ピエロ・アンバーサ(Piero Anversa)(米)

ワンポイント:裁判で係争中

【概略】
150228 anversa_150x225_medピエロ・アンバーサ(Piero Anversa、写真出典)は、イタリアで生まれ、イタリアのパルマ大学(University of Parma)で医師免許を取得し、渡米の後、米国・ハーバード大学医学部の基幹病院であるブリガム・アンド・ウィメンズ病院(Brigham and Women’s Hospital)の麻酔・医学講座・教授になった。専門は心筋の幹細胞で、世界的な権威である。316報以上の査読論文がある。

2014年4月22日(75歳)、2012年10月号掲載の『Circulation』誌の論文が撤回された。撤回理由の詳細は公表されていないが、データねつ造・改ざんがあったと思われる。ハーバード大学が調査を開始し、研究公正局も調査に加わっている模様だ。

2014年12月16日(76歳)、ところがなんと、アンバーサは、ハーバード大学などを被告として、自分は無実である。悪いのは部下のジャン・カイジストラ(Jan Kajstura)準教授だと裁判に訴えた。

2015年3月6日(76歳)現在、ハーバード大学と研究公正局の調査は終わっていない。裁判も決着がついていない。

研究ネカトで裁判になるのは最近の傾向である。

150228 b734420b761c615e3b38b109873e8403ba39f373ブリガム・アンド・ウィメンズ病院 写真出典
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★日刊ゲンダイ紙の記事

珍しいことだが、日本の大衆新聞である日刊ゲンダイが2014年4月15日にこの事件を記事にしている。今までほぼ99.9%(100%?)、日本の大衆新聞は外国の研究ネカトを記事にしていない。

明らかに小保方効果である

小保方事件と同じ時期に事件が米国の新聞に掲載され、同じ幹細胞分野なので、外国の事件でも一般大衆が興味を持つと踏んだのだろう。見出しは、「第2の小保方事件? 米ハーバード大が日本人共著の論文撤回」と、明らかに、小保方効果を期待している。

「日刊ゲンダイ」記事を修正引用しよう。

米国ハーバード大学医学部とブリガム・アンド・ウィメンズ病院が2014年4月上旬、2012年に発表した心臓の幹細胞をめぐる論文に重大な疑義が生じたとして、撤回を明らかにしたのである。

論文が撤回されたのは、組織幹細胞などの研究で知られるピエロ・アンバーサ教授の研究室だ。世界的にも著名な研究室の疑惑論文にハーバード大学は大揺れ。

さらに、世界5大医学雑誌の「ランセット」(英国外科学会発行)の編集者が、アンバーサ研究室の過去の論文にも疑念を抱いていると報じられた。世界の科学界は「細胞の研究論文で第2の小保方事件か」と騒然となっているが、見過ごせないのは撤回論文の共著者に日本人の医学博士が含まれていることだ。(日刊ゲンダイ|第2の小保方事件?米ハーバード大が日本人共著の論文撤回

  • 国:米国
  • 成長国: イタリア
  • 研究博士号(PhD)取得:イタリアのパルマ大学(University of Parma)(推定)
  • 男女:男性
  • 生年月日:1938年9月11日
  • 現在の年齢:78 歳
  • 分野:幹細胞学
  • 最初の不正論文発表:2012年(74歳)
  • 発覚年:2012年(74歳)
  • 発覚時地位:米国・ハーバード大学のブリガム・アンド・ウィメンズ病院の麻酔・医学講座・(anesthesia and medicine)・教授、再生医学センター長(Director of the Center for Regenerative Medicine)
  • 発覚:同分野の公益通報
  • 調査:①ハーバード大学・調査委員会。2013年1月~2015年2月26日現在継続中。②研究公正局。③裁判所
  • 不正:ねつ造・改ざん
  • 不正論文数:撤回論文は1報。他に15論文が調査対象になっている
  • 時期:研究キャリアの後期
  • 結末:裁判中(2015年2月26日現在)

★動画「Piero Anversa Laurentiu Popescu stem cell telocytes」、(英語)1分37秒、KolMedicalMediaが2012/11/25 に公開

