3.ねつ造・改ざん

英語で「research misconduct」といえば、以下の3つに限定される。

「ねつ造(fabrication)」
「改ざん(falsification)」
「盗用(plagiarism)」

この3つを合わせて英語では略して「FFP」と呼ばれるので、白楽は、日本語でも略して「研究ネカト」と呼んでいる。皆さんも、是非、「研究ネカト」と呼んで下さい。

つまり、「研究不正」という用語では、社会一般で使われる「研究上の不正」と区別がつかない。区別するために「研究」と「不正」を逆転した「不正研究」と呼び、「ねつ造」「改ざん」「盗用」に限定した。とはいえ、「不正研究」と呼んでも、ヤッパリ、いちいち説明しないとわからない。

英語が略して「FFP」と呼ぶなら、日本語の専門用度としては、「研究不正」でも「不正研究」でもなく、「ねつ造」「改ざん」「盗用」の頭文字のカタカナで「研究ネカト」と呼ぼう、という大胆不敵な提案です。これならかなりわかるでしょう。

ここでは、「研究ネカト」の内の「ねつ造(fabrication)」「改ざん(falsification)」を扱う。

★用語

広辞苑第六版には、「ねつ造」と「改ざん」という漢字とひらがなの「まぜ書き」用語は記載されていない、「ひらがな」の用語と「漢字」の用語は記載されている。文部科学省は「捏造」と「改ざん」という2つのスタイル(漢字とまぜ書き)を混用している。白楽は、自分で書けない漢字は使用したくない主義なので、2用語とも「ねつ造」と「改ざん」という「まぜ書き」を使用する。広辞苑第六版の示す用語の意味は以下の通りである。

  • ねつ‐ぞう【捏造】:(デツゾウの慣用読み)事実でない事を事実のようにこしらえること。「証拠を―する」「―記事」
  • かい‐ざん【改竄】:(「竄」は改めかえる意)字句などを改めなおすこと。多く不当に改める場合に用いられる。「小切手の―」

ウェブリオ(http://www.weblio.jp/)の類語辞典(シソーラス)の「日本語WordNet(類語)」では以下の通り。

【捏造】

  • 詐欺を目的に法律文書を作る、または変更する、犯罪的な改竄・・・偽作 ・ 偽造 ・ 偽物 ・ ニセ物 ・ 贋 ・ 偽本 ・ 偽書 ・ 贋物 ・ 偽 ・ 擬製 ・ 贋造 ・ 変造 ・ 偽造罪
  • わざと真実から逸脱させる行為・・・ 虚言 ・ 偽言 ・ 嘘 ・ 偽り ・ 虚偽 ・ 作り話 ・ 作り事 ・ 作り言 ・ 贋造
  • 虚構形式で書くこと・・・ 偽り ・ 作り話 ・ 作り事 ・ 作り言 ・ 贋造

【改竄】

  • 詐欺目的で改ざんする・・・ 曲筆 ・ 細工 ・ 佯る ・ 偽造 ・ 捏ち上げる ・ 操作 ・ 歪める ・ 枉げる
  • 間違いだと証明する・・・ 改竄
  • 切断または追加によって偽証する・・・ 曲筆 ・ 佯る ・ ねじ曲げる ・ 誤魔化す ・ 歪曲 ・ 偽る ・ ひん曲げる ・ 曲げる ・ 歪める ・ 枉げる ・ 捩じ曲げる ・ わい曲

「ねつ造」と「改ざん」の一般的な意味は、大体おわかりいただけたと思う。

しかし、研究ネカトで扱う「ねつ造」と「改ざん」という用語は、専門用語であって、一般的な意味とは少し異なる部分があり、より厳密に定義されている。

また、他の類似語である「偽作」や「偽造」は同じ意味であっても専門用語としては使わせないという制限をかけている。これは「盗用」の場合も同様で「盗作」や「剽窃」という用語を使わせない。

「ねつ造」と「改ざん」の行為・概念は別だが、「研究ネカト」行為の実際では「ねつ造」と「改ざん」を区別しにくい。また、区別する必要はないので、白楽は、合わせて扱う。