2‐3‐3.政府1:研究公正局(ORI、Office of Research Integrity)


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組織の実体は「米国・研究公正局(ORI、Office of Research Integrity)」をご覧ください。

研究公正局(ORI、Office of Research Integrity)は、不正研究に対処する米国の中枢機関である。研究規範や不正研究の問題への取組・実績・スキル・知識・情報などすべてにおいて、世界で最も優れた組織である。研究公正局(ORI)の「盗用の定義と説明」もスバラシイ。しかし、上記に「米国・研究公正局(ORI、Office of Research Integrity)」の実体を書いたが、組織は、どこかがおかしい。

【盗用の定義】

この文章は、「盗用 – Wikipedia」を大幅に利用している。

研究公正局(ORI)の上部機関の公衆衛生局(PHS:  Public Health Service)が、「盗用の定義」をしている。

盗用は、他人のアイデア、作業過程、結果、語群を、適切なクレジットをしないで自分のものとし、自分の研究の提案、実行、評価、結果発表に使うことである。ただし悪意のない間違い及び意見の相違は含まない。— Federal Register / Vol. 70, No. 94 / Tuesday, May 17, 2005 / Rules and Regulations、28,386ページ

用語を説明しないとわかりにくい。

ミシガン大学名誉教授のゲイル・ダマー(Gail M. Dummer)が、大学院生向けに「盗用の解説」をしている。その解説を借りよう。

  •  「適切なクレジット」とは、
    ①オリジナル文書(原典)の著者、作者、研究者、学者の名前を示すこと、
    ②他の研究者が原典を探せるための書誌情報を記述すること、
    ③その研究分野の標準的な引用規範に従うこと、
    ④直接の引用は引用符で囲むこと、
    である。
  • アイデア」とは、学会発表、非公開の審査などで得た原初の情報・考案である。
  •  「作業過程」とは、その分野の共通知識となっていない他の研究者が書いた方法(実験法・分析法・研究法など)である。
  •  「結果」とは、他の研究者の研究結果であるデータ、図、表、分析、解釈である。
  •  「語群」の「盗用」とは、4~6個以上の連続した単語の複製、フレーズの編成替え、大幅な言い替えである。
    — ゲイル・ダマー(Gail M. Dummer)ミシガン大学名誉教授

研究公正局の「盗用の定義」(ORI Policy on Plagiarism | ORI – The Office of Research Integrity)は上記を踏まえ次のようである。

  • 公衆衛生局(PHS)の「盗用の定義」を踏襲するが、「盗用」の扱いに少しあいまいな点があるので、研究公正局の考えを示す。
  • 盗用は、「知的財産の盗み・横領」、そして、「他人の研究成果を実質的に出所不明にして複製する」ことである。オーサーシップや研究功績の帰属に関する問題は対象外である。
  • 「知的財産の盗み・横領」は、研究費申請書の審査や投稿論文原稿の査読など、特権的立場で得たアイデアや分析・解析方法を含む。
  • 「他人の研究成果を実質的に出所不明にして複製する」は、他人の文書のセンテンスやパラグラフを一字一句、あるいはほぼ一字一句、出所不明にして複製し、誰が著者なのかに関して、通常の読者を誤解させる行為である。研究公正局は、「通常使用される実験法」や「先行研究」の中の文章と同じフレーズ、あるいはほとんど同じフレーズの限定的使用を問題視しない。そういう使用は、読者に重要な誤解を与えるとは考えないからである。
    — 米国研究公正局

後に、「研究費申請書の審査や投稿論文原稿の査読など、特権的立場で得たアイデアや分析・解析方法」であっても、引用すれば「盗用」ではないと改訂した。

「盗用の定義」に関して、研究公正局(ORI)のユニークな点は次の2点だ。

  • オーサーシップや研究功績の帰属に関する問題は対象外。
  • 「通常使用される実験法」や「先行研究」の中の文章と同じフレーズ、あるいはほとんど同じフレーズの限定的使用は、問題視しない。

この2点は、現実的でとても良い。日本でも見習ってほしい。「通常使用される実験法」が良いなら、明記されていないが、「文献」部分の“流用”も良いだろう。

研究公正局(ORI)のサイトには「盗用の定義と解説」に関していくつかの資料をアップしている。それらはある意味、研究公正局(ORI)の見解とも受け取れるので、みなさんに紹介したい。ただ、量が多いので、ここで書くのはヤメテ、別項目で解説しよう。