【経歴と経過】
履歴参考

  • 1938年9月11日:イタリア、パルマで生まれる
  • 1965年(26歳):イタリアのパルマ大学(University of Parma)を卒業、医師免許取得
  • 1965年(26歳):イタリアのパルマ大学(University of Parma)病理学・教員
  • 1972年(33歳):パルマ大学と兼任で、米国・ニューヨーク医科大学(New York Medical College)病理学・客員助教授
  • 1985年(46歳):米国・ニューヨーク医科大学・常勤教員
  • 1986年(47歳):同・教授
  • 1991年(52歳):同・心臓血管研究所(Cardiovascular Research Institute)所長、医学・微生物・免疫学講座(Medicine, Microbiology and Immunology)・教授
  • 1999年(60歳):同・医学科・副学科長
  • xxxx年(xx歳):米国・ハーバード大学のブリガム・アンド・ウィメンズ病院の麻酔・医学講座・教授(anesthesia and medicine)、再生医学センター長(Director of the Center for Regenerative Medicine)
  • 2003年(64歳):アメリカ心臓協会(American Heart Association)の優秀科学者賞(Distinguished Scientists)受賞
  • 2004年(65歳):イタリアのサンティラリオ賞(Premio Sant’Ilario)受賞
  • 2008年(69歳):ミラノ市長からイタリアに帰国しサンラッファエッレ病院(Ospedale San Raffaele)で研究室を構えてくれないかと要請されたが、断った
  • 2012年10月(74歳):不正発覚。論文の表と実際のデータが不一致だと指摘される
  • 2013年1月(74歳)11月:ハーバード大学のブリガム・アンド・ウィメンズ病院が調査委員会を設置した
  • 2014年12月16日(75歳):研究ネカトに対して無実だと裁判に訴えた

★動画「SCIPIO: Cardiac stem cells and postinfarction heart failure」、(英語)6分26秒、AHAScienceNewsが2011/11/12 にアップロード
2011年のアメリカ心臓協会学会(American Heart Association’s Scientific Sessions 2011)で、右のマーク・サスマン(Mark Sussman)が、左のピエロ・アンバーサ(Piero Anversa)と中央の米国ルイビル大学のロベルト・ボリ(Roberto Bolli)にスキピオ(SCIPIO: Stem Cell Infusion in Patients with Ischemic cardiOmyopathy)治験の結果をインタビューしている。

【不正発覚・調査の経緯】

2014年4月30日の大西睦子の「Foresight(フォーサイト)」記事がとても良く書かれている(ハーバード大学内でも勃発した世界的著名教授の「論文撤回」騒動|Foresight(フォーサイト)|会員制国際情報サイト)。

同じ内容を書き直しても意味がないので、長いけど修正引用させてもらう。但し、最後の方で異なる点がでてくる。

★大西睦子の解説(修正引用)

150228 IMG_78252012年に、ハーバード大学医学部の関連医療機関である『ブリガム・アンド・ウィメンズ病院』麻酔科教授のピエロ•アンバーサ博士(Piero Anversa、写真出典)らの研究チームは、再生速度のはやい心筋細胞を検出し、さらに、再生速度は年齢とともに高まるという研究結果を報告しました。この報告は、心臓幹細胞の分野での大きな論争を招きました。

アンバーサ教授らの研究チームによるその研究論文は、循環器領域の権威ある医学雑誌『Circulation』に掲載されていました。ところが、2014年4月8日、突如その論文が撤回されたとのニュースが流れたのです。

『Circulation』誌を発行している『アメリカ心臓協会』の主任責任者であるローズマリー•ロバートソン博士は、ハーバード大学医学部からの論文撤回の要求を受けたと述べています。ロバートソン博士は、具体的な問題が何であったかについて詳しく説明はしていません。ただし、ハーバード大学医学部とブリガム・アンド・ウィメンズ病院の現在進行中の内部調査によって、論文中のデータに何らかの「研究不正」を窺わせる問題が見つかったため、正当な理由で論文を撤回することが決定されました。

この論文中のデータ不正の問題が、果たして偶発的に起こった誤りなのか、あるいは意図的に起こした“捏造”であるのか、さらに研究チームのどの研究者の誤りなのかは、今のところ大学・病院側も『Circulation』誌側も具体的に指定していません。この論文の共同著者には、論文の責任者であるアンバーサ博士以外にも、ジョセフ•ロスカルゾ教授など、世界的にも非常に知名度の高い科学者が含まれています。

ちなみに、このロスカルゾ教授は、論文が掲載された『Circulation』誌の編集長でもあります。

『カロリンスカ研究所』のフライゼン教授は、その論文には間違った単位の使用、不慣れな技術を用いたために生じた誤差など、小さな間違いがあったことも指摘しています。ただし、ところどころでデータポイントの解釈に一貫性がなかったり、説明不十分であったり、同じようなデータを別の箇所では違う解釈をしていることもあり、加えて、意図的なのか偶発的なのかは分からないものの、自分たちの仮説をサポートするように敢えてデータを改変していることなども指摘しています。

