

以下は図2全体。
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上記の図2Aはウェスタンブロット像で、これもバンドを切り貼りしたことがわかる。切り貼り行為を改ざんと認定したのではなく、その操作に伴いバンドの濃淡を加工したようだ。

図2Cは図2Aの数値化データである。

【論文数と撤回論文】

2016年5月8日現在、パブメド(PubMed)で、ラオ・アディバトラ(Rao M. Adibhatla)の論文を「Rao M. Adibhatla [Author]」で検索した。この検索方法だと、2002年以降の論文がヒットするが、2002~2013年の12年間の24論文がヒットした。

2016年5月8日現在、2論文が撤回されている。本記事で問題視した、「2007年のBrain Res」論文と「2006年のJ Biol Chem」論文で、ともに、2013年3・4月に撤回されている。

なお、ラオ・アディバトラ(Rao M. Adibhatla)の履歴書には、2001年以前は、Adibhatla RMではなく Rao AMの著者名で発表していた(Rao Adibhatla – Research Professor – Madison, WI | Indeed)。

研究キャリアの途中で著者名を変える意図は不明だが、1982 年にRao AMの著者名で最初の論文を発表し、2001年までに42報発表していた。

【白楽の感想】

《1》事件は悲しい? 現実を直視

Rao M. Adibhatlaアディバトラ(写真出典)はインドで生まれ育った。インドでは、優秀な若者だったのだろう。米国で研究者になり、30年も経った57歳頃、研究ネカトで糾弾された。

折角、立派な経歴を積み重ねてきた研究者が、研究キャリアの後半に、研究ネカトというつまらない行為をしてしまった。

なんか、悲しいですね。

と最初、感じたが、現実を直視しなければならない。

研究キャリアの後半に、初めて研究ネカトをすることは、まずあり得ない。若い時から不正をしていて、研究キャリアの後半に発覚した、と理解する方が正しいだろう。

【主要情報源】
① 2013年1月25日、研究公正局の報告: Federal Register, Volume 78 Issue 17 (Friday, January 25, 2013)保存版)、NOT-OD-13-040: FINDINGS OF RESEARCH MISCONDUCT保存版
② 「撤回監視(Retraction Watch)」記事群:You searched for Adibhatla – Retraction Watch at Retraction Watch
③ 2013年1月31日のミーガン・スクデラリ(Megan Scudellari)の「BioTechniques」記事:BioTechniques – Neuroscientist Guilty of Misconduct保存版
④ 2013年1月28日のダン・コシンズ(Dan Cossins)の「The Scientist」記事:Neurologist Faked Stroke Data | The Scientist Magazine®保存版
★記事中の画像は、出典を記載していない場合も白楽の作品ではありません。

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