NIHのウェブサイトによると、アンバーサ教授の研究室は、2013年に米国・政府機関から690万ドル(約7億円)を受け取っています。

そして最初の報道から3日後の2014年4月11日、さらに新たなショッキングなニュースが流れてきました。アンバーサ教授の研究チームは、2011年、英国の医学雑誌『Lancet』に別の研究論文を発表していましたが、その論文の撤回を申し入れる手紙を、ハーバード大学が同誌に送ったというのです。

当事者であるアンバーサ教授は、研究に参加したほとんどの患者の心機能が改善したことを証明する自分たちの研究データを信じている、とコメントしています。

実は、この論文は、日本国内を始め、世界中で同種の治療研究における多くの臨床試験のキッカケとなっています。ですから、論文の撤回となると大問題です。これまでに研究に同意して参加した患者さんに対する影響や、この研究を支えてきた莫大な研究費の問題も起こります。

アンバーサ教授は、NIHのウェブサイトによると、2000年以降、累計で5700万ドル(約58億円)の研究助成を受けている主任研究員です。

現在までのところ、『Circulation』誌、『Lancet』誌のどちらも、問題の本質や、問題となっている箇所の研究者を特定していません。アンバーサ教授らの『Circulation』誌の論文は撤回されました。『Lancet』誌に対しては、ハーバード大学側から撤回を申し入れています。恐らくはすでに徹底した内部調査が進んでいると思われます

この件に対して、最も責任のあるアンバーサ教授は、ハーバード大学とブリガム・アンド・ウィメンズ病院双方で行われている調査に全面的に協力しており、現在は調査中なので具体的にコメントすることはできないこと、そして2つの論文の基本的な結果が正しいと信じていることを、『ボストン・グローブ』紙の取材に答えて声明を出しています。つまり、アンバーサ教授は、今後すべての決断をハーバード大学に委ねるということです。ですから、これからは、この問題に対する決断は、一貫して大学側が行います。

私は、この声明から、アンバーサ教授が弁護士を立てて、大学と戦う可能性はないと見ています。なぜなら、ハーバード大学は、論文撤回を要求した時点ですでに決定的な証拠を握っていると思いますし、裁判問題になれば、大学側は、巨額の政府の資金を流用したという理由で教授に対して刑事責任を問う可能性も生じるからです。

大西睦子は、アンバーサは「大学と戦う可能性はない」と書いているが、その8か月後の2014年12月16日、アンバーサは裁判で大学と戦い始めた。

当然のことであるが、2014年4月22日に突然、2012年10月号掲載の『Circulation』論文が撤回されたわけではない。

2012年10月、論文が出版されてすぐ、カリフォルニア州にあるローレンス・リバモア国立研究所(Lawrence Livermore National Laboratory)の研究者が、自分たちに送ってくれたデータとアンバーサが『Circulation』に発表した論文のデータに不一致があると、アンバーサに警告し、ハーバード大学に公益通報していたのである。

2013年1月に、ハーバード大学は調査委員会を設置した。

【アンバーサ研の恐怖運営】

かつてアンバーサ研究室で研究していた人(ポスドク?)が、アンバーサ研の過酷な労働状況を描いている文章がある。最先端の研究室はどこも同じだろうし、誇張して書いているかもし知れないが、読んでみよう。
(①Inside a Corrupt Stem Cell Research Lab
Braggadacio, information control, and fear: Life inside a Brigham stem cell lab under investigation – Retraction Watch at Retraction Watch

150228 Annarosa Leri実験室の毎日の作業は、厳しい情報管理のもとで行なわれていた。研究室は、トップのピエロ・アンバーサ教授(Piero Anversa)の下に、アナローザ・レリ・準教授(Annarosa Leri、右写真出典)、ジャン・カイジストラ・準教授(Jan Kajstura)、マルチェロ・ロタ・助教授(Marcello Rota)3人のグループリーダーが仕切っていた。

彼らの下に、身分は研究員、リサーチフェロー(ポスドク)、大学院生、テクニシャンと異なるが、約25人の研究室員が働いていた。情報は下から上への一方通行で、グループ間での会話はほとんどなく、しばしば禁じられた。

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米国・ハーバード大学のブリガム・アンド・ウィメンズ病院の再生医学研究室(アンバーサ研究室)の面々。写真出典

研究室員が出した生データは直属のボス(上記3人のグループリーダー)に渡る。すると、研究室員が、次にそのデータを見るのは、論文原稿またはグラント申請書の中の表や図としてである。そこに至るまでの間、データについてどんな議論がされ、どんな処理がされたのか、データをだした室員には全く伝えられない。

この厳しい情報管理のために、各室員は、研究プロジェクトが実際にどこまで進行しているのかわからない。また、データ不正があったとしても、各室員は、全体像がわからないし加工過程もわからないので、自分が出したデータが論文の図表と異なっていても、不正だという確証はないし、公益通報は難しい。

研究室運営の戦略として、2つの方法で室員をコントロールしていた。1つは、研究に貢献し、他の室員に恐れられるような人をラボ内の地位を高くした。もう1つは、研究資金がとても豊富な研究室なので、好ましい室員には、経済的に報い、さらに有利な就職先を世話した。平均的な学術研究者はコッケイに思うかもしれないが、研究室員も人間なので、収入は多いことや名声を望む。そのような研究室員はアンバーサ研究室の方針に合わせて研究を遂行し続けることになる。

ある面、研究室は恐怖政治で運営されていた。これはオーバーに言っているわけではない。恐怖政治だと受け取るかどうかは人それぞれだが、研究室員に対する脅威は存在した。米国以外の国から来た研究室員の多くは特に悩んでいた。多くは、米国の研究者と比べ、技術的、教育的に研究能力が低かったからである。

【裁判】

150228 Jan Kajstura2014年12月16日(76歳)、アンバーサは、ハーバード大学などを被告として、研究不正に関して自分は無実で、部下のジャン・カイジストラ(Jan Kajstura、写真出典)準教授が犯人だと裁判に訴えた。

裁判は、マサチューセッツ地区連邦裁判所(United States District Court for the District of Massachusetts)が扱っている。

訴状(【主要情報源】⑤)と2014年12月17日のキャロライン・ジョンソン(Carolyn Y. Johnson)の「ボストン・グローブ(The Boston Globe)」記事(【主要情報源】④)によると、要点は以下のようだ。

原告:
①ピエロ・アンバーサ(Piero Anversa)
②アナローザ・レリ(Annarosa Leri)

被告:
①パートナーヘルスケア社(Partners HealthCare, Inc.,):ブリガム・アンド・ウィメンズ病院やマサチューセッツ総合病院(MGH)を含め、ボストンにいくつかの病院を所有している非営利団体
②ハーバード大学医学部
③ブリガム・アンド・ウィメンズ病院
④エリザベス・ネーベル(Elizabeth Nabe):ブリガム・アンド・ウィメンズ病院長
150228 brodnicki_gretchen_5315グレッチェン・ブロドニキ(Gretchen A. Brodnicki、写真出典):ハーバード大学医学部・研究公正部長(Dean for Faculty and Research Integrity)

アンバーサはデータねつ造・改ざんをしていない。自分は無実である。『Circulation』論文にデータねつ造・改ざんがあるなら、第一著者である部下のジャン・カイジストラ(Jan Kajstura)準教授が犯人だ、と訴えた。

つまり、序列1位のアンバーサと序列2位のアナローザ・レリ(Annarosa Leri)が20年一緒に研究してきた序列3位のジャン・カイジストラ(Jan Kajstura)準教授を犯人だと裁判に訴えているのである。なお、ジャン・カイジストラ(Jan Kajstura)準教授は既にブリガム・アンド・ウィメンズ病院を退職している。

150228 Dr_-Nabel-Webブリガム・アンド・ウィメンズ病院長のエリザベス・ネーベル(Elizabeth Nabel 、写真出典同(by Bwhpubaff))も、利益相反の罪で訴えた。

調査委員会の調査が長すぎて連邦法に違反しているとも訴えた。連邦法により、本来、調査は120日以内に終了しないければならないことになっている。延長は可能なのだが、延長に延長を重ね、4年間も調査している。調査が長いことで、自分たちへのダメージが大きいと訴えた。

★追記
2015年7月30日、訴えは棄却された(Judge dismisses scientists’ suit against Harvard and Brigham and Women’s – Metro – The Boston Globe)。

【論文数と撤回論文】

パブメドhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmedで、ピエロ・アンバーサ(Piero Anversa)の論文を「Piero Anversa[Author]」で検索すると、2002年~2015年の14年間の132論文がヒットした。多作である。

2015年2月23日現在、1論文が撤回されている。

  • Cardiomyogenesis in the aging and failing human heart.
    Kajstura J, Rota M, Cappetta D, Ogórek B, Arranto C, Bai Y, Ferreira-Martins J, Signore S, Sanada F, Matsuda A, Kostyla J, Caballero MV, Fiorini C, D’Alessandro DA, Michler RE, del Monte F, Hosoda T, Perrella MA, Leri A, Buchholz BA, Loscalzo J, Anversa P.
    Circulation. 2012 Oct 9;126(15):1869-81. doi: 10.1161/CIRCULATIONAHA.112.118380. Epub 2012 Sep 6. Retraction in: Circulation. 2014 Apr 22;129(16):e466.

著者が22人で、最終著者がアンバーサである。

「日刊ゲンダイ」紙が「見過ごせないのは撤回論文の共著者に日本人の医学博士が含まれていることだ」と息巻いていたが、その医学博士は、著者の9番目のFumihiro Sanadaと17番目のToru Hosodaである。

常識で考えれば、22人の共著者の論文の9番目や17番目の著者は、論文に重要な貢献をしていない。従って、論文の不正にも大きく関与しているとは思えない。たまたま、運悪く、巻き込まれただけだろう。

以下、一応どんな人か軽く調べた。

9番目の眞田文博(Fumihiro Sanada)は、医師で研究博士号(PhD)はもっていない。日本に帰国し、大阪大学・臨床遺伝子治療学・特任助教である。

17番目の細田 徹(Toru Hosoda)は、医師で研究博士号(PhD)をもっている。日本に帰国し、東海大学創造科学技術研究機構・循環器再生分野・特任准教授である。

【白楽の感想】

《1》 骨肉の争い

序列1位のアンバーサと序列2位のアナローザ・レリ(Annarosa Leri)が長年の仲間で序列3位のジャン・カイジストラ(Jan Kajstura)準教授を犯人だと裁判に訴えた。生理的には家族や血縁ではないが、子弟・仲間なので、骨肉の争いだ。

子弟・仲間として長年一緒に研究してきた間柄でも、ひとたび事件になると、研究者が研究者に牙をむき、裁判にかける時代になってきた。

しかし、公平性と透明性の観点からみると、裁判でシロクロつけるのは、大学・研究機関の調査よりも良いと思う。

日本も研究ネカトや研究クログレイでは、警察が介入し、裁判でシロクロつける方がよいだろう。となると日本に研究公正局の設置を要求するより、警察庁のサイバー犯罪対策班と同じ趣旨で、警察庁に研究者犯罪捜査班を設けるべきだろう。

《2》 定年制

アンバーサの論文が研究ネカトだと調査され始めたのが2012年でアンバーサが74歳である。

アンバーサ研究室の内幕文章と研究室陣容の写真を見ると、74歳になっても実験室を牛耳っているのは、老害だろう。

米国に定年がないが、研究者には定年を設けた方が良い。平均寿命の8掛けはどうだろう。つまり、日本の男性の平均寿命が85歳だから、85x0.8=69歳だ。米国の男性の平均寿命は77.4歳だから、77.4x0.8=62歳だ。ウン? 62歳で定年は若すぎる。

62歳定年は若すぎるから、9掛けの70歳がいいかも。9掛けだと日本の男性は76.5歳定年である。チョッと老害が大きい。

年齢と研究活動の関係を調べ、科学的に決めるべきだろう。

【主要情報源】
① リトラクチョン・ウオッチ(Retraction Watch)のピエロ・アンバーサ(Piero Anversa)の記事:You searched for Piero Anversa – Retraction Watch at Retraction Watch
② ◎2014年4月30日の大西睦子の「Foresight(フォーサイト)」記事:ハーバード大学内でも勃発した世界的著名教授の「論文撤回」騒動|Foresight(フォーサイト)|会員制国際情報サイト保存版
③ウィキペディアのイタリア語版:Piero Anversa – Wikipedia
④ 2014年12月17日のキャロライン・ジョンソン(Carolyn Y. Johnson)の「ボストン・グローブ(The Boston Globe)」記事:Stem cell scientist sues Harvard for misconduct investigation – Science – The Boston Globe
⑤ 2014年12月16日の訴状「Case 1:14-cv-14424-DJC Document 1 Filed 12/16/14」:http://c.o0bg.com/rw/Boston/2011-2020/2014/12/17/BostonGlobe.com/Metro/Graphics/stemsuit.pdf?p1=Article_Related_Box_Article
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